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バフォメットさまの非日常
組織力とはPM理論に基づくならば単純に2つの行動要素のバランスによって成り立つ。
ここで言うP行動とは、その組織の成し得た仕事の量と質。つまりは結果面を達成するための行動。
またもう一つの側面、M行動とは組織の内部、つまりはその組織を構成する人員、その人間関係を維持するための行動。
この2要素のバランスを保つ事こそが組織力の向上と維持に繋がる。
しかしながら、このどちらかが掛けてしまえば、総合的に組織力というものは低下してしまう。
逆にいえば組織力をこの2要素に振り分ける事で組織の成し得る仕事率を維持していくことが可能となる。
そして、この組織力を振り分け、仕事を成し、目標を実現していく役割こそがリーダーの仕事。
この仕事がおろそかになってしまえば組織の総合力の仕事への伝導率が鈍り、組織が持つ十分な力を発揮できなくなってしまう。
だが、これは逆にいえばリーダーシップを取る者の実力が高ければ組織は十分以上の効果が発揮できるという事だ。
そうして組織に実力以上の力を発揮させる人物を“カリスマ”と呼ぶのだ。
そう。カリスマ。
それは、

「儂にこそ相応しい言葉なのじゃ!」
「あぁ〜そうっすね。ほんっとすげぇ〜やバフォメットさまぁ〜」
「さらに言うとじゃな、この“かりすま的りぃだぁしっぷ”というものの条件というのがあってじゃな…」
「ほ〜んとすっげぇ〜やぁ〜。さ〜っすがバフォメットさま〜」
「…………………おい」
「いやぁ〜ほんっとすごいっすねぇ〜」
「お主、なめておるのか?」
「いやぁ〜舐めてないっすよぉ〜。私が食ってんのはカレースナックですぜぇ〜。そんなもん舐めてどうすんスかぁ〜…。あん。さくさく」
「お〜い。仕事はどうしたのじゃ?」
「仕事ならそっちにやったのまとめてあるっすよ。…あ、バフォメットさんも食うすか?」
「さ、さんって………というか、あれだけあった仕事が…」
「今朝のうちに時間魔法使ってやっといたっすよ。朝から魔力食っちゃったもんで眠くて眠くて。ふぁぁ〜。サクサク。もぐもぐ」
「ほ、ほほぉ〜。流石はあやつの代理というだけの事はあるのう」

儂は素直に驚いたのじゃ。
何せ秘書仕事とはいえ、その仕事量は書類業務ならば儂のソレよりも遙かに多い。
それは単衣に秘書という職業柄、儂の仕事のうち、儂が直接目を通さずとも好いものは全て秘書の仕事となってもおかしくは無いからである。
故に儂は専任の秘所が産休で1年間の休養に入ると聞いた時は奴以外にこの職が務まる者ははたしてこのサバトにはおるのか?いいや、その様な手腕を持つ者はけして居はしないであろうとタカをくくっておったのじゃ。
その為専任の穴埋めとしておよそ5人の秘書をつけようかとも考えたりしたものじゃ。
しかしながら事態は思いもよらぬ方向へと動き出した。
それは専任の秘書からの伝言であった。

『産休に入る1年の間、私の代わりに頼れる人物を魔王軍の方から派遣してもらうことになったわ。これであなたのお仕事に支障をきたす事は無いと思うの。少しクセのある人みたいだけどあなたなら大丈夫よね?  P.S.育児休暇の2年は私にも適用されるのでしょうか?』

その手紙の結果、やって来たのがこやつである。

「専任の人…えぇ〜なんて名前でしたっけ?シェ…え〜っと。まぁいいや。産休らしぃ〜っすね。あぁ〜そぉ〜いえば、ここん人らってみぃ〜んなえらくちびっこいっすけど、あ〜んな体型で子供なんて産んでホント〜に大丈夫なんすか?あんまし安易に子供つくんのも考えもんっすよねぇ〜。一時の過ちで命落としてちゃ〜せわねぇ〜や。カリカリ」
「ふん。そんなもの“女体の神秘で一発でした、本当にありがとうございました”なのじゃ」
「わぁ〜すげぇ〜。そりゃすげぇ〜やぁ〜。なぁ〜んてことでしょぉ〜。  お〜、この店いいなぁ〜。どぉ〜すか?一緒に食いに行きます?」
「ほぉ〜。ふむふむ。“ジパング甘味の隠れた名店”…。うまそうじゃの」
「名店の時点で隠れてねぇ〜(笑)。いいなぁ〜なんかそういう胡散臭さがいいっすよねぇ〜」
「そ、そうなのか…。というか、今日は休日ではないのじゃ。平日の昼間に儂がそんな所をうろついていては…」
「だぁ〜いじょ〜ぶっすよ。今さら世間体気にしたって意味ないじゃないっすかぁ〜。先月のファモッソ・モンスタイン見ました?一面で「バフォ様タイーホ」。いやぁ〜さっすがです。真似できねぇ〜や」
「そ、そそそ、そんなゴシップ誌の情報などを鵜呑みにするでない!」
「そぉ〜っすかぁ〜?結構面白いんっすよ?毎週どっかでUFO墜落してますし」
「妖しいことこの上ないではないか!」
「そこがいぃ〜んっすよ。もうここまで来ると毎日がエイプリルフ〜ルっすよ」
「そ、それはよかったのじゃ…」
「あぁ〜。何ほっとしてんすか?…もぉ〜っしかして?」
「そそそそんなわけないのじゃ。誰が補導など…」
「あぁ〜。そうだったんっすか。ダメっすよ。バフォさんあたしと違って有名人なんっすから」
「また、さんって…」
「ところでバフォっち、いっしょに行っちゃう?」
「そうじゃのう…。…ん?」
「一応仕事は5時まで終わってますのでぇ〜」
「あれ?一瞬タメ口だった気がしたが気のせいかのう?」
「いやだなぁ〜。あちしなんかがバフォ様にタメ口だなんて恐れ多い〜(恐)」
「そ、そうじゃのう?…あれ?でも、あれ?確かにさっき…あれ?」
「バフォさんのケープそっちに出しときました〜。財布の紐もゆるめて入れてありますよ〜」
「あれ?なんかワシの財布今にも小銭が零れそうに…」
「わぁ〜い。さっすがバフォ様〜。自ら部下におごって差し上げるなんてぇ〜(棒)」
「おい、ちょま、ん?ってか敬語の使い方おかしく…?」
「ほらぁ〜いきますよ〜」
「わわ、ちょっとまつのじゃ!」

こやつ確かに仕事は出来る様である。
しかもそれを朝のうちに魔力消費の激しい時空魔法を用い、時間を止めてまで行っておるのじゃ。
それは文字通り時間を止めてやっておるのだから、これ以上ないぐらいに早いわけじゃ。
しかしながら、これまでの流れで大方の者なら理解できるであろうが、こやつはそうして空きに空いた時間をひたすらにだらけて過ごすというこの上ない無意味且つあり得ない方法でつぶしていくのじゃ。
本当にこやつは何を考えておるのじゃ?
夏休みの宿題を最初の2日で終わらせ、残りの約一カ月を延々と自堕落に過ごすというあれと同じなのであろうか?
しかしながら、こやつの性質の悪いところはこれだけには納まらない、いや、この程度はその片鱗にすら触れていないという事であろう。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「いやぁ〜おいしいっすねぇ〜。予想以上っすよぉ〜。あれ?食わないんスか?」
「いや、ってか、これ…」
「せぇ〜っかく僕がバフォ様におごらせて差し上げてるんスからえんりょ〜せずにイッキしちゃってくださいよぉ〜」
「いや、これ、なに?ってか敬語…」
「ここの人気メニュ〜らしいっすよ。特盛りぜんざい茶そば」

店に入り、席に着き、店員が来るや否や、奴はメニュー表を左手に驚くべき早さで注文を終了した。
結果、何故か儂はメニューにじっくりと目を通す暇もなく、奴の言う事に唯唯諾諾と従わざるを得なかったわけで、その数分後に運ばれてきた物がこの特盛りぜんざいである。
なんだ?これは…。
何でこんなに大きいのじゃ?
これをイッキしろと申すのか?
そんなことしたら儂でなくとも大方の者は瞬時のうちに口の中から甘味以外の味覚を欠落し、ねっとりとした唾液を溢れんばかりに分泌した挙句、その後襲い来る腹痛に耐え続けるという地獄の空中コンボを否応なしに味わう事になってしまうであろう。
それをこやつは儂に強制しようというのか?
しかもこれ、儂の金…。

