連載小説
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とある夫婦の一日の光景
 勇者部隊の練習場になっているある広場では、そこら中で様々な年の頃な男たちが二人一組になって戦闘訓練をしていた。
 がつりがつりと剣と盾が合わさり、ガキガキと鍔迫り合いをする音が広場一帯から発せられ、その顔は皆真剣だった。
 そんな光景を一つ段の高い場所から一人の青年が睨みつける様に見ながら、怒号を各場所に向かって飛ばしていた。
「おらそこ、お前はもう勇者じゃない『ただのラミアの夫』なんだぞ!そんな猪剣士のような一か八かの捨て身の攻撃ではなく、どうすれば手傷を負わないで済むか頭を使え!戦場で死んで奥さんを泣かせる気か!」
「す、すいません!」
「そっちで延々睨みあっている二人、お前らいったい何分間鍔迫り合いしているつもりだ、お前らホモか!男同士で浮気してるって奥さんに知らせるぞ!……明日は二箇所で血の雨が降るなぁ」
「「か、勘弁してくださいよ……」」
「ならさっさと仕切り直せ!腹に蹴りを入れるなり、力を抜いて相手の体制を崩すなり早くしろ!勇者時代と同じように何時までも体力が持つと思うなよ、お前らに神の加護はないんだ!」
 戦闘訓練をしている組を順々に目で追いながら、彼――リリムのグレンセールの夫であり元勇者のラクリーム・ヴェディエムルは指示を飛ばしていく。
 リリムの夫である彼が魔王からの命令で受け持つことになったのは、主神の加護で死に難かったために大雑把な戦い方が身に付き、戦場でいつも死に掛けて戻ってくる元勇者たちの戦闘方法の矯正だった。
 たしかに逃げ続けて魔王城の麓までたどり着いた彼ならではの仕事だろう。
「おい、そこのベルゼブブの夫!お前は基礎からやり直せ!」
「ああ、もう五月蝿いっすよ、アンタがドンだけ偉いかしらねーすけど、俺には俺の戦い方があるっす」
 新入りの元勇者がそう口答えをするのを見て、周りの元勇者たちはあー自分もああいう時期があったなと懐かしい眼をする。
 その新入りの前までラクリームはつかつかと歩み寄ると、模擬剣と盾を構えて対峙する。
「よく言った。ならその戦い方を見せてもらおうじゃないか」
 そして数分後、顔面血だらけ痣だらけになりながら床につっぷすベルゼバブの夫。
「何か言うことはあるかな?」
「ズ、ズルイ。いきなり盾を投げつけたと思えばその影に投石を潜ませるとか、鍔競ってるときに目潰と麻痺粉浴びせて動けないところをボコ殴るとか、普通の戦い方じゃねーっす」
「ベルゼブブの夫だからどれだけ汚い手を使ってくるかと期待してみれば、腐っているのは性根だけか。いいか戦場で卑怯とは褒め言葉だ覚えておけ」
 ついでにもう二・三人を指導してやろうかとぐるりと見渡すと、フードを被ったローブ姿の女性が眼に留まった。
 女性はラクリームが視線を自身に向けたのに気が付いたのか、控えめにラクリームに向かって右手を振っていた。
 日の高さを見ると、もうそろそろ昼食の時間に差し掛かる頃合。
「今日はこれで終わりだな……」
 そうラクリームが呟くのと同時に、広場全体に溜息にも似た息遣いがあちらこちらから上がる。
 しかし戦場で気を抜くと死がやってくるように、この場には鬼教官と化したラクリームが居た。
「それじゃあ今日は解散。ちなみに、次回の集まりまでに改善が見られない奴は、俺の代わりにお前らの奥さんに(性的な意味で)こってり絞ってもらう事にするのでそのつもりで」
 ラクリームのその言葉に、元勇者全員さっと顔を青くすると、広場の一角に集まりああでも無いこうでもないと戦術談義に花を咲かせ始めた。
 しかしそれもラクリームの罠で、漸く夫が戦闘訓練を終えていちゃラブ出来ると思った妻を無視するような行動を取れば……まあ後はご想像にお任せします。
「お待たせグレン。今日は何処で食べる?」
「何時も通りに家じゃイヤ?」
 さっきまでの鬼教官とは打って変わって優しい夫の顔になっているラクリームの腕をぎゅっと握って、その暖かさを確かめるローブ姿の女性は彼の妻であるリリムのグレンセール。
「嫌じゃないけど、たまには……まだ抵抗あるの?」
「ウン……」
 グレンセールは自分の容姿に長年自身が持てなかったため、必要に迫られない限り家族の人間以外に素顔を見せることは滅多に無い。
 特にラクリームが夫となったことで、吸精で男を襲うことも無くなり、更には『醜いリリムが何になるか』を知ってからは、それが顕著に現れるようになっていた。
 グレンセールの母である魔王はこのままではいけないと、彼女を夫であるラクリームを戦闘訓練という名目で引き離し、その間に他の勇者の妻になった魔物と友人になれば少しは改善すると画策した。しかしながらグレンセールの友人となり、その素顔を知った魔物達全員に『夫が変な気を起こすと嫌だから、そのまま素顔隠してて』といわれ、グレンセールに改善する様子は無かったりする。
