連載小説
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そのろく
堕落の乙女達の夫「人生オワタ」
そのろく

いまさら人物紹介
・ウィルマリナ=一応メインヒロイン。
理不尽な命令をばらまくお嬢様だったが、教団によってその性格は矯正された。
・ミミル=天才ロリから淫乱ロリへと生まれかわった魔法少女。
・サーシャ=疲労で寝込んでたために
堕落神との長話でダークプリースト(DP)に転職してしまったドジお姉さん。
・ロリーサ、ロリシャ=サーシャと共にいる二人のロリDP。
名前のないキャラが三人もいると収集がつかないためやむなく仮名がつけられた。
大きいほうがロリーサ、小さいほうがロリシャである。
・プリメーラ=ハーフエルフからワーウルフになるという離れ業を成し遂げた。
最後に『フ』のつく種族なら何にでもなれたのではないかという説がある。
・メルセ=自分が女性であることに嫌悪してても
意中の男性へのセックスアピールはしっかりやってた鬼教官。
・フランツィスカ=まて、そのビジュアルはおかしい。
・今宵=主人公が童貞捨てないと登場フラグ立たないという
悲惨すぎる最後のヒロイン。
・デルエラ=諸悪の根源。弱点はアナル。
・あなた=仮名すら与えられていない主人公。
あきらかにインキュバスの突然変異なのだが、本人は
「そんなの認めない。俺はどこまでもヒューマン」と言い張っている。
もし公式でインキュバスの突然変異が認められたらどうするつもりなのか。

「ただいまー」
優雅さを漂わせてティータイムを楽しんでいた傾国の悪魔が
片手を上げて挨拶した俺の姿を見て口から紅茶を噴出した。

なぜ俺は自分からレスカティエに帰国したのか。
……事態は一ヶ月ほど前へと遡る。
周到に用意したプランのもと逃げおおせた俺は、レスカティエから
さほど離れていない、ある反魔物国家に腰を落ち着けていた。
論理的に潜伏場所を選ぶと読まれる可能性があることもふまえ
探索用の自立式魔力塊たちを用いて周囲の国々を
入念に調査し検討した結果、ここがまあまあ最適と判断したためだった。
あまりにも適した場所では網を張られるので
このくらいのほうが問題ないと結論付け、俺は
自由の素晴らしさを五体で感じながら酒場巡りを始めた。

潜伏してから十日ほど経過したある日、俺は偶然にも
かつて見習い兵士だった頃からの親友を見つけた。一年前に
『ある魔物に惚れた。自分はその魔物と姿をくらます、じゃあな』
と、はにかんだ笑みで俺に言い残して消えた奴だった。
声をかけると、親友は懐かしさと驚きが含まれた顔をしたが
その後すぐに表情を固め「しっ!」と沈黙を要求してきた。
そして俺は言われるままに自宅へと案内されると、そこには
人間とまったく変わらない外見の女性がいた。
正体はどんな種類の魔物かちょっと気にはなったが
切実に語る親友の話に耳を傾けているうちに俺は血の気が引いていった。

「……で、どういうことなのかしら?」
むせた呼吸を整え、解説を求めるデルエラに
俺は一枚の羊皮紙を取り出して見せた。
「…教団の討伐対象ランキング………?
へえ、こんなものが出回ってるのねぇ。初耳だわ。
一位は…ああ、やっぱりお母様ね、んふふ。で、二位が……ふんふん…ん?
この、五位の『勇者喰い』って誰かしら。聞いたことない異名ね」
「俺」
今度は空気と唾を吹きだすデルエラだった。
「しかもご丁寧に似顔絵まである」
恐ろしいくらい似ている俺が描かれた二枚目の羊皮紙を取り出す。
「あんたが俺を探索するときのために
リャナンシー総動員で大量に描かせた人相書きの模写だ。
魔物達に配布されたオリジナルを教団が手に入れたんだろうな。
…親友の奴が言ってたよ。こんなのが出回ってるのに
フラフラしてるとか正気の沙汰じゃない、急いでレスカティエなり
魔界なりに逃げろ……ってさ」
ということで友の助言に従い、それから十日ほど
注意に注意を重ねて酒場巡りしてからレスカティエに戻る旅を始めたのだ。
さらに、五位とはいっても討伐までの道のりや難易度に
倒すべき優先順位といったもろもろの条件を含めると
狙われる可能性は実質一位です本当にありがとうございました。
「誤算ここに極まれりだ」
どうやら教団は最初マリナ達を名誉の戦死扱いしようとしたら
『あれはウィルマリナ様だった』『勇者さま達が魔物になってた』
などと目撃証言が続々出てきて――たぶん俺を追いかけたくて
マリナ達が教国の制圧をやっつけ仕事したため魔物化しないまま逃げた兵達が
相当数いたのではないか――隠蔽不可能となり、
苦肉の策として『魔王やリリム達の影響や支配すら受けない、
旧魔王時代の強大なオスの魔物に勇者達が嬲り堕とされた』などと
俺の歴史にとんでもないデタラメ上書きしやがった死ねあいつら。
「事情はわかったわ。
それで、ココに戻ってきたということは…観念した、ってことよね?」
「あー………最初はそのつもりだったんだけどなぁ。
魔物やインキュバスって性交でパワーアップするんだから、なら
俺がマリナ達とヤればお互い強くなれると思ってさ」
「最初は?」
デルエラの眉がピクリと動いた。
「けど、いざとなったらやっぱ往生際が悪くなってね。
それでさ、ものは相談なんだが……あんた、あいつらに
上質なインキュバスを人数分あてがってやってくれないか?その代価として
バリバリ働いてやるからさ」
「悪くはないわね。今の貴方は戦力としてたいへん魅力的だし」
「おお、さすが話がわかる」
俺が喜ぶと、デルエラは、これまで見せたことがない
満面の笑みで、俺の斜め後ろのほうを指差した。
「?」
首をかしげてその方角を見ると……
……限界まで発情したメス狼の群れと見間違えるほどに出来上がった
見覚えのある八人がいた。そのうち一人はメス狼そのものだった。
「あの子達を説得できたらいいわよぉ」
「あいつらいつからいたの?」
「最初はそのつもりだった〜〜って、貴方が
言ったあたりからかしらね」
一番マズイこと言う手前あたりかよ。
「往生際が悪く〜〜からは聞こえてなかったみたいね。
その前の発言で出来上がったみたいだし」

……諦めるわもう。
12/01/09 15:45更新 / だれか
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■作者メッセージ
ついに「あなた」の心が折れたと思いましたか?

…いえいえ、元々何回も折れてはいたんです。
ただ、歴史に名を残した偉大な王や指導者たちのように、
彼は折れた心を、修復や補強したり、もしくは
応急処置をして新品がくるまで持ちこたえさせたりしていたんです。
一回折れたからもう駄目…なんて思考はハナからないんですね。

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