連載小説
[TOP][目次]
第三見聞 不思議の国と淫靡な国と商人と 前編
蓮「、、、よしっ。着いた。セレナ!そっちはテントちゃんと張れた?」

あれから一行はというと街道から逸れ森の奥へと進んでいた。
このまま街道を進んではまた騎士団に見つかり全員捕まってしまう可能性を避ける為と蓮からの提案によって遠回りをして次の町へ向かっていた。
しかし案の定辺りは夕焼けに染まりこのまま前進は困難と判断して現在野営を張っていた。

セレナ「んしょっ、んしょっ、、、出来ましたご主人様!」
蓮「ありがとう!後ご主人様ってやめてよ!なんか耳がこそばゆい!」
シエラ「主よ、ただいま戻りました!」

蓮は眉を八の字にさせながらセレナを見つめる。蓮にとってはあまり心地は良くないようだ。
そこへ近辺に水辺を探してくる様に言われていたシエラが颯爽と戻って来て蓮の目の前に跪き報告をする。

シエラ「申し上げます!ここから東へ約800mに小川が流れていました。魚や獣の足跡も確認出来ましたので食料の調達にも困らないかと思います。」
蓮「ありがとう。後シエラもその喋り方はやめてね?せっかく一緒に旅する事になったんだからもう少し慣れ親しんだ喋り方をしよ?」

2人を見つめながら頬をぽりぽりと掻き眉をひそめる。
その反応を見た2人はキョトンとした表情で蓮を見つめる。

シエラ「しかし主よ。私は従者として仕えると誓った身です、、そのように馴れ馴れしくするのは、、」
セレナ「私もご主人様の雌豚ですから粗末な態度は、、、」

互いに目を合わせて首をかしげる。それを見て蓮は思わず、、

蓮「だーっ!とにかくダメなものはダメ‼︎せめて敬語を止めるか名前で呼ぶかどっちかにしてよ。」

あまり敬語を使われるのを慣れていないらしく2人に叱りつけるように言ってしまう。

セレナ「、、はーい、わかったよご主人様ー」(なんだか服従されてる感じがなくてつまらないなー、、、)
シエラ「、、、御意、では蓮、、殿でよろしいですかな?」(い、言ってしまった、、まさか夫婦となる前に、名の方で呼び合うだなんて、、隊長っシエラは幸せ者です!)

シエラは頬を染め蓮から視線を逸らしセレナ不服そうに口を膨らませている。

蓮「はぁ、まあいいや。そしたら僕は結界を張りに行くついでに少し食料を取ってくるから三人ともここで待ってて。」
シエラ「よいのですか?食料集めなら我々でやりますしわざわざ結界を張る程の、、え?結界?」

結界という単語に思わず戸惑い首をかしげる。なぜ人間でありただの商人である蓮がそんな物を作れるのか不思議でしかなかったのだ。

蓮「結界って言っても大層な物は作れないよ。ある程度の範囲に悪意を持った侵入者が入ったら警報が鳴る位のしか出来ないし。」
シエラ「人間で出来るのでしたら上出来ですよ⁉︎」

バッグからいくつか御札を取り出し狩猟用罠も腰に下げてシエラが持っていた弓矢を手に持ち弦の張り具合を調べる。

蓮「元々僕だけで旅する予定なんだからこれくらい出来ないとあっと言う間に魔物や強盗の餌食だよ。」
シエラ「な、成る程、、?」(主は本当に人間なのだろうか、、実は勇者でしたとか、、)

口では納得をしたように返事をするが内心では未だに疑いを拭えずにいた。

蓮「よし、そしたら行ってくるから。すずはしっかり火の番をするんだよ?シエラとセレナは僕が戻るまで周りを警戒しときながら休んでて。後弓矢借りてくよ。」
すず「ピッ!」
シエラ「御意に。」
セレナ「わかった!ご主人様も気をつけてね!」

弓矢を引き下げ三人にそう言い残すとまだ明るい森の奥へと進んで行った。


















蓮「ふう、、、これで結界は大丈夫かな。」

野営地からある程度離れた場所に結界用の御札を貼り付け一息つく。辺りを見渡すと日が沈みかけ森は一層暗さを増してきた。

蓮(、、、せめて魚用の罠だけでも設置して戻るか。)

そう思うとシエラが見たという小川の方に向かう。
小川を見つけ辺りを見渡す。薄暗いが確かに魚は確認でき動物の足跡も確認出来た為さっさと罠を仕掛けていく。

蓮(よし、こんなもんだろ、、明日は美味しい焼き魚が、、?)