 魔王の娘であるリリムながらに引っ込み思案で顔を隠して過ごしているグレンセールと、勇猛果敢で命知らずの多い元勇者達の中で卑怯な手段を好み臆病とも取れるほど命に執着するラクリームは、二人揃って変わり者夫婦だとこの界隈では有名になっていた。
 しかしながら家の中でも変わり者であるかといえば、そうとは限らないもので。
「ただいま」
「おかえりなさい」
 そう挨拶を交わしつつ後ろ手に玄関の扉を閉めた二人は、魔界に住むサキュバスとその夫が全員そうであるように、待てないとばかりにその場で抱き合うと、ちゅっちゅっと小鳥が鳴くような音を立てて口付けを交わす。
 そしてラクリームは口付けを続けながら、そっとフードを愛しい妻の頭から外していく。
 やがて窓から入ってきた日の光がグレンセールの白髪に反射し、すこし部屋の中を明るくした。
「そのシニヨンって髪形、やっぱり君に良く似合ってるよ。それこそ俺以外に見せられないのがもったいない位に」
「だぁーめ。この髪型は貴方に見せるためだけにしてるんだから」
「じゃあこのローブの下が素肌なのも俺のため?」
 そっとローブ越しに存在感を示す胸を揉むラクリーム。確かにその手ごたえには、ローブ以外の衣服や下着の感触は無かった。
 下着越しや素肌に直接触れるのとは違う感触を堪能しつつ、ラクリームは尖った耳を啄ばみながら舌を使って愛撫を始める。
「あぁんっ、だめぇ。胸をんっ、そんな優しく揉みながらぁ、耳元で優しい声出しながら耳たぶぺろぺろするなんてぇ……ねぇもっと強くしてぇ、乳首つねってぇ……」
 愛しい夫の愛撫に身体は反応するも、その愛撫の強さがローブ越しという補正を引いても余りにもやさし過ぎるために、今までの夫婦生活で快感に貪欲になっているグレンセールの体は、グレンセールがどんなに胸を揉まれる感触に神経を集中させてもむず痒い快楽しか得ることが出来ない。
「どうなのグレン?俺の妻は俺に犯されるのが待ちきれなくて、街の中をローブ一枚の素っ裸で練り歩く変態なの?」
「ちっ、違うのぅっ。今日は日差しが強くてぇ、ローブの、中にぃ、洋服着ると熱いのっ……」
 向かい合った状態での胸の愛撫は相変わらず絶頂とは遠すぎて、グレンセールは堪らず股間をラクリームの太ももに擦り付けて快感を得ようとし始めた。
 そんな妻の様子に微妙に太ももをずらして快感を与えすぎないように調節しながらも、拷問のように優しい愛撫を繰り返す。
「でも普通なら下着は着けるよね?」
「つ、着けようと思ったけど、うんっ、どうせ見えないしと、思って」
「見えなければって言うけど、見えなければ全裸で街を歩いても平気だなんて、立派な変態だよね」
 耳の端をしゃぶっていた口を首筋に移動させ、優しいキスを降らせ始める。
「へ、変態でぇ、へんたいでいいからぁ、もっと強くして。もっとぎゅっと握って、もっとおっぱいの形が変わるくらい強く」
 ラクリームにあからさまに焦らされて、グレンセールは堪え切れずにそう口にしてしまう。
 しかしその口ぶりにラクリームは気に入らなかったようで、相変わらず乳腺上の皮膚を触れる程度の力で揉み、乳輪の外円をゆっくりと指を回しながらなぞっていく。
「そんな言葉じゃだめだよ。ちゃんと変態らしくおねだりしないと」
 ぐいっと駄目押しするかのようにグレンセールが股間を押し付けていた太ももに一瞬力を入れると、その刺激にビクリとグレンセールの体が反応する。しかしそれはグレンセールにとってしてみれば、空腹の状態で極上のステーキ肉を一口だけ味あわせてからお預けにするような、あり大抵にいってしまえばいじめに他ならない行為だった。
 立ち上る臭いに空腹が刺激されるように、一瞬だけ感じた強い性的快楽とそれに続く弱い愛撫にグレンセールの性欲は増して行き、そしてその性欲の前に彼女の見栄や倫理観は吹き飛ばされた。
「あ、あたしはぁ、街中を素っ裸でっ、歩いて感じる変態さんですぅんっ……だから、変態リリムの乳首をひねって、お仕置きしてくださいぃ」
「よく言えました」
 涙を浮かべながらそう懇願するグレンセールに、ラクリームはにっこりと笑うと右手で乳首を千切るかのように力を入れて引っ張り上げ、左手は御碗型の形をした彼女の乳房を握りつぶすように力を込める。
「焦らされた敏感乳首にぃ、イキナリ強いのっは、だめええええぇえ!!」
 待ちに待った念願の刺激に、グレンセールは足をがくがくと震わせ、とろとろと膣内から愛液が太ももを伝って地面にシミを作るが、しかし小さい絶頂しか達せない。
 あと少しほんの少しだけ足りない。もしラクリームが舌で口内を蹂躙したり、股間のお豆にやさしく触れたり、首筋に噛み付いてくれるだけでもっと強く逝く事が出来るほど。
 もっと刺激が欲しいと、無意識的にグレンセールはラクリームの太ももに押し付けたままになっていた股間を素股をするようにこすり付ける。
「どうしたの俺の太ももに腰カクカクさせちゃって。変態グレンは太ももとセックスしたいの?」
「違うの、ラクのおちんちんが欲しいの」
 ラクリームにそういいながらも、引いた絶頂の波を呼び戻すように必死に股間をこすりつけるグレンセール。
