読切小説
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退廃者の遊戯
 少女は寝椅子に座っていた。貧弱な裸体の上に黒貂の毛皮をはおり、金で出来た首輪をつけている。赤い髪の下の青い目は焦点を結んでいない。
 少女の隣には一人の男が座っていた。少女同様に裸体に黒貂の毛皮をはおり、紅玉と金で出来た首飾り、腕輪、指輪などを付けている。薄笑いを浮かべながら、毛皮の下に手を入れて少女の体を愛撫している。
 男は、大理石の台の上に置かれた金で出来たゴブレットを取る。ゴブレットを傾け、少女のむき出しの胸に葡萄酒をたらす。白い肌が赤紫色の液で濡れていく。少女はうつろな表情でか細い声を上げる。
 男は、少女の体に付いた葡萄酒を舐め取っていった。

 リュシアンが白痴の少女を見つけた所は、彼の支配する城下町だ。気まぐれで城下町を馬で散策していた時に、彼の前にふらふらと少女が歩いてきた。汚れた襤褸をまとったその姿を見て、リュシアンは初め、ただの物乞いだと思った。
 だが、少女は虚ろな表情でか細い声で歌っている。リュシアンを見ても、物を乞う事無く歌い続けている。何処から持ってきたものか、雛菊の花を握りしめている。
 怪訝に思ったリュシアンは、側で控えている臣下の者に問いただす。臣下の者の話では、城下町をさ迷い歩いている白痴だという事だ。親に捨てられたらしく、身元は分からない。名前も分からず、城下町の者には「雌犬」と呼ばれているそうだ。路上で寝起きして塵をあさり、城下町の人々に食い物を投げ与えられて暮らしているそうだ。
 その時は、リュシアンはかじっていた林檎を投げ与えて、白痴少女を放っておいた。だが、城へ帰るとその少女の事が気になりだした。
 リュシアンは、三日後に城下町へ繰り出した。その少女と会った付近に行くと、彼女は路上に座り込んで歌っていた。しおれた雛菊の花を握りしめながら、もつれた髪の間から覗く目で空を見ていた。
 リュシアンは、臣下の者に彼女を城へ連れてくる事を命じる。リュシアンは、白痴少女を飼う事にしたのだ。
 城に戻ると、リュシアンは少女を裸にしてその姿を子細に観察する。髪はふけと油にまみれており、痩せこけた体中に垢が張り付いている。その体から漂う臭いは、野良犬の臭い以上にひどいものだ。
 リュシアンは彼女を風呂で洗わせ、もつれた髪を櫛ですかせ、絹のドレスを着せる。体を清めると、彼女の顔立ちは悪くない事が分かった。だが、意志の感じられぬ虚ろな顔でドレスをまとっている姿は、病的な異様さがある。
 リュシアンは、その病的な様が気に入った。彼女に金と宝石で出来た腕輪や指輪を付けさせる。香水をつけさせ、貧弱な体に香りをまとわせる。リュシアンの行為は、彼女を美しくさせたと言うよりは異様さを増させた。挙句の果てに、リュシアンは少女に金で出来た首輪を付けた。
 リュシアンは、少女にネアイラと言う名を付けた。醜聞で有名な古代の娼婦と同じ名だ。

