連載小説
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中編.おにく・おにく・おしゃべり
「おはようございます、課長」
「……カミラの話は本当だったんだな。早すぎるだろ」
「これでも時間潰して来た方なんですが」
「私は遅いのも早いのも好きではない。色々な意味でな」
「……で、今日の業務は」
「色々な、そう意味深な感じの意味でな!」
「逆セクハラはやめて下さい」

転職から2週間後の出勤日。
そのスタートは、クロエの下ネタとなった。

「君の作業スピードが予想以上に早いから、今日は早上がりになりそうだな。
 営業の方とかけあって、受注案件のリミットを緩和しようと思う。
 勿論、適宜君と話し合いながら決めるから、そこは安心してくれ」
「構いませんよ。今の段階じゃ俺、給料泥棒ですから」
「ダラダラ働いて残業代を貰う輩、時間内に業務を終えられる人間。
 どっちの方が能力が高い? 正直、私は君の給料はまだ安いと思っている。
 案件数が増えたら、必然的に君の給料のベースも上がる。卑下するのはよせ」
「すいません。以後気をつけます」
「宜しい。じゃ、今日の内容だが……」

業務の内容を説明しようとした頃、オフィスの扉が勢いよく開いた。
入ってきたのは、一人のゴブリン。

「光之助はいるか!」
「はい、ここに」
「お前かー!」

入ってくるやいなや、思いっきり駆けると。

「この不届き者がー!」
「ぐふぇっ!」

勢いそのままに、光之助に突撃。
角が脇腹にぶつかり、腹の中から空気が飛び出す。

「いきなりなんだこの野郎!」
「野郎じゃねーよ! 可憐な乙女だよ!」
「どこの世界にいきなりタックルかます乙女がいるんだよ!」
「ここにいる! そしてもっといたらダメな奴がお前だ!」
「ハァ? 何がダメなのか言ってみろや!」



「せっかく親方が性欲処理買って出たのに、
 あの時以来一回もシてないってどういうことだこのふにゃちん野郎が!」



光之助は、初めてメリルからフェラチオされて以降、性欲処理を頼んでいない。
理由は、「それは仕事ではないから」だ。

「ワーカーホリックにも程があるだろ! それでもチンコついてんのか!」
「ついとるわ! ちょっと元気無かったりする時はあるとしても!」
「元気とザーメンが出せないチンコはチンコじゃねぇ! ただの排泄機関だ!」
「今お前全国の男の悩み抱えてる奴敵に回したぞ!」
「何の為にアルラウネの蜜とかが流通してると思ってるんだ!」
「ですよね!」
「……話、済んだか?」
「「アッハイ」」

光之助にタックルをしかけた、(種族平均と比較すれば)少し背丈の大きいゴブリン。
彼女はメリルの第二秘書、九十九リボン(つくも りぼん)。
着ている物は肌の露出こそ少ないものの、ゴブリンらしい軽装。
カミラが仕事関係の補助をしている傍ら、彼女は身の回りの世話を担当している。

「そう言われましても『希望の場合』とありますし、社長も暇じゃないでしょう?
 そんなに頻繁に頼むのは気が引けますよ」
「アレか、親方じゃ不満か。ロリっ娘ならつるぺたじゃないとダメなのか」
「いやそういう訳では。……って、『親方』って社長のことですか?」
「あたしはそう呼んでる。親方は寛容だからな。あたしが一番しっくりくる呼び方にした。
 ちなみに他の呼び方だと『姐さん』派が多いな。親方、内面は男前だから」
「……本当ですか?」
「おうとも。見られる場面は凄まじくレアだけどな。
 だからあたし達は親方に一生ついていくと決めたんだ。
 ……で、そんな親方の性欲処理がお気に召さないと」
「そういう訳ではないんですが……」

