連載小説
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そうだ、ギルドに行こう。
前回のあらすじ



こっちに来てから一夜明けました。








「・・・おはようございます。」




(さて、これからどうすっかな・・・)
朝飯を食い終わった俺は、後片付けを終わらせ、おばさん(見た目こそおばさんじゃないけどね、ってか若すぎんだろ)に入れて貰ったお茶っぽい飲み物を飲みながら、椅子に座って考えた。
まぁ、まずは問答大会ってところかな?

ちなみにミリアちゃんは、俺が朝飯を食べ終わる前に
「行ってきます!」
と元気な言葉を残して学校に行ったみたい。昨日居たのは多分休みだったからだろう。
「えっと・・・それじゃ、俺からいいですか。」
「えぇ。」
「うむ。」
了承をもらったのから、遠慮無く質問攻めにしよっかな。
「それじゃまず、簡単な自己紹介から・・・・・・」


分かったことは

『当たり前ながら、こっちは別世界。
ここは大きな陸地の中の、小さな町らしい。国なんて概念は、魔物が現れてから無くなったらしく、王様の一族は所々の町長として働いている。ここの町は魔物の町長が治めている、珍しい話らしい。村もあって村長も居る場所は、そのまま村長の一族が継続する。
ちなみに魔物が出てきたのは、今から200年も前の話だと、当時は散々騒がれたらしいが、今は落ち着いてる時代である。しかし、地方によってはここみたいに、魔物と人間が仲良く暮らす場所があれば、間逆の場所もあるらしい。ここが前者でよかったよ。』

『どうやってこっちに来たのかは分からない。
恐らく、例の本が関係してると考えるのが妥当。寝てた俺からは、確かに『何かしらの』魔法の片鱗に触れたから。それに、俺の周りに魔法使える人物なんて思い当たらない。自分から、「魔法使いです!」なんて雰囲気出す奴なんているわけねーだろうから、見た目で判断しただけなんだけどね。
それと、聞く前から分かってたけど二人とも、俺が元の世界に戻る方法なんて知らない、分からない、存じません。って顔してるな。パパ、ママ、そっちに戻るのはまだまだかかると思うよ・・・』

『暦は俺が向こうので使っていた・・・なんだっけか、太陽暦しか覚えてねぇや。
まぁ、1年間を365日とし、12ヶ月あって、7日で一週間。

ってのに似てて、こっちはちょっと違う。
1年は400日あり、10ヶ月ある。10日で1週間と区切るらしい。
1日は24時間、1時間は60分、1分は60秒。
カレンダーを見せてもらったら、7月上旬だった。俺の世界じゃ(長野住みで)夏休みまで後1ヶ月半あるのに、もう少しで夏休みなのかな・・・。
時の数え方が別だったら、終わってたかも、なんて事も考えた。
四季はあるっぽい。
それと、誕生日や結婚記念日なんてお祝い事は、全然しないらしい。だが、生まれた時は0歳、1年経てば1歳ってのは変わらず、歳は1年ごとに成長する尻尾や耳、成長記録手帳に書き込んだのを見て、確認するらしい。歳によって、6〜13歳は小学校、14〜16歳は専門学校・・・こっちで言うところの、大学に行くんだと。たった二年で学校卒業とか、詰め込み教育だと思ったけどそんな事は無く、専門学校は寮制度で、小学校の登校・下校時刻は、こっちの小学校と大差無いらしく、週3日の休みがあるって。』

『文字は二種類ある。人間と一部の魔物が主に使っている文字の、ジパング文字。魔物が主に使っている魔界文字。
ジパングって何なのか聞いたら、この世界にある地方名らしい。なんでも人間が中心となって、魔物達の一部を妖怪って呼んでるとか。使っている文字・言語は、日本のそれと一切変わらない。
魔界は聞かなくても、少なくとも人間が住むような世界じゃないって事はイメージできる。ちなみに、魔界の文字・言語は英語・・・っぽかった。英語に自信が無いからなんとも言えない、でも聞いた感じは英語っぽかった。見せてくれた文字は、端っこがくるくる丸くって英語っぽかった。くどいけど、自信が無い。真面目に受ければよかった。
あ、ついでにお金の通貨は【G】だって。80Gでリンゴ一つ分、って考えりゃいいんだってさ。』

