連載小説
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貞春と真闇の、学習講座

<真闇 視点>


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[ 数日前 ]
[ メイド喫茶、パーラー ]


・・・どうしたの?茜さん?


茜「いや、この前のテストがあまりに酷いから追試を受けることになったんだ」


そうなんだ・・・


茜「でもな、その追試もダメで結局そのまま説教タイムだよ!ちくしょおおおおおおおお!!!」

『バキィッ!』


茜さん、箒が・・・


茜「あ・・・やべ・・・」

店長「茜ちゃん。掃除終わった?終わったらホールの手伝いお願いね〜」

茜「・・・よし!真闇!この箒、直しといてくれ!!」


ふぇ!?茜さん!?

・・・行っちゃった・・・もぅ・・・


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[ 現在 ]
[ 貞春の家 ]

・・・ってことがあったの。


貞春「ふーん・・・あれか?茜の野郎が赤面して客殴ったやつの直前か?」
(真闇とともにちゃぶ台を囲み、朝食中。パーラーは定休日)


そう。『こまめふんちゃ』って間違いを指摘されて恥ずかしかったらしいの。


貞春「こまめ・・・ふん?なに?」


小豆抹茶のこと。小豆(アズキ)をこまめ、抹茶(マッチャ)をふんちゃって読んじゃったんだって。


貞春「・・・ぶっ、くくく・・・」


貞春!笑っちゃダメだよ!


貞春「だ、だってよぉ、くくく・・・ひひひひ・・・」


???「悪かったな頭悪くてよぉ!」


『ドガァッ!』
(玄関のドアが吹っ飛ぶ)


ひぃっ!?


貞春「なっ!?ドアが!?」


茜「どーせあたしはバカですよ!えーそうですよ!頭いいヤンキーが何処にいんだよ!!!」

甲「あ、茜さん、落ち着いて・・・」


茜さんに、甲くん・・・?


貞春「こらテメーっ!ドア壊しやがって!なにしてくれんだこのクソガキ!」
(座ったまま茜にメンチ切る)

茜「んだとゴラァッ!やんのか!?あぁっ!?」
(指をパキポキ鳴らして貞春にメンチ切る)

甲「茜さん!やめ・・・」


貞春!めーっ!


『ガィィィン!』
(真闇、フライパンを思いっきり縦スイング)

貞春「ぐぉはっ!?」

茜・甲「!!?」


貞春!先に貞春が笑ったのが悪いの!謝りなさい!


貞春「ご、ごめんなざい・・・」

茜「あ、いや・・・うん、あたしも、悪かった・・・」

甲「・・・ライオンに鞭、貞春さんにフライパン、だね・・・」


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貞春「勉強を教えてくれぇ???」


私と、貞春が???


甲「はい・・・実は、赤点回避のため、茜さんだけ追々試を受けることになったんです・・・特別措置で」

茜「クソぉ・・・あのリリムの野郎、嫉妬で学生主任の職権乱用しやがって・・・」


それで、なんで私たちに?


甲「いやぁ・・・実はその・・・僕が教えると、気がつけば一日が終わってて・・・」

茜「・・・そんで甲くんのかっこいい記憶しかなくてよ・・・まったく勉強になんねぇーんだよ・・・」

貞春「アホかおどれは」


でも、わかるよ。貞春と『する』ときはすぐに時間が・・・あわわわわわ!
(変なことを言って超赤面)


貞春「・・・////」
(少し赤面)

茜「いいなぁ・・・チラッ」

甲「・・・する?なにを?」
(キョトン)

貞春「知らなくていい。あー・・・で、一応大学生の俺に家庭教師を頼みたいと・・・めんどくせぇな(ボソッ」


あぅ、あぅぅぅ・・・////


茜「そうなんだけどよー・・・てめぇ、勉強できんのか?」

甲「茜さん!失礼だよ・・・」

貞春「・・・まー、大学でやる勉強なんて、やればやるほど高校の勉強から遠ざかるもんだからなー・・・なぁ、試験の問題とか持ってるか?」

甲「あ、はい。ここにあります」

『ガサガサ・・・』
(持参のカバンから問題用紙多数。国語、数学、理科、社会)

