連載小説
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後編
フローラが僕に二度目の魅了魔法をかけてから約二か月間が過ぎた。だがこの二か月は僕と彼女にとってただの二か月ではなかった。言葉で言い表すとするならば、まさに「激動」だろう。彼女は僕が言った事を律儀に守り様々な方法を用いて僕に魔法をかけてきた。しかしそれらは僕の想像を遥か斜め上を行っていたのだった。

彼女に呼び出され呼び出された先で急に彼女が魅了魔法と言う名の攻撃魔法を僕に向けて放ったり、こっちの方があなたに効果的かもしれないと言われ、彼女はあられもない水着姿になり、そのまま僕に魅了魔法をかけたり、放課後誰もいない教室で睡眠魔法をかけられ、意識がうつろな状態で魔法をかけられたり、衰弱魔法をかけられ、死ぬか生きるか寸前のところで魅了魔法をかけられたり、密着した状態で魔法をかけられたり、夜中いきなり僕の元へ現れて、添い寝ついでに魅了の魔法をかけられたり、海、山、川、などの様々な場所で魅了魔法をかけられたり、高い所から落下しながら僕に魅了魔法をかけてきたり、など…。様々な滅多にない経験を彼女は僕に体験させてくれた。しかし、彼女がどのような手段を用いても、どのようなシチュエーションを用意してくれても僕が決して彼女の魅了の魔法にかかることは無かった。

僕はそんな自分にいら立ちを感じていた。どうして僕は彼女の魅了魔法にかからないのだ、彼女が僕の為にこれほどまでに頑張っているのに、僕は僕の為に頑張っている彼女に何もしてあげる事が出来ない。そんな自分を僕は恥じた。だから僕は今、自分の部屋で椅子に座り頭を抱えて必死で考えている。どうすれば彼女の魅了魔法にかかる事ができるのかと。しかしいくら唸ってもこればかりはどうしても思いつかない。そこら辺の劇場では入りきらないであろう数の本がある自宅の書斎でありとあらゆる本を読み漁ったが、得るものもなく終わり、最近話題の「インターネット」を使って解決策を考えてみたが、電源を入れる、マウスを操作する、キーボードで文字を打ち込むなど…。慣れないパソコンを何十分もかけて操作してやっと僕がたどり着いたのは日ごろの生活に悩みを抱えた人たちがアクセスするようなカウンセリングセンターのホームページであった。
魅了魔法にかからないことは精神的に危険な状態であるらしいとそのページには書かれてあったが、僕の精神はいたって健康そのものである。今話題のうつ病というわけでもない。ならどうして僕は彼女の魔法にかからないのだろうか?考えに考えても答えは出ない。僕が悶々としていると不意に僕の部屋の扉がコンコンと叩かれた。


「誰だ?」

もう夜の9時だというのに一体誰だろうか、メイドならこの時間には訪ねてこない、考えられるのは父上か母上か、そう考えながら僕はノックをした人物を想像する。

「あなたのお母さんでーす。ライール君にちょっとお話があるんだけどいいかな?」
「母上でしたか、どうぞ、お入り下さい。鍵は開いています。」
「はぁい。失礼しまーす。」

僕の部屋のドアを叩いたのは僕の母親であった。僕の母親特有のゆったりとした言葉と共に母親は扉を開けて僕の部屋へ入ってきた、しかし僕の母には人間にあってはならないものがついている。自慢の金色のしなやかな髪から堂々と存在を主張している山羊のような巻かれた角に、光をわずかに反射し妖しく光る漆黒の翼、先端がハートマークの形をしている細長い尻尾である。僕の母親は魔物で種族はサキュバスである。しかし産まれながらにして魔物だったわけではなく、ここ最近理由は不明だが自ら進んで魔物になったそうだ。魔物になって帰ってきたときは驚愕したものだが今となっては慣れたものである。

母上は部屋にあった椅子を僕の隣まで持っていき、腰を下ろした。母上は僕の顔をしばらく見た後、急に母親らしからぬ神妙な顔つきになり、口を開いた。

「ライール君、あなた最近何か悩んでる事があるでしょう?」

さっきまで僕の様子を見ていたのかと言いたくなるような母上の言葉に僕は自分の心拍数が急激に上がるのを感じた。もうすぐ大人になるというのに両親にこんな相談をして迷惑をかけるのも少し気が引ける。僕は母に心配をかけるまいと慌てて口を開いた。

「そ、そんな事は…。」

僕が言葉を言おうとした瞬間に母上は僕の傍に詰め寄ってきた。

「ごまかさないの、あなたがウソついてる時っていつも顔に出るのよ?子供の時からずっとそう。私、分かるのよ?だから、話して?私はあなたの悩みを解決したいの。」

そう言って母上は神妙な顔からいつもの優しい笑みを浮かべる。
母上はいつも僕の本心をすぐにつかみ取ってくる。そして僕が見栄を張ってウソをつく前に本心を話すように諭されてしまうのだ。
こうなってしまってはもう僕に勝ち目はない。素直に白状してしまうしかないのだ。