煮え切らない態度に、リボンのフラストレーションは溜まる一方。
こうなると、取る手段は一つ。

「クロエ、ちょっとコイツ借りるぞ。
 ……なら今からでもヤってこーい!!!」
「うぉっ!?」

ゴブリンの特徴。
小さな身体に似合わない、怪力。
それを活かす方法、つまり力技である。

「オラ入れーっ!!!」
「うわーっ!?」

光之助を担いで社長室まで運び、扉を開けて投げ入れる。
何とか受身は取れたが、仰向けに倒れながらの入室となった。



「おはよう〜。大丈夫?」
「……大丈夫に見えますか?」

かなりのダイナミック入室にも動じないメリル。
良く言えば泰然自若な社長の器、悪く言えば鈍感なバカ。
どう評価するかは、人によってかなり分かれそうなところである。

「ごめんね〜。リボンちゃん、何事にも一直線な子だから〜」
「少なくとも物理的にはそうでしたね」
「ところで、お仕事の前に一発ヌいとく〜?」

左手の人差し指に、右手の親指と人差し指で作った輪っかを通し、上下。
相変わらずの胸チラの影響もあり、光之助の股間が膨らみ始めた。

「リボンちゃんも言ってたと思うんだけど、私はいつでも大丈夫だよ〜。
 ほら、おちんちん出して」
「……それじゃ、お願いします」

2週間前の行為を思い出し、淫欲が湧き上がる。
この魅力的な提案を断る理由は、どこにも無かった。

「じゃ、前と同じようにお口で……あっ、ちょっと待って」

突如鳴り響く、電子音のメロディー。
タイミングの悪いことに、メリルの携帯に着信が入ったようだ。

「はい、株式会社モンスターソリューション、代表取締役の小雲です。
 ……はい、お世話になっております」

普段のゆるゆるした口調は消え、表情もどことなく凛々しげに。
ON・OFFの切り替えの速さは、流石は敏腕女社長。

しかし、彼女はその要件を満たすのには不要な動きを同時にした。

「ちょっ、社長!?」
「静かに。……いえ、大丈夫です。システムについてですが、基本的に……」

片手で器用に光之助のベルトを外し、スラックスとパンツを下ろす。
隆々と勃起した一物が空気に晒され、ビクンと大きく脈動した。

「えぇ、仰る通りです。そちらについては今後も……」

今度は机の引き出しを開け、中を漁る。
メモでも取るのかと思いきや、出したのは小瓶。

「ちょっと冷たいけど、声は出さないでね。
 ……失礼、予算のお話ですよね? お見積もりは……」

これも片手で開けると、中に入っているものをペニスに垂らした。
粘性を持った、少し冷たい液体。
俗称、『ローション』と言われるもの。

電話を続けたまま、メリルは椅子ごと光之助に近づく。
そして、ワイシャツのボタンを外し、乳房を露出した。

「はい、弊社の担当者を向かわせますので……」
「うぉぉ……」

『小柄な体にしては』などという前置きは必要ない。
そこに鎮座する、メリルの胸。

でかい。ただただ、でかい。
スーツの固い生地による拘束を解かれ、現れた胸は、文句なしの爆乳。
普段から収まりきっていないだけのことはある、たっぷりとしたおっぱい。
僅かに垂れ下がっているようにも見えるが、些細な問題。
むしろ、このサイズで垂れていないとなったら、豊胸手術を疑うことになる。

光之助の剛直を、小さな手で握って擦る。
まぶされたローションがまんべんなく塗られ、最高の快楽を与える摩擦係数へと変化する。

「えぇ、はい。訪問時間は……」
「あぁぁ……ひぃっ!?」

突如、玉袋にぬるりとした感触が走った。
思わず自分の一物を見ると、メリルの両手が這いずり回っていた。

右手は回転を加えながら竿を扱き、左手はやわやわと陰嚢を揉みほぐす。
電話はどうしたのかと思えば、耳と肩の間に挟んでいた。
フリーになった両手で、光之助の陰茎を全力で責め立てているのである。

(こんなの……もたねぇ……)
「その日ですと、午後2時頃であれば……」

肉棒の先端から、別のぬめりを帯びた液体、先走り汁が出てきた。
それを見逃さず、時折指を伸ばして、亀頭に塗りたくる。

振動でたぷたぷと揺れるロリ爆乳という、最高の生オカズを見せつけられながら、
技巧を凝らしたローション手コキで責められ、射精感がこみ上げる。
だが、そうさせた相手は電話の片手間のながらプレイでしかなく、
左程こちらを気にかけていない。それがかえって、性的興奮を助長させる。

