連載小説
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告白
「……」
 ルークはどうしたものかと困っていた。本日は昼上がりの日であり、ミーネの家で昼を食べる予定になっている。だからこそ、どんな顔をして会えばいいのか必死に頭を悩ませてここまで来たというのに、肝心のミーネはいつかの如く、ソファでお休み中だった。
 あの日は涎をたらしながら眠っていたが、今日はどういうわけか、手にシイタケらしきものを握ったまま眠りこけていた。
 そんな狐を前にして、ルークは盛大にため息をつくほかなかった。
「なんで俺はこんな小娘相手に頭を悩ませてるんだろうな……」
 ミーネの今の姿を見ていると、真剣に悩んでいる自分が馬鹿らしくなってくる。
 もう今日はこのまま帰ってもいいんじゃないかと頭が考え始めたころだ。不意に、ミーネが身じろぎをした。
「っ……」
 起きたのかと思ったが、どうやら寝返りを打っただけらしい。そのまま身体の向きを変えると、再び規則正しい寝息が聞こえてくる。
「んだよ、おどかすな」
 舌打ち混じりにルークが言いかけたところで、ミーネが被せるように呟いた。
「もぉ……ルークったら、エッチなんだからー……」
「おい」
 思わず寝言に突っ込んでいた。さすがに聞かなかったことにできる発言ではない。
 しかし、むにゃむにゃと唇を波打たせただけで、相変わらずミーネが起きる気配はなかった。
「この野郎……。本当にそういうことすんぞ」
 ミーネの夢の中のルークがどんなことをしているのか知らないが、そちらが勝手に人をスケベみたいに言うのなら、本当にそういうことをしてやろうかと思ってしまう。
 ちょっとした復讐心から、ルークはミーネの顔から身体へと目を移す。そして、それが失敗だった。ロングスカートから覗く健康的なふくらはぎや、服を押し上げつつ定期的に上下する胸が、そういう目で見た瞬間に妙な色気を放ってきた。
「っ……」
 相手は魔物、それもミーネだ。それはわかっているのに、理性がこれでもかと揺らされる。一人の女だと、頭が理解してしまいそうになる。
 そのまま十分も放置されたら色々とまずかっただろうが、幸いなことに目がうっすらと開き、狐の眠り姫は目を覚ました。
「ん……」
 普段のアホっぽさはどこへやら、やたらと艶めかしい声と色気を感じさせる仕草で、ミーネがゆっくりと身体を起こした。その拍子に顔がこちらに向き、目がばっちり合う。
「……」
 その瞬間、とろんとしていたミーネの目がぱっちり開き、獣の耳はぴんと立ち、顔が赤く染まっていった。
「あ、えと、あの、これは、ちょっと疲れちゃったから、横になってただけでっ。寝てたわけじゃなくて……」
「……」
 無言で見つめていると、ミーネはぷるぷると震え始めた。
「えと、その、すぐにお昼の準備するからっ!」
 そう言って、だっと台所に逃げていった。
「いや、別に昼寝してたっていいんだけどな……」
 なにも、ルークが来る時間に合わせて昼を用意していなくてもまったく問題ない。むしろ、食事の準備ができている状態で迎えられると、なんというか仲睦まじい夫婦のようで、逆に恥ずかしい。
 そんな考えを追い払うように首を振ってソファに座ると、ミーネの温もりがもろに残っていて思わず仏頂面になる。
 そこへなぜかミーネがバツが悪そうに戻ってきた。
「あ、あのね、ルーク」
「……なんだよ」
 直感的にろくなことじゃないと感じたルークが気だるそうに顔を向けると、ミーネはものすごく申し訳なさそうな顔をしていた。
「その……先にお風呂入ってきても、いい……?」
 まったく脈絡のない言葉が飛んできて、一瞬にしてルークは頭が思考停止寸前に追いやられた。なぜ昼の準備より先に風呂なのかがまったく理解できない。そしてそれをルークに尋ねる理由もない。
「あー……。それ、俺の許可が必要か?」
「だって……ルークのお腹が空いてたら悪いかなって……」
 そう思うなら、昼寝なんかしてないで風呂に入ればいいだろうと思ったが、口にするのはやめておいた。
「腹が減ってる状態には慣れてるから別に気にしなくていい。大体、風呂入るのも飯作るのもお前がやることだろ。好きにしていいぞ」
 そう言ってやると、狐の耳がピンと立った。
「じゃ、じゃあ、先にお風呂入ってくるねっ」
 申し訳ないとでも思っているのか、それとも早く入りたいのか、ミーネは逃げるように去っていった。
「ったく……」
 頭をかきながらソファに身体を預けると、すぐに睡魔がやってくる。だが今日は昼を食べてないし、ミーネもすぐに上がってくるだろうから、ちょっと戯れているうちに試合は終了するだろう。そう思っていたのだが。
「おせぇ……」
