読切小説
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打倒クリスマス!神国日本を復活させよ!
「日本は腐りきっておる!大東亜戦争に負けて、男は愚連隊か腑抜けになり、女はパンパンになり果てた。我らは奴らを叩き直し、神国日本を復活させねばならん!」
 水華様は拳を突き上げて演説をしている。頭には「國体護持」と書いた日の丸の鉢巻きを締め、手には長刀を持っている。狂人のような有様だが、これでもこの地方の気象を司る水神たる龍だ。頭からは茶色の角が生ており、手は緑色の鱗に覆われ下半身は蛇の様な体である。それらの人間離れした体が、凛々しさを感じさせる美貌と艶めかしい人間女性の体と同居しているのだ。
「もうすぐ『くりすます』なる腐り果てた行事が始まる。伴天連の『神の子』とやらの祭りにかこつけ、堕落した男女が不浄の交わりを行う日だ。我ら日の本の神とそれに仕える者は、南蛮人どもにたぶらかされた愚物どもに天誅を下すのだ!」
 水華様の檄に応えて、白姫と私は拳を突き上げる。白姫は水神の巫女たる白蛇であり、私は、まあ信者のような者だ。水華様に従う事が義務と言っていいだろう。もっとも、私は面白ければそれで良い。恋人がいない貧乏人としては、クリスマスにひと騒ぎ起こしたい。
 水華様と狂乱を起こして、せいぜい楽しむ事としよう。

 水華様は、クリスマスイブと当日に大吹雪を起こすつもりだ。水華様は気候を操る力を持っており、吹雪を起こす事も出来る。クリスマスイブに街に出るカップルを、雪と氷で打ち倒そうという訳だ。
 これは、水華様にしてはまっとうなやり方だろう。気候を操る事は、龍としての管轄内の行為だ。まあ、自治体を管理する官民の人間にとってはたまったものではないだろうが。それでも、戦車に乗って出撃するよりは龍らしい行為だ。
 水華様は、この地方に出来たサバトの支部を潰そうとした時に九七式中戦車に乗って出撃しようとした。神社の後ろに防空壕が有り、そこに隠してあったそうだ。何故神社の後ろに防空壕が有るのか、何故敗戦から七十年経とうと言うのに九七式戦車が有るのか、いまだに動くのは何故か、水華様が何故操縦できるのか、そもそも龍の体で中戦車に乗る事が出来るのかと突っ込み所は多い。だが実際に、水華様は九七式中戦車に乗って出撃しようとしたのだ。サバトは「鬼畜米英の邪教」だから潰さなければいけないそうだ。サバトを主宰するバフォメットは異世界の悪魔だから、「鬼畜米英」ではないと思うのだが。それはともかく、この暴挙は私と白姫が羽交い絞めにして止めさせた。
 サバトの方も、水華様を嫌っている。どうやら水華様の豊かな胸が気に食わないらしい。一度バフォメットがこの地方に来たが、子供のような体に小さな胸をしていた。サバトの構成員たる魔女やその使い魔たるファミリアも、子供の体に小さな胸をしていた。大人の体にふくよかな胸をしている水華様は、彼女達のコンプレックスを刺激するらしい。嘘か本当かは知らないが、「打倒、巨乳!」がサバトのスローガンであるらしい。そういう訳で、水神神社とサバトは冷戦状態である。
 水華様の現在の関心は、サバトよりもクリスマスだ。クリスマスにセックスを励む「愚連隊とパンパン」を叩き直さなければならないそうだ。「日本男児と大和撫子」を復活させて、「アメリカ兵によって麻薬とセックスで汚された」日本を建て直さなければいけないと叫んでいる。私と白姫は、それに協力するつもりだ。
 こんなキ印右翼の戯言に付き合うのは、前述したように楽しければいいからだ。恋人のいない上に、友達もいないし家族と仲の悪い私は、クリスマスを楽しむ人々を引っ掻き回す騒動は望む所だ。刑務所に入れられるかもしれないが、それも望む所だ。私は学歴、職歴、能力が無く、ろくな仕事に就けなかった。そして当然の事ながら金も無く、一生金には縁は無いだろう。そんな有様なので前科者になっても構わない。
