連載小説
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中編!

========[四日目]========



「ふぁ〜ふぅ…おはようございます…」
「おはよう咲希ちゃん。良く眠れた?」
「はい…もうそれはぐっすりと…」
「そう…それは良かったわ」
「崎本先生もよく眠れましたか?」
「え、ええ…まあ…」

もう慣れてきたこの部屋での起床。
私は自分から自然に先生に挨拶をした。
それと同時に、昨夜は先生は同じタイミングで寝なかったなあ…と思い、私は先生によく眠れたかどうかを聞いてみたのだが…何故か言い淀んでいた。

「あれ?まさか寝て…」
「寝たわよ?たしかにちょっと夜更かししてしまったけどね…」
「そうですか…ん?」

もしかしてあまり寝てないのでは…と思って聞き出そうとする前に即否定されてしまった。
ならいいやと思って、いつも通りに朝ご飯が置かれてないかな〜と思って扉の方を見た時に、おかしな事に気付いた。

「カーペット…無くなってないですか?」

ご飯は置かれていたのだが…普段は机の下に敷かれていたカーペットが何故か今は無くなっていたのだ。
もしかしたら犯人が私達が寝た後に入ってきて持って行ったのかも…と思ってそう言ったのだが…

「えっ、あ、そ、それは…」
「ん?どうかしましたか?」

…何故か先生がうろたえ始めたのだ。
どうかしたのだろうか?と思いながらなんとなく視線を別の場所に移したら…

「…あ、干してあった」
「あ、あはは…」

なんとお風呂に少し濡れたカーペットが干されていた。

「実は…え〜っと…そうだ…昨日寝る前に水を飲もうとして…溢してしまって…」
「ああ…それでついでに洗って干しておいたのですね」
「えっと…そうそう!そうなのよ!!」

どうやら先生が昨日私が寝た後に水を溢してしまったようだ。
そんなドジには見えないのでおそらく寝惚けて手を滑らせてしまったのだろう。
それを知られたく無かったからさっきから言い淀んでいたのかな…

「まあそれくらいのミスは誰にでもありますって。気を落とさずに朝ご飯にしましょうよ」
「え、ええ…そうね…そうしましょうか…」

とりあえずそのミスは気にしてない事を伝えつつ、朝ご飯を食べ始める事にした。



………



……







「……ひ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ま〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜……」
「そうね…」

朝ご飯を食べ終えると…やる事が無くなってしまった…
ここ最近は受験勉強ばかりで忙しかったのもあって、こうも暇だと逆に何かやっていたいと思えてしまう。

「何か暇を潰せるものありますかねぇ…エロ本以外で」
「……」

暇潰しになるものが何かないかを先生に聞いたら、昨日崎本先生が読んでいた本を渡そうとしてきたので即座に断った。
断った時に少しだけ先生が残念そうな表情をしたのは気のせいだと思いたい。

「そうね…でも他に暇を潰せそうな物は…」
「まあ…玩具の類もなさそうですしね」

この部屋には生活に必要最小限の物はあるのだが、暇潰しが出来そうな物はほとんど無い。
やらしい18禁本を除いたら…それこそ今やっているようにクッションをポスポス叩いたりと意味の無い事をするぐらいしか出来ない。
監禁して放置するぐらいならせめて普通の小説ぐらい置いといてほしかった…が、無い物をねだっても仕方ない。

「あとは…しりとりでもする?」
「二人でしりとりか…まあ他にやる事無いですしやりましょうか」
「じゃあ咲希ちゃんから『り』始まりで…あ、『きゃ』とかで終わったら小さい文字…この場合は『や』からで、長音で終わった場合はそのひとつ前の文字からね」
「わかりました」

なので、先生の提案で私達はしりとりをする事になった。
二人でやるので楽しいかはわからないが、暇なままよりは数十倍、エロ本を読むよりは数倍マシなのでやる事にする。

「では…林檎」「胡麻」「マント」「鳥」「リス」「すいか」「カリュブディス」「スキュラ」「ラミア」「アークインプ」「プール」「ルール」「ルート」「陶器」「機器」「妃」「奇跡」「キツツキ」「切先」「禁忌」「汽笛」「キンタマ」



