連載小説
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12.牛と実りと穏やかな日
「ん…んんん………むにゃ……」

男はそんな声で目が覚めた
ゆっくりと目を開くと、目の前には褐色の大きな乳房があった
顔を寄せるとあたたかくやわらかい乳房がその形をかえる
息を吸い込むと、やさしく甘い匂いが香ってきた
見上げると幸せそうに眠った顔…
いつまでも見ていたいそう思ったが…

鶏の鳴き声がどこからともなく聞こえてきた
目を移せば閉じた戸の隙間から陽の明かりが漏れている
この明るさは…もう昼だ…

今日はいつだろうか?もう何日こうして二人で寝ていたのか…

男は外の様子を見に行きたくなった
しかし、すぐには行けない
その理由…それは…
男の大切な人…嫁であった
彼女はいつも男を抱きしめて寝る
そして、男が寝返りとかで離れようとすると、許さないとでも言いたげに抱き締めなおしてまた寝てしまうのだった
だから、すぐにはいけない
男は、彼女の背から尻にかけてくすぐるように撫でる
そうすると彼女のしっぽがハエでも払うように動く…
でもそれでやめてはならない…
続けていると痒みを覚えたのか、ぼりぼりと彼女はかき始めた

今だとばかりに起き上がる
「…だめぇ…」
甘く懇願するような声…でも男は外を見に行きたかった
彼女はまだおきない。そのうちに起きるだろうが…
いまのうちと、男は着物を羽織って外に出た…



夏の風とは違った気持ちのいい風が吹いていた
だが、日差しはまだまだ暑い
空にぽっかりと大きな雲が浮かんでいた
向こうに見える山の頂にかぶさるように、そして高く高く空を突き抜けんと真っ白に…
夏ももう終わり。秋口に近づいているが…まだまだ昼は暑くその空には入道が地に住む者たちは頑張っているかと首を長くして見晴らしている
赤いトンボが二匹寄り添って飛んでいた…
その眼下には一面の水田
黄色に変わる稲は頭を垂れていた
重そうに揺れるその頭
豊かに実った稲穂
人と地と風とお天道様の力が重なった大切な実り
段になっている棚田
見渡す限りの田が黄金色に色づいていた
それを見て男は微笑んだ

「そろそろうちの嫁の出番だがなァー」

田んぼを前に何か思いに耽る男
そんな時声がかかった

「よし蔵ー!瓜をもらったど!早く来ー?」

おっと嫁さんが呼んでいる。瓜か…これは早く行かねばなるまい
呼ばれた男はそそくさと家へと帰っていった
男は、よし蔵という名だった。ここら里山でいくつかの田んぼを持っていた
一昨年、嫁をもらい所帯を持って暮らしていた

「キュウリもマクワもよう冷えているぞ?」
彼を出迎えたのは…
背丈は彼よりも大きい
男かと見まごうかのような卓越した筋肉を持っていて、頭には牛のような角が生えていた
力強い蹄をもつたくましい足がその漲る力を現しているかのようだった
「ああ。ありがとうよおミノ」
とても力持ちな彼女。だが、いつも寝てばかりいる

でも彼はそんな彼女が可愛くて仕方なかった
豊かな胸を持っていていつもそれに包まれながら一緒に眠るのが好きだった
農作業に出るために抱きしめる力の緩んだ彼女から抜け出そうとすると、片時も離れたくないと抱きしめなおしてまた眠る
起きたら起きたでよし蔵の顔を見ながら交わろうとするのだ
これでは農作業をしている暇もないのだが…
彼ができない時は村に住む他の者たちが彼に代わって田を見てくれていた
そんなことができる理由…それは…
「おミノ?そろそろ稲さ刈りとる時期なのよ。だから、あれをやってほしいんだ」
「えーめんどくさい」
「そんな事言わんと。そうじゃなくとも我侭通させてもらっているべ。それに…」
「それに?」
「おまえさんと一緒に働いておんなじ汗かいて…おまえさまと…したいべ」
「……」
おミノは目をまん丸にしている
したいなどと彼の方から言い出すことは滅多になかった
「おまえさまとおんなじ汗かいた後の睦ごとはさぞ気持ちええことだろうな………駄目じゃろうか…?」
「っ?!…よし!やろう!やってやろう!!」
どうやらやる気を出してくれたようだった
アタイに任せなというように、よし蔵の首に腕を掛け頬に頭をすり付けながらワハハハッと笑っている



おミノとの出会いは一昨年のことだった
春先の山の中…
山から湧き出す川の水源を見に行こうと草木を分け入っていたときだった
その日は水の湧き出す泉に着いて、周りを掃除していた
日ごろ、この泉には感謝の気持ちで時々掃除に来ていた