 それから待つこと一時間近く。なぜかミーネは風呂から上がってこなかった。おかげで、睡魔が理不尽なまでの強さを発揮し、今にも夢の世界に意識が送られてしまいそうだった。これで寝てしまったら昼寝をしていたミーネとなにも変わらないので、それが癪だったルークは立ち上がって玄関に向かった。外の冷たい空気に晒されれば、嫌でも目は覚める。そう思い、外に出ようとした時だ。背後で「あ……」と呟くミーネの声が聞こえた。
 なんだ、ようやく出たのかよと思い、ルークも顔を向ける。そこで自分の身体が固まるのを自覚した。
 視線の先には、ミーネが立っていた。それだけならなんでもないのだが、今のミーネは空色のバスタオルを一枚巻いただけの姿だった。体感的な肌色率は七割増しといったところで、バスタオルの色と相まって、むき出しの足や細い肩がルークの理性を横殴りにする。
 そんなミーネはルークを見て泣きそうな顔になると、だっと走り寄ってきた。
「か、帰らないでよルーク! 今からお昼準備するから!」
 そんなことを言いながら、ルークの服をがしっと掴むミーネ。接近されたことで、石鹸の香りが仄かに香る。だが、それ以上に半裸の娘が至近距離にいるという事態が、ルークの理性を急激に消耗させていく。
「この馬鹿! 誤解だ! 帰ろうとなんかしてねぇ! ちょっと風に当たりにいくだけだ!」
 悲鳴にも近い叫びだった。その甲斐はあったのか、ミーネはきょとんとした顔で見上げてくる。
「え……。じゃ、じゃあ、帰らない……?」
 こくこくと、視線をあらぬ方向に向けながらルークは何度も頷く。これ以上ミーネを直視するのは色々とまずい。最前線で戦っている理性が白旗を上げかねない。
「帰らないからさっさと服を着てこい!」
「服……?」
 なぜか不思議そうに首を傾げるミーネだったが、自分の身体を見てどういう状況だったか思い出したらしい。頬が瞬時に真っ赤になった。
「あうぅ……! き、着替えてくるからっ!」
 一歩、二歩と後ずさると、ミーネはそのまま奥に走り去っていった。その際、尻尾のせいで尻の辺りがかなり際どいことになっていた。正確には半分ほど見えていた。
「あのバカ狐は……!」
 誘ってんのかよと言いかけ、ルークは頭を振って自分の言葉を否定した。ミーネがそんな高度なことをできるわけがない。大体、バスタオル姿を見られて恥ずかしがっているような娘なのだ。誘惑なんて論外である。もっと言うなら、ルークは尻にほとんど魅力を感じないので、例えさっきの行為が誘惑目的だったとしても、残念ながら失敗だ。むしろ、バスタオルの隙間から覗く谷間の方がよほど危険だったと言っていい。
「はぁ……」
 本当に、なんであんな小娘に振り回されてるのかと、今さらすぎるため息をつくルークだった。


 そんなことがあった翌日。
 いつものようにミラと見回りをし、昼に少し高めのレストランで食事をしていると、正面に座ったミラが切り分けていたハンバーグから顔を上げ、ぽつりと言った。
「ああ、そうだ、忘れないうちに言っておく。ルーク、明日はお前を休みにしておいた」
 色々といきなりだったので、骨付き牛肉と格闘していたルークは手を止めてミラを見た。
「あ? なんだ急に。俺、特に休みの希望なんか出した覚えはないんだが」
「まあ、私の都合というやつだ。そういうわけだから、明日は一日休め」
 都合とやらはよく分からないが、とりあえず上官命令とあらば、きかないわけにもいかない。ルークとしても仕事馬鹿というわけでもないので、休めと言われれば、素直に従うまでだ。
「へいへい、休めばいいんだな。しかし、そうなるとどうすっかな……」
 急に暇をもらっても、ルークとしてはすることがない。ミーネの家に行くという選択もなくはないが、朝からミーネのところに行っているのもなかなかに気まずいものがある。
 なにするかと頭を悩ませていると、ミラが声をかけてきた。
「ああ、とりあえず明日の朝は宿舎の前にいろ。少々お前に付き合ってもらうことがある」
「なんだそりゃ。隊長のすることに付き合うって想像できないんだが。親父殿と親子喧嘩でもすんのか?」
 冗談を言ってやると、ミラはくつくつと笑った。
「それはそれで楽しそうではあるな。だがそんな物騒な話ではないから安心しろ」
「じゃあなにすんだよ。正直、俺が役に立つのなんて荒事しかないぞ」
「それは明日のお楽しみということにしておこう。そういうわけだから、明日は用事を入れないようにしておけ。いいな?」
 念押しされ、ルークは肩をすくめた。
「へいへい、わーったよ。一日空けておけばいいんだろ」
 明日は本来なら一日フルで働く日なので、ミーネのところには行かないことになっているから問題はない。
「そうしてくれ。では、明日はよろしく頼む」
「よくわからねーが、了解だ」


 翌日。