「マンティス」「スライム」「百足」「電話」「ワーシープ」「プラグ」「グリズリー」「リリム」「鞭」「乳首」

……

「ビール」「ルビー」「ビー玉」「まんこ」

………

「コカトリス」「スイ…じゃなくて炭」「ミミック」「草」「竿」「オナニー」


…………


「……あの〜崎本先生?」
「何?咲希ちゃんもうギブアップ?」
「いえ…なんでさっきから精神攻撃を仕掛けてくるんですか?」
「えっ?何の話?」
「……いえ…なんでもありません」

何故さっきから下ネタを挟んでくるのか聞いて、注意しようとしたのだけど…普通にしりとりしているだけで特に何とも思っていないらしい。
もしかしなくても先生がサキュバスだからだろうか…

「では続きから…たしか『に』でしたよね?」
「そうよ。たしかまだ『に』から始まる物は出ていなかったから何でも言えるわよ?」

まあとにかく気を取り直して続ける事にする。

「では…日記」「また『き』か…狐憑き」「狐火」「ビンタ」「狸」「『き』攻めね…狐」「ネレイス」「墨縄」「ワーウルフ」「フェラチオ」「……おおなめくじ」「ジパング」「愚痴」「ちんぽ」「……ポンプ」「プリント…」


もうこうなったら崎本先生の下ネタは完全にスルーして絶対勝って見せる!!
そう思った私は、なるべく先生が言う下ネタを受け流しながら、果敢にしりとりをしていった…



…………



………



……







「いやぁ…しりとり思ったより時間潰せましたね」
「そうね…まさか朝から夜までするとは思わなかったわ…」

あれからずっと…それこそ昼ご飯や夜ご飯の時もずっとしりとりをし続けていた私達。
気がついたらそろそろ寝る時間…正確な時間はわからないが眠くなった時間になっていた。
最後は結局グダグダになってどっちが勝ったかはわからないけど、なかなか良い時間の潰し方だった気がする。
と言っても明日もしりとりをするかというと…絶対しない。
確実にグダってしまうのがわかるし、また下ネタ攻撃を喰らうのも嫌だからだ。
明日はどうしようかな…というか…

「しかし…私達をいつまでここに閉じ込めておくつもりですかね?」
「そうね…いい加減目的くらい言ってくれてもいいのにね…」

もう4日も経ったのに相変わらずご飯の提供しかしてこない誘拐犯。
今日のお昼はラーメン、夜はカレーと普通においしい物は出てくるけど…それ以外に特に相手の動きは無い。
ずっとこんな調子の犯人に対しての感情にはもはや恐怖は無く、呆れや怒りしか感じなくなってきていた。

「まあ現れない人への文句を言っていても仕方ないですね…今日はもう寝ます」
「じゃあおやすみ咲希ちゃん。私はあまり眠くないからもう少し起きてるわ」
「わかりました。では崎本先生、おやすみなさい…」

しかしそんな事も毎日繰り返してきりが無いので、私は寝る事にした。
先生はまだ眠たくないから起きていると言ったので、今日も私が先に一人でベッドに入り寝る事にする。





「……」

布団に入ったはいいけど、何故か眠れない…
目を瞑って動かずにじっとしているけど…なかなか意識がボーっとしてこない…
やはりしりとりしかしておらずそんなに疲れていないせいなのか…布団に入る前まであった眠気はどこかに行ってしまったようだ。
やっぱり一回起きてもう一度眠くなってからベッドに入ろうかなぁ…と思い始めた時だった。


「…ん……んん……」
「……?」

突然、先生の声…だとは思うが、押し殺している感じの声が聞こえてきた。
そういえばさっきちょっとだけ動いた後、何か布みたいなものが擦れる音が聞こえてからこれといった動きが無かったが…いったい何をしているのだろうか?

「んっ……くぅ……んんっ……」

荒い息を吐いているようにも聞こえるのだが…本当に何をしているのだろうか?

