連載小説
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7.命名
「名前…名前か…」

あの後、青年をまた食堂に連れて行き、昼食を食べさせた後に砦を歩き回り、良い名前が無いか聞いて回る事にした。が、

「名前ですか?ポチとかどうです?」
犬か。

「そうですねぇー、チャッピーとかで良いんじゃないですかぁー?」
だから、犬か。

「パトラッシュ!これしか無い!」
しつこい。

「ゴッパァとかどうだろう」
名前としてどうなのだろうか。

「ジェニファー」
あいつ、男だと思うんだが。

「コッペパンマン」
何故。

「サンフランシスコ・ダーイン・エクレール・アレフガルド・ホセ・ディエゴ(ry」
長過ぎだろ。

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結果は散々だった。
結局オリビアは良い名前をもとめて、書物置き場に来ていた。
砦にいる物の娯楽のために、多くの書物がおかれている。
内容は魔物達の読むような物が多いが、中には真面目な物も(少し)ある。
いまオリビアが読んでいるのは「よくある名前大百科」
しかし、読み始めて数分後、ある重大な事に気がついた。

「(これじゃ…アネットの「ありがちな名前辞典」と同レベルじゃないか…!)」

精神的な疲労のせいか、知らず知らずのうちに楽な方法をとろうとしていた自分が情けなくなった。

「……少し、休むか」

ギシッ、と軋んだ音を立てて椅子に座り、目を閉じる。

「(そういえば…名前を付けるなんて、初めてだな…)」

名前をつけようにも小さな頃からそう言った事はアネットが勝手に決めてしまったので、
何かに名前を付けたくても付けられなかったのだが。

「(…ん?)」

ふと、目についた一冊の本『良い名前の付け方』。
何気なく手に取って本を開くと、

「ほぉ…なるほど」

次に彼女が手に取ったのは『世界の偉人達』

「この名前と…この名前で…」

――――――――――――――――――――――――――――――――

「あら、オリビア。名前は決まったの?」
「ああ。良い名前が浮かんだ。」

そう言うと少しアネットは少し意外そうな顔をしていった。

「へぇ…てっきり良い名前が思いつかないで、適当に決めると思ってたんだけど」
「(…鋭いな)」
「で?どんな名前にしたの?」
「まぁ、待て。本人に先に教えるのが礼儀と言う物だろう?」
「相変わらず堅いわねぇ〜…」
「騎士たる者、当然だ。」

二人はそんな事を話しながら部屋に戻っていった。
もう時刻は昼になっていた。

「お待たせ!」
「あ…と、おかえりなさいませ、ごしゅじんさま」
「は…?」
「ん!偉い!ちゃんと勉強したのね!」
「(やはりこいつの仕業か…)違う。そこは『お帰りなさい』だけで良いんだ」
「ん、おかえりなさい」
「それで良い」

自分の趣味(?)を軽く否定され、アネットはすねたように唇を尖らせていたが、
すぐに明るい表情になると青年に言った。

「そういえば、あなたの名前、決まったみたいよ!」
「なまえ…?」
「お前の名前だ。呼び名が無いと困るからな。」
「それで?なんて言う名前にしたの?」
「あぁ、こいつの名前は…」

一呼吸おいてから、オリビアは静かに言った。

「ロア・フレイン、でどうだ」

名前を教えたと言うのに、アネットは驚いた顔で固まっている。

「………」
「…どうした?」
「いや、その、あまりにも貴女らしくない名前だったから…」
「は?」
「もっと、こう、エクスカリバーとか、グングニルとか、村正とか…」
「私は別に武器オタクじゃない。過去の偉人の名前を混ぜ合わせたんだ」
「へぇ…以外と普通な名前の付け方なのね。それで、どんな人なの?」
「よく聞いてくれた。ロアと言うのは、約200年前に…」

(中略)

「その際、たった一人で敵を殲滅した…」
「……」
「(長い…)」

(中略)

「そして、友軍たちのために自ら囮となり…」
「……ねぇ、オリビア?まだ長いのかしら?」
「ああ。後半分ほどだ」
「……」

ぐうぅぅ〜…

「ん?何の音だ?」
「!この、ロアのおなかが鳴ったみたい!そろそろ晩ご飯の時間ね!食べにいきましょ!」
「あ、おい。まだ続きが」
「さあ!行くわよロア!」
「あ、はい」
「(助かった…武器マニアじゃなくて、偉人マニアだったのかしら)」

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「では、いただきます!」
「いただきます」
「いただき、ます」