「はい、それでは確認しますね」
「もう……でっ……!」

極上の手コキ責めで、射精する。そう思った瞬間。

「……っと」
「え……?」

ぱっと、メリルの手が離れた。

寸止め。
光之助が達する直前で、メリルは責めをやめてしまった。
男根の先端からは虚しくガマン汁が垂れ、寒々しい空気に晒される。

(こんな、ことって……)

昂ぶるだけ昂ぶらせて、この仕打ち。
怒り、嘆き、切なさ、様々な感情が入り乱れる中。

「少々お待ち下さい。……光之助くん。今からメモ取るから、手が塞がっちゃうんだ」



「でも、おっぱいなら空いてるよ?」



「……!!」
「わたしは動かせないから、光之助くんが気持ちいいように動かしてね。
 わたしのおっぱいおまんこ、思いっきり………犯していいよ♥」
「は……はいっ!」
「しー。それじゃ……はい、大丈夫です。それではご確認を」

メリルが電話に戻るのと同時に、光之助は己が一物を谷間に突っ込んだ。

(っ!? 何だコレ!?)
「んっ! ……あっ、いえ。ちょっと物を落としそうになっただけです」

柔らかい。とてつもなく、柔らかい。
わずかに垂れ、雫のような形になっているメリルの胸。
それは年齢による劣化などとは違う。
脂肪たっぷり、乳腺少なめのやわらかおっぱい故の、自然な変形だった。

そっと、左右から押し込み、乳圧を強める。
手の平に伝わる感触は、つきたての餅よりも柔らかで、粘っこい質感。
ぐにゃりと形を歪ませ、手と肉棒の両方に、快楽と幸福を流し込む。

(ヤバイ……これヤバイ……何がヤバイって……すごくヤバイ)
「スカイランドビル8階、関東本社に2時……」

小さな身体に大きなおっぱいという、見た目のギャップ、『ロリ爆乳』に加え、
若いを通り越して幼い顔立ちに成熟した乳房という、触感のギャップ『熟幼女』。
その両方が成立している。

人間女性、魔物娘全てを探しても、簡単には見つからないであろう、奇跡の神乳。
それを本人が許したとはいえ、性欲の捌け口として自分勝手に使えるという愉悦。

おかしくならない訳が、なかった。

「ーーーーーッ!!!!!」
「はい、はいっ!? あ、いえ、まずはお見積もりだけでも、でしたね!」

声を出せない分、激情が動きに現れた。
左右の乳房を中央に押し付け、腰を前後に動かし、乳房の奥底を突き刺す。
ボリュームがありすぎて、いくら勢いよく腰を突き出しても、胸骨に届かない。
亀頭から根元まで、陰茎全てを包み込んでしまう、究極の縦パイズリ。
それすら、メリルのおっぱいにかかれば容易いことだった。

にゅぷにゅぷ、むにゅむにゅ、もにゅもにゅ。
あらゆる擬音が頭の中を飛び交い、快楽を増幅させてゆく。
瑞々しいのにとろとろに蕩けた乳房の中、肉棒がこねくり回される。

射精の寸前で、刺激を止められた男根。
単位に『分』を要する時間、耐えることなど不可能。

「で……射精るっ!」
「はい、それではその時間に……はいっ!」
「ふひゃぁっ!?」

射精反射が起こった、まさにその瞬間。
メリルが、唯一乳房の外側に出ていた睾丸を、絶妙な力で握り締めた。

「あ゛ぁっ゛、あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ーーーーー!!!!!」

世界を、星が舞った。
空気を、甘露が染めた。

先端をつまんだホースから出る水のような勢いで、白濁液が噴出した。
塊となった部分が転がり出るのに合わせ、ぎゅっ、ぎゅっ、と、玉袋が絞られる。
溜まった精液が次々と放たれ、次々と快楽が送り込まれる。