そーっと、気付かれないように薄目を開けて先生の声が聞こえる方を気付かれないように見てみると…



「んっ……ぁんっ……」
「……!!」



私は…驚きのあまり思わず声を出し目を見開きそうになってしまった。
流石にそれは気まずくなるので何とか耐えたが…驚き過ぎて眠気がどこかに行ってしまった。

視界に入った光景…それは……



「んんっ!こ、声抑えないと…咲希ちゃん起きちゃうかも……んっ…」


クッションを腰に当て、扉にもたれるように座っている先生がいた…
これだけなら別段おかしい光景とは思えないだろう…
だが…その先生の格好が問題だった。

きっちりと着込まれていたはずの先生の服が…ブラジャーですら今は肌蹴ており、崎本先生の大きく綺麗な胸が外気に触れていた。
更にはズボンも脱いで…それどころか下着まで取り外して、綺麗な女性器が惜しみなく晒されていた。
そして左手はその胸を揉み回し、右手はその女性器に沿うように撫で回していた。

つまり…ほぼ全裸の崎本先生が今している事は…

「んんんっ!で、でも高まってきちゃ…あっ」


保健の授業で存在は習ったが…自分には全く経験のない事…
自分の性器を自分で刺激し性欲を満たす行為…自慰を行っていた。



「ぁっ………はぁ……んんっ……はぁ……」

荒い息遣いと…くちゅくちゅっと湿ったものを激しく掻き乱している音が私の耳に聞こえてくる。
寝ているベッドとは結構離れているが、この部屋の中で発生している音は先生の自慰の音しかない…
だから、敢えて聞こうとしなくても先生の痴態は聞こえてしまうのだ。
聞かないようにと手を耳に動かしたら起きている事がバレてしまうのでそれは出来ない……

「はあっぁあっ…くっ……ぅっ…」

薄目、かつ遠目でもわかる程濡れている先生の秘所…
秘所から溢れ出る液体がカーペットに染みを作っている…もしかしたら昨日もしていた?
しかし…先生の自慰を見ていると、私まで変な気持ちになってくる…

目を瞑れば見なくて済むのに…何故か私は目を閉じる事をせず、先生の自慰をずっと見続けていた。

「ぁっ〜…イっくぅぅぅう!!」

指を秘所の中に出し入れしたり、乳首をギュッと摘まんだりしているうちに快感が頂点に達したらしい。
足や腰を伸ばしながら身体をビクンッと痙攣させ、そのままくたっとしたところからそうなんだと思う。

「はぁ……はぁ……咲希ちゃん…はぁ…起きてないわよね……」
「!!」

荒い呼吸を繰り返しながら私が寝ているかを確認してきたので、私は慌てて眼を完全に瞑り寝たふりをした。

「はぁ……よかった……寝てるようね……こんなの見られたら…はぁ……どう思うでしょうね……」

どうやら寝たふりは上手く決まったようで、起きている事に気付かれずに済みそうだ。
ただ…こんなのを見てしまったが故に簡単には寝る事が出来無さそうだ…
目を閉じているのに…いや、目を閉じたからこそ先程の先生の自慰が鮮明に脳内で再生されている。


「はぁ…ホント…なんで昨日からこう…はぁ…身体が疼くのかしら…」


少し時間も経ち先生は落ち着いたようで、自慰の後処理をし始めた。
やはり昨日もしていたらしい…おそらく昨日と同じように自身の秘所から溢れ出た液体で濡れたカーペットを浴槽で洗い始めた。

私は変な気分になりながらも、ボーっとしているうちに先生が寝に来るより前に眠る事が出来た…



====================



「本当にあれは性的な事を何も知らなかった私にとっては衝撃的だった……ってレツヤ?もしかして今ので興奮した?」
「へ?い、いやしてないしてない!!」
「本当に?微妙にレツヤから感じる精の匂いが強くなった気がするけど?ズボンも盛り上がってる気がするし…」
「なっ!?き、気のせい気のせい!!」
「ふ〜ん…まあそういう事にしておいてあげるよ」

4日目の最後の話の、サキと一緒に監禁されていた崎本先生のオナニーの話を聞いているうちにたしかに興奮してきてはいたが…それをサキに気付かれてしまったらおそらく今すぐ襲われてしまうのでなんとか誤魔化した。
頬を赤らめジト目で見てくるサキの様子から誤魔化し切れてはいないと思うけど、とりあえず危機は免れたようである。

…ん?頬を赤らめ?