ふぅと一息着きパッと正面へ顔を向けると獣の影。目を凝らして見ると頭に立派な角を生やしたシカが此方を見ていた。

蓮(シカ?罠を設置してる時には気付かなかったなけど、、でも逃げらなかったのは幸運だったかな。警戒はしてるみたいだけど逃げる素振りは無いからこのまま仕留めさせてもらうよ。)

内心逃げられたりしないかドキドキしながら大事な食料と思いソーっと逃げられない様に弓を構える。キリキリと弓を引き絞る音が骨に伝わり耳に音が響く。シカも今にも逃げ出してしまいそうに此方を見つめいた。

蓮(当たれっ‼︎)

まさに矢を放とうとしたその時だった。

パキッ!
蓮「⁉︎」

後方で枝を踏む音。それに吊られてシカはバッと逃げ出し放たれた矢は木に深く突き刺さる。

蓮「あっ、、、誰だっ⁉︎」

シカに逃げられたショックから一瞬気の抜けた声を発するが直ぐに後ろを振り返り弓矢を引き絞る。
その先にはこの場には似つかわしくない者が立って此方を見つめていた。
薄暗い森の中でもはっきり分かるピンク色の毛皮。バニースーツの様な服からは溢れ落ちそうなたわわな胸が目立ち立派な耳は可愛らしく縦に垂れていた。

蓮(ま、魔物っ⁉︎ていうか如何にもこの場の雰囲気に属していないような、、)
?「クスクス、、、」

一瞬にして疑問が頭の中で駆け巡るがしばらく見つめていると異様な姿をしたワーラビット(?)は妖艶にだけど何処か名残惜しそうに微笑むと森の奥へサーっと走って行った。

蓮「あ‼︎ちょっと‼︎」

何故この時追いかけてしまったのかは蓮自身でも分からない。ただその異様な姿をしたワーラビット(?)を思わず追いかけてしまったのだ。
相手は蓮が離れ過ぎず遠過ぎずの距離を保ちながらピョンピョンと木々の間を掻い潜り奥へ奥へと進んで行く。
しばらくしてとある巨木の前で立ち止まったかと思うと根の付近にぽっかり空いた穴の中へと身を投じた。

蓮「はぁはぁっ、、、こ、これは?」

息を切らし穴の前に立つ。息を整えて穴の中を覗いて見る。その中は闇で広がっていた。光を一切差し込まない闇。思わず息を飲むとその場にあった手頃な石ころを手に取り穴の中へ落としてみた。
いくら待っても石が地面に着いた音がしない。もしくは着いたには着いたが音が反響しない位の深さの穴なのか。蓮には想像も付かなかった。
暫く穴を見つめて思考を巡らせる。

蓮(、、、一旦みんなの所へ戻ろう。一人で探索するには危険過ぎる。)

そう思い振り返る。しかしその目の前には誰かが立って居た。しかもほぼ密着するかのようにかなりの近さで立っていた。

蓮「、、、わわっ⁉︎」

余りの唐突な出来事に思考が停止。遅れて反応が来て思わず後退り気の根に足を取られかけ後ろに倒れそうになる。

蓮「わわっ‼︎わっ!」(不味いっ!後ろはさっきの穴がっ!)

大慌てで必死にバランスを保とうとする。その姿を目の前に立っていた誰かはニヤニヤと口角をいやらしく吊り上げさらに距離を詰める。

?「にしし、、はい。これ♪」
蓮「えっ⁉︎」
?「それじゃあいってらっしゃい♪」

何処から取り出したのか大きなリュックを蓮に押し付けるとツンっと胸を指で押す。
当然蓮はバランスを崩しそのまま穴の中へ真っ逆さま。

蓮「ああああぁぁぁ、、、、」

渡されたリュックを抱き締めたまま穴の深く奥へと蓮は消えていき、叫び声も消えていった。

?「にししし、、淫らで不思議な国へようこそ。お、に、い、さ、ん♪」

ニヤニヤといやらしく笑みを浮かべながらスーッとその場から姿を消した。



















暗く途方もない闇。その闇の中蓮の耳では風を斬る音が鳴り響いていた。

蓮「ああああぁぁぁぁ‼︎」(死にたくない‼︎こんな所で死ぬわけにはいかないんだ‼︎)

