連載小説
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第十五話 如月と高き壁
『焦ってるね、解った頑張ってみるよ。』
昊君のその返事と同時に、通信が切れる。
「……どうだった?」
「頑張ってくれはするそうです、けど昊君がそういう時ってすぐに解決できないパターンのことがほとんどですから、下手したら到着したときまだ話が解決してないパターンもあり得ます。」
私たちがいるのは山奥の森の中にぽつんと立っていた大きめの家だった。
どういうわけなのか十数人が一気に宿泊できそうなスペースと、しばらくは生活に困らなさそうな量の保存食がここには用意されていて、私たちはここで一泊したのだ。
クルツの領域内に既に入っていることを考えれば、これはクルツの民が何らかの目的で使用している宿泊所か何かであることは何となく予想がつくけれど、こんなに大きな建物がよく見つからなかったものだ。
「…姫様の様子はどうですか?」
「……熱が引かん、それに呼吸も荒い、意識も途切れがちで性質の悪い伝染病の可能性すらあるのに結局専門的な知識のない私にはどうすることもできない状態だ。」
私たちが焦る最大の理由がそこにある。
姫様は数日の強行軍と満足に休憩もできない日々、そして心身にかかった多大なストレスが原因なのだろう体調を完全に崩してしまい、下手をしたら命の危険すらあると考えられる状態にまで弱っていた。
食事もほとんど口にできず、一人で立つことすら難しい状態。
今はこの建物にあったベッドの一つで休ませているけれど、そんなもの気休めにしかならないだろう。ここに姫様を置いて医者を呼びに行くことも難しい、もし敵が襲ってきたらなすすべもなく姫様を奪われてしまう。
「行き……ま…しょう…」
階段を下りてきた姫様が、息も絶え絶えにそう言った。
「姫様! 無理をなさっては」
「大丈夫です、一晩休んだらだいぶ楽になりました。」
真っ赤に火照った顔、目の下にできたクマ、壁に寄りかかっていないと一人で立っていることすらできないほど力の入らない体。大丈夫じゃないと素人目から見ても簡単にわかるのに、それでも姫様は無理をする。
「早く…行きましょう、少しでも早く、クルツにたどり着かないと……」
そう言って、姫様は壁伝いに玄関に向かっていく。
これだけフラフラの姫様が無理をする以上、臣下の私たちは応えなくてはいけない。
すぐにリィレさんと一緒に姫様を抱え上げて、建物を出るとティソーンの背中に姫様を乗せる、そしてリィレさんがティソーンに乗り、私はもう一頭の馬に乗りこむ。
手綱を引いて馬を走らせて、目指すはクルツ自治領。
馬のおかげで移動はかなり簡単にできている、クルツにも数時間あればつくとは言われていた、だから私たちはクルツに向かって馬を進める。
深くうっそうとした森を突き進み、やがて抜けるとそこから先は大きな岩の壁に挟まれた谷だった。
「うっわ、道が綺麗。」
谷の間の道は長年手入れされ続けてきたかのように綺麗に舗装されていて、それこそたまに私たちが通過してきた街道とよく似ていた、クルツの民がこれを作ったんだろう。
更に馬を走らせていく、一時間くらいしたところで、それはあった。
「城壁……ですよね?」
「そうだな、城壁以外の解釈があるのならぜひともそれを聞きたい。」
谷の間を埋めるように、高さ五メートルほどの壁がそびえ立っている。
けれど城壁にしては不用心じゃないだろうか、門らしきところは開け放たれていて、中に簡単に入れるようにされている、あんなものがあっては敵を招き入れてしまうのではないだろうか。
けれどリィレさんはそうも思わなかったらしい。
