連載小説
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中編・その1
レスカティエ教国異端審問所地下室
レスカティエを急襲した白い淫魔に敗れた三人組は引き離され堕落神の教えを受けていた。しかし、彼らは意地と信仰のため未だに堕ちていなかった。

すでにクッションの教えパフパフver.に突入してからかなりの時間が経っているが、ビグルス枢機卿は依然として持ちこたえていた。
「本当に強情ね。」
「ふん、異教徒どもになびくはずなかろう。」
「ここまで耐えたのはあなたが初めてよ。褒めてあげるわ。でも、ルシュちゃんはとっておきを残しているのよ。」
「なんだ、私を殺すのか?(窒息的な意味で)」
「あら、魔物は人間を愛しているのよ。さぁ、ルシュちゃん、なでなでを追加するのよ。」
「はぁい。」
なでなでを指示されたルシュはビグルスの頭を正面から抱きかかえ頭を優しく撫で始めた。それは幼子をあやすかのようで慈愛に満ちていた。
「どうかしら。母性のつまったクッションを味わいながらなでなでされる気分は?正面はホルスタウロスの象徴、左右後ろを優しく抱きかかえられ、上はソフトになでなで。母性・おっぱい・浪漫・希望・おっぱいを詰め込んだクッションの教えの究極形態よ。」
「……。」
「やったかしら。はぁ、長かったわ。」
シスターは想定以上に長引いた教えがようやく終わったことに一息ついた。てこずらされてしまったが、ひとたび堕ちてしまえば後は快楽を楽しむ同胞となる。新しく誕生した夫婦をどのように祝おうか考えが及びだしたとき、彼女の耳は本来なら聞こえないはずの音を捉えてしまった。
「……な。」
「え?」
「余計な物を押し付けるな!!」
「そんな、クッションの教え究極ver.は完全に発動したはず。どうして。」
クッションの教え究極ver.を受けても未だ堕ちない男を前にして、シスターとルシュは混乱状態に陥った。これまで多大な戦果を挙げてきたクッションの教えが通用しないのである。
「くっ、ルシュちゃん。ひとまず引き上げて態勢を立て直すわ。」
「はぁい……。」
混乱状態にあってもシスターは必要な判断を下した。そして、ビグルスは一人きりになった。

同じころ、ファンはリースに甘えられていた。しかし、彼もまた同僚と同じく魔物からの誘惑に耐えていた。
「安楽椅子の教えスリスリver.を受けてまだ正気を保っているとわね。……いえ、正気ならリースちゃんとしっぽりやっているわ。」
「ふん、(おっぱいのない)魔物に欲情するわけあらすか。」
「大口叩くのは早くてよ。リースちゃん、よしよしするのよ。」
「はい。」
ファンに頬ずりして甘えていたリースはファンの頭を優しくなでだした。
「声も出ないようね。よしよしver.は安楽椅子の教えの究極形態よ。本来なら年上にしてもらうよしよしを敢えて年下の子にしてもらうことで外見と仕草にギャップを生みだし、アンバランスな魅力で相手を堕とす。これをうければ誰もがロリコンとマザコンを併発することになるわ。」
「……。」
「やったかしら。よくやったわ、リーs…!」
無垢な淫魔を誉めようとしたシスターであったが、ファンの目に未だ理性の光が灯っているのを見て絶句した。
「そんな……、こんなことって……。」
これまでのシスターの態度は実績に基づいた相応なものであった。すなわち、安楽椅子の教えを受けた男たちは尽く堕ちてしまったということである。しかし、彼女の目の前にいる男は幼い淫魔に甘えることもなく、貪ろうともしていない。
「リースちゃん、一度下がりましょう。」
「うん……。」
こうして、ファンも一人になった。
15/03/08 12:38更新 / 重航空巡洋艦
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■作者メッセージ
重航空巡洋艦です。

投下が大幅に開いてしまい申し訳ありませんでした。
一区切りついたので中編・その1を投下します。
ビグルスとファンは魔物娘の誘惑をはねのけていますが、少しは上げておかないと、ねぇ。

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