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TAKE18.93 決着のHuge Battle
【があ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ゛!
 ぐうあがあああああああっ!
  うえあがああああっ!
  がぇぎげがげがげあえあがぐばあああっ!
 ぶぐぎがげが、ぎいいいいっ!
 う゛お゛え゛あ゛い゛がぎあああああっ!】

≪ぁ……ぁあっ……! そんな、馬鹿な……!≫

 氷漬けになった両腕を無理矢理引き千切った雄喜は、傷口から噴き出す血を撒き散らしながら激痛に苦しみ悶えのたうち回る。
 直視し難いほどに凄惨極まりない悪夢の如き光景に、エールは震え上がり身動きが取れなくなってしまう。

【ぐうっ! あ゛ぐう゛ッ!
 っがあ゛あ゛あ゛あ゛!
 う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!】


 一方の雄喜は早くも両腕を再生させ、ヒトならざるものが如き咆哮で大気を震わせる。

【ああ、うでが……腕が、戻ったあ!
 おい見ろ公務員っ!
 腕が、 も ど っ た ぞ お お お お お お お ! 】

 異形は軽く肩慣らしを済ませ、再生したばかりの腕で機械竜目掛けて突進する。

≪くっ、まだ向かってくる気か。最早正気ではない……
 ならば、強硬手段に打って出ざるを得んなァッ!≫

 突進する異形に狙いを定め、機械竜は機銃を乱射する。

(我が"ドラゴアームズ・エイペックス"の攻撃武装は一部例外を除き魔界銀製か、若しくは魔界銀製武器と同じ効果を持つ!
 即ち相手の肉体を傷付けず、対象の内なる魔力を破壊し行動不能に陥らせる特性を持つ!
 アブソリュート・キャノンを避けもせず真正面から喰らうほど……それこそトカゲ並みに知能の低下した今の奴を狙撃するなど造作もなし! 即ち我に敗北など有り得んのだぁ!)

 内心ほぼ勝利を確信したエールは、トリガーを引きながら妄想に耽る。

(さて、武装にてユウを黙らせた後はどうしてやろうか。
 我の見立てが確かならば、奴の変身は十中八九魔法によるものとみて間違いない……)
【グアアアアアアアアアアア!】
(まあ正直、魔法には詳しくないし、あのような変身魔法など見たことも聞いた事もないが、まあ大体あんな不思議なことができるのなら魔法で間違いあるまい。
 ということは、魔力を破壊する我が武装を以てすれば奴の変身を強制解除することも可能な筈!)
【グウウエアアアアアアアア!】
(まあ、解除されないという事も考えられるがそれならそれでやりようはある。
 生物の形をしている以上性機能はあって当然……あの姿になって以後ただでさえ濃かった精の気配が増した辺り、より楽しめる可能性も残されておるしな……)
【ウゴゲアッ、ブベガアアア!】
(奴の外見はトカゲ、ということは"二本"備わっている可能性もある。
 とすれば……――っ!?」

 刹那。ドラゴンの独白は中断される。


「……なんだ、あれは……?」


 エールの口から漏れ出るか細い"問い"は、外の惨状に対してのもの。


「なぜ、あんなことに……
 ……なぜ、やつが……ユウが血を流し倒れているっ!?


 その"惨状"とは、弾丸を受けた雄喜が何故か"血まみれで倒れている"という、本来ならば有り得ない光景であった。


【グァァ……ヴベァ……ゲグェ、カフェゥ……
 ォ゛エ゛フッ!
 ガ、ブボロゴゲァッ!
 カ゛フ゛エ゛ベエ゛ッ!



 穿たれた無数の銃創から血を流し、大口から特大の血反吐を吐きながら、俳優"志賀雄喜"もとい異形"スカルアマゾン"はふらつきつつも立ち上がる。

≪ゆ、ユウ……すまなk――
【この阿婆擦れ税金泥棒があ!
 よくもやってくれたなぁ!?】

≪ひっ!?≫

 傷を再生させながら、雄喜は怒鳴る。
 その一声は最早"怒声"を通り越して"咆哮"の域にあり、操縦席のドラゴンは怖気づき縮み上がる。

≪ち、ちがッ……違うのだ、ユウ! 我はただ――
【何が、"違う"んだよ!? 何も違っちゃいねえだろッ……!
 お前は僕を、銃で撃った……それも何十、何百、何千発も!
 それはまさしく紛れもない"事実"だろう!? 再生能力があったからいいものの、無きゃ今頃どうなっていたことかッ!】
≪そ、それは……そう、なのだがっ……≫
【そりゃあさァ、これが普通のロボット兵器と怪獣の戦いならそれで問題なかったろうよ。
 だがおまえは魔物娘で、僕は人間……。
 なあ、税金泥棒……お前さぁ、自分が何やったんだか、わかってるよなぁ!?】
≪……!!≫