何せ、緊張感あふれる引き締まった顔をしているのだから。
城門に馬を近づけていくと、何か寒気がしてきた。
城門から、冷気のようなものが漂ってきている気がする。
馬たちは勝手に歩みを止める、それどころか私の乗っている馬は
「ブヒィヒヒヒヒヒヒっ!!」
いきなり暴れ出した、蹄の大きな音を立てながら体を上下に震わせ、
「うっわっぁっ!」
私は振り落されてしまう。
その瞬間、馬は踵を返すと一直線に元来た道を駆けて行ってしまった。
「なんなのよ、もう……」
「……恐怖心に駆られたんだろう、無理もない。」
リィレさんはティソーンから降りて、姫様を抱きかかえたまま歩いていく。
ティソーンもそのあとに渋々といった感じでついていき、私も後を追う。
少し行くと、日のさしこんでいる場所に着いた。
二十平方メートルくらいのそこそこ広い空間で、中央に向かって緩やかに傾斜している、そして中央部分には大きな水たまりがある。変な空間だ。
ただ、やばいくらいに寒い。
「すさまじい敵意だな……さすがに、最強の魔物『百人組』は違う。」
「わたくしたちをその名で呼ばないでいただけません?」
水たまりの方から声がした。
そう思ったら、水たまりが形を変えてたくさんの人型を作っていく。
「初めまして、お三方。わたくしたちはクイーンスライムのマリアと申します。」
そう言って、スライムたちの親玉らしき人型がお辞儀をする。
丁寧な物腰だけど、何となくわかったのはこの寒気の原因が彼女であることと、そして明確な敵意を持って私たちに接していることだった。
「王国軍の人間がこのクルツにたった三人で何の御用ですか?」
そのマリアの言葉の瞬間、さらに身が縮むような恐ろしい寒気に襲われる。
リィレさんが唾を飲む音が聞こえる。
マリアは明らかに、今まで私たちが何とかしてきた連中より格上だった。
私どころかリィレさんでも勝てないかもしれない、本当に次元が違う。
「私たちを、クルツの中に入らせてほしい」
「お断りします。」
マリアは一瞬も躊躇わずに言い切った。
「急を要する事態なんだ」
「知ったことではありません。」
マリアはやはり残酷なまでに冷静に切り捨てる。
「あの、ここに三条昊って人がいますよね?」
このままリィレさんに任せて問答していても多分先に進まない。
だからこそ切り出した話題だったけれど、マリアは大した反応をしなかった。
「いらっしゃいましたね、異世界から来た人だとか。」
「私はその友達です、通してくれませんか?」
「………少しお待ちください。」
マリアは渋々といった感じで殺気を引っ込めて、そしてどこかから木でできた板のような道具、要するに木簡を取り出す。
「もしもし、ルミネさん? ソラさんを呼んでほしいという方が。」
電話のように利用を始める、通信機か何かなのかな。
「はい、解りました。」
マリアはまた木簡をどこかに隠してしまう。
「連絡が取れない状態にあるそうです。しばらくお待ちください。」
「通す気がないというわけではないのか?」
リィレさんがいら立ちのこもった顔で言う。
「彼女だけでも医者に診せてくれないか、重病人なんだ。」
「まかりなりません。」
マリアはあくまでかたくなに私たちを通そうとしない、
焦っているのは私も同じだった、姫様が死んでしまってはここまで私たちのやってきたことはほとんど無駄になってしまうし、それにこの国は勝手な貴族たちの好き放題の専横を許すとんでもない国になってしまう。
「……けれど、考えてもよいですよ、何となくですが貴方たちは悪い方ではなさそうですし。」
「本当か!?」
リィレさんはすぐさま飛びついた。
