連載小説
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教団師団第三部隊部隊長
この街、ラインは、周りは草原に囲まれており、大きな障害物がなく、大量の兵が現れたらすぐにわかる。
……のだけれども、やっぱりその分足止めなんかがしにくいから、私観点からすると結構攻めやすいのよねぇ……
それでもやっぱり戦争で一度も負けたことがないのは、この街の領主の実力が素晴らしいからだろう。
……まぁ、いつもはただのイチャラブバカップルにしか見えないんだけど。
それはともかく、私とジンは街からちょっと離れた草原で向かい合っていた。

「さて、場所は用意したから、あとは勝負の決め事しないとね。と言っても、簡単にだけど」
「ああ、いいぜ。なにを決める?」
「まずはルール……はなんでもあり。魔術もスキルも反則も、なんでも使っていいわ。これは交流試合でよく使うルールだから、文句は言わせないわよ」
「……後悔するなよ?俺はあれから死ぬ気で頑張ってんだ。なめてかかると痛い目合うぜ」
「そっちこそ私をなめないで頂戴。私だってずっと鍛錬してるし、なによりあの頃のままでもあなたを負かすのなんて簡単よ」

ルールの決定で既に火花を散らしあってる私達は、なおも話を続ける。

「あとは……勝敗条件ね」
「勝敗条件?そんなのどっちかが倒れるまででいいんじゃねーか?」
「ダメよ。それだと時間がかかる。……そうね、お互いに敗北条件を出しましょう」
「……そうだな。そしたら俺の敗北条件は……致命傷となりうる一撃を出すこと、にする。まぁ、簡単に言や俺が降参する様な一撃を放つってことだな」
「なら私は……私の実力の四割を出させること、にするわ」
「…………なめてるのか?」

私に言葉を訊いて、ジンはいきなり殺気を私に向かって放ってきた。
どうやら、怒ったらしい。
反射的に私は殺気を放って、ジンの殺気を押し返す。

「四割、だと?……俺はあんたよりも強いと思っちゃいない。だが、四割……なめてるとしか思えねぇ。ふざけるな」
「……はぁ、なにを言い出すと思えば……」

私はジンの言葉に嘆息し、放っていた殺気を霧散させてなくし、そしてまっすぐとジンを見て、言う。

「“自惚れんじゃないわよ”」
「っ!!」
「……ああ、よかった。流石にコレの意味がわからないほど愚かになったわけじゃないのね。意味がわからなかったら恥ずかしくてもうあなたを人前に出せなくなるところだったわ」
「…………まぁ、俺は別にあんたと一緒にいれるなら人前にでなくていいんだけどな」
「嫌よ。教え子は飽くまで教え子だもの」
「ちぇっ、フられちまったな」
「そんなことより、敗北条件はこれでいいわね?」
「……わかったよ。それでいく」

若干面倒なやりとりがあったけど、とりあえず勝負の準備が整った。
私とジンは、戦闘体勢にはいる。
互いに一撃と防御、両方を出しやすい形を取りながら、距離を保つようにして移動する。

「……まぁ、先攻はあなたに譲るわ。いつでも来なさい」
「……あんたはいつもそうだよな。まぁいいや。じゃあ……行くぜっ!!」

そう言って、ジンは私に真っ向から突進して、そして、視界から消える。
まぁ、真正面から突っ込んでくるのは愚の骨頂よね。と冷静にそう思いながら私はジンが奇襲を仕掛けてくる方向に裏拳を放つ。
その方向は……

「右斜め後ろ!!」
「っ!!」

適格に攻撃する場所を察知され、ジンは放った拳を弾かれ、さらに上回られた威力のせいで後方に大きく飛んだ。
……まぁ、こんなもんかな?