長い射精が終わり、思わず、腰が抜けた。
尻餅をつくかと思ったら、いつのまにか椅子が用意されていた。

「はぁ……はぁ……あ……社長、すいません……」
「大丈夫〜。たぶん、ごまかせたから〜。気持ちよかった〜?」
「そりゃあ、もう」
「よかった〜。おっきなおっぱい、好きなんだね〜」
「……まぁ、それなりには」
「嘘つけ! 本当は超大好きだろ!」
「うぉっ!?」

気配も無く突然現れたのは、メリルの第二秘書、リボン。
どうやら、椅子を用意したのは彼女らしい。

「ったく、素直にヤってもらえばいいものを」
「といっても、手が空いてる時だけという話でしたし……」
「電話は片手で取れるし、両手が塞がっててもお口とか、おっぱいとか、
 空いてる場所あるから大丈夫だよ〜」
「いや、物理的にという意味ではなくてですね……」
「親方に口答えすんなこのインポ野郎が!」
「インポちゃうわ! ちゃんと勃つっていうか、さっき勃ったわ!」
「だったな!」
「二人とも仲良しだね〜」
「「誰がこんな奴と!」」

胸に精液を浴びながら、メリルは笑顔。
仕事の時以外は、彼女もホブゴブリンらしい、微妙にズレた思考をしている。

「ところで社長。その、あれだけやってこう言うのもなんですけど、
 ホブゴブリンって、確かその……胸、弱いんですよね」

ホブゴブリンの特徴。
肥大化した胸は、交わりの際の武器であると同時に、最大の弱点。
それを、先程まで激しく揉みしだいていたにも関わらず、電話のやりとりはほぼ完璧。
むしろ、光之助の声の方が問題になりそうだった。

この疑問に対する、メリルの回答は。

「ものすごく気持ちよかったよ〜。だから、無理に耐えようとしなかったの。
 そのまま気持ちいいのを受け入れて、自然なままでいたんだ〜。そっちの方が、声でにくいし。
 それに〜、折角ならわたしのおっきなおっぱいで、どぴゅーって射精したかったでしょ〜?
 だから、ちょっと頑張ったんだ〜。一応、わたしはこの会社の社長だからね〜。
 光之助くんの性欲処理と、商談を一緒にやれるくらいじゃなきゃ」

いとも、当然のように言い切った。

(……こういうとこも『姐さん』派が多いっていうポイントなのか?)

エロ可愛い過ぎる女社長。
ホブゴブリン初の、代表取締役。

その肩書きは、伊達ではない。



「とまぁ、こんな感じのを作って欲しいんですよ!」
(うわぁ……まずいなこれ)

同日、午後。
本来ならプログラム作成をしている予定だったが、
クロエの命により、営業の魔物娘と共に顧客の下に赴いた光之助。
何となく感じていた、悪い予感が的中した。

要求が曖昧な上、かなりの無茶がある。
かといって、簡単に断るわけにもいかない。
しかし、この時一緒に来ていた魔物娘は。

「ふむふむ、そういうねー」
(……正直、来てくれただけでも奇跡なんだけど)

この場で堂々、頬杖をつきながら話を聞く魔物娘。
彼女の名は笹宮セリス(ささみや せりす)。社員中唯一のアントアラクネである。

種族的に、まともに働いてくれるとは思えない。
となれば、自分がどうにかするしかないが、光之助はこの分野が不得手。
経験が少ないことに加え、コミュ力にも自信が無い。