三人で食堂に向かい、そこで昼食をとる事にした。

「ん、おいしいわねぇ。ロア」
「はい」

食事をとりながらオリビアはアネットに聞いた。

「指令官。仕事の方は大丈夫なんですか?」
「…ねえ、オリビア」
「何か?」
「あなたが私を司令官として認めてくれているのは嬉しいわ。私に敬語で話そうとしたがるのも解るの」
「はあ」
「でもね、この砦で私に敬語使ってるの、貴女だけなのよ?」
「な、何!?」

オリビアは思わず驚いた声を上げた。

「だからあなたも、敬語使わなくていいわよ」
「し、しかし、何故皆、敬語で話さないんだ…!?」
「いや、私は敬語使われるの嫌いだし、みんなに私の事は友人感覚で話すように言ってるのよ」
「そ…そうなのか?」

それを聞いたアネットは、軽くため息をつくと言った。

「あなた、任務以外であんまり話したりしないじゃない?だから知らないのよ」
「そ…そんなことはない!今日だってこいつの名前を決めるために…」
「どーせあれでしょ、名前を決めるのも任務!とか考えてたんでしょ」
「く…」

相変わらず鋭い。

「ま、そんな訳で、もう敬語で話さなくていいわよ」
「…そうさせてもらう…」

そんな事を話している間に、夕食を取り終わった。

「…ごちそうさま」
「ごちそう、さまでした」
「うん、いい調子ね!」

きちんと挨拶をしたロアをアネットが褒めると、照れたように頭をかいていた。

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食事の後にしばらく休憩を取り、再びロアに言葉を教えた。
薬も、飲めば言葉が早く覚えられる事を教えてやると嫌そうにだが素直に飲んでくれた。
まあ、飲んだ後に「う”っ」となっていたが。

「うん、大分覚えてきたわね」
「ああ。この調子なら早々に流暢に話せるようになるだろう」
「そうね。そうなったら剣術とかも教えられるんじゃない?」
「けんじゅつ、とは、なんですか?」

まだ発音などに多少の違和感はある上、ゆっくりとしか喋れないが確実に上達している。

「剣術と言うのはだな…」
「簡単に言うとね、剣を使って戦う方法の事よ」
「たたかい…」

説明を横から持っていかれたせいで、オリビアは露骨に不満そうな顔をする。

「あなたが言うと長くなりそうだからあたしが説明したの」
「別に長くないだろう…」
「さて、今日はもう遅いし、そろそろ終わりにしましょうか?」
「あぁ、そうだな…」
「ところで、ロア」
「はい」
「昨日はオリビアと一緒に寝たの?」

オリビアは思わず飲んでいた水を口から噴き出した。

「え…」
「ん〜?どうなの?」
「げほっ、アネット!何を聞いているんだ!?阿呆か!?」
「え〜?何が〜?」

しかし、ロアはきょとんとした顔で言った。

「きのうは、オリビアさんのベットでねむりました」
「ちょっとロア、その言い方は誤解を…」
「やっぱり〜!?じゃ、お邪魔したら悪いわね!私はもういくから!」
「ちょっと、待て!違…!」

後悔先に立たず。
アネットはあっという間に部屋を出て行った。

「…なんか、ごめんなさい」

何となく不味い事をしたと思ったのか、ロアが謝ってきた。

「…気にするな…」

もう過ぎた事だし、嘘はついていないのだから仕方が無い。
しかし、明日になれば砦中に間違った噂が広がるのは間違いない。

「…今日はもう寝ろ。明日は早めに起きるぞ」
「わかりました。…きょうも、きのうとおなじようにねますか?」

先ほどの会話が気になったのか、オリビアにそんな事を聞いてきた。
無論、一緒に寝るつもりは無いし、
だからといってまだここに慣れていないロアを寝袋で寝かせるつもりも無い。

「それで構わない。私はまた寝袋で寝ることにする」
「わかりました。では、おやすみなさい」
「ああ…おやすみ」

寝袋に潜り込むと、すぐに瞼が重くなった。慣れない事ばかりで疲れていたのかもしれない。
明日はどんな事を教えようか…そんな事を考えているうちに、オリビアの意識は遠のいていった。
11/02/28 19:03更新 / ホフク
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■作者メッセージ
くそう…ペースが、遅すぎる!
投稿 の ペース が 乱れる!

没にしたシーン

「ウジ虫でいいだろ?」
どこの軍曹だ。

「今日からあいつは、ビッグボスだ!」
伝説の兵士?

「フリオニールとか?」
きさま はんらんぐんだな!

うーん、偏っているなぁ。

※全体的に少し修正しました。

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