連載小説
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T:鎖を断ち切って【broken window】…下

報われない想いだと知っていた。


物心ついたとき、傭兵団の隊長だった父は戦死。
元々母親を早くに失っていた自分は、その国の衛士長に身元を預けられた。
後継ぎはおろか妻もいなかった前衛士長の後を継ぐべく、
日々戦うための厳しい教育と訓練を課せられた。
周囲の友との実力差はみるみる開き、いつしかたった一人だけで訓練するようになった。
苛酷な訓練と孤独に耐えながらも、将来の希望だけを夢見て突き進んだ。

そんな、鬱屈とした日常が転換したのは10歳の時だ。
養父からの言い付けで、この国の王女と共に教養を学ばされることとなったのだ。
初めのうちは「なぜ自分がこのような退屈なことをしなくてはならないのか」と
不満に思ったが、同時に共に学べる人がまたできたことがとても嬉しかった。
2歳年下だった王女は次第に自分に懐き、自分もまた王女をとても可愛がった。
思えば、兄弟どころか親しい異性がいなかった故の反動だったのかもしれない。
しかしながら、その頃の自分はまだ恋愛感情などなかった。
自分にとって王女はかけがえのない友達。そして妹のような存在だった。

結局、そんな生活は2年ほどしか続かなかった。
国王から非常に冷たい目で、王女との接触禁止を命じられ、養父からは多大な叱責を受けた。
そして、王女と隔離されて初めて自分の抱いていた恋愛感情に気付いた。

初めのうちは、また努力すれば再び王女のそばにいられると思っていた。

一年がたち、騎士として国に尽くすために自分の心を押し殺し始めた。

二年がたち、国王の猜疑心を緩和するため、いい加減な性格を演じるようになった。

三年がたち、王女と過ごした日々などなかったことにした。

四年がたち、近衛騎士として王女と再会した。
もうそこには…王女の友人であった自分の面影は残っていなかっただろう。
今でもはっきりと覚えている。
跪いて最上礼を捧げた時王女が見せた、最後の希望が打ち砕かれたような表情を…


だからこそ、自分は王女…エレノアに恋してしまったのだろう。
彼女の痛みは自分の痛みとなり、彼女の悲しみは自分の悲しみになっていた。
彼女が傷つくことは自分が傷つくのと同じこと。
ずっと守ってあげたい。大切な…大切な…愛しい人。




そんな大切な人を腕に抱え、禍々しく変わってしまった森の中をひたすら走る。


「はあっ……はあっ……っ!いつの間に…こんな……ところまで広がって……いたんだ?」
「シャナ………大丈夫…ですか?」
「私なら平気です。…エレノア様も……もう少し辛抱してください……」


実際は、全然大丈夫なんかじゃなかった。
自分で傷つけたわき腹がひどく痛む。もう少し加減しておけばよかったかもしれない。
それと魔界化の影響か、サキュバスと対峙した時に感じたような劣情が徐々に身を蝕む。
もし、何かの拍子にエレノアに欲情し襲いかかろうとするならば
すぐさま自分の首を剣で突き刺す覚悟だ。


(ああ……シャナに…抱かれてる………。ずっと…手を触れたことすらなかったのに……。
暖かくて…………いい匂いがして、…シャナ………しゃなぁ……)

エレノアの心は決壊寸前まで追い詰められていた。
もはや、なぜ自分が心の濁流を押しとどめているのかすら忘れそうになっている。
それでも彼女が大人しく胸の中に収まっていられるのは、
ふと見上げた時に視界に入る…シャナの真剣な表情があるからだろう。
急いで脱出するため馬を駆りながらも、時折鋭い痛みに耐えているらしく
あらためて、シャナが命懸けで自分を守ってくれていることを思い知る。



クラッ


「!?」「!!」


ヒイィィイイィン……


ズシャアアァァッ!!