今回ばかりは、無茶をすることになる。
そう、覚悟した時。

「予算これくらいで、いい感じのヤツお願いしますよ!」
「うん、こういう大規模なの、あったらいいかもね。
 だけどさ、あなたの目的考えたら、必要ない部分が結構多いのよ。
 無理に最新の技術使わなくても、十分可用性は高く出来るわ」
「いやでも、どうせなら最新の方がいいじゃないですか!」
「最新の技術は、確かに魅力的ね。でも、その分高くなるの。
 他の会社だったらうちより安く、早く作れるかもだけど、大体不安定。
 あなたの会社の目的を果たすなら、旧式のシステムの流用でいい。
 むしろ、そっちの方がシンプルで使いやすいし、運用コストも安い。
 まぁ、うちは安定してリリースする為に、それなりにお金は頂くけど。
 大体、このくらいかしらね」
「……ちょっと高くないですか?」
「それは間違いないわね。だけど、こういう所をケチると、依頼先の社員はボロボロ、
 リリースされたシステムは未完成品ってことになって、Lose-Loseじゃない。
 その辺も考えた上で、どうする? 安いけど、不安定なまま出されるかもしれない、
 無駄な最新技術まみれの使いにくいシステムを他の会社に頼むか、
 それなりに高いけど、確実に100%の状態で出せるうちに頼むか」
「……分かりました。あなたの所でお願いします!」
「うん、それがいいわ。それじゃ、今後のことだけど……」
(……マジか)

完璧な、イエス・バット法。
商談は、綺麗にまとまった。



玄関を出て、建物が見えなくなるところまで歩き、
光之助は、セリスに話しかけた。

「セリスさん、ありがとうございます。素晴らしい話術でした」
「べっつにー? お金貰ってるんだし、その分くらいは働かないとねー」
「……あの、セリスさんって、ジャイアントアントではないですよね?」
「見れば分かるでしょ? きっちり脚8本あるんだから。
 ま、確かに珍しいかもね。けど、行動原理は普通のアントアラクネと一緒よ?
 ここでだらけると、後で余計面倒になるから、そうなる前に片付けてるだけ。
 『楽したい』っていう根本的なところは変わってないから。
 その辺は社長も知ってるし、その上であたしを雇ってくれたの。
 でもってこんだけ好待遇なんだから、流石に給料分は働かないと」
「なるほど」
「でも、怠け者って得よ? 特に有能な場合。あんたも有能なんだし、適度に怠けなさいな。
 バリバリ働く必要なんて、この会社じゃ全然無いから」
「それは違うと思うんですが……」
「いーのいーの。というか、あんたが頑張りすぎると迷惑なの。
 受注案件の許容量が増えると、こっちのノルマが上がって面倒なのよ。
 先輩命令。適度にだらけて、あたしのノルマを上げないように」
「……善処します」
「それ絶対やらないヤツよね!?」

アントアラクネさえも働かせる、株式会社モンスターソリューション。
社長の方針と人望が、社員のやる気を引き出す結果となっていた。



(……おかしい)

退勤時間。
いつもなら、このまま帰るだけだが、光之助は異変を感じていた。
何となくだが、確かに感じる。

(すげぇ、ヤりてぇ)

朝、あれだけ抜いたというのにも関わらず、性欲が湧いてきた。
インキュバスになるには早いし、原因が分からない。

「光之助くん、いる〜?」
「社長……」

ここで何故か、社長自らが訪れた。
まるで、自分の性欲の増大を察したかのようなタイミングである。

「ねぇ、帰りもヌくでしょ?」
「いや、その……帰ろうかと」
「え〜? おかしいな〜」

「クロエちゃんとセリスちゃんに頼んで、思いっきり魔力浴びせたはずなんだけど」
「あんたが原因かい!」

光之助がこうなるのは、必然だった。
メリルはこうしてでも、性欲処理の奉仕がしたいらしい。

「えっとね〜、昨日色々な『ふぇち』を研究してたんだ〜」
「社長何やってんですか」
「そこで見つけたんだけど〜」

くるりと向きを変え、尻を突き出すと、スカートをめくり上げた。
現れたのは薄い黒のパンストと、黒のTバックに覆われた、程よく小さめ、かつ上向きのヒップ。
容易く、光之助の海綿体に血が集まり始めた。

「光之助くん、パンストって好き〜?
 もしそうだったら、おちんちんをわたしのお尻にこすりつけて、
 パンスト思いっきり汚しちゃうように、びゅるびゅる射精してもいいよ〜?」
「……マジですか」