「うぅ…母上がそう言うのなら仕方がない…。実は…。」

僕はこれまでフローラ君との間に起こった出来事を母上に洗いざらい全て話した。彼女に告白された時、彼女と安易な関係になってしまうかもしれないのが嫌だった事。自分自身に自信が無かったから彼女に魅了魔法をかけて堕としてみせろといった事。魅了の魔法が僕に全く効かなかったこと。彼女が僕を堕とす為にありとあらゆる手段を試したがそれでも全く効果が無かったこと。彼女は僕の為にずっと頑張っているのに僕は彼女に何もしてあげられない事。今僕が彼女に何ができるかを考えている事。それらすべてを話した。
僕の話を聞き終えた母上は呆れたような顔を浮かべて僕に言った。

「そんな回りくどい事はさっさとやめて、あなたがフローラちゃんに魅了魔法なんかいらないから僕と付き合ってくれって言えばいいじゃない。」
「確かに、そうですが…。僕は、完璧な紳士を目指しているんだ…。完璧な紳士にもならないで、まだまだ半熟な状態で彼女と関係を持ってしまえば、きっと近い未来僕は彼女を傷つけてしまう…。僕が彼女と関係を築くにはまず完璧な紳士になる必要がある!」
「あらあら、じゃあ完璧な紳士になっちゃえば彼女との関係をうまく築けるのね?」

僕の母上は僕に訪ねる。当然だ。僕が完璧でなくては意味がない。僕が完璧であって初めて女性と良好な関係が築けるというものだ。
そんな考えに浸っていると母上が唐突に僕に質問を投げかけてきた。

「じゃあ、あなたが「この人は完璧な紳士だなぁ。」って思う人はいるの?それか、いなかったとしたらどんな人が「完璧な紳士」だと思う?」

そのような簡単な質問ならすぐに答えられる。僕は自信を持って堂々と口を開いた。

「母上のその質問、二つとも僕が答えましょう!僕が「完璧な紳士」として尊敬する人物!それはもちろん僕の父上、ミハエル・ディ・シュバルツェンだ!そして「完璧な紳士」とはありとあらゆる物事をそつなくこなし、様々な生き物と友好的な関係を築ける者の事だ!」

僕は自分が持っている紳士に対しての気持ちを高らかに母親に語った。母上もきっと感極まって涙を流されている事だろう。
そう思い母上の方をちらりと見ると、母親は目に涙を浮かべながらくつくつと楽しそうに笑っていた。何か自分はおかしなことを言っただろうか。少し心配になり僕は口を開いた。

「母上、僕は…何かおかしい事を言いましたか…?」

僕がそう聞いても母上はまだ、くつくつと笑い続けている。声を抑えて笑い続ける母上を見て僕はひたすら困惑するばかりであった。
僕が訊ねた後もしばらく母上は笑い続けて、ようやく母上が落ち着きを取り戻した時僕は改めて母上に訊ねた。

「母上、どうしてそんなにも笑われていたのですか?僕が何かおかしい事を言いましたか?」
「いえ、あなたの志や言った言葉が出会った頃のあの人にそっくりでね、すごく可笑しいなって思って。」
「父上ですか?それほど似ていたのですか?」
「本当よ。特に紳士の下りはもうほぼ同じだったわ。若いころのあの人を見ているみたいだった。」
「本当ですか?」
「ええ。」

母上の前であるにもかかわらず、僕は思わず椅子から飛び上がった。僕と父上が似ている。母にそう言われ、僕は歓喜に打ち震えた。何故なら僕の理想像に大きく一歩近づくことができたのだから。父上は完璧な紳士だ。僕もきっといつか父のようになれる。嗚呼、僕は確実に夢に近づいている…。

「さて、本題に戻りましょう。」
僕が感銘を受けている間、母上はもう話す状態に入っていたようだ。母上の声が僕を現実へと引き戻す。
僕は慌てて母の前に座り、再び母と向き合う形になる。

「ライール君、あなたはお父さんを凄く尊敬しているよね?」
「勿論です!我が父上は僕の全てです!男としてのそして紳士としての生き方も全て父上から学びました!父上は何もかもを完璧にこなす!その姿はまさに紳士だ!僕はその姿に憧れて紳士を目指しているのです!」

僕が今掲げているこの紳士論も父上の言葉を聞き、父上に憧れてできたものだ!父上がいなければ今の僕は無かっただろう!

