読切小説
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悪魔が囁く、二匹とも。
 もっと勉強しておけば良かった、と強く後悔した。市内でも有数の進学校を受験するも不合格――まあ、よくある話だと思う。勉強なんかどこでもできる、と半ば負け惜しみのセリフを抱えて、僕は滑り止めに受けていた高校へ入学した。
 入学してから知ったことだけれどこの学校は男女比が三体七、うち魔物娘は生徒全体の半分に及ぶ。男子の肩身の狭さと言ったら……と、嘆きたいところだが、大抵は恋人を作ったり、そうでなくとも男、女、魔物ともに仲良くやっている。
 特に文句の出るような学校でもないのだが――授業終了のチャイムと同時に吐き出すため息を、一つ前の席に座るチビが耳ざとく聞き取り、くるりと僕の方へ振り返った。
「どったの、アッキー」
「そのアダ名はやめろ」
「えー、いいじゃんね。アッキー♥ んふふ」彼女――名前を春という――は黒に浮かぶ紅の双眸を歪ませて、ニヤニヤ笑った。
「アッキー、悩みがあったらアタシに相談してね」
 その悩みの種たる春。彼女は魔物だ。種族はデビル。初めはその眼と青い肌に驚いてしまったけれど、彼女の気さくな性格と奔放過ぎる立ち振舞から、こうして軽口を言い合う仲へなるのに時間はかからなかった。
「そうだな、じゃあ、パンツを穿いてくれ」
「えー、なんで」
 春はそう言って、短い足をすっと組んだ。短いスカートがふわりと捲れ、僕は慌てて目を逸らした。
「ンフ……アッキーたらぁ、ス・ケ・ベ♥」
「せめてスカートを長くしてほしい」僕は思わず、ため息をついた。
「別に校則に違反してるわけじゃないしー」
「確かにそうかもしれないけど」
「じゃあいいじゃーん」
 言いつつ、春が椅子の上で身体を少し反らせたので、短いスカートが微かに持ち上がり太ももの間の暗がりが露わになりかけ――僕はまた慌てて、席を立った。
「帰る? じゃ、行こっか」
 春も席を立って、鞄をその華奢な肩に引っ掛けた。
 歩く春のお尻がぷりぷりと揺れて、短いスカートは絶妙にその下の素肌を隠している。黒く艶めいた尻尾と翼とが露出していた。
 魔物娘が多いということもあるのか、制服の着用を義務づけられているものの、規則は緩い。髪型についても、他人の迷惑にならない範囲で自由、とされていて、女子は特に思い思いのヘアーコーディネートを楽しんでいる。春は浅葱色の髪をいわゆるツインテールに結んでいて、身長も相まって(彼女の身長は頭が僕の胸元に届くくらい)ヘタすると小学生にも見える。
 隣に歩く春を一瞥して、ため息をつく。
「ねえ、アッキー。悩みごとはちゃんと解決しようよ? 意地張ってないで」
「意地張ってるのは僕じゃなくて、春の方だろ」
「…………なんの話?」
「パンツだよ!」
 思わず大きな声で言うと、廊下を行く他の生徒にクスクス笑われてしまった。
「アッキーったら、大胆なんだから……♥」と、頬に手をやる春にため息をつくと、彼女は僕の腕に絡みついてきた。
 悲しいことである。ノーパンミニスカなんか注意もされない。春は一つ前の席に居るから、椅子の上へ乗る春のお尻が嫌でも目に入るのだ。僕が後ろに座っていることを忘れているのか、時折彼女の尻尾がスカートを捲り上げる。
 気が散って勉強なんかできやしない。僕の成績が中学時代の半分まで落ち込むのも時間の問題だ。それが、ここのところの悩み。
「どうしたものかな」誰に言うでもなく呟いた。
