連載小説
[TOP][目次]
第十章
 待ち合わせの場所は市役所の一室だった。応接セットが一つ置かれただけの質素な部屋だ。普段は使用しない部屋を指定したのは、ここでする話が他人には聞かれたくない話だからだろう。
 バートが向かい合ったソファの一つに座ってくつろいでいると、十分ほどしてからリージオが部屋に入ってきた。その手には小さな盆を持ち、二つのカップが乗っていた。
「待たせたな」
「いーえ、忙しいのはお互い様でしょうから」
 扉を閉めると、リージオが向かいのソファに座り、テーブルにカップが置かれた。コーヒーの香りが鼻をくすぐった。
「では、さっそく経過を聞かせてもらいたい」
 バートは持参してきていた報告書をテーブルに置いた。
「こちらがシオスに関するものです」
 ここ数日で分かったことをまとめた調書を手に取り、リージオはさっそくそれに目を通しはじめた。そこでバートはもう一つ、調書を取り出してテーブルに置いた。
「で、これが僕個人で調べたものです」
「これは?」
 後から置いた調書がシオスのものより多かったからか、それを見たリージオが疑問の目を向けてきた。
「シオスの妻に関するものです」
「カトレア、か。結婚していたのか」
「ええ。それも、一月ほど前に」
 カトレアに関する調書を見ていたリージオが鋭い目を向けてきた。
「本当か? だとすると、シオスの裏金について関わっている可能性ありか」
「ええ、僕も同意見ですね。まずは調書に目を通して下さい。話はそれからにします」
 リージオが報告書を読んでいる間、バートはコーヒーを口に運んだ。それが半分ほどなくなったところで、リージオが水を向けてきた。
「これを見る限り、カトレアという人物は随分と興味深いな」
「怪しい、とは言わないんですか」
 リージオは小さく笑った。
「率直に聞きたい。お前はこのカトレアという女をどう判断している?」
「間違いなく黒かと。調書を見てもらったからわかると思いますが、彼女の来歴については未だ何も掴めていません。それでもそうだと言えます」
 リージオに見せた報告書には、カトレアについてほとんど詳しいことは書かれていなかった。彼女を怪しいと睨んでからは調査対象をカトレアに限定して調べたにも関わらず、有力な情報はまったく得られなかったのだ。バートとしても、今回の報告は少々不本意だった。ここまで何もでてこないとは思わなかった。
「ふむ。シオスの裏金にこの謎の女が一枚噛んでいる可能性は高そうだな。しかし、肝心のカトレアについてはほぼ白紙と」
「ええ。もしかしたら、裏金は全てカトレアが用意したかもしれません。シオスの方も調べてはみましたが、彼はどうもそこまで商才に恵まれた商人ではないようなので」
「その意見には私も異論はない。言葉を選ばずに言えば、私が調べた結果でも彼はうだつの上がらない町商人という感じだった」
「では、対象はカトレアに絞って構いませんね?」
「そう結論するのはまだ早い。なぜカトレアはシオスと組んだのかが気になるからな」
 リージオはそう言って足を組んだ。
「それなんですがね。彼はカトレアにとっての隠れ蓑なんじゃないですか」
「どういう意味だ」
 バートは身を乗り出した。
「そのままの意味です。カトレアの素性は謎に包まれている。そんな彼女が一人でこの町で店を開くとなると、どうしたって目立ってしまう。実際に会ってみましたがね、あれはすごい美人だ。容姿だけで話の種にできますよ。だからこそ、本来なら代表になるところをシオスに任せて自分は『S&K』の店長に納まってるんじゃないですか。しかし、裏ではカトレアが全ての糸を引いている」
「なるほど。あくまでトップではなく、補佐という位置から全体を操っているというわけか」
 リージオは納得したように頷いた。だが、その顔は晴れなかった。
「可能性としては有り得る話ではある。だが、それは誤りで、シオスがカトレアをいいように動かしている可能性もあるだろう」
「彼がですか。シオスにはまだ接触できてませんが、カトレアを自分のいいように動かせるとは思えませんよ。あれはただの女じゃない」
 商人という連中は皆一筋縄でいかない者ばかりだが、その中でもカトレアは特に厄介だと言える存在だ。その彼女を思うように扱える男はそうそういない。バートはそう判断している。
「彼女と直に会ったお前の意見を無視するつもりはない。だが、どんな厄介な相手でも、そこに特別な感情が絡んでくると話は別だろう」
「恋愛関係ですか」
「ああ。愛する人のためならどんなことでもしてしまう。それは、私を見ていたなら分かるだろう?」
「それは、まあ……」
 リージオの顔に自嘲の笑みが浮かび、バートは居心地悪く顔を逸らした。
 リージオには婚約者がいた。リンという名前の落ち着いた雰囲気の美人で、いかにも大人の女性といった人だった。本来なら今頃は結婚して子供がいてもおかしくはなかったが、そうはならなかった。結婚間近になって、彼女が難病に罹ったのだ。彼女のために、リージオはそれこそ寝る間も惜しんで治療法を探し求めた。しかし、リージオの努力も虚しく、彼女は助からなかった。あの出来事以来、リージオは以前よりも精力的に仕事に取り組むようになったとバートは思っている。
「愛する人のためという大義名分はとても強い糧になる。それは私がよく知っている。シオスがそこにつけこんでいる可能性もある以上、彼の調査はしばらく続行だ」
「了解」
 リージオは見ていた調書をまとめ、机でとんと整えた。
「では、今回はここまでにしよう。引き続きよろしく頼む」
 それを合図にバートは席を立った。とりあえず今日の予定はシオスについての聞き込みだ。
 部屋を出て静かな廊下を進みながら、バートはリージオとのやり取りについて考えていた。リージオはシオスの方も疑っているようだが、バート個人としてはやはりカトレアが本命だと思っている。それだというのに、まだ何も掴めていないことがもどかしい。先が見えそうで見えない白いカーテンを前にしているような感覚だ。絶対にあの女のヴェールを剥いでやる。バートは気持ちを新たにしながら廊下を進んだ。
 一階に下りたところでバートは一人の見知った女性に出くわした。困った様子の彼女に近づくと、気配を察した彼女もこちらを見た。その顔に少し安堵の色が浮かんだ。
「どうしましたレンさん。何か困っているみたいですが」
「あ、バートさん……。その、兄さんは今日留守でしょうか……?」
 おずおずと尋ねてきたのは、リージオの婚約者だったリンの妹であるレンだ。彼を兄さんと呼ぶのは、姉のリンが結婚していれば兄妹になっていたからだろう。実際には家族にはならなかったが、それでも彼女はリージオを兄さんと呼んでいた。
「ボスに用事でしたか。すいません、実は今まで別室で僕と仕事の話をしていたものですから。今はいつもの部屋に戻ったはずですから、行けばいると思いますよ」
「そうですか。ありがとうございます……」
 小さめの声で礼を言いつつ軽く頭を下げると、レンは階段を上って行った。その後ろ姿は自信なさげで、バートはいつもそれをもったいないと思っていた。姉同様、レンも容姿には恵まれている方なのだが、その引っ込み思案な性格のせいで華やいだ空気がまったくなく、地味に見えてしまうのだ。あれできちんと身だしなみを整え、笑顔ではきはきと話せば、大抵の男は見惚れるだろう。