「いや、何でこのチョイス!?」
「いやだなぁ〜。あっしが人気メニュ〜を上司の前でなんて恐れお〜いぃ。ざんねんですが俺はふつ〜のメニュ〜で我慢しとくっすよ」
「お、お主の食っておる団子の方がうまそうなのじゃ」
「アレぇ〜?これ硬いなぁ〜。中の方蒸し切ってねぇ〜や。こんな粗末なもんバフォ様に食べさせらんねぇ〜や。たれが甘くてとろけそぉ〜だ。ほっぺが落ちそうなほど不味いやぁ〜」
「いや、お前絶対うまそ〜に食ってるのじゃ。特盛りぜんざいより全然うまそうなのじゃ」
「いや、コレ見た目よりカロリ〜高そぉ〜っすよ。せっかくのバフォ様のしょb…キュ〜トバディ〜が崩れたら大変だぁ〜」
「どう見ても特盛りぜんざいの方が高いのじゃ!!ってか貴様、一瞬儂のスタイルを「しょぼい」と言いかけおったな!?」
「やだなぁ〜。そんなはずないじゃないっすかぁ〜。あたしロリコンっすから。もうそのどこ掴んでも引っかからない感じの揉みようも愛でようもないボディ〜に目が釘付けっす」
「あれ?それ褒めてんの?ねぇ、それ褒めてんの?」
「言葉ってのは受け取り手の気持ち次第でさぁ。そんなもん気にしちゃダメっすよぉ〜」
「そ、そうかの…。パク…あ、コレ美味いのじゃ」














バフォメットさまの非日常














儂はバフォメットなのじゃ。
くくく。もはや説明など不要じゃろう?
何といっても儂は超有名人じゃからのう。
で、今、儂の目の前で儂のお気に入りの“そふぁ”に寝転がって雑誌を読みながら“すなっく”菓子を食べこぼしておる不届き者は儂の秘書の代理で入っておるサキュバスのナスル。
魔王軍から派遣されてきた敏腕秘書…との事じゃったのじゃが…。
いや、確かに仕事は早いし、正確。
容姿も端麗で情報通り。
なのじゃが…。いや、これ、秘書?
秘書って上司の部屋でこんなくつろいだりするんじゃったか?
しかもなんか奴の吐く言葉の全てが儂への悪口な気がしてならないし…。
あれ?でも、一応敬語?
いや、でもなんかニュアンスおかしいのじゃ。アレ、人敬う感じの言葉じゃないのじゃ。
そもそも目がずっと半開きで死んだ魚の様な瞳をしておるのじゃ。
その上一人称がコロコロ変わる所為でパッと見、え?誰?ってなるのじゃ。
って言うかなんか出だしからアレな感じがぷんぷんしていたのじゃ。
初めて会った時の言葉が「あ、ども。魔王軍の方から来ました秘書代理っす。ナスルって呼んでください。一年ほど代理で厄介になるっす。まぁ〜てきとぉ〜に行きますんでよろしくお願いしますね」
思わず「ちぇんじ」と叫びそうになったのじゃ。
しかも笑顔すら作る気がない様で、「(笑)」等と言いつつも顔はあきれるほど無表情なのじゃ。
とりあえず「愛想」という言葉を黒板いっぱい書かせてやりたい気分なのじゃ。
いや、しかし、ちゃんと仕事だけはこなすものだから文句はいえぬし…。
あれ?ってか、これ仕事してなくね?
朝のうちに仕事済ませて一日中ごろごろしてるのって仕事してなくね?
あれ?でもちゃんと仕事は終わってるし…あれ?

「あ〜。バフォさま、そろそろ霧の大陸支部との定例ミサの時間っす。モニタ〜ル〜ム行きましょっか〜」
「……分かったのじゃ」
「ネクタイ曲がってますよ。唯でさえ裸ネクタイなんてどこぞの寺沢漫画しか出ない様な服装なんっすからきっちりして行かないと笑われるっすよ」
「え、いや、これネクタイじゃな…」
「いやぁ〜うらやましいっすね。ブラいらない肩こらない疲れない。あたしのコレととっかえてくんないかなぁ〜?この制服も肩ひもの所が後後かゆくなるんっすよ。とり変えてくんないなら、せめてTシャツ出勤でもいいっすか?」

そう言って危なげな衣装から零れ落ちそうになってる豊満な胸をわざと儂の目の前に持ってきて、儂の服を直す。
こやつ…。
ねぇ、これ殴っていい?この目障りなスイカ、棒でたたき割っていい?

「ふん。そんな無駄なぜい肉、儂は毛ほどもいらんのじゃ。ロリ体系こそ至高にして完全無欠なスタイルなのじゃ」
「毛程もいらないって、毛が生えてないっすもんね。いやぁ〜ほんっと羨ましいや。(ピ――――)歳とは思えない肌の張りっすね」
「危ないのじゃ!!もう少しピー音入れるの遅れたら大変な事になってたのじゃ!!」
「まぁ〜気にしないでくださいよ。かく言う俺っちも来週末で(ピ―――)歳っすから」
「なんと落ち着きのない(ピーー)歳なのじゃ…」
「なぁ〜にいってんっすか〜。あっしほど落ち着いた(ピー)代もいないっすぜ?」
「ふぅ〜む。ゆとり世代という奴かのぅ…」
「ほら、メイクも直し終わりましたよ。さっさと行ってきていいっすよ」
「一言一言に腹の立つ奴なのじゃ…」
「腹ってどうやったら立つんスかね?足でも生えるんスか?」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


会議はつつがなく終了し、儂は未開であった霧の大陸にも順調にサバト進行が行えていることに安堵しながら部屋に戻った。

「今戻ったのじゃ。ん?何をしておるのじゃ?」
「わお。ノックもなしに人の部屋入んないでくださいよ〜。礼儀って言葉を知らないんスか?俺っちがオナニーしてる真っ最中とかだったらどうするんスか。どっちも気まずい事になっちゃいますよ。気をつけてくださいよね〜」

儂が声を掛けると、ナスルの奴は何やら胸に掛けていたロケットを閉じ、いつもの調子で返した。
儂はその時奴がロケットへと向けていた視線がこれまで儂が見た事のない感情を含んでいたものであると気づき、思わず声を掛けたのじゃ。
ってか、これがいつもの調子って、こやつ本当にダメなことこの上ないのじゃ。

「いや、ここ儂の部屋じゃからな」
「あ、そう言えばそうだったぁ〜。ついつい忘れがちな設定っすね」
「え?そんな忘れる様な事?ってか普通忘れないよね?忘れるわけないよね?」
「変な話っすよね〜。忘れたいことなんてなぁ〜んも忘れらんないってのに…」
「いや、儂の部屋だってことを忘れられては困るのじゃが」
「なぁ〜にいってんすか〜。自分の上司の部屋なんて自分の部屋みたいなもんじゃないっすか〜」
「いや、それ、ちがくね?」
「いやぁ〜さっすがバフォりんだわぁ〜。「儂の部屋は自由に使ってくれてもよいぞなもし」だなんてぇ〜」
「いや、一言も言っておらんぞ。ってかなに?「ぞなもし」って。ってか、バフォりんって」
「おぉ〜欲しい所に欲しいツッコミが。さっすがぁ〜。こりゃ孫の手もびっくりだぁ〜」
「え?なにその汎用性の高い便利グッズ。儂そんな感じに思われてたの?そのうちごみ箱とか取るときに使用されるの?ヤなのじゃが。とっても嫌なのじゃが」
「またまたぁ〜(笑)」
「何がっ!?なんで「そんな謙遜してぇ〜」みたいな感じになってんの!?嫌がってるのじゃ!儂は断固拒否するのじゃ!」
「あぁ〜。使う方っすもんね。バッフォさん。 「あぁ〜。本物の孫に掻いてもらいたいもんじゃの〜」みたいな〜」
「そんな年寄りじゃないのじゃ!見目麗しい幼女なのじゃ!ってか、儂の名前がどこぞの作曲家みたいになってるのじゃ」
「またまたぁ〜(笑)」
「それやめぇぇ!!腹立つ!めっちゃ腹立つのじゃ!」
「はらたつのり〜」
「だじゃれじゃないのじゃ!!」
「あぁ〜マジ、ダルビッシュ〜」
「ムッカァァァァァ!!」
「わぁ〜幼女様が怒ったぁ〜逃げないと〜」
「なら逃げるそぶりぐらい見せるのじゃ!!おぬし、いつかコロスケ!!!」
「あぁ〜コロッケ食いてぇ〜や」


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「での、そやつがムカつくの何のって…」

儂は日ごろのうっぷんをとある男にぶつけていたのじゃ。
男の周囲は相も変わらず騒がしい。
時折爆発音や断末魔の叫びまで上がっておる。

「ほぉ。そりゃ大変だな。 …  おい!左翼が下がってるぞ!前面に2番隊を出せ!陣形を何としても維持させろ!」
「お互いアレな部下を持つと大変じゃのう」
「全くその通りだぜ。20日もあんな連中だけでパーティを放置しとくなんて考えるだけでも…。   今だ!投石機で城壁を揺らしてやれ!」
「なんか忙しそうじゃのう」
「まぁな。なんせ反魔物派の国の内乱の鎮圧任務だからな。つか、魔物のお前が何でこんなとこ来てんの?」
「いや、の。サバトの魔女たちに同じように愚痴ってたら、“忙しいから邪魔だ”的なオーラを出されての」
「それ、俺も出してるから」
「そんな事言っても暇そうな奴と言えばお主ぐらいしか思い浮かばなかったのじゃ」
「なんで俺がその暇人代表に選抜されたのか理由が気になるが、とりあえずはまた今度聞いてやるから…」
「…そうか。邪魔したの。勇者」
「ああ。またな…    おい!なんで5番隊がそんなとこうろついてんだよ!笛を吹け!そいつらを本陣に戻させろ!」

