（紙切れ）


　


■Ａｌｉｃｅ　Ｐｒｏｇｒａｍ
これは、私の生涯を全てかけて作ったものだ。
生命エネルギーを使って稼動するものであり、
私の「娘」を生きながらえさせるというものだ。
そのために私は多くの人間の男と魔物を殺しまわってきた。
許しは請わない。もしこれを読んでいる者が誰かの親であるならば、
同じ立場に立たされたとき、方法は違えど私と同じようなことをするだろうと思うからだ。
たとえ形が違えども、大切な娘を守るためだ。
　
　
■Ａｌｉｃｅ
私の娘。
私と「メリス」との間に授かったたった一人の娘。
かわいい子だ。
私とメリスはアリスを溺愛した。
なんていったって、ようやく子供を授かれたのだ。
メリスが妊娠したと聞かされたときはそれはもう喜んだ。
外に出て叫びながら隣町まで走ったほどだ。
そして無事に生まれてきたときは涙した。
ようやく娘の顔を見ることができたのだから。
だから、娘と妻が死んだときには私は激怒した。
この世を憎んだ。全てを怨んだ。
　
　
■セントラルグレースの介入
こんなにも非人道的なことをしているのだから当然、教会の連中にも目を付けられた。
（といっても魔物に対して容赦無い教会も私のことを言えたものではないが。）
奴らは私を殺し、研究成果を奪おうとしたのだ。
一体何に使うのかなんて考えたくも無い。教会が考えることだ、ロクでもないものに決まっている。
大方、魔物の生命エネルギーを奪いそれを利用した兵器でも作る気だろう。
今、矛盾したことに対しては無視しろ。
とにかく、私は娘と共に逃げ回った。
家を移り渡り、時にはサバトの連中にもかくまってもらった。
　
　
■娘の状態
・・・・比較的娘の状態は安定してる。
こちらから世界を構築し必要なものを娘に渡してゆく。
・・・・・・・・娘は非常によく育った。
もう少し構築していけばドールに定着させて、私と直に会話することもできるようになるだろう。
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
（ここからいくつか跳ばされている）
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
■娘の状態
なんということだ！いつものように娘の状態を見てみたら
娘が世界を破壊してまわっているではないか！
どういった理由でこうなってしまったのか分からない。
バグか？あるいは別の原因があるのだろうか！？
ログを探った結果、娘の変化が原因だと突き止めた。
それは、「娘が魔物という種族を理解し、自身が魔物だということを知った」ことにあった。
たしかに、娘は生前・・・いや、Ａｌｉｃｅ Ｐｒｏｇｒａｍに移る前には魔物だ。
人間である私と魔物であるメリスと間に生まれた魔物の子だ。
・・・・話を戻そう。
娘が理解してしまったために、何者からの進入を許してしまったのだ。
恐らく、娘と同じ魔物だと私は推測する。
でないと、娘の世界には招かれることは無いからである。
そもそも、スタンドアローン状態なのにどうやって進入してきたのか？
私も魔物について全てを把握しているわけではない。
もしかしたらそういう稀有な能力を持っている者がいるのかもしれない。
とにかく、それ以来娘は暴走を起こし今ではソレを抑えるために
私はより多くの生命エネルギーをつぎ込まなければならなくなった。
それはつまり、より多くの人間と魔物を殺さなくてはならなくなったことを意味する。
・・・・・嗚呼、部屋の中が腐乱臭で充満してきた。
少し時間を見つけて死体処理をしなければ。