 外靴に履き替えて、春と二人で昇降口を出たところで呼び止められる。
「明さん、お姉ちゃん、今からお帰りですか」
「ああ、冬子さん」片手を上げて挨拶をすると、きっと睨まれた。
「冬ちゃん、です」
「……冬ちゃん」
「ごきげんよう、明さん」
 ペコリと頭を下げた彼女は――名前を冬子という――春の妹だ。魔物娘で、種族も同じデビル。黒い目、赤い瞳、青い肌と尻尾に翼。学年は一つ下だけれど、春よりもよっぽど大人びて見えるのは眼鏡をかけているせいか、髪型か、あるいは性格や話し方か。
 形の良い鼻に乗る、細いアンダーリムの眼鏡。肩の下まで伸びた髪は綺麗に手入れされ、前髪はシンプルなヘアピンで留めてある。さすがに姉妹だけあって二人ともよく似ている。僕の胸元辺りまでしかない身長も、可愛らしい顔も、丸みを帯びながら起伏に乏しい体型もそっくりだった。
 中身の方は、姉の春を自由奔放と例えるなら、妹の冬子は泰然自若といったところか。
「奇遇だね、冬子」
「奇遇ね。お姉ちゃん」
 二人のやりとりに思わず苦笑する。奇遇も毎日続くならそれはもう習慣と言って構わないのではないか。
「……冬ちゃんも今から帰り?」
「ええ、そのようで」
 冬ちゃんと初めて会った日に「冬ちゃんとお呼び!(要約)」と言い渡され、冬子ちゃんと呼ぼうものならすぐさま訂正される。
「じゃあ、一緒に帰る?」
「はいっ♪」と、冬ちゃんは腕を僕の腕に絡めた。両腕に冬ちゃんと春の、青い花を抱えると歩きづらい。これもいつものことで、慣れ始めている自分が居た。
「冬子、聞いてよ。アッキーねぇ、悩みごとがあるんだって」
「それはホントですか?」冬ちゃんは僕を上目遣いに見やった。
「うん、春のことで」
「お姉ちゃん、明さんになにしたんですか」
「別にー」と、春はわざとらしく口笛を吹いた。
「明さん、お姉ちゃんになにをされたんですか?」
 冬ちゃんがいかにも真剣な目をするので、僕は少し気圧されてしまう。いや、とか、まあ、とか濁しながら僕は話した。
「春、パンツを穿かないんだ」
「……ぱ、パンツ」冬ちゃんは青い頬を微かに赤らめて、俯いた。
「冬ちゃんからも穿くように言ってくれないかな」
「で、でも……」
「でも?」僕は思わずオウム返しにした。
「私も、今、穿いてませんし……」
「なっ! 冬ちゃんもだって!?」
「い、いつもじゃないですよ? 明さんと会うとき以外はちゃんと……」
「なんで僕と会うときは脱いでおくんだよ!」
 僕がそう言うと、春はくつくつと笑った。
「アッキー、そんなの決まってるじゃーん」
「ぶーっ。なんの理由があって……」
「興奮するからだよ!」
「……頼む、パンツ穿いてくれ」そう言って僕がため息を吐くと、冬ちゃんは言い訳をするように言った。
「でもでも、私とお姉ちゃんがノーパンで居ても、明さんには迷惑をかけていないはずです!」
「迷惑なの! 勉強に集中できないんだ。授業中とか気が散って成績は落ちるし、今だって……」と、僕は口を噤んだ。
 なぜだか嫌な予感がして左右を確認すると、春も冬ちゃんもなにやら悪そうな顔をしていた。
「うんうん、アッキーも我慢の限界があるよね♥」
「これは由々しき事態ですよ。お姉ちゃん、なんとかして明さんのお悩みを解決しないと」
「いや、二人ともパンツを……」
「アッキー、今日時間大丈夫?」
「え、ああ、平気だけどそれよりもパンツを……」
「よしっ! 冬子、今日は家には?」
「両親はお仕事で泊まり。誰も居ないはず!」
