悪魔の取り引き
禁じられた歌 悪魔の取引
魔法で隔離されたギムナジウムの聖堂で、偶然にも呼び出してしまった悪魔……デーモンのヘルガさんに僕、テオドール・ヴァン・シュタインは聖域を求めた。
『改めて私はデーモンのヘルガ。二つ名は歌声の悪魔。しかしまさか、聖域を求めて来るとは思ってもみなかったわ？契約書の書き直しね……』
聖域は主神教において犯してはならない区域。比喩的に、手を触れてはならない分野の事を指すんだ。つまり、力や権力への一時的な阻止や避難を意味する。12聖紀の聖戦軍ですら、聖域を求められたら一時的にでも全ての武力行為を停止しないとならない。……僕の知ってる限り守って無かったけどね。
悪魔ヘルガさんがオリバーを襲おうと力の行使をしようとした。だけど、聖域でそれを止める事が出来たみたいだ。オリバーが無事で良かった……。
そしてあの口振りから、恐らくは契約書？が新しく書かれるまではヘルガさんは何も出来ない。
『このまま帰っくれって言ったら？』
『それは無理よ。私には召喚者の願いを叶えるって義務と、アナタには私を呼び出した代償を払う義務がまだ残ってる。……アナタに不利な契約内容が消えただけ。聖域の効力はあくまでも契約内容を精査するだけ。悪魔だけにね☆』
不利な内容が消えただけだって？……文字が燃えたのはほぼ全文じゃないか！
『……その契約書の内容を教えてはくれないんだね？』
『アナタ聞かなかったじゃなぁい？』
ヘルガさんはにっこりと嫌らしく笑った。
『この悪魔め。』
『褒めてくれてありがとう♪……それで？アナタの望みはなぁに？』
僕の嫌味はヘルガさんには最高の褒め言葉になったようだ。そして、ヘルガさんは興味深々という感じで僕に質問してきた。
『…………ないよ。あったとしても叶わない。』
『嘘ついてもダメよ？あの魔法の楽譜はね？どうしても叶えたい願いの無い人が見ても読めないし、もし解読出来ても歌えないの。そう言う魔法が掛かっている。……どうやら訳ありね？お姉さんに話してごらん？』
ちょっと考えたけど、嘘やお為ごかしは通じなさそうだ。話しが進まないし、それに……ヘルガさんは悪魔。
『おかしいかも知れない。僕はオリバーが大好きだ。愛している。信仰と言ってもいい。僕の願いは、オリバーを僕のものに。……愛し愛される事、そして永遠に結ばれる事。』
『……さっきの男の子ね？……可笑しくないわ。すごく、すごーぉく自然な事よ？』
『でもそんな願いは叶わな……』
『叶うわ♪お安い御用よ。でも、私への見返りは？何をくれるの？』
僕の言葉を遮るようにそう言うと、ヘルガさんはメガネをかけて何処からともなく白紙の契約書と魔法のペンを取り出した。
いや、そんな事よりも……
『本当に……本当にそんな事が出来るの？』
『出来るわ♪』
『信用できない。』
『信じる信じないはアナタ次第だけど、契約に関して悪魔は嘘はつかないわ。』
『ヘルガさんはさっき騙そうとしたじゃないか！』
『人聞き……悪魔聞き？の悪い。あれは私を呼び出したリスクと契約内容を聞かなかったアナタの問題でしょ？私は悪くないもーん♪』
『くっ……。』
たしかに、余りの出来事にうろたえた僕が悪い。
『まぁ、このまま帰ってもいいけど……オリバーくんって言ってたわね？あの子を召喚の代償として貰って行ってもいいわね♪』
『なっ！！？』
ビキビキ……バリン！
お腹が熱い……オリバーが取られちゃう……嫌だ……嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ！！！！！！！
『ふふふ♪すごーい魔力♪そっかー、そんなに大好きなのねぇ？』
『オリバーは僕のもんだ！！僕の全てだ！誰にも渡さないっ！！』
『落ち着いて！大丈夫……誰も取ったりしないわよ？ごめんなさいね。でもコレではっきりした。アナタはオリバーが欲しい。心もカラダも全て。』