 放たれた一言で、エールは目を背けていた現実……自ら犯した過ちに、無理矢理直面させられる。

お前はァ、をォ、攻撃しィ、傷付けたァ……
 魔物娘だってのにィ、人間を傷付け血を流させたんだア!
 それがどういう意味か……わからないお前じゃ、ないだろォッ!?】
≪っっ……し、然し――
【『再生するんなら大丈夫だろう』とでも言いたげだな?
 確かに僕は頑丈だし怪我の治りも少しばかり早い方だ。
 あの程度の銃創ならすぐに傷は塞がり血も止まる……
 だがそれでも、生きている以上"痛覚"からは逃れられない……】
≪……っっ≫
【撃たれりゃ普通に痛ェんだよ、こっちもなァッ!】
≪ひぃっ!≫

 至極当たり前の、然しそれ故残酷な事実にエールは震え上がる。
 然しそれでも『幾ら変身したとはいえ人間如きに圧されたままではドラゴンの名折れ』と自らを奮い立たせ、言い返す。

≪た、確かに、我が貴様を傷付けてしまったのは事実である!
 だが理解するがよい、我としてもそれは不慮の事故だったのだ!≫
【不慮の、事故だあ?】
≪ッ、そうだっ! そもそも我がドラゴアームズ・エイペックスの攻撃武装は、スフィア・ザ・エンプレスやアブソリュート・キャノン等の例外を除き全て魔界銀製、若しくは魔界銀武器と同等の効果を持つものしか存在し得ぬ!
 本来であればあの攻撃で貴様が出血するということ自体がそもそも有り得んのだぁっ!≫


 『決まった、完璧だ』……エールは内心確信していた。
 粗も隙もない完璧な反論。これで奴は何も言い返せなくなるに違いないと、どういうわけかそんな風に思っていた。
 だが……


【……で、だから?】


 対する異形の口から出たのは、彼女にとって予想外の――そして読者諸氏にとって予想通りの――返答であった。


≪な、なんだっ? まだ何か文句があるのか!?≫
【あるに決まってんだろ。寧ろさっきので何をどう納得しろってんだよ。
 『攻撃武装は実質全て魔界銀製で』?
 『だから相手を傷付けることは本来ならそもそも有り得ない』?
 ……だからなんだ? それがどうした?
 そいつの武器がどうだろうが、お前が何を思ってようが、所詮は些事。
 "人間(ぼく)が"、"魔物娘(おまえ)に撃たれて"、"傷を負って痛かった"……
 唯一重要なのは、その事実だけだろうがァ】
≪ぬっ、ぐぅ……! 言われてみればっ……!≫

 至極当然の指摘に、エールは反論できず言い淀む(言われてみればじゃねえんだよ普通気付くだろバカかてめえは)

≪し、然し! 然しだ! それでも我が故意にお前を傷付けたのではないことは事実!
 我は確かに弾丸を魔界銀製として設計・製造し、発射の直前まで確認したのだ!
 だが実際の弾は何故か実弾にすり替わっていた!
 当然 " 我 の 意 思 と 関 係 な く " だっ!
 つまりこれはKANZAKI側の不具合であり我のミスではない!
 よって、我は無ざ
【 そ れ が ど う し た ぁ ? 関係ないだろ、そんなこと。
 『故意(わざと)じゃないなら何やっても無罪放免』なんて……
 馬鹿げた暴論通るかよッ!
≪ぬお!?≫

 叫ぶ異形は腕と尾で力強く"跳び"、機械竜へ襲い掛かる。
 エールはすかさず迎撃を試みるも悉く回避され、瞬く間に距離を詰められてしまう。

(なんという跳躍力……! すんでの所で後退したお陰で避けられたものの、そうでなければどうなっていたか……)
【ちィ、外したかッ!
 ……おい税金泥棒。
 おまえ何一丁前に避けてんだ?
 ……空気読めよ、なアッ!?

