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終章ルートα ‐金属の心‐ Metal heart
どうしたものかと考えていると、金属の声が聞こえた

金属「そういえば思い出した」

光輝「??」

金属「我々、といっても自分だけだがこの世界に送り込まれたときにお前が管理者と呼んでいたものが言っていた「人間にのみ効果のある裁きを下し消し去る。」とな」

光輝「ほうほう、それは良いことを聞いたな…」

俺は翼を広げる

魔物『???』

光輝「どうやら滅びるのは人間だけらしい」

魔物『!!!!!!』

光輝「つまりだ、俺がここに居ようが居まいがお前たちの死は変わらんと言うことだろう」

軍人たちを見据えて俺は感情を込めずに言う

軍人「!!」

光輝「死にたくないなら、俺に構うよりやることがあるのではないか?」

軍人「!!」

光輝「早いところ避難させてそれができん連中は魔物とインキュバスに変えろよ…」

魔物『!!』

光輝「思考停止で俺に頼みに来る暇があるならそれをやれと言っている」

軍人「黙れ」

光輝「!?」

軍人の一人が俺を守ろうとして居た動物の眉間に向けて銃弾を放ち、俺は間に合わずその動物は力無く倒れる…

魔物『!!何してるの!?』

軍人「貴様一人のために動く必要など無い、お前が来ればそれで済むのだ。従わないならここに居る動物たちを…」

言わせなかった

光輝「管理者が手を下すまでもない…」

初めて俺はこの力で相手を屠ることを決意し片足を上げて地面を踏み抜く

軍人「がっ!?」

光輝「ワラキアの王が好んだ刑の威力はどうだ?」

地面から刺を突き出させ下からその軍人を串刺しにしたのだ、これ以上好き勝手をさせないために…

光輝「お前たちは我欲のために俺からかつて家族と呼んだ連中も新しい友も奪った…報復されないとでも思っているのか?」

さらに内部で突き刺さった刺から返しになるようにさらに刺を突き出させて内部から突き刺す

光輝「思い知れ」

そのまま地面に面した部分を動かして振り回して投げ捨てる

軍人「ば、化け物……!!!!!!!」

光輝「撃って良いのは撃たれる覚悟のあるやつだけだ、わかっていないわけではないだろうな…?」

魔物『…』

光輝「奴らだけは駆除してやる…管理者の手を煩わせる必要さえない」

今度は広げた翼の翼爪にある部分を伸ばして近くの軍人たちを片っ端から突き刺していく

軍人「!!!!!!!!!!」

突き刺された軍人たちは悶絶している…

魔物『何を…したの…?』

光輝「奴らは死ぬ」

魔物『何をしたのよ…?』

光輝「俺の身体はあらゆる金属、および金属元素と呼ばれる物質を取り込める、それが人体にとって有害であろうとな」

魔物『まさか…』

光輝「毒性が高い水銀化合物とウランを致死量の数十倍の量は直接体内に流し込んでやった…苦しんで死ね…」

魔物『彼らが、貴方の心を完全に壊して金属の心へ変えてしまったのね…』

光輝「ここに居る奴らは一人残らず駆除する」

魔物『私たちには、止める権利はないんでしょうね…』

光輝「こいつらを救うより早く他の人々を避難させる方が何十倍も多くの命を救えると思うが」

魔物『命の重さを測るの!?』

光輝「こうして話している間にも人間の滅びはすぐそこに来ている…どうするかはお前たち次第だ」

さらに恐怖で足がすくんで逃げられない軍人の首を掴み、乱気流や雷雲の中で得た雷の力で炭に変えていく…

光輝「理想論を語る前になにか行動を起こせ」

残った軍人たちを全身から槍を飛び出させて串刺しにして刺さっている場所からマグマの熱を流し込み内部から炭化させていく、奴らが断末魔の叫びを上げるが知ったことではない