「うん、奇襲は70点。相手の真正面から攻めようと見せてから縮地で回り込む作戦は上手いわね。攻撃の位置も死角かつ回り込んで消費する時間を最小限に抑えた斜め後ろっていうのもポイントね」
「……ったく、余裕だね、人の採点してるなんて……」
「事実、余裕だからね。まだ一割だし」
「……ありゃ一割って威力じゃない気がするんだが?」
「まぁ、力はこれ以上入れないから安心して頂戴」
「それは、これ以上実力は出さないってことか?」
「違うわよ。そこまで馬鹿になってないと思ってるんだから、訊かないで頂戴」
「まぁ、だいたいあん時と同じだろうから、分かってるけど……よっ!!」

そう言いながら、ジンはまた私との間合いを急速に詰める。
スキルと同じ氣を使った移動法、縮地。
それを使ってジンは私の後ろに回り込んで奇襲を仕掛けてきた。
今度もそれを使って間合いを詰め、そして自分だけが攻撃できる距離を保ちながら一方的に攻撃してくる。
うーん、体格の差をついてきたかぁ。さすがの優秀だなぁ。
私の体は普通の大人の人間よりも背が低く、またそれに比例して腕、足も短いため、リーチが短い。
ジンはそこをついて一方的に攻撃してきているのだ。
うーん、これは、まぁ仕方が無いか。
攻撃を防いだり受け流したりしながらそう思い、私は次の攻撃を防御する代わりに回避して手刀を構え、そして氣を練った。

「いくわよ……“シングルショット”!!」
「ちっ!!」
「そこっ!」
「ぐぁっ!?」

宣言しながら、私は射程距離拡張に秀でた貫通属性の放出型低級スキル“シングルショット”を斜め上に向かって放つ。
が、私のスキルの予備動作を察知してジンは横に体をズラして私の攻撃を避けた。
氣で形作られた小さな刺突が空を切るが、少し無理に動いたせいでジンに隙ができたため、私はそのジンの脇腹を蹴って吹き飛ばした。
吹き飛ばされたジンが脇を抑えながら着地するのを確認したあとで、私は話しかける。

「うん、とりあえず二割ね。おめでとう。短時間で残り二割になったわよ」
「……やっぱり、そういうことかよ」
「うん、そういうこと。昔も今も手加減の段階は一緒よ」

そう言いながらも、私は走ってジンの元へ向かい、追撃を放つ。

「ほらほら、追撃いくよ!!“ソニックパンチ”!“パワースラッシュ”!」
「クソッ、“疾風斬”!」

走りながら、攻撃速度に秀でた打撃属性の放出型低級スキル“ソニックパンチ”と、威力強化に秀でた斬撃属性の放出型低級スキル“パワースラッシュ”を放つと、ジンは斬撃属性の広範囲攻撃型低級スキル“疾風斬”を放って攻撃を弾き、同時に放たれた氣の斬撃で攻撃してきた。
うーん、攻撃受けたくないし……

「うん、“電光石火”」
「“ギガンフィスト”!!」

私は打撃属性の高速移動型低級スキル“電光石火”を使って斬撃を避け、ジンに体当たりをする。
しかしジンはそうするのがわかっていたのか、突っ込んできた私を、打撃属性の強化型中級スキル“ギガンフィスト”で叩いて弾き飛ばした。
氣で強化された重い一撃が私の左肩に当たり、衝撃が体を走る。

「痛てて……油断したなぁ。まさか中級スキル使うとは……低級の“キルラッシュ”使うと思ったんだけど……」
「……あれで痛いで済むのかよ……まぁ、あんたがまだ二割しか使ってないってんなら、低級スキルしか使わないとわかってたからな。きちんと迎撃させてもらったぜ。……と言っても、肩を狙わず真っ向から技をぶつけ合ったら押し負けてたけどな」

そう、私は二割の実力を発揮している時は、低級のスキルと普通の体術しか使わない。
私の実力、一割から五割は、力ではなく、技の手加減を示している。
力自体は一割の時から一定で、あとは技による氣の威力補正でのみ威力が変動しているのだ。
一割なら、スキルなしの体術のみ。
二割なら、低級スキルまで。
三割で、中級スキル。
四割だと、上級スキル。
そして五割は私の編み出したオリジナルの、最上級スキル。
そうやって段階をわけて私は戦っている。
そして六割以降は……まぁ、そこからが本当の意味での本気、かしらね?
しかし、このまま二割のままだと押し切られそうね……
まだジンも本命の技を出してないわけだし……
しかたがない。早く終わらせるためにギリギリの三割、いっちゃおうか。