暗い闇の中恐怖で叫び声を上げながら落ちて行く。必死に思考を巡らせ生き残る方法を考える。すると今まで見えなかった光が落ちていく先に見えて来た。
そのまま光を突き破るように暗闇から抜け出す。

蓮「っ⁉︎」

一瞬目が眩んだのか目を閉じる。しかし直ぐに目を開けて辺りを見渡す。
そこに広がるはまさに幻想。雲の合間からは見えるは広大な土地が広がり点々と様々な建造物が立ち並んでるのが見える。何よりも目が行ったのは辺り一面にピンク色の花畑、その中心に歪な形をした大きな城が建っていたのだった。

蓮「、、、、あ‼︎そうだ‼︎」

余りの衝撃的な風景に気を取られるもハッと我に帰り渡されたリュックの存在を思い出し急いでリュックを調べる。
よく見ると引っ張るような紐があり意を決してその紐を強く引く。
しかし何も起こらない。よくよく見ると紐の先には『ハズレ❤︎』と書かれたジョーカーのカードが括り付けらていた。

蓮「、、、」

怒りを覚えつつも今度はチャックに手を掛け口を開く。バッ‼︎と何かが幾つも飛び出しその一つを手に取る。それは布生地が明らかに少ない紐の様な下着だった。さらに下着には『アタリ❤︎』と書かれたハートのクイーンのカードが括り付けられていた


蓮「今一番要らないよバカーっ‼︎」

叫ぶ様に下着を投げ捨て真っ逆さまに落ちて行く。
地面まで後少し。もうダメだと思いギュッと目を瞑る。
しかし落ちた先は幸か不幸か木々の生い茂る中。葉を抜けると一際大きなキノコにぽふんと体が沈み弾き飛ばされるそして別のキノコへ再び体が沈み弾き飛ばされる。
ダンッ‼︎と背中を強く打ち付けようやく浮遊感から解放され続いて全身に走る打ち付けられた痛みに堪らず悶える。

蓮「ッー‼︎ゲホッ‼︎ゲホッ‼︎い、痛ーっ‼︎」

大きく咳き込み目尻に涙を浮かべながらもまだ自分が生きている事にホッと辺りを見渡す。

蓮「こ、ここは、、、いたたっ、、つ、机っ?」

自分の体の何倍にも大きな長机に自分が横たわっているのに気がつく。その机の上には美味しそうなクッキーやスコーン、見たこともない果物が乗ったタルトケーキやシュークリームがズラリと並んでいた。何故かは知らないが自分が横たわっていた場所にはお菓子はなかった為辺りを汚してしまう事はなかった。
ふと顔を上げると一人の淑女がティーカップの中をスプーンでクルクルと回してる姿が見えた。

蓮「あ、あの、、」
?「遅刻だよ?」
蓮「え?」

一口ティーカップの中の物を啜りクスリと笑いながらそう言うと蓮を見つめる。

?「まったく大遅刻だよ。正確には3分と28秒の遅刻だ。紳士たるもの女性を待たせるのは御法度だよ。」

クスクスと笑いながら席を立ち上がり蓮の側により手を差し出す。淑女は燕尾服を身に纏いまるでキノコの様な帽子を浅く被り顔立ちは見方によっては男性にも見えなくはないキリッとした表情をしていた。
蓮は怪しげに見るもその手をそっと握る。

蓮「お茶会の邪魔をしてしまってすいません、、、ですが遅刻って僕を誰か別の人とm」

人違いだと言いかけたその時グイッとその細い腕から考えられない力で引き寄せられ腰と背中に手を添える様に抱き寄せられる。淑女の身体からとても甘い香りがして少し心地良くも感じ更に蓮の顔の目の前まで顔を寄せクスリと微笑む。