「なんて好都合! アッキー、アタシたちの家でお悩み解決のプランを考えようじゃん!」
「え、ええ……」
「大丈夫ですよ、明さん。たとえ一晩中かかってでも解決してみせますからね……♥」
 僕は二人に引きずられるように、彼女たちの家へと連れられた。いつもは軒先で少し話してから別れるのだが、今日は部屋のベッドへ座るまで二人は腕を離さなかった。
 三人で一つのベッドに腰掛けると、さすがにスプリングも大きく軋んだ。
「それで」
「アッキーの」
「悩みごとですけれど」
「どうしようっかな♥」
「どうしましょうね♥」
 右耳に春の、左耳に冬ちゃんの吐息が吹きかけられる。
「ステレオで喋らないでくれ、むず痒い……」微かに身を捩らせると、二人は少し身を離した。
「じゃあ、アッキー。お悩み解決、実践と行こうじゃん♥」
「……なにそれ?」と返す間に、いきなり春は制服のブレザーを脱いで床へ放り、リボンを解いて、ワイシャツの襟元に手をかけた。
「ちょちょちょっと! ストップ! 春、なんで脱ぐんだよ!」
「なにって……ねえ? 冬子」
「ねえ? お姉ちゃん」と、振り返ると、冬ちゃんもブレザーを脱いでリボンを外していた。
 ぽかんと口を開けたままでいると、春はやれやれと肩を竦めた。
「アッキー、ここまで来て分かんないのはねー、若いオスとしてどうかと思うな」
「お姉ちゃん、明さんを責めないで。でも、確かに……ちょっと……」
「その落胆のされ方は色々と不本意なんだけども」
 二人がずいっと身体を寄せてきて、二の腕へ微かな膨らみが押し付けられた。
「アッキーはアタシがパンツを穿かないから、気になって勉強に集中できないんだよね?」
「あ、ああ、うん……」
「明さんは私がパンツを穿いていないと、気になってしまって家へ帰ってからも悶々としてしまうんですよね?」
「い、いやそれは……」
「だから、アッキー」春は短いスカートをたくし上げた。
「ねえ、明さん」冬ちゃんは膝上まであるスカートをたくし上げた。
「スッキリしようよ♥」
「我慢しなくていいんですよ♥」
 それが当然のように、二人はスカートの下になにも穿いていなかった。下腹部から続くなだらかな流線が太ももの間に吸い込まれ、肝心の部分は暗がりに隠されている。
「あれぇ、アッキー♥ ここ、見たいんだ?」
「うふふっ、明さんはムッツリスケベですもの♥ 気になってしょうがないんでしょう?」
 ――違う、と僕は舌を動かしたけれど、空気が喉を擦れて出て行くだけで声にはならなかった。春と冬ちゃんがベッドから腰を上げると、押さえつけられていたスプリングが戻り、音が鳴った。
 僕の目の前で、演劇場の幕のように捲られる二枚のスカート。青く肉付きの良い下腹部から視線を落とすと、ぷにぷにとした肉が性器の周りを覆っていた。そしてその割れ目は汗を垂らしていた。
「ほーらぁ、アッキーが気になってた女の子の大事なとこだよ♥」
「いやぁん♥ こんなにじっくり見られるなんて、恥ずかしいです……♥」 動悸の音が激しく、血を昇らせる。スカートをたくし上げた二人と、それをまじまじと見つめる自分。はっとして、僕は顔を俯かせた。
「い、い、家へ来たものだから、僕はてっきり一緒に勉強をするとか……そういう、ことかと……」
 僕が言うと、春と冬ちゃんは互いに顔を見合わせた。
「やだ、明さんってとっても鈍感?」
「違うよ、アッキーはウブなだけだよ」
「ふふっ、かわいい人♥」
 冬ちゃんはスカートから手を離した。幕が降りるように視線を遮断される。
