連載小説
[TOP][目次]
とある死者の国の日常
「え、え!? 本当に?」
モーリーは自分の目が信じられなかった。
「ふ、うふふふふ。苦節、ピー(自主規制)年。いくら頑張っても徒労に終わっていた苦労が、ついに報われた!!」
モーリーは自らの体をプニプニと触る。
「ふ、ふはははは。やったーーーーーーーーー!!」
城内に高らかに響き渡った彼女の感激の声に、城にいた一堂はビクッと身を震わせてしまったのだった。

モーリーが復活して、城内の者たちも、彼女の夫のおかげによって………、それこそ血の全てが真っ白になって股間の噴射口から出尽くしてしまうような、出尽くした後にも繰り返し繰り返し補充されてはまた絞り尽くされるようなーーー。
血が枯れつックスほどの努力によって城内で眠っていた全ての魔物娘たちが復活していた。
その後の生活も対して変わらないのは、当然のお約束ではあるが………。

彼女たちが撒き散らし続ける魔力によって、すでに常夜の国と化したこの国。
中央にある古城の天辺。城主の間で今日も新参者のゾンビに精を注ぎ込んでいる夫に、モーリーは尋ねた。
彼女の胸元はすでに肌蹴られて、シャンデリアの暖かな光を受けて自慢げにしていた。
「ねぇ。あなた、何か気づかない?」
「あ”っ♡ っ、ぁ”、ぁぁ”ぁああ”あ”あーーーっ♡ あ”ーーっ♡♡♡」
ゾンビの上げるケダモノよりも欲望に満ちた荒々しい雄叫びが広間には響いていた。
彼らのいる上段には、いくつもいくつもアンデット系の魔物娘たちの羨ましそうな視線が向けられていた。

今にも飛び出さんばかりに目を爛々と輝かせている彼女たちを、デュラハンやスケルトン、リッチ、ファントム、ジパング風の鎧を身につけた女武者のアンデッド、満腹になって素直に言うことを聞いているドラゴンのアンデッドといった、上位だったり、戦闘や魔術に優れたりしているアンデッドたちが押しとどめていた。
押しとどめられている方のアンデッドたちは、脳も腐ってほとんど理性のない者や、物理的な障壁を抜けてヌケガケできる者もいたが、彼女たちの必死の努力ともう一つの理由によって、何とか衝動を押しとどめていた。

彼女たちの視線の先には、ウィル・オ・ウィスプの檻の中に囚われて、死後硬直なんて何だったのかというまでにグニャングニャンのドッチャドッチャになったキョンシーと、高貴さなどもはや見る影もなくなってヌッチャヌッチャのニッチャニッチャになったヴァンパイアが仲良くアヘ顔ピースを晒していた。
「順番を守らなかったらこうなりますよー♪」
ウィル・オ・ウィスプが目の下のクマを感じさせないくらいのイイ笑顔で言っている。
この方に逆らってはイケナイ……。理性は無くとも、いや、理性がないからこそ……、彼女たちは強くそう感じていた。
何より、夫になってくれる者の精を受ける前に、魔物娘の手によって蕩かされてしまうワケにはいかない。
むしろ、そっちの方に興味がある者たちもヨダレを飲み込んで、ーーー待っていた。自分たちの順番が来るのを。
彼女たちは普通の人ならば悍ましさしか感じられないほどに体を欠損させているアンデッド魔物娘たち。
特殊な嗜好をもった城主が、そういった彼女たちを求めているという噂を聞きつけて、連日そんなアンデッド系の魔物娘たちで城内はごった返しているのだった。

「相変わらず多いな……。これだと私たちの取り分が少なくなってしまわないか心配だよ(いい声)」
彼女たちの順番を記した羊皮紙を持って、列の整理を受け持っていたファントムがボヤいた。
「私は彼女たちの順番などでは無く、我が夫との愛と欲望に、血ィ塗られ〜た、エロコメディを書きたいのだが?(いい声)」
「グルルゥ……っ!(それがコメディになるのかよっ!!)」
「私も我が主人の寵愛を望む身、領地と領民が増えてお館様の力が増えるのは良いのですが、我が使命であるお館様のやや子を孕むことが出来なくなるのは大問題でございます」
いつの時代かは分からないが、いつの間にか城内に忍び込み、いつの間にか息絶えていたのが発見されて、先日仲良く復活したばかりのドラゴンと女武者が話している。二人はそこで何をしていて、どうして息絶えたか尋ねても決して答えてはくれない。しかし、彼女たちが折り重なるように息絶えていたのは、酒蔵であり彼女たちの周りには致死量を超えるであろう数の酒瓶が全て開けられていたのを見れば何が起こったのかは推察できそうだ……。