「いやぁっ!!」「くっ!エレノア様!!」


突然二人は、馬の背から放り出された。
どうやら連日の強行軍で馬がばててしまい、たったいま乗り潰してしまったのだろう。
シャナはエレノアを庇って背中から地面に叩きつけられる。激痛が全身を襲った。


「かはっ!!」
「う……あ…シャナ……」
「ご無事…ですか、エレノア様……」
「私は……でも、シャナが……」
「自分のことはお気になさらず…、それよりも…もう少しで魔界を突破します……
馬がなくとも……自分の足で駆け抜けます。失礼…!」
「ひぅん!?」


シャナは、エレノアをお姫様抱っこの形で抱えたまま再び駆けだした。
鎧を剥いで軽装備になったおかげで身体への負担も少なく、長時間走れそうだ。



時刻はすでに二の刻(だいたい午前2時から4時まで)となり、
空に浮かんでいた赤い月はすでに小さく、わずかに明るくなってきている。
そして……


「エレノア様!……はあっ…ついに……魔界を抜けました!
あとは……はあっ…はあっ…手近な村か町があれば…そこで……」


魔界化した雑木林を抜けた頃には、シャナの体力も限界に近付いてきていた。
それでも彼は、一刻も早くエレノアを安全な場所に連れて行きたいがために
止まることなく必死に足を動かした。
時間がたつにつれ、傷の痛みは引くどころかさらに鋭くなり、余計彼の負担を増やしていた。


そして……とうとう…





「え…レノア様……申し訳…ございません………少々…休息を……」
「………………………………」

切り株の上にエレノアをそっと下ろし、ふらつく足取りのまま近くの大木にもたれかかる。
どうやらこれ以上は足が動かないようだ。三時間も全力疾走すれば当然だろう。
右手で小さな道具袋の中から小さな瓶に入った蒸留水を取り出し、半分ほど飲む。
もう半分は……

「エレノア様…これで水分補給を……」
「ありがとう………」

エレノアも、長時間熱にうなされて喉が渇いていたので、喜んで受け取る。ところが…

(あ……これってもしかして…間接………き…キス……シャナと…キス………)

コクン  コクン

(シャナの水が……私の………口の中に…、シャナ……おいしいよ…おいしすぎて…)

「…?シャナ…どうしたのですか?」

(私……私は………)


シャナは大木にもたれかかったまま、荒い呼吸を繰り返している。
白い軍服は、腰の右わきが赤く染まっており、そこからズボンまで血に染めている。


「血が出てる………誰に…やられたの?」

(私……は………)


シャナは応えない。まさか「自分でやりました」とは言えない。


「こんな状態で、私を……抱えて…走っていたなんて……」

(しゃな……好き……大好き………)


ふらふらしながら一歩一歩シャナに近づく。


「止血……しなくては…」

(こんなにも……シャナのことが…………好きだから……)


エレノアは一応回復魔法が使える。しかし、普通は媒体となる杖が必要になる。
ところが、無意識掌を傷にかざすと、みるみるうちに傷が癒えてゆく。


「シャナ……泣いて…いるのですか?」

(……………もう…我慢できない……)


限界を越えた身体の酷使。これ以上動いたら自壊してしまいそうだ。
命に代えても守ると誓ったのに、それすらも果たすことが出来ない自分の無力さ。
シャナもまた、精神的に追い詰められていた…


(エレノア様……自分は…どうしたら……)




「…シャナ!!」


ギュッと、エレノアがシャナに抱きついた。後ろから、彼の背中に顔を埋め腕を胸に回す。


「え?エレノア様?え?あ、あの…?」

シャナの背中にエレノアがぴったりと密着し、形が良く豊かな胸が押しつけられる。
生まれて初めてと言っても過言ではない生々しい快感に、シャナは戸惑っている。

「シャナ…」
「は…ははっ」
「……シャナは、私のことをどう思っているのですか?」
「え、どう、って?」



―愛している―


(……っ!?)

「そ…それは……」
「教えてくれないの?」



―エレノア様のことが好きです―

(いけない…!自分はあくまでも臣下……告白など許されない!)