貞春「よーし・・・まずはやってみるか」


あ、私もやる。


貞春「ん・・・あ、真闇。『あれ』くれ」


はい。『鉛筆と消しゴム』。あ、貞春。


貞春「あぁ、『裏白の紙』な。ほい・・・よし、始め」


はーい。


茜・甲「・・・夫婦みたいな息の合いっぷり」


・・・・・・////


貞春「ドヤァ」

茜「うぜぇ!」


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甲「結果発表ー。

えーと・・・
貞春さん。
数学92点、国語64点、化学98点、社会・・・9点!?」


・・・貞春・・・
(心配そうな目)


茜「あたしより低い・・・」

貞春「う、うるせぇ!歴史上の野郎の名前ややったことなんて覚えられるか!!」

甲「でもすごいですよね・・・数学も化学も、計算のケアレスミスだけですよ」

貞春「物理専攻の学科だけどよ、化学もやっといたらあとあと就職に有利だからな」

甲「次は真闇さん・・・

数学62点、理科54点・・・え?国語、社会、100点!?」


えへへ・・・国語と社会はね、貞春が未だに捨てずに持ってる『せんたーしけん』の参考書を、暇つぶしに読んだりしてたから・・・


貞春「ひ、暇つぶしに、勉強・・・俺の彼女ながら、おそるべし・・・」

茜「ありえねぇ・・・あたしだったらそんな暇つぶし、自殺もんだぜ・・・」

甲「でも、見事に分かれましたね。じゃあ、まずは・・・茜さん、一番壊滅的な数学からやろうか」

貞春「ん?点数から言えば化学な気がするが・・・まぁいい。やるぞ」

茜「わかりやすく教えろよな」


あ、私、お茶いれてくるね。


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<貞春 視点>


おい、茜。


茜「なんだよ?」


今、お前の解答を見て、恐ろしいことに気づいた気がする・・・


甲「・・・わかり、ました?」


あぁ・・・こりゃあ苦労するってレベルじゃないぞ・・・


茜「???」


茜・・・『1+1』は?


茜「舐めてんのかテメェ!?『2』だよ!」


よーし・・・じゃあ、『2*4』は?



茜「24
(真顔で、即答)


小学校行ってこいテメェ!!!


茜「なんでだよ!?」


なぁんで2*4が24なんだよ!2個のリンゴ4組もってきたら24って数えんのかテメェは!!!


茜「・・・え?えーと??」


おい、お前のアタマどうなってんだ?俺なんか難しいこと言ったか?


真闇「お茶いれたよー・・・ってあれ?貞春?どうしたの?頭抱えて?」


わりぃ、真闇・・・俺は頭が割れそうだ・・・


貞春「えぇっ!?どうしたの!?痛いの!?薬飲む?それとも救急車!?」


落ち着いてくれ、真闇・・・こいつ(茜)のバカさ加減に途方もない苦行を見出しただけだ・・・


真闇「???」

茜「えーと?2つのリンゴを4つ・・・あ!6か!」


ちげぇ!!!足し算じゃねぇよ!!!


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茜「・・・しちし、にじゅーはち。しちご、さんさじゅーご。しちろく・・・しち、ろく・・・?」


7*6だ。7*5は35なんだから?


茜「えーと・・・35+7・・・あ、しちろく、よんじゅーに!」


ほい、次。

(・・・なぁんでこんな年になって九九をやらなきゃいかんのだ・・・)


茜「しちしち、よんじゅーきゅ。しちは、ごじゅうろく。しちく、ろくじゅうさん!がーっ!やっと七の段突破だゴラァッ!」


あと、八、九の段あるぞ?


茜「・・・死ぬ・・・」


死にてぇのは俺だバカ・・・


甲「うーん・・・貞春さん、苦労してるなぁ・・・真闇さん?」

真闇「・・・ぶぅ」
(頬を膨らましてすごい不満顔)

甲「?・・・(チラッ」



茜「えーと、はちし・・・えーと、24+8だから、31?」

ちげぇよ。4+7が11だろうが?じゃあ、4+8は?