「ふふ、そうね。確かにあの人は何でも上手くこなしているわね。家事、仕事、友人関係、その他…妻からしてみればまさに自慢の夫ね。彼の姿を見る度にいつも惚れ惚れしちゃう。」

母上は頬を朱く染め微笑みながら嬉しそうに父上の事を話す。魔物になる以前も夫婦仲は良かったが、母上が魔物となってからはこれまで以上に夫婦の仲は良好になった気がするし、父上もどこかしら若返ったように感じる。

「だけどね、あの人は凄く寂しがり屋さんで、とっても甘えん坊さんなのよ。」
「え?父上が?」
「ええ。私たちが結ばれてからは特にね。最近は私がいないと涙ぐんじゃうくらいにね。」

母上から聞かされる父上の意外な側面。僕はそれを知って驚愕した。

「父上が?まさか、ありえない。あの父上が?」
「ええ、そうよ。毎晩寂しいから添い寝してってずっと頼まれているわ。添い寝を頼むときのあの人の顔が本当に可愛いの。それと、最近は私がいないと仕事がはかどらないみたいで、仕事をするときもずっと傍にいてくれって頼まれるの。」
「父上…。」

母上に甘えている父上の姿を想像してみると僕の中で築かれていた厳粛で立派な父上の人物像に少しひびが入った気がして僕は少し父上にがっかりした。

「ふふ、意外でしょ。いつもあなたや他の人の前では厳粛に取り繕っているあの人だけど、私の前だけは厳粛のげの字もないくらいに蕩けているのよ。」
「いつも全て完璧にこなす人だと思っていたのに…。」

思わず考えてしまった事が口に出てしまった。僕は少ししまったと思い謝罪しようと母上の方を見た。すると母上は少し申し訳なさそうに笑みを浮かべていた。

「ちょっとがっかりさせちゃったかな?でも、これでいいの。」
「え?」
「何でも全部一人で完璧にこなせちゃう人なんていたら怖いし、今の私が言うのもあれだけど欠点や弱点があってこそ本当の人だと思うの。だから、完璧になる必要なんてないんじゃないかな?あなたが完璧な紳士だって思っている人も思いっきり私の前では蕩けちゃってるわけだし。あなたは今もこうやって彼女の為を思って私に相談してくれている。それだけでもう私はあなたの事十分立派な紳士だなって思うよ?だから、これからは完璧な紳士になるんじゃなくて、彼女の為に立派な紳士になってあげなさい。」

優しい母上の言葉が悩んでいる僕の心に道を指してくれた気がした。完璧な紳士になる必要は無い。その分立派な紳士になればいい。その言葉を聞いて僕はいくらか自分の肩の荷が下りた気がした。
しかし、まだ一つだけ不安が残っていた。それは僕が彼女に僕を必ず魅了の魔法で落としてみせろと言った事だ。母上が言ったようにするのもありだが、これだけはどうしても決着をつけたい。彼女と僕の為にも。その事に関してアドバイスを母上に求めると母上は少し渋い顔をした。

「えー、そんなの関係なくストレートに言えばいいじゃない。魔法なんかいらない!君が好きだ!付き合ってくれ!って。」
「それでは、僕の気が済まないんです…。何かいい方法は…。」

僕がそういうと母上は有名な石造のごとく考える姿勢をとった。

「そうねぇ…。」

母上が考える姿を見続け数刻、母上は急にパッと明るい顔になった。何か名案が思い付いたと信じたい。

「あっ、良い事思いついちゃった。これなら多分大丈夫ね。」
「本当ですか!さっそく教えてください!」

母上が僕に言ってくれた作戦はとてつもなく僕にとっては恥ずかしいものであった。しかし、これ以外に作戦は無い。次に彼女に会った時に決行するしかない。僕は覚悟を決めた。

「それじゃあ、決まりね。じゃあ私はあの人の所に戻るわね、早く戻ってあげないと泣いちゃうかもしれないから…。じゃあ頑張ってね、ライール君。ファイトだよ!」
「…ありがとうございます。」

母上は僕にそう告げると部屋の扉を開けて出て行こうとした時、母上は不意に足を止めて僕の方へ振り返った。

「あ、大事な事言うのを忘れてたわ。近いうちにあなたに妹ができるわよ。」
「えっ!?ちょっと!」
「ふふ、それじゃ、お休みなさい。」
そういうと母上は僕の言葉を聞かず僕の部屋を足早に出て行ってしまった。
母上から告げられた恥ずかしい作戦と新しい家族の事。その二つが僕の頭の中で交互にひしめき合って今夜も僕は10分ほど夜更かししそうであった。

