パンスト越しのプレイ。
フェティッシュではあるが、比較的一般的なフェチとして上げられるものの一つ。
つまり、支持層も広い部類に入り。

「どうする? 性欲処理、する?」
「是非ともお願いします!」
「うん♪ それじゃ、わたしの部屋に行こっか♪」

光之助の守備範囲にも、きっちり含まれていた。



四つんばいになったメリルの尻を、両手で優しく撫でまわす。
ストッキング特有のザラつきと、乳房とはまた違う肉感のある尻たぶの感触が、
股間への血流をさらに促す。

「うわぁ……すげぇ……」
「どの色がよかったか分からなかったから、リボンちゃんのおすすめにしたんだけど、
 似合ってる〜?」
「どう言うべきか……とりあえず、エロいのは間違いないです」
「なら、成功だね〜♥」
(流石第二秘書……こういうことまで完璧か)

女性らしい丸みを帯び、肌と対照的な色に包まれた、美尻。
Tバックが全体を美しく、艶かしく引き締める。
メリルの『女社長』という部分が強調された、大人っぽい性的魅力。

「あんまり蒸れてなくてごめんね〜。
 これ薄いやつだから、3日くらい履いてないと蒸れないんだって」
「いや、そういった性癖は……ないこともないですが。
 これはこれで程よい蒸れ感で、いい感じです」
「本当〜? よかった〜」
 
なお、男は蒸れたストッキングが大好物と教えたのはリボン。
彼女の知識は、そこそこに偏っている。

「ほら、触るだけじゃなくて、おちんちん擦りつけて。
 その為に履いたんだから」
「言われなくても」

ベルトを緩め、スラックスの中の息子を窮屈さから解放。
ぺちん、と音を立てて、下腹にぶつかり、跳ね返った。

「ここまで勃つもんなのか……」
「ずっと魔力浴びせてたからね〜」
「それもありますけど、前の会社にいた頃は全然勃たなくて。
 文字通り、精も根も尽き果ててたんでしょうかね」
「それなら、たっぷり溜まった精、ここでおもいっきり出して、
 い〜っぱい気持ちよくなろっ♥」
「はい。……うっ!」

メリルの甘い声に誘惑されて、亀頭を尻肉に押し付ける。
固く反り返った怒張が沈み、それと共に同じくらいの力で押し返す。
肉感も弾力も十分、最高の尻であった。

「わたし、おっぱいだけじゃなくて、おしりも自信あるんだ〜。
 光之助くんは、わたしのおしり、好き?」
「こんな最高のケツが嫌いな男なんて、いる訳ないでしょう」
「えへへ〜♥ 嬉しいな〜♥」
「うっ! 急に動かれたら……」
「それそれ〜♥」

左右に尻を振り、さらに亀頭を刺激。
直接的な快感に加え、視界にもクるものがある。

目の前には、いやらしく動く尻に嬲られる、自分の陰茎。
視線を前方に向ければ、真後ろにいるのにも関わらず、揺れが見えるメリルの爆乳。
光之助の視界は、ひたすら前後の淫靡な光景を行き来するのみ。

「もっと気持ちよくしてあげるから、おしりの割れ目におちんちん押し付けて〜」
「こう、ですか?」
「そんな感じ〜。それじゃ〜……それ〜!」
「うぉぉぉっ!?」

Tバックの細い布地に覆われた、尻の割れ目に竿を押し当てると、
メリルは激しく、上下に動いた。
当然、押し当てられた竿の下部、裏筋と擦れ、一気に快楽に襲われる。

亀頭への刺激は、快楽こそあるものの、射精に結びつくものではない。
しかし、この責めは射精に直結するもの。
瞬く間に、睾丸が縮み、精液がこみ上げてきた。

「ちょっ、これ、射精るっ!」
「いいよ〜♥ 思いっきり、わたしのおしりに射精して〜♥」
「あぁ……ああああああああああ!!!!!」

動きは加速し、とどめを刺しにかかる。
しゅるしゅる滑るストッキングと、ぷりぷりの尻肉に責められて、我慢の限界。
魔力に染められ、かつてない程に感じた淫欲が、白濁液となって飛び散った。

