連載小説
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7章 『カポ〜ンな奴ら』
「あ〜〜ち〜〜のじゃ〜〜〜」
「黙れビッチ…貴様が喋ると、余計暑くなる……」
「ぁぅ〜…フライドチキンになっちゃうよ〜」
「フィロさん、揚げてはいませんのでフライはおかしいと思いますよ?」
「良く真面目に突っ込む元気があるな、お前」
「いやんフレンさんたら…ティータに向かって『ツッコム』だなんて……///」
「「「「……はぁ〜〜〜〜〜」」」」
「4名に深い深い溜め息を吐かれてしまいました……」

汗のせいで魔物の皆さんが非常にエロく見えます。
紅潮した頬と荒い息遣い…興奮します(´∀`)ハアハア ←誰?

「家の中もサウナだけど、外も太陽に支配されたような世界だな」
「逃げ場なし、か……」
「あ〜づ〜い〜の〜じゃ〜〜〜!」
「お前、この際だから魔界に帰れば?」
「な…なんじゃと?」
「いやほら、この時期は魔界の方が快適だと思ったから」
「まぁ、確かにのう……」
「アイリだけじゃなくて、お前らみんなもさ」
「「「「………」」」」

家主の提案に皆さん思案顔。
魔王によって支配された魔界には季節という概念がないのです。

「というかフレンさん、魔界の状況を良くご存知ですね?」
「あぁ、授業で習った」
「そんな事も教えられているのか?」
「魔物生態学っていう講義があるんだけど、これがけっこう面白いんだ」
「以前言っておったルーク教授とやらじゃの?」

ルーク教授……元祖ハーレム大魔王とでも言いましょうかw

「で、どうする?」
「私は残る。魔界はつまらん(フレンがいなければ、誰が美味い食事を作るのだ)」
「アタシもエルザと同じ〜(フレンと離れるの嫌だし……)」
「わ、わしはバイトを休むわけにはいかんのじゃ!(雌トカゲを残して魔界になど帰れぬわ!)」
「ティータはどちらでも良いのですが、実験機具を運ぶのが面倒なので残ります」
「………」
「ん、メイは?」
「………(グイッ)」

メイはフレンの服の袖を引っ張る。
……萌え(´∀`)ハアハア ←誰?

「なんだ、結局みんな残るんじゃないか」
「フレンを1人残すのはどうかと思ってな」
「ど、同感じゃ」
「いや子供じゃないんだからさぁ……」

愛されてますねーフレン殿は。












「わ〜! これが『セントー』なんだ〜♪」
「正式には『銭湯』って書くらしいけど」

最近オープンしたばかりの湯屋に足を運んだ。
なかなか高級な施設だから、普段なら敬遠するところだけど。

「お前のバイト先のチーフとやらに感謝だな」
「まぁ正直『3名まで』っていうのがアレだけど」
「アイちゃんとティーちゃん、あとメイちゃんに申し訳ないね〜……」
「勝負をして負けたのだ、そんな事気にする必要はない」
「そうかな〜?」
「お前達で決めた事なんだから、今更気にしても仕方ないだろ」
「……うん、そうだね〜」

チーフから銭湯の無料招待券をもらったので早速使わせてもらうことに。
しかし招待券に人数制限があることに気付き、俺を除いた残り2名をある『勝負』で決めることになった。
ちなみに俺はその内容を知らない。

「なぁ、一体どんな勝負をしたんだ?」
「「………」」

勝者であるフィロとエルザはこの通り、その話題を振ると黙秘を続ける。
……気になる。

「そ、そんなことより早く入ろうよ〜!」
「そ、そうだな! フレン、早く行くぞ!」
「あ、あぁ」

2人に引きずられ店内へ。
まぁ、帰ったら留守番組にでも聞いてみるか。












銭湯内部は広々としており、風呂の他にもマッサージやテーブルゲームなどの娯楽施設が揃っている。
これなら高級なのも頷ける。

「左が男湯で右が女湯、真ん中は……なんだ? 混湯?」
「混浴のことじゃないか? 良く知らないけど」
「なっ……混浴だと!?」
「ねーねーフレン、混浴ってな〜に?」
「あぁ、男性と女性が同じ湯船で一緒に入ること」
「ぇえ〜!?」

ジパング地方にはそういった風習があるらしい。
まぁ銭湯自体ジパング特有のものなので何ら不思議ではない。

「こ、混浴……///」
「ぁぅ…心の準備が……///」
「じゃぁ一旦別れよう。出たらあそこに集合な」
「ま、待て!!」「ま、待って!!」
「な、なんだよ?」
「「うっ……」」
「???」