ヘルガさんが僕の額に手を当てると、力が抜けていった。
(それにしても、テオくんだっけ？あと7、800年早く生まれていればきっと大魔法使いになってたわね。ふふふ♪こーわい子♪)
『本当に？……本当に望みが叶うの？』
僕は冷静になった頭でもう一度彼女に質問した。
『えぇ、叶うわ。アナタが私と契約すればだけどね？』
諦めていた願いが……すぐそこに……
『わかった。契約する。願いはオリバーを僕のものにする。心もカラダも全て。独り占めにして永遠に結ばれる。』
『わかったわ♪……で？私に何をくれるの？』
対価は等価値かそれ以上だ。悪魔との契約について書いてあったエヴェドの書？だったけ……その本に書いてあった。
『……ヘルガさんの望みは素敵な旦那様だったね？じゃあ、この学校の皆んなをあげる。沢山の人から選んだ方がいいでしょ？』
『あら、大きく出たわね？……でもイイの？アナタは敬虔な主神教信者でこのギムナジウムには大切なお友達もいる。』
『構わないよ……必要なら協力も惜しまない。僕はオリバーさえ手に入れて独り占め出来ればそれでいい。本当にそれが出来るのなら、僕は世界でも売るよ。これは僕の誠意……と同時に、これでヘルガさんは僕に全力で協力せざる得ない。悪魔との取引きは等価交換だからね？』
『ふふふ♪かわいい顔してなかなか怖いわね。』
悪魔に褒められても嬉しくないなぁ。
『決まりだね？……契約はこう。僕はオリバーを僕のものにし、愛し愛され永遠に結ばれる。ヘルガさんは素敵な旦那様を手に入れる。僕への対価はオリバー。ヘルガさんへの対価はこのギムナジウムの人間全て。お互いの目的の為に協力し合う。契約期間は……僕がオリバーの唇にキスをするまで。これでどう？』
魔法のペンは独りでに動き出して契約書に文字を書いていく。主神文字だろうか？
『ふむふむ……いいわよぉ〜。で？それはいいとして、アナタの望みを叶えるには、アナタかオリバーくんが女の子に……つまり、魔物娘にならないといけないの。 男の子同士でもそれはそれで尊いのだけど、何かと不便でしょう？……例えば、オリバーくんの子供……欲しくはなぁい？』
その言葉を聞いて、その瞬間にお腹の下のところがキュンと切なくなって……身体が熱くなって、喉が渇いていく。
『ウト ビベレンテ カリセムゥンセ ティビィ♪(この杯を取って飲みなさい)』
ヘルガさんはグレゴリー聖歌を"神の言葉"で歌うと空中にゴブレットが現れて、中になみなみと紫色の液体が湧いて出てきた。
『これは？……まさかワインじゃないよね？』
『未成年にお酒なんか飲ませないわ。もう少し大きくなってからね♪……コレは悪魔の薬といわれる、サキュバスの秘薬。飲んだ者が人間の女なら魔物娘に変わり、男ならインキュバスに変わる。通常ならね？でも、女の子になりたいと心の底から強く渇望する子が飲めば、あら不思議♪たちまち魔物娘に生まれ変わるわけ。……テオくんならきっと強い魔力を持った強力なアルプになるわぁ♪』
喉が鳴る……コレで僕はオリバーと結ばれる資格のある身体になれるんだ。
『ベネディクトゥス ゥム ホディエ メモリアム♪(これを祝福し、記念とせよ)』
ヘルガさんはまた歌うと、聖者の様に手を広げて祈りを捧げた。
『なんで、悪魔のあなたが祈るの？』
『ふふふ♪悪魔も元は神の使いだったのよ？聖歌なところは歌声の悪魔としての矜持。それにこういう儀式的な事ってアナタ達人間は大好きでしょ？』
何処か自身たっぷりにヘルガさんは言った。……否定出来ないけど。
『歌で祝福しろって事？わかったよ。…………スィ グローリーア♪……』
そして僕は聖歌に聖歌で応え、ゴブレットを取って、それを飲んだ。
『ふふふ♪』
甘い……喉が……渇く……もっと……もっと……
こく……
こく……