 春の方へ目をやると、彼女は意地悪そうに笑って、見せつけるように身体を反らせた。
「春も、もうやめろよ」
 そう言って、僕は目を逸らした。冬ちゃんはくすりと笑って、僕の耳元へ唇を寄せた。
「そうは言っても……ほら、おちんちんはしっかり反応しちゃってますよ♥」
 背骨の中を冬ちゃんの声が走り、ぞくぞくと震える。僕の一物はごまかせないほどに膨らんで、ズボンにしっかりとテントを張っていた。
「ね、今、苦しいでしょう? つらいですよね?」冬ちゃんの吐息がかかる。
 春も僕の傍へ来て、耳に口づけをした。
「アッキー、アタシのお尻見て興奮したんでしょ? 勉強に集中したいなんて嘘だよ、本当は交わりたいだけ♥」
「明さん、つまらない意地なんて捨ててしまいましょう? 吐き出しましょう、ね? ぴゅっ、ぴゅって♥」
 二人の悪魔が囁く、僕を堕とそうと――。
 冬ちゃんからか春からか、どちらが先か判然としない。二人は幾度も僕にキスをした。温く、湿った唇が、頬や耳やうなじに見えない印をつけていく。
「アッキー、交尾しよ♥」耳にぬるりと舌が這う。
「明さん、したいですよね♥」頬に唇が噛み付く。
 ――僕は悪魔たちの誘惑に逆らえなかった。
「し、たい……」喘ぎに息を切りながら、僕はやっと言った。「交尾、したい……」
 春と冬ちゃんはニンマリと笑って、僕をベッドへと押し倒した。三人の体重にベッドは深く沈み、ギシリと軋んだ。
 ブレザー、ネクタイ、ワイシャツ、ベルト、ズボン、下着の順に二人がかりで剥かれ、パンツを取られた。いつの間にか、二人も服を脱いで全裸になっていた。
 股間に屹立するソレを、二人はまじまじと見つめて互いに感想を言い合った。
「アッキーの、思ってたより大きいねー♥」
「私のココに入るんでしょうか……」
「……あの、あんまり見られるとこっ恥ずかしいんだけど」
「あらら、さっきまでアタシと冬子のを舐めるように見てたくせにぃ♥」
「明さんには少しおしおきが必要かも……♥」
「違いないねー♥ じゃあ、アッキー、交尾はお預けだよーん」
 二人は勝手に決めて、僕の一物に指を這わせ始めた。
「うっ、ぁ……!」
「わー、ぬるぬるだー♥ 男の子もこんな風になるんだねー」
「気持ちいいですか? うふふっ、言わなくても分かりますよ♥」
 こしこしと、まさに虫が這うように春と冬ちゃんの青い指が、股間に蠢いていた。柔らかい指が絡みつき、四つの赤い瞳は僕をじっと見つめていた。
「んぅく、うっ、うっ……」
 あまりの快感に腰が砕けたようにガクガクと震える。それを見て、春と冬ちゃんは悪魔じみた笑みを浮かべた。
「あははっ♥ アッキー、かわいいー♥ ね、童貞? 童貞でしょ?」
「明さんの童貞……これからじっくり、ゆっくり、ぐちゃぐちゃにしてから、奪っちゃいますからね♥」
 二人の手指に先走りの汁が絡み、僕の一物はにちゃにちゃと絶え間ない快感を受信した。全身の血がその先端にじわり、じわりと追い詰められていく。貧血を起こしたように、僕の頭はクラクラ揺らいだ。
「あっ、く……二人とも、ちょっと手止めて……!」
「えー? なんでぇー?」春はわざとらしく首を傾げ、ニヤリと笑った。
「いっぱいいっぱい出しましょう、明さん♥」冬ちゃんは舌なめずりをして、ニヤリと笑った。
 二人は示し合わせたように、手指の刺激をキュッと強めた。
「う……あ、ぐっ……!」
 頭にザーッと温かく白いノイズが流れ込み、先に射精の合図を告げる。肺の内圧の高まりから一呼吸置いて、僕は破裂するように精を吐き出した。
