読切小説
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あくまがきみを さらいにくるぞ
「おかえりなさーい」

 アパートの玄関を開けた祐太を迎えたのは、青肌の小さな少女だった。

 慌てて祐太は扉を閉める。部屋番号を確認する。
 何度見ても自分の家だ。
 訝しみながらもう一度玄関を開けると、やはりそこには自分の知らない少女がいる。

「……えっと」

 青い肌や暗赤色の瞳(しかも白目の部分が黒くなっていて特徴的な)、黒い翼にドクロのアクセサリー。小学生のような身の丈を除けば、”悪魔”のような風貌だと祐太は思う。
 肩まで伸びたツインテール、ほんのりと膨らんだ乳房、下着程度しか着衣のない惜しげもなく晒された青肌、肉付きの良さと整ったスタイルを両立させた太腿と腰回り。
 そのまま少女をじっと見ていると、彼女はにやりと微笑んだ。

「もう夜の十時だけど、ご飯は食べた?」
「え? いや、まだ……」
「よかった! おゆはんもう出来てるから、はやく食べよ!」

 あまりに突然のことで祐太には状況が理解できない。
 この少女は一体何者なのか?どうやって入ったのか?どうして他人の家で夕飯を作っているのか?

「ほら、いつまで立ってるの?早くしないとおゆはん冷めちゃうよ!」

 小さな蒼い手に引かれ、祐太はようやく靴を脱いで家に入った。









 豚の生姜焼きとキャベツの千切り、ほかほかの白米と味噌汁がテーブルに並んだところで、二人が向かい合ってテーブルに座る。
 祐太が住んでいるのは1DKのアパートで、部屋にはテレビとテーブル、ベッドと本棚ぐらいしかない。
 少女からお茶の入ったコップを受け取りながら、悠太が口を開いた。

「それで、君は一体……?」
「ワタシ? ワタシはアマルテア! ルテアって呼んでね!」
「ルテア……いや、名前じゃなくて」
「え? 違うの?」
「とりあえず、どうしてここに君がいて、なんでご飯を作ってくれたのかを……」
「まあまあ、じゃあご飯食べながら話してくね」

 いただきます、とルテアが一礼すると、悠太もつられて一礼をした。

「ワタシは”デビル”っていう魔物なの。それでねえ、えーっと、どこから話そうかな?」
「魔物……?」
「そうそう、あ、魔物って言ってもニンゲンを襲うわけじゃないよ!
 もうそーゆう時代は終わっちゃったからね、今はむしろ逆かなあ。
 それでね、今は少しずつ勢力を広げるためにスイメンカ?で活動してるの」
「……はぁ、」
「ところで今日は……えーっと、夜十時ぐらい?っていう時間に帰ってきたけど、いつもこうなの?」
「今日は……久しぶりかな」
「そっか、それならよかった。
 私達は独身のヒトの家を探してちょっかい掛けてるんだけど、最近はほら、イロイロあるでしょ?
 一人の生活が寂しかったり、仕事がキツかったりで体調崩しちゃう人とか多いの。
 そんでキミに白羽の矢が立ったってわけねー」
「……そうですか」
「あー、ご飯とお味噌汁のおかわりあるから、欲しくなったら言ってね!」
「どうも」




 夕飯を食べ終えると、ルテアは後片付けを始め、祐太はその場でごろりと寝転ぶ。
 食器を洗い場に運び終わり、皿洗いも終えるとルテアは床で寝転ぶ祐太を見つけた。

「ほらほら、寝るなら着替えてからねー」
「……ん」

 ルテアに促されるまま、祐太はカッターシャツとパンツを脱ぎ始める。脱いだ服を洗濯かごに入れると、祐太はそのままベッドに突っ伏した。
 こっそりルテアが近づくと、すぐに寝息が聞こえ始める。

「食べすぎたのかなあ。ワタシの料理おいしいもんね〜」

 にやにやと笑いながら、ルテアはうつ伏せに寝る悠太に布団を掛ける。







――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「……困るんだよね、君がそういう心構えだと……新入社員に示しがつかないというか。
 ちゃんと残業代は出してるんだから、その分は働いてもらわないと……」
「も、申し訳ありません、課長」
「謝るのはいいからさ、ちゃんと成果で見せてくれよ。
 ウチの課は特に成績悪いって上からも言われてるんだよ?」
「は、はい」
「まったく……どうしてこう使えない奴ばかりウチの部署に来るんだ」
「……」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――