 そんな彼女の様子に、ラクリームはもう少し意地悪してみたくなった。
 ラクリームは右手でグレンセールを抱き寄せると、口を塞いでグレンセールの口内を蹂躙する。グレンセールもラクリームの舌を絡ませて貪欲に快楽の波を得ようと奮闘する。
 舌を動かしつつも、ラクリームは左手でズボンから股間の一物を取り出し、そっと左手でグレンセールの左手をその場所まで誘導する。
 左手に触れた熱い感触にグレンセールは体が硬直したが、直ぐにそれが愛しい人の分身体だと分かると、左手でそのまま上下させる奉仕を始めた。
 グレンセールが股間を握っていると確認してから、ラクリームは口内を蹂躙するのを止め口を離すと耳元に口を近づける。
「これがグレンの欲しいやつ?」
「そうなの、これが欲しいの。ラクのちんぽをおまんこに、早くぅちょうだい」
「じゃあ口で逝かせてくれたら、グレンの可愛らしいスケベマンコにぶち込んであげる」
 そのラクリームの言葉を聴いた瞬間、グレンセールは崩れ落ちるかのようにその場に膝を着くと、ラクリームの陰茎を口の中に放り込んで味わい始めた。
「んっんぅ……じゅるぅ〜〜、んふー、じゅるるる〜〜〜」
 喉の奥で亀頭の滑々した感触を堪能したグレンセールは、次に鈴口からにじみ出るラクリームの先走り汁を味わおうとスロートを開始する。
 口の中の空気を抜いてバキュームしつつ、両頬と舌で唾液で濡らしたラクリームの陰茎を圧迫しつつ裏筋を舌全体で擦り上げながら、ゆっくりと雁首まで引き抜いていく。すぼめた唇で雁首を引っ掛けて首を捻って傘の裏側を愛撫しつつ、バキュームによって涙滴程度だけ出たガマン汁を舌先で転がして味わい、再度ラクリームの陰茎を喉の奥へ送り込んでいく。
 ラクリームの陰茎は女性の膣内に入れられているのと変わらないほどの圧迫感と気持ちよさを感じ、その褒美に陰嚢の奥に澱んでいる精液を導こうとするかのように、先走りがスロートの度に先からとろとろと染み出てくる。
「じゅるるぅ〜〜〜、んッ〜〜〜〜、もご、じゅるる〜〜〜〜」
 グレンセールはゆっくり挿入出を繰り返し、じっくりと舌先を陰茎に巻きつけて味わい、呼吸するたびに鼻から抜ける精の臭いに酔いしれ、唾液と先走りの混じったジュースを飲み込みながらも、もっともっと喉の奥で味わおうとラクリームの腰に両手を回して引きつけ、ラクリームの根元まで咥え込む。
 食道の入り口までラクリームの先っぽが触れると、さらに緩んだ目つきになり耳が快感に赤く染まり、ローブの中にあった尻尾が飛び出して来てゆらゆらと揺て始めた。
 そんなグレンセールの変化に、ラクリームは口の端を笑みの形に歪める。
「相変わらずグレンはチンポをしゃぶると、途端にいやらしくなるね」
「んんっ!〜〜〜〜」
 頭を撫でつつそう告げるラクリームにグレンセールは抗議はするが、口の動きを止めるようなことはせずに段々と激していく。
「そんなトロトロの顔して気持ち良さで潤んだ目をしているのに否定するんだ。じゃあこうやって喉と口腔の上壁をカリでなぞってやると、もっと素直になるかな?」
「んあぁああ〜〜……」
 陰茎に力を入れてグレンセールの口の中で反り立たせると、ラクリームはそのまま腰を引いてグレンセールの上顎にあるくすぐったい部分を雁首でなぞる。グレンセールはその行為から口を開けて逃げようとするが、ラクリームは逃げる頭を抑えて何度もこすり付ける。
「グレンはおしゃぶりする時にココをちんこで擦ってあげると、いつも喜ぶよね」
「ひひゃうの、そほは、くすぐっひゃいの」
 しかしグレンセールの言うと通りにくすぐったいだけなのだろうか。段々とそのくすぐったさが性的快楽に変わってきているのではないか。
 その証拠にさっきまで血色で薄っすらと赤かっただけの首元は、明らかに快楽によって赤みを増し、薄紅色に近い色へと代わっていってきている。
「良いの口あけてて、このままじゃ俺イケないよ?」
「ひゃ、ひゃって……」
 ニヤニヤと笑うラクリームの表情を見たグレンセールは、ラクリームに止める気がないことを察して、口を閉じて愛撫を再開する。
 先ほどまでと同じようにスロートで愛撫していくが、ラクリームが上顎の内を擦り上げる度に、グレンセールの腰がくすぐったさと気持ちよさが混ざった感覚から逃れようと無意識的に左右に動いてしまう。
 そうすると愛撫に集中できずにラクリームの気持ち良い部分を攻められない。即ちここのままでは、ラクリームを射精させる事は出来ない。
「むむぅ〜!」
「ごめんごめん、悪戯が過ぎたね」
 可愛らしく唸りながらも犬歯の尖った歯を陰茎にあてて噛み付くぞと意思表示するグレンセールの抗議行動に、ラクリームはそんな事をグレンセールがするはずは無いと知っており、その可愛らしい抗議に軽く笑ってからグレンセールの頭を撫で、陰茎に入れていた力を抜いた。
 それでいいと視線を送りつつもやっぱりどこか許せなかったのか、先ほどまでのじっくりとした口内愛撫から、強制的吸精行為同様の搾り取るような激しいスロートへ変えてラクリームを攻め立てる。