「全ての女性があんな感じだったら、今回の僕の仕事も楽なんだが……」
 ため息をつくと、バートはその場を後にした。


 その後の調査は芳しくなかった。シオスについては色々と追加情報が入ったが、そのどれもが裏金とは関係のないものばかりだった。カトレアに関してはそれこそ僅かなことさえ掴めないままだ。
 バートはため息をつきながら、町役場の東にある赤い屋根がいくつも並んだ倉庫に向かった。ここは町が管理する貸し出し用の倉庫だ。そのほとんどは大商会が借りているのだが、そのうちの一つに役場の使用している倉庫がある。表向きは備品保管庫としてあるが、その中は今までバートやレナード、リージオが調査した報告書が保管されている。バートは辺りをさり気なく窺い、誰もいないことを確認すると鍵穴に鍵を差し込んだ。鈍い音がしてロックを外すと、するりと中に入り込み、すぐに鍵をかけた。
「さてと……」
 僅かにインクの香りがする倉庫内はいくつもの棚が整然と並んでおり、どの棚にもぶ厚い本が隙間なく納まっていた。そのどれもが報告書だ。バートは薄暗い倉庫内を慣れた足取りで進んでいった。
 カトレアに関する報告書は奥まった位置の端にあった。これだけは他の報告書と違い、頻繁に出し入れした形跡があった。記録のために、バートがちょくちょく引っ張り出しているからだ。報告書を書き足すべく、棚から取り出すと、近くにある机に持っていった。ランプに灯りをつけると本を開き、調べてきたことを書き足していく。作業はすぐに終わった。カトレアに関することはまったく掴めないため、どこへ行き、どんな話を聞いたかを書くだけなのだ。おかげで、報告書とは思えないほどにページが進んでいなかった。
 1ページにも満たない量を書き足すとそれを元の位置に戻し、バートは倉庫を出た。
 この辺りはあまり街灯が設置されていないので、夜になると薄暗く、人の通りも少なかった。いまいち頼りない灯りに照らされた道をバートは歩きかけて足を止めた。向かおうとした先は教会だった。ここ最近、夜はマリーと一緒に食事をしてばかりだったため、つい無意識のうちに身体がそちらへ向かおうをしていた。
 自分の行動に苦笑すると、バートは足をまったく別の方向に向けた。今夜はマリーとの約束はないので、一人で落ち着いて飲みたかった。
 少し寒い夜風に上着をかき寄せながら、近くの水路で船に腰かけて暇そうにしていた男に声をかけた。
「中央まで頼む」
「ん、どうぞ」
 広い町を移動する際、通りを行くより水路を行った方が早いのはこの町での常識だった。だからこそ、こうして渡し船に似たこの仕事が成立していた。料金はどこまで行っても一律なため、利用者は多かった。
 少し揺れる船に乗り込むと、バートは小さく息を吐いて目を閉じた。
「兄さん、旅人さんかな」
 船が動き出すと同時に船守の男が言った。
「ああ、見ての通りな」
「そうか。この町には観光か何かですかな」
「ま、そんなとこだ」
「しかし、こうして見ると、船に慣れてる感じがしますね。初めてではないんですか?」
「ま、何度か来てるからな。初めてではないぜ」
 初めてどころか、生まれからしてこの町だったが、もちろんそれは言わなかった。
「ははぁ、そうでしたか。しかし、今回はいいタイミングで来ましたね。実はほんの少し前までカーリ川が土砂で汚れてしまいましてね。この水路も酷い有様だったんですよ」
 話好きなのか、男は聞いてもいないことをあれこれと話し続けている。少しうんざりしてきたバートだったが、土砂という言葉でふと思い出した。
「悪い。行き先変更だ。中央は通り過ぎて、その先の東のL字水路まで行ってくれ」
「へい、了解」
 そういえば、レナードの行きつけの酒場は静かでいい所だと以前言っていた。それが東にあることを思い出し、急遽行き先変更をした。
 やがて船はL字の水路に到着し、運賃を払ったバートは近くの階段を上って通りに出た。露店、肉屋、魚屋、八百屋の順で食品を扱う店が並んでいるからか、通りには人の姿がそれなりにあった。
 夕飯の支度をする主婦は既に買い物を終えて帰宅しているだろうに、どの店もまだ閉めてはおらず、中には声を張り上げて安売りを宣伝している店主もいた。
 精が出るなと思いながら、バートは視線をあちこちへとさ迷わせながら歩いた。目的の店であるイコールはそれから九分後に見つかった。控えめな外装に店名を刻んだ看板が掲げられていた。それを見上げていると、中年の男三人組が店へと入っていった。バートもそれにならった。
 イコールは繁盛しているようだった。テーブル席は全て埋まっており、空いているのはカウンター席だけだった。出直すかと一瞬思ったが、今から他の酒場に向かうのも面倒で、そのままカウンター席に座った。
 レナードの話では落ち着いて飲める場所とのことだったが、店内はそこかしこから笑い声が聞こえ、お世辞にも落ち着いて飲める雰囲気ではなかった。まあ、テーブル席が全て埋まってしまうくらいだから、それも仕方ないことなのかもしれない。
 バートは店内を動き回っている二人の娘をさり気なく観察した。一人はきびきびとした動作で注文を取ったり、空いた皿を片付けている活気な娘。もう一人はおっとりとした感じながらも、仕事はきっちりとこなす、穏やかそうな娘。この店が繁盛しているのはこの二人が理由だろうと直感した。
二人ともぴったりとしたシャツにコルセットを着用しており、遠目からでも大きいとわかる胸を強調する装いだった。胸元は編み目になっていて、少し屈めば必然的に谷間が目に入るようになっているらしい。普通の娘がこんな格好をしても媚びているようにしか見えないが、二人は容姿にも恵まれているからか、恐ろしいほどの色気を放っていた。
「おい、ちょっといいか」
手を上げると、すぐに活気な方の娘がやってきた。
「はいはい、注文ですか?」
「ああ。とりあえずビールとお任せでつまみを頼む」
「わかりました。では、ちょっと待ってて下さいね」
娘は軽く頭を下げた。その拍子に、開いた胸元から白い肌によって形作られた谷間が覗いた。それを編み目が絶妙に隠し、はっきりとは見えないが、隙間から柔らかそうな肌がちらりと覗くという、露出の多い服より格段に色気を放っている状態だった。酔客だったら、間違いなく目を奪われるだろう。酔っていなくとも、大半の男は目がいってしまうに違いない。さほど女に興味のないバートでさえあっさりと奪われた。
 だが、彼女はそんな視線には気付いていないのか、それとも気にしていないのか、「マスター、注文ですっ」と厨房へ行ってしまった。もう一人の娘も注文を受けたらしく、同じように厨房へと消えていく。
二人の娘がいなくなってしまうと、店内には感嘆にも似た空気が漂った。
「ほんと、ローナちゃんもリゼちゃんも綺麗になったよな……」
「いや、前から美人だっただろ」
「そうなんだけどな。なんていうか、前より色気があるっていうか……」
「あー、それは俺も思ってたな。ローナちゃん、そこらの娼婦なんかよりずっと色っぽい」