「そしたら、三割、いくわよ?こっからは本気出さないと、簡単に負けちゃうからね?」

そう言ってから、私はジンの元にまた駆け寄り、スキルを放つ。

「“デッドエンド”!!」
「っ、“炎纏”!“デッドエンド”!」

私の放った斬撃属性強化型中級スキル“デッドエンド”を、ジンは腰に収めてた剣を抜いて炎系魔術で強化した状態で同じスキルを放ち、相殺した。

「さて、織り交ぜてきたわね。得意の炎系魔術」
「ったく、俺は上級スキルまでは使えねぇんだからそうするしかねーだろ!けど、あんたもこれ以上の実力は出せない。だから、勝たせてもらうぜ」
「私も負ける気はないわよ?まぁ、まだ攻めようはいくらでもあるしね」
「させねーよ!“マハラギダイン”!“デッドエンド・炎”!」

私が攻撃を仕掛けようとすると、先んじてジンが上級炎属性魔術“マハラギダイン”を放ち、私の周囲に大きな火柱を立てて囲んでから、炎と氣を纏った斬撃を一直線に叩き込んでくる。

「っ!“利剣乱舞”!」

咄嗟に私は斬撃属性特殊放出型中級スキル“利剣乱舞”を放ち、受け止める。
体全体に纏わせた氣を、私の任意の場所で斬撃として放つ。それがこの技だ。
本来ならそれによって自分の周囲を守るように斬撃を放つのだが、今回は五つ、六つ程の斬撃をジンの攻撃を止めるために一箇所に集中して放った。
ガガガガガガ!と、剣撃と斬撃がぶつかり合う音が響く。

「このまま……防ぎ、切るっ!」
「っ!」

……とりあえずは、なんとか攻撃を弾くことに成功した。
……ふぅ、よかった、利剣乱舞で防げて……

「ふぅ……危ない危ない。やっぱり威力高いわねぇ、あなたの魔術混合スキル。危うく押し切られちゃうところだったわ」
「……そのまま、押し切るつもりだったんだけどな……」

息を荒げながらそう言うジンを見て、彼の体力の消耗を察する。
まぁ、あんなにスキルを連発して倒れないんだから、かなり頑張ってる方よね。
仕方が無い。もうちょっと遊んでたかったんだけど……

「……そろそろ、終わりにしましょうか」
「……ああ、次の一撃で……終わらせる」
「……なら、次の一撃、私が防ぎ切れなかったら、あなたの勝ちでいいわ。その代わり……全力で来なさいよ?」
「元から、そのつもりだ……!!」

そして、互いに最後の技を繰り出すために、氣を……ジンの場合は、魔力も同時に……練り始める。
私の周りには氣によって作られた力が圧力となって空気の流れを乱しながら漂い、ジンの周りには氣と魔力が交わり合わさった力が強烈な炎となって漂う。
うわぁ……これは強力ねぇ……
流石は“炎帝”と呼ばれるだけあるわね……
炎帝。
炎属性魔術を極め、かつ武術……スキルも修得したジンの通り名だ。
魔術師なら大半の者が知っているとおり、魔術は一つの属性を極め過ぎてしまうと他の属性の魔術を使うことができない。
ジンは炎属性魔術を極め過ぎてしまったために他の魔術が使用できず、ほとんど応用の効かない爆弾状態だった。
そこを、当時教官だった私がスキルを教えて育てたわけだけれども……
まさか、こんなに強くなるなんてね……
元教え子の成長を嬉しく思いながらも、私は気を緩めずに集中して使うスキルを考える。
恐らくあれだけの量の氣と魔力を使った技を放てば、上級スキルの威力が出てくる。
魔物でさえ上級スキル、及び魔術を使える者は少ないのだ。
人間の中では彼はかなり優秀な部類だろう。
というか、自画自賛するようだけど、私の教え子だしね。
だから、単発の中級スキルじゃ防ぎきれない。
かと言って、負けるわけにはいかないから、上級スキルを使うわけにもいかない。
ならば、やはりここは中級スキルを連続して放つのがいいだろう。
幸い、斬撃の中級スキルの最大火力を持ってすれば、結構量の威力は削げるはずだ。
あとは、なにを連携してだすか、だけど……
貫通だと勢い余って体に当てちゃいそうで怖いから……
よし、決めた。
技を決めた私は、いつでも放てるように、両腕両足に、漂っていた氣を集中させる。
ジンの攻撃準備も終わったようで、炎氣が全て剣に集まり、炎帝の名に相応しい煌々とした輝きを放っていた。

