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chapter 3 呉越同舟
とりあえず、魔物たちの前に立ち問いかける

クリス「何の用だ?」

魔物達は口を開く

魔物『貴方たちも、最近教団の研究者達やお偉方が殺されているのは知っているでしょう?』

アルフレッド「ああ、いくつか連絡が来ている」

魔物『それなら話は早いわ、その件は私たちとしても見過ごせないのよ』

クリス「貴殿方には関係のない話だろう」

魔物『そんなことはないわ、私たちもなんとか阻止できないかと悩んでいるわ…』

アルフレッド「…」

クリス「だとしても、これは我々人間の問題だ。」

魔物『…』

アルフレッド「…?」

魔物『私たちとしても、犯人を止めたいのよ、そしてその理由を聞いておきたいわ』

クリス「だからこれは我々人間の問題だ、無関係な貴殿方の手出しは無用と言いたいのだが」

魔物『私達が変化したことを知らないの?』

クリス「変化しようがあくまでも起こっていることが「人間の国」の問題な訳である以上、無関係な貴殿方の手出しは無用と言いたいのだが」

魔物『確かに…貴方の言う通り人間の問題は人間が解決すべきでしょう…でも』

アルフレッド「?」

魔物『貴方達だけで、止められたのかしら?』

クリス「…」

魔物『それと、私達は犯人の特徴を知っているわ』

アルフレッド「それをどう信じろと?」

魔物『まあ、聞いてからでも遅くはないはずよ』

アルフレッド「…」

クリス「ならなぜ知っている?」

魔物『魔物のなかでも、コボルトとかはある程度規制が緩いわよね?その子が見ていたのよ』

アルフレッド「…」

クリス「今のところ、良くできた作文だな…」

魔物『なら、話すわ。』

奴らが言うには「艶のない黒の鎧兜を着け顔も兜に覆われた剣使いで剣は二刀流」とのことらしい

アルフレッド「なるほど…」

クリス「…」

そうしていると、伝令が血相を変えて報告に来た

伝令「申し上げます!我らの国の近くの領地の研究者も殺されたとのことです!」

アルフレッド「…状況は?」

伝令「研究者達は一人を除き全滅、うち一人はコボルトという種族の魔物を飼っていたとのことです!」

クリス「完全に主神の信徒の研究者だけを狙うわけか…」

魔物『次は貴方たちのところかもしれないわよ?』

クリス「お前達の…いや、ここは生き残りに聞いてみた方が早いな」

魔物『…わかったわ、私達は待たせてもらうわよ』

アルフレッド「俺が見張る、何かしたら…」

魔物『えぇ、覚悟はできてるわ』






















それから護衛とともに来た生き残りの研究者の話を聞くに、魔物たちの言った特徴は概ね同じであり決意と殺意に満ちた眼をした男ということが追加でわかった

クリス「なるほど…」

話を聞き戻る

クリス「魔物達よ、とりあえず貴女方の言ったことは間違ってはいなかった。そのことの非礼は済まなかった」

魔物『同一犯だったわけね…』

クリス「ああ、特徴に決意と殺意に満ちた眼をしていたとあるならまず同一犯だろう」

魔物『ドンピシャよ…』

アルフレッド「なるほど…」

とりあえず、国王に相談すべきか…

アルフレッド「と言うわけです」

国王「なるほど…共同戦線を張りたい、と」

魔物『はい、人数が多い方が範囲は広まりませんか?』

国王「だが、兵たちの世代はかつてのお前達に家族を殺されたものたちも居る、心理的に無理に近いだろうな…」

魔物『…そうですよね』

国王「だが、奴は少数とは言え魔物が居る所の研究者も対象にして居るというなら、まずは中立的なところを当たってみるのはどうだろうか?」

魔物『それは既にやっています』

国王「そうか、なら伝令同士で情報の交換くらいならできる可能性はあるか…」

魔物『ありがとうございます』

とりあえず今回は、情報交換という形で話がまとまったらしい…












それから更に、数週間が過ぎた。依然として週に一回は研究者が殺されている…

アルフレッド「見張っているのになぜ止まらない…」