≪ぐううっ!?≫

 八つ当たり気味に振り下ろされた異形の爪が、機械竜の巨体を薙ぐ。
 当然爪は砕け、指は折れ、ドラゴアームズ・エイペックスの機体は激しく揺れた。

(くっ、相変わらずなんという馬鹿力……!
 しかも気のせいか、奴が再生する度負う傷は浅く、力は強くなっている気がする……
 さては……いやまさか、そんなことは……って、はうあっ!?」

 冷静に対処法を練りつつあったエールの思考は、思いがけない事実の発覚によって中断された。
 幼稚な開き直りによって恐怖を乗り越えつつあったエールをそれほどまでに驚かせたものとは……

(バカなっ! 何故我がドラゴアームズ・エイペックスの装甲に "傷" がっっ!?)

 これまでまさに"不壊"の硬度を誇った機械竜の装甲に生じた"傷"であった。

(まさか奴の攻撃で傷がついたとでもいうのか!?
 いやまさか、そんなことが……有り得んっ。断じて有り得んぞ、そんなことっ!
 我がドラゴアームズ・エイペックスの装甲には不完全乍ら保護の魔力を再現してある!
 故その防御力は絶対にして盤石! 余程の規格外でもなければ攻撃が通ることはn――
【ボサっとしてんなッ!】
≪ぐぬぉっ!?≫


 困惑するエールの独白を遮り、雄喜はドラゴアームズ・エイペックスの首を掴んで締め上げながら、ゆっくりと持ち上げていく。
 当然エール自身の首が締まるわけではないが、装甲の軋む音と機体の損傷を報せる警告音は彼女を着実に追い詰めていく。

≪くっ、この! 離せ! 離さぬか!
 さもなくばどうなっても知ら――
【うん、離すわ】
≪はっ!? いや、ちょまッ――どわっだぁぁぁぁあああ!?≫

 言われるままに異形は "ぱっ" と手を離し、結果機械竜は海上より落下……
 全長60メートル、総重量2800トンの巨体は盛大な水飛沫を上げながら海底に打ち付けられる。
 当然機体は激しく損傷し、操縦席のエールも浅くはない傷を負ってしまう。

≪ぐぎっ……! き、さまッ……ふざけた真似をぉッ!≫
【……ちょっと何言ってるかわかんない】
≪何がわからんのだ!?≫
【や、だってさぁ〜? "離せ"って言うから指示通りにしたんじゃん?
 それで何で怒られなきゃいけないんだよ。意味わかんないだろ】
≪こういう時の"離せ"は実質"下ろせ"と同義!
 そのまま"離して落とす"奴が――
【 あ る だ ろ ッ ! 】
≪どぉうわあっ!?≫

 異形の強烈な "ツッコミ" は機械竜の巨体をよろめかせ、装甲を凹ませる。

【あるだろ、普通に。
 "試合"でも"決闘"でもない、ただの"戦闘"なんだから……
 自分が有利に、相手が不利になる行動なんて " 取 っ て 当 然 " だろーにようッ!】
≪ぐおっ!?≫
【貰ったッ!】
≪ぬがあっ!≫

 続く殴打に機械竜はバランスを崩しかけ、その隙を突いた異形に飛び掛かられたことで遂に仰向けで押し倒される。
 "男が魔物娘を押し倒す"との字面はドラマチックなラブストーリーを想起させるものの、押し倒した男というのが異形の化け物な上、魔物娘に向ける感情が敵意や憎悪なものだからロマンやラブの欠片もない。

≪ぐっ、貴様ぁ! ふざけるな! 離せ、降りr――
【らあ゛っ!】
≪があっ!?≫


 もがく機械竜目掛けて、異形の拳が容赦なく叩き込まれる。

【……思い上がんなよクソ公僕。
 今、主導権はこっちにあるんだ……】
≪抜かせ! 馬乗りになった程度で何を偉そうに――
【ダあっ!】
≪ぐうっ!?≫
【どリあっ!】
≪づううっ!?≫
【ヴぉらア!】
≪ぐうあああっっ!≫