 私の様な人間は、「誰でもいいから人を殺したかった」となるかもしれないが、これでも私は踏み越えてはいけない線は分かっているつもりだ。私がやる事は、あくまで騒動を起こす事だ。騒動を起こした後は刑務所でいじめられるかもしれないが、それはシャバでも同じ事だ。刑務所でカマを掘られる人もいるらしいが、私のカマを掘る物好きはいないだろう。
 そういう訳で、私は魔物娘と共に騒動を引き起こし、楽しくやろうという訳だ。

 私は、白姫と共に神社で準備を行っていた。先月まで私は、アウトソーシングを業務とする会社に勤めていたが首になった。その会社は、契約社員を大量採用して契約解除と言う手続きを経て大量解雇を繰り返す会社だ。私は二年ほど勤めていたが、契約社員の中では長い方だろう。失業して時間が出来た為に、こうして平日の昼間から神社の手伝いをしているわけだ。
 準備の内容は、クリスマス粉砕の準備の他に年末年始の行事の準備だ。この時期の神社は忙しく、猫の手を借りたいほどだ。私のような非才な者でも、猫の手くらいの役には立つらしい。白姫の指示に従い、物資の運搬をしている。まあ、私に出来る事はこれくらいだろう。地元の関係各所への連絡や打ち合わせは、白姫がやっている。
 運搬に一区切り出来て、私は白姫に社務所でお茶と菓子を振舞われていた。玉露をすすりながら金鍔の甘みを楽しみ、ストーブで温められた室内から外の雪景色を眺める。木々の枝は白雪で覆われ、その隙間から沼が見える。水神たる龍は、沼や池、川の近くに住み、神社もその近くにある事が多い。白雪の間から見える濃紺の沼こそが、水華様の支配領域の中心だ。
 私は、ぼんやりとこれからの事を考えていた。職探しはしているが、御座なりにしかやっていない。いい加減に職を転々とする事にはうんざりしてきた。水華様や白姫と騒動を引き起こして、さっさと刑務所へ入りたいくらいだ。
 水華様は、クリスマス粉砕のために私達以外にも日本の魔物娘を集めている。つまり、水華様の知人には男のいない魔物娘が多いわけだ。類は友を呼ぶという事だろう。「大日本帝国の復活じゃ!」と水華様のテンションは高い。楽しい事になりそうだ。
 私の手に、白く繊細な手が重ねられた。白姫が、私を微笑みながら見ている。私は、その秀麗な顔に思わず見とれてしまう。白雪を思わせる純白の髪が細面をかざり、紅玉のような眼差しが私をまっすぐに見つめている。白と薄紫の巫女服の下から、髪同様に白雪の様な蛇体が見える。人間にはない、魔性の者が持つ美しさを白姫は持っていた。
「どうしました?」
 平静を装って尋ねる私を、白姫は抱きしめる。
「ここまでやれば分かりますよね?」
「理由は分かりませんが」
 私は、白姫から漂う香りに意識を奪われそうになりながら訪ねる。
「魔性の者に近づき過ぎた人間はこうなりますよ。私達は、そういう者です」
 薄い唇の端を釣り上げながら、白姫は笑う。
「あなた好みの言い方をすれば、面白そうだからという事です」
 白姫はそれ以上言おうとはせず、私の口を口でふさぐ。私は、白姫の香りと感触に陶然としてはっきりとした意識を保てない。だが、そのまま白姫を強く抱きしめる。そうだ、面白ければいい。この魔性の女を抱いて楽しんでやろう。
 私は、この好機を思う存分楽しむ事にした。

 白姫は、私の服をゆっくりと脱がしていく。むき出しになった私の胸に唇を付け、愛おしげに頬ずりをする。
「男の人の匂いと感触がします」
 頬ずりをするたびに、滑らかな感触の長い髪が私の体を愛撫する。白姫の香りと感触に反応し、私のペニスは膨張していく。白姫は股間のふくらみを見ると、微笑みながら私のジーンズを脱がしていく。
 白姫は、私の醜いペニスに口付けた。繊細な顔を近づけて繰り返し口付け頬ずりをし、繊手で愛撫をする。つつましげな口を開いて桃色の舌を出し、ゆっくりと這わせていく。丁寧に舌で奉仕をすると、口を開いて亀頭を飲み込む。そのまま口を上下に動かし、口の中で舌による奉仕を続けていく。