長年心を寄せていた人から抱き締められる快感がシャナの心を狂わせた。
心臓が破裂しそうなほど跳ね上がり、汗がドクドクと流れ出す。


「私は…私はっ!!」
「っ!エレノア様、それ以上は…!」

エレノアの方を振り向く。
そこには、今までになく顔を紅潮させ、決意を秘めた瞳が迫っていた。

「シャナのことが好きなの!!ずっとずっと…大好きだったの!!」
「あ……ぁ……エレノア様……」



頭の中が真っ白になった。それほど、衝撃的なことだった。
エレノアが自分に好意を持っていることは薄々気づいていた。
しかし、それは自分の思い上がりであるとして意識しないように努めてきたのだ。

ところが今…エレノアの告白を受けた。
それにより、決壊を抑えていた鉄の意思に大きな亀裂が走った。


「私は不安だったの……。だって…私はシャナが思っているような……
美しくて…高貴で……責任感のある…理想のお姫さまなんかじゃないのですから。」
「いえ……そんなことは…」
「見て、シャナ!これが……私なの!」


シャナから少し離れると、ドレスに手を掛けてその場にバサバサと脱ぎ去っていく。
いつもならばシャナがすぐに止めに入るのだが、思考の混濁で身体が動かない。
白を基調としたドレスにスカートを脱ぎ、コルセットを外す。
そして…ブラとショーツだけになった時、シャナの瞳が驚愕と絶望に染まった。


腰の付け根から生える、淫魔の尻尾。悪魔の羽。



全てが手遅れだった。
魔界を抜けたから大丈夫だと考えていた自分は甘かった。
もう、エレノアは人間ではない。


「私は……ずっと、シャナのことしか考えてなかったの!
国を守り…民を労い…臣下のことを大切にする…理想のお姫様じゃなかった!
私に期待していたお父様や尊敬してくれた国民、慕ってくれた兵士のみなさん
そして理想の私を守ってくれるシャナの気持ちすらも踏みにじって!
ずっと…ずっと!シャナのことしか考えてなかった!!
浅ましくて…みっともない……お姫様失格の………」




報われない想いだと知っていた。

結ばれない恋だと分かっていた。

それでも、私は諦められなかった。ずっと、シャナのそばにいたかった。


14歳の誕生日…シャナと再会した夜、生まれて初めて…自分で自分を慰めた。

シャナが使った後の仮眠室の枕をこっそり自分の部屋に持ち帰り、

自分の匂いでシャナの匂いが上書きされてしまうくらい使い込んだこともあった。

帝王学の過程で、閨房術の勉強をした日には…

シャナに奉仕することを想像しながら気を失うまで自分の蜜壺をいじりまわした。


しかし、そこまでしても胸の想いは晴れることなく、溜まる一方だった。


「嫌い……だよね?シャナは……こんな淫らで、ウソつきな……私なんて…」
「……好きです。」
「え……」
「自分も…エレノア様のことを………長年想っていました。
臣下の身であるにもかかわらず…エレノア様をお守りする存在であるにもかかわらず…」
「シャナ……うそ…」

シャナの頬を涙が伝う。エレノアの目からも、涙が溢れ出す。

「むしろ…騎士失格なのは自分の方です。本来なら……エレノア様に軽蔑され…
臣下の地位を剥奪されても……おかしくないのですから……」
「…うれしい。シャナも………だったなんて……あぁ…」


エレノアの心は完全に歯止めを失った。
それを示すように、残っていた下着を引きちぎるように脱ぎ去ると、
シャナの軍服を乱暴にはだけさせ、そのまま衝突するように密着してきた。
肌と肌が直接接触し、砲弾のような胸が半ば押しつぶされながら押しつけられ、
首にまわされた手によって顔をその場に固定される。
そして、唇同士が触れ合う。

「んんん……ひゃな………」
「ふぅん!?……んんぅ」

(キス…してる!私…シャナとキスしてる!!)

エレノアにとって、夢にまで見たシャナとのキス(実際何度もシャナとキスをする夢を見た)。
今までたまっていた劣情が一気に身体を駆け巡り、あまりの快楽に耐えることが出来なかった。

ビクン…ビクン!