 リュシアンは、さっそくネアイラを犯す事にした。ネアイラのドレスを脱がし、骨の浮き出た体を露わにしていく。ネアイラの薄い唇を吸い、舌を這わせる。ネアイラの頬を舐め、右の耳を食む。ネアイラは、リュシアンに抵抗する様子は無い。
 リュシアンは、少し膨らんだネアイラの胸に頬を摺り寄せる。洗い清めて香水をつけたネアイラの香りを嗅ぐ。ネアイラはわずかばかりの反応をするだけだ。リュシアンが肋骨の浮き出たわき腹を撫でると、やっと身をよじる。
 リュシアンは、ネアイラの腹の下を見つめる。わずかに生える陰毛は、薄赤いヴァギナを隠す事は出来ていない。リュシアンは、陰毛とヴァギナを愛撫する。ネアイラはうつろな表情で空を見つめている。
 執拗な愛撫にもかかわらず、ネアイラのヴァギナは濡れる気配はなかった。リュシアンは自分のペニスにオイルを塗り、ネアイラのヴァギナに擦り付ける。そのまま、中へと沈めていく。この時になって、ようやくネアイラはか細い声を上げる。
 ネアイラの中はきつかったが、リュシアンのペニスを入れる事は出来た。リュシアンは、二人の交わる場所を見る。血は出ていなかった。既にネアイラは、他の者に嬲られた事があるらしい。リュシアンは思わず苦笑する。白痴女を犯す変態は自分だけではなかったわけか。リュシアンは、喉を鳴らして笑い続ける。
 リュシアンは、ネアイラの頬を、耳を、首筋を舐め回しながら腰を突き動かす。腰を動かすたびに、空虚な声がネアイラの口からこぼれる。ネアイラの口からは涎がこぼれている。
 リュシアンは、ネアイラの中に欲望の液を放った。少女の弱い膣と子宮を打ち抜く。少女は、涎をこぼしながら声を上げる。男はその様を見て笑い、精液を中へ放ち続ける。
 退廃貴族は、自分が犯した少女を見下ろす。少女は暴虐に疲れた様子を見せていたが、依然として空虚な様だ。白痴少女の反応はリュシアンを喜ばせる。しばらくは遊べそうだな。リュシアンは口の端を吊り上げて笑った。

 リュシアンはネアイラを城に監禁し、調教し続けた。ネアイラは、まともな人間の身に付けている事が欠落していた。そこでリュシアンは、自分の思うようにネアイラを躾ける事にしたのだ。
 躾と言ってもまともな躾では無い。例えば食事だ。リュシアンは、フォークやスプーンを使って食べる事を嫌う。古代帝国の者の様に、寝椅子に横たわりながら手づかみで食べる事を好む。ネアイラにも手づかみで食べさせた。
 ネアイラに着せる服も常軌を逸している。初めのうちは普通の貴族の着るドレスを着せていたが、やがて過剰なほど金糸、銀糸を縫い込んだ露出度の高いドレスを着せるようになった。あるいは素肌の上に毛皮を着せただけの姿にした。
 リュシアンの最も好んだ躾は、排泄の躾だ。城には便所があるが、ネアイラをそこに行かせない。人間であるネアイラに、犬用の容器に排泄させた。目の前にリュシアンがいるにもかかわらず、ネアイラは排泄の快感に顔を緩ませながら汚物を落とした。
 また、リュシアンとネアイラは、共に散歩する事が多い。リュシアンは、ネアイラの金の首輪に金の鎖を付け、四つん這いにさせて散歩をした。城中や庭を、犬の様に這わせて散歩したのだ。城に住む臣下の者達は、散歩する二人の背を嫌悪のまなざしで見ていた。
 そして、リュシアンはネアイラの体を貪り続けた。リュシアンは、古代帝国の性技について解説している本を持っている。それをネアイラに繰り返し試みたのだ。複雑な技巧はネアイラには無理だが、羞恥心の無いネアイラは性技に抵抗は無いようだった。
 こうして二人は、退廃に沈んだ生活を続けた。

 リュシアンとネアイラは、寝椅子に座っていた。リュシアンは、金箔をはった髑髏の杯で葡萄酒を飲んでいる。傍らに座るネアイラは、蜂蜜に漬けたケーキを手づかみで食べている。口で奉仕した褒美としてリュシアンが与えたのだ。
 リュシアンは、ネアイラを愛撫しながら髑髏杯を弄んでいる。目障りな王の手先を闇討ちにして殺し、その頭蓋骨で作り上げたのだ。平凡な容姿の男だったが、頭蓋骨は中々きれいだった。こうして金箔を貼ると、葡萄酒の赤紫色と良く合う。
 私は、こうして滅びるのか。リュシアンは、喉を鳴らして笑う。諸侯として富と権力を誇っていた名家の末は、白痴女と戯れながら滅んでいくのだ。
 リュシアンは部屋を見渡す。石造りの城の一室だ。絹と金糸で織ったタペストリーをかけ、金銀の燭台で照らしているが、武骨さは隠せない。かつての諸侯は、この様な武骨な城を誇っていた。今では時代遅れの物だ。
 滅びに憑かれた貴族は、自家の斜陽について思いを巡らせた。