茜「あ、12だ。だったら、32か」

そうそう。七の段の計算覚えて、逆に計算間違えてんじゃねぇか。迷ったら筆算しろ。筆算。



甲「・・・あ、なるほど・・・」

真闇「・・・ぶぅ」
(いじけたように畳をいじる)

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・・・お、俺は小学生に算数教えてる気分だぜ・・・

茜「んだとゴルァ!どういう意味だよ!」

そのまんまだよ・・・頭いてぇ・・・

茜「ちょっと問題読み間違えただけだろが!」

『コンカズ分解』ってなんだよ!『因数分解』だろうが!!この時点で間違えんじゃねぇ!!!ていうかなんだこの解答!?


『X^2−4=Xと2と4、あと−』


だれが問題式分解しろっつったよ!?

茜「うるせぇーっ!意味わかんねぇんだよ!そのイ◯ポ分解のよ!」

『インスウ』だ!ドアホ!数秒前に聞いたことまで忘れんな!お前もう九九忘れてんじゃねぇだろうな!?8*7いくつだ!?

茜「バカにすんな!はちしちななじゅうに!・・・あれ?」

54だバカ!!!




真闇「はいストップ!」


『ドサッ!!!』


茜「!?」

ま、真闇?

真闇「貞春は疲れてるんだよ。ね?休んでいいよ。次は私が国語教えるから」
(ニコッ)

お、おぅ・・・
(な、なんかいつもと雰囲気ちがう?)

真闇「じゃ、茜さん。国語なんて積み重ねが大事だから、これやろっか」
(ニコッ)

茜「・・・あの、真闇?」

真闇「なに?」
(ニコニコ)

茜「この参考書、『赤本、東京大学』って書いて・・・」


真闇「ん?」
ニコニコ


茜「・・・あの?真闇、さん?」



真闇「ん?」
ニコニコ、ニコニコ
『ドドドドドドドドッ!』



「なんでもないです・・・やります・・・」

真闇「うん♪」
(ニコッ)



・・・ま、真闇、えげつねぇ・・・てかあの赤本、どっから・・・

甲「さっき、宅配便で来たそうです。『感想宅配便』だとか」

えぇ?


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[夕方]

甲「ありがとうございました」

いや、その・・・なんか悪いな・・・



茜?「あががががががががががががが」
(甲の背中でもわもわと湯気を吐き出してオーバヒート)


甲「えと、大丈夫です。ゆっくり看病しますから」

そうか。じゃな。

甲「はい、ありがとうございました」

おう。

・・・さってと。



[貞春の寝室]

ベッドに引きこもってるかまくらはだれだ?

真闇「びくっ」
(頭から布団を被ってる)

・・・ったくよぉ。


『ギシッ』
(貞春がベッドに座った)

『ガタガタガタガタ・・・』
(真闇が震える)


・・・おい。怒らねぇから出てこい。

真闇「・・・ほんと?」
(目から上だけ出す)

おぅ。

真闇「・・・怒らない?」
(頭だけ出す。芋虫状態)

怒らない。ただし、イタズラはする。

真闇「ふぇ?」



『びよーん』
(真闇の頬を引っ張る)



真闇「いひゃいいひゃい。やめれぇ」
(痛い痛い!やめてぇ!)

こんのバカが。このやろ。このやろ。

真闇「ほめんらはい、ほめんらはいぃ」
(ごめんなさい、ごめんなさいぃ!)



あんな奴と一緒にいたからって嫉妬しやがって。まだ俺の一途がわからんか。こうしてやる。おらおら。お前自慢のすべすべ肌をびよんびよんにしてやる。



真闇「どひゃくひゃにこくはくされへもうれひふなひぃ。はなひれぇ」
(どさくさに告白されても嬉しくないぃっ!はーなーしーてー!)

このやろ。このやろ。可愛いやつめ。このやろ。

真闇「うへぇ〜ん・・・」
11/10/24 20:58更新 / ganota_Mk2
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■作者メッセージ

<真闇 視点>

・・・ねぇ、貞春?

貞春「ん?なんだ?」


4*8は?


貞春「は?なに言ってんだよ?

37だろ?

・・・おい?どうした?そんな世界の終わりみたいな顔して?」

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