「あっ、出てるー♥ うわぁ、すっごいビクビクしてるねー♥」
「ビュッ、ビュッて、手のひらにかかってるのが分かります♥」
 断続的に火花のような快感が全身に瞬いていく。二人の手の中へ吐き出したドロドロの精液に溶けていきそうだった。
「ふふっ、明さんの蕩けた顔……とっても気持ちよさそう♥」
 冬ちゃんは僕の一物から手を離した。そして、その手指に丁寧に舌を這わせ、出たばかりの精液を口へ運んだ。
「ん……とっても濃くっておいしいです♥」
 精液の大半を受け止めたのはどうやら冬ちゃんの手らしい。春の手にはほとんど精液がついておらず、彼女はそれに不満なのか少し頬を膨らせた。
「じゃ、アタシはアッキーのちんちん食べちゃおー」
 春はそう言うなり、精液に濡れたままの一物をパクっとその口に咥え込んだ。射精直後の敏感な鈴口に彼女の舌がぬるりと滑り、カクカクと腰が痙攣する。
「んぅふ……♥ あっひーのぉ、んおわぃおぉー♥」
「咥えたまま、喋るなっ……!」
 ちかちかとした快感に身体を反らせると、春はますます深く一物を飲み込んでいく。残った精液をじゅるじゅると吸って、喉まで使って尿道を刺激した。執拗な舌使いに呼吸がぐちゃぐちゃに乱される。
 冬ちゃんは手についた精液を平らげるとベッドへ上がって、僕の顔へお尻を向けるように跨った。鼻先にぶら下げられた割れ目から愛液が零れ落ちて、とろりと頬を伝った。
「明さん……♥ 私のココ、慰めてもらってもいいですかぁ♥」
 返事を待たずに、冬ちゃんは僕の口へ秘裂を押し付ける。僕は舌を伸ばして、必死に柔らかく青いドアを叩いた。そこは甘く芳しい粘液に満ちている。
「んぅっ♥ 明さんの舌、とっても熱いです……♥」
「ふうほ、ぅあぅひぃんもぉー♥」
 冬ちゃんの鼻にかかった声と、春のくぐもった声と、粘っこい水音とが部屋に並べられた。
 僕の一物を気怠さのような快感がぬるぬると包んでいる。射精直後のむき出しの神経も元に裏返り、飛散した快楽を再びかき集めるように、血が下腹部周辺へ集まってくる。
 僕は腕を上げて、冬ちゃんのお尻を優しく撫で回した。すべすべのお尻を鷲掴みにすると指が肉に埋まる。腰をもう少し落とさせ、一番敏感な箇所を舌でツンと突いてやると、彼女は矯正を上げた。
「きゃあんっ♥ 明、さんっ……そこ、ダメぇっ……♥」
 お尻の感触を楽しみながら、冬ちゃんのクリトリスを舌で弄ぶと、ぽたぽたと愛液が滴ってくる。
「あっ♥ あっ、んぅ……♥ ダメって、言ったのにぃ♥ 明さんの意地悪っ♥」
 冬ちゃんは力が抜けてしまったらしく、そのまま座り込んでぎゅうっと太ももの間に僕の顔を挟み込んだ。僕はチャンスとばかりに、舌を彼女の秘裂の中に潜り込ませたり、ベロベロと下品にクリトリスを舐め続けた。
「んふぅこもひもひひょまもぅー♥」
 春は冬ちゃんの姿態を見て欲情に駆られたのか、急に一物への刺激を強め始めた。喉奥まで飲み込み、カリの部分まで唇でなぞり上げる。と、鈴口をちゅうっと吸いながら、舌で円を描くように舐め回す。そしてまた喉奥へ飲み込んで、裏筋を舌で愛撫する。
 本気で射精させるつもりのフェラチオだった。僕は負けじと(そもそも戦いなのか?)冬ちゃんのお尻と秘裂とを撫でた。
「あんっ、ぅん……♥ あぅぅ、明さんっ♥ 明さん、私……もうイッちゃいそうかもぉ♥」
「あっひぃのもひむひむひてぅにぇ……♥」