「それ言ったらリゼちゃんも同じだろ。前からでかかった胸なんて、更にでかくなってる感じだし」
「でも、前よりその手の言動には厳しくなってないか? この前、酔った勢いに任せて軽く肩を抱き寄せようとしたら、容赦なくぶっ叩かれたんだが」
「馬鹿、それはお前の態度が悪かったんだよ」
 酔った客達の取りとめのない話が耳に届いた。話題はやはりあの二人娘のようで、そこからは二人の胸がいいだとか尻だろといった、自分の好きな部分の話へと移っていった。
 することもないので、バートはその雑談を意味もなく聞いていたのだが、やがて出てきたある言葉に意識を奪われた。
「しかし、あの二人もいいが、エステルちゃんもよかったよなぁ……」
「ああ、あの子もよかったな。こう、ミステリアスっつーか、いい大人の色気があってな」
「知ってるか? 実はエステルちゃんもかなりいいスタイルしてんだぜ」
「本当かよ。俺、あの子には一度も席で相手してもらったことないからわからないんだが」
「ああ。正直、かなりのもんだったぜ。あの子がいた頃は今みたいに色っぽい服装じゃなかったからわかりづらかったが、胸もかなり大きかったな。容姿も商売女なんか比べ物にならなかった。いい女ってのはこういう子のためにあるんだと思ったもんだ」
「確かにな。ローナちゃんやリゼちゃんはどこか可愛さを残しているが、エステルちゃんはこう、大人の女って感じだったな。今いないのがほんと残念だ」
「確か、なんとかっていう喫茶店を経営してんだろ? 一度見たが、男だと連れだって入りにくい感じだからなぁ……」
「あれが酒場だったら、毎日会いに通うんだがな……」
「なに言ってんだ。昔はここに毎日通ってただろうが」
 男達が笑いに興じるなか、バートの頭の中ではその名前が妙なところに引っかかった。
 エステルといえば、マリーの友人であり、彼女を教会に紹介したという人物だ。それがこの酒場で働いていたらしかった。それとも、ただ同じ名前の別人だろうか。
 急に浮かんできた疑問に考えを巡らせていると、目の前にビールが並々と注がれたジョッキと、胡椒の香りを立ち昇らせた鳥の手羽先を乗せた皿が置かれた。
「お待たせしましたぁ。ビールとつまみになります」
 少し間延びしたしゃべり方で注文したものを運んできたのは、注文を取った時とは違う娘だった。先程の娘よりも更に胸が大きいので、こちらがリゼらしい。
 先程聞こえた会話の内容が気になったバートはこう言った。
「おう、待ってたぜ。で、一つ聞きたいんだが、エステルちゃんって子はいるか?」
「エステルさんですか? あの人なら、少し前に辞めちゃいましたよ」
「辞めたってことは、家庭に入ったってことか? おいおいそりゃねーだろ。こちとら、すげーいい女がいるって聞いて期待しながら来たのに」
 先程聞いた会話の確認をすると、リゼの顔に同情するような笑みが浮かんだ。
「いえいえ、結婚はしてませんよ。ただ、お店を持つことになったから、それでここを辞めたんです」
「店を? 美人な上に金まで持ってんのか? おいおい、神様はどんだけ不公平なんだよ。俺なんていまだに根なし草だってのに」
 あくまでちょっとした会話を装うべく、バートは軽い感じで肩をすくめた。
「美人なことは確かですね。でも、あの人が自分でお金を出したわけじゃなくて、カトレアさんという人が店を用意したんですよ」
 思わぬところでその名を聞き、バートは体がぴくりと反応していた。それを誤魔化すために、ジョッキを煽ってビールを飲む。
「カトレアってーと、確かS&Kの店長さんだったか?」
 この瞬間、リゼの雰囲気が変わった気がした。
「あら、詳しいんですね。ええ、その通りです」
「美人についての情報は人一倍詳しく知ってる自信があるんでね。しかし、エステルさん以外にこんな美人がいるとは知らなかったが。どうだい、今度お食事でも」
「せっかくですが、遠慮させていただきます。想い人がいますから」
 あっさりと断られたが、酔客の話からバートはそうなるだろうと予測していた。ただ、最後の一言を小声で言ったリゼはなんとも妖艶な笑みを浮かべていて、一瞬、目の前の娘が娼婦に見えた。
「そんな大事なことを俺に言っていいのか? 俺、誰かれ構わず話すかもしれないぜ?」
「見たところ、旅人さんでしょう? だから特別です。町の人にこれを言うと、店に来てもらえなくなっちゃうかもしれないので。それに、あなたがこのことを誰かに話したところで問題ないです。その町の人間が知らないことを他所から来た旅人が言ったところで、信憑性ゼロですから」
 おっとりしているようで、意外としっかり物事を考えられるらしい。バートは少しこの娘を見直した。
「ま、俺の知り合いにこんな情報欲しがるやつはいないから安心しろ。それよりエステルさんだ。そっちはお付き合いできる可能性有りなんだろ? 是非ともお会いしたいところだが、どこに行けばいいんだ?」
「『エルセ』という喫茶店です。中央から西に向かったところですね」
「エルセね。ん、わかった。んじゃ、今度行ってみますかね」
 次はなにを聞こうかとバートは少し頭を巡らせたが、その隙に別の客が呼んでしまい、リゼは「はーい」と返事をしつつ行ってしまった。その後ろ姿を眺めながら、バートは手羽先にかぶりついた。胡椒のきいた鳥肉を噛みちぎりながら、頭では今聞いたことが渦巻いていた。
 カトレアが店を用意したエステルという人物は、マリーを紹介したエステルと同一人物だろうか。仮にそうだとしたら、妙な関係が浮かんでくる。そもそも、なぜカトレアは店を用意したのか。カトレアとエステルはどういう関係なのか。
 興味深いことが次々に出てきて、バートは知らず笑みを浮かべた。ようやく事態を進展させることを掴めそうな位置にきた感覚がした。エステルはマリーの友人ということだったが、生憎とそれだけで温情をかけるほど、バートも甘くない。なにより、エステルとカトレアには妙な繋がりがあるような気がした。勘にすぎなかったが、これが働いた時はいつも核心へと近付いている時だった。
 明日からはエステルを調べよう。そう考えつつ、バートはビールを空にした。


 控えめにいっても長い列だった。エルセの入り口から連なる人数は目算で三十といったところだろうか。列の中ほどに立つバートは既に一時間ほど並んでいるが、店に入るまではまだ時間がかかりそうだった。
 軽く朝食を食べるつもりで少し早めに出てきたのだが、考えが甘かった。店の前に来た時には既に長い列が出来上がっていたのだ。それだけでもため息をつきたくなる状況だったが、加えて並んでいる人のほとんどが女性ばかりで、居心地が悪かった。
 バートが店に入れたのはそれから二十分後のことだった。外見はそこそこの大きさだったが、店内は思ったよりも広く、テーブル席が等間隔で並んでいた。
 バートはそのうちの入り口に近い席に案内された。ウェイターらしい娘がメニューを置くと、一礼して忙しそうに去っていく。
 あの娘はエステルではないと判断しつつ、彼女の背中を途中まで目で追っていたバートはメニューへと視線を落とした。ケーキやパフェといったいかにも喫茶店らしい品が列挙されている。その中で、トリコフルーツのショートケーキの横にはおすすめと表示されており、店側で強く売りに出しているようだった。