掃除を終えて一休みに握り飯を食べていると…
大きな木の下の向こう、草が茂る中から大きなイビキ声が聞こえたのだ
人のようなイビキ…ではない。なにか恐ろしげな獣でもいるのかと思った
ぐおーぐおーと地響きまで聞こえそうなイビキ…
近寄ってみると日に焼けた人の背中と蹄のついた牛の足が見えた
腰から出た尻尾が飛んでくる虫を払っていた

「あれまぁ…これは牛のあやかしだべか?本当に気持ちよさそうに寝ておるの…」
涎をたらしながら幸せそうに寝ている牛のあやかし
起こすのはかわいそうだとそのままにしていた
しかし、しばらくしてイビキが止んだ

イビキがやんだかと首を回すと、こちらを見ている瞳と目が合った
『…んぁ?…男がいる…。…男かぁ…いいかもねぇ…』
どこか寝ぼけたようなその声
握り飯をもしゃもしゃと食べていると、牛はそれをぼけーっと見ていた
「ほれー牛さんよ?握り飯でも食べてみるかー?」
『握り飯ー?』
「おらんとこの田でできた米で作った飯さー!ほっぺたー落ちるほっどうっめーぞ?」
『……うんじゃぁーもらうー!』

竹の子の皮で包んだおにぎりを差し出すと、牛は大口開けて食べはじめた
「……うっめーか?」
くっちゃ……くっちゃっ……
「……」
くっちゃ……くっちゃっ…………ん?んんん?』
「ん?」
様子がおかしいと気がついたのは頬張る音がなくなった時だった

『おまえ…一人モンだねぇ?』
気がつけば真横に立っていた
「ん?ああ、そうだが…」
じゃぁ…あたいのモンになっちまいな!!

牛のあやかしの手から落ちた握り飯…
真ん中に食べかけの赤い梅干が見えた
梅干は苦手だったのだろうか?
肩を押さえつけられて押し倒された

「おちつけぇ!!」
『騒いでも無駄さぁ!あんたをアタイのモンにしてやるよぉ!!』
「おちつ…うぁぁあ!!」
着物を乱暴に剥ぐように胸元を肌蹴させると臭いを嗅ぎ出す
そのうちに腰紐が緩んで着ているものを剥ぎ取られてしまった
『あははは!!男のいい匂いをさせてるじゃないか!さぁ、あんたはどんな味してんだろうねぇ?』
胸板に口をつけて舐めだす牛…
『ちゅ……んっ…はぁっ……ぢゅる…ちゅ………んふふふ……しょっぱくって……いい味じゃぁないか!』
「ううう……うはぁ…あっ…そんなとこを…くぅ!わっ……」
我慢もできずにうめき声をあげるとうれしそうに笑う牛…
『ははっ!いい声で啼いてくれるじゃぁないか!イイネェ!もっとその声を聞かせておくれよ!』
牛は胸元から腹へと舐めていく
『ちゅっ…ふふふ?それなりに引き締まってるけど…まだまだだねぇ…あむ……ちゅ…んん……』
「うぉっ……お…おまえぇ…ヘソなんて……うっ…あああ」
『ははははっお前のでべそはへんな味だなぁ…臭いしぃ……だが…ちゅ…ぢゅ……悪くはねぇぜ?』
ヘソの中身を穿り出してやろうかというように舌先でくりくりとなめる牛の舌
味わったことのない感覚思わず声を上げてしまう
『いいねぇ!腹なめられただけでお前のあそこはこんなにもたっていやがるぜ?』
牛の手のひらが竿をなでる
「うぁ…」
自分以外に触られたことのないイチモツ
少し撫でられただけというのにビクリとしてしまう
『あはははは!なんだい?すこし撫でただけなのにそんなにもビクリとしちまって!そんなんじゃこれからアタイがやろうとしてることについていけるかー?』
「やろうとしてること?」
『…そう!こういうこったぁ!!』
次の瞬間、ねっとりとしたのもが彼の股間を襲った
「?!…うはっ!なっ!!??」
『ちゅ…ぢゅ…んんん……はっ…くっさいねぇ……ちゅ……でも…ちゅる…こんなにもっしゃぶりたくっ…て』
「あっあああぅぁ…だめだ!うぁぁぁ…そんなっ」
『あはは!こいつはイイ!いつまでもしゃぶっていてーなっ♪ ちゅっ……ぢゅ……んんん……』
そのうちにちゅーちゅーと吸いはじめた
「あっああ…そんただとこ吸ったってなんもでない……っく…うはぁ…」
『ちゅっ…この先っぽからうまい汁がにじみ出てきてんだ!こいつはいいねぇ!……ほら!出し惜しみしないでもっとだしな!』
「そんなっ……!」
『ちゅーちゅっちゅっ……出ないのかい?なら……』
舌先が尿道をほじくろうと分け入ろうと刺激するかのように先ばっかりなめる
牛の両手が玉袋をほぐすように優しく揉みはじめた
「うっああああっ!だめだ!うっ…うしさんよぉ!なんか…なんかが腹の底からっ!」
『出しちまいな!我慢なんてするもんじゃねぇ!あんたのもんは全部アタイのモンなんだっ!』
「〜〜〜っ!……うはぁ!!」
いままで我慢していたせいか、牛の口の中にたくさんの精が勢いよく出た
『っぷ!ああ………』
コクン…コクン…とゆっくりと飲んでいく牛
よし蔵は、ようやく終わったと、はぁはぁと腹で息をしていた
『ん?んんんん……くちゅ…くちゅ……はぁ……濃いねぇ……でも、それで終わりなんていうなよ?まだまだ先は長いんだからなァ!』
「はぁ…はぁ…はぁ……え?」
再び咥えると根元のほうから唇でしごき始めた
『んふふふ……ほは…ほんはに…はって…ちゅぢゅ……きたぁ』
イチモツがたつと見せ付けるように口をひらいて舌を見せつけ始めた
丹念に唾を塗りつけていくのがよく見えた
『あんたのチンコ…見えるかい?アタイに舐められてこんなにも逞しくたっちまっているんだぜ』
唾にまみれてぬめぬめと光る股間
よし蔵は恥ずかしくて仕方がなかった
『そら!もっと精を出しとくれ!もっと…もっとあんたを味わいたいんだ!』
そしてまたちゅーちゅーと吸いだす牛にまたも精を出してしまった