 忠犬の如く言い付けを守り、朝っぱらからルークは宿舎の前で待機していた。秋も深まっていることもあって気温は低く、吐く息が白い。
「そういや、時間聞いてなかったな……」
 この手の待ち合わせは初めてなので、どうも勝手がわからない。これが男だったら場所を決めて、後は勝手に集合で済むのだが。
 ポケットに手を突っ込み、少しでも寒さから逃れようとより日の当たる場所に歩こうとした時だった。宿舎の角を曲がって、一台の暗い茶色の馬車がやってきた。
 それを確認したルークは脇に避けて馬車の通過を見送ろうとする。しかし、その馬車はどういうわけか、ルークの目の前で止まった。
 馬を駆っていた初老の男がすぐに馬車から降りてきて一礼する。服装からして立派な物を着ているだけあって、礼の仕方も見事なものだった。ただ、その礼が自分に向けられているものだとは思わなかった。
「おはようございます。ルーク様ですね?」
 敬語を使うことはもちろん、使われることにも慣れていないルークは面食らう。
「あ、ああ。そうだが」
 初老の男はにっこりと微笑んだ。
「お待たせして申し訳ありません。お嬢様の命により、お迎えに上がりました。どうぞこちらに」
 丁寧な動作で馬車の扉が開けられる。どうやら乗れということらしい。
「いや、待て。それ、本当に俺か? 同じ名前の誰かと間違えてねーか?」
 ミラと待ち合わせはしたが、馬車が来るとは聞いていない。ルークの予想ではミラが一人で来ると勝手に思っていたので、どうも目の前の状況に自分が関わっているとは思えなかった。
「ルーク、寒いから早く乗ってくれ。馬車が出せないだろう」
 馬車から聞き慣れたミラの声がした。
「おい、マジで俺かよ。これ、本当に乗っていいのか?」
 外装は普通の馬車だったが、開けられた扉から覗く内装は派手さはないながらも立派な物で、およそ自分とは一生縁などなさそうな代物だった。
「当たり前だ。ほら、早くしろ」
 急かされ、ルークは初老の男に目を向ける。すると、どうぞとばかりに頭を下げられてしまった。
「俺が馬車なんてもんに乗る日が来るとは……」
 庶民丸出しの感想を吐きながら、そっと中に乗りこむ。そこでは、ミラが小さく微笑みながら待っていた。
「待たせてすまなかった。少々、準備に手間取ってな」
 そう言うミラは若草色のドレスに白いショールという姿だった。なんというか、気合が入っているように見えるのは気のせいだろうか。
「いや、まあ、それはいいけどよ。なんでドレスなんだ? 舞踏会でも行く気かよ?」
 仮にそうだとしたら、ルークの役目は身辺警護あたりだろうか。だが、ミラは笑ってそれを否定した。
「まさか。そんな公の場に男と連れだって行ったら大騒ぎだ。不本意だが、私自身の知名度も、嫌というほど知っているからな」
「じゃあどこ行くんだよ」
「怪しい場所に向かうわけではないから、とりあえず座れ。今日の予定は道すがら説明してやろう」
 そうまで言われては、大人しく座るほかなかった。綺麗に整えられた椅子はやはり高級品らしく、驚くほど柔らかく、そして温かい。
「アルター、出してくれ」
「かしこまりました」
 ミラがそう言うと、アルターと呼ばれた初老の男は恭しく頭を下げると扉を閉めた。それだけで外の冷たい空気から隔離され、縮こまっていた身体が緩む。それからすぐに馬車は動き出した。
 馬車の進む音だけが響くなか、ルークはミラに目を向ける。
「で、どこに向かってんだ?」
「トレーノだ」
 ミラの口から出てきたのは、ここから数時間ほど南下した所にある町の名前だった。国の中心とも言える城下町に最も近い町だからか、無駄に大きく、無駄に賑やかな場所というのがルークの印象だ。あくまで印象であって、実際に行ったことはないのだが。
「おいおい、軽く日帰り旅行だな。隊長がそんなとこに興味あるようには見えない……と思ったが、家のことを考えるとそうでもないのか」
「まあ、そういうことだ。家の都合であそこにはよく行ったな」
 どこか懐かしむようにミラは顔を窓の外に向けた。口調は懐かしんでいるようではあったが、楽しい思い出はなかったような横顔だ。
「さすが、と言いたいとこだが、いいのかよ。そんな行きつけの町に俺なんか連れてって。男連れて町を歩いてたなんて、ばれたらやばいだろ」
「生憎と、私は自分の知名度を嫌というほど把握しているからな。当然、騎士団に入団したことは国中が知っていると言っていい。つまり、誰もがこう思っている。ミラ様は今日も騎士団で公務に励んでいる、とな。誰も私が町で遊び歩いているとは思わないさ」
「そういうもんか? 隊長の場合、名前だけじゃなくて顔も知れ渡ってると思うんだが」
 権力者に疎いルークでさえミラの名前は知っていたのだ。なら、興味のある人ならミラの顔を見知っていても少しもおかしくはない。
