連載小説
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野良→お世話係
ワタクシ、深き混沌より出でし魔物娘、種族はショゴスの、フォーカリアと申します。

魔界にてニンゲンの方々と社会について学習した後、比較的魔物娘が馴染みやすいとされる、ここ日本にやって参りました。

好きな季節は冬。好きな色は緑。好物はご主人様の精...白濁...愛。愛で御座います。

気軽に『カリアちゅわぁん』とお呼びくださいまし。

「アッハハハ!面白い緑色の人(?)が来ましたねぇ!ところで愛が大好きなカリアちゅわぁんさんは、いったいどの様なご用件で?」

はい。ワタクシ、種族の性と申しますか、『お世話したくてたまんねぇべらんめぇ』という熱いパトスをもて余しておりまして。

お世話するに相応しい人物を探して夜道を徘徊してましたところ、ご主人様の疲れきった表情と足取りに大変興味が湧きまして。

『ヒャッハーこいつぁ世話のし甲斐があるぜぇ』と、不躾ながらこっそり後をつけて、戸を叩かせて頂いた次第でございます。あえてこの姿で。

「なるほど、江戸っ子が世紀末な感じなんですな、カリアちゅわぁんさんは!」

ワタクシの様相をご覧になっても動じない、ご主人様の胆力、素敵でございます。

...その呼び方、訂正しても宜しいですか。

「アッハハハ、良いですよ!ぶっちゃけ面倒臭いし!」

さて早速ですが、このショゴスであるフォーカリアめを、お世話係として、ここに置いて下さりませんか。

「ええ、ええ、良いですよ!あ、ベッド用意しなきゃなぁ。」

それには及びません。ワタクシ、こう見えても器用な方で御座いまして。

「おぉ?」

ニュルン ファサッ ガッ!

......。

「......。」

ええ、ええ。見事でしょう。言葉を失うほどに。

「あの、カリアさん」

絹にも劣らないさわり心地の、ダブルサイズの緑のベッドで御座います。
ワタクシの力作で御座いますよ。
緑色にしたのはワタクシの趣味で御座います。

「カリアさーん」

これで一度寝てしまえば、病み付きになって他のベッドなどでは寝られなく...

「分かった。分かりました。すごぉいベッドなんですね。」

左様で御座います。ドヤァ

「アハハ!すごいドヤ感!無表情なのに!...で、そのベッドが凄いのは良いんですけど。」

はい。

「前のベッド、どうするつもりなんです?消し去れるとか?」

ベッドonベッドババーン

......。

ご主人様?

「はい?」

ドライバー、貸していただけますか?

「え、えぇ、良いですけど...(律儀に分解するのか)...ドライバーも自分で産み出せるのでは?」

......あ

「......」

......

いえ、動揺などしておりません。ご主人様。断じて。断じて他の仲間から『新しい日用品を作り出したら、いつの間にか前の日用品とすり変わってるから大丈夫だった』とか言われたのを真に受けてそのまま実行したとかでは御座いません。

「...の割にめっちゃプルプルしてるのはどうしてです?」

ええ、ええ。別に...グスッ...失敗して...ヒック...落ち込んでなど...ズビッ

「無表情でそこまで感情表現できるの!?ある意味器用だよ!とにかく落ち着きましょう?前のベッド一緒に片付けましょう?」ホラハンカチ

...有難う御座います。ご主人様は優しいですね。チーン

「折角うちに来てくれたんですからね!甘えさせて頂こうかなと。」ドローリ

ご主人様...。では早速ですがワタクシの事を『カリアママ』とお呼びになって頂けると

「アッハハハ!立ち直りはえーなおい!」
19/03/05 15:25更新 / スコッチ
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■作者メッセージ
「おかしいですね...。このバブみ?本とやらには確かに...」
「なんてもんを教材に使ったんだ」

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