「でも私は優香お姉さまのオナニーの話してたら興奮してきちゃって…ほら、もうおまんこ濡れ濡れだよ」

どうやら俺以上にサキのほうは出来あがっているらしい。
床に座り込み股を開いて、愛液だと思われるもので濡れている自身の秘所を俺に見せつけてきた。

「ねぇレツヤ…レツヤのおちんちん、ここに挿入れて…」

くぱぁ…と自分の指で秘所を開き、桃色の膣肉を見せてきたサキ…そして広がる牝の匂い…
男を誘惑する魔物のそれに…人間の俺が抗えるはずも無く……






♪〜〜






「……はっ!!」
「……ちっ……」

自分の性器を取り出す寸前で部屋に着メロが響き渡ったことで俺は正気を取り戻した。
慌てていつの間にか脱ぎ捨てていたズボンを穿きなおし、メールだったらしくもう音が止まっているケータイを手に取った。

…そんな俺の様子を見たサキが悔しそうに舌打ちしたのは気のせいだと思いたい…

「こんな時に誰からメール?おばさん?それとも女?」
「あ〜、ん〜……そうだな〜……」

メールを確認すると…八木からの返信だった。

「言い淀んだって事は…女なのね?」
「まあ…でもロリは対象外だから気にするな」
「……どういう事?」
「同じクラスのバフォメット…話はするけどこれと言って仲が良いわけじゃないからそんな怖い顔するなよ」
「別に怖い顔してるつもりは無いよ?でもまあいいや…さっさと返信するならしちゃってね」

さっきのようにちょっと怖い顔で女かどうか聞いてきて、実際女なわけだから言い淀んでいたら…そのちょっと怖い顔をそのまま変形させた感じの怖い笑顔になったサキ。
俺はロリコンでは無いし、そういった対象では無い事を伝えたら、渋々ではあるが引き下がってくれた。

という事でメールの内容を確認すると…

『自慢?佐々木君もげろ。リア充爆発しろ!
 
 まあ仕方ないから質問には答えてあげる。
 
 受け入れるも何も早急にセックスする事ね。
 拒み続けると何されるかわからないわよ?
 覚悟は拒否し続けたらする必要あるわ。
 たぶん限界まで搾り摂られるから。

 以上。リア充爆発して散れ!!
 リア充爆発してもげろ!!そしてアルプにでもなれ!!』

…まあなんとも恨みの籠った内容であった。
でも真面目に質問に答えてくれてはいる…が、その中身は認めたくないものだった。
先延ばしにすればするほどマズいとは…だがそうは言ってもなぁ…

「…まだ返信終わらないの?」
「あ、いや…返信するまでの内容でも無かったなと思って…」
「そう…ま、上手くいかなかったし仕方ないから5日目の話をするわよ…」
「お、おう、頼むわ」

もう少しで俺とヤれたところで邪魔が入ったせいか先程までと比べ明らかに不機嫌になってしまったサキ。
少し頬を膨らまし口を尖らせながらも、話の続きをしてくれた……



========[五日目]========



「おはよう咲希ちゃん。昨日はよく眠れた?」
「え…は、はい…まあ眠れました…」

朝目が覚めたらすぐ横にはいつもと変わらない先生が居た。

「ん?何かジッと私を見てるけど…私の顔に何か付いてる?」
「ふぇ?あ、いえ…ボケっとしてただけです」

一瞬昨日の夜の事は夢だったのかと思ったけど…今日もまたカーペットは干されていた。
つまり…昨日のは夢では無かったという事だろう…

「そう…ならいいけど…あ、朝ご飯が来たようだわ。早速食べましょ」
「そうですね」

かなり気になって仕方ないが、聞き出すわけにもいかないので大人しく朝ご飯を食べる事にした。

「今日は…朝からカレー?」
「昨日の夜もカレーだったし余ったものを出してるんじゃない?」
「あーそうか…昨日の夜がカレーだったって忘れてた…」

いつものように扉の下に現れた今日の朝ご飯は…スパイスの香りが漂うカレーだった。
何故朝からカレー?と思ったけど、そういえば昨日の夜ご飯もカレーだった。
先生に言われるまですっかり忘れていた…
というか、昨日の夜の崎本先生の自慰のせいで昨日の記憶が大体吹き飛んでいた。