彼に向けて私の魅了魔法を放ち続けておおよそ二か月が過ぎた。二か月経った今でも彼が私の魅了の魔法にかかる気配は微塵も感じなかった。
あらゆる方法、あらゆる手段を試した。露出が多い服を着て男性の目の前に立てば男性は欲情して、魅了の魔法をかければ即堕ち。と流行りの雑誌に記されていたので、彼に私の水着姿を見せた後、魅了魔法をかけたが彼には通じずに失敗。しかし、彼の初々しい反応が見られたので悔しくはなかった。
また別の書籍には「人間の男性は生命の危機にあると本能的に子孫を残そうとする習性がある」と聞いて、彼をものすごく高い所から落として、生命の危機が迫っている時に魔法をかけたがこれも彼には通じず、ただ単に彼の身を危険にさらしてしまっただけであった。落ちている彼を捕まえて無事に地面に着地しても彼がずっと私から離れずに目を閉じてしがみつくカワイイ姿を見ることができたが、どっちにしても失敗である。
またまた他の文献には「男性はリラックスしている時がチャンス!」と記されていたので、彼が就寝する前に彼を訪れて子守歌の代わりに魅了魔法をかけたのだが、彼は私の詠唱を聴きながらすやすやと眠ってしまい、本当に子守歌になってしまった。眠ってしまった彼をそのまま犯してしまおうかと考えたが、それは彼との約束を破る行為になるのであえなく断念。彼の素敵で母性を刺激するカワイイ寝顔を見ることができたが、どっちにしても結果は失敗。
他にも睡眠や、衰弱、挙句の果てには攻撃系の呪文まで魅了の魔法に組み込み彼に向けて放ってみたこともあったがどれも結局失敗。特に衰弱や攻撃と組み合わせたものは、本当に彼の生命を奪うところであった。
どんなに頑張っても彼に魅了の魔法をかけられない。そんな今の状況に私は少しイラついていた。自慢ではないがいままで私が魔法に関して失敗した事は一度たりとも無かった。そんな私がよもやサキュバスが覚える魔法の中でも基礎中の基礎である魅了魔法にこんなにもてこずっているとは自分でも全く予想できなかった。いったい何が悪いのか全く分からない。本当にどうにかなってしまいそうな気分だ。


「はぁ…。なんでかなぁ…。ライール君、私の事きらいなのかなぁ…。」

私の事を快く思っていないから私の魔力が通じないのではないのかと思い始めた途端に気分が落ち込みネガティヴな思考が私の頭の中を埋める。ここで彼を私の旦那様にできなければきっと私はこのまま想い人と結ばれる事なく魔生を過ごしていく事になる。そう考えているとかえって落ち込んでしまう。何か方法は無いのかと思考を巡らせるたびに失敗した姿を思い浮かべてしまう、といった負の連鎖に陥ってしまう。そんなどん詰まりな状況を一時間過ごし、最終的に私が出した結論は…。

「もう、寝ちゃおう。明日も学校あるし…。どうするかはライール君に会ってからでいいや…。」

そう呟いて私は部屋の電気を消してベッドに入り、シーツを頭まで被って目を瞑った。
そのまま目を瞑っていればそのうち眠れるかと思っていたが、静かで暗い空間が私の思考を余計に活性化させてしまい目が冴えてしまう。思考は勿論ライール君一色。しかも彼はきっと私の事を嫌ってるだとか、このまま彼と永遠に結ばれることは無いとか、ネガティヴな事ばかり。そんな思考をずっと続けていてもキリがないので、私は腹をくくることにした。明日彼を私の家に連れ込む。一応魔法はかけるつもりだけど効果は無いと思う。だから全身全霊をもって彼にわかってもらう。私が彼をどれだけ愛しているかを…。魔法がダメなら言葉で、言葉がダメなら身体で、私の本当の気持ちを受け取ってもらう...。それでも駄目だったならもう彼をあきらめてしまおう。私は覚悟を決めてベッドの中に潜り込んだ。





「いらっしゃーい、ようこそー私の部屋へー。」

今僕はフローラ君の家にいて、しかも彼女の部屋に案内されている。彼女は今日も僕を魔法で堕落させるつもりでいるようで、今回は彼女の家で行われるようだ。彼女曰く、今日の魔法は私の部屋だけでしかできないということらしい。女性の部屋に軽々と男が侵入していいものかと悩んだが、彼女が僕を家に招くことにより、良い結果を出せるのなら僕はそれでいいと考えた。彼女が家にどのようなからくりを仕組んでいようとも僕はきっと彼女の魔法にかかることは彼女には失礼だと思うが多分ないだろう。だからこそあの作戦を必ず実行しなくては。しかしあの作戦の事を考えるだけで僕は全身が燃えそうなほど熱くなる…。しかし、もうここまで来たのだ。今更引くわけにはいかない…。僕は腹を括り、彼女の部屋へと踏み込んだ。

「では、失礼する…!」
「そんな大げさにしなくてもいいよ。気軽に上がって。」

フローラは微笑みながら僕を部屋へ招き入れ、座椅子に座るように言った。そしてお茶とお菓子を持ってくるから少しここで待っているようにと言って彼女は部屋を後にした。僕は今女性の部屋にたった一人でいるという状況だ。
ずっと座っているのも退屈なので彼女の部屋をざっと見まわしてみる。本棚は整理整頓されており見たい時にいつでも本が引っ張り出せる状態にある。本のラインナップは流行の雑誌から見たことのない言語で書かれている分厚く、大きい本まで様々だ。テーブルの上も片付いており、鮮やかな色のガラス玉がたくさん入ったビンや変わった形の置時計があるくらいで目立った特徴はない。ベッドも整理が行き届いている。薄いピンク色のシーツはとてもいい匂いが―