何を焦ってるんだこの2人は。

「女湯はそっちだから、2人共のんびりしてくればイイよ」
「いや、そうではなく……」
「ん?」
「あのね? フレン…一緒に、混浴……」

とフィロが何か言いかけた時、

「あ〜〜! フレン君だ〜♪」
「……偶然」
「え、イサラさんにレティ?」
「じゃじゃーん! 僕もいるよー♪」
「それにチーフまで…どうしてここに?」

突然のバイト仲間登場に驚く。

「いやぁそれがさ、お得意様に配ってた招待券が余っちゃってぇ」
「それで〜勿体無いから〜、ワタシ達で使っちゃおうってことになったのよ〜♪」
「あぁ、なるほど……あれ? お得意様に配ってるのに、どうして俺にくれたんですか?」
「それは〜…ほらアレだよ! これからも頑張ってもらいたいなーってゆう激励を込めて……」
「……下心、丸見え」
「う……と、とにかくそういうことだから!!」
「はぁ」

なんか賑やかになってきた。

「おいフレン、その馴れ馴れしい雌共は一体なんだ?」
「も、もしかして……フレンの愛人!?」
「いやバイト先の先輩方だよ。なんだよ愛人って」

そっか、この3人とは初対面になるのか。
一応紹介しておかないといけないな。

「えっと、この人は『露璃喫茶』のチーフでファンネルさん」
「どもーノ しがないアルプやってまーす!」
「あとそこにいるのがイサラさん、彼女の隣にいるのがレティ。2人共厨房で働いてるんだ」
「初めまして〜、イサラと申します〜」「……よろしく」
「あ、は、初めまして! アタシ、フィロっていいます!」
「……エルザだ」

ガッチガチに緊張したフィロとは対照的に、エルザは3人を異常なまでに警戒している。

「フレン君から話は聞いてるよ! 1つ屋根の下で同棲してるんだってね!」
「は、はい! えと…フ、フレンとアイちゃんが、いつもお世話になってます!」

いや何故フィロがそのセリフを?

「いやいや、むしろ僕達がお世話になってるくらいだよ!」
「あらあら〜、フィロちゃんとっても可愛らしいわ〜♪」

人見知りの激しいフィロは、何故か自然と周囲に溶け込んでしまう。
健気な姿に好印象を持たれるのだろうか。
一方、

「レティ、と言ったな」
「……うん」
「貴様……」

エルザがレティに手を伸ばす。
やばい、早く止めないと!

「貴様……良い目をしているな。気に入った」
「……そう」

あら、思い過ごしだった。
目を褒められたレティも満更ではなさそうだ。

キャッキャッ! ワイノワイノ!

「………」

なんか随分と派手なパーティになってきた。
みんな人間の姿はしているものの、元が美人なので周囲の視線を独占している。
その視線の中には俺に向けられているものもあり、憎悪に近いものを感じる。
何故?

「よし、じゃぁそろそろ入らないか?」
「そうだな」「……うん」
「「「さんせ〜!!」」」

これで一緒に風呂でも入れば、みんなもっと打ち解けられるに違いない。

「じゃ、一旦解散ってことで……」
「「「「「………」」」」」
「え…な、なに?」

魔物娘一同、皆揃って俺を見つめてくる。
口元が笑っているのは気のせいだろうか?

……コクリ

そして5人が頷き合うと同時に、

「え、ちょ、ちょっと…くるな…くるな!」

キャアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァ…………

混浴に拉致られた。












「う、うぅ……」

俺は1人、湯船の中で涙を滲ませていた。
混浴に拉致された後、俺は脱衣所で5人からひどい恥辱を受けた。
具体的には『集団強制脱衣』。
嫌がる俺の衣服を、あいつらは息を荒くして引っぺがしていった。
でも……最後の砦だけは守った。
俺は最終防衛ラインに手を掛けられた瞬間、最後の力を振り絞って奴らの拘束を解き、そのまま浴室に逃げ込んだ。

「泣くな俺……マツタケを見られなかっただけ良かったじゃないか」

悔しいと言えば、俺だけ見られてあいつらは無傷ということ。
先に俺を丸裸にしてから脱ぐという姑息な手段を使ってきた。
まぁ…別にあいつらの裸を見たいわけじゃ…ないんだけど。

「あ、そうだ」

銭湯の決まりその@
体を洗ってから湯船に入る。

「しまった…今からでも洗わないと」

先程は必死になっていたので、体を洗うということをすっかり忘れていた。
混浴の浴室は偶然にも貸し切りだったので、俺が白い目で見られることはなかった。

「……よし、行くか」

ザバっと音をたて立ち上がり、俺は洗い場へと向かう。
できればあいつらが入ってくる前に済ませておきたい。

「………」

白い物体を手拭いで擦ると泡立ち始めた。
なるほど、これで綺麗にするんだな?