儂は仕方なく勇者の元を後にして、移動魔法で魔王城に帰ることにしたのじゃ。
まったく、どいつもこいつも…。


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「で、結局あたくしがその愚痴を聞く羽目になったんスか〜」
「そうなんじゃ〜。酷いと思うじゃろ?」
「いやぁ〜、自分に対する愚痴を聞かされても反応に困りますぜ〜」
「それもそうじゃの。  まぁよい。明日から儂等は3連休なのじゃ。久しぶりの休みなのじゃ。お主は何か予定はあるかの?まぁ、どぉ〜せ暇なんじゃろうが…」
「そぉ〜っすねぇ〜。連休明けに連休中の仕事を処理しなくちゃと思うと連休も返上して働きたい所っすけど」
「いや、お主いつもごろごろしてるだけじゃん。何も仕事してないのじゃ」
「やだなぁ〜。ちゃんとしてますよ?バフォリスクさんに評価されないように見えない所でこそこそやってるんっすよ」
「意味が分からない上にそれ別人なのじゃ。儂の名前が蛇の魔物みたいになってるのじゃ。ってかなに?前から思ってたのじゃが、もしやお主、儂の事嫌いなのか?」
「そっすね。どちらかといえば」

表情一つ変えず、声色もそのままにナスルは言いおった。

「しょ、衝撃の告白じゃな」

あまりにも奴がケロリと答えたもので、儂は言葉を探すのに時間を掛けてしまった。
とは言うのも、こやつの今までの言動を振り返るに、こやつの発した言葉が本音を幾分か含むものなのであるか、それとも今までどおりの純度100%の混じりっけなしの冗談であるのかを分別出来なかったからである。

「いやぁ〜。でも、あっしが嫌いなのはバフォートさんの性格と外見と言葉遣いだけですからぁ〜」
「あれ?それ全部じゃない?それもう完全に儂の全てを嫌ってるってことではないか?」
「そんな事無いっすよ。バフォリクさんのそのアホ毛の位置が堪らなく好きっすから」
「何そのどうでもいい所。ってかそれよくよく考えると好きなのは位置であって、儂じゃないのじゃ。それ結局儂の好きなところ全くないってことじゃろうが。っつか相変わらず名前間違ってるのじゃ!儂の名前はそんな復活の呪文みたいな名前じゃないのじゃ!」
「死の呪文よりよさげな響きでしょ〜?」

ナスルは相変わらずじゃが、しかし儂は奴の言葉を聞いて、奴のノイズの多い感情の中からこの言葉がどうやら真実であるという事をおおよそ掴んでおった。
その為儂はこのままではよくないと考えた。
なんせチームワークが命の秘書が、儂の事を嫌っておると言っておるのじゃ。
“かりすま”たる儂がこの事態を見逃すわけにはいかないのじゃ。
そこで儂は次のような提案をしてみたのじゃ。

「まぁよいのじゃ。ならば主、この連休、儂と一緒にどこかへ遊びに行かぬか?」
「なんか企んでんっすか?寂しいなら寂しいと言ってくれればいつでも遊んであげやすぜ?」
「むぅ…。相変わらず口が悪い奴なのじゃ!」
「まぁ〜とりあえず3日なら軽い所で温泉でもどうっすか?それでよければ部屋とっときますけど?」
「ほほぉ〜。温泉かぁ〜。それは混浴かの?」
「ん〜。混浴っすかぁ〜。まぁ〜一応探してみますよ。何を混入させます?入浴剤?放射性廃棄物?」
「……お主、それ、混浴の意味違うのじゃ…。混浴というのは…」
「あぁ〜。そういえば北の方で人気の混浴温泉がありました〜」
「……お主」
「バフォさんとボクたんの2人分とっとけばいいですか〜?」
「ふむぅ〜。お、そうじゃ。せっかくじゃし2人ほど他にも連れて行きたいのじゃが?」
「はいはい。じゃ〜とりま予約とってみるっすね」


――バフォォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオ!!!(デュ○ララ!風)――


こうして休日を迎えたのじゃ。
天気は空気を読んで絶好の旅日和。
くくく。これも儂の普段からの行いの賜じゃな。
いや。そもそも儂クラスになると天気の方から空気を読んで儂の思い通りになるのじゃ。
くくく。これぞ“かりすま”なのじゃ。
そして、儂の前に居る可愛らしい2人の魔女達。
くくく。とても愛らしいのじゃ。

「バフォ様!ありがとです。あたしは新人魔女のアルクです。温泉始めてだしワックワクですよ」
「ば、ばばばバフォめメットさままま。わわわわ私、し、新人魔女のりゅ、リュナです。こ、こここの度は私なんかをお、おおおお温泉なんかにお招きいい頂き。あぁぁああありがとうございます」
「くく。アルクは元気があってとてもよいのじゃ。そしてリュナよ。堅くなる事は無いぞ。この旅の間はサバトの事など関係なしに儂の事は友達だと思ってくれればよいぞ」
「へぇ〜。ずいぶんと偉そうな口調の友達だな。バフォりん」
「なっ!?お主は秘書なのじゃ!ってか何そのナチュラルなタメ口!?一切の躊躇もない感じなのじゃ!」
「ち…。ではみなさ〜ん。宿まではあのサバト専用竜車で行きますよぉ〜。空飛ぶんで、おちたらゲ〜ムオ〜バ〜な心持ちで乗り込んでくださいねぇ〜。残機も残り少ないぜぇ〜」
「わぁ〜い!竜だ竜だ!これに乗ってくの?おちない?これ落ちないよね?」
「くく。安心せいアルク。サバトの中でも儂専用の竜車なのじゃ。落ちるどころか乗り心地も最高じゃぞ」
「わぁ〜私事に公用車使ってらぁ〜。い〜けないんだ〜いけないんだ〜♪」
「べ、別にこの竜車は私物の様なものなのじゃ!それを儂の好きに使って悪いわけがあるか!」
「あわわわわわわ。け、喧嘩をなさらないでください」
「あ〜すんませんね、バフォさん2号。自重しますねぇ〜」
「ってぅおぉいっ!そやつはリュナなのじゃ!2号って何なのじゃ!?勝手に儂を量産するでないのじゃ!」
「あぁ〜すんません。ウチってば、身長140センチ以下の人ってどうも見わけがつかないんっすよね〜(悩)」
「わ、儂は角を入れると140センチを超えるのじゃ!」
「あぁ〜。じゃ〜150センチにしときます」
「「しときます」って何なのじゃ!?明らか見わけついてるのじゃ!そもそもお主は前から儂ばかりをそんな目の敵の様にして。秘書の分際で秘書にあるまじき態度も取るんだし。ほんっと親の顔が見てみたいものじゃな。……(ぶつぶつ)」
「あ、ほらぁ〜。バフォ様。みんなもう竜車のっちゃいましたよ〜」
「え?…ま、待つのじゃあ〜!!」

儂はいらだつ気持ちを抑え、仕方なく走って竜車に乗り込んだのじゃ。
本当に仕方なくなのじゃ!
イライライラ…


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


着いた所は、大陸北部という場所に似合わず、ジパング風な宿であった。
しかしながら小高い山の上にあるその宿は、見下ろせば霧漂う温泉街が見え、見晴らしがよい上に。
趣深い外観が何とも言えぬ秘境といった雰囲気をしておった。
あやつの見たてにしては悪くないのじゃ。
あれ?…そう言えば前の甘味処といい、細かい気配りと良い。
あやつ、もしや悪いのは口と態度だけなのか?
いや、その2つの要素が大きすぎるのじゃ!
まるで塩のかかって無いステーキみたいな奴なのじゃ!
はっ!?
またしても奴の所為で心が乱されておるのじゃ!?
落ちつけ儂!
ひっひっふぅ…ひっひっふぅ…。
落ち着いたのじゃ。
せっかくの休みなのじゃ、こう言う時くらいりらぁ〜っくすぅ〜なのじゃ。
その宿の玄関にはジパング文字で「温泉旅館 宝泉」と書いてあった。
ふむ。
ジパングの“しょどう”というやつかの?
なかなかにいい字なのじゃ。 …正直何がいいのかは分からぬが…(ボソ)
ともあれ、中に入るとジパングの“きもの”を着た稲荷が出迎えに来たのじゃ。

