連載小説
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第一話 フサリンの日常
フサリラ視点

コソコソ コソコソ

あたしは今草むらの中から気づかれないように気配を消している。
えっ?何故かって?
決まっているじゃないか!ルーイに気づかれないようにするためだよ。
あいつ、なんていうか無防備なんだ。
このご時世だ。ああいう無防備な少年はあたし達(魔物娘)みたいな輩からして見れば極上の獲物にしか見えないだろう?だから少しでもそういう魔の手からルーイを守るためにこうして見張っているのさ。
えっ?あたしもその一人だろうって?
バ、バカヤロウ!あ、あ、あ、あたしはだな!あいつの友達として純粋に心配をしてだな!
って、こんなことを考えている場合じゃないな!ルーイが動き始めた。
こっそり追いかけなくちゃ。


ゴブリン追跡中


「レナお姉ちゃん!遊びに来たよー!」

本当にルーイは子供だよな…あと3年もすりゃ成人の仲間入りだっていうのに本当にこの先心配だぜ。

「いらっしゃ〜い。遊びに来たの〜?」
「うん!」
「嬉しいわ〜。それじゃ〜何をしましょうか〜」
「えっと…」

まあ、レナはのほほんとしてるから危険なことは無いだろう。

「押し倒しごっこ!」

OUT〜!
あたしの知らないうちにそんな遊びが行われていたのか!?これは今すぐ止めに入らなきゃ…

「それって〜誰から教わったの〜?」

ってあれ?レナが教えたわけじゃないのか?
だとしたら誰が?

「うーんとね、僕の友達が教えてくれた遊びなんだよ」
「それって〜フサリラ〜?それとも〜シェリア〜?」

うぉーい!?なんでそこであたしの名前が出るんだ!?そんなアホみたいな遊び教えるわけねえだろうが!

「どっちも違うよ。近所のマーク君のことだよ」

マーク?そんなヤツいたっけ?きっと印象が薄いヤツに違いないな。

「そうなの〜ちなみに〜そのマーク君って男の子だよね〜?」
「そうだよ」
「なんで〜そんな遊び方思いついたのかな〜?」
「えっと…夜にトイレに起きたら、パパとママがそういう遊びをベッドでしてたんだって」

OUT〜!!
なんてことだ!大人の遊びが健全な男子に目撃されて、子供の遊びに昇華するとは…っていうか両親も気づけよ。

「ふ〜んそうなんだ〜。所でそれって〜どうやったら勝ちになるの〜」
「ルールは簡単!相手を押し倒して10秒押さえ込んだら勝ちで3回勝負して先に2回勝った方の勝ちだよ」

あれ?大人の遊びを参考にした割には案外しっかりしたルールだ。
それもそうか…所詮は子供が考えた遊びだ。

「ふむふむ〜わかったわ〜それじゃ勝負しましょう〜」
「よ〜し負けないぞ〜」
「私も〜頑張っちゃう〜」

こうして見ていると平和だな…
この分ならあたしが見張りを続ける意味はなさそうだな。
なんだか突っ込み疲れたしそろそろ帰ろうかな。
でも…せっかくだしこの勝負の行方くらいは見届けてもいいかな。
おっ、ルーイから仕掛けていった。
なかなか良いタックルだけど…相手が悪いな、笑顔で受け止められてるよ。
一生懸命押してる。ふふふ…可愛いな。
あっ、レナのヤツが倒れた。ありゃわざとだな。
おっ、ルーイがガッツポーズしてる。
良い笑顔だな〜。
2回戦目…またルーイが突っ込んだ。
さっきと変わらず笑顔で受け止められてるな。
おっ、今度はルーイが倒されたな。

「ふふふふふ〜そ〜れ〜」
「ぶっ!?」

なっ!?あんにゃろあの巨乳を顔に押し付けてやがる!?

「ルーイがいけないんですよ〜可愛らしいだから〜もう〜♪」
「……!?もが!?」
「いっそのこと〜このままいただいちゃっても〜いいですよね〜♪」
「3OUT!チェンジ!」

バチコーン!!!