「おはよ〜、もう朝ごはんできてるよ」

 祐太が目を開けると、自分の上で寝転ぶ青肌の少女――ルテアの姿があった。
 確かな重さと体温がそれは夢ではないと主張してくる。
 閉まったカーテンからはもう日がとっぷりと射していた。

「……い、今、何時?」
「もうすぐ七時半だよ」
「は、早くしないと……!今日は朝一で会議があるのに!」
「ええっ、そうなの?でも朝ごはん食べるくらいは……」
「ね、ネクタイ、鞄、」
「……」
 
 慌てふためきながら支度する悠太をルテアは黙って手伝う。
 テーブルに置かれた白米と味噌汁に銀鮭という、二人分の朝食には目もくれず、慌ただしく家を出ていった。
 あとに残されたルテアは何も言わず、ただ一礼をしてから朝食を食べ始めた。











 ――深夜になり、日が変わった頃。ゆっくりと玄関の扉が開く。
 ルテアの目に入ったのは疲れ果てた顔の祐太だ。そして昨日は見逃していたが、目の下に隈があるのにも彼女は気づいた

「お、おかえり」
「……ただいま」

 部屋に上がると祐太はスーツを脱ぐのもそこそこに、どさりとベッドに崩れ落ちる。全部脱ぎ切るのがやっとで、スーツをハンガーに掛ける余力はなかった。
 テーブルに置いてある夕飯はやはり二人分で手付かずのままだったが、すでに冷めていた。

「ちょ、ちょっと。どういうこと?」
「……」
「昨日聞いた時は『十時に帰るのが久しぶり』って言ったよね?
 あれって、いつもはもっと遅い時間に帰ってたってコト?」
「……ん」

 ごろりと身を転がす祐太の口からは、返事のような曖昧な言葉しか返ってこない。
 仰向けになった祐太の顔には、寝ているはずなのに苦悶の表情しか伺えなかった。

「あきれた……そりゃ元気もなくなるよ。 ワタシの姿見たってゼンゼン驚かないわけだ……。
 もう、仕方ないなあ。 『してほしい』って言うまで取っとこうと思ったけど……」

 ルテアはベッドにぴょんと飛び乗ると、祐太の枕元で正座をする。そして祐太の頭をそっと持ち上げると、自分の両膝に乗せた。むちむちと柔らかいルテアの太腿で出来た膝の枕が祐太の頭を包み込む。
 
「ほら、もっと力を抜いて……」

 膝に乗った祐太の頭をそっとルテアの小さな手が撫ぜる。
 さわさわ、なでなで。
 幼子をあやすようにゆっくりと髪の毛を撫で、頬や顎を掌で包んでいく。

「よしよし、いい子、いい子……。今日もずーっと頑張ってたんだよね……」
「……んん……」

 祐太の顔からは少しずつ苦悶と堅さが取れていく。蒼い手で撫でられるたびに寝息が整ったストロークを刻む。
 五分もすれば、悠太の顔からは苦しみの表情が溶けて消えさっていた。

「……よかった、寝付いたみたい。
 それにしても……こんな目の隈に気付かないなんて、ワタシもバカだったなぁ……。
 やっぱりあの会社は警戒レベルを上げて、早急に対処しないと。
 とりあえずお仲間さんにお知らせしときますか……っと」







 朝。
 祐太が目を覚ますと、昨日と似たような光景が目に入ってきた。
 自分の上で寝ているルテア、カーテンから射す朝日。

「……け、携帯は……?」

 自分の携帯がどこにあるか分からず祐太が探し回ると、何故かルテアがぎゅっと握りしめていた。奪い取るようにしてスマートフォンを点けると、待ち受け画面とともに9:25という時間が表示される。

「ちっ、遅刻……!?」

 急いで祐太は会社に電話を掛けようとダイアルするが、

「はいそこまで〜」
「わっ!」 

 持っているスマートフォンをルテアがぱっと奪う。

「ちょ、ちょっと! 返して!」
「大丈夫だって。 ついさっき『今日から二、三日休みます』ってワタシが連絡しといたから」
「えっ?! そんな、なにを勝手に……!」
「……あのねえ、自分の体調分かってる?」