「気持ちいいよグレン。もうちょっとで、出そう」
 そのラクリームの言葉に、より一層激しく頭を上下させて射精を促していく。
「イクよ……出るうぅ!!」
 言葉と同時にグレンセールの口内に吐き出される精液。びしゃびしゃと喉の奥に叩きつけるように出しながら、射精の威力に打ち上げられるかのようにグレンセールの口内で暴れるラクリームの陰茎。
 そんな暴れ牛のような陰茎をグレンセールは舌で落ち着かせるように撫でてやる。すると暴れていた陰茎はその下の動きで射精を促されたのか、ゆるゆるとその動きが鈍くなり、やがて大人しくなった。
「じゅじゅじゅぅ〜〜〜――――」
 グレンセールは陰茎が大人しくなったのを見計らって、ラクリームの尿道と輸精管に残った全ての精を吸い取ると、口の中のもの全てを一気に全部飲み干す。
「はあぁ〜〜、はぁ〜〜〜」
 そして座ったまま大口を開けて肺の中へ空気を送り込むグレンセールだが、口腔内に溢れる精液独特のあの臭いを巻き込んだ空気が肺に入るたびに、その臭いの中に残った精の残滓が肺を侵した後に血流に乗って脳を犯すと、じんわりと潮が満ちるかのように子宮に引いていた波が戻り始める。
「それじゃあ続きはベッドルームでえぇ!」
 抱き起こして運ぼうとしたラクリームだったが、グランセールに突き飛ばされて尻餅をつき、ついでに後頭部を壁に強打し頭を抑えてうずくまる。
 しかし頭を抱えていたラクリームの両手をグランセールに万力のような強さで掴まれると、バンザイの格好で地面に縫い付けられた。
「いっ、痛いよグラン」
「ふーーッ……ふーッ……」
 しかし散々ラクリームに焦らされた結果、箍が外れ完全に理性の飛んだグランセールはリリムの初源的な本能に支配され、ただでさえ鋭い目つきがいまは完全に座り、その目にはラクリームのことは夫ではなくただの一匹の餌としか見えていない。
(ああ、やりすぎちゃったな)
 そんな風に頭の中で反省するラクリームを無視するかのように、グレンセールは尻尾で器用にラクリームのズボンを脱がし、自身のローブの裾をたくし上げる。仰向けになっているラクリームに跨ると、精を出しても硬いままだった陰茎の直ぐ上に濡れそぼった蜜壷の入り口を当て、尻尾で巻きついて陰茎が逃げないように固定すると、そのまま腰を重力に任せて落とした。
「アひゃあああアアアアアア―――――!!!」
 膣内から染み出した愛液を潤滑剤にして膣内を押し広げた陰茎は一気に子宮口へ突き刺さり、さらに押しつぶすかのように子宮を持ち上げる。
 待ち焦がれたその感触――予測以上の快楽刺激に背中を反らせて迎えつつ、グレンセールは嬌声を上げて体全体を震わせながら甘受する。
 やがてグレンセールの目が白目に変わり、糸の切れた人形のように全身の力が抜けると、ラクリームの胸板へ頭が落ちた。
 慌てて受け止めたラクリームだったが、お腹の上に温かい水が流れる感触が走る。
 視線を向けると、ローブの裾がその内で発生した水分を吸い込んで重くなり、吸いきれない分がラクリームの横腹を流れてその体の下に水溜りを作る。
 どうやら体の力が抜けた瞬間に、グレンセールの膀胱の中身が通り道を流れて外に出てしまったようだ。
「グレン、ちょっとグレン?」
 流石にこの状況はまずいと思ったラクリームは、必死にグレンセールを起こそうとするものの、白目をむき緩んだ表情をしたままのグレンセールが起きる気配はない。
 しかし何度と無くラクリームが声をかけると、段々と目に意思の光が点り始める。
「うっ、ううぅん……」
 やがてうめき声を上げて、グレンセールの意識が表層へ浮上した。
 朦朧とした意識のグレンセールが感じたのは、自分の愛する夫の胸板から聞こえる鼓動に、自分の身体を貫く夫の逞しい分身、抱きとめてくれている腕と呼びかけてくれる声だった。
 秘め事の最中でも一番甘く蕩ける瞬間を目覚めて直ぐに味わえて、思わず眼を細めて幸福感に浸るグレンセール。しかし彼女の鼻の奥に感じる、夫婦の甘い時間とは相容れない臭い。
 そこで今まで何をしていたのかを思い出したのか、身体を一瞬で起こして自分に起こったこと――自分が何をしたのかを見た。
 困ったような笑顔の夫の下に広がる、独特の臭いを放つグレンセールが出した水溜りを。
「…………ふぇ」
 自分の愛する夫に対して粗相をしでかしたこと、しかも直接引っかけたことが分かり、その事実に耐えられなくなったグレンセールの目に浮かぶ涙。
「ちょ、まってグレン」
「ふええぇええええええん―――――」
 ラクリームの静止もむなしく涙腺は決壊する。
 親に怒られた子供のようにとめどなく溢れた涙は、頬を伝わりラクリームの胸に夕立のように降り注ぐ。
「怒ってないから。怒ってないから」
「びえぇええぇええーーーーー!」
 慌てて慰めるように抱きしめても泣き止む様子は無く、大声を上げてこの世の終わりだと言いたげなほど嘆き悲しむ。
 ぽんぽんと背中を叩いてラクリムはグレンセールの悲しみがひと段落着くのを待った。
 やがて無き声のトーンが落ち着いてきたのを感じたラクリームは、抱きしめる腕を解いてグレンセールに向き直った。