 今まで話だけで実物に縁がなかったバートはせっかくだからと手を上げてウェイターを呼び、トリコフルーツのショートケーキとコーヒーを注文した。
 それから五分とせずに、ウェイターの娘がケーキとコーヒーを運んできた。娘が去っていくと、バートはケーキの上に鎮座しているフルーツの切り身を見つめた。四分の一にカットされた皮つきの切り身は見るからに熟れていて、食べずとも甘いと分かりそうだった。その他にも、ケーキのスポンジの間にもカットされた切り身が三つほど入っている。
「これがねぇ……」
 シオスとカトレアの表向きの資金源とも言えるトリコフルーツを使ったケーキを、バートは感慨深く見つめた。本当に大流行するだけの理由がある味なのか、さっそく小さく切って口に運ぶ。そしてすぐに目を見開いていた。
 トリコフルーツは見かけのとおり瑞々しく、噛めばたっぷりと果汁が出てきた。続いて、決してくどさを感じさせない甘さが口内に広がった。それを見越しているのだろう、ケーキ自体の甘さは控えめにしているようで、全体的に上品な仕上がりになっていた。
 これなら売れる。食べてみて、バートはすぐに理解した。これを独占販売すれば、それこそ利益は計り知れないものになる。少なくとも、表向きの資金源としての説得力はあった。ひょっとしたら、これを安く仕入れることができれば、短期間の間に店を購入するだけの資金を稼げるかもしれない。
 可能性の一つとしてそんな考えをしていた時だった。厨房の方から一人の女性が出てきた。その手には中サイズのホールケーキがあり、蝋燭が六本刺さっていた。一目で誕生日ケーキだとわかった。
 ケーキを持った女性が向かう先では父と母、それと娘の親子が楽しそうに待っていた。それに気づいた他の客も食べる手を止め、温かい目を向けていた。バートもまた同じように手を止め、そちらを眺めていた。ただ、それは小さな子供の誕生日を微笑ましく思ったからではなかった。バートの目は、ケーキを持つ女性に釘付けだった。
 肩の辺りにまで伸ばされた空色の髪をしたその女性は、家族と何事かの言葉を交わすと、マッチで蝋燭に火を灯していった。それを少女が息で吹き消すと、どこからともなく拍手が巻き起こった。
 他の客から祝福され、家族が笑顔を返すなか、店員の女性だけがすっとその場を離れた。彼女はゆっくりと店内を歩いていく。その顔には優しい笑みが浮かんでいる。彼女が通り過ぎるとその美しさに目がいくのか、ひそひそと話す者もいれば、憧れの眼差しを向ける者もいた。
 まるで女王だなとバートがそんな様子を眺めていると、ふと彼女と目が合った。海のような青い瞳と視線がぶつかると、彼女は微笑みを浮かべながら傍に歩いてきた。
「当店のケーキはいかがでしょうか」
 いきなり話しかけられたことに少し驚きながらも、バートは極めて平常心を保って言った。
「ああ、世辞抜きに美味いな。はっきり言って、今まで食べてきたどんなケーキよりも美味い」
「それはよかった。男の方はあまりいらっしゃらないので、味についての感想を聞く機会がほとんどないものですから。いきなり話しかけて申し訳ありませんでした」
彼女は頬に手を当てて小さく苦笑した。
「あー、その発言からすると、店長さんか?」
「はい。当店の店長を務めさせていただいております、エステルです」
 そう名乗り、彼女は頭を下げた。腰から直角に腰を曲げる綺麗な会釈だった。少なくとも、酒場で働いていただけでは身につく会釈ではない。この辺りの資質を買われてカトレアに抜擢されたのかもしれないとバートは思った。
「エステル……。人違いなら悪いんだが、マリーって名前のシスターの知り合いがいたりするか?」
 エステルは少し目を見開き、バートを見つめてきた。
「ええ、いますが……。ああ、もしかして、ギルバートさんですか? マリーから話は窺っていますよ。格好いい旅の人と知り合いになったと」
 バートは軽く頬をかいた。
「おっと、俺のこと知ってんのか。じゃ、自己紹介はいらねーな。しかし、話には聞いていたが、噂のエステルさんがこんな美人だったとはな。どうだい、今夜あたり、お食事でも」
 エステルの顔に微笑が浮かんだ。
「マリーだけでなく、私にも手を出すんですか?」
「美人なら相手は問わずだな。人妻は例外だが」
「ふふ、その様子ではさぞ浮名を流していそうですね。ただ、女は怖い生き物ですから、あまり火遊びが過ぎると火傷しますよ?」
「美人に火傷させられるなら悪くないな。で、どうだい。俺としちゃ、割と本気でお誘いしてるつもりだが」
「そうですか。では、私も前向きに考えておきましょう。それでは、まだ仕事中ですのでこれで失礼致します」
 会釈すると、エステルは小さく笑って奥へ消えていった。
 それをバートは黙って見送っていたが、やがてため息をついた。直に会ってみた感じでは、礼儀正しい女性というのがエステルの第一印象だった。少なくとも、カトレアのように対面していて油断ならない相手という感じはしなかった。ただ、言葉では言い表せないなにかをバートは感じ取っていた。あの笑顔の裏に、なにか途方もないものが渦巻いているような気がした。考えすぎかもしれなかったが、それを安易に否定しようとは思わなかった。
 残りのケーキを片付けると、ブラックコーヒーを一息に飲み干してバートは席を立った。
 エステルに直に会ったことで、俄然彼女に興味が沸いた。あの容姿と態度なら、酒場で人気が出るのも納得できる。だが、それ以前にエステルが酒場で働くということ自体に違和感を感じた。まだ彼女のことはなにも知らないが、それでも酒場などという粗野な場所で働くよりは、今のようにしっかりとした店で店員なり事務をしている方が合っている気がした。もちろん、人には事情があるので、なにか理由があって最初は酒場で働かざるを得なかったのかもしれない。
 バートは店を出る前に、エステルが消えていった奥へ目を向けた。
 酒場で働いていたところをカトレアが目をつけ、喫茶店の店長となったエステル。そしてここの教会にマリーを紹介した。表面上をなぞれば、そこまでおかしいことはない。だが、バートの勘は彼女がただの女性ではないとはっきり告げていた。


 噴水が絶えず水を噴き上げているのを、バートはぼんやりと眺めていた。
 町の中央から少し西に向かったところにある広場が待ち合わせ場所だった。マリーからエステルのことを聞こうとしたところ、ちょうど彼女の家に行く用事があるというので、そのついでにとこうして待ち合わせたのだ。
 この広場は回りを食べ物の露店に囲まれており、そこで買った食べ物を座って食べられるようにと、噴水を中心にテーブル席をいくつも用意され、ちょっとしたオープンカフェに似た場所となっている。よって、昼は人気のスポットだが、夜になると途端に人の数が減り、落ち着いた雰囲気を楽しみたい恋人が利用する場所へと姿を変える。そんな公園がマリーの指定した待ち合わせ場所だった。
 欠伸を噛み殺していると、約束の時間の五分前になってマリーが現れた。今日はいつものローブではなく、ケープを着用しており、それが一段と魅力的に映った。