 通話を防いだのを確認したルテアは、ポイッとスマートフォンを枕の脇に投げる。

「昨日はなんとか寝れてたみたいだけど、目の隈はまだ残ってるし、お風呂だってろくに入ってない。
 おまけにまともなご飯も食べてないからフラフラだし――そんなんで大丈夫だと思ってるわけ?」
「……う、」
「そんな心配したカオしないの! ワタシだって電話くらいできるよ!」
「い、今からでも取り消しの電話を……」
「……はあ。どーしてこうオトコって分からず屋なんだろうねえ。
 ほら!いいからアンタはとっととお風呂に入ってくる!」
「……は、はい」
「ったく。あーそうだ、電源も切っとかないと」


 


 シャワーを浴びた祐太はルテアとテーブルに着くと、並べられた朝食を食べる。

「ごちそうさま」
「ごちそうさま。 ……いちおう聞くけど……ゆうた、味分かってる?」
「……なんとか」
「じゃあ今日のご飯は?」
「おいしかった……かな」
「へへん、それでいーの」

 えへんと小さな胸を張るルテア。

「じゃ、後片付けするね」
「あ、いや、それぐらいは僕が……」
「いいから寝てなさいって、まだフラフラでしょ」

 ルテアが食器を運び、皿洗いを終えて部屋に戻ってくると、祐太はもう仰向けになってベッドで横になっていた。
 それを見たルテアはにやりと笑うと、勢いよくベッドに飛び乗り、悠太に覆いかぶさる。

「ど、どうかした?」
「そういえばさ、まだ大事なコト言ってなかったよねえ。
 ワタシたちデビルがどうして男のヒトの家に来るかってコト……。
 それはね、私らがイチバン好きなのが、オトコの精液だからなんだよぉ」
「つまり、それは……」
「言わなくても分かるよねえ。
 今から骨抜きになっちゃうぐらいにイジめて――ん?」

 祐太にしな垂れかかったまま、ルテアの小さな手が祐太の股間をそっとまさぐる。
 しかし、彼女が期待したほどの膨らみはそこにない。

「……んもう、ワタシみたいなイイ子がひっついてあげてるのに……そういうのはキョーミないの?」
「その……最近は本当に忙しくて、そんな余裕も……」

 さらにルテアは首筋に脇腹、お腹に内腿と身体中をまさぐってみるものの、祐太の反応は乏しく、股間はおろか表情もさほど変わらない。

「これは……だいぶ重傷だねぇ……。
 今日一日あればどうにかなると思ってたケド……そんなに簡単じゃないみたい」
「……」
「あーあー、そんなに暗い顔しないの。
 せっかくのお休みなんだからゆっくりしよ、ね!」
「……うん」
「じゃあ私がマッサージしてあげるから、うつぶせで横になって」

 言われたとおり横になった祐太の腰によいしょ、とルテアが乗る。スウェット越しに柔らかい肢体の感覚と温もりが伝わった。

「まずは身体をほぐしていくからね〜、よいしょ、よいしょ」
「ん……」

 ぐにぐにと粘土を揉むようにして、背中の筋肉を解していく。ルテアは少女風貌だが魔物なので十分な力が籠っている。自分の体重をうまく生かしながら、ぐいっと背中全体を強く揉んでいく。

「この心臓のあたりをさすると血流が良くなるんだよ〜」

 次に胸元から首にかけてをゆっくりとさするようにルテアの掌がうごめく。
 特に首の付け根は念入りに、かつ性感帯をさするかのように優しく揉んでいく。

「二の腕の裏ももみもみ〜、どう?気持ちいい?」
「あぁ……んん……」

 敏感な箇所を柔らかいルテアの手でゆっくりと揉まれると、血行が良くなり身体が温まって、少しずつ力が抜けていく。 
 二の腕、脇腹、太もも、ふくらはぎ。筋肉がほぐれ、リラックスしていく。