「……互いに、準備が終わったようね」
「……ああ、いつでも行ける」
「「………………」」

言葉短く私たちは会話を終え、ジンは攻撃のタイミングを図り、私は返しをするために集中する。
残ったのは沈黙と緊張。
私たちは、互いに睨み合ったまま、動かない。
しかし、その無動の時は、長く続かなかった。

「……っ!!“煌炎刃”!」
「“デスバウンド”!!」

今を期と見たジンが強力な炎氣を纏った剣を走りながら振り下ろす。
対する私も、手を地面につき、足を回転させ、斬撃属性広範囲放出型中級スキル“デスバウンド”を放つ。
練度の高く鋭い刃状の氣が、私を中心に扇状に放出されていく。
斬撃中級スキルの中で最も威力の高い技だ。上手くいけばこれで防げる。
……が、そうことは上手くいかないだろう。さっきの予想通り、きっとかなりの威力を削って……それで終わりだ。
だから私はそこで終わらず、すぐさま振った足を、無理に勢いを殺さずに着地させ、そのまま腕に溜めていた氣を球状にまとめ、両手で抑え込むようにし、そして地面に叩きつけた。

「連携!“烈風波”!!」

デスバウンドで放った氣を追うように、今度は密度の高い氣がジンを叩き潰そうと放出される。
これで……いけっ!!
心の中でそう叫びながらしかし、私は冷静にそれでダメだった時にさらに攻撃を繰り出すために氣をまた練りながら、放った技の様子を見る。
第一波デスバウンド……
効果範囲が狭いが威力の高いその技は、私の狙い通りにジンの技にぶつかって火花を散らしながら威力を殺していく。
が、やはり威力に差があるため、デスバウンドは破られ、ジンの攻撃を止められない。
私の技を潰すために一度剣を振り切ったジンは、今度は下から切り上げるようにまたこちらに走ってくる。
でもそれは予想通り。
ジンの走りを止めるように、時間差で私が後にはなった第二波……打撃属性広範囲放出型中級スキル“烈風波”がジンを襲う。
私の見たてでは、もうジンの煌炎刃は半分以上威力を削られている。
対して私の放った烈風波は、デスバウンドと同じ……打撃属性中級スキルで最高威力を誇る技だ。
絶対、破る!
いつでも動けるように構えながらも、私は心の中でそう思う。
圧と炎がぶつかり合い、互いの威力をジリジリと削っていく。
だんだんと炎が輝きを失い、ただの剣に戻っていく。
……よし!いける!
そう思った瞬間だった。

「ここで……負けられるかよおぉぉぉぉぉ!!」
「なっ!?」

ほんの一瞬だけ、炎が煌き、ジンが振り上げると同時に、烈風波も破ったのだ。
しかも、まだジンの勢いは止まらず、剣を振り下ろそうと走ってくる。
しかし……
もう、煌炎刃は破れてる!
ただの刀だけなら、スキルで……

「させねぇよっ!!」
「っ!?」

そう思って腕を構えた途端、ジンがふっと私の目の前にいきなり移動してきた。
っ、まだ縮地を使うだけの体力が残ってたの!?
驚きながらも、私は構えていたために、すぐに回避行動に移る。
縮地による奇襲は回避したが、なおもジンの攻撃は止まらない。
予想できなかったなぁ、まさか二つとも破って、さらに縮地まで使うなんて。
はぁ、まったく……
これだから、戦いは面白い。
回避行動を続けながらも、私はジンの隙を狙い、溜めていた氣を放つ。
ジンも、私がスキルを放つために止まったため、狙いを定めて剣を振り下ろす。

