連載小説
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(7)ハーピー
森と村の境で、俺は農機具の修理をしていた。木くずが散るため、わざわざ道具をここまで運んでしているのだ。
破損した部品を差し替え、ちゃんと固定されているかを確認する。すると俺の背後で、取りにしては大きな羽音が響いた。
手を止めて振りかえると、ハーピーが一羽いた。幼いころから顔なじみのハーピーだ。
「おう」
「や、やあ…」
いつもならば両手を上げて『やほーい』などと軽い挨拶を交わすのだが、彼女は小さく手を上げるだけだった。
どうかしたのだろうか?
「どうした?」
顔を赤らめながら、胸の前で羽を擦り合わせる彼女に、俺はそう問いかけた。
「あのね…えっと…」
「…ああ、分かった」
俺は頷くと、彼女に向けて低い声で続けた。
「後で、いつもの場所でな。ここを片づけたら行く」
「……うん」
赤らめていた顔を更に紅潮させながら、彼女は小さく頷いた。


数十分後、俺は森の奥の横倒しになった気に腰かけていた。
膝の上にはハーピーが座っており、俺の胸に背中を預けていた。
俺にもたれかかる彼女は、潤んだ瞳で虚空を見上げ、ぼんやりと口を開いてやや荒い呼吸を繰り返していた。
無理もない。体重を預ける彼女の体を、俺が撫でまわしているからだ。
布越しに、掌で薄い胸を撫でまわす。すると柔らかな生地越しに、膨らんだ二つの突起が俺の掌をくすぐり、彼女の体が小さく震えた。
そのまま控えめな彼女の乳房に指を沈め、思い切り揉んでやりたい衝動にかられるが、俺は踏みとどまりつつ胸をさする。
そう、これは単に彼女の胸をさすってやってるだけなのだ。
この季節になると、彼女は何となく体がむずむずするそうだ。空を飛んだり体を動かすと、むずむずは消え去るらしいが、時折どうしても我慢できない時が来るという。
そこで俺の下を訪れて、体をさすらせるのだ。そうすると、いくらか気分がすっきりするらしい。
「はぁ…はぁ…」
頬どころか耳まで真っ赤にした彼女が、潤ませた人身を細かくふるわせつつ、途絶え途絶えの喘ぎ声を洩らす。
細かく震える彼女の驚くほど軽い体を支えながら、俺はその薄い胸をさすり、脇腹を撫で、太ももに触れる。
細い体は衣服越しでも分かるほど柔らかで、俺の掌を受け入れ、小さく震えていた。
首筋や額には汗の玉が浮かび上がり、呼吸も次第に早まっていく。
俺は両腕を、彼女を背後から抱きかかえるように移動させると、羽毛に覆われた内腿を擦り、小ぶりの乳房を軽く握った。
「っ!」
腕の中で彼女の身体が反り返り、びくんと一度大きく震えた。
遅れて硬直した彼女の肢体が数度痙攣し、溜息のような吐息とともに脱力する。
絶頂を迎えたのだ。
「…すっきりしたか?」
俺は手を止め、しばしの間をおいてから問いかけた。
だが、彼女は首を左右に振って応えた。
「もう一度か?」
彼女は一瞬の間を挟んでから、太ももに当てたままの俺の手に翼を添え、自身の股間へと導いた。
両足の付け根を覆う布は濡れている。
俺は布の縁に指を掛け、横にずらしながら尋ねた。
「今度はここ?」
「うん…だけど、こんどは…こっちで…」
彼女が小さく腰を揺すり、彼女の尻に当たっていた俺の屹立を刺激した。
いつもならば一度指で刺激してから、肉棒をねだるというのに。どうやら今回はそれほど辛いらしい。
「分かった」
俺は彼女の脇を抱えると、少しだけ持ち上げた。
彼女の体の軽さに加え、絶頂により力が抜けているとはいえ、彼女が足で地面を支えてくれたため、容易に彼女の尻と俺の腰が離れた。