「あとは……耳も揉んであげるねぇ」
「んぁ……」

 両耳を覆うようにして温い少女の手が触れる。
 何分かの間じっと掌で覆われていると、頭の中まで力が抜けていくように感じる。

「……」
「ん、寝ちゃった……かな?」

 整った寝息が聞こえるのを確認すると、ルテアはそっと耳から手を離す。
 祐太を起こさないようにそっと姿勢を変えて、覆いかぶさるようにルテアも寝そべる。

「ちゃんといい夢見てよね……ん……」

 彼の頭をさわさわと撫でながら、ルテアもまた少しずつ眠りに落ちていった。











 祐太が目を覚ますと、時計はすでに午後三時を回っていた。

「……あれ、もうこんな時間か。随分寝ちゃったな……」

 目を擦りながら周りを見てみるが、部屋にルテアの姿はない。

「あっれは〜だれだ〜、だれだ〜だれだ〜」

 部屋の向こうから調子のいい歌が聞こえてくる。
 水を飲もうとダイニングに行ったところで、夕飯の下ごしらえをしているらしいルテアを見つけた。

「あ、起きた?ちょうどよかった、調味料が足りてなかったの。
 あとで一緒に買い物行こ!」
「え? あれ、でも……」
「なに、ワタシの姿のこと? それならちょちょいと誤魔化せるから大丈夫だって!」
「……」

 特にやることもなく、祐太は部屋に戻ってテレビをぼーっと眺めていた。
 自由な時間が出来たのが久しぶりで、何をしていいのかが分からない。
 五分ほど待っているとルテアが部屋に戻ってきた。

「おまたせー。どう? 身体は大丈夫?」
「うん」
「じゃあちょっと買い物に行く前に……よっと!」

 そっとルテアが近寄ると、座っている祐太の股間に手を伸ばす。ルテアと身体が密着すると、彼女から漂う甘い香りが祐太の鼻をくすぐった。

「ちょ、ちょっと……」
「ん〜、ちょっとは元気が良くなってきたけど、まだまだかな。
 今日は精のつく料理にするから楽しみにしといてね!」
「……」





 その日の夜。

「ごちそうさまでした」
「ごちそうさまー」

 いつものように夕飯を食べ終え、片づけを終えると、ルテアは祐太のそばに行く。 

「どう?疲れ、残ってる?」
「いや……ちょっと寝すぎたせいか、まだ目が冴えちゃってるかな」
「ふうん……じゃあ、ちょっと試してみようかな?」

 ルテアの右手が祐太の股間を撫でる。
 やはり突然のことで驚いたものの、少しは慣れたのか声を上げる事はなかった。

「服……脱がしちゃうけど、いいよね?」

 返事はしなかったが、祐太はそっとベッドに腰掛ける。
 ルテアは祐太のスウェットと下着に手を掛けてゆっくり脱がせていく。
 膝から太腿、そして股間に掛けて、露わになった肌をつーっとルテアの青い指が撫ぜる。
 彼女のくりくりした赤い目で局部を見つめられていると思うと頬が熱くなった。

「足開いて……んん、ちょっとはおっきくなってるけど、まだみたいだね」

 ベッドに座った足をぐいっと開かされ、さらに羞恥心は強くなる。
 さわさわと内腿をさすられながら、ふーっと熱い吐息を肉棒に吹きかけられ、くすぐったさと気持ちよさが走る。
 性感が高まっていくにつれ、少しずつ肉棒は上を向き始めた。

「おちんちんピクピクしてる……ほら、頬ずりしたら気持ちいい?」
「ん、んん……」

 ぷにぷにしたルテアの頬でペニスが擦られ、吸い付くような感触が先っぽを刺激する。
 優しい愛撫によりペニスはピンと上を向き、それなりの硬さを持って首をもたげた。

「まだ皮被ったままだね……じゃあ、おクチで剥いてあげる……♪」

 はむっ、と亀頭の先っちょをルテアの唇が咥える。
 ぬるぬるの唾液で塗れた口内がゆっくり亀頭に吸い付き、余皮を剥きながらゆっくりと奥まで咥えられていく。うごめく舌がカリの周りを撫でていくのが気持ちいい。
 ちゅぽん、とペニスから口が離れ、亀頭を露わにした肉棒がヒクヒクと震えていた。

「あ、ああぁ……」
「んむっ……ぷはぁ、キレイに剥けたね♪
 もうこんなにボッキしてるし……んふふ、たっぷり舐め舐めしたげる♪」

 ぱくっと再びペニスが咥えられる。今度は亀頭を通して竿まで一気に口内へと飲み込まれた。
 ちゅぷちゅぷ、ぬちゅぬちゅ。
 舌で裏筋やカリ首を舐め尽くしながら、さらに顔を動かして上下運動を加えられ、どんどん射精欲が高まっていく。