「何を考えているのだ僕は…。女性の部屋をまじまじと見まわして…。これでは紳士失格だ…。」

先ほどまで自分が行っていた行為を恥じて、僕は一人ぼやいた。僕がぼやいてすぐに部屋の扉がノックされた。

「ライール君、扉開けてもらっていい?今両手がふさがってるの。」
「あ、あぁ。すぐに開けよう。」

僕は座椅子から立ち上がり、駆け寄って扉を開けた。扉を開けると当然であるがフローラ君が目の前にいた。しかし、彼女は両手がふさがっていると言っていたが、彼女の手には何も握られていなかった。何故、彼女は僕に扉を開けさせたのだろうかと考えていた時、彼女は突然僕に抱き着いてきた。あまりに急な出来事だったので僕は衝撃を抑えきれず彼女に押し倒されてしまった。

「ぐぐぐ…。フローラ君一体何―」
「ライール君、聞いて。」

僕を見下ろすフローラの顔はまさに真剣そのものだった。その真剣な表情を見て僕も自然と気を引き締める。彼女は真剣な表情のまま口を開いた。

「今からあなたに魔法をかけるね。」
「あぁ。受けて立つ…。」

彼女は渾身の力をもってして僕を堕とすらしい。僕は内心彼女の魔法にかかることを祈って目を閉じた。これで彼女の魔法にかからなければ最終手段だ…。彼女が魔法の詠唱を終え再度僕を見下ろす。

「私の全部、受け取って…。ライール君…。」
「来い!」

彼女は両手に溜まった桃色の塊を直接僕の胸にあてた。彼女の魔力が僕の身体に染みこんでいく。今までとは比べ物にならないほどの速さで彼女の魔力は僕の身体の中を巡っていき…。そして、全て僕の身体を通り抜けて行った…。

「…。」

僕の意識はやはりはっきりしている。また彼女の魔法にはかからなかったようだ…。この事をフローラ君にどう伝えようかと考え、ふと彼女の顔を見ると彼女は目に涙を浮かべていた。

「あはは…。やっぱり無理だよ…。」

彼女は目から涙をこぼしながら僕に言う。

「魔法がダメだったら、嫌われてでもいいから…全身全霊を使ってあなたに好きになってもらおうって…覚悟したはずなのに…。あなたに嫌われるのが怖いからって…。」
「フローラ君…。」
「ライール君、ごめんね…。今まで…。何回死にそうな目にあっても私の魔法に付き合ってくれて…。ありがとう。私、本当にあなたの事が好きだけど…あなたとの約束を果たすことができない女の子です。こんな私は、もうあなたには必要ないよね…。人との約束を守れない女の子は紳士には必要ないよね…。」

フローラは涙をこぼしながら僕に訴えている。これ以上、僕は彼女の涙を見ていられない…。行動するなら今しかない。
僕は体を起こし、勢いそのままにフローラを強く抱きしめた。

「ら、ライール君!?ど、どうしたの…?急に―」
「あぁ!!好きだ!僕はフローラが猛烈に好きだ!」

彼女が言葉を言い終わる前に僕は彼女を強く抱きしめながら自分の想いを叫んだ。フローラは訳が分からないのか目をぱちくりさせている。

「す、好きって…どうしたの…?別に魔法にかかったわけじゃ―」
「さすがはサキュバスの魔法だ!もう君しか目に入らないぞ!!」

僕は実際に魔法にかかっている訳ではない。わざと魔法にかかっているふりをしてどさくさに紛れて彼女に告白する。これが僕の母上が考えてくれた作戦であった。いつも僕を想ってくれている彼女の為に僕ができる精一杯の事。僕は更に彼女への抱擁の力を強めた。今から僕は紳士ではなく一人の男になるのだ。

「僕は君が好きだ!好きだ!好きだ!紳士なんてどうでもいい!魅了の魔法なんかどうでもいい!初めて会った時から好きだ!いつも僕の為に試行錯誤してくれる君が、頑張ってくれる君が好きだ!僕は君の為に命を差し出したっていい!!それくらい君が好きだ!」