 リュシアンの家が没落する直接の原因は、「聖戦」の失敗だ。魔物や魔物にくみする人間、そして異教徒達を倒すための大掛かりな戦争が行われた。主神教団の教皇が提唱し、各国の皇帝や王、諸侯、騎士達が参加した。
 諸侯の一人であるリュシアンの父も、王と共に「聖戦」に参加した。父は、多額の金を費やし、領内の多くの者を兵に仕立てて連れて行ったのだ。「聖戦」が成功すれば、領土と富が手に入る。費用は回収出来ると、父は考えていた。リュシアンは子供であったため、「聖戦」には参加しなかった。
 父の目論見は見事に失敗した。「聖戦」は失敗し、リュシアンの家は多額の金と多くの人員を失った。
 「聖戦」から帰ってきてからの父は、常軌を逸していた。執務を怠るようになり、部屋に閉じこもる事が多かった。そして戦地から持ち帰った首飾りや腕輪を笑いながら見ていた。それらの品は戦地で行った虐殺と略奪の成果だと、リュシアンは後に知った。
 これは父の凶行ではまだマシなものだ。父は、金箔を貼った髑髏で酒を飲む事が多かった。戦地で虐殺した者の頭蓋骨で作った杯だ。
 父の凶行は、領民に対しても行われるようになった。気分次第で領民を殺害し、領民の女を凌辱した。次第に臣下の者も犠牲になるようになった。
 結局、父は落馬事故に見せかけて殺害された。臣下の者達が暗殺したのだ。その背後には、夫の居ぬ間に不貞を働いたリュシアンの母がいる。リュシアンは暗殺には加わらなかった。冷ややかに眺めていただけだ。
 リュシアンの父が死ぬと、リュシアンの母は実権を握ろうと動き始めた。だが、先手を打ったのはリュシアンだ。兵を動かし、母の息のかかった者達を殺戮し、母は修道院に押し込めた。リュシアンは王に貢物を、主神教団には寄付を行い、自分の行為を認めてもらった。
 名実ともに諸侯、領主となったリュシアンは、家と領内の立て直しに取り掛かる。リュシアンの領地は、毛織物の生産地として国内では知られている。リュシアンは、毛織物を盛んにする事で領内を富ませようとした。生産者の織機取得を援助し、そのための費用を得るために借金をした。
 リュシアンの努力の甲斐があり、領内の毛織物の生産力は上がった。だが、商人達は安く買い叩いた。一人では無く、商人と言う商人がこぞって安く買い叩くのだ。驚愕したリュシアンは、すぐさま事情を調べる。その結果、商人達の背後に王がいる事が分かった。
 王は、自分の権力を強化するために諸侯達を潰そうとしていた。毛織物の生産力を上げようとするリュシアンは、王の標的となったのだ。王は、商人達に圧力をかけ、リュシアンの領内で生産される毛織物を安く買い叩かせた。
 リュシアンは、王と距離を取ろうとする商人と交渉し、外国に販路を求めようとした。だが、王の妨害により失敗に終わる。さらに王は、毛織物の原料である羊毛の産地に手を伸ばし、羊毛の価格を吊り上げさせた。リュシアンは毛織物生産で領内を再建する事は出来ず、借金が重くのしかかった。
 こうしてリュシアンの家は滅びへと向かっていた。

