連載小説
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『MOON』
狂わせたのは、月の魔力
狂わされた、己の運命

叫ぶ声は草木を震わせ
弱き者共に恐怖を植え付ける

鋭き爪は衣服を裂き
未熟な刃を容易に手折る

駆ける脚は風と同化し
幾尺の距離を瞬き縮める

強者は驕り、弱者は恐れる
故に、真意を知るものはなし

叫ぶ声に
憂いを秘めていることを

振るう爪より
受ける手を欲していたこと

駆ける脚でも
帰れぬ場所があることを

誰も、誰も知らない

狂わせたのは、月の魔力
狂わされた、己の運命
10/09/03 14:21更新 / 初ヶ瀬マキナ
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■作者メッセージ
「貴方に会う前、行商の護衛に着いていたワーウルフと話した事があるのよ」
「ほう」
「彼女ね……元人間だったらしくてね。色々と辛い思いをしていたそうよ。反魔物領で、化け物と呼ばれて……自分が何なのか、探しているって」
「……」

「今は、元気にしているかしらねぇ……ノアさん」

「……自分が何なのか、か。本当に分かっている奴はいるのか?」

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