「おいでやす。当旅館の女将をさせてもろとります、エリと申します。どうぞよろしゅうに」
「くく。そうかしこまらずとも好いのじゃ」
「そうどすか?そんならみなさん、お部屋へ案内いたします。どうぞこちらへ」
「思っておったよりも良さそうな雰囲気なのじゃ。よもやこの様な大陸の奥地でジパング気分を味わえるとはのう。いい気分なのじゃ」
「いぃ〜気分の所悪いんっすけど、バフォ本さんが上がってくんないとあちしらが入れないっす。チビならチビなりに省スペースに協力して下さいよ」
「チビとはなんじゃ!ロリなのじゃ!チビではないのじゃ!ってか、バフォ本さんって誰なのじゃ!?完全に変なあだ名つけられた転校生みたいになってるのじゃ!!」
「あぁ〜。これはこれは、失敗失敗〜。リップクリ〜ム塗りすぎましたかねぇ〜?口が滑って滑って〜」
「ウギギギギギギ!!!いつか貴様のリップクリームをスティックのりにすり替えておいてやるのじゃ!ざま〜みろ!」
「おぉ〜こわいこわい。じゃぁ〜今度からまず先にバフォさんで試してから塗る事にしますね」
「お主…儂の堪忍袋の皮が分厚い事に感謝するのじゃ…」
「あわわぁ〜。おっそろしぃ〜。まぁ〜まぁ〜怒らないでくださいよぉ〜。こんな所来たときくらい無礼講〜ですぜぇ〜」
「お主が言うでない!!」

儂の最高の気分が一気に低落した瞬間であった。
っというか、そもそもこやつが来てからというもの儂の気分が良いまま30分以上保たれた事がない気がするのじゃ。
ストレスで胃に穴が開いたら間違い無くこやつの所為なのじゃ!

「あぁ〜。靴はここで脱ぐんですよぉ〜。そうしないと怒られちゃいますから気をつけてくださいねぇ〜」
「そんなこと分かっておるのじゃ!」
「わぁ〜。良く出来ましたぁ〜。ご褒美にキャンディ〜あげますねぇ〜」
「儂を子供扱いする出ないのじゃ!!」
「えぇ〜?あぁ〜。何言ってんっすか?俺っちはリュナさんとアルクさんに言ってたんっすよ〜」
「ほへぇ〜。靴を脱ぐのですか?なんだか変な感じですね」
「ジパングジパング〜♪」
「あれぇ〜?もしかしてあれですかぁ〜?自意識過剰的なアレですか〜?」
「そ、そそそ、そんな事は無いのじゃ!!あ、アレだよ?儂…ほら、今競馬中継ラジオで聞いてたからさ…(恥)///」
「バッフォ先生、今日競馬休みですぜぇ〜」


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「わぁ〜。畳だぁ〜!床の上でごろごろできる〜!!わきゃ〜〜!!(ゴロゴロ)」
「あ、アルクちゃん…お行儀わるいよ…」

部屋は外観と同じく、ジパング造りでゆったりとしており、女将とやらに尋ねたところ、一部屋に皆で寝るのがジパング流なのだと言っておった。
ふむ。なかなかに悪くない雰囲気なのじゃ。
しかしベッドが見当たらんのう…。
ついでに言えば、旅館の中で、一人の男も見かけなかったのじゃ…。
まぁ別に、こんな所で兄上を探そうなどとは思っておらんかったし、別にいいのじゃが。
……べ、別に拗ねてないのじゃ!
ともあれ、一つの部屋にみんなで一緒にくつろげるというのもたまにはいいものじゃ。
2人のロリが可愛らしく駆け回る様など特にの…くくく。

「くくく…。新人はやはり元気があってよいのじゃ。見ていてこちらも童心に帰りそうなのじゃ」
「へいゆ〜。なら、ジジ臭い言葉使いどうにかしようぜ」
「…何か言ったか?(ドドドドドドドド)」
「えぇ〜。あぁ〜。アルクさんがそう言ってやしたぜ〜」
「アルクぅ〜〜〜?(ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ)」
「えぇぇぇ!?あたしそんな事言ってないよぉ!?」
「まぁ〜、お戯れはこの辺にしといて。食事までまだだいぶ時間があるみたいですし早速温泉行ってきますか?」
「ほほぉ〜。そうじゃのう。せっかく温泉に来たのじゃ。1日5回は温泉につかるのじゃ!」
「バッフォロメオさん、勘違いしてるようですから言っときますが、別に湯でふやけたからって、身長伸びたりなんかしませんぜ?」
「誰もそんなこと思っておらんのじゃ!!ってか、また儂が別人になっておるのじゃ!!」
「え!?思ってなかったんすか!?(棒)」
「白々しく驚くでないわ!!」
「まぁ〜。じょ〜だんはさておき、ここのお湯、美人の湯って呼ばれてるらしくて、一度浸かれば忽ち美人になれるって噂ですぜ〜」
「わぁ〜い!あたし美人になっちゃう!!」
「そ、そうすればお兄ちゃんも…ぽ」
「ほほぉ。まぁ、儂がこれ以上美人になってはちとまずい事にもなりそうじゃが…。くくく」
「あと、山道を上がっていくと、入ればパンダや美少女、猫やアヒル、果ては子豚なんかにもなる様な妖しい温泉もあるらしいっす」
「ど、どこかで聞いた事がある様な…」
「もう胡散臭い感じがぷんぷんしますぜ。今から楽しみっすね〜」
「…前から思っておったのじゃが、お主、もう少し素直な楽しみ方は出来ぬのか?」
「無理っすね」


========================================


――カポーーーーーーーン…

「うひぃ〜…効くのじゃ〜」
「ご老体には沁みるっすか?」
「こんなピッチピチの幼女捕まえて何がご老体じゃ…。はふぅ〜。まぁよい。今は気分がいいから許してやるのじゃ」

いつものウッザいナスルの悪口も今なら何でも許せる気がするのじゃ〜。
もうなんか融けそうなのじゃ。
ふへぇ〜。

「わぁ〜い!ねぇ〜ねぇ〜リュナ〜。あっちまで競争しよ!」
「泳いじゃ駄目だよ。アルクちゃん」

そんな儂等の前をバタ足で慌ただしく泳いでいく幼女A。
そしてそれを止めようと結局自分も泳いでおる幼女B。
何とも平和な光景なのじゃ。
やはり幼女はいいのじゃ。

「若いのは元気があっていいですねぇ〜」
「そうじゃのう。もう少し大人な楽しみ方を教えてやらねばのう…(ぐてぇ〜)」
「バッフォス3世さん。なんか顔が雑煮の餅みたいになってますぜ〜」
「お主の乳こそ、しるこの白玉みたいになっておるのじゃ。ってか、それどこの3世?」
「いやぁ〜。ほんっとこの邪魔な浮き袋取れねぇ〜かなぁ?」
「………お主、サキュバスならもう少し色気を出そうとは思わぬのか?」
「ねぇっすねぇ〜。おいどんは楽して楽しく生きて行けりゃ〜いいっすから〜」
「…何の考えもなしにただ生きている奴を儂は生きているとは思えんのじゃが…」
「考えの相違っすね。ってか、一部の読者がダメージ受けそうな事を軽々しく口にするのはどうかと思いますぜ」
「ふん。そんなこと知った事ではないのじゃ。儂の兄上、もしくは婿となりたければそれなりに努力せねばならぬのじゃ」
「そぉ〜んなこと言ってっから独り身が長くなるんじゃないっすか?」
「大きなお世話なのじゃ。 っというかナスルよ…。ここ、本当に混浴なんじゃろうな?」
「そうっすよ。まぁ、そもそもバフォリアンさんの休日が一般ピーポーとずれてますからねぇ〜。世間では今日は立派な平日ですぜぇ〜。しかもシーズンもろ外れ。そんな日にわざわざ温泉くるなんてどこのニートっすか?って話っすね〜」
「おぉ〜い。儂の名前がグロい宇宙人みたくなってるのじゃ。 まぁ、そう言う事なら仕方がないのじゃ…」
「まぁ、ものは考えようっすよ。なんか貸し切りみたいでいいじゃないっすか〜」
「ん?っというかお主、なんだか儂への毒(悪口)が薄く…?」
「さぁ〜どうっすかねぇ〜。デトックスされちまったんっすかねぇ〜」
「もしそうだとしたらお主の毒じゃ強すぎてこの温泉のお湯全部が毒に染まってしまいそうじゃの」
「そぉ〜んなわけないじゃないっすかぁ〜」
「分からんぞぉ?なんせお主の毒は並の奴ならばとうに胃に穴があいて倒れておってもおかしくないからのう」

そんな会話がネタフリだったのやもしれぬ…。

「きゃぁぁああぁぁぁああ!!」
「何事じゃ!?」
「バフォメット様!アルクちゃんが、アルクちゃんがぁぁ!!」

その時、事件は起こっておった。
儂等が駆け付けた頃には、すでに気絶し、湯に見事に仰向けに浮かび、目を回したアルクの姿があった。

「こ、これはいったいどうしたのじゃ!?」
「わ、わかりません。突然アルクちゃんが倒れて…」
「…これは殺人事件っすね。容疑者はここに居る全員ってことっすね」
「いや、死んでおらんぞ?死んでないからね?これ」
「そうなると一番妖しいのはバフォさんってことに…」
「いや、どうしてそうなるのじゃ?」
「そんな…バフォ様が…」
「お〜い。何でリュナまでそんな顔しておるのじゃ? 違うよ?言っとくけど儂じゃないのじゃ」
「謎は全て解けたっす。犯人は、この中に居る!じっちゃんの名にかけて!」
「お〜い」
「犯人はバフォの介さん!あなただ!」
「はぁ?     …え?何このスポットライト?」

――カン
――カン
――カン
――ドーン!