「だからこうして目立たない馬車で移動しているんじゃないか。ああ、そういうわけだから、今日の移動手段はほとんど馬車だ。いつものように町を歩くことはほとんどないと思ってくれ」
「そういうことを言われると、隊長が貴族なんだと改めて実感するんだが」
 ややげんなりするように言うと、ミラは声なく笑った。
「今更すぎる言葉だな。普通なら、会った瞬間にそう感じるだろうに」
「なんだよ、俺が鈍感だって言いたいのか?」
「ああ、そうだ」
 きっぱりと頷かれてしまった。
「そりゃ悪かったな。そんじゃ、今後は一目でわかるように努力しますかね」
 いつもの軽口を叩くと、ミラはじっと見つめてきた。
「だがまあ、そんなお前だからこそ……」
「なんだよ隊長。他にも文句があんのかよ」
 休みの日に説教などごめんだとばかりに嫌そうな顔をすると、ミラは小さく微笑んだ。
「いや、単なる独り言だ。それより、今日は付き合わせる代わりに色々と買ってやろう。楽しみにしておけ」
 その言葉に、ルークは顔をしかめたのだった。


「誰だこれ……」
 鏡に映った自分を見て、ルークはそう言わずにはいられなかった。
 トレーノについて真っ先に連れて来られたのが紳士服の専門店。ここで何するだと思ったら、今日着る服を買うという衝撃的な発言がミラから言い渡された。紳士服なので、もちろん着るのはルークである。
 いきなりの事態に早くも頭が混乱し、状況に流されるままになった結果が渡される服を次々に着ては鏡の前に立つという、繰り返し作業だった。
「ふむ、やはり先程のものがしっくりきますな」
 店員がよさそうな服を見繕ってきては、アルターがそれを選別し、ルークがそれを着る。その間、ミラは別室で待機しているとのことだった。
「おい、本当にこれ着るのか? ぴっちりしていてものすごく窮屈なんだが」
「今日のお嬢様の隣りに並ぶには、相応のお召し物を着ていただかなければなりません。慣れないかもしれませんが、ご容赦願います」
アルターは口調こそ丁寧だが、ほとんど有無を言わせぬ空気だ。おかげでルークは生まれて初めて着るフォーマルな服に身を包み、鏡の前に立っている。しかし、映っているのはどう見ても不良の御曹司か、追剥をした良い服を着て貴族を装っている山賊である。
「いや、これは無理だろ……。服に着られてるのが丸出しなんだが」
 鏡に映る自分を見て、ルークは正直にそう思う。
「ふむ。では、少々髪をいじりましょうか。整髪剤をお願いします」
 アルターの声に、店員がすぐに小さな瓶を持ってくる。
「失礼します、ルーク様」
 独特の香りがする粘体を手に取ると、アルターはルークの髪型を調整し始めた。髪に適量を塗りつけ、櫛で髪型を整えていく。
 そして数分後。恐ろしく綺麗に整えられた髪型の男が鏡に映っていた。
「誰だこれ……」
 目つきの悪さは相変わらずだが、髪型が整っているおかげか、なんだか別人を見ている気分だった。
「今日はお嬢様もお忍びでここに来ていますので、隣りを歩くルーク様もすぐには分からない程度になっていただいた方が都合がよいのです。さあ、一旦お嬢様に見ていただきましょう。お許しをいただけなければ、やり直しですので」
「冗談だろ……」
 着せ替えごっこをもう一度などごめんである。それを防ぐためには、ミラから許可を得るしかないらしい。
 頼むからこれで勘弁してくれと内心祈りつつ、ミラの待つ部屋に向かう。
「失礼します、お嬢様。ルーク様の支度が整いました」
 ノックしてからアルターがそう声をかけると、入っていいというミラの声。
「失礼します」
 静かに扉を開け、アルターに続いて部屋に入っていくと、ルークを見たミラは目を丸くした。
「……」
「んだよ、その顔は。言いたいことがあるなら、はっきり言えって」
 睨んでやると、ミラは珍しいものでも見たかのように目を何度か瞬かせ、次いで笑みを浮かべた。
「いや、予想以上にいい仕上がりだと思ってな。さすがだ、アルター」
「恐れ入ります。では、ルーク様の召し物はこれでよろしいでしょうか」
「ああ、問題ない。では行くとしよう。馬車の準備を頼む」
「かしこまりました」
 恭しく頭を下げ、アルターはきびきびとした動作で部屋を出ていく。
「さて、私達も行くとしようか」
 椅子から立ち上がり、ミラが目の前に立つ。今更だが、ドレス姿のミラは普段は感じさせない上品さと女の魅力とに溢れていた。ほんのりと香る甘い香りに、嫌でも大人の色香を感じてしまう。それがなんとなく気恥ずかしくて、ルークは顔を逸らした。
「まあ、なんだ。今日のドレスも似合ってると思うぞ」
 誤魔化すように言うと、ミラがまじまじと見つめてきて、ルークは更に顔を逸らす。