 燭台の明かりに照らされている髑髏杯は、鈍く光っている。ほの暗い部屋の中で、重苦しい金色は狂気じみた存在感を放っている。杯の中にある葡萄酒は、血を思わせた。
 私は負けたのだ。リュシアンは苦く笑う。王に、国に、王と国の犬に、私の家に、そして時代に。私の抵抗は無意味だった。
 私は弱いのだ。強ければ勝つ事が出来る、王の様に。リュシアンは笑い続ける。
 リュシアンは王の事を考えた。王は、「聖戦」に失敗したにもかかわらず力を強めている。「聖戦」が始まる前から、法と官僚制を整備する事により力を付けていた。新興勢力である商人達に目をつけ、彼らを優遇する事で経済力を強めた。主神教団や諸侯、騎士が「聖戦」の失敗で没落していく事を利用し、王は権力を拡大している。
 強者は生き延び、弱者は滅びる。分かり切った事だ。だからお前は、強者である王の犬となったのだろ。リュシアンは、盃になり果てた髑髏に語りかける。だが私は、お前程度の者は殺す事が出来るのだ。リュシアンは悪意を込めて笑う。
 不意に、ネアイラはかすれる様な声を上げた。ネアイラは言葉を紡いでいる。だが、意味はよく分からない。ネアイラを捨てた親は、ネアイラに少ししか言葉を教えなかったらしい。単語をいくつか呟く事がネアイラの話し方だ。
 リュシアンは興味深そうに聞いていたが、軽く頭を振ると酒をあおる。馬鹿馬鹿しい、白痴の夢物語だ。黒い翼を持った女だと。
 リュシアンは、気怠そうにネアイラを愛撫しながら酒を飲み続けた。

 終焉は五カ月後に訪れた。王の軍がリュシアンの領土に進撃してきたのだ。
 リュシアンは借金を返そうとせず、そのために債権者は裁判を起こした。裁判は、王都の裁判所が行う。リュシアンの財産を差し押さえる判決が出る事は、目に見えている。リュシアンは裁判の妨害を行った。これで王は、リュシアンの領土に介入する口実が出来た。加えて、リュシアンが王の配下の者を複数人暗殺している事も発覚した。リュシアンはしらを切ったが、王は取り調べを口実に軍を派遣してきた。
 主神教団は、王の側についてリュシアンを非難していた。表向きはリュシアンの退廃を非難しているが、リュシアン領の利権の一部を王から約束されていたのだ。
 臣民は、既にリュシアンを見限っていた。王の配下の所へこぞって行き、前領主の悪業と現領主リュシアンの退廃を訴えた。王の配下の者は、嬉々として彼らの訴えを聞いている。
 リュシアンは、約束された滅びに飲み込まれようとしていた。

