連載小説
[TOP][目次]
4駅目 精神の疲労
深い茂みの中、アマゾネスの集落がある。そこでは今日、祭りが開かれていた。内容は、集落内で夫を迎えるための儀式と祭りを両立させたものだった。

「ハァ・・・ハァ・・・んぁっ!」
「はぁ・・・・はぁ・・・・」
その祭りも、いよいよ終盤を迎えつつあった。双方共に心神から疲れ切っても尚花嫁だけは自分の腰を振り続けている。花婿の方はと言うと、眼の焦点が合っておらず、目尻には少量の涙が溜まっている。口からはネスとミルの物が混じった涎も垂れていて体の反応も薄く、まるで人形のようになっている。

「いっ・・・ハァ・・・イキュッ!・・・」
「うっ・・・あっ・・・あぁあぁあぁあぁっ!」
ビュルルと音を立ててネスの子宮に注がれたミルの精子は、もはやネスの子宮に収まる事も無く地面に零れ落ちてはミルとネスの潤滑油としてしか機能してはいなかった。ピチャピチャと嫌な音を立ててくっ付いたり離れたりしている二人の大事な部分。しかし、ここでネスに限界が訪れてミルの前に倒れ込んだ。ずっと騎乗位で事に及んでいた二人の息は、マラソンでもして来たかのように疲れ切っていた。

「さぁて!今回の儀式はこれにて終了だよぉ!これから、ネスを祝って祝宴を始めるよぉ♪みんなぁ!酒の用意は出来てるかぁい!?」
マルネスが舞台の上にあがって、精液と愛液だらけの床にも物ともせずにミルとネスの傍まで歩いて行くと、ネスの肩を掴んで集落の皆の方を向くと、大声で全員に宴会の報せを告げた。その時、ネスは疲れ切った表情から少しの間だけ喜びに満ちた表情になっていた。ミルは尚も表情に変化が見られない。快楽を受け止め切れずに崩壊してしまったような表情をしている。暫くすると、ネスが名残惜しそうにミルに一度キスをしてから二人の繋がりを解いた。すると、その直ぐ後からミルの精液とネスの愛液とが混じり合った乳白色の液体がドロリと垂れ落ちて来ていた。

「あぁんっ!もったいないぃ!フッ!・・・良し、これでなんとか大丈夫そうね!」
ドロドロと垂れ落ちていく液体に目を向けたネスは、反射的に膣の入り口に力を入れて蓋をした。すると垂れ落ちるのも無くなった。そしてミルに抱きついたネスはそのままミルを起こした。

「大丈夫ぅ?私もまだ気持ちよさは取れないけど、貴方の為に我慢するもんね!だから安心してね?アナタ♪」
「ぅあ・・・・うん・・・」
ミルの調子が優れていない事に不安がよぎったネスが、心配心からミルに声を掛けた。その返答に答えるミルの目には、光が全く持って宿っていなかった。所謂「廃人」に準ずる状態になってしまったミルの事を、嬉しそうにミルに抱き付いているネスが気付くはずも無かった。そして、ミルを軽々と抱えあげたネスは、軽い身のこなしで舞台から降りると、ミルをベンチに座らせて隣に座ると、宴会の席に参加して言った。

「はい♪あ〜んして?」
「・・・・(ズボッ)」
「どう?美味しい?」
ネスが、掴んで持って来たミートボールを一つミルの口の中に突っ込んだ。それでも尚ミルは心に光を取り戻さない。本能的に口を動かしてそれを飲み込んだミルだったが、それ以上の事は考えられもしなければ考えようともしなかった。心その物をへし折られているミルに取って、細かな感情表現は人が背中から翼を生やして天に飛ぶほどに難しい事になっていたのだ。

「・・・・・」
「あっ!まだまだあるからね?た〜くさん食べるんだよ?」
「・・・・・」
瞳の焦点も合わないまま忘却の彼方を見つめていたミル。その光景の中には隣に座っているネスでは無く、もっと違う美しい女性がいた。

「・・・・(誰だっけ・・この人・・)」
「・・?お〜い♪聞こえてるぅ?」
この言葉が、ミルの心の中で発する最後の救難信号だとは本人にすら気付きはしなかった。隣ではネスが片手に肉の塊を握りながらミルの心配をしている。しかしミルは返事を返す事も無くただただ空を見上げているだけである。遥か彼方をハーピーが飛んでいようが、それをブラックハ―ピーが追いかけていようが構う事も無くただただ空を見上げていた。

「・・・・・」
「・・(フフッ、やっぱり可愛い♪)あのね?アナタに私の家に来てほしいんだ。えっとね、それでね・・・・・・帰ったら、またHしようね♪」
いつまで経っても口を開く事のないミルを見つめていたネス。その表情は、自分の可愛らしい夫の姿を見て綻んでいた。

「さて!私たちも張り切って宴会を盛り上げるわよぉ?」
「・ぁぅ・・・」
仕切り直そうと握りこぶしを作って気合を入れなおしたネスは、ミルの手を握って立ち上がると皆の待つ場所へと一緒に歩いて行った。その時に、ミルが小さな声を出して何かを伝えようとしていたのだが、ミル自身が言語能力もろくに使えない状態まで崩壊しているのでそんなことなど出来はしなかった。そして、二人はそのままアマゾネス達の輪の中に入って行った。
10/11/06 18:44更新 / 兎と兎
戻る 次へ

■作者メッセージ
今回は、ミルからだけの視点になっています。次回は逆に、ミリアだけの回になっています。それでは、意味不明なお話だとか短すぎるだとか言われるのを恐れながらもこのお話を投稿する事にしましょうか。それでは、またの機会にでも

TOP | 感想 | RSS | メール登録

まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.33