「お尻の穴はどうかなぁ? ココを弄られるとすんごく気持ちいいらしいよ?」

 ルテアの手がお尻の割れ目に潜り込み、細い指がアナルの入り口をなぞる。
 ぬるんと唾液で塗れた指がつぷっと菊穴に入り込み、ゆっくりゆっくりと中を掻きまわしていく。さらに祐太がピクンと反応した箇所は見逃さず、執拗にそこをこりこりと撫でていく。
 腰が抜けそうな刺激に耐えられない祐太は、腰を引きながら背をのけ反らせてしまうが、

「あ、うぅ……っ」
「ほら、逃げちゃだーめ♪」
「っ?!、そ、そんな深くまで……っ」
 
 ぎゅうっとルテアに腰から抱きつかれ、腰を引けないようにがっちりとホールドされてしまう。
 強制的に快楽から逃げる事を止められ、思わず祐太はしがみつくようにルテアの頭を抱きしめる。さらさらとしたツインテールの感触さえたまらなく気持ちいい。
 腰を抱え込まれたことでさらにじゅぷっ、と喉奥までペニスを飲み込まれ、ペニスが温い口内で溶けてしまいそうだった。

「あ、あ、で、出ちゃうっ……」
「んぐっ、んんん……♪ ぷはっ、すっごい出たね……♪」

 びゅくびゅくと勢いよくルテアの口内に射精してしまう。
 長い長い射精のあと、こくこくと喉を鳴らして精液を飲み込まれる。
 そしてじゅるじゅると亀頭に吸い付かれ、尿道に溜まっている精液まで絞り出されてしまう。
 腰が抜ける感覚に耐え切れずちゅぽん、とペニスが口内から引き抜かれると、悠太は仰向けにベッドへ倒れ込んでしまった。

「うふふ、いっぱい射精できたね、えらいよぉ♪
 美味しいセイエキ、たっぷり食べちゃったからね〜♪」

 ベッドに倒れ込んだ祐太の頭をルテアがぎゅっと抱きしめる。
 ほんのりと膨らんだ乳房の柔らかさが直に顔へむにっと伝わり、後頭部をよしよしと子供のように撫でられる。
 すーはーと息をすると、ハチミツのように甘いルテアの匂いが鼻をくすぐる。
 人肌の温かさに包まれる心地よさが祐太を眠りに導いていった。













 祐太が次に目覚めると、もう鳥のさえずる音が聞こえていた。
 どうやらまた朝まで眠ってしまっていたらしい。ただ、自分の体はちゃんとベッドに寝かされているし、布団も掛けられている。ついでにいうと、ルテアが横で寝ているのもいつも通りだった。
 
「……もう朝か……」

 日課として祐太がスマートフォンの電源を付けた瞬間、携帯電話がうるさく着信音を鳴らす。不在着信が数件あるのも目に入った。
 表示されている電話番号は祐太の上司のものだ。
 それに気づいた祐太は慌てて電話を手に取り、着信ボタンを押す。

「も、もしもし。何でしょうか、課長」
『何でしょうか、じゃないよ祐太君! 急に休むなんて言われてこっちがどれだけ困ったか!』
「す……すみません」
『大体ね、妹さんか誰か知らんがそんな大事な電話を代わりにやらせるなんてどうかしてるだろう!
 勝手に休みを取られて迷惑するのは私たちなんだよ!』
「は、はい……」
『もう謝るのはいいから、有給取り消して早く出社して――』

 ばっ、と祐太の手からスマートフォンがはぎ取られる。

「あーもしもし、課長さん?
 ウチの祐太くんは疲れてて動けませんので、今日もやすみまーす」
『なに言って――』

 ルテアがボタンを押すと、通話はぶちんと切れた。
 さらに彼女はスマートフォンそのものの電源を落として、電話が掛かってこないようにする。

「ちょ、ちょっと!」
「なによもぅ、うるさいなあ」
「そんなことされたら、僕の立場が……」
「――なにバカなコト言ってるの!?」

 はっきりとしたルテアの怒声に、祐太は怯んで何も言えなくなる。

「……あ、ごめん、怒鳴っちゃって。
 でもねえ、まだまだキミの疲れは抜けてないんだよ?
 有給だって全然使わずに残ってるのに、今使わないでいつ使うの?」
「でも、僕が休むと会社の皆に負担が……」
「そんなんで傾くようなヒトの置き方しかしてない会社の方が悪いに決まってんでしょ!
 寝ぼけたコト言ってないで、顔でも洗ってきなさいっ」
「……」