「そうか。なら、こちらもしっかり準備した甲斐はあったということだな……。ああ、言い忘れていたが、お前もその格好は似合っているぞ」
「隊長に言われると、褒められている気がしないんだが」
「心外だな。本心から褒めているんだ、素直に受け取っておけ。さあ、行こう」
 控えめに腕を取られ、そのまま連れられていく。店の前では既に馬車が待機しており、ルークとミラが出てくるとアルターが一礼して馬車の扉を開ける。
「なんていうか、こういうの見せられると、さすがに隊長が貴族だと思わざるを得ないんだが」
「まあ、そうだろうな。だが、この町に来ることを考えるとどうしても付き人は必要でな。アルターにご同行願ったわけだ」
「今更だが、この人にはこんなことしてるってばれてもいいのか? 隊長の家の使用人だろ」
 ミラをお嬢様と呼ぶあたり、日雇いの人間ではないだろう。そうとなれば、家で雇っている人間としか思えない。
「問題ない。アルターは父上より私派だからな」
 そうなのかと確認の目を向けると、静かに一礼されてしまった。どう見ても肯定の動作だった。
「さて、話はこれくらいにして、今日の目的地に行くぞ。余裕だとは思うが、間に合わなくなっても困るしな」
 馬車の中で聞いた話では、昼から公演の劇を鑑賞し、その後夕食を食べる予定ということだ。それを楽しみにしているのか、ミラがさっさと馬車に乗り込んでいく。ルークもそれに続こうとしたところで、アルターに呼び止められた。
「ルーク様」
「ん? なんだ?」
「お聞きしている通り、本日の予定は劇の観賞と食事となっています。問題ないとは思いますが、お嬢様に恥をかかせるような真似だけはなさらぬよう、努めて言動に注意ください」
 そう念押しするアルターはミラも時々やる笑っていない笑顔だった。ミラと違って歳を食っている分、アルターには有無を言わせぬ迫力があった。
「……努力する」
 アルターの親バカ発言に気圧されながら、ルークはなんとかそう返す。その返事に納得してもらえたのかはわからないが、アルターは威圧的な空気を消し、馬車に入るように手で促した。
「どうしたルーク。アルターとなにやら話していたみたいだが」
 若干遅れてきたルークが対面に座ると、ミラが覗きこむように見つめてくる。
「いや、なんでもねぇ。服がおかしいって直されてただけだ」
「ふむ、そうか。ではアルター、出してくれ」
 ミラがこんこんと窓を叩くと、馬車が動き出す。
「しかし、隊長が劇なんてものに興味あるとは思わなかったな。一体、どんなもん見るんだ?」
「これでも劇や芝居は意外と好きなんだがな。ちなみに、今日見るのはよくある王道ものだ。騎士と姫の純愛ものだよ」
「ますます意外だな。それを見るためにわざわざ遠出したってのか?」
「まあ、半分はそうなるな。絶対に感動するから見に行けとアイシャがうるさくてな。それでだ」
「あー、あの人か」
 それで納得してしまった。一応、面識はあるのでミラがそう言われている場面が思い浮かぶ。あの華やかな人にしつこく言われたら、さすがのミラも折れそうだ。
「そういうことだ。後、言っていたことといえば、私達にはぴった―っ! ……いや、なんでもない」
 なにかを言いかけ、ミラはふいと顔を背けた。それだけでなく、そのまま話しかけるなと言わんばかりの空気を纏い、これ以上の会話はしないと意思表示までしてきた。
 いきなりの豹変にルークはどうしたものかと眉を寄せるが、不思議とミラが怒っている様子はない。そしてなぜか、その横顔はほんのりと赤い気がした。


 劇場は比較的空いていた。それでも一定数の客が入っているあたり、時間のある人間はいるもんだなと思う。服装を見るに、ほとんどが富裕層なのだろう。
「パッと見、金持ちがほとんどって感じだな。今日の劇は有名な劇団がやるのか?」
 隣りを歩くミラに小声で尋ねると、彼女は小さく頷いた。
「今日はというより、高名な劇団しか呼ばないというのが正解だろうな。よって、必然的に鑑賞料も高くなるわけだ」
 ミラの説明を聞きながら、空いている席につく。さすがに高い料金を要求されるだけあって用意されている椅子は柔らかく、落ち着いた気持ちで劇に望めるようになっている。おまけにしっかりと中は温かくしてあるようで、快適そのものだ。下手したら寝てしまうかもしれない。
「こういう場所に来るのは初めてだが、悪くはないな」
「それはよかった。ほら、上演時間まではまだあるから、先に腹に入れておけ」
 差し出されたのは昼代わりのサンドイッチ。劇場備え付けの店で買ったものだ。その値段がルークがいつも食べるものの倍近くしたことには驚いたが、こういう場所では普通とのことだった。
 値段相応の味がするサンドイッチを食べ終わってしばらくすると劇が始まった。人付き合いがあまり上手くない騎士が仲間から煙たがられているところから始まり、それをたまたま見かけた姫が同僚達に対する対応を指導していく。