「嘘…でしょ…」
「え?何この図々しい効果音?ってかなんでリュナもそんなノリノリ?」
「バフォさんはアルクさんに言葉遣いがジジ臭いと指摘され恨んでいた。それが動機っすね?」
「いや、それ言ったのお前じゃろ?分かってるのじゃ。言っとくけど儂は全部分かっておるのじゃ」
「バフォさんはあらかじめこの湯に毒を混ぜていた。そう。アルクさんの性格を読み、彼女がここで泳ぐ事を最初から予想していたんだ」
「そんな…。でも、それなら私も…」
「お〜い。これ、単にのぼせて目を回しておるだけじゃぞ?」
「泳ぎが得意ではないリュナさんはずっと顔を着けずに泳いでいました。恐らくそれも見越した上でのトリックだったのでしょう」
「そ、そんなに手を込んだトリックを…」
「お〜い。儂の事は無視か?」

儂は仕方なく目を回しておるアルクを抱き抱え、湯船から出すと、手ぬぐいを水で濡らして額に置き、涼しい岩場の上に寝かせてやった。
その間も始終2人は名探偵ごっこをしておった。

「自首すべきですぜ〜」
「いや、何で儂?」
「バフォ様。私も一緒に自首します。だから、もう嘘を吐くのはやめてください!!」
「いや、儂じゃないからね。ましてやこれ、殺人事件でもないのじゃ。ってかリュナ、涙出てるのじゃ。それ演技なの?すごくね?」
「バフォ介!お母さんはいつまでも待ってるからね!」
「お主ら……」




――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


結局、アルクはリュナが部屋まで連れて行き、風呂場には儂とナスルだけが残された。
先程からもそうであったように、どうやら儂ら以外の客は数えるほどしかおらぬらしく、そやつらもどうやら宿を出て観光にでも行っているようで、この風呂場に人が入ってくる気配は皆無といっても差し支えなかった。
そこで儂はここでこの旅の真の目的を達成しようと考えた。

「全く…。風呂場で泳いだりなどするからあんなことになるのじゃ」
「そっすね。ってなわけで、バフォさん。あっちの端まで2人で泳ぎっこしましょうぜ」
「え?何?それって遠回しに儂に倒れろって言ってんの?」
「いやだなぁ〜そんな事無いっすよ。そうなれば面白いなぁ〜って思ってただけっす」
「思っておったのではないか!!まったく…本当にお主は儂の事が嫌いなのじゃな」
「え?」

予想に反して奴は驚いたようであった。
こやつはどうやら風呂の中でくらいは本心を見せてはくれるらしく、それは先程のデトックスの話に薄々感づいておった。
そしてそれが確信に変わった儂は、思い切ってこやつが儂を嫌っておる理由を突き止めることにした。

「前に言うておったであろう?」
「あぁ〜。そう言えばそんな話もしましたねぇ〜。3年くらい前に」
「いや、昨日の事なのじゃ!」
「なんすか?もしかして気にしてたんっすか?」
「当り前じゃ。お主は代理とはいえ、儂の秘書じゃぞ?それが使えるべき者を嫌っておると言ったのじゃ。それは由々しき事態なのじゃ」
「なぁ〜に言ってんっすか〜。たかが上司と部下っしょ?そんなの何の仕事でもよくある話じゃないっすか〜」
「そうは往かぬ。お主儂を誰だと思っておる?儂はバフォメットじゃぞ。部下に愛されぬ様な並の上司ではないのじゃ」
「カリスマ的リーダーシップ…ってやつっすか?」
「そう。“かりすま”なのじゃ!」
「そんなのどうだっていいじゃないっすか〜。見たところあっし以外のサバトの人らはみぃ〜んなあぁたのこと好き好きって感じなんだし、ボク一人ぐらい気にする事もないっすよ」
「くく。ならばその裏も言えるのう」
「俺っちがあぁたの事を好きになれってことっすか?」
「ああ」
「はは。そりゃ〜無理っすよ」

あっけらかんとした返答。
しかし、その答えはこやつが儂を嫌う理由が、ただ単に性格や接し方が嫌いという、おおよそ多数の人物が他人を嫌う理由とはかけ離れているという事を示すものであった。
なぜなら、「無理」という言葉は、その後その人物が接し方や性格を直したところで関係が改善される事は無いという意味だからである。

「……なんじゃ?思っていたよりも根が深そうじゃな」
「いや…。どうってことないっすよ。ただの逆恨みっすから」

そう言ってナスルは俯いた。
その視線を儂は無意識に追い、首元にかかっておったロケットで目がとまった。
そう言えばあの時も…。
そう。数日前、会議から戻ってきた儂が目撃した光景。
胸元のロケットを開き、憂いを含んだ眼差しでその中の人物を見つめておった。

「そのロケット、儂に見せてはくれぬか?」
「…嫌っすね」

ナスルの言葉は淡々とした割に、氷山の様な冷たく重い雰囲気を含んでおった。
間違い無くその人物が儂の事を嫌っておる原因なのであろう。

「もう私の事、ほっといてはもらえないっすかねぇ?」
「無理じゃ」
「…強情っすね」
「それはお主も同じじゃろう?」
「はは…。違いないや…」
「……儂の推理を聞いてみてはくれぬか?」
「へ?推理ならさっき終わった所じゃないっすか」
「いいや。まだじゃ。 そのロケットの写真の人物。そこに写っておる人物はお主の大切な人じゃろう?」
「これって普通そうやって使うもんでしょ?それじゃぁ〜推理になりませんぜ?」
「人の話は最後まで聞くものじゃ」
「長い話は総じて早く終わらせたくなるってのが人のサガですぜ?」
「ならば単刀直入にいこう。 お主、前魔王の軍幹部、もしくはその近縁のものじゃな?」

儂の言葉に驚いたのか、ナスルは儂の顔をじっと見つめた。
そしてゆっくりと口を開く。

「……わお。それはまたずいぶんと単刀直入だ…」
「話は短い方がよいのじゃろう?」
「……何が言いたいんっすか?もしかしてあ〜たも私に“新しい時代に生きろ”なんて言うつもりじゃないっすよね?」
「それはお主がどう考えているかで変わる事じゃのう。「言葉ってのは受け取り手次第」なんじゃろう?」
「はは。その通りだ。じゃあバフォさん。あんたはこの言葉をどう受け止めるっすか? “私の最愛の夫はあんた等に殺された”」

抑揚の少ないいつも通りのしゃべり口。
しかしながらその口調からは普段は感じられない激情の切れ端の様な者が垣間見えた。
その反応と言葉は、どうやら儂が予想しておった事のうち、それが最悪の選択肢であるという事を示していた。
その予想は、奴が儂以外の者、つまりはアルクやリュナに対しては普通に接していたことから思い当たった。
こやつは儂だけを毛嫌いしておる。
そうなればその理由として考えられるものが自然と答えとして結び付く。
魔女達よりもはるかに長く生き、現魔王以前の時代も知っており、現魔王のこの時代に置いて魔王軍の幹部となっておる儂。
その儂だけを嫌う理由として、サバトという組織に何らかの恨みがある、現魔王の魔王軍に対して恨みがある、儂個人に対して何らかの恨みがある。このうちのどれかであろう。
そして、魔女達にはその様な感情を抱いておらぬ様子から、サバトへの恨みという線は消え、残った2つの選択肢の内先程の返答から現魔王軍への恨みがあるという事で確定されたわけじゃ。
そして、その中で、恨みの理由が大切な人物の仇という最も重いものである。

「……やはりそうか…。しかし」
「“もう済んだこと”だなんて言わないでくださいよ。そんな事言われると私の決意が鈍りそうになっちまいます」
「…お主…。やはり復讐を…」

そんなこやつが恨みを抱く魔王軍の内部に居続ける理由。
それは恐らく復讐であろう。
そうなると、奴がこなした仕事の中に、魔王軍、もしくはサバトにとって不利益な者が紛れ込んでおったのかもしれぬ。
それは今となっては取り返しがつかないのかもしれぬが…。
いや、こやつの仕事の手腕を考えるならばこれからさらに大きな事を行うという可能性も十分にありうる。
しかし、儂の予想に反し、次に奴から出た言葉は驚くものであった。