僕が自分の思っている事をそのまま何も考えず羅列した後、彼女はしばらく目をぱちくりした後、目に涙を浮かべつつも頬を朱く染め、口を開いた。

「ライール君、そんな稚拙な告白しちゃダメだよ…。そんな告白されちゃったら私...。」
「うわっ!」

フローラは喋りながら僕を床に押し倒した。また彼女が上で僕が下になる体制になる。彼女は僕を見下ろしながら口を開いた。

「あなたの事が欲しくて欲しくてたまらなくなるの…❤」
「フローラ…。」

僕を見下ろすフローラの顔は普段の顔からは想像できないほど淫らに歪んでいる。目じりは垂れ、口は不気味ににへらと笑い、そのようなだらしのない顔でも人間離れした妖しさと美しさを兼ね備えているフローラはやはり淫魔なのだと僕は改めて思った。そのような事を考えていると下半身に刺激を感じ、見てみると、彼女が僕の腰の上でいやらしく腰を前後に動かしていた。こんなに乱れた彼女を見ていると僕が今まで意識してこなかった欲求がグラグラと沸き起こってきているのを感じた。

「あっ、ライール君…。やっぱり男の子だね…❤」
「うっ…。」

フローラが僕の分身が固くなっている事に気付くと更に腰の動きを激しくしてきた。激しくされてしまえば刺激も強くなり、自分自身の性感も徐々に高まっていく。しばらく腰で蹂躙され、未知の快感に身を委ねそうになるが、今はなんとか理性で耐えている。必死で耐えている僕を見てフローラは僕の耳元に顔を近づけて誘惑するように囁いた。

「ライール君、もうすぐ出そうなんだよね?どうする…?このまま一回出しちゃう?それとも…」

フローラはそう言いながら立ち上がり、僕の上で彼女自身の下着を下ろした。下着は彼女の愛液でびっしょりと濡れており、もはや下着の役割をなしていなかった。彼女はぐしょぐしょになった下着を脱ぎ捨て、両手で性器を開き、その内部を僕に見せつけた。

「私の中で出したい?」

フローラは頬を染め、淫らな顔で僕に訊ねた。彼女の言葉を聞いて僕の理性は吹き飛びそうになったが、寸での所で耐え、僕は彼女を見上げた。このまま彼女を襲ってしまいたいが一途の不安が僕の中にはあった。その事を彼女に伝えるべく、僕は口を開いた。

「フローラ君、僕は自分の欲望で君を傷つけてしまう事が怖い…。今この場の僕の欲望に任せて君を襲って―」

僕が言い終わる前にフローラは彼女の唇で僕の口を塞いだ。僕は驚愕し、急いで彼女から唇を離そうとするが、彼女は僕の身動きが取れないように腕と翼で僕をしっかりと包み込んでいた。逃げられないと感じた僕は抵抗をやめた。抵抗をやめた途端に彼女は唇を離して、僕の耳元まで顔を近づけて囁いた。

「さっきさ、ライール君、言ったよね?紳士なんてどうでもいいって…。だからね、今だけ紳士をやめちゃおうよ。今だけ紳士をやめて欲望にまみれて…。獣みたいになって愛し合っちゃおうよ…。大丈夫。あなたは強い人だから…。きっと元のあなたに戻れる…。もし戻れなくても私が付いてるから…。さぁ…。来て?」

彼女の声を聴き終わった瞬間、僕は理性を失い、獣のように彼女の身体を貪った。欲望のままに彼女を求め、ありったけの欲望を彼女の中にぶちまけた。僕が欲望をぶちまける度に彼女は恍惚の表情を浮かべ何度も何度も僕を求めてきた。彼女が僕を求める度に僕は彼女を貪り続けた…。

















「で、今お前はフローラと付き合っていると…。」
「そうだ。さすがは僕の盟友…。僕の変化にこうも早く気付くとは…。なかなかやるじゃないか…。」
「あれだけイチャついてたらな…。一目瞭然だ。」

今僕は学内一の盟友イガラシ・ユウスケと昼食を共にしており、彼と他愛のない会話をしている。
フローラと愛し合ってから、僕は彼女と結婚を前提にしたお付き合いをしている。昼食を共にしたり、登下校を共にしたり、お互いの家に遊びに行ったり、遠い所へ共に遊びに行ったり、等彼女との日々を満喫している。勿論遊ぶだけではなく、将来彼女とより良い生活を送る為に自分を磨く事も欠かしてはいない。勉学、スポーツ、芸術、作法、身だしなみ…それとフローラと付き合い始めてからは、より彼女達の事を知る為に魔物娘に関しての文献を読み初め、知識を身につけている。魔物娘の新しい知識を得ることによってフローラの事を少し知る事が出来るような気がする為この文献を読む事は決して苦ではない。今はとにかく充実している。日々を彼女と共に過ごせて幸せだ。

「それで、結局お前は最後まで魅了の魔法にかからなかったのか?」
「ふふ、いい質問だな。我が盟友よ。実は…僕はかかったのだよ。彼女の魔法に。」
「へぇ、どんな感じだった?」

そして僕は盟友に事のいきさつを全て伝えた。フローラの魔法には結局かからなかったが、彼女の涙を見て僕は魔法にかかったように突き動かされていた事を。それを聞いた盟友は不愉快な話を聞いたと言わんばかりの顔をしてこちらを見つめていた。