「ふぁっ!?ひゃふぅん……」
「え…エレノア様!?」


キスしただけでエクスタシーの頂に達してしまったエレノアは、
蜜壺から大量の愛液を流し、シャナのズボンにしみ込ませてしまう。
サキュバスとなったエレノアはただでさえ感度が跳ね上がっているうえに、
今は大好きなシャナと触れ合っているという事実が、彼女の身体を突き動かす。

欲しい。もっとシャナが欲しい。


「ご…ごめんなさい、シャナ。ズボン……汚しちゃって……。
今……綺麗にして……差し上げますから……。」

そう言いながら、悦びの興奮を抑えきれないといった表情のまま、
疲労と驚愕で抵抗できないシャナのズボンのベルトを外す。
とうとう、下着と共にズボンを強引に膝の位置まで剥いでしまった。

非力な印象だったエレノアのどこにこんな力があったのか。
そんな疑問は、残念ながら今のシャナに考えている余力はなかった。
なぜなら、ズボンの中で膨張していたシャナの一物が今まさに覆っていた物を失い
勢いよく跳ねあがった。それと同時に、シャナの顔は恥ずかしさで火を噴きそうだった。

しかし、エレノアは何のためらいもなく出てきた肉棒に手を触れる。

「……こ、これ……これがシャナの……こんなに大きくなるんですね………」
「ちょっ!?え、エレノア様……は、恥ずかしいですから……」

シャナの抗議を無視し、触れていた手でそのまま確かめるように握る。

「こんな、大きいなんて……私…熱くて、手が火傷しそう。それに、脈打ってて……」


次の瞬間、一物を手でさすっていたエレノアは、その顔を一物に近づけ……

「い…いけません!エレノア様!そんなところ……汚くて…」
「ですから……私が綺麗にして、差し上げます。…ン!……ンプ……ンク!」

シャナが止めようとしたときには、すでに肉棒がエレノアの口腔に収まっていた。
根元まで一気に飲み込まれ、温かい口の中の皮膚とたっぷりの唾液に包まれる。

(たしか…こうすると男の人は気持ちいいのでしたよね?シャナも…感じてくれるかな…)

「んぅぅ……ぬちゃ、ぺちゃぺちゃ……じゅっ、じゅぷっ、じゅぷっ、じゅぽっ!」


しかし、それ以上に初めて見たシャナの肉棒を咥えることが何よりも嬉しかった。
口での奉仕など初めてのエレノアだったが、
サキュバスになったせいか口の中の肉棒を感じるだけで
本能的に何をするかが分かっていた。
舌を絡めたり、唇で剛槍を締めるようにして顔を前後させたり
目を伏せたまま一心不乱に一物を舐めしゃぶっている。
その表情は、口での奉仕が嬉しくてたまらない様子だった。


「う、うあぁ………」
「じゅっ、ちゅっ、ちゅぽっ……!…はぁっ…はぁっ…どう、シャナ?気持ち…いいですか?」

不意に、エレノアは一物から口を離してシャナを見上げた。
上目遣いな目線。清楚で、理知的だったエレノアが、まだ一物を半分口に含んだまま
可愛らしい様子で話しかけてきた。非常にエロティックな光景…」

「あ、当たり前です!気持ちよすぎて……意識が飛びそう…でした…」
「うれしいです……私で感じてくれてるのですね。もっと……ご奉仕して差し上げます……」

再び肉棒を口の中に迎え入れる。

「ん、ん…じゅ、じゅぷ、じゅぷ、じゅぽっ!んちゅ、ちゅっ、ちゅるう……ぺちゃ、ぴちゃ…」

抽送のため唾液ががさらに溢れる音や幹や先端を舐める音。
それに、エレノアのはなから漏れる必死な息遣いも相まって、
シャナのエクスタシーは驚異的な速度で上昇してゆく。

理性が崩壊しているシャナには、もはや快楽の波を押しとどめることはできなかった。

「かはっ………えれのあ……さま、これ以上は……もう…」
「…我慢なんかしないでください!シャナの精液を……いっぱい、いっぱい…ください!
私をシャナの精液で汚して。顔も胸も口の中も…シャナの精液まみれにしてほしいの!」

シャナの高ぶりを感じたエレノアは、止めとばかりに行為の激しさを増した。


「あ……あぁぁ………」

一瞬頭の中が真っ白になったかと思うと、下半身から何かが勢いよく噴き出した。
口の中ではじけた瞬間、エレノアは肉棒を口から離す。
ドクドクという醜い音とともに吐き出された白い液体を、顔面で受け止める。