スケルトンが隊長であるデュラハンに話しかけている。
「……隊長、私、落し物をしたんですけどォ、見てません?」
「この場で言うことじゃないだろう……。何だ?」
「えっトォ、〜〜、なんですけど?」
「ハァ!? なんでそんなもの落として気がつかないんだ? いつからだ?」
「確か、『ドキッ、女だらけ(男一人)の大乱交、ポトリとグチャリもあるよ♡』だったと思いますゥ」
「あー、アレか……。私も危うく体を取り違えそうになった……。というか、私の体をふん縛って隠していたのはオマエラじゃないか!?」
「「「サーセン、無礼こーって聞いたんで〜〜」」」
スケルトンたちの返事にデュラハンが叫ぶ。

「お前らそこに並べ! その煩い喉を切り落としてくれる!」
「隊長にヤられるのあんま気持ち良くないんで、自分で外してもいいッスか〜。あふぅ♡」
「お前らァァァ、私の許可を得る前に自分で首をはずすんじゃない!」
「隊長も〜、取り替えっこしましょうよ〜」
「おい、ヤメっ!! ………やだぁ……。……。うゥンっ♡」
「隊長、ユーを見てたら、ミー、ムラムラして来ました」
「ウチも」「私も」
「ちょっ、お前ら、らめっ!、ダメェ……。ヤァァァァぁんんっ♡」
デュラハンの嬌声が骨の沼に飲み込まれていった。

順番待ちの魔物娘たちよりも統制の取れていない城側の魔物娘たちにリッチの激が飛ぶ。
「君たち! ちゃんと仕事、しよ?」
「「「ハイっす」」」
リッチの瞳から発せられる、言うこと聞かないとお前ら物言わぬ骨に戻す、というお願いにスケルトンたちはいい返事をして従う。
骨の海が引くと、弄ばれた後のデュラハンが現れた。
「うっ、うっ、う……。もうお嫁にイケナイ……」
「あんた、もう結婚してる、じゃん」
「ああ、そうでした」
リッチの声に二ヘラと顔を崩すデュラハン。

「………カッチーン。デュラハン、OUT〜」
リッチが表情を変えずに宣言すると、どこからともなくゴーストの部隊が現れて、デュラハンをウィル・オ・ウィスプの檻の中に放り込む。
「ちょ、ダメ、ごめんなさい。それだけは、みんなの前で、ダメェ、……………ビャあああァァァァァァ!! ♡♡♡」
目の下のクマはそのままに、ドンドンと肌テカテカ、ツヤツヤして来ているウィル・オ・ウィスプ。
その光景を見てますます従順になる、飢えているはずの死したケダモノたち。


そんな騒がしい下段の様子をよそに、空っぽだったゾンビの頭蓋骨を盃に見立てて精で満たして一息をついた城主はモーリーに顔を向ける。
このゾンビにあった口蓋裂から、彼女の口の中に彼の精液が垂れている。このまま交わり続ければそれも閉じるだろう。

「な♡に♡か♡気♡が♡つ♡き♡ま♡せ♡ん♡か♡」
酔ってしまいそうなくらいの量のハートを一音一音に含ませながら、モーリーは上機嫌で彼に尋ねる。

モーリーの様子に彼は一瞬で理解した。

これは、ハズしては、決・し(死)・て、イケナイヤツだ……。

今までピンク色に染まっていたはずの彼の脳ミソの中で甲高い警報が鳴り響き、彼の記憶をシェイクして、閃きを引き摺り出そうとする。
でっきるっかな?、でっきるっかな?
頭の中でゴーストたちのコーラスに合わせて、グールの幼女がブレイクダンスをしている。
そんなに回ったら、そのうちハラワタが飛び出すぞ……。
突如放り込まれたキリングフィールドに彼の脳味噌はグールグールと混乱している。

そして、閃いた!
「もしかして、子供ができた、とか?」
彼の言葉にモーリーの青白く美しい美貌がボッと真っ赤に燃え上がった。
「ここここ、こ、子供ぉ!? いいいいい、ややや、いや、違いますよ!? あ、いえ、決して貴方との子供が嫌なわけで無くてですね、むしろ、ゼヒ! 是非とも、私のおまんこに宿して欲しいワケですけどね。アレ、おまんこじゃなくてもっと、奥ゥ♡ ……ってェ、私、こんな、ナニを言っているのか、カカか」