 見せ物は見回りの休憩ついでに何度も眺めたことのあるルークだが、こうして劇場に足を運び、椅子に座って鑑賞するというのは初めてだ。環境が良すぎるので寝てしまわないか少々不安だったが、劇の内容と、それを演じる役者達がしっかりと意識を掴んで離さなかったため、最後まで集中して見ることができた。途中、ミラの様子を一度だけ横目で確認したが、ミラも同じように集中しているようで、劇をじっと見つめていた。
 

「予想以上に見事だったな。アイシャがうるさく勧めてくるわけだ」
「確かにすげぇと思ったな。あれならあんだけ高いのも納得だ」
 劇が終わり、馬車に乗り込んだ二人の会話は当然のように劇の内容だった。
「さて、後は少し早いが夕食だ。お前にとっては、こちらの方が楽しみだったんじゃないか?」
 お見通しだと言わんばかりの目でミラが見つめてくる。実際、図星だったのでルークは肩をすくめておいた。
「まあ、否定はできないな。なんだかんだでこの間のコース料理は美味かったし。少しは期待してた」
「そうか。今日はお前の期待に応えられるかはわからないが、私の気に入っている店を予約してある。腹の空き具合はどうだ?」
 劇を見ただけで身体を動かしたわけでもないのに、自然と減っている。それを証明するように、ルークの腹が情けない音を出した。
「減ってるそうだ」
 開き直って堂々とそう言ってやると、ミラはくっくと笑った。
「よし、ではすぐに向かうとしよう。アルター、予定通り頼む」
 窓の外にミラが指示を出すと、返事はない代わりに道を曲がったようだった。恐らく、目的の店への進路を取ったのだろう。
 それからしばらく雑談をしていると、やがて馬車が止まった。次いで扉が開けられる。
「お待たせしました。到着でございます」
「ご苦労だったな。二時間ほどしたら、また迎えを頼む」
「かしこまりました。それでは後ほどお迎えに上がります」
 アルターとそんなやり取りを交わすと、ミラが馬車から降り、ルークもそれに続く。そして目の前にある建物を見て、つい感想が出てしまった。
「おいおい、さすがにここは俺を連れてくる場所じゃないだろ……」
 パッと見るだけならどこにでもありそうなデザインの店。だが、看板は新品のように磨きあげられ、その真下の扉には蔓を模した金の刺繍が施され、取っ手も金色に輝いていた。足元はこれまた艶々とした小奇麗な石が規則正しく敷き詰められている。どう見ても、庶民が入っていい場所ではなかった。
「安心しろ。今日のお前なら問題ない」
「じゃあ、普段なら?」
「門前払いだろうな。ほら、尻込みしていないで行くぞ」
 右腕に、ミラの左手が絡んでくる。その意外な行動に、ルークの心臓が小さく跳ねた。
「おい、さすがにこれは……」
「こういう場所に入る際のマナーだ。大人しく並んで歩け」
 そう言うミラも恥ずかしいらしく、顔が赤かったが、それを指摘すると本日初の鉄拳を頂戴してしまいかねない。アルターにも恥をかかせないよう釘を刺されているので、ルークは大人しくミラに従う。
 店に入るとミラが短く名前を告げ、立っていた男性が席に案内する。この時点で嫌な予感はしていたのだが、先行する男性に導かれた先は完全な個室だった。ふかふかのカーペットが敷かれた部屋はきちんと手入れが行き届いており、どこを見ても新しい部屋にしか見えなかった。
「……」
 ルークはもはや何も言えず、ミラに続いて席に着くだけだった。そんなルークに革張りのメニューが渡される。男性が部屋を出ていくとようやく気を抜くことができた。
「おい隊長、俺の場違いぶりが半端じゃないんだが」
「大丈夫だ。安心して好きなものを頼め」
「そうはいってもな……」
 メニューに目を落とすと、そこに書いてあるのは若鳥の〜だったり、仔牛の〜といったものばかり。かろうじて使用している食材はわかるが〜の部分は凡人たるルークにはさっぱりわからない。つまり、どんな料理なのか想像できないのだ。
「隊長、俺のような馬鹿には名前から想像できない料理名しか載ってないんだが。なんとか想像つくのがキドニーパイくらいだぞ。どこの別世界のメニューだよこれ」
「一応言っておくと、キドニーパイは腎臓を使ったパイだからな。お前の想像しているフルーツが乗ったパイは出てこないぞ」
「マジかよ……。なんか、不思議の世界に迷い込んだ気分だぞ」
 それくらい、メニューに載っている料理どもはルークには微塵も馴染みのないものばかりだった。
「ふふ、私も最初はそうだった。まあ、とりあえずは私がいくつか注文しようと思うが、なにか希望はあるか?」
「いや、任せる。下手に謎の料理頼むよりは隊長のお勧め食った方がいい」