飲むとどんどん欲しくなる。……満たされる様で……渇いていく。
こく……
こく……
そしてあっと言う間にゴブレットが空になった。
ドクン！！！
『うっ……！？はっ……な、何！？』
身体が……燃えるように……熱い？
ドロドロとした感情に……お、おっおおしつぶ……さ……れ……
『何？……これ？』
ヘルガさんは僕の顎を摘んで目を見た。
『うん♪キレーな黒白目だこと♪……アナタの身体が変わりたがってるわ。本当のアナタにねぇ？自分の中の子宮を意識してご覧？』
本当のボク？
子宮？
ドクン！！
ぞるぞるぞるぞるぞるぞるぞるぞるぞるぞる
すると何かが出て来て……僕を包み込んだ。
『まるで卵のようね？自らの羽根の中で生まれ変わるといいわぁ♪♪』
身体が……ドロドロに溶かされて……すり潰されていくみたい……
メキメキメキメキメキメキメキメキメキメキメキメキメキメキメキメキ……
グチャグチャっ……ゴリゴリ……ゴリゴリゴリゴリ
ニュルン……くちゃくちゃ……
『あっ♪……やっ♪ひうっ♪あ、あ、ああっ♪』
こんなに気持ちイイ事……知らない……
『あっ♪あ、あ、あ、あ、あ、……アハッ♪♪』
キ
モ
チ
イ
イ
『ふふふ♪あははははは♪♪♪上手くいった♪ようこそ！此方側へ♪歓迎するわぁ♪』
真っ白な意識の中で、ヘルガさんの笑い声は良く響いた。
カラダがうまく動かせない。
這うようにして声に近づく。ボクだけど僕じゃない感覚……身体をペタペタと触ってみる。
頭には黒く大きく捻じ曲がった角が、腰からは星の無い夜のような色をした大きな蝙蝠の翼が、お尻からは太くて立派な長い尻尾が生えていた。動かしてみると手が3つ多くなったみたいだ……
『これが……ボクなの？』
『そうよ……魔物娘になったの。きっと上手く行くと思ってたわ♪あとは……ゆっくり教えてあげる♪』
ヘルガさんは後ろから優しく抱きついてくると、そう耳元で囁いた。
『な、何を？』
『快楽の貪り方♪』
ヘルガさんの指がボクの股間に伸びた。そこにはあるはずのものが無くて、替わりに……
くちゅり……
『はあっ❤』
なに❤……これぇ❤
『ふふふ♪こんなに濡れてる……ココはね？女の子の秘密の花園なの……。さぁ、目を閉じて？大切な人を思い浮かべてみて？』
オリバー❤……オリバー❤……オリバーオリバーオリバーオリバーオリバーオリバー❤❤❤
しゅりしゅりしゅりしゅりしゅりしゅりしゅりしゅりしゅり……
『あっ❤やっ❤❤』
じんじんして、熱くて……
『すごーぉい♪吸い付いてくるわぁ♪』
ぴちゃぴちゃぴちゃぴちゃぴちゃ
頭の中がピンク色でいっぱいになって……キモチイイ以外、何もわからない……
オリバーの指っ❤オリバーの指っ❤
くちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃ
『オリバー❤オリバー❤怖い、何かくる❤くる❤きちゃうっっ❤』
『大丈夫。そのまま身を委ねて……ふふふ♪と・ど・め❤』
きゅっっっ♪♪
何かを摘まれた？？あ、あ、あ、あ、あ
『あーーーーーーーーっっ❤❤❤❤❤』
びくん、びくびくびくびく
何コレ！？頭が真っ白……目がチカチカ、パチパチする……
キモチイイ……
しょわぁぁぁぁぁ…………
あ……やっ……おしっこ……漏らしてる……
でもキモチイイ……キモチイイ……
『ふふふ♪いい子♪いい子♪♪……本物のオリバーくんの手はきっともっともっとキモチイイわぁ♪それに……お腹の中に欲しいでしょ？せ・い・し☆』
せいし？ほしい、ほしいよぉ……
オリバーのあかちゃん……オリバーのあかちゃん……
びくん、びくんっっ！！！
『あらあら……大丈夫。きっと全て上手く行くわ。今はお休み……また会いましょうね？楽しいビジネスになりそうだわぁ。ふふふ♪♪』
僕は快楽の微睡みの中で意識を手放した。