「つまり、お前は最後まで魔法にかからなかったって事でいいんだな?」
「魔法にはかかったさ…。フローラの涙という魔法に…。」

僕が言い終わると盟友は顔をしかめ僕の前に近寄り、目にもとまらぬ速さで僕のもみあげを真上に引っ張り上げた。激しい痛みが僕を襲い、教室中に僕の悲痛な声が響く。

「いだだだだだだだだ!何故だ!友よ!何故!こんな事をする!!」

僕の問いかけを無視して盟友は僕のもみあげを更に強く引っ張り上げる。それに加え盟友は空いているもう一方の手で僕の耳を真下へ引っ張り始めた。もみあげを真上に引っ張られながら、耳は真下に引っ張られる。二つの物を反対の方向に引っ張られるだけでこれほどまでに痛いとは。やはり僕の盟友は悪魔ではないかと思う。何故ユウスケはこんなにも人を痛めつける事が出来るのだろうか…。僕の頭は引きちぎれそうなほど彼に引っ張られている。

「痛い痛い痛い痛い痛い!!何故なのだ!何故なのだ!我がと―痛い痛い痛い!」
「今日一でむかついたから。」

今の盟友の顔は怒りに染まっていた。まるでジパングの文献にあった「金剛力士像」のような顔をしている。僕の発言がなぜ彼をここまで怒らせたのか、僕には到底理解できなかった。
結局盟友の怒りの攻撃は収まる事は無く、昼休みが終わるまで続き、僕はフローラの手作りお弁当をお昼休みに食べ損ねてしまった。








「フローラ、ちょっと見てよ、コレ。」
「んー?」

教室に柔らかな日差しが差すお昼休み、昼食を食べ終わり、少し時間があるので少し昼寝でもしようかと考えていた所にいつも平静さを保っているダンピールのハルカが珍しく焦った様子で私の席まで駆け寄り、一冊の本を机の上に置いた。それはいつ書かれたかも分からない古く分厚い本で書かれてある文字もいつの時代に使われていたのか分からない文字で書かれてあり、何が書いてあるかもわからない代物であった。何故ハルカはこれをわざわざ私に持ってきたのだろうかと私は考えたがいまいち答えはつかめなかった。

「うっわ、なにこれ。」
「私たちが今の姿になって何十年も経たないうちに書かれた伝記集だよ。この中にすごい興味深い事が書いてあってさ…。」
「ふーん、どれどれー?」

遥か昔、人と魔物は殺しあう関係にあり、永遠に共存は不可能と思われていた。がしかし、魔物側を統治する魔王がサキュバス種へと代替わりした事により、この人と魔物が殺しあう関係は終わりを告げる。醜く、禍々しい姿であった魔物は美しい女性の姿に変わり、人間を滅ぼそうと考えていた思考は、並々ならぬ人への愛情へ変わり、人類と魔物は友好的な条約を結んだのだった。
とかそんな事が起こったのが確か三千年以上前の話であるから、その時に書かれた伝記という事はものすごく古いものだと思う。一体何が書かれているのだろう…。そう考えている間にハルカはお目当てのページにたどり着いたようで、分厚く重い本を私に手渡してきた。

「このお話なんだけどさ…。簡単に訳してみたから読んでみて。はいコレ、訳した文。」
「眠くならないといいけど…。」
「多分読んでたらそれ所じゃなくなると思うよ。」
「ハルカがそこまで言うなんて、よっぽどだね。じゃあ、読んでみますか!」

伝記は1ページごとに美麗な挿絵が描かれており、挿絵の邪魔にならない程度の場所に文字が書いてある絵本のようなものであった。私は最初はあまり真剣に読んではいなかったが、話を読み進めるうちに、私は話の中にある既視感を感じた。
その話は、人類と魔物が友好条約を結び、その友好の証として人と魔物が入り混じった領域、親魔物領域が確立した。そこに住む魔物がある青年に恋をする。青年は町の自警団で働いており、魔物は自警団の看護師として働いていた。お互いに面識はあまり無く、せいぜい会ったとしても青年が怪我をして医務室で手当てをする程度であった。ある日魔物が青年と強引に結ばれようと魅了の魔法をかけるが彼には効果が無かった。ショックのあまり泣き出してしまう魔物であったが、青年が泣いている魔物を抱きしめこう言ったのだ。「君の魅了の魔法は僕には効かない。何故なら僕はいつも君に会うたび、君に魅了されているからだ。」と答えた。青年も魔物に恋をしており、その巨大すぎる愛ゆえに魔物の魅了の魔法が効かなかったのである。その後二人は無事結ばれ幸せな家庭を築いた。というものである。