「あら…受験生がそう簡単に物事を忘れちゃマズいわよ?」
「う……それは言わないで下さいよ……」

誰のせいで忘れたと思ってるんですか!!
っていう事は出来ない…

なんとも言えないもどかしさの中、私は朝ご飯のカレーを黙々と食べ始めた。



………



……







「ふぅ…今日は少し暑くない?」
「え?そんな事無いと思いますけど…」
「そう?私さっきから汗が滲んでくるわよ?」

ご飯も食べ終わり、例の如くやる事が無くてボーっとしていたら突然先生が暑いと言ってきた。
たしかに先生の額や腕には汗が出ている…が、部屋に冷房が効いている事もあって私は特に暑いとは思えなかった。

「風邪でも引きましたか?」
「ううん…そんな事は無いと思うわ。体調が良いというわけでもないけど、寒気とかはしないからね…というか魔物は簡単に風邪なんか引かないわ」
「そうですか…」

だがたしかに先生は暑そうである。
手で自分を仰いでいるが、身体の火照りは収まるどころかより熱くなっているのだろう…大粒の汗が流れ始めている。

「ではシャワーでも…というか水浴びでもしたらどうですか?サッパリすると思いますよ?」
「そうね…そうしようかしら」

そう言いながらこの場で服を全部一気に脱ぎ始めた先生……って

「な、なんでここでいきなり脱ぐのですか!?」
「えっ?なんでいきなりそんな事を?ずっと目の前で脱いでいたと思うんだけど…」
「あ、そうでしたね…い、いやあ…この時間帯では一回も無かったのでつい…」

昨日の事を思い出してついそう言ってしまったが、先生に突っ込まれた通りいつもその場で脱いでいた。
昨日見ていた事を言うのはマズいと思うので咄嗟に言い訳をしたが特に疑われてはいないようだ。

「そう…じゃあ私はシャワーを浴びるわね。咲希ちゃんもどう?」
「え!?いや、私は別に暑くないので大丈夫です!!」
「わかったわ…じゃあ一人で浴びさせてもらうわね」

疑いはしなかったが何故か私も一緒にと誘ってきた。
昨日の事もあって恥ずかしいのと、実際私は暑いわけじゃあないので断った。

…この時ちょっとだけ残念そうな顔をしたのはなんでだろうか?



………



……







「ねえ…咲希ちゃん暇?」
「暇でなければこんな非生産的な事はしてませんよ〜…」

先生がシャワーを浴び終えてからは二人とも特に何もする事は無く、もちろん犯人からの接触や指示も無い。
もう暇で仕方が無く、崎本先生はベッドの上でゴロゴロとしているし、私に至っては…

「…ねえ咲希ちゃん、それ楽しいの?」
「いえ全く楽しくないですよ?」
「じゃあ…やめたら?下手に落ちて怪我したら大変よ?」
「そうですね」

部屋中にあるクッションや座布団、枕を積み上げて、その上でバランスをとっていた。
別にやれと言われたわけでもなければ楽しいわけでもないが、何もしていないよりはマシである。
だが崎本先生に危ないからやめろと言われたので素直にやめる事にする。

しかし…そう注意した先生は…

「ところで崎本先生…まだ暑いのですか?」
「いいえ、暑くはないわよ?どうして?」
「いやだって…シャワー浴びてからずっと下着姿じゃないですか」

普段着ている白衣などは部屋の隅に脱ぎ捨ててあり、現在身に着けている物はパンティとブラジャーだけである。
その綺麗で白い肌を惜しみなく露出しサキュバスとしての色気を放出しているその無防備な姿は、もし私が男ならば間違いなく欲情して襲いかかっていたと思う。

「だってこっちのほうが楽だもの。咲希ちゃんも下着姿になってみたら?」
「へっ!?な、何言ってるんですか!!恥ずかしいですよ!!」
「あら?でもここには私達しかいないし、それに何度も互いの裸姿を見ているでしょ?」
「そ、それはそうですが…」