尻を中心に、メリルの背中まで精液が飛ぶ。
突き抜けるような気持ちよさが、そのまま具現化したかのような飛び方。

「やん♪ 光之助くんのおちんちんみるく、とっても元気♥」

精液を浴びるメリルは、とことん幸せそうな表情。
位置的に光之助はその顔を見られないが、声色からなんとなく想像できる。

射精が止んだところで、メリルが首と上半身をひねり、振り返る。
そこにいるのは、出すものを射精して、荒い息をつく光之助。

「はぁ……はぁ……すげぇ、射精た……」
「えへへ、いっぱい射精たね〜。けど、ごめんね。
 このイキ方だと、ストッキングにあんまりかけられないよね」
「いやもう、気持ちよかったんで十分です。
 尻だけにかかってるっていうのも、エロいですし」
「そう? でも、黒のストッキングに白いせーえきって、男の子にとっては
 最高にえっちな組み合わせでしょ〜? だからさ、もう一回履いてくるね〜。
 今度は……足コキでイカせてあげるから〜♥」
「……それ、今からでもいいですかね」
「あ、また硬くなってる♥」

尻の上部に飛び散った精液と、黒のストッキングのコントラスト。
その淫猥さに後押しされ、光之助の肉棒は忽ち、雁首を上げた。

「それじゃ、そこに寝転がって……あ、床だと固いよね。
 リボンちゃーん? 布団みたいなのある〜?」
「はいここに! 敷いときますね!」
「うぉっ、何処から出た!? ってか、何時から居た!?」
「この机の下から! お前が社長室入った辺りからだ!」
「最初からじゃねーか!? 社長、知ってたんですか!?」
「うん。やり方間違えるとたいへんだから、見ててもらったんだ〜」
「問題ないようなんであたしはこの辺で! あ、その前に一つ!
 親方、光之助は多分マゾです! あんなクソブラックで3年も働いてたんです!
 相当なドMでない限り死んでます! なので、踏み潰す感じで!」
「俺の息子を殺す気か!?」
「なら言葉責めとかで精神面を! それじゃ、後は二人でごゆっくり!」
「うん、分かった〜」

扉を勢いよく開けて、去っていくリボン。
これで、正真正銘、二人きり。

「それじゃ、準備もできたし、もう一回、ね♥」
「……気が抜けましたけど、ストッキングのエロさが勝ちました。
 なので、お願いします。……無駄に柔らけぇな、この布団」



椅子に座り、ストッキングに覆われた足裏を見せつけ、足指をわきわき。
一日中、革靴を履いていただけのことはあり、こちらはそこそこ蒸れている。

「一応言っておきますけど、俺、そんなにはマゾではないですからね。
 どちらかと言えばマゾ寄りってぐらいで」
「うん、まぁ、どっちでもいいんだけどね〜
 わたしの足で気持ちよくなっちゃうことに、変わりはないから〜」

分かってるのか分かってないのか微妙な返答をしながら、足裏で一物を挟む。
足コキは的確な刺激を与えるのが難しい責めだが、メリルは魔物娘である上、勘がいい方。
いとも容易く、感覚を掴んだ。

乾かないまま肉棒に残った精液を潤滑液代わりに、足を上下に動かして、扱く。
ゆっくりとしているが、確実に絶頂へと導く責め。
そして、その一方で。

「おちんちんふみふみされて、気持ちいいね〜♥」
(……あ、これヤバいヤツだ)

本能的に察した。そして、思い出した。

考えてみれば、メリルと言葉責めは、相性がいい。

ホブゴブリンと言えば、ゴブリンの突然変異種。最大の特徴は、巨大な胸。
他、左右非対称の角や、ゴブリン以上の怪力などもあるが、それ以外はゴブリンと同じ。

ゴブリンの性格は、『単純で意地悪』。
ホブゴブリンの性格は、そこに温厚さが加わったもの。
つまり。

「足でおちんちんいぢめられて、気持ちよ〜くぴゅっぴゅしようね、へんたいさん♪」

ホブゴブリンの言葉責めによって、得られるもの。
それは、(見た目は)年端も行かない少女に優しく罵られるという、強烈な背徳感。
幼い容姿は、こういう点でも活用できるのだ。