「アハァ♪出てる…!シャナの精液が、私の顔に……!
ああっ………熱い!こんなにたくさん…胸にまで!」

何度もほとばしる大量の白濁が、エレノアの顔にたっぷりと振りかかる。
一部は髪や胸にまで飛んで、垂れ落ちる。

「そ……そんな…エレノア様……」

シャナの前で、エレノアの美しい顔が無残にも自分の精液で塗りつぶされていた。
自分がこんなことをしてしまったとは、たった今でも信じられないようだ。

それでも、エレノアは恍惚な表情でこちらを見上げている。

「凄い匂い……これが、シャナの匂い……なのですね。酔っ払って…しまいそう……」

顔についた精液を指ですくい、そのまま口に運ぶ。

「んっ…おいしい。シャナの精液……とってもおいしいの。今まで食べた…そんなものよりも…」

唇の周りについた精液を舌でなめとり、さらに顔中に付着した物までどんどん舐めとっていく。
そればかりでは足りなかったのか、一物を再び口の中に咥え…

「ンン……ちゅる、ちゅるるぅ……」

尿道から残りの精液を吸い上げることまでした。
今やエレノアは身も心もサキュバスとなって、シャナの全てを求めている。

今までの清楚なエレノアも美しかったが、
今の妖艶なエレノアにも惹きつけられるような魅力がある。
それはまるで、淫らに咲く一輪の華のよう。

その光景は、シャナの一物に新たな力を与えるのに十分すぎるくらいだった。







「エレノア様…本当に、よろしいのですか?」
「はい♪私は、シャナを所望です。シャナは、私と一つになるのは嫌ですか?
今まで、私のことを犯してしまいたいと思ったことはないのですか?」


犯されそうなのはむしろシャナの方だった。
エレノアは、抵抗する力を持たないシャナをその場に押し倒し、腰の上に跨る。
そして、そのまま覆いかぶさるように顔と顔を近付け、再びキスをする。


「んっ…ちゅっ、ちゅぱっ、ちゅっ………んんぅ、はふっ……」

先ほどは触れただけの快感すら耐えられなかったエレノアだが
シャナの精液を顔に受けた際に何度も絶頂に達していたからか、
快感に耐える余裕も出てきたようだ。

ただ、なぜこのようなことをしているかというと…


「はあっ…はあっ……、緊張……してしまいます。
ようやく……シャナと一つに…なれるのですから♪」

極度に身体が昂り、今からシャナと繋がるという事実だけでも達してしまいそうだった。
実際に繋がってしまったら、
あまりの気持ちよさに壊れてしまうのではないかとすら思ってしまう。
気持ちを少しでも落ち着かせようとシャナの舌を味わいたかったのだ。


意を決したエレノアはシャナの手をしっかりと握りしめその場に少し腰を浮かし、
肉棒の先を、蜜壺の入口にあてがう。

クチュ…

「ん……」


(いいのか。本当に…エレノア様の中に入ってしまう。そうなれば……もはや、引き返せない……)

シャナの覚悟を決め、その身をエレノアに委ねることにした。
刹那、膣前庭が一物の先端を呑みこみ包んでゆく。

ズチュ……ズリュ…クチュ、ン!

「いっ!?あああっ………!!」
「ぅ…うあ………」

エレノアの背中が反り返り、二人して未知の感覚に声をあげた。
しかし、まだ肉棒は半分以上外に出たまま。その先は処女膜があるため、簡単には進めない。

「シャナ!!お願いします!私の初めて、貰ってください!!」
「くっ!エレノア様……承知、致しました………自分なんかでよろしければ…」


もっとも、返事を聞くまでもなくエレノアは深く腰を沈める。
一度では突破できず、二度・三度と振り下ろすように腰を使い、そしてとうとう……

「ひんっ!!きひぃっ!!あっ!ああっ!!シャナアアァァァッ!!」

何かを突き破るような衝撃がエレノアの中から響いたと思った次の瞬間、
先ほどまで埋まらなかった一物の部分まで、すべて蜜壺の中に呑み込まれた。
それと同時に、エレノアの体重が一気にシャナの上に落ちた衝撃が、
今までに感じた以上の激しい快楽をもたらし、エレノアをまたしても絶頂へと導いた。

(あっ!あああっ!!シャナが……私の中に入ってる!!
何度もあきらめようと思ったのに…!叶わない夢だと…思ってたのに…!)