?「間違いなんかではないさ。『僕達は』君が来るのを待っていたのだよ。」
蓮「わっ、、ちょっ、ちょっと!」

恥ずかしさからか思わず顔を反らす。

?「おや、怪我をしているじゃないか。」

そう言うと更に顔を近づけ頬をペロリと舐める。

蓮「ヒッ⁉︎や、やめてください‼︎」

薄っすらとした痛みが傷に染み同時に恥ずかしさで顔を真っ赤にして思わず突き飛ばしてしまう。
スルリと腰や背中に回していた手を離して淑女はクスクスと笑いゆっくりと席に戻る。

?「ふふ、君は可愛いね。あのまま食べてしまえば良かったと少し後悔してしまったよ。」

舌舐めずりをして見つめティーカップを持つ。
一瞬ゾッとするも平静を装い淑女を睨む。

?「そうだ。自己紹介がまだだったね。僕の名前はルイス・ピルツ。みんなからは狂った帽子屋なんて呼ばれてるよ。」

ニコッと白い歯を見せながら微笑みかける。

ルイス「ほら、今度は君の番だよ可愛い紳士さん。」
蓮「、、、海谷蓮です。」

警戒しつつもルイスの問いに答える。
ルイスはとても嬉しそうな笑みを浮かべティーカップの中身を啜り見つめる。

ルイス「ふふ、さあ座って座って。一緒にお茶会でもしようじゃないか。」

嬉しそうに空きのティーカップを用意し中に紅茶を注いでいく。
あまりに嬉しそうな表情の為に少し罪悪感を感じつつもこう言い放った。

蓮「あー、ルイスさん。残念ながら僕は急ぎの身なので今ここでお茶をしてる暇はないんですよ。」
ルイス「おや、そうかい?それは実に残念だ。」

意外にもあっさりとした反応に少し驚きつつも引き止められなかった事に安堵する

蓮「えぇ、それでは僕はこれで失礼します。」
ルイス「ああ。また会える時を楽しみにしてるよ。」

ルイスは蓮に微笑みかけティースプーンを持ちながら手を振る。
それに対して優しく笑顔で返し乱れた服を整えお茶会の場から離れて森の奥へと走る。

蓮「はぁはぁ、、、」

森の中へ入り数分。目線の先に開けた空間を見つけ走る速度を早める。
森を抜けたと思い木の間を飛び出す。
しかし目の前には先ほど見たばかりの長机。そして優雅に紅茶を楽しむルイス。思わず首を傾げてしまう。

蓮「あ、あれ?」
ルイス「やあ、5分振りだね。」

クスクスと笑みを浮かべ蓮を見つめる。
汗を拭いルイスの挨拶を無視して再び森の中へと消える。




一時間程だろうか。森を抜けてはお茶会の場に戻されるを何度も何度も繰り返しいい加減体力も限界に達して思わず木にもたれ掛かる。

蓮「はぁはぁっ‼︎な、なんだよこれっ‼︎」

息を切らして苛立ちを見せる。
それを見てルイスはクスクスと笑いながら蓮の目の前に立つ。

ルイス「お疲れ様。どうだい、一杯お茶でも飲まないかい?」
蓮「はぁはぁっ、、、はぁ、、、」

背中をさすりながら引かれた椅子へ座るように誘導する。
それに対して大きくあからさまな溜息を漏らしゆっくりと立ち上がり椅子にすわる。
座り心地のよい椅子に少し身体の力が抜ける。

ルイス「大変だったろう?ささ、飲んで飲んで。」

ティーカップを蓮の前に置き自分の席に戻る。
紅茶からはとても良い香りが立ち上る。りんごの様な甘酸っぱい果実の香りだ。
蓮はティーカップをそっと持ち「いただきます。」とルイスに向かって言い一口啜る。
鼻から果実のような香りがスーッと抜けてふうと一息気の抜けた溜息を吐く。