「ええ、三対二十一でわたくしたちに勝てたら、ですが。」
「……いいだろう。キサラギ、姫様を頼む。」
リィレさんはそう言って私に姫様を引き渡した後剣を抜くと、構えをとる。
マリアの周囲を囲んでいたスライムのうちの三体が、同時に別方向からリィレさんに襲いかかる。
それをリィレさんは一太刀で全員薙ぎ払うと、逆に今度は自分から突っ込む。
マリアに向かって剣を振るが、マリアはそれを受け止めた。
腕が変形しているのだ、まるで刀のようなデザインに。
「ウォー○ッド?」
昔やったゲームに登場した人類の変異種がこんなことをできた覚えがあって、思わずそれを口走ってしまう。いやどちらかと言えば悪魔の実だろうか。
リィレさんの周囲をスライムたちが取り巻いている。
リィレさんは一体の体を切り落として包囲を抜けると、マリアの後ろに回り込んで剣を構え、
そして驚愕に目を見開く。
「キサラギ! 逃げろ!!」
そう言われた瞬間、私は後ろから誰かに羽交い絞めにされる。
ひんやりした感触が相手から伝わってきて振り向くと、私たちの背後には五体のスライムが回り込んでいた。
「……いつのまに…」
「この中庭にはところどころわたくしたちが隠れて移動できる抜け穴がありますの、油断なさってはいけませんよ。」
マリアが意地悪い笑みを浮かべてそう言った、美人だけれども、ちょっと近寄りたくない。
スライムのうちの二体が私から姫様を奪い、そして残る二体が私の両腕を抑えつけると、最後の一体は、私の服の下に手を突っ込んできた。
ぬるぬるぬるぬるっ
肌に冷たいものがまとわりついてせり上がってくる嫌な感触。
それは私のブラの下に滑り込んできて、
むにゅぅっ
「嫌ぁっ!!」
私の胸を揉みはじめる。そしてそのまま内側から乱暴に下着ごと私の服を脱がせて、上半身を露出させた。それほど大きくない、どころかやや小ぶりな私の胸が、マリアの目にしっかりと映る。
「あらあら、かわいらしいおっぱいですのね。」
いくら同性でもまじまじと見られることはすごく恥ずかしくて、顔が熱くなる。
「なんで、こんなことを……」
「敗者へのお仕置きと言いましょうか、わたくしの趣味と言えばそれも含まれはするのですが、こういうことをしないとクルツに入ろうとする方は後を絶ちませんからね。」
「お前も動くな」「動けば仲間の無事は保証しない」「もっとも、貴方は手遅れですけどね」「集団レイプ決定」「いっぱい気持ちよくしてあげる」「壊しちゃえ壊しちゃえ。」
リィレさんにもスライムたちが集まっていき、四肢を拘束する。
「領内不当侵入未遂の現行犯に付き、代表してあなたにクルツ伝統のクイーンスライムによる凌辱刑を味わっていただきます。」
そう言いながら、マリアたちはリィレさんの服を引きはがしていく。
剣を手からもぎ取り、鎧とプロテクターを壊し、露出した服を乱暴に破り、残された下着を切り捨てる。
「あら。」
露出したリィレさんのつるつるの股間部を見て、マリアが感心したような声を出す。
「剃毛済みですか? それとももともと?」
「もともとだ! 悪いか!」
半ば自棄気味にリィレさんは応える、その間も必死に抵抗して、マリアたちがやろうとしていることから逃れようとするけれど、さすがに数が違いすぎる、リィレさんに群がっているのは七人で、まだ控えているスライムも多い。
「あまりお嫌なようでしたら、他のお二人に変わってもよろしいんですのよ?」
マリアがそんな風に私たちに聞こえるような声で言うと、リィレさんは暴れるのをやめる。明らかに今のはわざと聞こえるように言っていた、そうすればリィレさんを抑えつけられると思ったんだろう。
そして正解だ、責任感の強いリィレさんが、仲間を売るようなことできるはずない。