「おちんちんって、本当はおまんこに入れるものなんだよ〜。
 それなのに、足でふみふみされても、ぴゅっぴゅしちゃうんだね〜」

足コキ自体はゆっくりとしているが、かけられる言葉は強力な媚薬のよう。
じわじわと上ってゆく快楽が、徐々に脳を侵してゆく。

「こ〜んな小さな娘の小さな足でふまれて、おちんちん気持ちよくしちゃうなんて、
 恥ずかしくないの〜?」
(あぁ……気持ちいい……)

とっくに、羞恥心は捨てた。
思考能力の低下した頭にあるのは、『気持ちよく射精して、ストッキングを汚したい』のみ。

「自分よりずーっと小さな女の子の足でふまれてぴゅっぴゅした〜い♥ なんて思ってる〜?
 こんなことされて喜ぶなんて、へんたいさんの君くらいだよ〜?
 へんたいさんは足でもしゃせーしちゃうんだから、何でもいいんじゃない〜?」

「きんたまきゅんきゅんさせて、しゃせーの準備しちゃってる♥
 本当に射精しちゃうんだね〜。本当の本当に、だらしないへんたいおちんちん♥」

「でも、しょうがないよね。光之助くん、足でおちんちんぐりぐりされて、
 わたしの脚にマーキングしたいんだもんね♥」

濃縮された蜂蜜に漬け込まれたような、甘ったるい声と舌足らずな口調で、
罵倒の言葉がスラスラと流れ出てくる。

それに合わせて、足の動きも激しくなってくる。
両足をクロスさせ、足の甲で扱いたり、左右だけではなく、前後から挟んでみたり、
責め方のバリエーションも増え、刺激に慣れることを許さない。

「もうイッちゃいそうだね〜♥ いいよ♥ へんたいでそーろーなおちんちん、
 わたしの足に負けて、恥ずかしくイッちゃえ♥」
「はい、また……イクっ!」

ほぼ休憩なしで、2回目の射精。
勢いは全く衰えず、飛び散ったザーメンが今度こそ、メリルの脚を汚していく。
それによっていやらしさを増した脚を見て、更に射精し、それによってまた射精。
精液を噴出する度、次の絶頂が促される。

「ほらほら、まだまだ射精せるでしょ、へんたいさん♪)
(わたしの足でいっぱい射精してくれて……嬉しいな♥)

射精中でも、言葉責めはぬかりなく。
しかし、本心ではこの上なく、嬉しく思っている。
メリルにとって、光之助を気持ちよくイカせることは、何よりの幸せであるようだ。



「……んっ、こんな感じかな」

射精が終わった後、精液でドロドロになった脚を撮影。
何故かと思えば。

「おっぱいとかも撮ってから、後で送るね。
 会議とか、出張とかだと流石にできないから、オカズも用意しなきゃね」
「こんなことまでしてくれるんですか……」
「君が気持ちよく射精して、お仕事頑張れるようにする為なら、なんでもしてあげる♥
 それに、光之助くんのイってる時の顔、とっても可愛いし♥」
「……むしろ、さっきより今のそれの方が恥ずかしいです」

顔を赤らめながらも、笑顔。
確かな充足感が、心も満たしてゆく。

「そろそろ帰ろっか。……あ、光之助くんって焼き鳥好き?」
「はい、好きですけど」
「行きつけのお店があるんだけどさ、最近顔出してなかったんだ〜。
 だから、一緒に行かない? 勿論、わたしのおごりだよ。来る?」
「では、お言葉に甘えて」
「甘えて甘えて〜♥ えっとね、わたしのお勧めは〜……」

仕事終わりに、飲みに行く。
これも、光之助が社会人になって、初めてのこと。

新しい職場の日々は、順風満帆。
今宵は、鶏肉と幸せを噛みしめることになりそうだ。
17/07/05 16:34更新 / 星空木陰
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■作者メッセージ
仕事ができるから、性欲処理もできるのか、それともその逆か。
どちらにせよ、急成長中の会社のトップは、一味も二味も違う。

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