『見えるかい?あんたの出した精を』
見せびらかすように口をあけたその舌の上には粘つくような白いものがのっていた
それを口の中で咀嚼するように音をたてて舌先で口の中を舐めまわして口の中いっぱいで味わっている
「あっあああ……」
自分のだした精がああもうれしそうになめられていると思うとはずかしさがこみあがるもまた股間は元気になってきた
『ふふふ。またしたくなってきたのかい?あんたも分かってきたみたいだねぇ?アタイがどんなにいいかをさぁ』
くちゃくちゃと口を鳴らしながら味わう牛…
『アタイのおまんこもいい具合になってきたよ?』
そう言うと手を目の前に差し出し見せた
その手には何か粘り気のある汁のようなものがのっていた
『ほらこんなにもとろっとしてる…あんたがほしくてたまんないのさァ…』
腹の上に中座りになるとその奥がよく見えるように股を開いて見せた
牛の股に目が否でもいく、そこには割れ目が見えた。もう、蜜が垂れてきていて十分に濡れていた
『女の下の口を見るのは初めてかい?』
目がはなせられない彼。生唾を飲みながら頷く
『ふふ。アタイのここにあんたのチンコがはいるのさぁ!さぁ、覚悟はできてんなぁ?』
ぬぷっとそれは入っていった
『あんたのチンコはちっさいねぇ…でも小さくてもついてるもんがついてんだし、いいってもんよ!』
小さくても牛の中は、もっと大きくなれ、もっと太くなれ…とでも言うかのように吸い付く
奥へ奥へと導こうとするかのように躍動し捕らえてはなさない
動いていないのに中へと入れられただけでこんなにも気持ちいいのだ
これが動いたら?と思うと身震いがするよし蔵だった
『さぁ!動かせてもらうぜ?あんた!もうっ我慢なんてできねぇんだ!!』
言うが早いか腰を上下させる牛…
上に乗られて肩押さえつけられて身動きの取れないよし蔵…
浅く深く…小さいからこそその動きははやい
『あんたのチンコ…小さいワリにかったいねぇ…でも、そうじゃなきゃ楽しみようがない!』
うめき声を上げるしかなかった。あまりの気持ちよさに腰が逃げそうになるのにがっちりと押さえつけられて、イヤイヤとする顔は舌を差し入れられて、逃げ場がなかった
『気持ちいいんだろう?なんで逃げようとするんだい?そんなにイヤイヤして…足動かそうとしちまって…まだ、アタイのよさがわかってないみたいだねぇ…ほら!気持ちいいんだったらもっと腰使いな!』
「あっうっ…?」
『振るんだよ!腰を突き上げて!!』
言われるままに腰を振るう
こすれるたびに気持ちよくなって、だんだんワケがわからなくなった…
『ん…ああん…おっ…おっ…こすれて…こすれてっ!いいぜっ!…気持ちよくなってきやがった!!』
気持ちよさに腰が自然と動く

