連載小説
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六日目、昼



『始まりの森丘・フィールドB
→始まりの森丘・フィールドC』


「ここか!?ラトラ!?」

「えとね!ここのどっかに風が吹いてるとこあったよ!」

前日の探索時に岩壁から風が吹いてる場所があったことを思い出したロックたち。向こう側が空洞・・・地図がないから正確なこと言えないが、もしかしたらベルンたちが落ちた洞窟の先かもしれないという予測をたて、そこに向かった。

「どこだ!探せ!早く!」

「えーっと、えーっと・・・」

ラトラたちが探し始め、みんな岩壁にへばりつく。

「でも、そこを見つけてどうするのよ!?」

「はぁ?洞窟に入るに決まってんじゃねぇか!」

「違うわよ!『入り方』よ!岩壁に穴が空いてたとしても、人が入れるような穴じゃないんでしょ!?」

「知らねぇ!とりあえず探せ!」

「あったよ!ここっ!」

ラトラがやっと風の吹く場所を見つけた。しかし、そこに目を向けたロックは一瞬目をパチクリさせ、そして叫んだ。


「完全な岩壁じゃねぇか!!」


人が入れる入れない以前に、穴が見当たらなかった。どうやら、岩と岩の隙間から風が吹いているようだ。

「これは・・・どうにかして穴を開けないと・・・」

「でも、アタシのライフルとかじゃ、無理だ・・・」

他のメンツが頭を抱える中、ラトラが鞄を漁り出した。

「みんなー!離れてー!」

そう言うと、ラトラがなにかセットし始めた。

「おい、なにセットしてんだ?」

ロックがラトラが叫ぶように答えた。



「ラトラの、『閃光爆弾』!」



それを聞いてまたロックが目をパチクリさせた。

「おい、閃光爆弾って・・・フラッシュ・バンか?」

フラッシュ・バンというのは、教会の軍隊なんかが使う殺傷能力の低い手榴弾で、目をくらませたりして敵の行動を阻害させるものだ。

「そんなもん、爆破になんか使えないだろ?」

「いいじゃないか。試してみよう、ほら、ロックくん!離れるよ!」

「だぁっ、こら、首根っこ掴むな!ロリのくせに!」

「そこ、関係あるんですか・・・?」

ネフィアが突っ込みながら、ベーゼの手に引っ張られてロックたちが岩壁から離れた。彼らに遅れて、ラトラが小石を持って走ってきた。

「面白い人!これ、爆弾に向けて思いっきり投げて!」

「・・・はぁ?」

「いーいーかーらー!」

「・・・えぇい、ダメで元々だ!」

『ぶんっ!』

半ば投げやりになりながら、ロックが勢いよく小石を投げた。



『こつんっ』



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『第一室、安らぎの間
→第二室、葛藤の間』


ベルンたちは、隠れていた。

『ズズゥン・・・』

巨大な足音が彼らのいる『部屋』に近づいてくる。

(・・・大丈夫?)

(しーっ・・・)

ベルンが指を立てて『静かに』という合図をすると、サティアは慌てて口を手で覆い、コクコクと顔を縦に振った。
ベルンは隠れていた瓦礫の陰から顔だけのぞかし、部屋の入り口を確認した。


『ズズゥン、ズズゥン、ズズゥン!』

『…Seek…Seek…Seek…』


3つある巨大な入り口のひとつから、4m近くありそうな巨大な機会人形(ガーディアン)が現れた。紅く光るひとつ目の発光体をぎょろぎょろ動かしている。

(・・・じっとして、やりすごそう)

(・・・うん)

ベルンたちは身を寄せ合い、瓦礫の陰に隠れてガーディアンが部屋を出るのを待つ。

『…Seek…Seek…Seek…』

『ズズゥン、ズズゥン!』


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彼らが結構ピンチだが、とりあえず状況を説明しよう。
彼らが入った部屋は、とてつもなく巨大な角部屋だった。天井も高く、奥行きもある。さらに三方向に向かう入り口があった。
少しして彼らは気づいたが、どうやらここはその巨大な部屋が碁盤のようにたくさん並んでいるようだ。森林エリアは草原エリアより、滝ができるくらい土地が高くなっていたが、その下にこんな場所があったと、誰が予想したろうか。だからこそ、学校の立ち入り禁止看板があったのだろう。
その部屋に入った二人を迎えたのが、ガーディアンだった。
ガーディアンとは、ゴーレムと違い、感情も意思もなくエネルギーが切れるまで半永久的に、指示された命令を果たす、『トラップ』に分類される機械人形だ。ガーディアンはベルンたちを見たら速攻で襲いかかってきた。
なんとか逃げ隠れしながら出口を探していたベルンたちが、今に至る。

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出口の場所が分からず、地図技能はあるが碁盤状のマップだから迷いやすく、さらにこのガーディアンのオマケつき。

(・・・生きて帰れんのか?俺たち・・・)

ベルンが顔を青ざめさせた時、ガーディアンが止まった。

『ズ、ズン・・・』

(げ!?止まった!?)