 僕もすでに、春の執拗な口撃に限界が訪れていた。顔中に青い恥肉を受け止め、その内に忍び込みながら、僕の分身は青紫の口にいじめられた。
 秘裂への愛撫を激しくさせると、冬ちゃんはかくかくと腰を揺らした。
「あっ♥ あっ♥ いやっ、明さぁんっ♥ いくっ、いくっ♥ いくっ、ああっ♥」
 冬ちゃんは半ば叫ぶように言うと、ぎゅっと太ももで強く僕の頭を締め付け、そして少し間を置いてくたりと力を抜いた。
「んっ……はあぁ♥」
 ぐしょぐしょになった冬ちゃんの股間が僕の顔面を押し潰す。そして、ちょうどそのとき僕の射精感は春の口と舌によって高められた。
 春はじゅるじゅると音を立てながら僕の一物を一気に飲み込み、舌と上顎の裏を絶妙な力加減で使い、精を吐き出させた。全身の産毛が逆立つような快感が一瞬間閃き、他人ごとのような射精の痙攣が神経を伝ってきた。
 僕の喉から出て行った喘ぎは、冬ちゃんの秘裂に吸い込まれていった。
「んっ、んっ、んんー……♥」
 春は丁寧に丁寧に吸い上げ、1ccも残さないかのように精液を飲み込むと、ようやく一物を口から吐き出した。
「はぁ……♥ はぁ……♥ 明さん、ごめんなさい♥ 気持ちよすぎてしまって♥」
 やっと力を取り戻したように、冬ちゃんはのろのろと立ち上がり、すぐ隣へ寝転んだ。
「ふふっ、私のアソコはどんな味がしましたか……♥」
「甘かったよ」
「本当ですか……♥」
 冬ちゃんは僕の唇へ舌を近づけたけれど、間を置かずに春の声が飛んできた。
「抜け駆け禁止ー!」
「ごめんね、お姉ちゃん。つい……」冬ちゃんはいかにも申し訳無さそうに言って、上体を起こした。
「アッキー、アタシのことも気持ち良くしてくれるよね?」そう言って、春は僕の手を取って、抱き起こした。
「もちろん……」と、ベッドから降りて春と向かい合う。
 視線を落とすと、春の股間から太ももは愛液が伝って光っていた。一方、僕の一物は二回の射精を経て、さすがにうなだれていた。
 肩をすくめてみせると、春はくすりと笑って、つま先立ちにキスをした。
「口でしたあとでごめんね」
「いや、別に……気にしないけど」僕は唇へ手をやった。
 柔らかな感触がぽっと灯ったそこから、ジリジリと焦がすような劣情が骨の髄から湧いてきて、内側から突かれたように一物が勃起した。それを見て、春はペロリと舌なめずりをした。
「大丈夫みたい、だね♥」
「みたいだけど」いったい、春はどんな手品を使ったのだろう。
 春は得意気に笑って、ベッドに上半身をうつ伏せに横たえた。そして、お尻を突き上げるようにして、トロトロの秘裂を指で開いて見せた。
 ドク、ドク、と一物が脈打ち、更に硬度を増した。自身の息が荒くなるのがよくわかった。すぐにでも組み伏せて、貫いて射精したい。
「ねっ、アッキー♥ 後ろから繋がろう♥」
 けれど、僕はまだ抑圧している。性器は正直にビクンビクンと間抜けに揺れている。
 生殖したい――交尾! 交尾! 交尾!
「交尾しよっ♥」
 バチリ――鎖が外れるような音が耳元で鳴ったけど、どうでもいいことだ。屹立したそれを太ももの間に突っ込むと、犬のように腰を振った。
「あっ♥ あっ、アッキー♥ いきなり激し、すぎっ♥ あっ♥ でもいいよっ、やめなくていいっ♥ そのまま動物みたいに交尾しよっ♥ 射精しよっ♥」
 パンッパンッ、と肉と肉を打ち付けて、擦り合わせる。一物に絡む肉の感触に腰が砕けそうになり、僕は上半身を倒して春にしがみついた。その間中、腰を振り続ける。生殖器を出し入れし続ける。犬のように!