 白姫はいったん私から離れると、白と薄紫色の巫女服を脱ぎ始めた。巫女服の下に、白姫はクルーネックのセーターを着ている。
「私は蛇の魔物ですから、寒さには弱いのです」
 白姫は恥ずかしそうにうつむきながら言い、セーターを脱いだ。セーターの下はヒートテックのニットだ。私も思わず笑うが、北国の冬では仕方がない。その下は素肌であり、下着を付けていない。和服を着る人には下着を付けない人がいるらしいが、白姫もその一人らしい。
 私は、裸になった白姫の体を見た。髪や蛇体同様に、清浄さを感じさせる純白の肌をしている。薄い桃色の乳首だけが白い肌を彩っている。私は、ゆっくりと白姫に近づいて抱きしめた。白姫の体はひんやりとして滑らかだ。細い体だが弾力がある。私は白姫を床に押し倒し、その上に覆いかぶさった。白姫は私を受け入れようとする。
 白姫のヴァギナは、乳首同様に薄桃色だ。肌と見分けのつきにくい白色の陰毛に覆われている。私は、そのつつましげな部分に口付けて舌を這わせる。さらさらとした透明な液があふれて来て、私の口と陰毛を濡れしていく。かすかに甘酸っぱい匂いが泉から漂って来る。
 私は顔を上げて、そそり立つペニスを泉の入り口に当てた。そのまま泉の中へと沈めていく。途中に何か引っかかる感触がして、私は白姫の顔を覗き込む。白姫は、顔をわずかに歪めながら私に頷く。私はそのまま奥へと突き破っていくと、白姫は私の体を抱き締めた。白姫は目じりに涙を浮かべながらも、私に微笑みかける。
 白姫の蛇体が動き、私の体に巻き付いていく。蛇体は私の胴を覆い、ひんやりとした感触を与えてくる。同時に、泉は温かさと悦楽を味あわせてくれる。私は、次第に上り詰めて来た。このままでは中で出してしまうから体を離して欲しいと言うと、白姫は蛇体で締め付けて膣を引き絞った。
 私は、耐えられずに中で精液を放出した。自分の精を白姫の体の奥深くへと放ったのだ。快楽に霞む目に見えたのは、白姫の歓喜の表情だ。私は、痙攣する自分の体を持て余しながら白姫の喜びの声を聴いていた。

 私達は、共に社務所の床に転がっていた。白姫は、私の体に巻き付いたままであり、私の胸に顔を寄せている。白姫のヴァギナからは真紅の鮮血が流れていた。私が彼女の処女を奪ったのだ。
「あなたは他の女を抱いた事が有りますか?」
 白姫は、私の顔を覗き込みながら聞いて来た。私は有ると答えた。以前少しばかり金があった時に、ソープへ行った事が有る。コンドームを付けたが本番もやってもらった。いちいち隠す気は無いので経験がある事を認めたのだ。
 白姫は、無表情のまま私の顔を見つめていた。白姫は右腕を伸ばすと、掌に青白い炎が現れた。私は驚いて身を離そうとするが、白姫の蛇体は私の体に強く巻き付いている。白姫は、陽炎のように揺らめく青白い炎を私の胸に押し当てた。激痛を覚悟して私は目をつぶったが、予期していた事は起こらなかった。ただ、体の奥底で力のような物が蠢く気配がある。
「これであなたは私のものです。他の女を抱く事は出来ませんよ」
 白姫は、私から蛇体を外しながら言う。私は白姫を突き飛ばし、手早く服を着ると何も言わず社務所を出た。
 白姫は、私を微笑みながら見送っていた。

 私に対して白姫が何をやったのかは分からない。ただ、自分の中で何かが蠢いている事は分かる。
 私はその後、知り合いの稲荷にこの事を相談した。彼女は稲荷神社の管理者であり、人間と魔物を相手に相談を受け持つ事が有る。私の話を聞いた稲荷は、少しの間無言で考え込んだ後、龍に相談するように助言してきた。龍は白蛇の主君であり、白蛇を支配する者である。龍ならば善処するであろうと、稲荷は話した。
 白姫の主君ならば白姫を庇うかもしれないと思ったが、部下が不始末を起こした時はその上司に言うのが通常のやり方だと考え直す。何か思わしげな稲荷の態度は気になったが、私は水華様に相談した。