気が付けばあたしは突っ込み用のハリセンを手にし、レナの頭に叩き込んでいた。

「いた〜い」
「いた〜い…じゃねえ!ルーイに何してくれようとしてんだ!」
「何って〜、ルーイを大人にする手伝いを〜」
「まだ3年早いわボケーッ!」

バチコーン!!!

いつものほほんとしてるから平気だと思ったあたしが間違いだったよ。

「う〜、暴力反対〜」
「まったく…いくら魔物娘つってももう少し常識を考えろよ」
「高まる思いに常識なんて〜いらないと思うの〜」
「このまだ言うか!」
「フサリラも〜そういう事考えたこと無いの〜?」

うっ…こいつのほほんとしてる割に嫌なとこ突いてくるな。
そりゃーあたしだってそういうこと考えないわけじゃないけどさ…
やっぱ常識って大事じゃん?こんな純粋で無邪気なヤツ捕まえて、あんなことやこんなことをするのは、ちょっと抵抗があるし…

「あれ?フサリンいつの間に来たの?」

そうこうしている内にルーイがあたしの存在に気が付いたらしい。

「さっきだよ。たまたま通りかかってな」
「そうなんだ」
「それより〜ルーイ。勝負はどうするの〜?」
「もちろんやるよ!今1対1だからね!」
「なら、あたしが審判してやるよ」

また余計なことしないように見張らないとな。

「うんよろしくフサリン!」
「おう!まかせとけ」

こうやって何かを任せられるって、なんかいいよな。
あたしは二人が用意を整えたのを見計らい開始の合図を告げる。その後の遊びは気を使ったレナがわざと負けたことで決着がついた。勝ったことに喜び全力でガッツポーズをするルーイと「負けちゃった〜」とのほほんと笑顔で悔しがる素振りを見せるレナ。そして何事も無く遊びが終わったことに安堵するあたし。
遊びが終わるころには日も傾き始めており、同時にルーイの腹の虫が盛大に泣き始めていた。

「あはは…お腹空いちゃった」
「しょうがねえな…帰ったら夕食作るから食いに来るか?」
「うん!レナお姉ちゃんも食べに来る?」
「ゴチになります〜」
「じゃあ私もついでにご馳走になるわ」
「仕方ねえな、ついでに作ってやるよ」

そう言って4人であたしの店へと向かうことになった。



ん?4人?

「ルーイは夕食何がいいのかしら?」
「シチューがいい!」
「だそうよ。フサリラ」
「なんでおめえが混じってるんだよ!?」

自然とシェリアが肩を並べて歩いていたことに気が付き、突っ込みハリセンをぶん回すが優雅な動きでスルッと避けられてしまう。

「そろそろ夕食の時間だからルーイと食事をしようと探してたらあなた達がフサリラの家で食事をするというから私も一緒に食べようと思って混ざっただけですわ」
「はぁー、突っ込むのもバカらしいほど単純な理由をありがとう」
「シェリーお姉ちゃんも一緒に食べる?」
「ええ。一緒に食べましょうルーイ」
「うん!」
「まあいいか。そんじゃ帰るぞ」

こうしてあたしの一日はだいたい終わるのだった。

ん?店はいいのかって?まあ、大丈夫だよ。気になるならこの後おまけを見てみるといいぜ。じゃあ次回も見てくれよな。






“おまけ”

ゴブリン堂

“ただいま外出中、欲しい商品があれば値札の金額を払ってから持っていてください”

「ここの店主さんってほぼ毎日店に居ないけど、商売をやる気があるのかしら?」
「無いんじゃないかしら?」

ゴブリン堂は無人販売の状態が普通のようだ。ちなみに田舎ゆえに泥棒はいないようである。
14/12/08 15:54更新 / ミズチェチェ
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■作者メッセージ
ほのぼの小説第2弾。前回読まれた割には反応が皆無で、この内容で良いのか?それとも“くそつまらん”という解釈で良いのか?と大いに悩むミズチェチェです。実際の所どうなのでしょうか?ほのぼの出来てるでしょうか?是非感想が欲しい所です。とりあえず次回はシェリア(ダークプリースト)の日常を描く予定です。

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