光輝「残りは、お前だけだ…」

そこに居たのはかつて俺を買い取ろうとして来た軍人だ、逃げたと思っていたが出会えるとは幸運だ…この手で報復ができるのだから…

魔物『もう、やめて…!!!!!!!!』

彼女は俺の腕を掴み悲痛な叫びを上げた

光輝「こいつは最後に残しておいたんだよ」

魔物『!?』

光輝「こいつが、俺を兵器として買い取ろうとした上で従わなかったからと俺からかつて家族と呼んだ連中を脅した奴らの逃げたやつの残りだ…」

魔物『恐怖や絶望を味あわせてから殺すつもりだったのね…』

光輝「ああ、だが奴らが大人しく去れば攻撃はしないつもりだった…だが奴らは俺の新しい友も奪った…もう我慢しない。」

魔物『彼らは、あなたが与えた最後のチャンスをふいにした…そういうことね?』

光輝「そういうことだ…」

魔物『確かに、彼らに同情できる点はひとつしかないわね…』

光輝「??」

魔物『彼らも上の指示で行ったのよ…良心の呵責が絡まないと思う?』

光輝「知るか、やったことはやったことだろう?」

魔物『えぇ…そうね…貴方はその力を得ても、ふつうに暮らしていきたかった…それだけだったのよ…ね?』

光輝「ああ、人間は俺を兵器として使おうとしお前たちは我が身かわいさに俺を封印しようとした…この地点で見限って置けばあいつも死ななくて済んだのかもしれないな…」

撃たれ力無く横たわる獣を見る

魔物『ごめんなさい…私たちが本来は寄り添わなければいけなかったのに…』

光輝「全てはもう終わったことだ」

魔物『どうか…』

光輝「??」

魔物『彼にもやり直すチャンスを…』

光輝「断る」

魔物『…』

光輝「怯えた顔とかも演技だろう?自分が生き残りたいが故の」

魔物『いいえ、彼は本当に怯えているわ…それに…』

光輝「見誤って居た?俺の新しい力を知らんかったなら、無知は大罪だろう?」

魔物『どうやったらわかるのよ…』

光輝「さてな…」

魔物『どうか…どうか…』

光輝「なら、こいつの上司連中を連れてこい…大元を断たせてもらう」

魔物『!!』

光輝「どうする?」

魔物『…』

光輝「異論がないなら…」

魔物『なら、私たちを殺してみなさい』

光輝「??」

魔物『貴方の心を完全に壊して金属の心にしてしまったのは私達魔物にも片棒はあるはずよ…』

光輝「そいつにそこまでの価値があると?」

魔物『えぇ…命と言うのは掛け替えの無いものよ…』

光輝「つまり「生き物ですらない俺には我慢してもらう」ということだろ?」

魔物『どうしてわかってくれないのよ…』

光輝「我が身かわいさに俺を封印しようとした奴らが言うか…」

魔物『…』

光輝「ここに居た軍人以外には手を出さん、俺からはな…それでも不満か」

魔物『…本当?』

光輝「ああ、奴らがしたことのけじめをつけさせるだけだ」

軍人「化け物が…血の繋がった親にも売られた化け物が!!!!!!!!!!」

光輝「…」

そのままつかんだそいつを冷気で凍らせていく

魔物『完璧、踏み抜いたわね…』

光輝「どんな気持ちだ?」

首から上だけは凍らせていない

軍人「化け物…め…そんなんだから…魔物にも…封印…」

光輝「喚くな」

そのまま首から下をバラバラに殴って砕く

魔物『…約束よ?』

光輝「ああ。「俺からは」手を出さん。尤も反撃しないとは言っていないが」

魔物『えぇ…貴方は人間の一人も居ない世界でずっと孤独に生きなさい…』

光輝「ああ、その方がいい…」

魔物たちは去っていった































それから、どれくらいの月日が流れただろうか…この星にはいくらかの魔物が資源を取りに来たり迷い込んだりする程度で俺は自然や動物たちと穏やかな日々を過ごしていた…

光輝「…?」

ざっと十年は経つが俺の姿は変化していない、金属元素やマグマなどを取り入れることはしても俺は命を奪わずに生きることができるのだ

光輝「この地に、なんの用件があって来た?」

居たのはどこかで見たことがあると思っていたが俺を理解しようとした白いフードを被った魔物だ

魔物『お久しぶりです』

光輝「お前か…」

魔物『あれから貴方は、歴史に名が残りました』

光輝「大悪人か?それとも虐殺者か?」

魔物『いえ、私達魔物にしても人間にしても繰り返してはならない出来事、そして十年以上たとうと風化しない貴方の身体のように風化させてはならないこと…その中心人物として貴方の名前は歴史に残りました…』

光輝「そうか」

魔物『一人で、辛くないですか?』

光輝「俺は一人ではない、大自然と動物たちが居るからな」

魔物『貴方に、会わせたい娘が居ます』

光輝「??」

???『はじめまして?ひさしぶり?』

光輝「???」

そこに居たのは俺の目の前で撃たれた獣、確か狼と同じ毛並みの魔物だった

光輝「そうか…魔物になれたんだな…よかった」

???『うん…』

魔物『そこで提案です』

光輝「???」

魔物『私達も、ここで暮らせないですか?』

光輝「家無いぞ」

魔物『なら、作ればいいんですよ』

光輝「なら、ここがいいかもしれんな」

言葉がほとんど要らない世界、俺の世界が変わろうとしている…

光輝「ここだ」

なぜ自分でも彼女たちを受け入れようと思ったかわからない

魔物『ここは?』

光輝「この森の広場に当たるところだ」

魔物『ここに家を?』

光輝「そのつもりだ、あと森では動物を狩るなよ?狩っていいのは木の実と魚、迷い込んできた獣ぐらいだ」

???『うん』

近くにかつて撃たれた狼は近づいてきた

光輝「あと、俺からはどうやら精が取れないらしい。お前たちからしたら欠陥品だろうな」

???『そんなこと無い!!そばにいたいだけ!!』

魔物『はい』

彼女たちは必死な目をしている

光輝「なら、好きにしたらいい」

魔物『私は、スノウと言います』

???『私は、貴方に名前つけてもらいたかったからない』

光輝「なら、アカネなんてどうだ?」

???『???』

光輝「俺の肉体は、ある金属と同じような性質を持っている…その金属の名前から少し取ったものだ」

???『うん!!あたしはアカネ…!!』

光輝「なら、家たてるか…」

そのまま余分な木を伐採して形にしていく

アカネ『すごっ…』

光輝「まあ、俺の力の使い方のひとつだ。こんな使い方ばかりを願ったなら、ああはならなかったのかもな…」

スノウ『そうですね…』

そう、力に善悪はない。だからこそ使い方を俺も魔物も人間も考えるべきだったのだ…もう手遅れかもしれないが…

スノウ『間に合いますよ』

光輝「相当手遅れな感じがするが」

アカネ『まだやりなおせるよ!!』

光輝「そうか…」

片方は魔物なりに俺を理解しようとした存在、もう片方はかつて俺が心を開いていた動物が魔物になった存在…彼女たちなら間違いは起こしにくいだろう…

光輝「そうだな…」

ルートα ‐金属の心‐ Metal heart おわり

21/02/26 00:59更新 / サボテン
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■作者メッセージ
どうも、サボテンです

これで分岐のひとつは完結となります

あと二つほどルートがあります

ご意見、ご感想などありましたらよろしくお願いします

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