「少しは落ち着いた」
「うぇえぇーー」
 コクコクと泣きながらうなずくグレンセールに、ラクリームは本当に大丈夫かと疑いながらも、グレンセールの言うことを信じることにした。
「ほらその服脱いで。グレンは寝室で待っててね、俺はココを片すから。わかった?」
「うぇえええ――えっぐえっぐ――うわああああぁん」
 噛んで含ませるように告げるラクリームの言葉に、グランセールは泣きながらも律儀にローブを脱いでラクリームに渡し、グレンセールは自分の膣からラクリームのモノを引き抜く。すると今まで感じていた温かみが無くなった途端心細くなったのか、泣きながら寝室へ走っていってしまった。
 その後姿を見送ったラクリームは自分の妻の粗相の痕跡を素早く消し去ると、グレンセールの待つ寝室へ向かった。
 寝室の扉を開けて眼に入ったのは、ベッドの上で羽化をまつ繭のようにシーツに何重にも包まったグレンセールの姿。
 ラクリームは無駄に恐怖心を煽らない様にゆっくりとベッドに近づき、その縁にそっと腰を下ろした。
「……グレン」
 ラクリームがやさしく言葉に出して呼ぶと、びくりとシーツの中のグレンセールは怒られるのではないかと恐怖に身を震わせる。
「グレン、顔を見せてくれないか?」
 グレンセールの丸まるシーツに近寄りながら言葉をかけてみるものの、グレンセールがシーツの中で首を振る布ずれの音が聞こえて、ラクリームはふーっと息を吐くと、グレンセールの頭があるであろう辺りにシーツ越しに手を添えた。
「じゃあそのままでいいから聞いてくれ」
 さてどう言ったものかと頭の中で考えを巡らせるものの、こんなときに何て言って慰めればいいのか分からず、結局自分の感じたことを素直に口にすることにした。
「何度も言うけど俺は怒ってないし君の事を嫌ってもいないよ。むしろグレンが気持ち良くなってくれた証だと思うと嬉しいぐらいだ」
 反応を確かめるように言葉をかける。反応は返っては来ないが、雰囲気から一応は聞いてはいるみたいだ。
「今回グレンがその……ああいう事になった原因の一端は俺にもあるし、そのことでグレンが気に病む必要は無いよ」
「で、でも……」
「でもは無し。どうしても気になるんだったら、もう一度最初からやり直そう、ねっ」
 ラクリームはシーツで出来たきつく締まった蕾をゆっくりと優しい手つきで剥いて行く。
 二枚三枚と取り除いていくと漸くラクリームの愛する妻の鼻から上の顔が見えた。いまだ恐る恐るラクリームを窺うグレンセールの真っ赤な目の端に、涙の玉が丸く浮かんでいるのが見て取れる。
「そんなに俺に嫌われないか心配だったの?」
「だって、している最中に、お漏らしする女性なんて……」
「そんな事でグレンを嫌いになれるほど、俺の愛は浅くは無いよ」
 そっとおでこにかかった髪を上げ、物語の中で姫の手へ宣誓の口づけをする騎士のように、可愛らしいおでこに軽く口を付ける。
 そんな気障な言葉と行動に、グレンセールはカッと顔を茹だった蛸の様に真っ赤にした。
「…………おす」
「うん?」
 真っ赤な顔のままそっぽを向き、シーツで口元を隠しながら呟いたグレンセールの言葉を聞き逃し、首を捻ってラクリームは聞き返した。
「もう一度やり直す」
 今度はラクリームに向き直ってもう一度言い直すグレンセール。相変わらず顔は真っ赤である。
「じゃあまずはキスからだね」
 口元を隠していたシーツを薄絹を扱うように丁寧に退かすと、ラクリームはゆっくりと口を触れる程度に付ける。そして軽く放すと再度触れて、また放す。触れて、放す。
 そんな子供がする様なキスを繰り返していると、シーツの隙間からうつ伏せのままのグレンセールの腕が伸び、もっと大人の口付けをねだるようにラクリームの首元に巻きつく。
「ちゅっ、ちゅっ……」
 グレンセールのそのおねだりに、ラクリームは触れるだけのモノから唇を啄ばむモノへと変えた。
 しかしグレンセールはそれも気に召さないのか、首元に巻きついた腕に力を入れてもっとラクリームがグレンセールに近づくようにする。
 ラクリームはそれを知っていながら、口付けの種類を変えようとはせず、相変わらずグレンセールの唇の感触を確かめるだけ。
 焦れたグレンセールはラクリームの頭を両手で掴むと、ラクリームの口内へ舌を滑り込ませる。
 だけれどもラクリームは勝手に先へ進もうとするグレンセールをたしなめるかのように、歯を閉じてグレンセールの侵入を拒む。行き場の失ったグレンセールの舌は、ラクリームの歯や歯茎を舐めて必死に閉じた歯を開門してくれるように懇願する。
 そんな愛しい妻のお願いにラクリームはしょうがないといった感じの目つきになると、閉じていた歯を開けて自分から迎え入れるように舌をグレンセールのものと絡ませる。
 グレンセールはその夫のお迎えに歓喜するかのように、ラクリームの舌に自分の舌を抱きつくように絡ませて締め上げる。
――ぐちゅっ、ぐるちゅ
 二人の合わさった口から性交の最中のような粘ついた劣情の音が漏れ、口の端から舌の動きに耐えられずに押し出された唾液が流れ、二人の顔を汚していく。