『…Search…Search…』

その時、サティアを守ろうとしたのか、それとも不安になったのか?ベルンがサティアを抱きよせた。

(○△☆◎!?)(サティア)

(しーっ!)

慌ててベルンが抱きしめたサティアの口を塞いだ。

『…Search…Search…』

(早く・・・早く・・・!)
(・・・・・・////)

ベルンが冷や汗をかき、サティアが顔を真っ赤にしてフリーズしている。
そして・・・



『…Not…Find…Restart…Seek…』

『・・・ズズゥン、ズズゥン!』



(・・・や、やった・・・動き始めた・・・)

ベルンがホッと息を吐いた。

『ズズゥン、ズズゥン!』

『パラパラパラ・・・』

そのとき、ガーディアンの歩く振動で、天井から砂ぼこりが落ちてきて、サティアの顔にかかった。

(・・・んっ、んんっ・・・)

(あ、悪い・・・)

わずかな動きを、息苦しいという抗議ととったのか。ベルンは、サティアの口元から手を離した。



「あ、やめっ・・・へっ、へくちっ!



(・・・あ?)

サティアが、くしゃみをした。



『ズ、ズン・・・ズ、ズゥン!』

『…Noise…Hear…Restart…Search…』

『ズゥン、ズゥン、ズゥン!』



わずかな音も逃がさないのか、ガーディアンがまっすぐベルンたちの隠れる瓦礫に向かって歩いてゆく。

(ご、ごめ・・・)

(謝ってる場合じゃねぇ・・・ど、どうするか・・・)

まだ飛び出すことなく、どうすべきか考え始めるベルンだが、彼の思考を、ガーディアンの足音がかき乱す。

『ズゥン!ズゥン!ズゥン!!』

(くそっ、考えろ、考えろ、考えろ・・・っ!)

『…Commando…Knuckle…Stand,By…』

歩きながらガーディアンが拳を振り上げた、その時。




『・・・ドゴォ・・・ン・・・』




『ビタッ』

(・・・な、なんだ?)

小さく響いた爆発音に、ガーディアンの動きが止まった。

『…Commando…Quick…Move…』

『・・・ズズゥン!ズズゥン!ズズゥン、ズズゥン・・・』

ガーディアンはくるりと方向を変え、部屋を出て行った。

「・・・い、行った?」

「そのようだな・・・今の音、なんだ?」

「・・・まさか、ベーゼたちが何かしたんじゃ・・・」

「えっ・・・」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「やったー!穴空いたー!」

「やったー、じゃねぇよ!おまっ、ガチな『爆弾』の威力じゃねぇか!!!」

ラトラの閃光爆弾は、綺麗にぽっかりと岩壁に穴をあけていた。

「細かいこと気にしちゃダメだよ、面白い人!」

「・・・テメェ自作の爆弾だけは信用しねぇ・・・」

ラトラとロックが言い合ってる間に、ベーゼが羽を鳴らして中に入っていった。

「おーい!早く行こうよ!あ、なんかこの中、底が結構深いから気をつけなよ!」

「お、おぅ・・・」

ロックたちが中に入ると、爆破された穴は相当高い場所にあり、軽いロッククライミングの要領で下に下りた。

「・・・結構広いな・・・」

巨大な四角の部屋。部屋に入り口は3つあり、ちょうど入り口のない壁が、ロックたちが爆破した壁だった。

「よし、ベルンたちを探すぞ!」

その時。

『・・・ズゥン、ズズゥン!』

「・・・ん?」(ロック)

「なんの音ー?」(ラトラ)

「・・・なにかの、足音みたいですね・・・」(ネフィア)

「・・・え?音でかくない?」(ベーゼ)

そして。


『ズズゥン、ズズゥン、ズズゥン!』

『…Find…Enemy…Destroy…Them!!!』


ガーディアンが、現れた。



『ぎゃーーーーーーっ!?』(ロックたち)


