読切小説
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音速の宅配団
音速の宅配団
その名を聞いたことはあるだろうか?
サンダーバードとハーピーの宅配団、確実に、しかも早く積荷を届けることを信条とした彼女らの日常。

「お姉ちゃん…ちょっといい……?」

そうやって声をかけたのは最近入った一番幼いサンダーバードだった。
別にグループで対立しているというわけではないが、この幼い少女には同族の、より近しい姿をしたサンダーバードの先輩に頼ってしまうのだろう。
まだ幼い彼女には宅配は出来ないが、基本や気概は教えこまれている、宅配が一人でできるようなくらいの体になるまでは宅配ルートの暗記に当てられる。
今はどうでもいいことだが。

「どうしたの?ナアンちゃん?地図の見方?」
そうやって答えたのは気象の荒く、激しいことを是とするサンダーバードには珍しい穏やかな顔つき、服装もハーピー種には珍しい肌の露出の少ないものだった。

「お姉ちゃん……勉強つかれたよぉ……」

まだまだ遊びたい盛りの女の子が部屋にこもって地図ばかり見せられていてはやはりつかれるのだろう、だからこうやって年上の先輩たちに甘えて勉強の合間に休憩を取らせる事があるのだ。
ハーピーもサンダーバードも人間も変わらない、あまり詰め過ぎると逆に効率が落ちてしまう、いくら性交の時には無尽蔵の体力を発揮する彼女らでも、勉強漬けでは気が滅入ってしまうのだ。

「そうなの〜……おいで〜?いい子いい子〜」

「お姉ちゃん…えへへ〜…」

髪色や髪型が似ているので傍から見れば姉妹のようだが、彼女らには種族というつながりはあっても血のつながりはない、だが、音速の宅配団の少女たちは皆中がよく、遠目から見れば髪色の違う姉妹のように見えると言われている。
事実、新人の子にはとことん優しく、とことん厳しい彼女たちの規律からして、叱るべき時は叱り、甘えさせる時はとことん甘えさせる、コレが合って文句をいうものはないだろう。
間違いはフォローし、指摘して正す、功績は讃え、称賛してしっかり褒める、子育てと何も変わらない、まさに宅配団の彼女たちは家族なのだ。

「みんな〜、お昼寝の時間だよ〜。」

その一声とともに未来の宅配員たちがリーダーのサンダーバードとハーピーのもとに集まってくる、ついでに休みを与えられた宅配員達も一緒になっている。
お昼寝兼触れ合いの時間、これがあるからこそここまで仲がいいのだろう、いや、仲がいい理由にはならない、なぜなら彼女らは皆須らく家族という認識を持っているのだから。
だからこそ、ここまで明るい笑顔を持って顧客の願い、手紙や贈り物を運ぶことができるのだ。

可愛らしい寝息が響くホール内、寄り添って日記を書く人物が二人。
彼女達は穏やかで、とても優しい表情だった、ハーピーとサンダーバードのリーダー、この二人が音速の宅配団を仕切っていると言っても良い。
だが、彼女達がここまで落ち着いて日記を書けるのも、ひとえに団員が家族であり、とても仲のいい姉妹のような存在だから、あの子たちになら任せて置けるという信頼があるからである。

元音速の宅配団サンダーバード隊団長、アリシア・マッケインの著書
『止まり木』より抜粋
13/05/13 15:31更新 / 月詠月雲

■作者メッセージ
調子乗って2本目投稿

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