(計算通り……!)
彼は心の中でほくそ笑んだ。
モーリーが何に気づいて欲しかったのかは分からなかったが、こう言っておけば間違えたところで彼女の機嫌を損ねることはまず無い、ハズだ。
それに、彼女が混乱している間に考える時間を得ることができる。………彼は自分のヒラメキに酔っていた。
伊達に彼の濃厚な精液で急速に再生して来ているこのゾンビの脳ミソにチンポを突っ込んだままにしているわけでは無い。
彼は得意になってゾンビの頭の中でピクピクと己の肉棒を震わせた。
それが、どうゾンビに作用したのか分からないが、ケモノ以下の声しかあげていなかったゾンビが急に理知的に指摘し始めた……。

「イけませんね、城主様。いくらモーリー様の変化に気が付かなかったからと言って、子供を出しに使うとは、いただけません………いただけませんよ。よくご覧になってください。モーリー様も貴方様が気が付きやすいように、そうやって胸元をはだけていらっしゃるのではありませんか。それに気がついて差し上げられないとは、なんという事でしょうか……。よくご覧になってください」
淡々と語るゾンビの声を聞きながら、徐々に冷え込んで行く隣の女王様の空気に、彼は生きた心地がしなかった。
確かに、ここで生きていると言えるのは彼だけで……周りはみんな死者ばっかりではあったのだが……。

「ねぇ、貴方? こちらを向いて、よォ〜く私を見てくださらないでしょうか?」
彼女の底冷えのする声が、彼の耳だけではなく全身を寒からしめた。魂まで凍えさせられるくらいだ……。
「ひゃっ、ひゃい!! よく見させていただきますです、女王様」
「何を言っているのでしょうか? 私は女王などではなく、ただの貴方の妻ですよ?」
ということは、女王としての矜持も何もなく、俺が間違えれば、容赦なく………ブルリ、という事だろうか……。
「さぁ、答えてください、あ・な・た♡」
ニッコリという凄絶に美しい微笑みは、カンペキに肉食獣のソレだ。
彼女の嫋やかで艶かしい細指で彼は顎を上に向けられてしまう。

アゴクイ、だ!!
イケ・メンポを被った漢(性別は問わない)にのみ許されたヒサツワザだ。
古くは乙女ゲームの攻略本にも記されている(テキトウ)。
ただし、心は漢でもイケ・メンポを被っていなければギャク効果だ!

彼女の冷え切った瞳を見つめて、
彼は引き攣った笑みを浮かべながら……、精一杯の答えを真摯に口にする。

「………………、か、髪切った?(ニ、ニコッ)」
ーーープツっという音が聞こえた気がした。

ズギュウウウウン♡
彼は一瞬で干からびそうになるくらいの精を持っていかれた。
呻き声をあげる彼の下からは呆れたようなゾンビの声がかかる。
「全く、よくご覧になってください。モーリー様の御オッパイが先日よりも3mmほど大きくなっているでは無いですか」
肌がカピカピしてきている彼ではあったが、彼女の言葉に大声で応える。
「そんなん、解るかぁ!? アレはペッタンコのままだろうが。ペッタンコが3mm 増えたっていうのは、まな板が水吸ってふやけたくらいの変化だろうが!? というか、お前よく気がついたね!?」
ドカドカと死者の国の城主の間に、自分用の墓穴を掘り進めていることに気がつかずに、彼はまくし立てる。
モーリーの様子は………(自主規制)。
下段ではファントムが興奮しながら叫んでいる。
「さすが我が夫! 自分の墓を誰よりも大きく掘るとは、………スっごく、大きいです♡ ポッ(CV.中田譲治)」

彼の言葉にゾンビは相変わらず淡々と答える。
「ええ、先日、城主様が私の下賤なオッパイに夢中になっている際に、モーリー様が御自身の高貴なる御オッパイ様を寂しそうに触っていらっしゃたので、私の空っぽの脳味噌でも覚えていることが出来たのです」
「なんで、そんなにあいつのペッタンコをそんなに持ち上げるんだ!? すでに、あいつよりも偉くなってないか!? 言葉じゃなくて物理的にバストあっぷしてやれよ!!」
「申し訳ありません。無理です!(キッパリ)」
「無理かぁ、やっぱりw」
「はい(ニッコリ)」
あっはっはと二人は笑う。


ズガンッ!!