「わかった。では、味の保証できるものを頼むとしよう」
 ミラがテーブルにあった綺麗なベルを手に取って鳴らすと、先程とは別の男性がやってきた。ミラは彼に呪文のような料理名をいくつか言い付けると、男性は一礼してすぐに出ていった。
それからこの店についての雑談を十五分ほどした頃に注文した料理が届いた。緑鮮やかなサラダが二皿、次いで音を立てているステーキが置かれ、別容器でダークレッドのソースがそれに続く。さらに、縦長にカットされた鳥肉と香草の盛り合わせ、一口サイズのミートボールがいくつも入ったグラタンといった品々がテーブルに並べられていく。
 「以上でよろしいでしょうか」という男性にミラがうなずくと、彼は静かに部屋を出ていった。
「なんか、この間のコース料理より豪華じゃねーか?」
「まあ、そうだろうな。さあ、せっかく肉メインの店に来たんだ。好きなだけ堪能してくれ」
「そういうことなら遠慮なくいただきますかね」
 メニューにはやたらと肉の名前があったのでもしかしてと思っていたが、わざわざルークの好みを把握していてくれていたようだ。ミーネもそうだったが、こういうことをされると、ルークとしては反応に困る。だから、逃げるように肉にかぶりついた。
「なんだこれ。すげー柔らかいな。本当にステーキかよ」
「ああ、それは私もお気に入りだ。足りなかったら追加で頼むから、好きなだけ食べるといい」
 そう言いながら、ミラがグラスに赤ワインを注いでくれる。当然、こちらも上等のもので、肉と合わせて水のように飲めてしまう。
 食事の時間が過ぎるのはあっという間だった。気が付けば、時計が二時間の経過を告げていた。
「ふう。随分食ったな。今更だが、支払いは大丈夫なのか?」
「本当に今更だな。まあ、問題ない。支払いは後で我が家に請求がいくだけだ」
「へえ。ま、どういう支払いをするのかは好きにしてくれ。とりあえず、ごちそーさん。今まで食った肉の中でも最高に美味かった」
「それはよかった。では、そろそろ行こう。アルターも待っているだろうしな」
 そう言ってミラが席を立ったので、ルークもそれに習う。
 後は馬車に乗って帰るだけである。これがミーネのところだったら、どうしても自分で馬を操らないといけないが、今日はそんな心配もない。高級料理をご馳走してもらい、帰りは町まで送ってもらう。至れり尽くせりとはこういうことだろう。
「しかし、こういう一日を過ごすと、隊長は貴族なんだなって思っちまうな。串焼き奢ってもらう程度なら、そんなこともないんだが」
 素直な感想を呟きながら、先に部屋から出ようと扉に手を伸ばす。そんな時だった。
「今日は貴族のミラとして過ごすつもりだったからな。そう思うのも無理はない。そして、今日が、私が貴族として過ごす最後の日だ。だから、最後の日を共に過ごす相手としてお前を選んだ」
 ミラの言葉は理解するのに少し時間がかかった。同時に、胸の奥がどきりと反応する。少し前に体験したばかりの感覚。それは確かミーネが―。
「どういう―」
 説明を求める言葉が喉から出てくることはなかった。それより先に、背中に何かが軽くぶつかった。抱きつかれたのだとわかったのは、背後から脇の下を通して回された両腕がルークの胸の前で重ねられてからだ。
「なんの冗談だよ隊長」
「冗談でこんなことをすると思うか?」
 返事は返せなかった。ミラがこの手の冗談をするような性格でないことはルークも知っている。 
「冗談でこんなことはしない」
 それを証明するように、回された手がルークの服をぎゅっと掴む。
「こんなことをするのは……私がお前を好きだからだ」
 言葉が出てこない。ミーネの時とまったく同じだ。頭の中が真っ白になっていく感覚だけが、嫌にはっきりと伝わってくる。
「俺は……平民だぞ。隊長とは違う」
「わかっている。例えお前が私を受け入れてくれても、世間はそれを許しはしない。身分などどいうつまらない拘りを理由に、決して認めないだろう」
 恐らく、そんなことはルーク以上にミラの方が理解しているだろう。それでもこうして打ち明けた以上、ミラには考えがあるのだ。そしてそれは、言葉となって現れた。
「なあルーク、共にこの国を出ないか?」
 告白の時と同じくらい、胸がざわついた。告白で混乱していた頭に更に追い打ちが入り、息がつまりそうになる。
「……そっちが本命か?」
 そうではないとわかっていながら、ルークはそう言った。先ほどの告白は動揺を誘っただけで、こちらが本命なのだと思いたかった。
「告白は全て私の本音だ。だから、私は本当にお前と一緒にこの国を出たいと思っている。そのための船は手配してある」
 体が強張っていくのを自覚した。自分の知らないところで、ルークを巻き込んだ事態が動き出している。そしてそれが、もう後戻りできないところまできていることも。