魔法で隔離されたギムナジウムの聖堂で、偶然にも呼び出してしまった悪魔……デーモンのヘルガさんに僕、テオドール・ヴァン・シュタインは聖域を求めた。
『改めて私はデーモンのヘルガ。二つ名は歌声の悪魔。しかしまさか、聖域を求めて来るとは思ってもみなかったわ？契約書の書き直しね……』
聖域は主神教において犯してはならない区域。比喩的に、手を触れてはならない分野の事を指すんだ。つまり、力や権力への一時的な阻止や避難を意味する。12聖紀の聖戦軍ですら、聖域を求められたら一時的にでも全ての武力行為を停止しないとならない。……僕の知ってる限り守って無かったけどね。
悪魔ヘルガさんがオリバーを襲おうと力の行使をしようとした。だけど、聖域でそれを止める事が出来たみたいだ。オリバーが無事で良かった……。
そしてあの口振りから、恐らくは契約書？が新しく書かれるまではヘルガさんは何も出来ない。
『このまま帰っくれって言ったら？』
『それは無理よ。私には召喚者の願いを叶えるって義務と、アナタには私を呼び出した代償を払う義務がまだ残ってる。……アナタに不利な契約内容が消えただけ。聖域の効力はあくまでも契約内容を精査するだけ。悪魔だけにね☆』
不利な内容が消えただけだって？……文字が燃えたのはほぼ全文じゃないか！
『……その契約書の内容を教えてはくれないんだね？』
『アナタ聞かなかったじゃなぁい？』
ヘルガさんはにっこりと嫌らしく笑った。
『この悪魔め。』
『褒めてくれてありがとう♪……それで？アナタの望みはなぁに？』
僕の嫌味はヘルガさんには最高の褒め言葉になったようだ。そして、ヘルガさんは興味深々という感じで僕に質問してきた。
『…………ないよ。あったとしても叶わない。』
『嘘ついてもダメよ？あの魔法の楽譜はね？どうしても叶えたい願いの無い人が見ても読めないし、もし解読出来ても歌えないの。そう言う魔法が掛かっている。……どうやら訳ありね？お姉さんに話してごらん？』
ちょっと考えたけど、嘘やお為ごかしは通じなさそうだ。話しが進まないし、それに……ヘルガさんは悪魔。
『おかしいかも知れない。僕はオリバーが大好きだ。愛している。信仰と言ってもいい。僕の願いは、オリバーを僕のものに。……愛し愛される事、そして永遠に結ばれる事。』
『……さっきの男の子ね？……可笑しくないわ。すごく、すごーぉく自然な事よ？』
『でもそんな願いは叶わな……』
『叶うわ♪お安い御用よ。でも、私への見返りは？何をくれるの？』
僕の言葉を遮るようにそう言うと、ヘルガさんはメガネをかけて何処からともなく白紙の契約書と魔法のペンを取り出した。
いや、そんな事よりも……
『本当に……本当にそんな事が出来るの？』
『出来るわ♪』
『信用できない。』
『信じる信じないはアナタ次第だけど、契約に関して悪魔は嘘はつかないわ。』
『ヘルガさんはさっき騙そうとしたじゃないか！』
『人聞き……悪魔聞き？の悪い。あれは私を呼び出したリスクと契約内容を聞かなかったアナタの問題でしょ？私は悪くないもーん♪』
『くっ……。』
たしかに、余りの出来事にうろたえた僕が悪い。
『まぁ、このまま帰ってもいいけど……オリバーくんって言ってたわね？あの子を召喚の代償として貰って行ってもいいわね♪』
『なっ！！？』
ビキビキ……バリン！
お腹が熱い……オリバーが取られちゃう……嫌だ……嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ！！！！！！！
『ふふふ♪すごーい魔力♪そっかー、そんなに大好きなのねぇ？』
『オリバーは僕のもんだ！！僕の全てだ！誰にも渡さないっ！！』
『落ち着いて！大丈夫……誰も取ったりしないわよ？ごめんなさいね。でもコレではっきりした。アナタはオリバーが欲しい。心もカラダも全て。』
ヘルガさんが僕の額に手を当てると、力が抜けていった。