「嬉しいです…。やっと…シャナと一つに…なれた。シャナ……私達、つながってる…
はあっ……熱い…身体の内側から、焼きつくされてしまいそう……でも、嬉しくて…」


長年積み重ねてきた苦しく成り難い想いが実り、
悦びのあまりエレノアの目からは大粒の涙が零れる。
しかし、涙と精液でくしゃくしゃになった笑顔は、今までの人生で一番輝いていた。
下から見上げるシャナもまた、エレノアの喜びに満ちた顔を見て心をうたれた。
好きな人からここまで想われていた嬉しさ。


「本当に、貰ってしまいましたね……エレノア様の、初めて。」
「大好きな人に……んっ、受け取ってもらえて……私は幸せです♪ですが…」

ズルン

エレノアがわずかに腰を持ち上げ、蜜にまみれながらもわずかに
破瓜の血が付着した一物が二人の股間の間に顔を出す。


「私は、はしたないお姫様ですから…んっ、まだ満足していません。
いっしょにいっぱい気持ちよくなって……シャナの精液を私の中にたくさん、下さい♪」

そこまで言うと、腰を深く落として肉棒を再び奥深くまで迎え入れる。

「ああっ!ああっ!気持ちいいっ!!初めてなのに、まだ少し痛いのに、でも、気持ちいい!!
私…シャナで感じてしまいます!大好きな人と交わるのが、
こんなにも凄いことだったなんて!!」
「はあっ……あっ!!自分も…こんなに気持ちいいことは初めてです!」
「えっ!しゃ、シャナも初めてだったのですか!?」
「お恥ずかしながら……エレノア様以外の女性には…どうしても興味がわかず………」
「嬉しいっ!!シャナも私を待っててくれたなんて!!シャナは私専用なのね!!」

ドチュッ、ドチュッ、ズチュッ、ズチュッ!
エレノアが腰を上下させるたびに、
蜜壺と一物がこすれ合う音や、皮膚同士が衝突する音が響く。
長い我慢人生の反動か、はたまたサキュバスの本能か。
初めてとは思えない腰遣いで、貪欲にシャナを求める。
エレノアからもたらされる凄まじい快楽に、シャナは再び追い詰められてゆく。
ついさっき、エレノアの顔に射精したためなんとか保っていられるものの、そろそろ危ない。

(エレノア様だけにされっぱなしでは……自分にも何かできることは?)

とはいっても両手はしっかりと握られて動かすことが出来ず、
足も疲労のため動かすのも一苦労だ。
ところが、シャナは無意識にエレノアの腰遣いに合わせて自分も腰を突き上げはじめた。

「ひあぅっ!!しゃ、シャナ…!そんな…う、動いたら……私…!」

(こう…かな?)

基礎戦闘訓練での腰溜め突きの要領を思い出し、膝を何とか曲げて踏みしめる態勢を作る。
そうなれば、少しは要領よく腰を動かすことが出来る。

ズン!ズン!ズチュッ!
ようやくシャナも、思う存分突き上げられるようになった。


「ひっ!ひゃうぅん!あ、はんっ!す、すごい!シャナが…私の奥深くに突き刺さって…くる!
奥の奥まで…んんっ!突きあげられて…子宮の中まで、入ってきてしまいそう!」

二人の勢いは衰えることなく、エレノアの淫らな舞踏はさらに激しさを増してゆく。
しかし、その分エクスタシーの高まりも速くなり、いまにも限界を迎えそうだった。

ズシッ!ズシッ!…ズシャッ!ズシャッ!ズシャッ!…チュクッ!ヂュクッ!ヂュッ!
耳を塞ぎたくなるような恥音とともに、エレノアが背中グンッと仰け反らせる。


「はっ!はあっ!……くる!来ちゃう!!シャナにイかされちゃう!!また飛んじゃう!!
シャナ!シャナぁ!好きぃっ、大好きぃっ!シャナも…私の中にたくさん出して!!」
「そ…そんなこと言われたら……とまらなくっ!!」

ズン!ズシャッ!!