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一方、ベルンたちは。

『タタタタタタタ!』

「くそっ、あのデカブツより先に、ロックたちと合流しないと!」

「あーもー!このマップわかりにくいわよ!」

ベルンとサティアは慌ててガーディアンと別ルートを使って、爆発音のあった部屋を探していた。

「くそっ、どこだ!?どこなんだ!?」

そうして走り回っていると・・・

「・・・ん!?」

とある部屋に入り、ベルンとサティアは歩みを止めた。

その部屋には、他の部屋に続く3つ入り口と違い、ひとつ、巨大な扉がついている入り口があった。

「なんだ?この扉・・・」

「・・・もしかして、出口?」

その時。


『・・・ぎゃー・・・』


「ッ!?」

「みんな!?」

叫び声を聞いたベルンが駆け出そうとした時。

「待って!」

『ガシッ!』

「え、サティア!?」

サティアがベルンの腕を掴んだ。

「ベルン、盗賊職でしょ?鍵開け、できる?」

「い、一応、習ってはいるが・・・」

「なら、あの扉、試しててよ!」

「えっ!?」

閉じた扉には、本体の大きさには釣り合わぬ小さな鍵穴があった。

「私がみんなを連れてくるから、ベルンは鍵開けを試して!もしかしたら、ここが出口かもしれないでしょ?」

「・・・た、確かに・・・」

「ベルン、お願いよ!」

そう言うと、サティアは素早く叫び声の響いたであろう入り口へ行った。

「・・・・・・」

ベルンは、入り口の向こうへサティアが消えてゆくのを見届けてから、ベルンは鍵穴に向かい合った。

「・・・やってみるしか、ねぇよな・・・」


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『ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!』


ロックたちは絶叫しながら走っていた。彼らの後ろをガーディアンが追う。

『ズズゥン!ズズゥン!ズズゥン!』

『Destroy!!!Destroy!!!Destroy!!!』

ガーディアンの叫んでいる(口はないのだが、発している音)内容は分からないが、ロックたちは自分たちに敵意が向けられていることは分かっていた。

「おいこらラトラ!爆弾はもう持ってきてねぇのか!?」

「もうないよぅ!」

「こんの役立たず!せめて2コくらい持ってこい!」

「ふ、ふぇ・・・」

「ロック!それは言いすぎじゃないの!?ラトラが泣きそうじゃん!」

「皆さん喧嘩する前に逃げることに集中しましょうよ!!」

『ズズゥン!ズズゥン!ズズゥン!』

『Destroy!!!Destroy!!!Destroy!!!』

その時。


「みんな!こっちよーっ!」


全員がばっと左を振り向くと、サティアが手を振っていた。

「ぬぉぉぉっ!?全員90度回転!!」

『イエッサー!』

ロックの一言で全員が左へ曲がる。


『ドガァァァッ!』


『うわぁぁぁっ!?』

瞬間、ロックたちがまっすぐ進んでいたらいるであろう場所に、ガーディアンの拳が叩き込まれた。大きな衝撃にロックたちがサティアの前まで吹っ飛ばされる。

「み、みんな!?大丈夫!?」(サティア)

「な、なんとかな・・・」(ロック)

「このまま逃げたいけど・・・何かでアレの足止めができれば・・・」(サティア)