そして私も下着姿になったらと言ってきたが…流石に恥ずかしいので断った。
たとえ女同士でも、それこそ互いの裸を見たことあると言ったって恥ずかしいものは恥ずかしい。

「でも別に私は暑くないですし服着ていたほうが楽なのでこのままで良いです!!」
「まあ…顔を真っ赤にしてまで言われたら無理にとは言わないけど…」

まあ…それだけじゃなくて昨日の事を少し意識してしまうってのもあるけどね…



………



……







「はぁ……ほんっとーに何がしたいんでしょうかねえ?」
「そうね…いい加減本人が出てきてもいいと思うんだけどねぇ…」

今日はそのまま特に何もせず夜になった。
夜ご飯のサイコロステーキをおいしく食べた後、もはや恒例になっている犯人への文句大会が始まっていた。

「いったいどんな人が私達を閉じ込めているのでしょうね?」
「うーん…料理が上手な人である事はたしかね…」
「あ〜…たしかにご飯はおいしいですね…少なくとも私よりは上手です…」
「そうね…私よりも上手だわ…はぁ……」

もはや何度目かわからない犯人予想をし始めたところで、料理が上手だという話になった。
ここに監禁されてから様々な料理が朝・昼・夜と出てきたわけだが…そのどれもがレストランや定食屋で頼んでも謙遜無いほどおいしかった。
自分の料理は家庭科で『2』を取る程度の実力しかないのでなんだか負けた気分だ。
先生も同じなのか、大きな溜め息を吐いてがっくりしている。

「……これで男だったら…悔しいしムカつくなぁ……」
「……これで男だったら…性格次第では夫にしたいかも……」
「えっ」
「えっ」

だが、その後に出た言葉は全く違うものであった。

「なんで?」
「いや…だってなんか女としてのプライドが…自分より料理が上手な夫がいたら気軽に手料理も作れませんよ…」
「ああ…まあわからないでもないけど…私は逆に料理が出来る夫がほしいわ…私においしい手料理を振舞ってくれる旦那様…素敵だわ〜」
「まあ…わからない事も無いですが…私は旦那さんに手料理を振舞いたいですね…そして喜んでもらいたいです」

互いの認識や趣向の違いなどを言い合って…

「それは一昨日言っていた幼馴染みの子に?」
「いや、えっと……はい…そうです……」
「ふふ…やっぱり恋する女の子っていいわね〜…私にも素敵な相手が現れたらいいのに……」
「崎本先生ならきっと大丈夫ですよ。同性の私から見ても綺麗ですし……」
「まあ見た目は良いかもしれないけど……私って結構ズボラなところがあるからね……」
「まあ…きっとそんな先生のギャップ?みたいなとこに惚れる男の人も居ると思いますよ?」
「……んふっ……なんだか元気が出てきたわ。ありがとうね咲希ちゃん」

そのまま恋の話になり…

「崎本先生…眠たくなってきたのでもう寝ようかと思います…」
「そうね…時計が無いから微妙だけどもう結構遅い時間だと思うからね…私はもう少し起きているわね。昼間にベッドの上で横になっていたからかまだ眠気がないのよ」
「わかりました。ではおやすみなさいです…」

そして、私は布団の中に入った。
予想していたとおり、先生はまだ寝ようとしなかった。



「…………」


私が布団の中に入り、しばらくじっとして動かないでいると……


「んっ……んふぅ……はぁ……」

昨日と同じように、熱の籠って荒くなった先生の息遣いが聞こえ始めた。
それと一緒に聞こえてくるグチュグチュといった感じの水音…昨日よりも幾分か激しい気もする。

「……」
「くぅ……やっぱり昨日より疼いてる……足りない……けど……これ以上やったら起きちゃ…ああっ!」

うっすらと目を開けて声がするほうを見ると…やはり昨日と同じ位置で自慰をしていた。
そして昨日と同じように衣服を剥ぎ、白衣を羽織っているだけの状態で自分の胸を揉み、乳首を摘まんだり引っ掻いたりと弄っていた。

「……!?」
「ふぁっ、うっ、あっ、あっ、はっ、あっ、ああっ!!」

しかし…2,3か所程昨日と差異があった。
先生の手は両方とも胸にあり、それぞれの手で左右の胸を同時に攻めていた。
そのかわりに自身の性器を刺激しているものは…腰から生えている黒い尻尾だ。
その尻尾が陰核を突いたり、筋に沿って激しく動いたり、処女膜を傷付けない為か先端だけを膣内に挿入したりして…早くも興奮が最高潮に達しそうなのか背を弓形に反らせ…


