連載小説
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CASE 3 へいきだもんっ!
その村は危機に……いい加減この始まりも飽きてきたので省略。

でも、今回城に行ってきたのはハンターではなく……


※ ※ ※


「もういや、何で娘があんな事に……こんな事ならあの時あの子のお願い聞いてあげてたら家出なんかしなかったし、ひいては変態にならなかったのかなぁ……」
「で、ご息女様はまた家出しちゃいましたしね。まぁ、あのまま滞在されたら配下達がトラウマで胃に穴が開きそうでしたけど」

あの後、散々城を引っ掻き回したダンピールは、そのまま城主の部屋に突貫。
相も変らぬゴキブリ走法でヴァンパイアに近寄ったかと思うと瞬く間にヴァンパイアの服を剥ぎ取り、それはもう見ることもはばかられるお仕置き(調教)を施して満足顔で去っていった。
娘が変態になっただけでももはや瀕死だったヴァンパイアの精神は娘に調教されたと言うことと、なんだか自分を見る目がやばいと言うことで娘が近親、百合に目覚めたと言うことを悟ってしまい倍ドンで打ちのめされた。
実際にはダンピールは近親『も』百合『も』いけるというのが真実なのだが、そんな事ヴァンパイアが分かるはずも無かった。

「だめだわ、なんだか私もうやる気がおきない。城畳もうかしら」
「やめてください。それにそういう割には男の子さらってきてますけど」
「へ?」

ベッドでいじいじしていたヴァンパイアがナイトメアの声にようやく顔をあげると、そこにはナイトメアと、その背後にいる美ショタの群れ。

「……何でいるの? 美ショタ達」
「へ? 主様が命令したんじゃないんですか?」
「変態に二回も責められてまだやろうとするほど私馬鹿じゃないわよ!!」
「なんか文字違うくないですか?」
「実際責められたじゃない、一回目は鞭で、二回目はいろんな道具で」
「ですよねー……って、命令してない!? じゃあ何でここに……っ!?」

彼女らは知らないことだが、運よくまだ変態に遭遇していない配下が「どうせまたさらうんだろうなぁ」といらぬ気遣いをしてさらってきたためこうして美ショタ達はここにいたのだった。
ヴァンパイアは自分の配下への命令伝達の方法を見直そうと決意した。

「やばい、やばいわ! これじゃあまた変態に攻め込まれる!」
「急いで返してきましょう! 急いで!!」

城のトップ二人が大慌てで配下に返してくるように命令しようとしたとき、扉の部屋がノックされた。

「あの〜、侵入者……というか迷子が来ましたけど……」

マグロのように跳ねる変態に頭を踏まれ、城主の娘にゴキブリ走法で近寄られるなどしてトラウマを植え付けられたこの城一番の不幸なワーバットが、明るい部屋でもないのにおどおどとした様子で声をかけてきた。
哀れ、絶大なトラウマは彼女を闇の中でも怯える存在に変えてしまったのだった。
むしろ闇の中にいるほうがつらいかもしれない。
だって彼女のトラウマは闇の中で植えつけられたから。
近々、退職届を出して明るい街で細々と過ごそうかなぁと同僚に漏らしているらしい。

「くっ! 遅かったか! ……って迷子?」
「は、はい! その、何というか、迷子っぽいです」

とりあえずその侵入者だか迷子だかよく分からない存在を確認するために、ヴァンパイアはワーバットから水晶球を受け取ったのだった。


※ ※ ※


『\とぅっ!/』

「……何してるのかしら?」
「ずいぶん肝の据わった迷子ですね。なんだか迷子って感じがしませんよ」

水晶球に移っていたのは一人の少女だった。
普通の人には見えないはずの監視用魔法陣に向かって何故か可愛らしいポーズをとっている。
とにかく傍から見れば普通の少女……なのだが、でかい。
どこがと言えば女性が女性たる部分がでかい。
身長が小さいくせにそこだけでかい。
ヴァンパイアは自分のその部分を見下ろした。
遮るものなく床が見える。