本を読み終えた私は言葉に詰まり、無意識的にハルカの方を見てしまう。ハルカも言葉が思いつかないのか困惑した顔でこちらを見返していた。色々言いたい事が頭の中でひしめき合っているが、とりあえず自分の中で出た結論を整理し、口を開いた。

「つまり、私の魅了の魔法が最初からライール君に効果がなかったのは…。」
「きっと最初から彼がフローラの魅了魔法の効果が出ないほどフローラの事が大好きだったって事だね。」

ハルカは微笑を浮かべて私にそう言った。その事実を聞いてライール君に対する愛情が相乗効果で膨れ上がる。彼への愛情が膨らめば膨らむほど私の体の芯は燃え上がるように熱くなり、今すぐにでも彼が欲しくなってしまい、居ても立ってもいられなくなってしまった。そんな私の様子を見たハルカが口を開いた。

「ね、それ所じゃなくなるでしょ?」
「ほ、ホントに…。それ所じゃない…。」

今の私はほとんど理性を失っている。こうやってハルカと会話できているのが不思議なくらいだ。午後からも授業があるが、もうそのような事はどうでもいい。今は彼と愛し合うのが一番の目的だ。私は残った理性を振り絞ってハルカを見た。どうしても彼女に頼みたいことが私にはあるのだ。

「ハルカ…。授業のノート…取っておいて…。あなたにしか出来ないの…。お願い…。」

私の頼みごとを聞いてハルカは少し呆れた顔を浮かべたが、少しため息をついた。

「今回はこれを持ってきてフローラに読ませた私にも責任があるからねぇ…。いいよ。今回だけね。」

ハルカがそう言い終わった途端、午後の授業開始の鐘が鳴った。鐘が鳴ったと同時に私は本能の赴くままに全速力で教室を飛び出した。愛しの彼、ライール・ディ・シュバルツェンを抱きしめに行く為に。そう考えている間に彼がいる教室に到着し、扉を勢いそのままに開け、困惑する生徒や注意する教師を異ともせずライールを抱きしめて、そのまま窓を突っ切って教室を抜け出した。私は彼を抱きしめたまま飛翔して学校を後にする。私たちは学校からいくらか離れて、どこか分からない山の野原に着地した。ずっと私にしがみついたままの彼の顔を見てみると何が何だか分からないという表情を浮かべていた。そんな彼を安心させるために私は彼の半開きになった口を私の口で塞いだ。しばらく二人で長いキスをした後私はライール君を抱きしめながら彼に訊ねた。

「ねぇ、ライール君、最初から私の事好きだったの?」
「うっ、あー…。」

ライール君は顔を真っ赤に染めながら返答を渋った。そのまま彼の返答をしばらく待ったが、彼からの返答は帰ってこない為、私は少し彼に意地悪をしようと考えた。

「言えないって事は、私の事嫌いなの?だから魅了の魔法で堕として見せろ!なんて言ったの?あー、傷ついちゃうなー。私、ライール君がそんな人とは思ってなかったなー。」

私の発言にライール君は慌てて口を開く。私が本当にそんな事を思っている訳がないのに彼は私の発言を真意に受け止めている。

「ち、違う!あれはそういう意味で言ったんじゃない。僕はただ…。」
「ただ、何?ちゃんと言って?」

彼の言葉にかぶせて私は質問する。あの本のおかげでもう答えはわかっている。けれどこの答えはちゃんと彼の口から聞きたい。彼は諦めたように目を伏せおずおずと口を開いた

「あの時、僕は君に一目惚れをしたんだ。だけれど経験した事もないのに簡単に恋仲になって君を傷つけてしまうんじゃないかって不安になって…。だから、魅了の魔法の事を言って君を動揺させてその場は退いて、後に決心を決めてから言うつもりだったんだ…。」
「…かわいい❤」

彼の弱気な発言を聞いて、更に彼が愛おしくなり、再び彼の唇を自分の唇で塞いだ。そして私たち二人はそのままそこで激しく愛し合った。
後日、授業を勝手に抜けてしまった罰として二人で反省文を書いたのはまた別のお話。



「魔術」というものは強力である。自然の摂理に従い、自然の法則を利用したものはそれ相応の大きな力を有し、物質を破壊する事が可能であれば、物質を創造する事も可能である。そして人類や魔物が特別視する「愛」という感情ですら「魔術」で創造する事も可能である。誰かに魅了の魔術をかけてしまえばかけられた対象は魔術をかけた人物に「愛」の感情を見出すであろう。しかし、場合によっては人の純粋すぎる「想い」や、大きすぎる「愛情」が魔術を凌駕する事も少なからず可能である。それらは一種の強力な「魔術」であり、その「魔術」はいつも私たちの心にあるのかもしれない。
16/06/19 23:12更新 / がしわーた
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■作者メッセージ
ここまで読んでいただきありがとうございました。
少しでも楽しんでいただたなら幸いです。













様々な事情が重なり投稿が遅くなりました。
すいません、許してください。何でもしますから。

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