「あ!あひぃっ!いっ…イくっ!!イっちゃうっ!!シャナっ!あああああぁぁぁぁっ!!!」
「かはっ!?エレノアさまっ!!つ…潰されて…!」


ビクン!ビクン!と大きく痙攣するように震えると、エレノアは天を仰ぐように硬直する。
あまりの締め付けに、シャナの肉棒も一気に臨界点に達した。

肉棒が弾けたような感覚と共に、ドクン!ドクン!と射出される音がする。
シャナが放った大量の精液は、エレノアの最奥に叩きつけるようにほとばしり、
蜜壺の中を一気に満たしてゆく。


「ひあぁぁ………出てる…私のお腹の中で……!
シャナの…精液、私のお腹の中で……受け止めてる!
んんっ……すごい!熱くて……溢れるくらい、いっぱいで
……私…シャナの子供……身籠っちゃう…!」

たったいま絶頂に達したばかりだというのに、膣内射精で蜜壺を灼かれたエレノアは
今日何度目か分からないエクスタシーの極みに突きあげられた。




「あ…はぁっ……シャナ…、んっ……ちゅっ、ちゅぷっ…んちゅっ」
「んふっ…ちゅるっ、ちゅぷっ…は、んん…えれのあ、さま…」

果てた後も、二人はつながったままキスを交わす。
舌が積極的に絡み合い、行為の余韻を二人で分かち合っているようだった。


「シャナ。」
「はっ。」
「これからも…ずっと、私のそばにいてくれますか?」
「無論です。エレノア様から離れるなど…考えたくもありません。」
「嬉しいです…。」

と、再びエレノアの蜜壺がキュッと引き締まる。


「さ、シャナ。もっと、もっと。愛し合いましょうね。」
「ええ、望むところです。」

今度はシャナが上半身を起こし、お互いに抱きあう格好になる。

「ところでシャナ、一つ聞いてもよろしいですか。」
「なんでしょう。」
「シャナは、何人子供が欲しいですか?」
「子供…ですか。三人は欲しいですかね。」
「相変わらず無欲なのですね、シャナは。私は少なくとも十人は欲しいです。」
「ふふふ…エレノア様には敵いませんね。自分も、頑張らなくては……んっ!」
「はい!一緒に…頑張りましょうね!あっ…あはぁっ♪」


結局二人は、お互いの意識が途切れるまでその場で交わり続けたとのこと。










軍事大国グランベルテの首都が魔物の手によって陥落し、その周囲が魔界と化した事件。
その事件に巻き込まれるような形で、シアノの王女とその周囲の人々も魔物化した。
人類社会の大きな不幸となったこの事件によって、お姫様は自由と幸せを手にした。

グランベルテでシアノの出身者たちと再び合流したエレノアとシャナは、
魔王軍の手を借りてそのままシアノの魔界化にも成功する。

魔界の一部となったシアノの城で正式に結婚した二人は、
誰にも憚られることなく毎日愛を交わし合い、たくさんの子供に囲まれて過ごしたという。



サキュバスとなってしまったお姫様は不幸になるどころか、最高の幸福を手にしたのである。


めでたし、めでたし。










―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――




記念すべき第一回目のお話はどうだったかな?
元のお話はこんなにも生々しい話だったんだ。ちょっとショックを受けた人もいるのでは?


お姫様はお姫様じゃなくなることで幸せになるっていうのは結構皮肉なことだけど、
僕たちの様な庶民の方が自由に恋愛できる分幸せになれる可能性が高いのかもしれない。
でも、自由がなかったからこそ燃え上がったというのもまた事実。
長年積り積って来た想いを、実らせることが出来たらどんなに気持ちのいいことだろう。

ちなみに、この二人の間にはその後百人もの子供が出来たとか……


さて、今回は「王道」ともいえるお話を紹介してみたよ。
でも中には、展開が予想通り過ぎてつまらないという人もいるんじゃないかな。
そこで、次回はちょっと変わったお話を紹介しようと思うんだ。

お楽しみに。
11/06/27 22:10更新 / バーソロミュ
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■作者メッセージ

今回の反省点

・サキュバスの特徴をあまり生かせてなかったように思われる。
・魔物化の過程をもう少し描くべきだっただろうか?
・シャナがエレノアを抱えて走った時間は約三時間。さらに、馬に乗って駆けた時間は二時間。仮に平均30q/時で走ったと仮定すると進んだ距離は150q…これは東京から静岡までの距離。………衛士長頑張りすぎ。

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