蓮「、、、美味しい。」
ルイス「それは良かった。さあ、お代わりは沢山あるからいっぱい飲んで構わないよ。」

満足そうに笑みを浮かべ自分のティーカップに紅茶を注ぐ。
蓮はティーカップを置きルイスを見つめて問いかける。

蓮「あの、ここってどこなんですか?明らかに僕が居た世界じゃ。」
?「それに関してはこの私がお答えしよう!」

突如蓮の真後ろから声をかける。
思わず身体がビクンと跳ねてバッと後ろを振り返る。
そこに居たのはまるで猫の様な尻尾と耳を生やし紫と黒が半分に分かれた長く綺麗な髪を揺らし明らかに丈の短い服を着た女性だった。
彼女はニヤニヤと笑いながら蓮を見つめルイスの座っている椅子に近付きパッと帽子を持ち上げる。その頭の上にはまるで六法全書の様な分厚く重そうな本が乗せてあった。
ルイスはなに食わぬ顔で頭上にあった本を渡す。猫の姿をした女性はそれを受け取り帽子を戻すとペラペラと本をめくる。

?「えーーーっと、説明に24時間コースと30分コースと5分コースと3秒コースがあるけどどれがいいかな?」

ニヤニヤと笑みを浮かべながら蓮に問いかける。

蓮「え⁉︎、、、じゃ、じゃあ3秒で、、」
?「不思議の国、以上‼︎」

そう言うとバタンと本を閉めてしまう。

蓮「、、、ごめんなさい、やっぱり5分で。」
?「優柔不断だね〜」

プーッと頬を膨らませ再び本を開く。

?「えーー、不思議な国へようこそお兄さん!私はチェシャ猫のキャロル・プシー!この国へ迷い込んだお兄さんは実にラッキー!ここでは怖〜い教団騎士に怯える事なく毎日エッチで淫らでアハン❤︎うふん❤︎な体験を沢山する事が出来ます!媚薬の雨、あそこがおっきくなるキノコ、他にも様々なイベントがお兄さんを翻弄するだろう!でも大丈夫♪そんなお兄さんに寂しいぃぃ思いをさせないようにする為にいるのが私達不思議の国の住人♪」

キャロルはルイスの燕尾服の胸元部分だけをはだけさせ蓮に見せ付ける。燕尾服からだと分かりづらかったが大きな胸が谷間を作っていた。
それを見た蓮は少し目線をズラして紅茶を一口飲む。
キャロルはニヤニヤと口角を更に吊り上げ説明を続ける。

キャロル「にしし♪さあさあ目の前のお菓子に手を伸ばして♪一口食べればお菓子の虜、二口食べれば私の虜、三口食べれば、、、」

ヒョイっと更に盛られたクッキーを取り蓮の目の前まで行き膝の上に対面状態で座る。
蓮は思わずビクッとして深く椅子に座るがその反応を楽しむようにキャロルは近付き囁く。

キャロル「愛液と精液で塗れたどろどろ淫惨な光景が広がる♪」

とろけるような声を耳元で囁き口にクッキーを咥えて蓮に差し出す。

蓮「、、、、」

その姿を恥ずかしそうに見るも敢えてクッキーを指でつまんでキャロルが咥えていたところをかじると余ったクッキーをそのままキャロルの口に戻す。
クッキーからはとても甘く香りのよいナッツの風味を感じる。

蓮「ご馳走様でふ。」
キャロル「にしし♪どういたしましてお兄さん♪」

スッと蓮の膝の上から離れると一口で残りのクッキーを食べてしまい蓮の隣の椅子に座りルイスの淹れた紅茶を飲む。

キャロル「どうだい、私の説明は?」
蓮「、、、一つ訂正箇所があるんじゃないですかその説明。」

蓮も紅茶を啜りキャロルを少し睨むように見つめる。

蓮「僕は迷い込んだんじゃなくてキャロルさんに押されて迷い込まされたんですけど。」
キャロル「おや、そうだったかな?」

脚を組んで惚けた様に目線を逸らしスコーンを千切って口に運ぶ。
それを見て深く憂鬱な溜息を吐きキャロルを見つめる。

蓮「そうですよ!第一、」
?「お待たせ〜、やっとクグロフが焼けて、、、」

蓮が文句を言いかけたその時だった。森の中から落ちて来る前に出会ったワーラビット(?)が出てきて香ばしい香りのするパンを机に置く。
すると顔を上げて蓮と目が合う。

蓮「あれ、君はさっきのk?「さっきのお兄さんだーっ‼︎」

次の瞬間目にはハートを浮かべ机を飛び越して椅子ごと蓮を押し倒す。

蓮「いっ⁉︎痛っー!」
?「私と交尾する為に来てくれたんだね〜♪ありがとう♪」
蓮「はぁ⁉︎ちょっと何言ってr?「え⁉︎何言ってるんだ、早く交尾しようだって⁉︎わかってるよ♪さあいっぱいエッチしてどろどろになるまでずーっと気持ちいい事しよ♪」