「お待たせしました」
「おう。いやー、早く来てくれて助かったぜ。回りがカップルだらけで、一人もんの俺には居心地が悪すぎた」
「ふふ、でも私が来たからもう大丈夫でしょう?」
「まあな。そうだ、こいつはおみやげだ」
 バートが小さな箱をテーブルに置くと、マリーはすぐに中身が分かったようだった。
「これ、エルセの箱じゃないですか。じゃあ中身は」
「ああ、トリコフルーツのケーキだ。持ち帰りも出来るっていうから、わざわざ並んで買ってきたんだぜ」
 マリーの顔に笑顔が浮かんだ。
「わあ、ありがとうございます。評判は知ってたんですけど、なかなか食べに行く機会がなくて」
「そうなのか? マリーはエステルさんとは知り合いだろ? 頼めばどうにでもなりそうなもんだが」
「いえ、エステルさんもですけど、私も教会での仕事がありますからね。そう簡単に会うことができないんですよ」
「あー、そりゃそうか。俺みたいな暇人だと友人には気軽に会えるって思うが、働いてりゃそうだな」
 マリーはこくりと頷いた。
「ところでギルバートさん。エルセのケーキは嬉しいですけど、エステルさんにまで手を出すのはいただけませんね。こうして私とデートしてるだけでは不満なんですか?」
 マリーが身を乗り出し、鼻先に指を突きつけてきた。
「おいおい、そう簡単に会えないんじゃなかったのか?」
 マリーはにこりと笑ってない笑顔を浮かべた。
「ええ、その通りです。でも、エステルさんが忙しいなか、わざわざ礼拝に来て教えてくれたんです。ギルバートさんは美人相手なら見境ないから、ちゃんと躾けないと駄目だって」
 演技をしているとはいえ、酷い言われようだとバートは苦笑してしまった。
「ちょっとギルバートさん、なに笑ってるんですか!」
「いや、マリーが可愛いもんでついな。安心しろよ。確かに声はかけたが、さり気なく流された。ありゃ脈なしだ」
 マリーはやれやれと首を振り、そしてため息をついた。
「あの人に近づくのは止めておいた方がいいです。ああ見えて、実はとてもしたたかな人なんですから」
「へえ、そりゃ意外だな。それじゃ、高嶺の花は遠くから眺めて満足するだけにしますかね」
「そうした方がいいです。万が一ってこともあるんですから」
 なにかを危惧したような口ぶりが気になったが、マリーはそれ以上を話す気はなさそうだった。
「んじゃ、その万が一ってやつが起こらないように、しっかりとマリーをエステルさんの家まで送ってやるよ」
 マリーが嫌そうな顔をした。


 翌日。バートは町の東に位置する住宅区域に来ていた。エステルの家はこの区域にあった。昨夜、マリーを送っていったのはエステルの住んでいる場所を調べるためだ。
 貸家を一通り眺めると、バートはそこから南に向かって歩き出した。この辺りの貸家を管理しているのはディーノという男だった。
 彼の家はさほど離れていない位置にあった。一階建ての平屋で、不動産を扱っている割には地味な家だった。あまり儲かっていないのかなとバートは思った。
 扉をノックすると、まだ若い男が顔を覗かせた。
「どちら様かな」
「あんたがディーノさんで合ってるか?貸家を扱ってるって聞いて来たんだが」
「ああ、お客さんか。ちょっと待ってくれ、準備する」
 そこで女の声がした。
「お客さん?」
 バートが声の方へ顔を向けると、明るいブラウンの髪をショートヘアにした美人と目が合った。
「ああ、そうらしい。そういうわけだから、俺はこの人に付き合ってから顔を出すよ」
「わかったわ。カトレアさんにはそう言っておくわね」
 その名にバートはピクリと反応したが、それを表に出さずに眺めていると、ディーノとその女性は軽く口づけを交わした後、女の方だけが家を出ていった。バートとすれ違う際に、彼女は小さく微笑を浮かべた。その笑みに何か意味がありそうだったが、それを聞くことはせず、バートは小さく頭を下げるだけにしておいた。
「待たせて申し訳ない。とりあえず、現物を見せよう。では、出発しようか」
「ああ、頼む。それにしてもさっきの人は美人だな。嫁さんか?」
「ん? ああ、そうなるな。まあ、自分にはもったいないくらいの人だと思っているよ」
「はー、家があって、一緒に住んでくれる美人の嫁さんがいるってのは羨ましいね。俺もいつかはそうなりたいもんだ」
「この町に住んでいれば、いずれはそうなれる。さて行こうか」
 幸せそうな笑みを浮かべ、ディーノは歩きだした。
 取り扱っている貸家に着くと、彼は一軒一軒丁寧に紹介してくれた。今回は調査で来ているので、それを申し訳なく思いながら聞いているうちに、エステルの家が近づいてきた。
「おっ、この家いいな。今までのとこも悪くなかったが、ここは一際洒落てる気がする。ここも貸してるんだろ?」
 エステルの家を指差して言うと、ディーノは困ったように苦笑した。
「ああ、申し訳ない。そこは既に契約済みでね。うちの物件には違いないが、既に人が入ってるから、貸せないんだ」
「なんだ、そりゃ残念。しかし、よく見るとこれけっこういい家だろ? だったら値段も相応なんじゃねーか? 一体どんな人が借りてるんだよ」
「申し訳ないが、契約者の情報は言えないのでね。その辺りは勘弁してもらおう」
 ディーノは笑ってこそいるが、どれだけ食い下がっても話す気配はなさそうだった。まだ若いが、その辺りはしっかりしているらしい。
「ま、それもそうだな。じゃ、別のとこに期待しますかね」
 予想できた返事だったので、バートはさほど興味がないふりを装って歩き出した。
 その後もディーノは様々な家を紹介してくれた。バートは悩む仕草をしながらそれに応えた。
「気に入ってもらえたものはなかったかな」
 最後の家の扉に鍵をかけながら、ディーノはそう言った。
「いーや、その逆だ。あれこれ目移りしちまってな。見る前は最初にいいと思った家にすると決めてたんだが、予想以上にいい家が多くてな。どれにするか、決められなくなっちまった」
 バツが悪そうに頭をかくと、ディーノは小さく笑った。
「まあ、すぐに結論を出さなくていい。今のところ、どの家も借りたいという話は入っていないからね。ゆっくりと時間をかけて決めればいい」
「そう言ってもらえると助かるな。しかし、勧めてもらった家がどれも一人暮らし向けじゃなかったのは理由があるのか? 俺、一人身なんだが」
「いずれ君も所帯を持つことになるからな。それを見越した上で勧めさせてもらったよ」
「おいおい、家族向けの家を持ってても相手がいないんじゃ意味ないだろ」
「いずれできるさ。俺でさえ結婚できたんだから、君ができないわけがない」
「そう言う根拠が知りたいね。生憎と、今の俺は根なし草なんだが」
「根拠か。そうだな。もうしばらくこの国に滞在していれば、いずれわかる」
 なんらかの意味が含まれている言葉だった。それを追及しようかとも思ったが、ディーノは背中を見せて歩き出してしまった。
「所帯ね……」
 まだ早いと思ってはいたが、こうして家を見せられるとそういうことも考えておかしくはない歳だ。ただ、肝心の相手がいないので空想でしかないのだが。そこで思い浮かんだのはなぜかマリーだった。あの女性となら、結婚してもうまくやっていけるような気がした。