(それにしても、テオくんだっけ？あと7、800年早く生まれていればきっと大魔法使いになってたわね。ふふふ♪こーわい子♪)
『本当に？……本当に望みが叶うの？』
僕は冷静になった頭でもう一度彼女に質問した。
『えぇ、叶うわ。アナタが私と契約すればだけどね？』
諦めていた願いが……すぐそこに……
『わかった。契約する。願いはオリバーを僕のものにする。心もカラダも全て。独り占めにして永遠に結ばれる。』
『わかったわ♪……で？私に何をくれるの？』
対価は等価値かそれ以上だ。悪魔との契約について書いてあったエヴェドの書？だったけ……その本に書いてあった。
『……ヘルガさんの望みは素敵な旦那様だったね？じゃあ、この学校の皆んなをあげる。沢山の人から選んだ方がいいでしょ？』
『あら、大きく出たわね？……でもイイの？アナタは敬虔な主神教信者でこのギムナジウムには大切なお友達もいる。』
『構わないよ……必要なら協力も惜しまない。僕はオリバーさえ手に入れて独り占め出来ればそれでいい。本当にそれが出来るのなら、僕は世界でも売るよ。これは僕の誠意……と同時に、これでヘルガさんは僕に全力で協力せざる得ない。悪魔との取引きは等価交換だからね？』
『ふふふ♪かわいい顔してなかなか怖いわね。』
悪魔に褒められても嬉しくないなぁ。
『決まりだね？……契約はこう。僕はオリバーを僕のものにし、愛し愛され永遠に結ばれる。ヘルガさんは素敵な旦那様を手に入れる。僕への対価はオリバー。ヘルガさんへの対価はこのギムナジウムの人間全て。お互いの目的の為に協力し合う。契約期間は……僕がオリバーの唇にキスをするまで。これでどう？』
魔法のペンは独りでに動き出して契約書に文字を書いていく。主神文字だろうか？
『ふむふむ……いいわよぉ〜。で？それはいいとして、アナタの望みを叶えるには、アナタかオリバーくんが女の子に……つまり、魔物娘にならないといけないの。 男の子同士でもそれはそれで尊いのだけど、何かと不便でしょう？……例えば、オリバーくんの子供……欲しくはなぁい？』
その言葉を聞いて、その瞬間にお腹の下のところがキュンと切なくなって……身体が熱くなって、喉が渇いていく。
『ウト ビベレンテ カリセムゥンセ ティビィ♪(この杯を取って飲みなさい)』
ヘルガさんはグレゴリー聖歌を"神の言葉"で歌うと空中にゴブレットが現れて、中になみなみと紫色の液体が湧いて出てきた。
『これは？……まさかワインじゃないよね？』
『未成年にお酒なんか飲ませないわ。もう少し大きくなってからね♪……コレは悪魔の薬といわれる、サキュバスの秘薬。飲んだ者が人間の女なら魔物娘に変わり、男ならインキュバスに変わる。通常ならね？でも、女の子になりたいと心の底から強く渇望する子が飲めば、あら不思議♪たちまち魔物娘に生まれ変わるわけ。……テオくんならきっと強い魔力を持った強力なアルプになるわぁ♪』
喉が鳴る……コレで僕はオリバーと結ばれる資格のある身体になれるんだ。
『ベネディクトゥス ゥム ホディエ メモリアム♪(これを祝福し、記念とせよ)』
ヘルガさんはまた歌うと、聖者の様に手を広げて祈りを捧げた。
『なんで、悪魔のあなたが祈るの？』
『ふふふ♪悪魔も元は神の使いだったのよ？聖歌なところは歌声の悪魔としての矜持。それにこういう儀式的な事ってアナタ達人間は大好きでしょ？』
何処か自身たっぷりにヘルガさんは言った。……否定出来ないけど。
『歌で祝福しろって事？わかったよ。…………スィ グローリーア♪……』
そして僕は聖歌に聖歌で応え、ゴブレットを取って、それを飲んだ。
『ふふふ♪』
甘い……喉が……渇く……もっと……もっと……
こく……
こく……
飲むとどんどん欲しくなる。……満たされる様で……渇いていく。
こく……
こく……
そしてあっと言う間にゴブレットが空になった。