『車、飛行機、電車は無い。この家に来るまでにそんなの見なかったし、何せここはファンタジーの世界、燃料になるもん置いてあるとは思えない。遠くまでの道のりはどうするのか聞いたら、空を飛んだりワープしたり。他にあるっぽいけど、魔法とか魔物絡みだってのは察しがつく。』

『戦う道具は剣とか魔法とか。いよいよもってファンタジー臭が強くなってきました。あ、この世界ファンタジーか。』

『食べ物のほとんどは、人間寄りになって行った。普通に食ってたけど、安全な食べ物でよかったわ。一部の種族の魔物は肉や野菜、魚を主としてるらしいが、昔々は大半の魔物の主とした栄養分は・・・人間の精液らしい・・・マジかよ・・・。今は精液を栄養としなくても、大丈夫なようになったと・・・あんなもんの、何を生きるための栄養に変えられるんだか・・・分からん。』

『昨日、俺の服について触れてたから、気になったので聞いた。こっちのみんなが着ている服の素材は、簡単な物をあげれば布・絹・綿・ウール、難しい物をあげれば、シーワープって魔物の毛、マンティスのコクーンの糸、中にはドラゴンの革製の上着なんてのもあったりする。使えるもんは使うってなんでも有りっすか。でも、しっかりと本人に了承を取ってから採取するらしい。おkなんて出すんか。そんなにバリュエーションがあるのに、俺の上着、ズボン、の素材は見たこと無いらしい、マジかよ。』

『働く場所の一つとして、【ギルド】という施設がある。その施設は、酒場と何でも屋が合体した施設。誰かがいつの間にかギルドの関係者に依頼し、そこそこ大きい掲示板に依頼内容が張り出される。FFやDQなんかで見る、あのギルドと考えて間違いないだろう。』

『電気が無い。大体は熱や魔法でどうにかするらしい。魔法ってスゲー。でも上着の右ポケットに入れてる音楽プレーヤーの充電はどうするかな、いつも入れておいてよかった。』

『魔物と人間の比率は、多分五分五分だろうとの事。でも、この町の人間魔物合わせた性別は、7が女性、3が男性。というか、魔物は全体的に・・・精液を栄養としてたから、女性体だって。』

『ここは、魔法を使うための触媒を売る店。俺は魔法使えないから関係ないね。でも時間があったら、店の中にある物を見てみたいな。まぁ見るだけなんだけどね。』





ここまで問答を繰り返してちらりと時計を見たら、始めてから2時間たってた、そして気づくっ・・・!

(武器や町並みが、どっかの映画で見た中世ヨーロッパみたいなもんだ。3百年くらい前に、タイムスリップした気分だ。
ハーレムエンドも夢じゃないねこれ、こっちに来てから見た女の子が、二次元並に可愛いんだもの。
お父さんは家に居ないけど、どこに行ったのかは聞いたらお約束なんだろう。でも、あんまり家族関係には首を突っ込みたくないからパスパス。むしろ聞いたら、雰囲気が暗くなるのもお約束だし。
俺の勘だと、ギルドに行けば金問題は大体オッケーだね。ゲームやってたんだから、それくらい分かる。それに、しばらくお世話になるんだから、何か仕事はしないといけないしな。家賃くらいは払わないと、俺の気がすまない。
俺にも魔法使えるのかな、こっちの人間は小学校の間は魔法について教わるらしいから、俺も使い方を知れば使えるんじゃないのかな。後でミリアちゃんに教えてもらおうかな。)


「・・・俺からの質問はもう無いっすね。」
「私からも無いな。いや、そっちの世界の細かい所は色々と聞きたいが、大方分かった。」
「私からも無いわ。それにしても、凄い世界なのね。鉄の乗り物に乗ったり、絵が勝手に動いたり。それに・・・人間しか居ないなんて。」
その後小さく「独り占めできるじゃない・・・」って付け加えてた。
「とりあえず、俺が元の世界に帰る方法は、本を見つけること。その他一歳の事は分かりません。っと、それと、俺そのギルドってのに行ってみたいです。てか働きたいです。話聞いた限りじゃ楽しそうですし。」
「働きたいんだったら、うちの店のアルバイトでもいいのよ?」
「そいや店どうしたんすか、昨日は定休日でも、今日は普通に営業じゃないんですか?」
「今日は特別に休みよ、せっかく異世界からのお客様が来てるのに。」
「そうだっんすか・・・なんか、すいません。」
軽く頭を下げると、おばさんはにっこり笑って
「全然気にしてないわよ?それに、お客様じゃなくて子供が一人増えた様なものだし。我が子の為ならお店くらいお休みにするわ。」
俺は思わず関心してしまった、全然知らない俺を家族の一人だと見てくれているのだ、会ってからたったの一日。たったの一日なのに。
でも次の一言で頬の筋肉を引きつらせた。
「毎日男の人が家に居るなんて、考えただけでもゾクゾクするわ・・・」