 仰向けのドラゴアームズ・エイペックスにのしかかったスカルアマゾンは、鋼鉄の機体を何度も執拗に殴り続ける。

【 ヴ お゛ ル ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ッ!
 折 れ ろ !
 砕 け ろ !
 張 り 裂 け ろ ォ ッ !
 苦しめ! 藻掻け! 悲鳴を上げろ!
 お前が! 今まで! 蹂躙し! 踏みつけ! 傷付けて来たァ!
 どんな! 弱者より! 惨めにィ!
 情けなく! 無様に! 泣き喚き!
 助けを!  求 め て み ろ ォ !】


 破壊と再生を繰り返した拳は遂に機械竜の装甲を大きく凹ませるほどにその強さを増しており、ロボット兵器はみるみる内に破壊されていく。

【許しを乞え! 懺悔しろ!
 "しくじれば死ぬ"と思って " 必 死 " でやれェ!
 但し死ぬな! 死んで詫びるな!
 いいや死なせん! 断じて殺さん! 殺してなんぞやるものかァ!
 お前なんかに! 逃げ道など! 安息など! く れ て や る も の か !
 "生きて"だ! 生きて償え、犯した罪を!
 もし死んだらドラゴンゾンビにしてやる!
 そしてドラゴンゾンビになったお前をもっと苦しめて、
 逃げようとしたことを 心 底 後 悔 させてやるからそう思えーっ!

 う ら゛ ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ア ゛ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ッ゛!】

≪ぐわああああああああああああああああっ!≫



 とどめとばかりに叩き込まれたダブルスレッジハンマー――両拳を同時に振り下ろすプロレス技――は、ドラゴアームズ・エイペックスの内部機構を完全に破壊……
 辛うじて機体の原型は留めており操縦席のエールもどうにか打撲や僅かな骨折程度で済んでいたものの意識を失っており、最早勝敗は決したと言えた。
 だが……

【ンガァッ!】

 対する雄喜の方は『まだ終わってない』と言わんばかりに倒れ伏す機体の肩へ喰らい付き、その右腕を食い千切った
 そして彼は事もあろうにその右腕を飲み込もうとするが……

【ごガッ!? ぐ、ぶべぁっ!】

 当然というかなんというか、吐き出してしまう。

【っく、ダメか……。
 できれば好き嫌いはしたくないんだが、
 やはりどうにもならんか……】

 ドラゴアームズ・エイペックスの捕食を断念した異形は、妥協案として倒れ伏す機械竜から降りつつそれを持ち上げ……

【ヅア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッ!】

 両手で真っ二つに引き裂いた
 ただでさえボロボロだったロボット兵器は力任せに引き裂かれた余波で完全に鉄屑と化し、ぼろぼろと崩れ落ちていく。
 それら鉄屑の中には搭乗者であるスク水ランドセルのドラゴンも含まれており、残骸共々海へ没した不良警官は駆けつけた海棲魔物娘らの手で回収されていった……。

【……やっと、か】

 その様子を確認した異形は疲れ果てたように脱力……同時に彼の姿は"スカルアマゾン"から"志賀雄喜"に戻り、そのまま海へ落下。
 ただ海へ落ちても魔界獣や魔物娘がやってくる様子はない。

【……頼むから、もう戻って来るなよ】

 仰向けに浮かび、空を見上げつつ、水着姿の青年は気だるげに愚痴をこぼす。

【一々狂った演技するのも疲れるし……
 こちとらもう、いつ死んでもおかしくないんだから……】


 その後、雄喜はベン・タラーの力を借りて無事浜辺へ戻った。


「助かったよタラー。何もかもお前の手助けあってこそ、だ……」
『何を仰います、あの公僕モドキをやったなァ兄さんの手柄じゃねーですかァ!
 ともかく浜へ戻りやしょう! お嬢さんがお待ちです!』
「ああ、そうだな……マキさんが、待ってる……彼女のもとに、戻らなくては……」



 一方その頃、海中では……

『いらっしゃいませ〜♥』
(どうしてこうなったぁ……!)