強引に服を脱がそうとズボンの部分に手をかける

蓮「ちょっ⁉︎や、やめて‼︎」
?「え⁉︎やめないで!もっと早く脱がして獣のようなエッチをしようって⁉︎はぁはぁっ♪わかってるよ♪早くっ早く早く早く♪」

涎を垂らして引っ張る力を更に強める。
堪らず蓮は懐に手を忍ばせると一本の細長い針を取り出し。

蓮「い、いい加減にしてくださいっ‼︎」

それを首筋にプスリと浅く刺して針をピーンと指で弾く。

?「あはんっ♪、、、、zzzz」

指で弾いた瞬間ピクンと身体が跳ねてまるで糸が切れた人形の様に力を無くして蓮に覆い被さり小さく可愛らしい寝息を立てる。

蓮「はぁはぁ、、、」

ゆっくりと彼女を退かすと隣の椅子に座らせ針を引き抜く。

ルイス「おやおやお熱いね。」
キャロル「にしし♪大丈夫だったかい♪」

ニヤニヤと蓮を見つめる二人。服の乱れを直し目尻に涙を浮かべながら椅子を立て直しドスンと力無く座る。

蓮「は、初めて本気で犯されると思った、、、」
キャロル「おや、それはいい体験をしたじゃないか♪」

その言葉に反応してキッとキャロルを睨み付ける。
そんな事をしても無駄と考え溜息を吐きながらスヤスヤと眠る彼女を見る。

蓮「この子一体なんなんですか?」
ルイス「彼女はマーチヘアのラパン・リデル君だ。少々勘違いをしやすい子だがなに、直ぐに慣れるさ。是非仲良くしてくれたまえ。」
ラパン「zzz♪えへへ♪」

深く寝息を立てて涎を垂らしているラパンを不安そうに見つめる。
その姿を見たルイスはハッと思い出したように机の下に潜り込む。

ルイス「そうそう彼女を忘れちゃかわいそうだ。紹介しよう、ドーマウスのラータ君だ。」

机の下から出てくると一際大きなティーポットを取り出す。その蓋を開け手を突っ込み何かを掴むと持ち上げ抱き抱える。見た目は完全に幼い少女、服装は幼児向けのパジャマを着ておりチーズを象ったクッションを抱き抱えていた。

ラータ「zzzzうゆ、、?」

目をまぶしそうに擦りポーッと蓮を見つめるとルイスの手から降りて蓮の目の前まで歩いていく。

ラータ「、、、」
蓮「や、やぁ、、、」

先ほどのラパンの一件で若干警戒気味に挨拶する。
すると膝の上によじ登りクッションを抱き抱え蓮に身体を預けるとそのまま目を瞑り。

ラータ「zzzzzz」

再び深い眠りについてしまった。

蓮「あ、ちょっと!」
ルイス「よかったじゃないか気に入ってもらえて♪自ら進んで歩いてまで蓮君の膝の上に座ったんだ、かなり気に入ってもらえてるよ。」

クスクスと笑みを浮かべその様子を見つめる。
そして辺りを見渡すと全員の顔を見つめ懐からメモ用紙を取り出すと点呼を始めた。

ルイス「えー、ラータ君にラパン君にキャロル君に、、、そして今回初参加の蓮君。よしこれで全員が揃った。」

ペンで項目をチェック。そして再び懐にメモ用紙をしまうと立ち上がり高らかにティーカップを掲げる

ルイス「さあ、お茶会を始めよう♪」

後編へ続く、、
15/05/20 17:35更新 / sak.m.2
戻る 次へ

■作者メッセージ
不思議の国での話は個人的に一番書きたかった部分なので全員の自己紹介だけで8000強の文字数にw
果たして皆さんの不思議の国メンバーのイメージと自分の不思議の国メンバーのイメージが合ってるか色々不安ですがこのまま頑張って後編も書いていきます。

TOP | 感想 | RSS | メール登録

まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.33