 言われるままに祐太は洗面台へ向かう。


「……ゆうた、なんでそんなそわそわしてるの?」
「その、どうにも気になって。会社のことが……」
「はあ〜、せっかく休み取ったのに、それじゃ意味ないでしょ!
 ほらゲームでもしよ、プリステ3もデビル名倉イとかもあるじゃん!」
「そう、だね……じゃあ電源を……あれ、」
「どうかした?」
「”プリステ3本体のアップデートに二時間掛かります”だって……」
「……」

 沈黙が流れ、無言の時間に耐え切れない祐太はごろんとベッドで横になる。
 テレビの画面は注意文と共に粛々とダウンロードバーの色を変えるだけだ。

「あーそうだ、こういう時間の空いたときこそアレだよね」
「え?」
「男と女が二人なんだから、セックスに決まってるでしょ!」
「えっ、」

 突っ込みを入れるヒマもなく、ルテアの小さな身体が祐太目がけて飛び掛かる。
 ベッドがぽふんと跳ねて、二人の身体がゆったり沈む。

「でもあんまり激しくするとお休みにならないからねえ。
 今日はゆっくり、ゆーっくり愛してあげる♪」

 服を脱がそうとするルテアに祐太は多少抵抗するものの、露出した肌を撫でる愛撫に力が抜けてしまう。
 彼の上半身はあっという間に脱がされ、ルテアはすりすりと愛おしそうに頬を寄せる。
 仰向けに寝る祐太の腹によいしょとルテアが乗り、馬乗りの形になった。

「力入れちゃダメだよお。目を閉じて、ワタシの愛撫に身を任せて……」

 さわさわと祐太の両胸を揉むように蒼い手が肌を撫ぜる。
 円を描くようにくりくりと乳首の周辺を優しく撫でながら、ピンと勃った乳首に唇を寄せる。ルテアが顔を近づけると、温い吐息と薄青色のツインテールが肌をくすぐった。
 細い指がこりこりと乳首を弄り、もう片方の乳首をれろりと熱い舌が舐める。

「ん、あ……」
「どう?男の子だって乳首は気持ちいいんだよ……?
 指でぴんっと弾かれると、なんだかぞくってしちゃうでしょ♪」

 チロチロとくすぐるような舌遣いで乳首を責められると、思わず声が出てしまう。
 ルテアの右手はもう片方の乳首を、左手は脇腹や太腿をふんわりと撫ぜていく。
 その快楽に身を任せているうちに、下半身の服もあっという間に脱がされ、丸裸にされていった。

「あは、今日はちゃあんとボッキしてるね……えらいえらい♪
 じゃあ焦らさずに、おまんこでぱっくり食べてあげる♪」

 くちゅ、と肉棒の先端に蜜液で濡れた膣穴がくっつく。
 ぱくぱくと開閉するその穴は早く食べたいと言わんばかりに愛液をとろりと垂らしていた。
 ルテアは膝立ちの姿勢になると、ゆっくり、ゆっくりと腰を下ろしてペニスを膣に迎え入れていく。

「あ、あっ、入ってくる……キミのおちんちん……っ!
 すっごく熱くて、おっきいっ……入れただけなのに、もうイっちゃいそう……♪」

 ビクビクと身体を震わせながら、ルテアの膣はずっぽりとペニスを奥まで咥え込んでいった。
 口内よりも遥かに熱い、ルテアの中。 
 ペニスをぎゅっと包み込み、暖かくて柔らかい、けれどしっかりつかんで離さない肉の感触。
 何重ものヒダが亀頭を愛撫し、ドロドロの蜜液がねっとりと絡みついてくる。

「で、でも……今日は、ゆーっくり、だからね。
 まずはこのまま……入れたまま、じーっとしてるの♪」

 ゆっくりとルテアは身体を傾かせ、挿入したまま祐太の上半身を覆いかぶさるように抱きしめる。
 繋がったままのペニスから伝わるルテアの熱さと、上半身から感じるじんわりとした温もり。