「ははは。逆っすよ逆。 …私は例え最愛の夫の為といっても、復讐なんてくだらないライフワークであの人が私に残してくれた時間をつぶす気はないっすから。私が言いたいのは“そうしたくない”って決意っすよ」
「……お主」

こやつは賢いとは思っておった。
しかし、賢いが故にこやつは逃げる事も出来たであろうに、そうする事を選ばずに、もっとも辛いであろう選択肢を選択し、生きておる。

「なんすかその顔?やめてくださいよ。私はもう気にしてないっすから。だから、復讐まではいきませんが、少しぐらい逆恨みしてあんた等幹部の事を嫌うぐらいイイでしょ?ってことっす」
「…そんなお主がなぜ…」
「近くで見届けたいんっすよ。 …あの人を踏み台にしてできたこの時代がどうやって終わるのか」

変わらずいつも通りの軽口。
しかしその瞳には明らかな怒りの炎が見てとれる。
しかしそれほどの想いをこやつは押さえこんでいる。
強い娘じゃ…。

「辛くは、ないのか?」
「時々は…。と言っておきますかねぇ〜」

嘘じゃ。
辛くない筈がない。
直接ではないにせよ、こやつは仇の中に居続けているという事。
復讐の為に剣を握ればそれは簡単な事じゃろうに。
こやつはそれを抑えておるのじゃ。
自分の気持ちを押し殺し続ける事が辛くない筈がないのじゃ。
故にこやつは未だ苦しみの中に生き続けておる。
儂はそれが目に見える様で、苦しかった。
普段のこやつの口の悪さはそこから零れ落ちた怒りのつぶてなのじゃろう…。

「………ぅわっ!?な、なんすか?突然抱きついたりして?残念ながらあっしの乳は母乳が出る様には出来てないっすぜ?」
「良いからもう少し、こうさせるのじゃ」
「あたしはバフォさんの事嫌いだって言いましたよね?」
「嫌いでもいいのじゃ」
「あぁ〜ダメだぁ〜ストレスでゲロしそうっす。離れないと頭にぶっかけちまいますよ?」
「かけたいなら勝手にかければよいのじゃ」
「…………」

静かになったナスルは、しばらくすると、儂の身体をその白い腕で抱きしめてくれた。

「なんか…子供みたいっすね」
「お主がそう思うならば、そうしてくれても構わぬ」
「……あったかい」
「儂もじゃ」
「何でこんなことするんっすか?」
「子が親に甘えるのは当然じゃろう?」
「はは…。ずいぶんと大きな子供っすね…」
「……儂にしてみれば、サバトの連中は皆儂の子の様なものじゃ」
「そりゃずいぶんな大家族だ…」
「そこに入ったお主もまた、それと同じ」
「はは…。私の方が子供っすか?」
「ああ。口も態度も悪くて手もかかるが、やる事はちゃんとやるし、賢い儂の子じゃ」
「………。あ、でも歳を考えると曾孫ぐらいじゃな…いっ! いってぇ…何で殴るんっすか?」
「角で突かなかっただけマシだと思うのじゃ」
「わぁ〜DVっすね?こりゃもう児童福祉局が黙ってねぇや」
「ふん。全く口の悪い娘じゃ」
「…なら、いっそのこと捨ててくれりゃ〜いいのに」

その言葉は、少なからず儂に動揺を与えた。
しかし、ここでそれを見せるわけにはいかぬ。

「ほほぉ。そんな事を言うのはこの口か?」
「むぐぁ!?んむむぅ〜!!ぷはぁっ!ちょっと、なにするんっすか!?ってかその手でどうやって唇挟んだんっすか!?それすごくね?ねぇそれすごくね!?」
「ふん。儂等からしてみればお主らの様な無駄に指の多い方が邪魔になるのじゃ。っというか、いつまで経っても素直にならん出来の悪い娘はこうしてやるのじゃ!」
「ふえ? ひきゅん!? な、なんすかこれ!?なんか身体が疼…」
「くくくく…。儂を誰じゃと思っておる?儂はバフォメットじゃぞ?サキュバスのお主とて儂が強めに発情の魔法を掛ければ一溜まりもないのじゃ」
「くっ…なんて卑劣な…。屈しないぞ〜。あっしは上司の圧力には屈しないっすよ」
「くくく。いつまでもつかのう?人間ならば理性が壊れるほど強くかけたぞ?」
「わぁ〜それってば殺人未遂〜。その上これって思っくそセクハラっすよぉ〜。訴えてやるぅ〜」
「…なんか余裕そうじゃな? それ」
「あひぃ!?ちょ、イっちゃった。なんすか今の!?」
「さらに強く魔法を掛けただけじゃ。気にせんでも、お主なら死にはしないのじゃ」
「うくぅ〜…。頑張れ自分。なるべく萎える事を考えろ。バナナマン、ヒムラのあの顔を思い浮かべろ…」
「ひむ…のわぁっ!?ちょ、お主、儂の方が萎えそうな者を想像させるでない!」
「あどでぇ〜…ぼぐね゛ぇ〜…」
「や、やめるのじゃぁぁぁ!!!」
「くやしいです!」
「それも禁止なのじゃ!!」
「トゥース!」
「えぇ〜い!こうなったら奥の手なのじゃ! スローエ リローエ ルエーモ ョジウヨ ……」
「く……ストナタ アバーバ ルエーナ ョジクュジ………」
「(抵抗呪文じゃと!?この儂と張り合うつもりか…くくく。よかろう)ィチッエ リローリーロ シローゴエーモ ギーイセーハイーイワカ ョジウヨラテ レコータキ」
「ケダルキイチニチイキルダケ ロリコンゲカイイイカゲンコリロ ナンダカンナセクハラハクセナンカダンナ ヨノナカネカオカオカネカナノヨ ワタシマケマシタワ…」
「(まさか逆さま!?)スキノシルシノキス!」
「くっ…あうぅぅぅぅぅぅぅ!…」
「ふぅふぅ…なかなかにやりおるのう…。しかし、儂に勝てると思うたか?」

儂の奥の手魔法、幼化の術なのじゃ。
くくく。ナスルのデカ乳がしぼんで、身体もみるみる小さくなっておるのじゃ。
声も何とも可愛らしくなってまぁ…。

「くくく。どうじゃ?これでお主もロリっこの仲間入りなのじゃ」
「なんすか?目下のモンに魔法で勝って喜んでんっすか?バフォメットさんの底が知れますね。ホント」
「う…なんと可愛げのないガキなのじゃ…」

何このクソガキ!?
見た目は小さくなってかわいくなっておるのに、全く可愛げのない憎らしいガキなのじゃ!
可愛さ余って憎さ百倍なのじゃ!!
いや、落ちつけバフォメット。
奴は身体が縮んだ所為で一時的に魔法への耐性が弱まっているはず…。
知識や魔力はそのままとはいえ、思考がそれに追いつけないでいるはずなのじゃ。
落ち着いて対処すればすぐに素直になるはずなのじゃ。

「あぁ〜、もしかしてアレっすか?俺っちを小さくしちゃえば思考も退行するとか思っちゃった感じですか?残念っすけど、対抗魔法でそっちの方は守らせてもらったんでそんな事しても無駄なんだからね!べぇ〜。わたしにあんたみたいなへっぽこの魔法が効くと思ったの?バーカバーカ」
「ん?いや、それ、効いておる気が…」
「効くわけないじゃないの!わたしはあんたみたいなへっぽこチビじゃないもん。あんたのへっぽこ魔法なんか効かないもんねぇ〜。バーカバーカ」
「目に見えてボキャブラリーが減っておるのじゃ」
「ぼきゃ?…なに訳の分かんない事言ってるのよ?あんた馬鹿?身体と一緒で脳みそもちびっこなの?」
「何これムカつく!? 幼化してこれほどムカつくクソガキになったのはお主が初めてなのじゃ!!!」
「馬鹿でチビのあんたは“ムカつく”しか言えないのね可哀そうに。あたしが慰めてあげたらいいの?」

UZEEEEEEEEEEEEEEEEEEEE!!!!
オブラート程度の敬語が幼化して消し飛んだせいで、デカい時の三倍(当社比)はムカつく感じになってしまったのじゃ!!
バフォメット一生の不覚なのじゃ…。
くぅ…。やはりロリにするにはちゃんとした審査が必要なのじゃ。
用法用量を守って正しくお使いくださいなのじゃ。
これは今後の課題じゃな…。
しかし今は目の前の問題をどうにかしなければ…。

「何黙ってんの?馬鹿なの?死ぬの?あ、馬鹿すぎてしゃべり方忘れちゃったの?わたしが息の仕方から教えてあげたらいいの?」
「くぅぅぅぅぅ…。我慢しろバフォメット…。落ち着け、落ちつくのじゃ…。ここは大人な対応で…」
「わぁ〜かわいそ〜。おしゃべりできるバカな子が周りに居ないからとうとう自分に話し掛けちゃってる。 大丈夫?わたしが話し相手になってあげようか?」