 水華様は不機嫌そうな顔で聞いていた。私が話し終えると、「あやつめ、わらわを出しぬきおって」と呟き、しばらくの間無言となる。そして難しそうな顔で話し始めた。
「事情は分かった。この事はわらわに任せておけ。悪いようにはしない。だから、これまで通り準備の手伝いを頼む」
 そして顔をしかめて呟く。
「こちらは早く発破を手に入れねばならんのだ。あの壊し屋は何をしているのだ?」
 何か物騒な単語が聞こえたので水華様の顔を見ると、にやりと私に笑いかけた。
「そうじゃ、お前には色々と手伝ってもらったのに褒美を与えていなかったな」
 水華様は、祝儀袋に紙幣を入れて私に手渡した。
「これで何かうまい物で食べるがよい」
 水華様は、再びにやりと笑う。
「女遊びをするのもよいかもしれぬぞ」
 水華様の意味ありげな態度は気になったが、私は礼を言って金を受け取った。

 私は、貰った金でソープランドへ行く事にした。白姫とセックスをしてから、異常なほど性欲を感じるようになったのだ。オナニーをして性欲を処理していたが、それでも性欲は湧きあがってくる。生身の女でなければ、性欲を満たせそうにない。
 私はアダルトショップへ行き、地元の風俗店を紹介した情報誌を買った。その情報誌に載っているソープのホームページを見て、内容を比較検証する。そして一つのソープ店に絞って予約を入れようとした。
 だが、いざ電話を掛けようとすると性欲が萎えてくるのだ。その風俗嬢と性の歓楽を尽くそうと思うと、ペニスだけでなくて腰までも反応しなくなるのだ。そのくせ体の奥底では強い欲望が蠢いている。試しにソープ店の前まで行ってみたが、ペニスも腰も無反応だ。頭の中も冷めてしまっている。
 結局、ソープランドは諦めた。代わりにオナニーで処理しようとしたが、今度は射精できないのだ。いくらペニスを扱いても射精できない。お気に入りのズリネタが、平板で意味の無い画像にしか見えない。
 それからの私の状態は、異常としか言えない。絶えず性欲に悩まされるのに、射精する事は出来ない。私は、睡眠をまともに取る事も出来なくなった。そんな異常な状態で、一人の魔性の女の姿が頭を占めるようになってきた。

 私は、社務所の後ろにある住宅の脱衣所にいた。その住宅は、水華様と白姫が暮らしている。社務所でふらついていた私は、白姫に脱衣所に連れ込まれていた。
 私は、すでにまともに物を考える事は出来なくなっていた。発散する事の出来ない性欲と白姫の姿が、私の頭を占めている。私は白姫に抵抗せずについて行った。
 白姫は私のジーンズを脱がせ、トランクスを脱がせる。そして丁寧に畳むと、微笑みながら私のペニスに口付け、頬ずりを始めた。今まで射精できなかった事が嘘の様に、私のペニスは激しく反応する。カウパー腺液が留まる事無く溢れ、白姫の秀麗な顔を汚す。頬ずりをされただけで射精しそうになった。
 白姫は、異常なほど膨れ上がった私の陰嚢を口に含み睾丸を舌で転がす。睾丸の中で続々と精子が作られている事が分かるような気がする。白姫は、陰嚢を口に含みながら形の良い鼻を陰茎に擦り付ける。腺液で汚れた顔で上目づかいに見て、薄く微笑む。
 白姫はペニスを口の中に含むと、初めはゆっくりと、次第に早くペニスを唇でしごく。舌で亀頭やくびれを舐め回して、絶えず快楽を与えてくる。白姫は口の中で愛撫しながら、右手で陰嚢を愛撫し、左手でアヌスをくすぐった。
 私は、耐えられずに射精した。生まれてから一度もしたことが無い激しい射精だ。私のペニスが壊れてしまったのではないかと思うくらい精液を出す。白姫は喉を鳴らして精液を飲み込んでいたが、ついに咳き込んで手で口を抑えた。
「すごい量ですね。おまけに濃くてドロドロ、喉にへばりついています」
 顔と手を精液で汚して白姫は笑う。白姫は手の精液を舐め取り、指で顔に付いた精液を拭い取って舐めた。辺りには今まで嗅いだ事が無いくらい強烈な精液の臭いが漂っている。