ゴシゴシ ゴシゴシ

この銭湯は高級だけあって、浴室内部も相当な広さがある。
用途は不明だが、水風呂やサウナなど様々な設備が用意されている。

ジャブジャブ

「……ふぅ、これでイイいかな」

水を含み重くなった前髪を掻き上げ、さっきいた湯船に戻ろうと立ち上がった。
そのとき……

「わ〜…イサラさんのお胸…おっきぃ……///」
「え〜? そうかしら〜?」
「わ、私より大きいだと!? この乳牛が!!」
「まぁまぁ! というかイサラはホルスタウロスだしね」

ようやく女性陣が浴室に入場。
ちなみに全員体をタオルで隠している。
安心したような残念なような……。

「あ、フレン……///」

フィロは俺を見るなりイサラさんの後ろに隠れてしまった(イサラさんのタオルは限界寸前)。
エルザとレティは体を捩り、俺と顔を合わせようとしない。

「いやぁ、フレン君さっきはごめんね〜。ほんの少ーしテンションが上がっちゃったと言うか、ちょっとした出来心だったんだよ!」
「チーフは出来心で性犯罪を犯すんですか?」
「本当に面目ない! この通り!」

チーフは手を合わせ許しを請う(主犯格はチーフ)。
まぁ本気で怒ってるわけじゃないんだけど。

「イイですよ、気にしてませんから」
「さっすがフレン君! 僕寛大な男の人だ〜い好き♪」
「はぁ……」

そもそもチーフの性別を俺はまだ知らない。
胸を隠しているということは、たぶん女性なんだろうけど。

「……静か。無人?」
「あぁ、誰もいないよ」
「ふん。なら翼を出しても問題ないだろう」
「あ、じゃぁ僕も!」
「アタシも〜ノ」
「人が来たらすぐ隠すんだぞ?」
「わかっている」

フィロ、エルザ、チーフの3人が魔物の姿に戻る。
しかし、翼の出現により巻いていたタオルが肌蹴てしまい……

「うわ!?」
「きゃあああ!!!」←フィロ
「み、見るな……///」←エルザ
「ありゃりゃ、取れちゃった」←チーフ

俺は瞬時に顔を背ける。
なんとなくこうなる事がわかっていたので、彼女達の大事な部分は見ていない。

「あらあら〜まぁまぁ〜」
「……大胆」
「ち、違う! わざとではない!!」
「フレ〜ン…もしかして…み、み…見えた?」
「だ、大丈夫! 見えなかったから!」
「よ、良かった〜」

男としては少々残念な気もしなくはない。

「フレン君フレン君」
「あ、はい?」

後ろからチーフに肩を叩かれ振り向いた。
するとそこには、

「じゃじゃ〜ん!」
「ちょ、ちょっと!?」

チーフはタオル無し・羞恥心無しの生まれたままの姿だった。

「ほらほら♪ 僕の体、好きなだけ眺めても良いんだよ?」
「ちょ…は、早く隠してください!」
「目を瞑らないでさ〜♪ ほら、早く見てみなよ♪」

チーフがこんな痴女だったとは思いも…しなくはなかったけど。
冗談抜きで早く隠してほしい。
でも……チーフの性別を確認する上で避けては通れない道。
ここは………………見るしかない!!
チラっと!!!
(これはいやらしい目で見るわけじゃなくて、チーフの性別を知るために仕方なく行う行為なんだ! 決して女性の裸を見て興奮したいからとか、そういう不純な動機では一切ないんだ! そこのところ、どうかご理解願います! 本当によろしくお願いしますorz)

「えーい! なるようになれ!!」





そして
俺は見た。





「……あれ?」

チーフの局所を隠す濃密な『湯気達』。

「み、見えない」
「え?って、何コレ!? 何この湯気!?」

1番重要な部分だけが見えない。
くっ……なんて都合のイイ湯気なんだ!
これが石○都知事の力なのか!?

「フレンく〜ん? ちょ〜っとチーフに尺を使い過ぎなんじゃないかな〜?」
「す、すいません」

イサラさんに注意された(タオル耐久残り2%)。
確かにちょっと長かったかなぁ。
これからは気をつけないと。

「……洗う。あっち行って」
「え…あ、あぁ、ごめん」

レティにも怒られたところで、俺は湯船に向かうことにした。

「ね、ねぇちょっと!? 僕はこのまま放置なの!? ね〜ってば〜〜〜!!」

チーフの叫びが浴室に響き渡った。












ぷか〜 ユラ〜

「わ〜…イサラさんのお胸…浮いてる……///」
「お風呂は〜おっぱいが軽くなって〜す〜っごく楽なのよ〜♪」
「で、でかければ良いというものではない! や、やはり胸は私のように張りがなくてはな!」
「こらこらエルザ女史、胸でイサラには勝てないよ?」
「うぐっ……」

こんな男子禁制な場面に俺が同席しているのは、世間的にありなのだろうか?