 敗北し海へ没した不良警官たちが、竜宮城風の巨大施設にて海棲魔物娘らからの"持て成し"を受けている最中であった。


「ぬおおおお! やめろぉぉぉぉ! 来るなぁぁぁぁ!」
『ンフフフフ♥ 大人しくした方が身のためよぉ、ルージュちゃん?』
『この部屋の照明は全て紫外線入りっ♥』
『もう貴女は私達から逃げられない♥』
『だからほら……私たちと一緒に楽しみましょう?』
「嫌だ……やめろ……!
 我は……我は断じてそんなコスプレ衣装など着てやらんぞぉっ!」
『えぇ〜?』
『つれないわねぇ〜』
『そんな事言わず着てみましょうよぉ〜』
『ルージュちゃん美人だしスタイルもいいんだから絶対に会うってば〜』
『『『『ねぇ〜♥』』』』
「黙れェッ!
 くそっ……セレーネ! セレーネェェェェェェェェ!」

 ヴァンパイアのルージュは紫外線ライトだらけの部屋に追い込まれ、"着せ替え遊び"好きなネレイスらの"人形"にされてしまい……


「……っ、くぅ……ぁっ♥ はあっ……♥」
『ほウホう、まだ耐エるかイ!』
『面白い、なラば電流ヲ上げルしかナいねエ!』
「っ……!」
『おット、今動揺しタね? 動揺しタンだろウ?』
『助ケて欲しイカい? 解放されタイかイ?』
『デアれば我々の指示に従っテ貰おウか』
「ぐぅぅぅっ……!」
『さア問いニ答え給エ、セレーネ君ッ!
 君の好きナ男性のタイプはッ!?』
『容姿年齢体格性格望む関係性等々諸々全テ可能な限り答えて頂こウ!』
「くっ……誰がそんな、ふざけた質問になどっ……!」
『おっト抵抗すルノかイ?』
『であレバ仕方なイ、とびッキりのをくレテやろウ!』
「ひっ!? や、ひゃめッ……んああああああぁぁぁぁあああっ♥
 ら め え え え え え え え え え え え え っ ♥ 」

 オートマトンのセレーネは白衣姿のキャンサーやシー・スライムによって全裸で拘束され、胸や股間に張り付けられた小型のシビレエイ型魔界獣ナルシニダエ・サイーデンシスの電撃を浴びせられ続けるという拷問を受けていた。


「むぐぅぅぅぅ♥ ふんぐぅぅぅぅぅ♥」

『ハロー、ワンちゃぁん♥ 調子はど〜ぉ?
 ……って、そんな状態じゃ答えらんないわねぇ〜♥
 ミノー衛生部長、毒の"浄化"は順調かしら?』
『はい。コノトキシン以外の毒素に関しては何れも100パーセント"淫毒化"に成功したことを確認済みです。
 とは言え淫毒でも毒は毒ですから、頃合いを見て体外へ出させねばなりませんが……』
『そう……ならコノトキシンの淫毒化を急ぎなさい。コノトキシンが全て淫毒になったら一気に"出させる"のよ』

「んんんんんんんっ♥ ぐぅぅぅぅぅぅぅっ♥」

 ヘルハウンドのケンジョーはベッドに縛り付けられ、身体を蝕むイモガイやクラゲの毒を魔物娘や魔界獣が持つ淫毒(媚毒とも呼ばれる)に変質させる薬剤を点滴され、淫毒のもたらす快楽に悶絶……


 その他の面々に関しても……

 オーガのパッションはひょんなことから末期のマゾヒストである海和尚を殴り続け心身ともに疲労困憊……
 ワイバーンのエースは迷い込んだバーにて男前かつ人格者で話し上手なメロウに言いくるめられ、酔いつぶれてダウン……
 ミノタウロスのミューズはパズルを解きながら進んでいくダンジョン風のアトラクションでトラップに苦しめられ……
 ケプリのマーレスは有無を言わさず拘束されくすぐり拷問で延々笑い続け再起不能……


 そして遅れて連れ込まれたドラゴンのエールは、上記のような手下たちの醜態を見せつけられ怒り心頭。

「よくもやってくれたな! 絶対に許さんぞこの海産物どもめ!」

 海棲魔物娘らへの報復を試みるも直後に飛んできた麻酔弾を受けて呆気なく昏睡、そのまま麻酔薬に含まれていた成分で『理想の男と共に幸福な生活を送る夢』を延々見せられることとなる。


 かくしてそれぞれ異なる形で無力化された八人の不良警官たちが、その後どうなったのか。
 その辺りについての詳細は、また後程詳しく語らせて頂こうかと思う……。
21/10/03 11:02更新 / 蠱毒成長中
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