 その後、私と白姫は共に風呂に入った。白姫は私の体を自分の体で洗う。しなやかな人間の上半身と弾力のある蛇体を使って、私の体の隅々まで洗うのだ。胸で背中を洗い、手で胸板を愛撫し、蛇体で足をさする。一日の汚れが付いている腋や股間も、手や胸で丁寧に洗ってくれた。
 私が湯船に入ると、白姫は共に入り私の背を自分の体で支えた。白姫は柔らかい胸を私の背に押し付け、手で肩を揉み解す。蛇体は足に巻き付き、ゆっくりとマッサージをしている。私は、湯船の中で弛緩していった。白姫は私に妖術を使い、私をおかしくした者だ。だが、白姫に逆らう気力は失われつつある。既に私からは、正常な判断能力は失われていたのだ。
 湯船から上がると、私はマットの上に寝かされた。白姫はローションを湯で溶き、私の体にゆっくりとかけていく。白姫は自分の体にもローションを塗り込むと、私の体を自分の体で愛撫し、マッサージを始めた。人間の体と蛇体を滑らせて、密着した私の体を撫で回す。蛇独特の長い舌を体に這わせていく。
「もうソープランドに行く必要はありません。私がご奉仕いたします」
 白姫は薄く微笑む。
「行きたくても行かせませんけれどね」
 私は震えそうになる。私は他の女と経験がある事は話したが、ソープランドへ行った事は話していない。
 白姫は、胸を使って私のペニスや陰嚢を愛撫する。ローションで滑る胸は、私の股間を悦楽で包む。
「あなたは胸が好きですよね。水華様の胸をご覧になっていましたから。私の胸は水華様の物よりも小さいですけれど、こうして気持ち良くして差し上げる事が出来るのですよ」
 白姫は口の端を釣り上げて笑う。
「もう、他の女の胸は見ないで下さいね。おしおきしますよ」
 私は、馬鹿みたいに繰り返し頷く。
 白姫は、私のペニスをヴァギナに押し当てた。そのまま怒張しているペニスを飲み込んでいく。私はまだ射精したい、一度くらいでは満足できない。白姫はヴァギナで締め付けながら、蛇体を私の体に巻き付けた。私の体にこれ以上は無いと言うくらい密着しながら、渦を巻くヴァギナで奥へと飲み込んでいく。マットでの奉仕で何度も射精を我慢していた私は、直ぐにも上り詰めようとした。コンドームは着けてはいない。
「中でたっぷりと出してくださいね。私はあなただけのものです。あなたも私だけのものです。他の女の中で出す事は許しません」
 私は、渦を巻く白姫の奥で精を放った。二度目とは思えぬ激しい射精だ。今まで出す事を許されなかった精液が、まとめて出て来ている様だ。激流のような精液を体の奥で受け止めて、白姫は歓喜に震えていた。上品で繊細な顔を震わせて、口から涎を垂らしている。女と言うよりは雌の顔だ。
 長い射精が終わった後、私はまだ激しい性欲は収まっていなかった。まだ出したりない。目の前の雌の体を貪り、精を浴びせてやりたい。
「まだ大きいままですね。私もまだ満足していません。これで終わりではありませんよ」
 白姫は口の端を釣り上げて笑った。

 私と白姫は、布団の中に一緒に入っていた。風呂で六回射精した後で食事を取り、そのあとすぐに布団に入って交わったのだ。何度射精したのか、もう覚えていない。出しても出しても、精力が湧きあがってくるのだ。辺りに漂う性臭は、気体と言うよりは固体だ。私と白姫以外の者が嗅げば、瞬時にむせ返るだろう。私の出した精液からして、液体と言うよりは固体だった。
 私は寝物語の中で、私に埋め込まれた青い炎の事について聞いた。あの炎は、私を白姫のものとする炎らしい。青い炎は彼女の魔力の塊であり、それを埋め込まれた者は彼女を欲するようになるらしい。炎を埋め込まれた者は激しい性欲を持つようになるが、炎を埋め込んだ女以外の女では満たされなくなるとの事だ。
 信じ難い話だが、私の身に起こった事を説明する事は出来る。それに彼女は魔物だ。もしかしたらその様な力が有るのかもしれない。
「これであなたと私は夫婦です。不束者ですがよろしくお願いします」