「………」
「レティ、のぼせてないか?」
「……平気」

俺の肩に寄りかかるようにして湯船に浸かるレティ。
紅潮した頬に虚ろな瞳。
う……不覚にも、また綺麗だと思ってしまった。

「おいフレン! お前はどうなのだ!!」
「はぇ? な、なにが?」
「聞いていなかったのか!? 巨乳と美乳…どちらが好きなのかと聞いているのだ!!」
「……はい?」

恐らく自分より大きい胸に初めて遭遇し困惑しているんだろう。
エルザ……お前はイサラさんには勝てない。
俺が保障する。

「まぁ、両方兼ね備えてたら文句ないけど……」
「それでは答えになっていない! もういい! 私が決着を着ける!!」
「い、いや〜〜〜ん……/// エルザちゃ〜ん…も、揉まないで〜〜〜///」
「この胸か? この胸が悪いのか!? どうなんだ!?」

イサラさんの胸を揉みまくって何に決着を着けるつもりなんだエルザは……。

「……フレン」
「ん、なに?」
「……揉む?」
「ぶっ!?」

衝撃の一言。

「レ、レティ?」
「……冗談。びっくり?」
「びっくりなんてレベルじゃない……はぁ」
「……ふふ」

なんて心臓に悪いことを……。
って、今笑った?

「な、何をする!?」
「お姉ちゃんモ〜本気出すんだから〜!」
「や、やめ…ひゃう!? も、揉む…な……///」
「そ〜れそ〜れ〜♪」
「はっ…ひあ!? そ、そこは…敏感で……///」
「お、おい何してるんだよ!? 誰もいないからってはしゃぎ過ぎだぞ!?」
「いいじゃないかフレン君♪ このまま親睦を深めれば♪」
「いや絵的に問題なんですよ! 俺のナマコが反応しないとも限らないし……」
「あ、そうそう…僕ね、君のビッグソーセージに興味があるんだ♪」
「な、なんですかいきなり」
「脱水症状で看病してあげたときにチラっと拝見したんだけど……」
「は!?」
「君のジャンボジェット…興奮してなくても東○スカ○ツリー並みの……」

チーフがとんでもないことを言いかけたそのとき、

ポチャン ぶくぶくぶく……

フィロが視界から消えた。












パタパタ パタパタ

「ぅぅ〜……」
「フィロ〜? 大丈夫か〜?」
「ぅぅ…ごめんね〜……」
「まったく、しんどいならそう言えば良かったのに」

のぼせたフィロを脱衣所に寝かせ団扇(うちわ)なるもので扇ぐ。
(フィロを運んだとき濡れたタオルが体にピッタリと張り付いていたことを俺は記憶から消した)

「フィロちゃ〜ん? 今度からは〜ぜ〜ったいに無理しちゃダメよ〜?」
「うん……」
「ま、これも良い人生経験だと思えばさ!」
「チーフって限りなく前向きですよね」
「そうかな?」
「くっ…巨乳なんて…巨乳なんて……!」
「……元気、出して」

そんなこんなで、俺達の銭湯体験は幕を閉じたのだった。












帰り道。

「チーフ、1つ聞きたいことがあるんですけど」
「なにかな? 性別以外なら何でもOKだよ!」
「いや気になりますけど、別のことです」

俺にはどうしても聞きたいことがあった。

「俺の…その…派動砲を見たって……本当なんですか?」
「さ〜? どうだろうね〜?」
「え!? 教えてくれるんじゃないんですか!?」
「それはそれ、これはこれ♪」
「えー……」

まぁ別にイイんだけどさ……何もされてなければ。

「でもこれだけは言えるよ」
「はい?」
「口に収まりきらない程大きかったってこと♪」












〜おまけ〜

「どうでしたか? ティータを置いてけぼりにした銭湯の感想は」
「嫌な言い方するなぁ……」
「冗談ですよ。それで、どうでした?」
「お金に余裕があれば、また行きたいかな」
「ほう? お主がそう言うのじゃ、さぞかし出来の良い店なんじゃろうな」
「ただ、体が小さいとすぐのぼせるらしい」
「ぁぅ……」
「まぁでも、無理しなければ大丈夫だよ」
「ならば、今度わしを連れて行くのじゃ!」
「ティータもです」
「………(グイグイ)」
「わかってる。メイも一緒にな?」
「……ん」


11/04/10 00:07更新 / HERO
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■作者メッセージ
サービス回……

難しいですorz

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