…………………(プチン)

「U.B. DESTROY!!!!なのじゃ!!もう怒ったのじゃ!もう手加減なんかしてやらんのじゃ!これでも食らうのじゃ!!」
「はぁ?何言って…ひきゅんっ!!???あふぇ〜???」
「くくく。どうした?儂の魔法など効かないのではなかったのか?目がとろんとしておるぞ?」
「だ、誰があんたの魔法なんか…はふぅん♪…な、なにこれぇ???」
「くく…儂のチャームは少しばかり強いぞ?」
「あれぇ?何であんたを見てるとこんなに…あふぅ……きもちいぃ…」
「のぼせてしもうたか?目が据わっておるぞ?」
「こんな…あぁん……だめぇ…がまんできなぁい…」

とうとうナスルが我慢出来なくなって、幼い指を湯の中に入れ、自らの秘所へと持って行こうとする。

「何をしておるのじゃ?ダメではないか。ここは皆が使う温泉じゃぞ?こんな所でオナニーなどしようとして、恥ずかしいとは思わぬのか?」
「そんなぁ…だって…だってぇ〜」
「“だって”じゃないのじゃ。もしも誰かが入ってきたらどうするのじゃ?ここは混浴じゃぞ?」
「あうぅ…ひぐ…だってぇ…もう、我慢できないよぉ〜」

くくく。とうとう泣き出しおったのじゃ。
生意気なガキをこうして教育してやるのは流石に爽快なのじゃ。
くくくく…。
こやつの泣き顔を見ておると、ふつふつとイケナイ感情が湧きあがってくるのじゃ。
儂は黙ったまま、発情の魔法をさらに強く掛けてやる。

「あひぃぃ!もうだめぇぇ〜」

すると儂に両腕を掴まれたまま、ナスルは小さく可愛らしい尻尾を毛も生えておらぬツルりとしたスジに這わせ始めた。

「きもひぃ〜。きもちいいよぉ〜」
「はぁ…全くはしたない子供なのじゃ」
「ちがう…あひゃぁん…クリちゃんいいよぉ……ちがうのにぃ…わたしはしたない子じゃないのにぃぃ」

そう泣き叫ぶように言うと、ナスルはとうとう儂の手を振りほどき、両手と尻尾を使って前と後ろの未発達な性器や、あれほど膨らんでいたのがウソの様に平らになってしまっている乳をこねまわし、小さな乳首をつまみあげて、必死にオナニーを始めてしまった。
年端もいかぬ様な子供が淫らに顔をふやけさせ、はしたない言葉を発しながらオナニーにふける姿はなんとも愛らしいものじゃ。
舌足らずな言葉。

「ひゃぁ〜うぅ〜…いい。いいよぉ〜」

愛らしくとろけるその表情。

「らめぇ〜。変になるぅ〜。バフォに見られると気持ちよくなっちゃうぅ〜」

未熟な身体を必死で頂きへ導こうとする小さな手。

「いくぅぅぅぅぅ!!」

全てが全てが愛おしいのじゃ。
いかん。このままでは本来の目的とは別に、こやつを襲ってしまいそうじゃ…。

「あふぅ〜。きもひよかったぁ〜…」

キュピキュピーン
我慢は身体に毒なのじゃ。
そうだ、ロリ犯そう。

「頂きますなのじゃぁぁ!!」
「わきゃぁ〜〜!!?」

――ざっばぁ〜ん!

「もう辛抱たまらんのじゃ。そもそもサバトの主たる儂が我慢などしている方がおかしいのじゃ!」
「ケダモノ〜!わたしに変な魔法掛けてるくせにぃ〜〜!!このバカチビバフォメット!」
「その生意気な口も慣れてくればかわいくて仕方がないのじゃ」
「やめろぉ!あひゃぁん!ちくび吸うなぁ〜!りゃ、りゃめぇ〜!!」
「くくくくく…。口では嫌がっておっても身体は正直なのじゃ。儂に犯されたいと全身全霊で申しておるのじゃ!」
「それはあんたが変な魔法使ったか…あひゃ〜!くそぉぉ!ばかちびばかちびばかちびぃぃ!!」
「ふはははは!今やお主もロリッロリの“きゅ〜てぃ〜ばでぃ”なのじゃ!」
「これもあんたのせい…あひゃぁぁ!そこはらめぇぇ!!」
「くくく。お湯の中でも分かるほどに中がヌルヌルしておるぞ?」
「やめろぉ〜。しねぇ、へんたいぃぃ〜〜!!」
「くくくくくくくくくくくく…。もうこれはイくしかないのじゃ」

儂は手のひらに魔力を集中し、自らの秘所へと魔法を掛けた。

――にょきにょき〜ん

「ひゃあ!?な、なにそれぇ…」
「くくく。まさかお主、サキュバスのくせに見た事もないのか?」
「そ、そんなわけないじゃない!…何でお前にそんなもんが生えてんのよぉ」
「儂にとってはこれを生やすくらいお主をイかせるのと同じくらいたやすいのじゃ」
「それ、容易さの基準が分かりにきぃよ!」
「くくく。これを入れられてもそんな生意気な口が利けるかのう?」
「や、だめ、今イったばかりでビンカン…。ひきゅんっ!!」
「うぅ…この狭さ…もう病みつきなのじゃ〜」
「やだぁ〜。入ってくるよぉ。こんなの入れられたらわたし壊れちゃう…」
「ふふ。安心するがよい。身体が縮んでおるからそう感じるだけじゃ。まぁ、儂のこれはそこらの男のものよりちと大きいかもしれぬが…くくく」
「やだぁぁぁぁぁ!!」
「そうかの?しかしここは嫌がってはおらぬようじゃぞ?もっと入れろときゅうきゅうと締め付けてきおるぞ?」
「そんなことないぃぃ!ひゃぁぁ!だめぇぇ!なんでこんなにきもちいいのぉぉ!?」
「ほぉら。動かすぞ?」
「だめぇぇ!!あん!  ひゃぁ!ら、 らめぇ。ぬいてぇ!おかしくなる!おかしくなるぅぅ!!」
「く…いい締め付けなのじゃ…。ほぉれ、もっと素直にならぬか」

儂のモノを咥え込んで今にもはじけそうになっておるナスルのそこ。
その中でも可愛らしく皮から顔を出すマメを手探りで探し、爪の先でクリクリと苛めてやる。

「ひゃぁぁぁ!にゃにこれにゃにこりぇぇぇ!???」
「くく。クリトリスをいじってやっておるだけじゃぞ?」
「しょんにゃぁぁぁぁ!???」

縮ませる時に神経も圧縮してやったから相当に感じておるのじゃろう。
くくく。何と愛らしいのじゃろう。

「ほぉ〜れ、こっちのマメもいじってやろう」
「りゃめぇぇぇ!!ちくびりゃめぇぇ!!」

もともとが大きかったあの胸が、これほど小さくなったのじゃ、圧縮によって増加した感度はやはりすさまじいのじゃろう。
乳首をいじるたびにキツいオマンコがぎゅうぎゅうと儂のモノを噛みちぎらんばかりに締め付けてくるのじゃ。
これはたまらんのぅ。

「そら。そろそろイかせてやろう…」
「りゃ、りゃめ、えぇ〜。しょんにゃ…ふかいぃぃぃぃぃ!!!」

――ビクン ビクビクビク
――しょわぁぁぁぁ…

くくく。これほど簡単に気をやりおったか…。
ん?しょわぁぁ?

「あれ?なんかお湯が黄色く……」
「あふぇ〜おひっこもれひゃっは…」

あれ?これ、ヤバくない?
ここ温泉なのに…。
お湯の中なのに…。
儂はあわててナスルからモノを引き抜き、お湯から出ようとした。
しかし、

「らめぇ〜。もっとひてぇ〜〜」
「な!?こら!あれ?抜けないのじゃ!?」
「もっときいもひよくひてぇ〜〜」
「ちょ、まて。これは流石にバレたら怒られるのじゃ!早く逃げるのじゃ!」
「どぉ〜せあたひたちひか入ってないからばれちゃいまひゅよ〜?」
「うぐ…」
「ほぉ〜らぁ〜。次はあらひが上になりましゅね〜?」
「ま、まて、ここは先に水の浄化を!」
「まほ〜使ってもこんなひろいお風呂きれいにするのは時間かかっちゃいますよぉ〜?」
「なら急がねば…うひゃぁ!あ、こらぁ!そんなにしめつけるでないぃぃ!?うひゃぁぁぁ!???」
「えへへぇ〜。小さくなっても、あらひ、サキュバスですからねぇ?自由におまんこの中動かせるんですよぉ?バフォ様、ロリのサキュバスとセックスした事ってありますぅ?」
「あ、ちょま、あひゃぁぁぁぁぁ!!!」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