 やがてその行為に飽きたのか、それとも次のステップを待つ事が出来なくなったのか、二人は示し合わせたように口をゆっくりと離す。
 するとラクリームはは首にすがり付いたままのグレンセールを抱き起こして、ベッドの上に座り直させる。
「グレン、翼を出し忘れてるよ」
 グレンセールの決め細やかで彫像のようにシミ一つ無い背中――特に肩甲骨の辺りを撫で始めるたラクリーム。
 忘れていたと言いたげに、グレンセールはローブを着るときに邪魔になるからと魔法で消していた翼を元に戻した。
 寝室の空気を打ち払って出てきたのは、大きくコウモリのように皮膜の付いた真っ白な翼。
 ドラゴンと間違われた曰くがあり、グレンセール自身は余り好きになれなかったその翼。
「相変わらずグレンの翼は綺麗だ」
 しかし今では愛する人が一番褒めてくれる愛するべき翼。
「ねぇ、キスだけで終わり?」
 その翼で二人の情事を隠すように包み込むみながら、ラクリームに催促をする。
「まさかそれだけで終わりなわけ無いだろ」
 グレンセールの首元に舌を這わせたラクリームは、その舌を形の良い膨らんだ胸へと滑らせる。ゆっくりと乳房の周りを段々と乳首へと近づきながら回る舌の感触に、期待と焦れったさが混ざった感情がグレンセールの首筋を粟立たせる。
 近づいてきた舌が乳輪の外周部を撫で回し、いよいよ焦らしてそそり立たせた乳首へ舌が達するかという段になって、ラクリームは行き成り開いた口で乳房にしゃぶり付いた。
「はぅうんっ!」
 緩るやかな刺激の後に急激な攻めを受けたグレンセールは、その衝撃にラクリームをぎゅっと抱きしめて胸に押し付けてしまう。
 ラクリームはそれを気にしていないのか、口に含んだ乳房への愛撫を続けていく。
 母乳は出ないかと試すようにちゅーちゅーと吸い付きながら、舌の根元から先までを使って乳首を撫で上げ、唇で胸を弱く揉む。
 そこでラクリームはちらりと上目遣いでグレンセールにまだ余裕があると判断すると、空いていた両手を使って乳腺の位置を確かめるようにゆっくりと乳房を揉んでいく。
「ひゅぅん、そこは、もうちょっと強くてもっいぃい!」
 言葉の途中でしゃぶり付いていない反対側の乳首を親指と人差し指で軽く摘まんでやる。あくまで愛撫の域を出ないような強さで。
 ラクリームは思う存分グレンセールの胸の柔らかさと味に乳首のコリコリした感触を確かめると、下乳を一舐めしてから舌をへそを通してさらに下へと進んでいく。
 グレンセールはゆっくりと動くラクリームが次に如何したいのかを察し、ゆっくりとベッドに身体を預けるように寝転がる。
 やがて薄っすらと生えた白い茂みを舌が越えると、じっとりと樹液の様に甘い汁を滴らせた花びらへと到達する。
 その花びら全体を一度だけゆっくりと舐め上げるたラクリームは、懇々と湧き出る泉のような膣へ舌を滑り込ませた。
「ふぅっ……はふぅん……」
 滑り込んだ舌が膣内で行ったり来たりを繰り返し、時折粒々に隆起した天井部分を舐めるたびにグレンセールの口からかみ殺したような吐息が漏れる。
 それでももれてしまう声をなんとか押し殺そうというのか、グレンセールは人差し指の第二関節部分を軽く噛んで、痛みでラクリームの与える刺激に耐えようとする。
 グレンセールのそんな行動を見たラクリームは膣内から舌を抜き取る。
 どうして止めたのかと何か自分がいけない事をしたのかとグレンセールが危惧したまさにそのとき、グレンセールの軽く立っていたクリトリスの皮に覆われていない下半分を、ラクリームは猫が舌で肉を舐め削るかのように舌の半ばほどから先っぽまでを使って舐め上げる。
「ひゃあぁあああ!」
 愛撫ではない相手を果てさせるのが目的のようなラクリームの行為に、グレンセールは思わず背を仰け反らせて腰を振るわせる。
 全身に力を入れた反動でくったりしたグレンセールの耳もとにラクリームが顔を寄せた。
「何で我慢しようとするの?俺はグレンの可愛い声聞きたいな」
「だって、はずかしぃひゃあ」
 グレンセールの言葉を中断させるように、ラクリームはグレンセールの膣内へ人差し指と中指を滑り込ませると、痛みを与えない程度に強くかき回す。
 するとグレンセールは、電撃を受けた蛙のように身体を動かしてしまう。
「恥ずかしがりなのはグレンの魅力だけど、せめて俺だけにはグレンはもうすこし大胆になってほしいな」
「そ、そんにゃこおと、言われてもおぉ!!」
「大丈夫。グレンがどんなにいやらしい娘でも俺は嫌いになったりしないから」
 ぐりっとグレンセールの膣内のプックリと膨れた場所――通称Gスポットを二本の指で押し上げながら、段々と手の動きを早くしていく。
「そこはだめぇ、そこぐりぐりしちゃらだめぇ」
 慌てて両手でラクリームの膣に入れている手を止めるグレンセール。しかしラクリームは腕の動きを封じられながらも、指だけで刺激を与え続ける。
「何で駄目なの?気持ちいいでしょ?」
