連載小説
[TOP][目次]
第五記 -マンドラゴラ-
 蛇の月 13日 晴れ
グリズリーの生態についてのレポートをまとめ中。7割ほど終わった。
明日にはまとめ上げて、教団の方へ送れればと思う。
これでやっとお給料が入ってくる。貯金しなきゃ。
何日後くらいにお給料は届くんだろう。聞いておけばよかったなぁ。
教団か

そういえば、ももちゃんにおみやげをあげたら、大変なことになった。
でも、ミルクがすごい出た。ももちゃんもとっても喜んでいた。
治まったら、また元に戻っちゃったから、定期的にあげようと思う。
ただ…抑えられないくらい興奮しちゃうから、どうやって採ろう…。

明日もがんばろう。


 蛇の月 14日 晴れ
今日はすごいアイディア料理ができた。
ももちゃんのミルクと、アルラウネのミツを混ぜた、ハチミツミルク!
…正確にはハチミツじゃないけれど、語呂的にハチミツ。
おいしさとおいしさの相乗効果! これで、ビ薬効果がなければなぁ…。
そのビ薬効果も、体感的に増えてる気がするし…うーん…。

昨日の宣言通り、レポートをまとめ上げることができた。
お給料、いつ来るかな。

明日もがんばろう。


 蛇の月 15日 雨
部屋を掃除していたら、ベッドの下に1000Gが隠してあった。
前に住んでいた人のへそくりかな? 大切に使わせてもらおう。
もう食料も尽きかけてる状況。本当に本当に、大切に使わせてもらおう。

明日もがんばろう。


 蛇の月 16日 晴れ
お昼過ぎにももちゃんの様子を見に行ったときに、大きな花を見つけた。
ちょうど玄関の位置から、建物を挟んで反対側。
高さはひざくらい、幅は肩よりも少し広め。
はじめて見る花だけど、なんていう花なんだろう。
甘い香りもするし、マ界の植物とは思えない。きれいな花だな。

明日もがんばろう。


 蛇の月 17日 曇り
今日はうーちゃんが来た。突然来たのでびっくりした。
うれしくて、仕事の件でお礼を言ったら、少し照れているようだった。
うーちゃんは、上司であるバフォメットに私のことを話したそうだ。
そしたら、すごく興味を持ったらしく、住処に来るように伝えるよう言われたらしい。
地図を貰ったけれど、見るとかなり遠かった。5時間くらい掛かるところ。
すぐじゃなくてもいいよ、とうーちゃんは言ってくれた。
帰り際、ハチミツミルクを2ビン、プレゼントした。とっても喜んでくれた。
でも、なぜかそこでキスされて、なし崩しで色々された。うーちゃんは恐い。

明日もがんばろう。


 蛇の月 18日 晴れ
次に研究するマ物はどうしようか、なかなか決まらない。
お金がなくて、必要な材料や道具がそろわないからだ。
お給料はまだ届かない。

パン屋のお兄さんが、いつもありがとうって、パンをおまけしてくれた。
今後もごひいきにしていこう。

服屋にあ

裏の花が少し大きくなっている。うーちゃんに何の花か聞けばよかったかな。

明日もがんばろう。


 蛇の月 19日 曇り
今日はずーっとももちゃんがあまえんぼうだった。
かわいかったから、二人でいっぱいいいことをした。
最近、ももちゃんが喜ぶポイントが分かってきた気がする。
前までは、胸を刺激すれば喜んでくれる…程度だったけれど、
今は、胸でも、どこを、どんな風に触ればもっと喜んでくれるかが分かる。
…少し、うまくなったのかな?

明日もがんばろう。


 蛇の月 20日 晴れ
今日もももちゃんがあまえんぼうだった。
どうしたんだろう。発情期なのかな。今の時期じゃないはずだけれど。
もう少し様子を見てみよう。病気じゃないといいな。

明日もがんばろう。


 蛇の月 21日 曇り
ももちゃんのあまえんぼうが治らない。
原因は何だろう。ハチミツミルクのあげすぎ?
かわいいけれど、他の作業がどうしても止まっちゃう。
明日、ももちゃんと出会った牧場に行って聞いてみよう。

明日もがんばろう。


 蛇の月 22日 雨
おかしい。今日は朝から、私まで変な気分が続いてる。
ハチミツミルクをももち飲んだ時の気分に似ている。
頭がくらくらして、身体が熱っぽくて、ももガマンがつらい。
ももちゃんきっと、ももちゃんももちゃんももちゃんももちゃも同じ。
病気? わからない。早くねよう。


 蛇の月 23日 曇り
ももちゃz.