魔物『どうやら、転移の魔法を使えるか気配を消すのに優れているらしいわね』

クリス「暗殺、とは違うか?」

魔物『微妙なところね…見張りの兵は気絶させてるだけにとどめているから』

アルフレッド「もう少し手掛かりがあれば…」

魔物『そうね…』

収穫があったのは、それから数日が過ぎてまた被害が出てからだった

クリス「なるほど…」

魔物『どうしたの?』

クリス「奴の鎧についていたマントの一部を証拠として手に入れたとのことらしい」

魔物『それなら、私たちの手にかかればどの辺りに居るかくらいなら調べられるわ』

アルフレッド「とはいえ、我々の一存では決められんな」

そのままその事を国王に報告する

国王「なるほど…ならばアルフレッド」

アルフレッド「はい」

国王「クリスと相談した上でどお前達のどちらかといくらかの兵を連れて行け」

アルフレッド「了解しました」

それから相談をクリスにする

クリス「なるほど…」

それから相談の結果、俺が行く事になった

クリス「なら、国の方は任せろ」

アルフレッド「ああ。」

話を魔物達とつけ、早速彼女達は場所を調べ始めた

魔物『なるほど…』

アルフレッド「わかったのか?」

魔物『この辺りに、身を隠せるか待ち構えられるところはある?』

地図に丸く囲われたところは、俺も知っているところだった

アルフレッド「考えられるのは、この遺跡か塔だな」

その場所の名前は、デュミス遺跡とエリュロンの塔と呼ばれている場所だった

魔物『遺跡に、塔…』

アルフレッド「どうする?」

魔物『距離の他に地形も考慮して近いのはどっち?』

アルフレッド『デュミス遺跡だな』

魔物『なら、そっちから行ってみましょうか…』

俺達は戦闘の用意をして遺跡に向かう…

アルフレッド『ここには、狂暴な原生生物とかがいるから気を付けることだ』

そうやって話していると遺跡についたのでそのまま進んでいく

アルフレッド『…』

魔物『一応、連携とかを考えると名乗っておいた方が良いわね』

アルフレッド『俺はアルフレッド』

魔物『私は、ブランよ。魔王の娘ね』

アルフレッド『お姫様が前線に出るのか』

ブラン『えぇ』

アルフレッド『なら、進もうか…』

出てくる原生生物は想定内のものだ、やはりそこまで強くない…

アルフレッド『もう少しで最奥部に着くな…』

敵の原生生物を倒しながら進む…

ブラン『ここが、最奥部みたいね…』

アルフレッド『あれは…まさか…』

そこにいたのは前に生物実験の研究所にいた生物の死体、生きているそいつににたものがいた


ブラン『なによ…あれ…』

アルフレッド『完成形か…』

ブラン『あなたが見つけたっていう謎の怪物の死体、それの完成形…?』

研究所にいた生物の死体、それと違うのは尾から赤黒い液体が垂れ、垂れたところからは煙が出ていることだった

アルフレッド『恐らく、な…』

ブラン『どうするの?』

アルフレッド『倒さねば、ならんだろうな…あの死骸でさえ生きてるときは勇者クラスが必要と書かれていた。こいつはどこまでの力なのか…』

俺は剣を抜く

ブラン『貴方の剣は、片方にだけ刃が付いているのね』

アルフレッド『ああ、一対の剣でまとめることで両手剣に変わる。そっちの武器は刺突剣か』

ブラン『えぇ、とりあえず目の前のを何とかしないとね…』

襲いかかってきたその怪物と俺達は交戦する、完成形と予想しただけあり手数も多く一撃も重い…

アルフレッド『…やるしかないか』

ブラン『???』

アルフレッド『はぁっ!!』

そのまま剣の柄で鳩尾を殴り、さらに加速の魔法を使い後頭部を剣の刃が付いていない方でおもいきり殴り付ける

アルフレッド『…よし』

加速の魔法を解く、怪物の方は何とか気絶してくれたようだ

アルフレッド『せめて一撃で眠れ…』

ブラン『なにしようとしてるの…?』

アルフレッド『奴を駆除しないと、ここから出てきたらたくさんの人が犠牲になる…』

ブラン『なら、私たちに任せて』

アルフレッド『???』

ブラン『確かに危険ではあるわ、でもそれを味方にできれば心強くない?』