「やっ、あっ、いっ、イクッ、イっちゃうぅぅぅううっ!!」


そのまま一際大きな快感に染まった声を出し、秘所からは少し泡立ち白く濁った液を溢れさせ、自身の尻尾や床に垂れ流しながら…激しく痙攣し始めていた。

「……」

そんな先生の痴態を食い入る様に見ている私……
なんだか自身の股辺りがもどかしく感じ……布団の中で無意識に内股で擦り合わせている……


「っ……はぁ……はぁ……んっはぁ……」

肩を大きく上下させ、大きく呼吸して心を落ち着かせようとしている先生…
その顔はまだ仄かに朱に染まっており、目もいつものキリッとしたもの違いトロンとしている……

あっ……


「はぁ……あ、あれ……咲希ちゃん?」
「……」

先生の様子を見ていたら…うっかり目が合ってしまった。
もう遅いかと思いつつも、寝ているふりをしようとしたのだが…

「はぁ…もしかして……見てた?」
「……」
「起きてるの……はぁ……わかってるから…正直に答えなさい」
「……はい……見てました……」

やはり無理だったようで…先生は私が寝ているベッドまで近付き、強めの口調で詰め寄ってきた。
観念した私は目を開き、弱々しい口調で見ていた事を自白した。

「そう……ねえ咲希ちゃん……」
「はい……」

そして、口調を変えないままで……

「オナニーしてる私を見て……幻滅した?」

不安そうな表情で、こんな質問をしてきた。

頼もしい先生の別の一面を見て、まあたしかに驚きはしたが…

「いえ……私にはわかりませんが、欲求を解消する為にそうやって自慰をする事は悪い事ではないと思いますし、そんな事で幻滅まではしませんよ」

別にそれで幻滅まではしない…というか、偏見の様な気もするが魔物なら普通の行動なんじゃないかと思っている程だ。
それに幻滅するような行為だと思っているならそもそも見てなんかいない……



……あれ?でもどうして私はまるで食い入る様に先生の自慰を見続けていたのだろうか?
それと……さっきから私の下腹部で疼くように感じる熱は……いったいなんだろうか?



「そう……ありがとうね……」

私が自分の行動を疑問に思い始めたのとほぼ同時に、先生は安心した表情でありがとうと呟いた。



そして先生は後片づけを済ませ、私の隣に静かに入ってきて…しばらくしたら寝息が聞こえてきた……
その寝息を聞いているうちに…下腹部にもどかしさを感じながらも私の意識も夢の世界へ旅立っていった……



====================



「んっ……たぶん……この時から私の身体は優香お姉さまの魔力に当てられてたんじゃないかな……オナニーこそしなかったけど…今みたいにずっとおまんこが疼いてたもん……」
「ふーんそう……」
「もう本当に…ん……こんな感じに……あっ…尻尾でおまんこ擦って……ひゅんっ…クリを弄ると気持ち良いよぉ……」
「へぇーそう……」

5日目の話の最後に言っていた、いつの間にか呼び方が変わってる気がする先生がしていたオナニーを俺の目の前で実践し始めたサキ。
その様子を見ているとおかしな気分になってきてしまうので俺は話を受け流しながらメールの作成に勤しむ事にした。

「んっ、乳首も勃って…ああんっ!尻尾もピリピリして気持ちいい!!」

一人盛り上がっているサキを尻目に、俺は同じ生徒会役員…というか会長の天野さんに聞いてみる事にした。
天野さんはエンジェルだし、魔物ばかりの学校で『校内の性的行為の全面禁止』という校則を創り出したもの凄い人物だ。
きっと良いアドバイスをしてくれると思い…

『夜遅くにごめんなさい。
 幼馴染みが魔物化してHを要求してくるのですが…
 どうにかしてやめさせる方法とか無いですかね?
 やはり素直に受け入れたほうがいいですかね?  』

…とメールを作成して送信した。




♪〜〜




…と同時に、誰かからメールが来たようだ……

「んあっ、でも足りないよぉ…レツヤのおちんぽが欲しいよぉ…レツヤのおちんぽでおまんこをぐちゃぐちゃに掻き乱してほしいよぉ……ってレツヤ無視しないでぇ……」
「まあまて母さんからメール来たんだよ」
「え、おばさんから?」