ヴァンパイアは涙を流した。

「くそっ、その年で巨乳とか、爆発しろ……っ」
「主様、涙出てます。ハンカチハンカチ」
「と言うかロリ巨乳とかやめてよ! サバトの連中がやってきたらどうするのよ!!」

サバトとは付加要素の無いロリ、つまりちんまりしててツルペタなロリの集まりだ。
当然、胸などと言う不純物が憎い。
ロリでありながら巨乳な奴とはとことん馬が合わないのだ。
ちなみに、かつてあるサバトにホルスタウルスが来た際、幼化の術をかけたらホルスタウルスがロリ巨乳になり、それをみたバフォメットが怒りのあまりレッツ☆ジハードした事は魔物の間では非常に有名だ。
それくらい、ロリ巨乳は敵なのだ。

とにかく、いろんな意味でヴァンパイアが涙を流していると、その少女がついに動き出した。

『\いっくよ〜♪/』

その声にヴァンパイア達が身を固くする。
果たしてどんな変態機動をするのだろうか、と。
既に変態に毒されている彼女達だった。
しかし

「……案外おとなしいわね」
「そう、ですねぇ。今までのがインパクト強すぎて、普通じゃないはずなのに普通に見えます」

その少女は何故か連続ヘッドスライディングで動き始めた。
この城に来る奴はまともに二足歩行すると言うことを知らないのかと思わなくも無いが、少なくとも前に似た二人よりははるかにおとなしく思える。
が、甘かった。

少女が次の部屋に入り、しばらく立ち止まる。
そして少女が深呼吸を二回した……瞬間だった。

少女が高速で前転をしながら部屋を激走し始めた。

「こ、これはさすがにっ!」
「いえ! まだよ! たかが前転ごときでひるんじゃ駄目よ!!」

そして前転を維持したまま、進路上にいたワーバットがに向かっていき……
そのまま撥ね飛ばした。

「……は?」
「な、なにが……」

思わずヴァンパイアが水晶球をいじり、先ほどの映像をスロー再生する。
前転をしながらワーバットに突貫していった少女が、ワーバットにぶつかる瞬間、なんと懐から鳩を飛ばした。前転の体勢のままで。
その鳩はいたって普通の白い鳩……なはずなのだが、何故かその鳩に当たったワーバットは思いっきり吹っ飛ばされた。
果たしてなぜ鳩がそこまで強いのか?
特別に品種改良された鳩なのか? あるいはスロー再生でさえ腕が霞んで見えるほどの速度で振るった腕で射出されたせいなのか?
結局そんな速度での射出に耐えれる鳩って品種改良されてね?
真実は分からない。
だが分かっていることがある。
こいつは、この少女は変態ではない、彼女は……

「へ、兵器だぁぁぁぁぁぁぁ!?」
「まずい! ヘッジホッグよ! 進路上の皆はとにかく逃げて! 轢かれるわよ!!」

その後も、その少女は前転でありとあらゆる部屋を踏破して回り、なにか背後霊みたいな物を召還して配下を殴り飛ばしたりとすき放題。
挙句の果てには何故か白猫を走らせている。
もちろんその猫も魔物娘を撥ね飛ばす撥ね飛ばす。
その様はまさに他者を蹂躙する為に生まれた存在そのもの。

「毎回毎回もううんざりよ!! どうしてこう普通じゃない奴らばっか攻めて来るのよぉ!!」
「あなた達! 誰でもいいから早くその男の子達返してきてぇ!! 城が瓦解するまえに!!」

こうしてその村には平和が……このくだりも省略で。
12/12/22 14:08更新 / 日鞠朔莉
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■作者メッセージ
今回はちょっと長めで2800字行ってしまった……お許しください!

動きはそれほど変態とはいえないが、瞬く間に城を蹂躙する様はまごうことなき変態なため、このキャラを採用。
やはりかの血族は変態しかいないのか……

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