 私は呆れて白姫を見る。
「私達は、これから水華様と騒動を起こすのですよ。三人そろって刑務所行きです。夫婦なんてのんきな事を言っていられるのですか?」
 白姫は、私の責め立てる言葉を微笑みで受ける。
「大丈夫ですよ、あなたの妻になれるのならば、女囚になっても構いません」
 そこで白姫はうっとりとした顔になる。
「女囚…なんか卑猥な響きですね」
 呆れて何も言えない私を、白姫はまっすぐに見る。
「たとえあなたが刑務所で『女役』にされて掘られてしまっても、私のあなたへの愛は変わりません!」
 白姫は、目を輝かせて言った。
 私は天井を見て目をつぶった。これ以上相手にしても仕方がない。
 白姫は私に擦り寄り、顔を胸に擦り付けた。

 クリスマスイブの当日、私と白姫はトラックの前にいた。トラックの荷台には放水器と水を入れたタンク、それに爆竹が乗せてある。クリスマスに繰り出すカップルに対して、水を浴びせて爆竹をばら撒こうと言うのだ。他愛の無い騒動を起こす事になるが、私達は楽しむ事が出来る。
 トラックの運転席には氏子の一人が乗っていた。彼は運送会社に勤めているが、近いうち首になるらしい。それで会社のトラックを持ち出し、水華様に協力する気なのだ。彼は、こんな騒動に加わる事から分かるように独身だ。
 空からは雪が降ってくる。この雪は、水華様の手で吹雪となるだろう。私達は、水華様が社殿から出て来るのを待っていた。
 突如、女の声が響き渡った。
「打倒、売国の東京裁判史観!大東亜戦争を侵略戦争などと言う非国民は、八百万の神が天誅を下してくれる!」
 訳の分からない事を喚いて現れたのは水華様だ。私達は驚き呆れた。戯言もそうだが、恰好が尋常ではない。
 水華様は黒い制服の様な服を着て、「一人一殺」と書いた日の丸の鉢巻きを頭に締めている。右手には日本刀を持ち、左手には猟銃を持っている。腹に巻いているのはダイナマイトだ。
 唖然とする私達に、水華様は晴れ晴れとした表情を向ける。
「おお、良い雪だ。日本では決起の時は雪が似合う。赤穂義士の討ち入り然り、二・二六の青年将校然り。そうであろう、皆の衆」
 後ろから大勢の魔物達が現れた。赤鬼、青鬼、牛鬼、雪女、毛娼妓、濡れおなご、大百足、猫又。彼女達は、皆が水華様と同じ格好をしている。夜にこんな集団と出くわしたら、腰を抜かすだろう。
 神社の境内にトラックが入って来た。右側面には富士山と桜が描かれ、左側面には大仏と運慶の仁王が描かれている。トラックの至る所が電飾で飾られている。
「よし、皆の衆出陣だ!打倒クリスマス!」
 「打倒クリスマス!」との大音声が響き渡り、魔物娘達はデコトラに乗り込んでいく。
 私は、今になって気付いた。これは他愛の無い騒動で済むのだろうかと。

 私は、目の前の状況を説明する自信が無い。それでもあえてするのならば、オーガと機動隊員が殴り合い、黒ずくめの男の下半身にユニコーンが縋り付き、レンシュンマオが男の膝の上で微笑んでいる。そんな中で「一億玉砕!神州不滅!東亜統一!」と喚きながら、水華様が日本刀を振り回している。吹雪がこの狂騒を彩っていた。
 私達は、夜七時に市の繁華街に到着した。このころに人が賑わい、リア充たちが闊歩する。私達は出撃の用意に取り掛かった。魔物達は、力の蓄積を頂点まで高めている。リア充達を粉砕する為の力が解き放たれようとしていた。
 そこへ激しいシュプレヒコールが湧きおこった。黒ずくめの格好をして、黒い頭巾をかぶった男達がデモをしているのだ。まるで黒いKKKだ。彼らは「リア充爆発しろ!」と叫んでいる。どうやら非モテ男達のクリスマス粉砕デモらしい。
 私達は、ここで出て行くか行かないか少しためらった。彼らと一緒に騒動を起こすべきか、彼らとは別にやるべきか判断しかねたのだ。