アルフレッド『???』

ブラン『魔物化させるわ』

アルフレッド『失敗したら被害が出るぞ』

ブラン『味方を増やせるチャンス、そして貴方が危険を承知で作ってくれたチャンス、決して無駄にはしないわ』

すると彼女は怪物の下に魔方陣を展開した

ブラン『はぁっ!!』

眩しい紫色の光が迸り目を開けていられない…

ブラン『成功よ…』

???『ここ、は…』

すると、先ほどの怪物の姿に面影を残した魔物の女がいた

ブラン『これで会話が出来るわね』

???『わたしは、これを守るように命令をうけていた』

彼女の後ろにある箱、それの中身のことだろう…

???『わたしを、殺すか無力化したらその中身を持っていって良いってあの人に言われた』

アルフレッド『あの人?』

???『わたしを、連れ出した人。』

アルフレッド『まさか、艶のない黒い鎧を着た人か?』

???『うん、わたし、ある国で作られて、その人に連れ出された。』

ブラン『これって…』

ブランは箱の中を見ると、二冊の本があった

アルフレッド『これは…!!!!』

そこにあったのは、一つ目が所謂生物と生物をつなぎ合わせて合成生物を造るための書物だった。しかし問題はそれよりも…

ブラン『これって、生物実験の記録よね…』

アルフレッド『なら、俺が見た方が早いか』

ブランから受け取った記録を見る…

アルフレッド『何だと…奴ら生きた人間まで…』

怒りに拳が震える

ブラン『どういうこと?』

アルフレッド『まず、彼女がなぜこれらを守るために配置されていたかは知らんがこれは所謂改造人間や人造人間の記録だ』

ブラン『改造人間の記録?』

アルフレッド『早い話が、特殊な物質や薬物を体内に入れて適応や強化できたならよし、出来なければかってに死ね。というような実験の記録だ』

ブラン『何て事なの…!』

アルフレッド『犯人のメッセージ、もしかして…』

ブラン『???』

アルフレッド『ここからは俺の推測だが』

ブラン『構わないわ』

アルフレッド『恐らくだが奴は、教国の研究員のなかでも悪質な連中を始末している。目的が分からんがそう考えれば繋がりが見えてこないか?』

ブラン『なるほど…その推測だと襲撃をうけないところもあるわけね…』

アルフレッド『ああ、だから残っているところもあるんだろう…』

ブラン『なるほどねぇ…』

アルフレッド『だとしたら奴はその非道な実験の犠牲者を増やさんようにするために行動しているのかもしれんな』

ブラン『なるほどねぇ…やり方はともかく非道なことをなくそうと…』

アルフレッド「あくまでも推測だがな」

ブラン『とりあえず、戻りましょうか…』

アルフレッド「ああ、この事も報告しないとならないな」

???『…』

ブラン『貴方は私達と来なさいな』

???『うん』

とりあえず戻り、王に報告をする

アルフレッド「というわけです」

国王「なるほど…」

アルフレッド「犯人はそれを止めようとしているのではないかと思われます」

国王「確かに、好意的に捉えればそうなるな」

アルフレッド「はい…魔物から聞いた情報からしても…」

国王「確かにな…」

アルフレッド「では、明日に塔の方にも向かいます」

国王「頼んだぞ…」

アルフレッド「はい」

クリス「生きて戻ってこいよ…」

アルフレッド「ああ…」





















そして、翌日の朝になった

アルフレッド「では、行ってきます」

クリス「ああ…」

魔物たちも準備万端なようだ

ブラン『こちらも行けるわ』

アルフレッド「なら、行こう」

俺達は塔に向かう、そして俺達は知ることになる。この事件の真意を…


chapter3 呉越同舟 おわり
21/08/05 23:50更新 / サボテン
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■作者メッセージ
どうも、サボテンです

次回に続きます

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