「あなた達も、しっかりこの御嬢さんの痴態をご覧くださいね、目を逸らしたらもっと責めが苛烈にエッチになりますよ?」
目を逸らそうとした私たちに向かって、マリアはそんなことを言う。
責任を一身に引き受けるリィレさんにそれ以上の重荷は背負わせられないけれど、見てしまえば今度はリィレさんの心に傷をつける形になる、嫌な選択肢だった。
少し考えて、姫様がリィレさんの姿をしっかり見ていることに気づいて、私も見ることにした。
スライムたちはリィレさんの足を私たちに秘部を見せつけるように開かせると、そのまま陰唇の中に一体の腕をすべり込ませた。
「ちょっと待て! そこはっ!!」
少しスライムが腕を突っ込んだ後、「なんだキミ処女だったんだー」と楽しそうな、羞恥を煽ろうとする声で言った。
「こんなにいい女が処女?」「仕事人間だったんじゃないの? クロさんみたいな」「勿体なーい」「破ってあげようよ、スライムが処女奪っちゃうの」「いいねいいね楽しそう」「うふふふふふ」
スライムたちがリィレさんの処女について論議を始める。
「皆さん、破ってはいけませんよ。」
マリアがスライムたちを制する。
「処女膜を傷つけないように、できますね?」
「任せてください女王様!」
マリアの言葉に、リィレさんの秘部に腕を突っ込んでいたスライムは元気よく答えて、さらに腕を奥まで突っ込ませていく。
リィレさんの顔が羞恥ではなく恐怖に染まる、
「うぁっ……やめ、やめろっ中にしみ込んで…来るなぁっ」
スライムの腕はほとんど根元までリィレさんの体の中に埋まってしまう。
「まだまだこんなものではないのですよ?」
マリアがそう告げると、前からリィレさんにスライムが寄っていき、その右乳首にしゃぶりついた。
「うわぁあああっ!」
リィレさんは悲鳴と一緒に体をびくびくと痙攣させる。
「うふふ、感じていますね、気持ちいいでしょうか。」
「気持ちいいわけがない! 冷たくて不快だすぐにふあひゃぁっ!!」
空いていたリィレさんの左胸を、乳首に吸い付いたスライムが揉みはじめる。
おっぱい弱いんだっけリィレさん。
けど、スライムたちの攻めはまだまだ終わらない。
「ひっ!!」
リィレさんの顔が恐怖にひきつる。
何があったのかと思ったら、リィレさんの下腹部がちょっと膨らんでいた。
「やめろっ! やめてくれっ! 痛い痛いぃい! お腹がっ裂けるっ!!」
お腹の中に入り込んだスライムの腕が、リィレさんのお腹を内側から広げているんだ。
そう思ったら、リィレさんのお腹は引っ込んでいく。
安心したリィレさんが一息ついた瞬間、
ぼごん!
「ぉゴっ……」
お腹が一瞬でさっきより大きく膨れ上がる。あまりの衝撃にリィレさんは半分白目をむいて、四肢を突っ張らせて痙攣する。あれ気絶してるんじゃないだろうか。
「気絶など許しませんよ?」
そうマリアが言った瞬間、スライムのうち、胸を責めていた一体が両棟の乳首を、膣に右腕を突っ込んで中からかき回していたスライムが左手で陰核を同時に力強くつまんだ。
「ンぁああああああああっ!!」
リィレさんは半分白目のままいやらしい声を上げて体をまた痙攣させる。
「意識が吹き飛んでしまいそうな痛みの後に性感帯に刺激を流されるのは効くでしょう? 痛みから逃げたい本能が快楽にすがるんですよ。」
「あ……ぁあ…」
だらしなく口を半開きにして、リィレさんはマリアを見る。
その目に宿っているのは屈辱と、そして諦めだった。
「さてと、少しこなれてもらいますか。」
ぴちゃちゅくちゅうれろくりぬちゅ
くるくりきゅむむにゅきゅううううう
ずちゅぶぢゅぬぢゅぐちゅ
くりくりきゅうぅっピィン!