 蛇の月 26日 晴れ
うーちゃんには本当に感謝してもしきれない。
あのままだと、ずっと正気に戻れなかったかもしれない。

原因は、裏に咲いていた大きな花だった。
あれはマンドラゴラの花で、いけない気分になる香りを出していたのだ。
成長するにつれ、その香りはどんどん強まっていくらしい。
ももちゃんは外にいたから、私より早く影響を受けたんだと思う。

今朝、うーちゃんが玄関を開けた時はびっくりしたって言っていた。
客間でずっと続けていたみたいで、床も壁もどろどろだったらしい。
二人とも正気じゃなくて、呼び掛けても見向きもしなかったって。
自分でも信じられないけれど、筋肉痛がウソじゃないって教えてくれている。

目が覚めたのはお昼過ぎで、その時にはほとんど元通りだった。
後片付けや、寝ている間の私やももちゃんの世話も、うーちゃんが全部してくれた。
うーちゃん、ごめんなさい。本当にありがとう。

マンドラゴラは、明日うーちゃんがどうにかしてくれるらしい。
今はマ術でその香りから守ってくれている。何から何まで頼りっぱなし。
その対価も求められたけど…、うーちゃんになら、いい。

明日もがんばろう。


 蛇の月 27日 晴れ
なんとか、マンドラゴラを取り除くことができた。うーちゃんはすごい。

久しぶりに見たマンドラゴラの花は、最初の頃よりも四回りくらい大きくなっていた。
これをそのまま抜いてしまうと、マンドラゴラの叫び声で大変なことになってしまう。
そこでうーちゃんは、まず花の倍は大きな袋を被せた。
そして袋のお尻部分にマ方陣を描いて、杖で地面をコンコン叩いた。
うーちゃんが詠唱をつむぐと、突然、もごもごと袋が動き出したからびっくり。
それを取ると…なんと、マンドラゴラが地面から飛び出ていたのだ!

うーちゃん曰く、袋の中に叫び声を閉じ込める魔法と、
地面の中にいるモノを飛び出させる魔法を唱えたらしい。
その袋を持って、うーちゃんは帰ることになったので、何度もお礼を言った。
ハチミツミルクも、お礼の印にいっぱい渡した。喜んでくれて良かった。

そしてマンドラゴラ自体は、私が育てることにした。
本当はうーちゃんが持ち帰って育てる予定だったんだけれど、
一度抜いちゃえば、もう叫び声も上げなくなるし、
手や足の先だけ地面に植えていれば、香りもほとんど出ないって聞いて、
研究のためもあるけれど、せっかく私の家に咲いてくれたコなので、
お願いした結果、こうなったのだ。名前はドラちゃん後で決めよう。

ドタバタした6日間だったけれど、これも良い思い出だよね。

明日もがんばろう。


 蛇の月 28日 晴れ
ドラちゃん(仮)を植えたプランターを、ももちゃんテリトリーの傍に置くことにした。
これなら、動けないドラちゃんもさびしくないと思うから。
ちょっとこわがりさんだけれど、ももちゃんはやさしいから大丈夫と信じてる。

そういえば、夕方頃に水をあげた時、とても小さな声だったけれど、
ドラちゃんが、ごめんなさい、って私とももちゃんに謝った。
いいコなんだなって思った。もちろん、怒ってないよって教えてあげた。
それでもまだおどおどしていたドラちゃん。早く慣れてくれるといいな。
そして、ドラちゃんの笑った顔を見てみたい。ももちゃんも同じ気持ちだと思う。

あと、もう一つ嬉しい事があった。お給料が届いたのだ。やったー!!

明日もがんばろう。


……………

………

12/03/05 00:09更新 / コジコジ
戻る 次へ

TOP | 感想 | RSS | メール登録

まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.33