 そのわずかの間に、状況が大きく変わった。オーガ、ミノタウロス、ヘルハウンドと言った力ずくを旨とする魔物娘達が、非モテのデモ隊に襲い掛かったのだ。彼女達は、筋肉質の体に皮の服を着て肩パットをはめ、手には斧を持っている。「ヒャッハー!」と叫びながら襲い掛かり、押し倒していった。辺りには悲鳴と怒号が交差する。
 水華様は、これを好機と捉えた。この混乱を利用してクリスマスを粉砕できると判断したのだ。水華様を先頭として、日本の魔物娘達が出撃した。日本刀を振り回し猟銃を乱射し、「鬼畜米英!一人一殺!」と喚きながら突撃していく。
 そこへ水華様の敵が現れた。バフォメットがサバトの軍団を引き連れて現れたのだ。バフォメットは、山羊の角を生やした小柄な少女であり、一部の男性から絶大な支持を受けそうな少女だ。彼女はカーキー色の制服を着て、鼻の下に付け髭らしきチョビ髭を付けている。魔女やファミリアと言ったサバトの一員は、親衛隊の黒い制服を着ている。
「あえて言おう、巨乳はクズであると!悲しみを怒りに変えて立てよ貧乳!ジークお兄ちゃん!」
 バフォメットの号令に、サバトの一員は自動小銃を乱射しながら突撃してくる。たちまち日本の魔物娘とサバトの間に銃撃戦が始まる。
 この乱戦の中に、サバトの天敵が現れた。ホルスタウロス、オーク、ホブコブリン、キマイラと言った巨乳を誇る魔物娘達が現れたのだ。迷彩服やアメリカ海兵隊の制服を胸の谷間が出る様に着ており、まるでプレイメイトだ。彼女達は、モンローウォークをしながら突撃してきた。日本の魔物娘と銃撃戦をしていたサバト軍団は、巨乳軍団に矛先を変える。
 もうこれだけで混乱は十分だろう。それなのに、さらに混乱を引き起こす集団が現れたのだ。妖狐に率いられた人虎、火鼠、レンシュンマオと言った中華の魔物娘達が現れたのだ。彼女達は人民服を着て毛沢東語録を手にし、「造反有理」と書いたプラカードを掲げている。
「今こそ日本鬼子から男を奪う時が来た!毛沢東同志は『やり過ぎるくらいでちょうど良い』とおっしゃっている。同志達よ、根こそぎ奪え!」
 妖狐の号令に、中華の魔物軍団が突撃を始める。辺り一帯に銅鑼の音が響き、目の前は黄色と赤色と白色の大群だ。人海戦術とはどういう物か、この時にはっきりとわかった。
 この乱戦の最中に県警機動隊が現れた。この騒動を鎮圧に来たのだが、かえって混乱に拍車がかかってしまった。もう収集がつかない大乱戦となっている。
「俺は妻と子供とクリスマスイブを過ごすはずだったのに、手前らのせいで台無しになったじゃねえか!」
「うるせえ!あたしには亭主も子供もいねえんだよ!」
 筋骨たくましい機動隊員と巨躯を誇るオーガは、罵り合いながら派手に殴り合っている。
「はあ、やっと見つけた童貞男。この童貞特有の臭い」
 純潔を象徴する白い一角獣の魔物娘は、黒尽くめの男の股間に縋り付いて頬ずりをしている。
 騒動の最中、一人の黒尽くめの男が人民服を着たレンシュンマオを膝に抱いてベンチに座っている。元非モテ男とパンダの魔物娘は平和そうに笑い合い、そのベンチの所だけ別の空間のようだ。
 少し離れた所で狼の魔物娘であるキキーモラが、メイド服姿でウォッカをラッパ飲みして「ウラァァー!」と叫んでいる。
 地面には、そこかしこにリア充らしき男女が倒れていた。裸にひん剥かれて、「天誅」「DQN」「ビッチでごめんなさい」と落書きされている。裸のリア充を吹雪が容赦なく痛めつけている。
 轟音と共にビルの一角が吹っ飛んだ。酔っぱらった青鬼がダイナマイトで吹っ飛ばしたらしい。
 私と白姫は、ぼんやりとこの狂乱を眺めていた。私達は、目の前の状況に対してどうすればいいか分からない。私達は顔を見合わせる。そしてお互いに笑ってしまった。
 白姫は放水器に取り付き、私は爆竹を手に取る。乱闘を繰り広げる群衆に向かって、白姫は水を、私は爆竹を浴びせた。
14/12/24 18:45更新 / 鬼畜軍曹

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