 城の外では王の兵が行軍している。その兵達を、リュシアンの臣民だった者達が歓声を上げて迎えている。
 リュシアンは、城の窓から彼らを見下ろしていた。リュシアンの周りには誰もいない。リュシアンはつまらなそうに見下ろしていたが、軽く肩をすくめると背を向けた。
 王の兵は直ぐに城に入って来るだろう。抵抗する者などいない。リュシアンは簡単に捕えられる。そうなる前に、リュシアンは毒を飲むつもりだ。
 滅びは美しい、か。詩人の戯言だな。リュシアンは嗤う。滅びは無様で惨めだ。それが現実だ。だが、死ぬ時は少し楽しむとしよう。
 彼に残された数少ないものである、愛玩具ネアイラを眺めながら毒をあおるのだ。リュシアンは、足早にネアイラを飼っている部屋へ向かう。
 リュシアンは、ネアイラの部屋に大股で踏み込んだ。ネアイラは寝台に座っている。リュシアンはネアイラへ歩いていく。だが、その足が止まる。
 リュシアンは、食い入るようにネアイラを見つめる。確かに寝台の上に座っているのはネアイラだ。見慣れた赤い髪の貧弱な体の少女だ。彼の与えた金の首輪をつけている。だが、表情が違っていた。虚ろな顔では無く、意志と理知のある顔だ。そして、青かった瞳は真紅へと変わっている。
「お前は何者だ?」
 陳腐な言葉だとは思ったが、リュシアンは他の言葉を放てなかった。
「ネアイラですよ。あなたの愛玩物です」
 ネアイラは、口の端を吊り上げて笑う。
 ネアイラは立ち上がり、はおっていた黒貂の毛皮を脱ぎ捨てる。ネアイラの裸体は、薄紫色の光を放ち始める。彼女の手足に獣の様な毛が生え始める。手足のみならず、胸や腹、下腹部にも光を放ちながら獣毛が生える。ネアイラの背が強い光を放つ。思わずリュシアンは目をつぶる。光が弱まり、目を開ける。ネアイラの背に紫色の翼が広がっていた。
 光が消えていくに従い、ネアイラの変貌は終わっていく。魔性の姿となったネアイラは、リュシアンに微笑みかける。かつての虚ろな笑いでは無く、妖艶さを感じさせる笑みだ。
「魔物よ、私をどうするつもりだ」
 リュシアンは、声が震えそうになる事を辛うじてこらえて言う。
「魔界へお連れします。私達が欲望に溺れる場所です。案内して下さる方がいます」
 ネアイラの言葉が終わるとともに、低く甘い笑い声が聞こえてくる。羽ばたく音と共に、一人の女が二人の前に降り立つ。黒髪から黒い角を覗かせ、背に黒い翼を生やした女だ。ネアイラ同様に真紅の瞳をしている。
「領主様、初めまして。『導き手』とでも名乗っておきましょうか。あなたとネアイラを魔界へと導く者です」
 魔性の女は、妖艶な笑みを浮かべる。
「毒をあおるよりも、魔性の者と魔界で暮らした方が楽しいのではありませんか。退廃貴族であるあなたにふさわしい事だと思いますが」
 リュシアンは、「導き手」と称する女を見つめる。そして、動揺を鎮めながら考える。
 私を魔界へ導くだと。ネアイラと共に魔界で暮らせと言うのか。この女がネアイラを魔性の者へと変えたわけだ。私は狂ってしまったのか。これは狂気の産んだ幻か。
 リュシアンは笑みを浮かべる。面白い、狂った夢を見ながら滅びる事は悪くない。
「よかろう。魔界へ案内してくれ。王の軍をかい潜る事が出来ればだが」
 リュシアンは皮肉な笑いを浮かべる。
「それに私の父は、お前たち魔物の敵だった者だ。それでも私を魔界へ連れていくのか」
 リュシアンの嘲弄混じりの言葉を、「導き手」は楽しげに聞いている。
「あの男は滅びました。あなたに罪はありません。それに、敵の種により生まれた者を魔界へ導く事は、私には愉快な事です」
 リュシアンは声を上げて笑う。なかなか面白い狂気の夢だ。ならば、せいぜい楽しむとしよう。
 リュシアンの了承を得て、「導き手」はリュシアンの体を抱きしめる。それをネアイラは不満そうに見ている。
「今のあなたでは、飛ぶ事が精いっぱいよ。領主様を抱えて飛ぶ事は出来ないわ。あなたの旦那様を取ったりしないから安心なさいな」
 頬を膨らませるネアイラの姿に、リュシアンは笑いをこらえる事が出来ない。笑いながら「導き手」に命じる。
「さあ、私とネアイラを魔界へ案内せよ」

 城を占領した王の兵達の間で、一つの事が語り伝えられている。兵が城に入る直前に、二つの大きな鳥が飛び立った。一羽は黒い鳥、もう一羽は紫色の鳥であり、黒い鳥は一人の男を抱えていたそうだ。その男は、行方不明となった城の領主だと言われている。
 ある者は、飛び立ったのは鳥では無く羽根の生えた女だったと言う。魔物の女が領主を連れて行ったのだと。
 その噂は、兵の戯言として人々に片づけられている。
16/01/20 22:15更新 / 鬼畜軍曹

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