ガーディアンは地面にめり込んだ拳を引き上げ、ゆっくりサティアたちに近づいてきた。

「足止め?・・・あ!」

その時、ラトラが慌てて鞄を漁った。

「なんかあるのか!?」

「えーと、えーと・・・あれれ??どこにしまったっけ!!?」

「このバカ鼠ィーっ!!早くしろっ!!」

『ズズゥン、ズズゥン、ズズゥン』

ガーディアンはゆっくりと、まるで獲物を追い詰め最後のとどめを刺そうと慎重になった獣のように、にじり寄ってくる。

『Destroy…Destroy…Destroy…』

「えっと、えっと、えーっと・・・」

「ラトラ!早く!」

ガーディアンが一歩一歩近づき、ゆっくり腕を振り上げる。

「・・・あった!面白い人!これ、ピン抜いてあいつの頭めがけて投げて!」

「よこせ!」

ロックは素早くラトラからピンのついた球体をひったくると、ピンを口で抜いてガーディアンの頭目掛けて投げた。

「くらいやがれデカブツ野郎!」

『ぶんっ!!!』

『…Block…』

しかしガーディアンはすぐに振り上げた腕を顔の前に移動させ、ガードしてしまった。


が、それは『爆弾』ではなかったのだ。


『ぼふん!!!』


ガーディアンの腕に当たった球体は破裂した途端もくもくと煙を出し、ガーディアンの腕をすり抜け、ガーディアンの視界を遮ってしまった。

『…Emergency…Emergency…Eyesystem…Not,work…』

「え、煙幕!?」

「足止め、できたよ!」

「ラトラてめっ、なんでさっきないって言った!?」

「へ?あれ、『爆弾』じゃないよ?」

「テメェホントただのガキだな!!」

「とりあえず、みんな逃げるよう!」

「こっちよ!ベルンが待ってる!」

ガーディアンが視界を奪われ、動けなくなっている間に、なんとかロックたちは逃げ出した・・・


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


『カチャカチャ・・・キチチ・・・』


「・・・頼むぜ・・・これで開いてくれ・・・」

一方ベルンは、扉の解錠に専念していた。
未だ初心者ではあるが、盗賊学科で得た知識をフル回転させ、ピックを握る手に知らず知らず力を込め、汗をかきながらナイフを回していた。

ーーーーーーーーーーーー
[解錠成功判定、30%]
[ダイスロール、失敗…]
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『キチキチキチ・・・ガキッ』

が、ダメ。またもや解錠に失敗し、ナイフが止まる。

「・・・チッ」

静かに舌打ちしたベルンは、回ったナイフをそのまま、ピックをずらす。

「ベルン!開いた!?」

その時、サティアが他のみんなを引き連れて帰ってきた。ベルンは振り返らず、首を横に振った。

「ダメだ。やっぱちっとやそっとじゃあきゃしねぇ・・・」

「いい人ー!はやくー!さっきのおっきいのが追ってくるよー!」

「おいこらチビ鼠。お前も盗賊学科だろが!ベルンの手伝いくらいしろよ!」

「いらん。邪魔」

作業に集中していたベルンは、珍しくさらりと人の心をえぐる言葉を放った。

「・・・邪魔?・・・(;ω;)」

「あぁもう、泣かないの。よしよし・・・」

「乳の人が優しいよぉ・・・あったか〜・・・( ´ω`*)」

「・・・だからって胸に顔うずめないでくれる?怒るわよ?」

「・・・ここか?」

新たなピックの位置を決め、再度ベルンは鍵穴をゆっくり回し始めた。

ーーーーーーーーーーーー
[解錠成功判定、30%]
[ダイスロール、成功!]
ーーーーーーーーーーーー

『カチカチカチカチ・・・キチッ』

「・・・お!?」

明らかに感触が異なる音が鳴り、ベルンの顔が明るくなった。

「開いた!?」

「かもしれん!」

ハッと気づいたサティアが聞くと、喜んだ声でベルンが答え、ぐっと扉を押した。



「・・・重ッ!?



巨大な石造りの扉。それを一人で押せるわけもなく、ベルンが両手をついて体重をかけてもうんともすんとも言わなかった。

「て、手伝うわ!」

「みんなで押すぞ!」

サティアとロックに続き、みんなで扉を押し始める。

「せー・・・のっ!」

『う〜〜〜・・・〜〜〜んっ!』

全員で体重をかけて押すと、一拍置いて巨大な扉が低い音を立てて動き始めた。

『・・・ゴ、ゴゴゴ・・・』

「ぃよし!もっとだ!押せーーーっ!」



その時。巨大な足音が響いた。


『・・・ズズゥン、ズズゥン、ズズゥン!』


『げっ!?』

全員がバッと振り向くと、ベルンらの後ろ入り口から見える2つ奥の部屋に、あのガーディアンが立っていた。


『…Find…Enemy…Destroy…Them!!!』


ガーディアンがベルンたちを見つけた。ベルンたちは急いで扉を開けようと必死に押し始める!