「牛さんよっ!もう…もうっ…だめだぁ!」
『いいぜぇ…いいぜぇ?おまえの精をアタイに寄こせっ!……っ?!』
よし蔵は、その声を聞かずにすぐに果てていた
熱い精が牛の腹の中に広がっていく
『うほぁ!来たっきたきたきた!!おまえの熱いのがきたー!!……イイッ!腹の中に回って!?あはぁぁぁぁ…』
牛のうれしそうな声を聞きながら、よし蔵は荒い息を整えていた
これ一回ではこの牛は治まるはずがないと思って…

その後何度となく腰を振るう牛…何度精を放っても満足することなく精をせがむ。そんな姿にいつのまにやら気が遠くなるのだった

「アタイはおミノ。あんたの嫁だ!」
牛のあやかしはそう言い放った

その後…

よし蔵の家へとやってきたおミノ
いつも寝てばかりいて、起きたらよし蔵襲って、満足したら彼を抱えて寝るの繰り返し
それじゃいかんと、なんとか田の面倒を見ようとするよじ蔵だったが…見ている暇がない
田植えや面倒はちょくちょく見てはいたものの、やはりあやかしを娶ったよし蔵には見切れるものではなかった
他に何かできないかと思案していたところ…
村長の家の片隅にあった水牛用の鋤があったので、春になったそのときに拝み倒しておミノに曳かせてみた
すると、よし蔵の思ったとおりに力持ちを発揮して一日ですべての田を耕してしまった
田に水を入れての耕しも、おかげですぐに終わってしまった
そのために、村の皆で時々彼の田んぼの世話を見ていた
一方のよし蔵は、迷惑かけてすまねと、なんとかおミノをなだめすかして耕しや刈り取りをやっていたのだった



「よし蔵ー!今日はアタイの気が済むまでやらしてもらうぞ?おまえもやりたいと言ったんだ!気なんて失うんじゃないよー!!」
鎌を構えてそんなことを皆の前で言う
「しーっ!そんただこと皆の前でいうなや!」
村の皆が笑っている
「おーし!じゃあ始めっとしようかねー!」
両手に持った鎌がキラリと光る
どこかにいるという剣豪か
二刀流の鎌使いが目の前にたくましい姿を見せている

あの太くたくましい足で地を踏ん張ると、見る間にすごい勢いで稲を刈りだした
「うおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉ!!」
人が一刻かかって刈り取る田を時間をかけずとも刈り取るおミノ
うちの田もよその田もあっという間に刈り取られていく
村人たちは総出で刈り取られた稲を丁度いい束にして稲干しにかけていく

日が暮れる頃には、あれだけあった稲はもうすべて刈り取られ干しにかけられていた
「いやぁ〜おミノさんのおかげで一日で終わったよ。ありがとうな」
「いや長様。いつもお世話になっているのです。こんな時でないと恩を返せないのが心苦しいと思うのですよ」
「いやいや。あやかし者であるおミノさんを持ったのだから仕方ないこと。持ちつ持たれつさ。さぁ、よし蔵!あとのことはまかせな!はやくおミノさんとこ行っておやり!」
「長様…ありがとうございます」
長様の好意にあまえて、すぐにおミノの元へと飛んでいく


「おミノー!」
「あんたー!!」
田んぼのあぜ道で疲れたとばかりに倒れこんでいるおミノ
「おミノー今日はご苦労だったなぁ。村の皆も喜んでたべ」
「そうかい…」
「またよろしくっていってたべ」
「そうかい…」
「でなぁ…」
「ん?……んんん???……っ!」
様子がおかしい。何かを見ているようだ
彼女の視線の先を確認すると…
曼珠沙華が群れをなして咲き乱れていた
「あんたー…」
「おミノ?」
「…ああ!もう我慢できない!」
「おミノ?!」
「あんたー!終わったらすぐにっていっていたべ?」
「ああっ?!」
おミノはよし蔵を小脇に抱えると走り出した
「さぁー!あんたー!当分は寝かさないからなぁ?覚悟しなぁっ!!」
よし蔵を抱きしめて楽しそうに笑うおミノ
そんな彼女にしがみついて楽しみだー?と笑いかけるよし蔵…


待ちきれぬと口づけしあいながら家路を急ぐ二人であった
11/10/19 22:58更新 / 茶の頃
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■作者メッセージ
ミノさんです
抱きかかえていつまでものほほんと寝ていたいと思うこの頃…

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