その後、儂が解放されたのは儂が5発、ナスルがその3倍程イった後であった。
儂が魔法を解いてモノを縮めると、大きくなっていたクリトリスが、皮に収まらずにふやけた様になってしまっていた。
まさかロリサキュバスの中があれほど具合がいいとは…。
そして、当のナスルはというと。

「バッフォさん。とりあえずご飯終わったらもう一発ヤりやしょうぜ〜。次はあっしが生やします」

完全にハマっていた。

「ん?というかお主、何でまだちっこいままなのじゃ!?」
「あぁ〜。そりゃ〜バフォさん、ウチの中であんだけ魔力ぶちまけちゃったじゃないっすか〜。おかげでもうおれっちの身体がバフォさんの魔力に馴染んじゃって戻らなくなっちゃったんっすね〜。責任とって下さいねぇ〜」
「何でそんな重要な事をさらっと言うのじゃ!?」
「ははは〜。なぁ〜に言ってんっすか〜。先にやってきたのはバフォさんじゃないっすか〜。おかげであっしってばもう、完全にバフォさんの身体のジャンキ〜っすよ。責任ぐらい取ってくださいよぉ〜」
「うぅ…。し、しかし…よいのか?儂の事、嫌いなんじゃろ?」
「ん〜。どうなんっすかねぇ〜?もう途中から魔法切れてたのにバフォさんに夢中でしたからねぇ〜。自分でもよく分からねぇ〜っすけど、あんまし嫌いじゃなくなっちゃった気がします」

あんまし嫌いじゃない?
あれ?
じゃあ儂の目的は最高の形で果たされたという事なのか?

「……なんか軽いのう」
「そぉ〜でもないっすよ?どっちかって言うと一大決心っすもん。まぁ、今だから言っときますけど。前からあんだけ嫌がらせしてたのに、愚痴りつつも優しくしてくれるバフォさんには、何となく嫌がらせし辛いなぁ〜とは思ってたんっすよ…。そんで今日、こうやって温泉も連れてきてくれたし。それもたぶんあっしの事を気遣って」
「ほほぉ。何故そう思ったのじゃ?」
「じゃあ逆に聞きますけど、何であん時バフォさんは普通なら聞きづらくて聞かない様な事を聞いてきたんっすか?それも自分の事を嫌いだと公言したあたしに」
「ふむ…儂は“かりすま”じゃからのう。自分の事を嫌っておる部下がおるのなら、そやつが儂に惚れこむ様に尽くすのも出来る上司の甲斐性なのじゃ」
「俺っちは、そんなバフォさんに惚れちゃいました。もう嫌いだなんて言いません」
「……なんかお主が素直じゃと、気持ち悪いのう…」
「そっすか?私は初めから素直だったと思いますけどねぇ?」
「いや、それは無いのじゃ」
「えぇ〜。自分に素直に生きてるつもりなんっすけどねぇ〜」
「…いや、他人にも素直になるべきなのじゃ」
「そぉ〜んあな事言われてもなぁ〜……わきゃっ!?なんすか?まだ物足りないんスか?」

儂がまた抱きついてやると、ナスルは驚いた様じゃった。
小さくなったナスルの身体はすべすべとして何とも抱き心地がよいのじゃ。
やはり女が一番美しいのはロリなのじゃ。

「儂はお主の上司じゃ。じゃが、さっきも言ったように、お前たちは儂の子の様なものじゃ」
「そうやって人に抱きついてるの見ると、バフォさんのが子供に見えやすぜ?」
「くく。それでも良い。とにかく。辛いならばいつでも儂に甘えればよいのじゃ。儂はいつもお前や、魔女達全てを愛しておる」
「………ビッグマザー気どりっすか?」
「人がいい事言っておる時くらい、茶化すでないわい」
「まぁ〜そうっすね。たまには…ね」


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その後、お湯を2人で綺麗にしてから部屋に戻ると、流石にリュナとアルクはナスルの変わり果てた姿に驚いておった。

「はぁ…。あ、でも。お二人が仲直りされたのならとってもとっても良かったです」
「ナスルさんすげぇ〜かわいい!ねぇ〜ねぇ〜。後で温泉一緒に入ろ!そんでもって競争しよ!」
「アルクちゃん。もう少し反省する?」
「ひっ!りゅりゅりゅリュナ…。あわわわわ…。し、静かに入ります。温泉は静かに楽しく入るものですううう」
「そうよね?いい子いい子」

儂等が居ない間に、どうやらリュナとアルクの間でも何かがあった様じゃな…。
それにしてもアルクのこの脅え様…。
リュナ、恐ろしい子。なのじゃ。
そうしてロリっこ4人(ここ重要)でおしゃべりをしていると、部屋に様々な料理が運ばれてきおった。
ふむぅ〜。
これがジパングのコースメニューなのか…。なかなかに壮観なのじゃ。

「すごいの。これが“さしみ”というやつかの?」
「そうみたいっすね。女将さんの話じゃわざわざ魔導転送機で新鮮な魚を取り寄せてるらしいですねぇ〜」
「これ…このまま食べるんですよね?なんか焼かないと不安になりますね…」
「うめぇ!魚が口の中でとろけるよ!」
「だ、そうじゃ。ほれ、リュナも安心して食べるがよい。アルクが毒見してくれたぞ?」
「あわわ。わたし、そんなつもりじゃ…」
「あれ?バフォさん“箸”で行くんスか?フォークもありますよ?」
「ふふん。こんなもの、儂にかかれば手足の様に操れるのじゃ」
「すごい…指三本しかないのに…。あ、ナスルさん。私はフォークで…」
「郷に習えば郷に従え…じゃな。あむ……うむ!うまいのぅ。このソースが魚の甘みを引き立てるのじゃ」
「この緑のなんだろ?ぱく…」
「アルクちゃん!それ、ワサビだよ!?」
「あぎゃぁぁぁぁぁ!!!はにゃぁぁぁ!あたまぁぁぁ!!かりゃいよぉぉ!!!」
「…もちっと静かに食えぬのか?…パク………ふぎゃぁぁぁぁ!!からぁぁぁ!!!」
「あぁ〜、すんません。これ(ワサビ)入れるとおいしいって聞いたんで、バフォさんの醤油皿にスプーン一杯入れときました〜」
「ひぃ…ひぃ…。お、お主…絶対わざとなのじゃ!!」
「そんなぁ〜。あたしってばバフォ様大好きっ子ですぜ?そんなことするはずないじゃないっすかぁ〜」


どうやら、ナスルの意地の悪さは性格が強く起因しているようなのじゃ。
まぁ、大抵の者ならば幼化すれば素直になるはずの所を、何故かあんな憎らしいクソガキになった時点で何となく予想はついていたのじゃ。
しかし何とも…。
姿が幼くなってしまったせいで見た目とのギャップも相まって、ウザさ100倍なのじゃ…。
今度からは性格のよさそうな奴を選んでロリにしよう…。


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こうして、2泊3日の温泉旅行も無事に終了し、儂等は住み慣れた魔王城へと帰った。
お土産の“温泉まんじゅう”というものがえらく美味で、サバトの魔女達も取り合って喜んでおった。
そして、ナスルはというと…。

「あぁ〜マジダルビッシュ〜。お〜。この服いいなぁ〜」
「お〜い。なんで相変わらずそんなだらけておるのじゃ?」
「いやぁ〜、い〜じゃないっすか〜。魔力使い切る勢いで時間止めて溜まってた仕事したんっすよ?それに、身体がこんなんなっちゃったせいで服も一新しなくちゃなんないし〜」
「良くないのじゃ!お主、今の自分の姿を鏡で見てみるのじゃ!年端もいかぬ様な可愛らしい幼女が昼間っからいいとも見てるダメな中年みたいな恰好でだらけておるなぞ、絵的に問題ありまくりなのじゃ!」
「別にそれでいいじゃないっすか〜。あ、あと30分で会議っすよぉ〜」
「むきぃぃ!!お主はもっとまじめになるのじゃぁ!!」
「クッチズサム メ〜ロディ〜ガ〜♪」
「のわぁぁ!それをお主が歌うとホントにヤバいのじゃ!やめるのじゃ」
「え?なんすかその拳?もしかして殴る気なんすか?DVで訴えてもいいんスよwww」
「うぜぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」

相変わらずじゃった。
まぁ、しかし。
あの3日間で儂はどうもあやつの事を気に入ってしまったらしい。
儂はため息をつきながらも、奴の正式な秘書としての手続き書に記入をしていた。
12/07/25 21:29更新 / ひつじ

■作者メッセージ
一度うpしてから消して直して、また投降しました。
絵は絵スレにうpしたのを下書き線消しただけの落書きです。
文はいつもながらの状況把握のし辛い会話文主体のギャグです。
ロリ化はクロス様の拍手返信から頂いたネタです。
ナスルのウザさを少しでも緩和できればと一手打ってみました。
ちびっこナスルに罵られたいと書きながら思ってたのは秘密です。

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