「これで……終わりだ!」
「“マッドアサル……”」
「はい、そこまで〜」

……互いに攻撃を放とうとしたところで、第三者が“攻撃している私たちの手首を掴んで”止めた。

「……なんで止めたのかしら……ライカ?」
「あのねぇ、君たち馬鹿でしょ?熱くなり過ぎ」

私は余計なことをして、と、私たちを止めた第三者……ラインの領主であり、私の友人である、ライカ・鶴城・テベルナイトを睨みつける。
突如現れたことへの驚きとかそういうものはまったくない。この男はそういうやつなのだ。
私が睨むと、ライカは呆れたような顔をしてから私たちの手を離し、そして指摘する。

「あのさ、君たち互いにどこを狙っていたのかわかってる?特にデューナ」
「「え?」」

言われて始めて私は自分の腕がどこを狙っていたいたのかを確認し、そしてゾッとした。
腕が狙っていたのは、ジンの……首もとだった。

「うん、気がついたようだね。一つ確認しよっか。君たちがやってたのは殺しあいじゃなくて、勝負だったよね?」
「「……」」
「ん。わかったようでよろしい。……今回の勝負は、互いに殺し合いになりかけたため勝負放棄、よって引き分け。それでいいね?」
「……いや、俺の負けだ」

ライカの判定に、ジンは異を唱える。

「煌炎刃が破れた時点で本来俺の攻撃は終わってたんだ。だから、俺の負けだ」
「……そうかい。君がいいなら、それでいいよ」
「すまねぇな領主様。問題起こさないって約束だったのに」
「いや、同意の上だから問題ではないよ」
「そっか。でも、すまねぇな……そしたら、敗者は去るとしますかいね……」
「ジン……」
「ああ、最後にもう一度忠告だ。第四部隊はどんなに汚ない手でも平気で使う。気をつけろよ」
「なら、私からも忠告よ。死にたくなければ、弟には手を出さないことね」
「弟……ああ、あいつか。……あいつらは、無視して狙いそうだから、あえて言わねーことにしとく」

そう言って、ジンはその場を去った。
残ったのは、私とライカだけ。

「ねぇライカ、第四部隊は……来るの?」
「うん。確定してる」
「そう。この先どうなるかは……」
「知らないし、知っても教えない」
「……でしょうね……」
「さて、僕らも戻ろう。そろそろ午後の部の時間じゃないかな?」
「……そうね。行きましょうか」

そうして、私とライカも街に戻るのだった。


××××××××××××××××××××××××××××××


洞窟のように暗い空間の中に、20人ほどの人間が、何かをしていた。
明かりがないせいか空気は陰気で、通常人が居たいとは思えないところだ。
しかし、そんな場所に一人、新たにその場所に入ってくる人間がいた。

「隊長、第三部隊長につけていた通信蟲からの連絡が途絶えました」

入ってきた人間の報告に、隊長と呼ばれた人間が作業をやめて振り返る。

「ふむ、通信蟲が壊されましたか。存在がバレたか、はたまた戦闘に巻き込まれたか……」
「どうやら、後者のようです。しかも、戦ったのが、あのデューナ・ダランで……」

報告に、隊長の口元に笑みが浮かぶ。

「ほう……戦闘データは取れてますよね?」
「壊される直前以降のものは取れていませんが、それ以前ならば全て」
「よろしい、十分です。すぐに分析に向かいましょう」
「それと、もう一つ報告が……」
「……?」

そうして、徐々に悪夢が忍び寄っていくのだった。
11/10/20 11:50更新 / 星村 空理
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■作者メッセージ
いかがだったでしょうか?
楽しんでいただけたら幸いです。
今回はやっとバトル回!
皆様満足してくださったでしょうか?
めんどくさい説明だったり、くどかったり、スキルがよくわからなかったりしたら申し訳ありません。
ええと、残りの戦闘は予定ではあと一回となっておりますが……
正直、戦いと言っていいのか疑問なんですよね……
微?グロ入りますし……
それでも付き合っていただけたら幸いです。
さて、次回は姉弟時間(午後)!
楽しみにしていただけると嬉しいです。
では、今回はここで。
星村でした。

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