俺は彼女の太ももに触れていた手で、ズボンの内から屹立を取り出した。
「あぁ…おちんちん…」
見ていたのか、臭いをかぎつけたのか、彼女が上ずった嬉しそうな声で漏らす。
俺は彼女をゆっくりと下ろしながら、肉棒の角度を調整した。
そして、柔らかな濡れた肉に亀頭が触れる。
「入れるぞ…!」
「うん…!」
彼女の香りに我慢が限界に達した俺と、興奮を隠しきれない彼女が言葉を交わし、俺が腕から力を抜いた。
次第に彼女の身体が下降し、俺の肉棒が肉を押し開き、柔らかなぬくもりの中に埋まっていく。
「ん…ふ、ぅ…!」
体の奥を押し広げられる感触によるものか、彼女が声を漏らし、それに呼応するように膣壁が収縮する。
空を飛ぶため筋肉が発達しているからか、彼女の内側は非常に締まりがよく、まるで粘膜越しに手で握られているかのようだった。
「ん…んん…!」
根元まで挿入すると、彼女は催促するように小さく腰を揺すった。
俺は両腕で彼女を抱きかかえると、ゆっくり上下に揺すった。彼女の軽い体は、俺の思い通りに上下に動く。
「あっ…んっ…ん…」
張りだしたカリ首に膣壁を擦られ、体奥を小突きあげられる感覚に、彼女が悦びの滲んだ声を漏らす。
それどころか、さらなる快感を味わおうとするかのように、膣壁は小刻みに肉棒を締めあげてくる。
まるで精液を搾り取ろうとするかのような、膣壁の扱きに俺は限界に迫りつつあった。
だが、彼女はまだ絶頂の気配には遠い。ここで達してしまったら、彼女には不満が残るだろう。
俺は扱かれる屹立から意識を引きはがし、彼女を揺する両腕に集中した。
ただ胴を抱えるだけの手で、彼女の脇腹を擦り、肋をなぞる。
「ひゃいっ!?」
不意の愛撫に彼女が声を上げ、膣がきゅっと締まる。
腹の奥で渦巻く欲望を押さえ込みつつ、俺は彼女の体を抱え直して、擦り、撫で、揉んだ。
敏感な脇腹や、熱を抱えた下腹、小ぶりな乳房に手が触れるたび、彼女は甘い声を漏らし、体を震わせた。
屹立を包む柔肉の締め付けが強まり、帯びた熱が高まっていく。彼女の喘ぎも吐息と一体となり、絶頂が近いことを示していた。
俺は彼女を下ろし、深く肉棒を胎内に沈めると、彼女の首筋に唇を当て、吸った。
「ひゃうんっ!」
裏返った声と共に、彼女の全身が震える。
痙攣は彼女の内側にも伝わり、俺の屹立をくるむ膣壁さえもが細かく震える。
肉棒に加えられた痙攣の織り成す独特の愛撫に、俺の意識は限界を迎えた。
屹立を根元から先まで締め付けられながら、俺は彼女の膣奥に向けて興奮を解き放った。
「…!…!」
胎内に注ぎ込まれる熱い白濁に、彼女は声なき随喜の声を漏らしていた。
やがて、俺の射精が収まり、彼女の全身から力が抜ける。
「はぁ…はぁ…はぁ…」
彼女は俺の胸に体重を預けながら、ぼんやりとした目で虚空を見つめつつ、ゆっくりと呼吸を重ねていた。




「今日は、ありがとね」
しばらく休憩を挟んでから、彼女は俺から離れ、そう言った。
いくらか顔に赤みは残っているが、いつものことだ。
「ええと、その…また明日ね!」
彼女は一度何かを告げようとしたかのように口ごもると、別れの挨拶と共に羽ばたき、飛んで行った。
これで、明日から彼女もいつも通りだろう。
小さくなった後姿を見送りながら、俺はそう考えた。
11/07/02 15:26更新 / 十二屋月蝕
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■作者メッセージ
猫よ。遅れて現れた双子の片割れの猫よ。
君への感謝に鳥を捧げる

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