「国を出るって、それが何を意味するかわかってんのかよ? そんなことしたら隊長は」
「貴族ではなくなる、か? そうだろうな。だが、私はそれでも構わない。家も、地位も、故郷も、なにもいらない。お前がいてくれれば、それでいい。例え裕福ではなくとも、外の世界でなら、お前が隣りにいてくれるなら、私は息ができる」
 語られる内容が、鼓動を早めていく。
 ミラの言っていることが理解できないわけではない。ただ、そんなことは考えたこともなかった。これはルークに限ったことではないが、人は自分にできないことを考えたりはしない。そしてミラは、国を出ることはできると判断した。だからこそ、船を用意し、こうしてルークを誘っている。貴族として過ごす最後の日という言葉が、やっと理解できた気がした。
「俺は……」
 どう答えたらいいのかわからない。ルークが言葉に詰まっていると、背中に抱きついていたミラがすっと離れた。
「即答で断ってこないということは、私と一緒に行く可能性もあると受け取っていいか?」
 振り向くと、ミラは笑っていた。まるで雑談を楽しむように。だが、今交わされた内容は、今後の人生を大きく変えるものだ。
「それは……」
 このまま目を合わせていたら言いくるまれそうで、逃げるように顔を俯かせる。敷かれたカーペットを見つめていると、ミラが近づいてきて、その下半身が目に映る。そして、小さく胸を叩かれた。
「すぐに決断しろとは言わない。船が出るのは四日後だ。それまでに決めてくれればいい。もし私と一緒に来てくれるのなら、朝の八時半にフローゼの町の港に来てくれ。そこで待っている」
 これで話は終わりらしく、ミラが横を通り過ぎていく。たまらずルークは呼びとめていた。
「隊長」
「なんだ?」
 振り向いたミラは、もういつもの表情だった。それを睨むように見つめながら、ルークは慎重に言葉を選んだ。
「当てもないのに、国を出るのか? ガキじゃないんだ。そんな駆け落ちまがいのことをしたところで、その先上手くやっていけるとは限らないことくらいわかってんだろ?」
「駆け落ちまがいではなく、駆け落ちだよ。それはともかく、お前の心配はもっともだ。だが、お前となら上手くやれると信じている。なにより、私はお前に全てを捨てさせるわけだからな。その責任は取るさ。だから、お前が来てくれるのなら、私は残りの生涯をお前のために尽くすと誓おう」
 ほんの僅かに頬を赤に染めながらも、ミラはそう言い切った。対するルークはなにも言えない。なぜ急に歯車が狂ったように、異常な日々がやってくるのだろう。立て続けにミーネとミラから告白されるなど、誰が想像できただろうか。しかも、ミラの場合は告白というよりは駆け落ちからの求婚みたいなものだ。先日、食堂で話しかけられた男の話を信じるなら、ミーネの告白も最終的に行きつく先は夫婦と、ほとんど結果は変わらない。
「なんで、俺なんだよ……」
 愚痴るようにぼやくと、ミラが笑う気配がした。
「お前を悩ませている私が言うのもなんだが、なぜ、と考えるよりも、これからどうするかを考えた方がいいと思うぞ。その理由を知ったところで、現状は何も変わらないからな。さあ、そろそろ行こう。町に戻るのが遅くなる」
 受付で一言、二言交わして店を出ると、待機していた馬車にミラに続いて乗り込む。
「ふふ、いい一日だったな……」
 頬杖をつきながら窓の外を眺め、ミラが誰にともなく呟く。先程の件がなければ、ルークも同意していただろう。だが、今のルークの頭の中では様々なことが渦巻いていた。
 ミラはルークを悩ませているのが自分だと思っているが、実際はそこにミーネも絡んでくる。しかも、揃って告白ときていた。
「笑えねー冗談だな……」
 今日一番の重いため息をつきながら、窓の外に目を向ける。先がほとんど見えない夜の道を進む馬車が、今のルークの状態を暗示しているようだった。
14/12/24 18:25更新 / エンプティ
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■作者メッセージ
ミーネの日記
うう、どうしてルークの前だとダメなとこばかり見せちゃうんだろ……。お昼の準備しなくちゃいけないのにお昼寝しちゃったり、勝手に勘違いするしで幻滅されてないかな……。ちょっと心配……。


お久しぶりです。エンプティです。
もう一本の連載は考えながら書かなくてはいけないので、とりあえずこちらを完結させることにしました。さすがに年内は難しそうですが、なんとか二月までを目標にします。
それではまた次回でお会いしましょう。

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