「おしっこでちゃうから……そこを刺激されるとおしっこでちゃうぅう〜〜」
「さっき出したばっかりだから、そんなに出ないと思うけど?」
「そ、そういう問題じゃ、なくてぇ」
 本当に嫌なのだろう、グレンセールは必死にラクリームの腕を動かさないように掴み続ける。
 腕に走る圧迫の痛みにラクリームは顔を少しだけしかめると、余りにも必死にグレンセールが懇願するのを見て、このまま続けて泣かすのは本意じゃないとGスポットの愛撫を止た。
「しょうがないな、じゃあ……こっちならいい?」
 指を膣内から抜き、愛液が纏わりつきぬらぬらと光を反射する指を先ほど舐め上げたクリトリスへと伸ばすと、皮を剥かずにその上からこねくり回すように刺激を与える。
「……あんまり強くしないでね」
「じゃあ少し弱めにするよ」
 まずラクリームは指の腹で被っている皮の上からゆっくり大きく転がすように愛撫してグレンセールの反応を見る。
「んぅ……はぅ……ふぁん……」
 眼を瞑って眉根を寄せ、ラクリームの指の動きに集中して快楽の波に乗ろうとするグレンセール。
 もう少し強くても大丈夫だと判断したラクリームは、皮が剥けているクリトリスの下半分を少し強めの力加減で直接指の下腹で愛撫し始める。
「あん、ふぅう……ひゃんっ」
「ちょっと強い?」
「だ、だい、じょううんっ!」
 どうやらこの愛撫はグレンセールのお気に召したようだ。
 ラクリームはそのまま撫で続けながら、安心させるようにグレンセールの手を片手で握る。グレンセールもラクリームの手を受け入れ、指を絡ませる手の握り方に掴み方を変えると胸元に引き寄せた。
「はあ――はあ――ふぅうあん――」
 そのまま一・二分続けているとグレンセールの息が荒くなり、それに伴ってグレンセールの腰に痙攣に似た震えが走り始める。
 もうそろそろ絶頂に達する限界点が見えた事が分かったラクリームは、絶頂させないように気をつけながら、クリトリスの包皮を丁寧に剥く。
「ひゃあんッ!」
 今まで包皮という鎧で守られていた赤く充血したクリトリスの上半分が空気に触れ、その刺激に思わず声を上げてしまうグレンセールだが絶頂する地点はもう少し先にある。
「どうやってイカせて欲しい? ぎゅっと抓る? それとも敏感なココを素早く撫で回す?」
「うひゅんっ……抓って、ぎゅって抓ってぇ」
「痛いかもしれないよ?」
「痛くてもいいから、いいからぁ、思いっきりつねってぇ!」
「分かった……用意は良い?いくよ!」
 人差し指と親指でクリトリスの形が変わる程の強さで摘むと、差し込んだ鍵を回すように軽く捻る。
「うぅうウウうぅう――――!!」
 ガチガチと歯を震わせて喉の奥で嬌声を発しながら、グレンセールは身体全体を細かく震わせて絶頂に至った。
 やがて震えが収まり全身の力が抜けると、グレンセールの顔はクリトリスを撫でていたときに見せた快楽に集中していたものから、絶頂に達した開放感に浸りきって融け落ちた物へと変わっていた。
「痛くなかった?」
「きもひ、よかったれひゅ♪」
 頬をなでられて更に溶けた表情になったグレンセールは、猫が甘えるように頬をその手に擦り付けながら絶頂感に痺れた舌で甘く呟いた。
「もう膣内にはいらない?」
「いるぅ!ラクのおちんぽいるのぉ!ちんぽミルクごくごくしたいの!」
 意地悪をしてそう尋ねたラクリームに、グレンセールは慌てたように急にラクリームの胸元へと飛びつき、頭をぐりぐりと押し付ける。
 そんなグレンセールを抱きしめて、ゆっくりと再度ベッドに横たえさせると、グレンセールの両肩を掴んでベッドに縫い付ける。
「心配しなくても、ちゃんとご馳走してあげる」
 まっすぐに目を見てそう告げたラクリームの言葉を受けて、グレンセールは力を抜いてラクリームを受け入れる心の準備をする。
「でもちゃんと俺の方も濡らさないとね」
 仰向けに寝転がっているグレンセールの秘所から溢れ続ける陰液を陰茎を塗りつけようと、ラクリームは一物の裏筋をグレンセールの陰唇に沿って焦らすかのように前後に動かしていく。
「早く、早く――」
「そんな慌てなくてももう直ぐ入れるよ」
 言葉とは裏腹に、亀頭をグレンセールの入り口で愛液をたっぷりと付けていく。
「もう待てない!早く奥に頂戴ぃ!」
「準備が終わったから入れる、ネッ!」
「くぅううウウ――――!!」
 ぐずぐずに熟しきった果物に指を入れたような音を発して、ラクリームの陰茎はグレンセールの膣内を素早く分け入り、一気に子宮口へ辿り着くとその場所を突きほぐすようにぐいぐいと押し上げていく。
 そしてグレンセールは子宮口を押し上げられるたびに、細かく小さい絶頂を繰り返している。
 何時になく敏感な反応に、ラクリームは自分の分身の先端があるであろう部分をお腹越しに撫でてみた。
「お腹撫でないでぇーー!いってるから、いっちゃってるの!!」
「どうやら突き入れた瞬間に、子宮がビックリして逝くスイッチが入れっぱなしになっちゃってるみたいだね」
「逝きっぱなしで辛いの!お願いだからなでないいいいいい――――!!!」
