読切小説
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ちゅうけんコボルド
わふ? ここでずっとなにをしているか、ですか?


わふっ! わたしはここでごしゅじんさまをおまちしているんです!


ここでいいこでまっていたら、ごしゅじんさまはおっきなほねつきにくをかってきてくれるんです!


かならずむかえにくるから、ぜったいにここでまってるようにって、ごしゅじんさまがいったのです!


わたしがひとりでまっててもだいじょうぶなように、ごしゅじんさまはこうやって、だんぼーるとぶらんけっともよういしてくれました!


ちょっとごしゅじんさまがくるのがおそいけど……でもごしゅじんさまはわたしにうそなんてつきません!


だからわたしはいいこで、ちゃんとごしゅじんさまをまっているのです!


……きょうがなんのひですか? あ、きょうからしがつですね! はるです、ぽかぽかできもちいいです!


ごしゅじんさま、はやくおむかえにきてくれないかなぁ……わふわふっ、わふわふっ。



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わふぅ。


まだかなぁ、ごしゅじんさま。


おひさまもかたむいてきて、ちょっとさむくなってきたのです。


でも、わたしはおりこうさんですから、ちゃんとごしゅじんさまをまっているのです!


ごしゅじんさまがきてくれたら、いっぱい、いーっぱい、かわいがってもらうのです!


あたまをなでてもらって、おなかもなでてもらって、おにくもいっぱいもらうです!


だから……はやくむかえにきてくださいね、ごしゅじんさま。わふん。


わたし、ちゃんといいこでまってます。わふわふ。


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わふっ……ちょっとだけ、さむくなってきました。


だんだんくらくなってさみしいですけど、ごしゅじんさまをおもえばなんのそのです!


でも……ごしゅじんさまがかえってきたら、いっぱい、い〜っぱい、かわいがってもらうのです。


さみしくさせたんですから、それくらいはゆるしてほしいのです。


……ごしゅじんさまぁ。いま、どこにいるのでしょうか……。


さむさでふるえたり、さみしくなったりしてないでしょうか……。


わたしは、きになるのです……。


わ、わ、わふちっ。


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わふぅ……くらくてさむくてさみしいです……。


おなかもぺこぺこで、もうめのまえがよくみえないのです……。


でもわたしは、ぜったいにここからうごきません……。


だって、もしわたしがかってにどこかにいったら……ごしゅじんさまはきっと、こまってしまいます。


わたしのことをさがしにいって、まいごになっちゃうかもしれません……。


だからだめなのです……ごしゅじんさまのいいつけをまもって、ちゃんといいこでまっているのです……。


ごしゅじんさまはぜったい、ぜ〜ったいに、むかえにきてくれるはずなのです……。


ごしゅじんさまがわたしに、うそなんてつくはずがありませんから……。


ごしゅじんさま……かえってきたら、いっぱい、い〜っぱい、なでてくださいね……。


わたしのこと、いいこだねって……たくさんなでてくださいね……。


わふぅ……。



でもごしゅじんさま、ごめんなさい……。



わたし、なんだかねむくなってきちゃいました……。



ごしゅじんさまのこと……ちゃんとおむかえしたいのに……。



ちょっとだけ……ねむらせて……ください……ね……。



ごしゅじん……さま……。



わた……し……いいこ……で……まって……。















おしまい……。

18/04/08 18:18更新 / まわりの客

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