たわわな下賤オッパイを、バルルルルン♡、と弾ませながらゾンビは綺麗な放物線を描いて……、上半身だけで飛んで行った。はみ出した腸がブラブラと、尾を引いて彼女についていった。
自分たちの頭上を弾みながら飛んでいく下賤オッパイを、思わず、羨ましがったアンデッドたちは拝んでいた。
天の声(テッテレ〜、下賤オッパイが神聖オッパイ様まで格上げされた)
ゾンビの肉片と血が撒き散らされて自分たちに降ってくるのをまるで恵みの雨のように受けながら、ゾンビ、のオッパイを崇めるアンデッドたちの上段ではーーー。

彼がモーリーにのしかかられて、必死で謝っていた。
「ごめん、ごめんごめん。つい」
「え? つい、ついで、貴方はいつも自分の首を絞めるのですね。そんなに私の折檻をお望みなのでしょうか?」
モーリーの冷たくすわった目に見つめられて彼はすでに縮み上がっている。以前の例の薬を飲まされて、ブツはギンギンに復活させられていたが……。
「あなたも懲りない人ですね、以前、あれだけ、胸に貴賤はないと、チッパイの良さを刻み込んであげたというのに……」
彼はそれを思い出してーーーガタガタと歯を打ち鳴らして恐怖する。
「覚悟してくださいっ!!」

彼に襲いかかるモーリー、それを見ていた部下たちから不満の声が上がる。
「モーリー様!? 先日もソレをやったじゃないですか! 順番待ちのアンデッドたちはまだまだ沢山いるんですよ!?」
「ダメっ! 彼が、チッパイの良さを理解するまで、私は、腰を振るのを、ヤメ、ないっ♡」
それではむしろ恐怖しか刻みこまれないのではないだろうか、ということを思って、きょぬーの部下たちは内心ほくそ笑んでいた。
また、隠れて自身の御オッパイ様で慰めてやろうと企む。


「なんたる愉悦か! これぞ私の求めていた愛と欲望に血ィ濡られ〜たエロコメディでは無いか。さすが我が夫、我が最愛のクリス(錯乱)だ! ハッハッハ、捗るではないか(CV.中田譲治)」
アンデッドたちの順番を記していた羊皮紙に、狂ったように何かを書きなぐっていく巨乳のファントム。

「あらあら〜」
羨ましそうにその光景をキラキラした瞳で見ている爆乳のウィル・オ・ウィスプ。

彼の絶頂の絶叫が響く城内のいつもの光景に、順番待ちのアンデッドたちの呻き声が上がっていた。
「ォ、ぉ”ぉおオ”おお”ォォオ”オ”〜〜〜”!?(ねぇ、私の順番まだ〜!?)」



「ところで、お前の落し物の在り処を私は知っているぞ(黒幕ヴォイス)」
「え〜、ファントムさん、何処っすか〜?」
尋ねてくるスケルトンに向かって言ってから、ファントムがモーリーの方に目線を向ける。
「モーリーさま? 私が落としたのは自分の肋骨デスよ〜? モーリーさまが持ってるとでも言うんですか?」
コクリと頷いたファントムは、そのまま口を開く。
「キミが肋骨を無くしたのは何時だい?(黒幕ボイス)」
「昨日の『ドキッ、女だらけ(男一人)の大乱交、ポトリとグチャリもあるよ♡』っすね」
「その時、モーリー様はどんなプレイをしていたか覚えているかい?」
「確か、自分の胸を開いて、開いたら中身はみんな変わらないんだゾ☆スプラッタックス、っすね」
「………その通りだ(愉悦に満ちた声)」
ファントムが浮かべた薄ら笑いにスケルトンはハッとモーリーの方をもう一度見た。
彼女が胸が大きくなったと言って嬉しがっているのはーーー今日からだ。

「なん、………だ、と!?」(ドドドドドドドド)
「ハッハッハ、ハッハッハ、ハーハッハッハ(愉悦)」

城主の間にはひしめき合うアンデッドたちのそれぞれの思惑と、愉悦と嬌声が満ち満ちていた。
ここにいるのは彼を除いて全てが死んでいる。
しかし、生者の宴よりも騒々しいくらいである。

今日も今日とて死者の国では淫らで凄惨な、生者を嘲笑うかのような宴が開かれる。
無残に打ち捨てられた屍体は、這ってでもその国へ向かう。
自らの空っぽの心も、肢体も満たしてくれる彼を求めて・・・。
16/11/06 20:35更新 / ルピナス
戻る 次へ

■作者メッセージ
衝動に任せて書いた。後悔はしていない。
思いついたら、書く、かも。

一先ず完結にはしておきます。

TOP | 感想 | RSS | メール登録

まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.33