確認してみると……俺の母さんからだった。
その事をサキに言うと、メールの内容が気になるのかオナニーを止め俺のケータイをじっと見てきた。

「なんて?」
「えっと……『咲希ちゃん無事だったのね!親御さんに無事だった事と魔物になっちゃった事、それと烈哉の下宿先に居る事を伝えておいたわ!後でいろいろ聞くから今は思う存分身体を交らせていなさい!!』だって……ってちょっ!?」
「了解でーす!!さあレツヤ今は思う存分身体を交らせよう!!」
「うわっ!?」

親から来たメールを何も考えずそのまま読み終えた後、最後の傍迷惑な一言を聞いたサキが俺に飛びかかってきた。
そのまま俺の身体を床に叩き付け魔物化の影響で強くなった力で動けないように抑え込みながら俺のズボンを剥ぎ取ってしまった。
そんなサキの表情はもはや俺という獲物を前に興奮を隠し切れてないと言ったところだ。

「はあ〜♪レツヤの匂いが強くなった〜!じゃあ最後の一枚も…」
「ま、まてサキ!!まだどうして魔物化したか聞いてねえんだけど!!」
「え〜それ今言わないと駄目?後でいいじゃん!ほらレツヤも大きくしてるし!!」
「そ、それはそうだけど……」

たしかにサキに言われた通り、俺の息子はすでにガチガチになっておりパンツの下から丘を形成させていた。
まああんな話を聞いて、さらに目の前でオナニーされて男が反応しないわけがない。
だけど実際にどうして魔物化したのかは気になっているし、なんとか時間稼ぎも含めてそこのところを聞きたいところだが…

「まあそこまで言うなら6日目の話を話してあげてもいいけど…」
「おっマジか!!じゃあ聞かせてよ!!」

どうやら話をしてくれるらしい……

「わかった…けどその前に……」

けど…何故かサキの顔が俺の顔に近付いてきて……



「んっ……」
「!?」



俺の唇に吸いつき……キスをしてきた。


「んじゅっ、ちゅぷ、れるぅ……」
「んんんーっ!?」


しかもサキ自身の舌を俺の口内に割り入れ、俺の歯茎に沿って舌を動かしたり俺の舌に絡めたりする…所謂ディープキスをだ。
サキの舌の動きに翻弄され、互いの唾液を交換するように飲まれ飲まされ……敏感な個所を的確に突かれて……


「んちゅ……ふふっ……すっかり蕩けた顔になっちゃって……そんなに私のファーストキス気持ち良かった?」
「お……おう……」


唇が離れた頃には…俺の思考は大き過ぎる快感のせいで上手く働かなくなっていた。

「ここもすっかり大きくしちゃって……♪」
「あ、ああ……」

そしてキスの最中に器用にもパンツを脱がされたらしく、俺の大きくなった逸物は隠される事無く興奮で震えていた。
あえて触れないようにサキが肉棒の周りを撫でる度に、自分の意思とは関係なく一層大きくビクッと震える。

「それじゃあ話してあげる…ちゃんと聞いていてね」
「お、おう……」

俺とキスしたからか、それとも俺の逸物を見たからなのか、サキは話の続きを恍惚の笑みを浮かべながら始めた……


12/09/06 23:20更新 / マイクロミー
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■作者メッセージ
僕のSSで、少なくとも現代ものを全部読んだ事あるような方はもしかしたら気付いたかもしれませんが、実は僕の現代舞台の作品、全部同じ時代と地域でのお話です。
しかもほぼリアルタイム進行してます。
今回レツヤとメールのやりとりしていた流二や八木ちゃんも過去作にでているキャラです。
まあこの中編ラストでメールしたエンジェルの天野さんは『ほぼ』初登場ですが…

という事で、お待ちかねの魔物化とエロがある後編へ続く!!

以下入れようと思ったけどやめた台詞(その2)

「あの〜崎本先生?」
「何咲希ちゃん?」
「えっと…しりとりで下ネタを使うのはどうしてですか?」
「えっ?駄目なの?」
「いえ…別に駄目とまでは言いませんが……ちょっと酷いというか……」
「そう?魔物の友達としりとりするときはもっと酷いわよ」
「そうですか…じゃあいいです……」

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