 春の脇の下から腕を回して、その控え目な胸元を手で揉みしだく。彼女は幼児体型だが肉付きが良く、どこを触ってももちもちとした感触が情欲をかきたてた。
「あはぁっ、アッキー♥ いいよっ、いいっ♥ 犬みたいに交尾するの好きぃ♥ 気持ちいいっ♥」
 春のお尻を下腹部に押し付けるように、腰を深めに深めに揺する。ぐじゅぐじゅと結合した部分が粘っこく音を響かせ、それに混ざる春の喘ぎが乱暴な生殖本能を増長させた。
 射精の感覚は予兆なしに、いきなり訪れた。身体中の精という精が生殖器の先端へと爆発するように集まって、春の膣内に解き放たれた。尿道を突き抜けていく精液の感覚が生々しく脳へ刻まれ、がくがくと全身の関節がバグったみたいだった。
 四回の断続的な吐精を済ませ、僕の一物は萎える気配もなくその神経に肉の感触を欲求した。春の泣き笑いのような喘ぎ声は、生殖運動を再開させるとより大きくなる。
「あひぃ♥ あぐぅっ♥ ああ♥ アッキー、激しい♥ 好きっ♥ 好きだよアッキー♥ 好きなの♥ 大好きぃっ♥」
 リビドーをままに叩きつけるようなセックス。犬のように激しく、犬のように間抜けに生殖を続ける。春が腰砕けになってベッドの上へ逃れても、後ろから組み伏せて丸いお尻に出し入れする。彼女の手首の辺りを押さえつけて、逃さない。
 ああ、コイツめ。コイツめ。授業中、どんなにか春の尻に情欲をかきたてられたか。生殖したい、交尾したいと――僕は腰を振り続け、膣内に二度目の射精を行った。じゃぶじゃぶという音が聞こえたような気さえした。
「あー……♥ うー……♥ うー……♥」
 僕はぶるっと身体を震わせて、一物を春の中から引きずりだした。手を離しても、春はうつ伏せになったままでピクピクと痙攣していた。
「す、すっごい……」
 一息つくと、ベッドの隅で顔を赤くする冬ちゃんが感嘆の声を上げた。彼女の太ももの間へ目をやると、そこは先ほどよりもさらに愛液に濡れていた。伝い落ちた愛液がシーツに染みを作っている。
「する?」
「……はい」
 冬ちゃんの手を取って、春の横たわる隣へ仰向けに寝転ばせる。
「犬みたいに、脚開いて」
「い、犬みたいにですか……?」
「こう」と、僕は彼女の両膝を掴んで無理やりに脚を開かせた。「ほら、お腹丸見え」
「あぅぅ……♥ ホントに犬みたいぃ♥」
 あの淑やかな冬ちゃんが犬のように寝転んでいる。控え目な胸も、お腹も、そして性器さえ無防備に僕へ晒している。一物はすでにヘソにつきそうなくらいそそり立っている。
 冬ちゃんの性器と、僕の性器とを擦り合わせると、愛液のお陰でくちゅくちゅと音を立てた。
「んっ……♥ あ、あの明さん……優しく、お願いします、ね……♥」
 冬ちゃんの表情を見ると、期待たっぷりの嗜虐心を煽るように赤い瞳を潤ませていた。僕は彼女の細い腰に両手を回し、一物を彼女の入り口へあてがった。
「……ダメ」一気に腰を前に押し出す。
「ああああっ♥ 意地悪っ♥ 明さんの意地悪ぅっ♥」
 冬ちゃんの膣は春と比べると若干狭いようだった。ぐじゅぐじゅと僕の一物を飲み込むと、凹凸の激しいひだがミチミチと押さえつける。
「あ、くっ、冬ちゃんの中、きっつい……!」
「あっ、あっ、あっ♥ 明さんのおちんちんがっ♥ 私の……壊しちゃうっ♥ 壊しちゃいますぅっ♥」
「ああ、壊してやるとも、さ」
 僕は冬ちゃんの両手首を掴みベッドへ押し付け、そのまま腰を振り始めた。彼女の感触に慣れるまではゆっくりと――僕の生殖衝動は彼女を貫く。
 正常位で繋がっているため、冬ちゃんと顔を突き合わせる格好になる。生殖運動が激しくなるにつれ、彼女は顔を逸らした。