胸をいじっていたスライムは相変わらず胸を、股間をいじっていたスライムは相変わらず股間を責めるけれど、リィレさんの反応がさっきと今でちょっと違っている。
「はぅっ……あ…やめっ、ンぁアっ!」
たまに激しく責められる度に、リィレさんはいつもと違った可愛い声で喘ぐ。
さっきの一連の攻撃で、リィレさんの体は何かに目覚めたようだった。
「だいぶ慣れてきたようですし、仕上げに処女のまま、Gスポットを苛められてイっていただきましょうか。」
その言葉の瞬間、すでに蕩けはじめていたリィレさんの顔がよりひどくなる。
「や゙めっぞごわっ! わらひがごわれる゙っ!」
何をされているのかわからないけれど、リィレさんの顔はさらに涙と涎でぐちゃぐちゃになって、それでも必死に何かを耐えている。
リィレさんの股間から液が溢れてくる、スライムの体の一部とは違う透明な液だ。
「嫌だイヤダい゙やだぁっ!!来るな来るなぐるなグルナ゙ッ!!」
何かから逃げようとでもしているみたいに、リィレさんがそんなことを言いだす。その間もスライムたちの攻めはやまず、それどころか徐々に激しさを増している。
そして
「逃げても無駄ですよ、逃げられませんから、ねっ!」
マリアが何かをした、その瞬間だった。
「ゔあ゙――――――――――――――――――――――――――ッ!!!」
悲鳴か咆哮かもしくはそれらの両方の様なリィレさんの声と一緒に彼女の股間から噴水のように液体が飛び散る。リィレさんの顔は涙と涎でぐちゃぐちゃになっていて、目は半分以上白目をむいている。
びくびくと電流でも流されているみたいに激しくリィレさんは痙攣する。
一分ほど続いたその長すぎる痙攣の後、
「あ……ぁ……はぁ……」
死んでしまうのではないかと思うほど弱ったリィレさんを、しかしスライムたちは
「くひぃっ!?」
まだ容赦なく責め続ける。
むぎゅぐにゅぎゅみゅぐにゅぅうううう
ぴちゃぷちゅれるぢゅるぢゅぞちゅぱっ
「ふやっあっりゃめっだめっやめひぇぇえ!」
おっぱいを潰れそうなほど乱暴にもみしだき、吸う。
じゅぐじゅぐごぼっどぽごぽぐぽぬびゅっ
「をあっひぃっ! あがぁっふぎっ!」
子宮まで入り込んだスライムの腕がお腹の形が変わるほど暴れる。
くりゅきゅむぴちゃにゅちょ
「んあぁっ! やめっ そこだめぇっ!!」
陰核をつまむスライムの手が、リィレさんの陰核をちぎれそうなほど乱暴にしごく。
しかも凌辱劇はそれだけでは飽き足らず、リィレさんのお尻の穴にも一体のスライムが近づいていく。そして引き締まった綺麗なラインのお尻を撫でると、そのまま指から順に腕を差し込んでいく。
「ひっ! 嫌だやめろっ! そこはそんなことに使う穴じゃない!!」
「そんなことを仰って、すんなり飲み込んでいきますよ?」
スライムの体が液状だから滑り込んでいけるだけだろう。
しかしパニックに陥ったリィレさんはそれに気づけないらしく、
「嘘だっ! イヤっやめろ入ってくるな!!」
そんな風に必死に抵抗しながら、それでもお尻にスライムの腕を飲み込まされていく。ずぶずぶ奥に行くごとに、だんだんリィレさんのお腹が膨らんでいく。
「ひぎぃっ! ぐぁっがっ! 痛い! やめろ腹が裂けるっ!!」
「やめるわけないではありませんか」
どんどんスライムの腕が埋没していく、そして同時に膣に入れられていた腕ももう一度暴れ出す。
「いあっ! やめっやめてぇっ! 死ぬっホントに死んじゃう!!」
どんどんリィレさんのお腹は大きく膨らまされていく、本当に破裂してしまうんじゃないのかと思うほど大きくされ、ほとんど妊婦のおなかと比較しても大差がなくなっている。そうなるともういくら快感に敏感な体にされていても痛みしか覚えないらしくさっきから一度も喘ぎ声は聞こえない。
もう気丈でいる精神力が残っていないのか普通の女の子のような口調になっていて、それがスライムたちの嗜虐心を煽ってしまっているようだ。
「もうっ もうやめれっ死ぬっ! 本当に死んでしま」
「煩いですよ?」
どむん!