 ラクリームが感触を確かめるように撫でていただけでグレンセールは絶頂してしまったようで、二人の結合部からは愛液とはちがったグレンセールの白濁した本気汁が逃げ場を求めて零れ出ていた。
 もうこうなるとラクリームが挿入しているだけで達するようになってしまうため、早めに処置する必要があった。
「グレン小さく逝くのちょっと我慢して、大きく逝こう。そうしたら少しは楽になるから」
「が、がんばるぅ……」
 グレンセールの返答を受け取ったラクリームは、正常位のまま乱暴なほど早いピストン運動でグレンセールの膣内をかき回していく。
「ガマン、するの……がまんんんっ!」
「我慢するのが辛かったら、俺の背中に爪たてていいから。それでも我慢できなかったら首筋噛んでも良いからね」
 ガンガンと子宮を突き上げ膣内の襞を雁首で削りながらも、ラクリームはグレンセールに声をかける。グレンセールもラクリームの言葉が耳に届いたのか、ラクリームの背中に爪を立てて掻き毟り、首筋に血が出る寸前まで力を込めて歯を立てて、絶頂しないように頑張ってこらえていた。
 やがて無理やり意思の力で絶頂を押さえ込んだ反動なのか、下腹だけだった絶頂の波が段々と全身に広がっていくと、最終的にグレンセールの身体はもう何処を擦られても逝けるほどに性感が高まった状態になった。
「よく我慢したねグレン。俺ももう出すから一緒に逝こう」
「イク、イクの。いっしょにイク、イク、いくううぅうぅううぅうう―――!!!」
 ラクリームの首筋から口を放した瞬間、大きな嬌声を部屋中に響かせてグレンセールは絶頂の喜びを全身で味わう。それと同期するかのように、ラクリームもグレンセールの奥にある子宮口を亀頭で押し広げて射精場所を確保すると、小さい精嚢の何処に入っていたのかと吃驚するほどの大量の精を子宮に放った。
「あぁあぅ、ああぅ―――……」
 ドクドクと血潮が波打つかのように子宮に精液が注ぎ込まれるたびに、グレンセールの子宮は狂喜乱舞しグレンセールの脳に快楽信号を送信し、それを受け取った脳は許容量を越える情報に区別が追い付かないのか、子宮とは関係のないグレンセールの手足に電気を流して痙攣させた。
 やがてラクリームの陰茎から射精が止まる頃になると、グレンセールの絶頂痙攣も段々と落ち着きを取り戻し、思考を放棄していた脳も再稼動を始めたのか、表情筋が緩みきっただらしないアクメ顔からやや意思の感じられるものに変わる。
「ちゃんと大きく絶頂出来たね、えらいよグレン。どう、落ち着いた?」
「うん、まらちょっろ、びくびくしゅるけろ。らいぶらいじょうぶ」
 言語回路の再起動はまだだったようで、舌がまだ痙攣を続けていたのだろう、何を言っているのか判別が難しい言葉を繰り出していた。
「どうする?このままもう一回する?それとも一端寝て、夜に続きする?」
 しないという選択肢はどうやら考えていない――いや、魔物との夫婦には選択肢すら存在しないのかもしれない。
「このまま、ねれたら、しあわせ」
 ふやけた笑みでグレンセールはそうラクリームの質問に答えた。
「それじゃあ、グレンは俺の上で寝るのが好きだよね」
「うん、すきぃ」
 一物を膣内に入れたままラクリームはグレンセールの腰を持つと、一先ず対面座位の格好にしてから二人の位置をぐるりと入れ替えてラクリームが仰向けに寝転がると、二人の体位は騎乗位へと移行していた。
「それじゃあおやすみなさい。また夜に」
「おやすみぃ……」
 頭を撫でられたグレンセールは、性的興奮と絶頂の緊張で疲れたのか、程なくしてラクリームの胸に頭を預けて寝息を立て眠ってしまった。
 幸せそうなグレンセールの寝顔を見て、ラクリームも眠気を誘われたのか、段々と瞼が落ちて寝入ってしまう。
 愛する伴侶を得た幸福をかみ締めて眠るそんな二人の寝姿を、風邪をひかぬ様にと陽光が差し込んで二人を暖めると、その光景はリャナンシーの絵画から抜け出したような文字通り絵になる光景だった。




はてさて、この後の二人は海千山千の怒涛で大波乱の人生を歩む。
……なんてことはあったりなかったりするのだが、まあそれは当人同士の秘密という事で。



11/08/06 18:01更新 / 中文字
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■作者メッセージ
というわけで甘エロに挑戦してみたわけですが、いかがだったでしょうか?

無駄に長かったでしょうか?
それともエロが足りなかったでしょうか?
むしろもっと甘々が良かったでしょうか?

どうも私自身がドSシチュエーションが好き過ぎるせいか、主人公の行動がややSになってしまった感じがします。

それはさておき、楽しんでいただけたのならば幸いでございます。

次回はドラゴンのバトルものの予定です。(バトル本編は書き終わり済み)
作者本位の需要とか完全無視のモノなので、評価割れるかなと思っておりますです。

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