「それはそうと、ギルドに行くんだったな、剣二よ。」
「あ、はい。ここのアルバイトは、正直怖いです。」
ここで俺は大事な事を思い出した。
「そいや、ルシールさんってギルドメンバーでしたっけか。」
「うむ、専ら危険な仕事ばかりだがな。」
「へぇ、危険な仕事っすか、後でどんな仕事してたか聞かせてくださいよ。」
「いいだろう、我が武勇伝を後ほど聞かせてやろう。楽しみに待ってるがいい。」
危険な仕事か。戦闘関連の仕事なんだろな。
んにしても、やっぱりというか、この話し方の人って自分から話すのが好きなタイプだな、お酒飲みながら自慢げに話す姿が容易に想像できるぜ・・・
(人じゃなかったから、話聞けるか戸惑ったけどね。)


「それじゃ、早速ですけどそのギルドってところに案内お願いできますか?」
「ここからギルドまでは近いから、道を覚えるのは簡単だろう。ところで、本当にギルドメンバーになる気か?本について知りたいなら、私が聞いて回ってやるぞ?それに、内容によってはつらいことだらけだぞ?音を上げても、私の眼の中にお前が居る限りは、ギルドメンバーを簡単には止めさせんぞ?」
来ると思ってましたよ、その台詞。口調が堅い人は性格まで堅いんだからな。
でも、心配してくれてるのは嬉しいな。

「そうよ?ルシーなんかいっつも、ギルドから帰ってくる来たと思ったら病院から帰ってきたのよ?それに、怪我して帰ってきたらミリアが泣くわよ?」
その台詞も来ると思ってましたよ。俺を家族の一人だって、言ってくれた人なんだから。きっとミリアちゃんも持ち出して来るんだろってのも、予測してました。

でも、来る台詞はわかっちゃいたけど、いざってときに口から適切な言葉が出てこないないんだよな、これが。
「・・・大丈夫、分かってますって。危険なのも重々承知。それに、音を上げる程辛いんだったら、こっちから向かっていきますよ。俺が・・・自分自身が大人に成長する良い機会です、どんと来いっすよ。それに、ギルドに行けば例の本の手がかりもつかめるかもですし。」
「本の事なら私が聞くと・・・」
「駄目なんですよ、それじゃ。俺がやるから意味があるんです。人脈とかだと、ルシールさんは広そうですけど、それでも俺がやらなくちゃ駄目なんすよ。さっきも言いましたけど、これは俺が成長するチャンスなんですし。ここでチャンスを逃したら、それこそ、俺が後悔する種になっちゃいます。それに、覚悟もできてます。でも若干楽しみです。わくわくしてます。」
「・・・そうか、見た目と年齢は子供なのに、言葉だけは大人びてるな。」
「見た目は余計っす。」
ピクッと頬を引きつらせた俺を見たおばさんは
「そうね、なんとなくだけど、安心させられちゃったわ。」
「それは良かったっすよ。あ、それはそうと、ミリアちゃんいつ帰ってくるんですか?」
時計にちらりと目をやると、現在の時刻は10時半。
小学校なんだから、帰ってくるのは3時くらいだろ。
「今日は13日だから、3時半ね。」
惜しいな、30分の差か。
にしても、曜日は無いみたいだな。わざわざ13日。なんて言い方してるんだし。
「わかりました、それに間に合うまでに帰ってきます。それじゃ、ルシールさん」
「あぁ、行くとするか。」




いざ、ギルドへ向かうとしますか。
11/06/18 05:57更新 / のりゆき
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■作者メッセージ
遅いけど感想ありがとうございます。
遅いけどジョジョ7部完、お疲れ様でした。

主人公は次の日が休日だった場合、寝る前に必ずと言っていいほど上着とシャツだけを普段着にします。毎日してたら癖がついたとかなんとか。なんで学校の制服じゃないです。

今んとこ主要人物の自己紹介は省きます。ここで書いちゃうと、後付設定で苦労すると思うんで。
面倒なだけなんですけどね。話のネタをとっておきたいですし。

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