「図々しい考えだ……」
 ここ最近、美しい女性と会ってばかりいたせいか、ついそんなことを考えていた。
 それを否定するように軽く首を振ると、バートはディーノの後を追った。


 翌日、バートは再び住宅区域を訪れた。この辺りに住む人からエステルについて話を聞くためだった。
 さっそく調査を始めると、エステルを知っている人は何人もいた。しかし、バートの望む話をしてくれる人は一人もいなかった。誰に聞いても、知っているのはこの町でのエステルについてで、彼女の過去や交友関係についての話は一切聞けなかった。
 アプローチの仕方を変えた方がいいかもしれないと思いながら、エステルの家からほど近い場所にある家の扉をノックすると、「はいはい」と言いながら人の良さそうな若い男が出てきた。
「どちらさまかな?」
「押しかけるような形で悪い。実は新しくこの辺りに家を借りようと思ってるもんなんだが、住んでる人の感想を聞いてみてからにしようと思ってな。それで、よかったらその辺りのことを教えてもらえないか」
 今日だけで何度言ったかわからない切り出しをすると、納得してもらえたらしい。男は「なるほど」と小さく笑った。
 それから、家に対する賃金が相応しいかどうかや、住み心地といったあらかじめ決めておいた質問を尋ね、形式的な会話が終わる頃を見計らってバートは言った。
「聞きたいのはこんなことか。サンキュ、おかげで助かった」
「いやいや、お安いご用だよ。それで、君は他の人にも聞きに行くのかな」
「ああ。次はあそこの家に行くつもりだ」
 都合よく向こうから話題を振られたので、バートは顔をエステルの家に向けた。
「ああ、あそこは行っても無駄だと思うよ。この時間は家にいないだろうからね」
「なんだ、そうなのか? しかし、ああいう立派な家に住んでるやつの意見も聞いてみたいんだがな。どこかに出かけてるのか?」
「そうなるね。お店の店長をやっているはずだ。まだ若いのに大したものだよ」
 男はエステルの家を見つつ、一人頷いた。
「おいおい、いくつか知らないが、まだ若いって言われる歳で既に店長かよ。そりゃ、どんな天才だよ。大商人の息子かなんかか?」
「いやいや、息子ではなく娘だよ。親がなにをしているかは知らないけどね」
 男は小さく手を振ってそう言った。やはり、近所の人でもエステルについては詳しく知らないようだった。
「女の身で店長かよ……。それじゃ、ツテかなんかか?」
「ん〜、どうだろうね。僕も詳しくは知らないんだ。ただ、そういうツテはあってもおかしくないような美人だよ」
「若くて美人で店長ねぇ。天は二物を与えずって言葉はどこにいったんだか。奮発しまくってるじゃねーか。妬ましくて話を聞きに行きたくなくなってきたな」
「まあ、そう言わずに。彼女はまだ家を借りて新しいからね。僕とは違う感想を持っているかもしれないよ」
 男としては何気ない意見のつもりだったのだろう。だが、バートはそれを聞いた瞬間にハッとした。
「そうなのか。で、その人はいつからあそこに住んでいるんだ?」
「いつから、か。そういえば、いつからだったかな……。半年は経っていないと思うが、詳しい日付は覚えてないなぁ」
 男は困ったように首を傾げるが、バートはもうほとんど聞いていなかった。
「そうか。ま、大したことじゃないからな。話、聞かせてくれて助かった。また聞きにくるかもしれないから、その時はよろしくな」
 そう挨拶すると、バートはそこから離れた。半年以内という言葉が頭を支配していた。バートならそれをもう少し詳しく調べることができる。明日の予定を考えながら、バートは歩きだした。


「お疲れ様です」
 翌日、定日報告に訪れたバートは、遅れてやってきたリージオにそう言った。
「すまない、待たせたな」
 微かにインクの匂いをさせながら、リージオはバートの正面に座った。今日もデスクワークと向き合っていたようだった。
「いえいえ、お互いさまですから」
 言いながら、バートが報告書を取り出してリージオの前に置くと、リージオはすぐにそれに目を通し始めた。
 シオスに関してだけなら、かなり詳しいことも書いてあるので相応のものになったという自負はある。だが、カトレアに関しては相変わらずだった。
「このエルセという店には行ってみたのか?」
 報告書を見ていたリージオの目がこちらを見た。
「ええ、一応は。女性向けの喫茶店といった感じで、ものすごく居心地が悪かったですね」
「商館に続けて、店もか。もはや、裏金は確定したようなものだな」
 呆れたようにため息をつき、リージオは報告書を置いた。
「ですね。そちらに関しては相変わらずなにも掴めていませんが」
「もう一度、カトレアとシオスの交友関係や協賛している商人の調査だな。大金を用意できそうな人物の有無と最近の動向といったところか」
「了解しました」
「では、今回はここまでにしよう。引き続きよろしく頼む。そろそろレナードも帰って来るからな。あいつが戻ったら二人体制にできるから、進展も期待できるはずだ」
「僕としては、それまでに終わらせたいんですけどね」
 そう言いつつ席を立った。
「それじゃ、さっそく調査に戻ります。まだ調べることがたくさんあるんで」
「ああ、頼んだ」
 軽く会釈すると、バートは部屋を出た。言ったように、調べることはいくらでもある。進捗状況を報告する時間が惜しかった。中でも優先すべきはエステルだ。まだ不確定だが、彼女を調べることで今回の件は進展する直感がする。ただ、これはバートの勘にすぎなかったので、エステルについては報告書に書かなかった。


 1階に下りたバートはそのまま市役所の一角に向かった。簡易な看板に税務の文字が書かれた部屋に入ると、最も扉に近い席に座ってひたすらペンを動かしていた中年の男が顔を上げた。
「おや、バートさんじゃないか。なにか用かな」
「お久しぶりです、グライさん。少し課税台帳を見せていただきたいと思いまして」
「ああ、台帳か。それなら好きに見てくれていい。君の仕事は理解しているからね。案内は必要かな?」
「まさか。それじゃ、少し見させてもらいます」
 グライに笑顔を向けると、そのままカウンターを迂回するようにして、台帳が保管されている棚まで移動した。そこから最新のものを見つけて取り出すと、その場で開いた。
 税をしっかりと納めているかが記された台帳を手早くめくり、ディーノの税の納付状況が記されているページを開いた。ここ半年以内の税は問題なく支払っているようだった。バートは更にここからその数字に注目した。エステルに家を貸したのなら、単純にディーノの収入は増えているはずだから、それに合わせて納める税も増える。その考えのもと、ディーノの納付金額が羅列されているページを注視した。
「5か月前……」
 ディーノの納付金額が増えているのは5か月前からだった。しっかりと税を納める善良な市民でよかったと思いつつ、バートの頭の中では一つの仮説が組み上がっていく。
 5か月前から納付金額が増えたのはエステルに家を貸したからで間違いない。それはいい。問題は、エステルがこの町に来た時期だった。