「急げ!押せ!押せッ!!!」

「やってるっつの!!」

『・・・ゴゴゴ、ゴ、ゴ・・・』

ベルンが叫び、ロックが半ばキレ気味に言う。

『ズズゥン、ズズゥン、ズズゥン!』

「こんのぉぉぉぉぉぉっ!」

「開、き、や、が、り、な、さ、いぃぃぃっ!」

『・・・ゴ、ゴゴゴ、ゴゴ・・・』

サティアも蛇部分を伸ばして踏ん張り、ベーゼは羽の回転数をはね上げて押す。

『ズズゥン!ズズゥン!ズズゥン!』

「開いて開いて開いてぇぇぇっ!」

「ゴーレム!しっかり!」

『・・・ゴ、ゴゴゴ、ゴゴ・・・』

大慌てでラトラも押しまくり、ネフィアもゴーレムとともに押しまくる。


『・・・ゴゴゴゴン!』


「よし!人が通れる分は開いた!みんな入れ!」

やっとこさ一人分入れるかの隙間が出来た途端、ベルンが指示を出して中にいれる。

『ズズゥン!ズズゥン!ズズゥン!』

「お先っ!」

「アタシも入るよ!」

「失礼します!」

ラトラ、ベーゼのチビ組が入り、続いてネフィアがゴーレムと入る。

「先いくぞ!」

「ベルン!早く!」

次にロック、サティアが入り、ベルンが残った。

『ズズゥン!ズズゥン!ズズゥン!』

「くっ、あぶなっ・・・」

揺れ動く振動の中、最後にベルンが入った。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


『葛藤の間
封印の間


「扉を押さえ・・・ても意味ないか!?」

ロックが叫ぶが、相手は巨大なガーディアン。腕力勝負で勝てるはずもない。

「出口を探すんだ!急げ!」

ベルンがそう言って、全員が部屋を見回した。

そして。





「・・・密室じゃね?ここ。」





部屋には扉や窓はおろか、穴までなかった。

「おいぃぃぃっ!?俺ら詰んでね!?逃げ道なしで追い詰められてこのままだとアレに潰されてゲームオーバーじゃね!?」

「おおおお落ち着きなさいよベルン!なななななんとかなりそうな気がしないけどなんとかするのよ!」

「うわぁぁぁん!死にたくないよぉぉぉっ!おがーざーん!」

「み、みなさん落ち着いてください!」

ベルン、サティアがテンパり、ラトラがわんわん泣き始める。ネフィアがなだめようとするが、焼石に水状態である。

「くっそ・・・どうする?ロックくん」

「ベルンまでテンパりやがったか・・・ひとつだけ気になるのは・・・」

ロックが部屋の中央を見ると、燭台のような物の上に、巨大な黒い球が浮かんでいた。

「・・・あからさまなに怪しいよな、あれ」

「・・・そうだね・・・」

その時。



『ガゴォン!』



全員が声を出さずに振り向くと、重い石扉の間から巨大な指が現れ、扉をガッチリと握っていた。

「ちぃっ!」

瞬間、ロックが黒球に向かって走り出した。

「ロックくん!?」

「ダメもとだ!あの黒球をいじってみる!」

『ゴゴゴゴゴゴッ!』

重い扉が開き、ガーディアンが顔を覗かせた。そのガーディアンの瞳は真っ先にロックを捉えた。

『…Danger!…Danger!…Destroy,him!!!』

『ズズゥン!ズズゥン!ズズゥン!』

ガーディアンは部屋に入った途端、足元のベルンたちを無視してロックを追った!

「ロック!そっちへいくぞ!?」

「ぬぉぉぉぉぉぉっ!!!」

ダッシュで黒球へ走るロックは、がむしゃらに手を伸ばした!

『…Danger!…Danger!…Commando…Knuckle…Stand,By!!!』

追うガーディアンが拳を振り上げる!



「な、ん、と、か、なれェェェェェェッ!!!」



ロックが黒球へ、手を、つけた。





瞬間、闇が広がり、そして・・・






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選択肢です。

A、「契約成立だよ、ご主人様♪」
B、「我を呼び覚ましたのはお主か?」
C、「サァ、私ト契レ契レ契レ!」

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12/05/31 22:10更新 / ganota_Mk2
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■作者メッセージ

前回のHによるステータス変動。


[ベルン]
魔力10→11
インキュバス化進行度[5%]

[サティア]
魔力フル回復

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ベルンたちはとうとう追い詰められ、仲間がみな狂気に落ちて行く。

しかし、勇敢なロックはひとり、敵に立ち向かうために、部屋の中央の黒球に手をかざす。

はたして、ロックの運命は!?
そして、黒球の正体は!?『封印の間』の真偽やいかに!?

次回、冒険勇者ロック!
『封印されし者』!
次回も、見てくれよな!





ベルン「・・・なにこれ↑?」

サティア「知らないわよ」

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注意:ガーディアンという機械人形のつもりですが、もし、ガーディアンという魔物娘が出現した際には、名称を変えるかもしれません。
ちなみにモデルはMSのアッ○イです。

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