連載小説
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第十一話 ある家族のお正月

クリスマスも終わり新しい年が来た日。各家庭では、まだ寝ている家庭が多くあるが、この日ある家の玄関の前にはとても可愛い振袖を着て父親に写真を取られている少女達の姿があった。

 「可愛いよ。楓!!おっその笑顔可愛いね。椿も可愛すぎだよ!!ほら、もっと笑って!!」高性能カメラを片手写真を撮る浩之。ピンクと赤が混ざった振袖を着ているカラステングの楓ちゃん。その横には、恥ずかしながら持っている人形を抱きしめて頭に梅の花の簪をつけているゴーストの椿ちゃん。

 「あなた、あたしにも撮らせてね」妻の紅葉が小さなカメラを片手に今か今かと待っていた。

         そんな、家族に一筋の風が巻き起こった。

 「きゃ!!!」その風が、通り過ぎたかと思ったら4人の前に紫色の着物を着た一人のカラステングともう一人は紋付袴と下駄そして顔が赤く鼻が長く白い髭を蓄えた大男が立っていた。

 あまりの突然でカメラを落としてしまった浩之だが彼らの姿を見た瞬間固まってしまった。それは・・・・・

 「お父さん・お母さん!!」不意に紅葉が言った。

 「久しぶり紅葉。元気にしてた?」優しい微笑で紅葉を抱きしめる老年のカラステング。

 「じいじ〜〜〜」椿ちゃんが大男に抱きついた。

 「おお〜〜椿。可愛い姿じゃな。どれ、じいじによく見えるように見せてごらん」そう言うと大男は椿ちゃんの背の高さまで体を屈み椿の振袖をじっくりと見た。

 「じいじ!!あたしのも見て!!」椿ちゃんが大男の前でくるりと一回転した。

 「楓も、可愛い振袖を着てるの」大男は白い髭を撫でながら楓ちゃんの姿を見た大男。

 「お義父様・お義母様。その節はどうも!!」頭を下げる浩之。

 「浩之殿。いつも紅葉が世話になっているの」

 「これからも、紅葉のことをお願いしますよ」二人は優しく微笑み浩之を見た。

 「じいじ、ばあばに見せたいものがあるの!!きっと驚くよ」そう言うと二人の手を取りながら家に入れようとする楓ちゃん。

 「こら、楓そんなに引っ張っちゃダメでしょ!!」怒る紅葉に気を落とす楓ちゃん。

 「あら、あなたもこんな感じだったわよ」含み笑いをするカラステング

 「も・・・・もう、お母さん!!」顔を真赤にする紅葉。

 楽しい笑いと共に家の中に入る福井一家と老夫婦。

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               〜家の居間〜

 家の居間には暖かいコタツ。そして、そのコタツの上にはおせち料理が並んでいた。楓ちゃんは、伊達巻を食べ椿ちゃんは、栗金団を食べていた。大男と浩之は今まで撮っていた写真を見せていた。紅葉と老年のカラステングは久々の再会で昔の話をしていた。ふと、楓ちゃんは自分の所にあった扇をじいじとばあばに見せた。

 「じいじ。見て!!サンタさんがくれたんだよ」そう言うと、黒い色をした扇形の扇子を見せた。

 「む!!」その扇子を見た瞬間大男の目は開かれた。その姿を見た楓ちゃんは驚いた。

 「いい、扇子をもらったな。楓」そう言うとまた優しく微笑み楓ちゃんの頭を撫でてあげた。

 「えへへ・・・」恥ずかしながら照れる楓ちゃん。

 「あら、この人形・・・・」椿ちゃんの持っている人形を見て驚く老年のカラステング。

 「ばあば。どうしたの?」心配そうに言う椿ちゃん。

 「なんでもないわよ椿。可愛い人形さんね」

 「うん!!」満面の笑みを浮かべる椿ちゃん。

 楽しい一時は過ぎていった。空はもう真赤になっていた。

 「さて、そろそろ帰ろうかな・・・」大男がゆっくりと立ち上がった。
 
 「そうね、帰らないと大変だからね」それと同時に老年のカラステングも立ち上がった。

 「じいじもばあばも帰るの?」寂しそうに言う椿ちゃん。

 「また、来るから大丈夫だよ」優しく言う大男。

 その言葉を聞きまた可愛い笑顔に戻る椿ちゃん。

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                家の玄関前

 「さて、行こうかの」大男が、大きな緑色の扇を一振りすると二人は空中へと浮いた。
 
 その様子を見て二人に手を振る福井一家。

 「でわ、浩之殿。紅葉。そして我が可愛い孫達よ達者でな!!!」そう言うと老夫婦の姿はなかった。あるのは、大男が起こした風の音だけであった
 
 
11/01/19 00:57更新 / pi-sann
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■作者メッセージ
 〜ジパングの城・城中広間〜
 
 「太郎坊様と笹様が戻られたぞ!!」アカオニが怒声のように言うと広間に集まる。雪女とジョロウグモと稲荷とアカオニそして、多くのカラステングと天狗たち。

 「皆、留守ご苦労!!」

 「は!!!ありがたきお言葉!!」

 「皆さんは、ゆっくりと休んでください。お食事は食べてきたので・・・・」

 「は!!承知!!!」広間から出て行く者たち。残されたのは、大男と老年のカラステングだけであった。

 「しかし、驚いた・・・楓が天狗族の宝。黒扇を持っておるとは・・・・」

 「あたしは、椿が持っていた四円柳を持っていたのに驚きましたわ」二人は顔を見合わせたがすぐに大笑いした。

 「あの子達は愛されておるな!!」

 「本当に・・・・」静かに夜空に浮かぶ月を見ながらそう話したのであった。

 

 皆さん、お久しぶりです!!!更新が止まっているpi-sannです!!久々に投降したのでちょっと不安です。感想お待ちしてます。あと、まだまだ「親になりませんか?」は募集してるので安心してくださいね。以上!!

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