「ふぅ、んっ♥ こんな……こんな犯されてるみたいなんてぇ♥ イヤですぅ♥」
 コイツ、コイツ――ブレザーの下に蠢く肢体を、何度想像しただろうか。こうして無理やりに生殖に及ぶことを。僕は冬ちゃんの柔らかな膣へパチンパチンと間抜けに腰を打ち鳴らす。犬のように。ギシギシとベッドが揺れている。
 傍に寝転ぶ春が息も絶え絶え、横目に僕と冬ちゃんのセックスを眺めていた。
 冬ちゃんの膣はさすがに刺激が強かった。乱暴に彼女の中に出し入れすると、えぐるように僕の生殖器を刺激してくる。射精感が高まるにつれて、もっと奥へと欲動が突き進んだ。
 僕は冬ちゃんの手首を離して、そのまま上体を倒して覆い被さると、背中に腕を回してきつく抱きしめた。腰をグイグイと前へ前へ押し進めて、その最奥を身体で思い描いた。
「あ、ぐ……♥ 深いぃ、明さんの奥まで来てるの分かるっ♥ 分かりますぅっ♥」
 身体全体を揺らすように冬ちゃんの中へ、自身の一物を押し込む。
 冬ちゃんの一番深いところで射精したい! 生殖、交尾――自分の全てを賭けて精液を冬ちゃんの膣に注ぎ込みたい!
 僕は上体を少し起こすと、冬ちゃんの腰に両手をやって大げさなくらい生殖器を出し入れした。彼女のお尻の肉と、僕の下腹部が打ち付けられ、音を立てる。
「いやぁっ♥ 犯されちゃってるっ♥ 私、明さんにぃっ♥ 犯されてる♥」
 射精、生殖。交尾。僕は今、あの冬ちゃんと交尾している。犯している。ぐじゃぐじゃと膣と陰茎が混ざり合っている。一生懸命に腰を振り続けて、ふと貧血のような射精の予感が僕の下半身を包んだ。
 奥へ! 奥へ! 僕は生殖器を冬ちゃんの奥へと強く押し込んだ。甘ったるい空気が喉元で軽く爆ぜ、僕は下半身で嘔吐するように精液を冬ちゃんの膣に吐き出した。白いノイズが頭を覆って、クラクラとさせる。
「ああっ、あっ♥ 明さんの♥ 精液♥ いっぱい出されちゃった……♥ 出されちゃった♥」
 吐精が収まると、僕は冬ちゃんから身体を離して、生殖器をぬるぬると引き出した。
 少しの時間、三人の荒い呼吸の音だけが部屋に響いていた。
 春と冬ちゃんはのそりと起き上がり、愛液と精液が覆う僕の一物を見ると、それに唇を寄せた。二人の青い舌が一物を這い、丁寧に精液を舐めとっていく。そのこそばゆい快感に、一物が綺麗になる頃には再び勃起していた。
「じゃ、もう一回アタシの番……♥」
 春はそう呟くと、僕の返事も待たずに跨ってきた。僕はやれやれと、苦笑いをした。一日はあまりに長い。

 ――――

 部屋に性臭が満ちていた。シーツは精液と愛液でびしょ濡れ、今日はこのベッドには寝られないだろうと、変な心配をしてしまう。
 僕の両腕を枕にして、春と冬ちゃんが荒く息をついている。さすがに、ヤリ過ぎた。窓からは月が覗きに来ているのが見えた。
「そうだ、写真撮ろう……」春は呟いて、ベッドの下の鞄からスマートフォンを取り出した。
「写真、なんの?」
「記念写真、です」訊くと、冬ちゃんが答えてくれた。
「そうそう。よいしょ、じゃあ、撮るね」
 二人とも僕にぎゅっと抱き寄って、スマートフォンの画面に入った。春がシャッターのボタンを押して、写真が保存された。
 画面に写る僕の表情は、なんとも言えずだらしがなかった。
15/03/04 14:58更新 / ニノウデ

■作者メッセージ
お久しぶりです。勢いでバーッていうSSでしたが、お楽しみいただけたでしょうか。
ノーパンはそりゃあ気になりますよ。明はアキラと読みます。

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