「彼女の方が先……? カトレアよりも……?」
 調べてみた結果、カトレアもエステルと似たような時期からこの町に来ている。こちらは数字にうるさい商人達の話だから信用できる。そして、この台帳に記された数字もまた同様だ。つまり、エステルの方がカトレアよりも先にこの町に来ていたことになる。
 バートの中で、エステルという存在に対してどんどん疑念が膨らんでいく。彼女が特別なにかをしたわけではない。今のところ、そんな疑いはない。だが、今までの経験が警鐘を鳴らしていた。
 カトレアより先にこの町に来ていたエステル。酒場で働いていたが、カトレアによって今は一喫茶店の店長になっている。一体、二人はどのようにして知り合ったのか、どういう関係なのか、バートはいまだ掴めていない。それだというのにエステルを疑ってしまうのは職業病だろうか。
 台帳を元の位置に戻すと、バートはグライに礼を言って部屋を出た。
 見慣れた廊下を歩きながら、今わかったことからあれこれと推察する。エステルはカトレアよりも早くにこの町に来ていた。借りた家は貸家の中でも高価な部類で、その賃貸料を毎月支払っているなら、最初からある程度まとまった金を持っていたことになる。これをカトレアの裏金と結び付けるのはさすがに安易な考えだが、否定する材料も見つけていない以上、検証する必要があった。もしこれで裏金を用意したのがエステルなら、話が大きく変わる。
「鶏が先か、卵が先かってやつですかね……」
 それとも、まだバートの知らない第三者がいて、その人物こそが張本人なのか。
 どうにも芳しくない事態に向かっている気がして、無意識にため息がもれた。


 いつものように倉庫に立ち寄り、定期報告を書き込んでいく。それだけなら大した時間もかからずに済むのだが、今回は初めてエステルについても書き記したため、思ったよりも時間がかかってしまった。
 倉庫を出ると、すっかり日は落ち、夜の景色になっていた。割と早めに報告書を書きに来たつもりだが、エステルについての報告は思った以上に時間がかかってしまったらしい。
 バートは軽く笑うと、近くの水路から船に乗った。向かう先はエルセだ。この時間なら、店の席を埋める女性陣は大体が家事に追われているはずなので、エステルと話をできるかもしれないという公算があった。
 船を降り、しばらく歩いてエルセに到着すると、目論見通り店内は空いていて、前回の満席が嘘のようだった。埋まっている席は僅か4席だけだったので、バートは遠慮なくカウンターに向かった。
「いらっしゃいませ。お一人様でよろしいですか」
「いや、悪いが今日は持ち帰りで頼む。トリコフルーツのショートケーキを二つ」
 「かしこまりました」と一礼し、女が奥へと素早く去っていった。
 この後はマリーと会うことになっている。その際、手土産を持っていくと彼女も喜ぶので、こうしてご機嫌取りを用意するのがほとんど習慣とかしている。今日はマリーからエステルについて聞くつもりでいるため、土産を欠かすことはできない。そのエステル本人とも話をしたいと思っていた。しかし、店内の様子を見る限り、今夜は無理そうだ。
 明日にするかとカウンターに置かれた花瓶に目を向けた時だ。店の奥からふらりとエステルが出てきた。腕に封筒のようなものを抱えていた。ぴしっとした格好であることから、これから出かけるらしい。
 バートがなんとなしに目を向けていると視線に気付いたのか、エステルもこちらを見た。すぐに微笑が浮かび、静かに近づいてくる。
「お久しぶりです、ギルバートさん。またいらして下さり、ありがとうございます」
 彼女は軽く会釈しながら言った。
「久しぶりってほどでもないけどな。それより、今夜は雰囲気が違うな。デートか?」
「ふふ、そうだったら嬉しいんですけどね。生憎と、お店の売り上げ報告です」
 苦笑しながら、エステルは手にした封筒を軽く持ち上げて見せた。どうやら封筒の中身は売り上げの報告書らしい。
「あー、なるほど。そりゃまた忙しいこって」
 同じように報告書を書いてる身として、つい親近感がわいてしまった。
「ええ、そういうわけですので、これで失礼します。ゆっくりしていって下さい」
 綺麗な会釈をしてエステルが去っていく。僅かに香る甘い香りを残して遠ざかっていくエステルを、バートは理由もなく呼び止めようと口を開きかけた。
「店長っ」
 エステルを呼ぶ声がして、バートはハッとした。声のした方を見れば、可愛らしい容貌の娘が慌てた様子でエステルの後を追ってきていた。
「そんなに慌ててどうしたの、リアーナ」
「すいません店長、実は教会から頼まれていた品物を一つだけ持っていくのを忘れてて……」
 そう申し出たリアーナはバツが悪そうに顔を俯けた。
「忘れた? 教会に届ける日は昨日だったはずよ。どうして気付かなかったの」
「それが、一つだけ別の場所に保管しておいたみたいで……」
 エステルは深いため息をついた。
「じゃあ、すぐに持っていって。教会の方には私から後で謝りに行くから」
 怒るでもなく淡々と告げるエステルに、リアーナはすっかり委縮しているようだった。叱られた子供のような様子を見ていられなかったバートはたまらず声をかけた。
「あー、大事な話してるとこ悪いが、よかったら俺が持ってくぜ?」
 二人が揃ってこちらを見た。
「え……そういうわけには……」
「お気持ちは嬉しいのですが、これは当店の問題ですから。お客様であるギルバートさんにそのような真似をさせるわけにはいきません」
 きっぱりと言い放つエステルを、バートは手で制した。
「まあまあ、そう言うなって。実を言うと、これ、マリーへの差し入れなんだよ。つまり、俺はこれから教会に行くわけだ。そのついでに渡すだけだから、そっちが気に病む必要はないだろ?」
「本当にマリーに会うんですか?」
 青い目が見透かすかのように見つめてきた。嘘を言ったらたちまちばれそうな空気だった。それにぞくぞくしながら、バートは軽い感じで応じた。
「もちろん。そっちの子に気を遣って言ってるわけじゃないから、信じてくれていいぜ」
 にかりと笑って見せると、エステルはリアーナをちらりと一瞥してからしばらく考えている仕草を見せたが、やがて小さくため息をついた。
「……では、申し訳ありませんが、今回はお言葉に甘えさせていただきます。すぐに頼まれたものを持ってきて」
 エステルが厳しい声でそう言うと、リアーナは慌てて奥へと引っ込んでいった。そしてすぐに、小さな箱と、細長い箱とを持ってきた。
「それは?」
 小さな箱の方を見ながらエステルが言った。
「こちらはその方が注文されたトリコフルーツのショートケーキです……」
「そう。では、すぐにお渡しして」
 リアーナは可愛そうになるくらいにおどおどしながら、バートに二つの箱を手渡してきた。
「確かに受け取ったぜ。しかし、やけに軽いな。中身はなんだ?」
「トリコフルーツから作ったリキュールです。なんでも、仕事で使うのだとマリーが言っていました。軽いのはあまり量が入っていないせいでしょう。そこまで多くは必要ないそうなので」
「なるほどな。ま、しっかりと届けさせてもらうから、安心してくれ」