「あ、あぅ……」
「あは、じゅぽじゅぽして欲しくて、キミのおちんちんがビクビクしてるの、分かるよ。
 それじゃあ、ちょっとだけ……ゆっくり、ね?」

 にゅるる……と、ルテアの腰が少しずつ浮いていく。
 離さないと言わんばかりに膣肉がぎゅうっとペニスを締め付け、亀頭までいったところで動きが止まる。
 そしてずぷぷ……と、もう一度ゆっくり、秘裂の奥底に肉棒を咥え込んでいく。
 ゆったりとしたピストン運動は激しい快楽ではないけれど、確実に射精欲を高めていった。

「あっ、あああ……!」
「んあぁ……んんっ、んーっ……♪
 おちんちんがゆっくりアタシのナカこすっていくの、クセになりそう……♪」

 次第にルテアの吐息は熱く、早くなっていく。
 ぬるりと垂れる愛液がペニスを伝い、祐太の腰を少しずつ汚していった。

「ほら……っ、ちくび、触ってあげるからっ、キミも、アタシのコリコリして……?」

 二人は互いに両手を使い、そっと乳首を弄りあう。静かに性感帯を責めあうのがたまらなく気持ちいい。
 ゆったりとした交尾は互いを同じペースで昂ぶらせ、ペニスと膣が溶け合ってしまったかのような錯覚さえ覚えさせる。汗が垂れて、視界がゆっくりと白に染まる。
 長い長い時間を掛けて、二人とも限界を迎えようとしていた。

「そ、そろそろ……出ちゃう……っ」
「ああ……! ね、ギュって、するよっ……!
 す、すごいの、来ちゃうから、もっと、もっとぎゅっとしてぇっ……!
 あっ、ああっ、ああぁぁぁっ……!!」

 身体を震わせ、二人は同時に絶頂を迎える。
 どろりと身体が溶けていくような、激しいピストンのセックスでは味わえない快楽が互いを包んでいく。精神さえ溶けそうなその気持ちよさに耐え切れず、お互いを強く抱きしめあう。 
 射精するペニスがぎゅっぎゅっと締め付けられ、一滴残らず絞り出されるかのような感覚に陥った。
  
「ふああ……すごい、気持ち、よかったぁ……。
 いっぱいいっぱい、ワタシの中に射精しちゃったね……♪
 キミの熱いの、子宮のナカにいーっぱい溜まっちゃったよ♪
 ほら、たっぷり射精できてえらいえらい……よしよし♪」

 繋がったまま、ルテアは愛おしそうに祐太の頭を撫でる。
 ルテアの幼く細い身体で全身を包み込まれるような感覚に、祐太は蕩けていった。













 ――そして、二日後の朝。
 祐太はルテアの作った朝食を食べた後、会社に行く準備を済ませていた。 

「ほんとにだいじょーぶ? まだ疲れてない?」
「うん。それに、これ以上は流石に続けて休めないし……」

 祐太の顔からは隈が取れ、ぼんやりとした様子になる事もほとんどなくなっていた。
 それでも訝しむような顔でルテアは彼を舐め回すようにじろじろと眺める。

「むー……まあいいけど、無理はしちゃダメだからね、いい?」
「気を付けるよ。じゃあ、行ってきます」
「……いってらっしゃい」

 祐太が玄関から出ていくのを見送ったあと、ルテアはどこからかスマートフォンを取り出す。
 手馴れた手つきで携帯を操作すると、誰かに着信を掛けた。

「――あー、もしもし。そっちの準備はどう? ……え? 今日じゃ出来ないって?!
 もうそろそろタイミング合わせないとまずいじゃん! 大丈夫かなぁ……。
 あーうん、……もしアレなら、こっちだけでも動くよ、いいね?
 ……うん、じゃあそれで。 ばいばーい」









「……遅いなあ」

 ルテアが自分の携帯電話を確かめると、もう夜九時を廻っていた。

「そんな気はしてたんだよねぇ。
 ……やっぱり、あの電話が掛かってきてから無理やりにでも休ませるべきだったかなあ」

 ぶつぶつと呟きながら、ルテアは祐太に電話を掛けてみる。
 番号自体は教えていないが、もしかしたら出るかもしれないという可能性を信じてみた。
 しかし、祐太が電話に出る気配はない。