ドクン！！！
『うっ……！？はっ……な、何！？』
身体が……燃えるように……熱い？
ドロドロとした感情に……お、おっおおしつぶ……さ……れ……
『何？……これ？』
ヘルガさんは僕の顎を摘んで目を見た。
『うん♪キレーな黒白目だこと♪……アナタの身体が変わりたがってるわ。本当のアナタにねぇ？自分の中の子宮を意識してご覧？』
本当のボク？
子宮？
ドクン！！
ぞるぞるぞるぞるぞるぞるぞるぞるぞるぞる
すると何かが出て来て……僕を包み込んだ。
『まるで卵のようね？自らの羽根の中で生まれ変わるといいわぁ♪♪』
身体が……ドロドロに溶かされて……すり潰されていくみたい……
メキメキメキメキメキメキメキメキメキメキメキメキメキメキメキメキ……
グチャグチャっ……ゴリゴリ……ゴリゴリゴリゴリ
ニュルン……くちゃくちゃ……
『あっ♪……やっ♪ひうっ♪あ、あ、ああっ♪』
こんなに気持ちイイ事……知らない……
『あっ♪あ、あ、あ、あ、あ、……アハッ♪♪』
キ
モ
チ
イ
イ
『ふふふ♪あははははは♪♪♪上手くいった♪ようこそ！此方側へ♪歓迎するわぁ♪』
真っ白な意識の中で、ヘルガさんの笑い声は良く響いた。
カラダがうまく動かせない。
這うようにして声に近づく。ボクだけど僕じゃない感覚……身体をペタペタと触ってみる。
頭には黒く大きく捻じ曲がった角が、腰からは星の無い夜のような色をした大きな蝙蝠の翼が、お尻からは太くて立派な長い尻尾が生えていた。動かしてみると手が3つ多くなったみたいだ……
『これが……ボクなの？』
『そうよ……魔物娘になったの。きっと上手く行くと思ってたわ♪あとは……ゆっくり教えてあげる♪』
ヘルガさんは後ろから優しく抱きついてくると、そう耳元で囁いた。
『な、何を？』
『快楽の貪り方♪』
ヘルガさんの指がボクの股間に伸びた。そこにはあるはずのものが無くて、替わりに……
くちゅり……
『はあっ❤』
なに❤……これぇ❤
『ふふふ♪こんなに濡れてる……ココはね？女の子の秘密の花園なの……。さぁ、目を閉じて？大切な人を思い浮かべてみて？』
オリバー❤……オリバー❤……オリバーオリバーオリバーオリバーオリバーオリバー❤❤❤
しゅりしゅりしゅりしゅりしゅりしゅりしゅりしゅりしゅり……
『あっ❤やっ❤❤』
じんじんして、熱くて……
『すごーぉい♪吸い付いてくるわぁ♪』
ぴちゃぴちゃぴちゃぴちゃぴちゃ
頭の中がピンク色でいっぱいになって……キモチイイ以外、何もわからない……
オリバーの指っ❤オリバーの指っ❤
くちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃ
『オリバー❤オリバー❤怖い、何かくる❤くる❤きちゃうっっ❤』
『大丈夫。そのまま身を委ねて……ふふふ♪と・ど・め❤』
きゅっっっ♪♪
何かを摘まれた？？あ、あ、あ、あ、あ
『あーーーーーーーーっっ❤❤❤❤❤』
びくん、びくびくびくびく
何コレ！？頭が真っ白……目がチカチカ、パチパチする……
キモチイイ……
しょわぁぁぁぁぁ…………
あ……やっ……おしっこ……漏らしてる……
でもキモチイイ……キモチイイ……
『ふふふ♪いい子♪いい子♪♪……本物のオリバーくんの手はきっともっともっとキモチイイわぁ♪それに……お腹の中に欲しいでしょ？せ・い・し☆』
せいし？ほしい、ほしいよぉ……
オリバーのあかちゃん……オリバーのあかちゃん……
びくん、びくんっっ！！！
『あらあら……大丈夫。きっと全て上手く行くわ。今はお休み……また会いましょうね？楽しいビジネスになりそうだわぁ。ふふふ♪♪』
僕は快楽の微睡みの中で意識を手放した。
19/06/05 21:02更新 / francois
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