 歩きかけたところで「おっと、あぶね」とすっかり忘れていたことを思い出し、財布を取り出すと中から硬貨を取り出し、エステルに差し出した。
「いやー危ないところだった。危うくケーキ代を忘れるとこだったぜ」
「いいえ、ケーキ代はけっこうです。ギルバートさんにはご迷惑をおかけするわけですし、代金はサービスということで」
「それはありがたいと言いたいところだが、シスターを口説きにいくついでだから、そう気遣われると良心が痛むな。どうしても受け取ってはもらえないか?」
 言ってみたものの、エステルは受け取る雰囲気ではなかった。
「そうですね。代金は受け取れませんが、それではギルバートさんの気が済まないというのでしたら、一つお願いが」
「おー、いいぞ。美人のお願いならなんでもきくぜ」
 エステルは苦笑しつつ言った。
「では、マリーにその箱を渡す際に待たせてごめんなさいと伝えていただけますか」
「なんだ、そんなことでいいのかよ?」
「ええ。お願いできますでしょうか」
「ああ。正直、ケーキ代には安いお使いだが、まあしっかり伝えておくぜ」
 正直、これでもこの店のケーキに釣り合うとは思えなかったが、バートは素直に折れておいた。
「それではよろしくお願いします。謝罪の言葉は絶対に伝えて下さいね、ギルバートさん」
 エステルは静かに微笑んだ。


 静かな夜だった。空に雲はないおかげで、半月の光でも教会の庭をしっかりと照らしていた。
 なんとなく空き巣にでも入る気分で、バートは教会の建物に沿って歩いていた。不思議と心が躍った。自分が夜に教会にこっそりと出入りしている事実が半分、もう半分は単純にマリーに会えるということだ。今まで女関係には縁がなかったバートだが、こんな気分になるのなら、世の男が女にうつつを抜かすのも納得できることだと思った。
 足音を極力立てないように注意しながら北東の端をを目指すと、一つだけ窓の空いている部屋があった。事前に開けておくと言っていたので、あそこがマリーの部屋らしい。
 慎重に近づき、そっと顔を覗かせるとすぐ目の前にマリーの顔があった。バートと目が合うと、にっこり微笑む。
「こんばんは、泥棒さん」
 バートは頬をかいた。
「部屋に呼んどいてその言い方は酷くねぇか?」
「じゃあ、狼さんの方がいいですか?」
「いや、それだと目当てがマリーになっちまうから、泥棒さんの方がマシだな。それより、まるで待ち構えていたみたいだったが、ひょっとして足音が聞こえたか?」
 注意したつもりだったが、足音がしてたかと懸念するバートに、マリーは首を振った。
「いいえ、そろそろ来るだろうなと思って待ってただけです。足音なら大丈夫ですよ。さ、中にどうぞ」
 マリーが後ろに下がったので、バートは遠慮がちに枠に手をかけると部屋へと入った。
 マリーの部屋は思った以上に片付いていた。家具こそあるが、机やテーブルには私物の類が一切なく、質素という言葉が頭に浮かんだ。
「私より部屋を見る方が楽しいんですが?」
 顔を向けると少し悪戯っぽい笑みを浮かべるマリーが優しく睨んでいた。
「女の部屋に入るのは初めてだから、ついな。それより、これはお土産だ」
 彼女の機嫌を損ねるとまずいので、バートは話を打ち切ってケーキの箱を差し出した。
「ふふ、いつもありがとうございます。ところで、そちらの箱は?」
 マリーの目がもう一つの箱に向いた。
「ああ、これはエステルさんに頼まれたもんだ。なんでも、仕事で使うんだろ?」
 リキュールの瓶が入った箱を差し出すと、マリーは怪訝そうな顔で受け取った。
「仕事で? 頼んだ覚えはありませんが……」
「そうなのか? エステルさんはマリーに渡してくれって言ってたが。他の人の注文か?」
「そうかもしれません。私もここに来てまだ日が浅いですし。それより、これについてエステルさんは他に何か言ってましたか?」
「ああ。待たせてごめんなさいってさ」
 忘れずに頼まれたことを伝えると、マリーがピクリと反応した。
「エステルさんがそう言ったんですか?」
「ああ、そうマリーに伝えてくれって頼まれたな」
 マリーは聞き終えると、すぐにリキュールの箱を開けた。中から出てきたのは中サイズの中身が見えない瓶だった。マリーは引き出しから小さなナイフを取り出すと、コルクを抉るようにして抜いた。そしてその中身を確認した瞬間、唐突に笑いだした。
「あはははは!」
 いきなりの事態に、バートは戸惑いながら声をかけた。
「おいマリー、急にどうしたんだ?」
 バートが声をかけた瞬間、マリーがすごい勢いでこちらを見た。その顔にはなんとも不思議な笑みが浮かんでいた。
「ふふ、約束の時が来ました」
「マリー? なに言ってんだ?」
 訝しむバートへ、マリーがゆっくりと近づいてくる。
「私は以前言いましたね。いずれ私が知っているいい場所にご案内すると。その時が来ました。今からあなたをご案内しますね、バートさん」
 背筋がぞくりとした。自分の身に危険が迫っていることを彼は感じた。ところが、なぜか体が動かなかった。そうなって、バートは全てを悟った。
 自分は嵌められた。エステルにいいように操られていた。
 逃げなくてはならないというのに、動けないバートへとマリーが近づいてくる。そして彼の頭に手を伸ばすと、そっと耳元で囁いた。
「さあ、行きましょうか。誰の邪魔も入らない場所へ。そこで快楽に溺れながら、お互いの身体を貪りあいましょう」
 マリーの声がやけに頭に響いた。直後、空気が大きくざわめき、バートは意識と体とがバラバラに引き裂かれるような感覚に襲われた。


 シオスが目を覚ますと、先に起きていたらしい妻が支度をしているところだった。
「おはよう」
 声をかけると、彼女は彼の傍にやってきて唇を重ねてきた。彼女の柔らかな感触が彼の口に押し当てられた。
「おはよう」
 唇を離すと、カトレアは微笑んだ。その拍子に彼女の尾が静かに揺れた。
「今日は朝からご機嫌だね。何か良いことでもあったかな」
「ええ。新商品が届いたの。新しい香水なんだけど、どうかしら」
 カトレアはテーブルから小さな瓶を持ってくると、楽しげに見せてきた。
「香水なんかつけなくても、君はいつもいい匂いだよ」
「ありがとう」
 再び、唇同士が触れ合った。
「あなたもそろそろ支度して。私は朝食を用意してるから」
 そう言い残し、カトレアは寝室から出ていった。その際、いつもとは違う香りがシオスの鼻をくすぐった。仄かに甘い、花のような香りだった。
16/07/16 12:48更新 / エンプティ
戻る 次へ

■作者メッセージ
お久しぶりです。エンプティです。
最近、絶好調にサボり癖がついております。
今日はいいや、明日書こう→今日は気分がのらない。また明日→今日は疲れたから、また明日にしよう→以下、言い訳のループ。
さすがにまずいと思い、最近は一日に10分は必ず書くことにしました。
そんなわけですので、森の奥でを楽しみにしている方はごめんなさい。きちんと書いていますので、もうしばらくお待ちを。

TOP | 感想 | RSS | メール登録

まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.33