「……」

 ルテアは苦虫を噛み潰したような顔で通話を止めた。
 そして、ばっと窓から身を翻すと、ふわりと飛んで勢いよく夜の中に消えていく。
 







 
「……こんなトコにいた。もー、探したんだからね!」

 ルテアが祐太を見つけたのは、祐太の会社とアパートの間にある小さな公園だ。
 夜も更けており道行く通行人はほとんどおらず、道路近くにも面していないので、辺りはしんと静まり返っている。
 祐太はその公園のベンチにぐったりとした顔で座っていた。

「ゆうた……どうしたの?」
「……ルテア」

 ルテアの問いかけに祐太は瞬きを数回繰り返す。ただそれだけで、彼女の方を見ようとはしなかった。

「……だめなんだ。ぼくが、悪いんだ」
「え?」
「『次の仕事先なんか見つからないようにしてやる』って言われて……、
 何も言えずに、ずっと今日、反省文ばかり、書いてて……。
 やっぱり、僕は……ずっと、間違ってたんだなって……。
 仕事も、ろくにできないのに、ほかの皆のことも、考えられなくて……」
「……」
「ぼくは……もう……」

 うつむく祐太の顔を、ルテアの手が強引に持ち上げる。

「――いいかげんにしなよっ!!」

 今まで聞いた事のないほど強い怒号が、祐太の身体を跳ねさせた。 

「自分が悪い、自分が悪いって! バカみたいに殻に籠って!
 なんにも文句を言わないのが長所だとでも思ってるの?!
 かけがえのない自分が壊されていってるのに、どうしてされるがままになってるのよ!」

 学校や職場で何度も怒声を向けられたことのある祐太だが、ルテアのそれが今まで聞いたそれとは違うのが分かる。
 彼女は本心から自分の為に怒ってくれているのだ、と。

「……あの会社の人たちはね、みんなそうなの。
 互いに目を着け合って、みんながみんな苦しみあうことで連帯しようとしてる。
 逃げようとしたら一人を脅して『他の皆が苦しむ』なんて言って、無理やり繋ぎ止めて。
 だから、だあれも文句を言えない――。 なんなのそれ、バカみたい」

 じわりと祐太の目が滲む。嗚咽を止めようとするがうまく止められない。声も出せずにただすすり泣く。
 
「……もういいの。キミはとても、とってもよくがんばったよ。
 ずっと辛かったのに辛いって言えなくて、大変だったと思うの。
 だから、もうちょっとだけ休みましょう。ワタシと一緒に、ね?」

 ぎゅっとルテアの腕が祐太の頭を抱きしめる。同時に柔らかい掌がそっと彼の頭を撫でた。
 
「ワタシのいた世界なら、きっとキミも良くなるよ。
 だから、一緒に――来てくれる?」

 暖かな人肌の温もりに包まれながら、祐太はただ頷いていた。















――――――――――――――――――――――――――――――――――――



 ――魔界。

「ああぁ……で、出るぅ……」
「んあっ、ふぅぅ……ああ、イイ顔してる……♪
 射精したばっかりのキミの表情、すんごくカワイイよ……♪」

 常闇の支配する空間に置かれたキングサイズの真っ白なベッドで、祐太とルテアは蕩けあっていた。
 まるで動物のように身を擦り合わせ続ける二人の身体は、互いの体液でどろどろに汚れあっている。

「ほおら、もっとカワイイ顔見せてよぉ。次は何時間焦らしてあげちゃおっかなぁ〜……ん?」

 ぶるぶる、とベッド脇にあるルテアのスマートフォンが振動する。
 仕方ないな、とばかりに表情を変えながらも、ルテアは電話に出た。

「はーい、もしもし……あー、あの会社の件?
 ワタシんとこは許可もらって早めに”堕とした”から、もうこっちに戻ってるけど〜。
 ふーん、うまく行ったの? そりゃ良かった。ウチの妹もおこぼれ貰えるといいんだけどね〜。
 あの子ホントに内気でさぁ、そーいうのも需要あるよって言ってあげてんのにダメで――」

 射精の余韻に浸る祐太の陰嚢をもみもみと揉みしだきながら、ルテアは電話を続ける。

「そんじゃ、次のターゲット決まったら妹に……あーいや、ワタシから言った方がいいかな。
 じゃあまた連絡よろしくね〜、はーい。
 んふふ、おまたせぇ。……次はおちんちんに触らずイクってのも面白いかもね〜?」


 悪魔はいつだって笑顔でやってくる。

15/10/25 16:55更新 / しおやき

■作者メッセージ
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