そんな音がして、リィレさんのお腹の一部が棒で押し上げられたみたいに大きく膨らむ。
「おごぉ……」
目を見開いてその衝撃に驚いたリィレさんは、次の瞬間に白目をむく。
そして股間から黄色い液体を放ちながら、失神してしまった。
しかしそれでもスライムの攻撃は収まらず、それどころか、
ごぼん
そんな水音が閉まらないリィレさんの口からしたと思ったら、スライムの手が姿を現す。完全に、リィレさんがスライムに蹂躙されてしまった証拠だった。
「マリア。いい加減そこまでにしてやれ。」
城門の、私たちのいない側からそんな声がした。
見てみると、そこには赤い髪に青黒い瞳をして、メガネをかけた中年の男性と同じような見た目の、しかしだいぶ若い青年が立っていた。
「クロさんにハロルドさんではありませんか、どうされたのです?」
「ツィリアの探知結界に二か所で異常が見つかったからこっちに俺たちが回った。」
クロと呼ばれた男はマリアの問いに対して淡々と答えると、リィレさん、私、姫様の順に見てから、なぜだか姫様をもう一回見た。そしてすぐに視線をマリアに向けると、
「その嬢ちゃんを解放してやれ、いくら何でもやり過ぎだ。」
「はいはい。」
クロの命令にマリアは素直に従い、スライムたちが私たちのそばにほとんど意識を失っているリィレさんを置く。
敵意を持った私の目線に気づいたんだろう、クロは私を見ると、
「……お前、名前は?」
「如月、平崎如月。」
油断なく睨みつけながら答えると、
「俺はクロード・ラギオンだ。キサラギ……?」
私の名前をもう一度口に出すと、首をかしげる。
「ソラの友達のキサラギか?」
私に訊ねるように、クロードが口を開く。
「そうです、昊君と一緒に異世界から来た友達の一人です。」
「そうか、とりあえずそこの嬢ちゃんにこれを着せてやれ。」
そう言ってクロードが投げてきたのは彼の羽織っていたコートだった。
「クルツに入ることは俺が許可する、そっちの青い髪の女は俺が運ぼう。」
そう言うと、マリアはまるでトンネルでも作るようにクロードに道を開ける、どうやら彼はかなり偉い男のようだ、しかしそれなら
「昊君に頼まれたんですか? 私たちをクルツに入れるように。」
「いいや、そのソラと連絡が取れない。」
クロードは表情一つ変えず当たり前のように答えた。
「は?」
「居場所は分かってる、結界に閉じ込められた、クルツの創立者二人が向かってる。」
「えっと?」
「正体不明の誰かがソラのいた建物を外部と隔絶したんだ、今その結界を破るために『魔物の領主』のルミネさんと、うちの法務官のツィリアさんが向かってる。」
クロードの隣にいた若い男が、通訳するように説明する。
クロードの懐から
『うるぁー! クロー! 返事しろぉ――――!!』
なんだかやかましい声が聞こえてきた。
「ハロルド。」
「ああはい、ちょっと待ってくださいね、と。」
ハロルドと呼ばれた青年はクロードの服の中に手を突っ込むと、さっきマリアが使っていたのと同じような木簡を取り出した。そしてそれをクロードの耳に当てる、クロードは両腕を使えないから、仕方なくだろう。
「ルミネ、そっちは?」
『侵入者は抑えたわ、ソラのお姉ちゃんだそうよ。』
「そうか、施療院で集合しよう。」
『わかったわ、遅れないでよ。』
クロードたちに導かれるまま、私たちはクルツ到達を果たした。
けれど、まだ苦難はしばらく続くんだろうなと、しみじみ思ってもいた。



11/07/19 19:20更新 / なるつき
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■作者メッセージ
マリアさんがひどい人に見えますがお仕事だからです
彼女は職務を全うしないとクロに怒られますから。
勝負に負けたら通してもいいというのも仕事のうちです、そう言うルール。
強さ リィレ・27 如月・22 マリア・38(単体18程度)

これで如月チームも(形の上では)クルツに到着
残すは吹雪だけです。

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