読切小説
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アルラウネの魅了。

ある冒険者が、一人でダンジョンである森を探索していた。
何故か?
もしかしたら偶々人手が足りなかったのかもしれないし、もしくは一人で旅をするのが好きなのかもしれない。
様々な理由が考えられるが、一人で森を探索するに納得のいく理由が冒険者にはあった。
身軽だが決して防御を忘れない服装に、剣。
そして森の弦を切る為の鉈を片手に辺りを警戒していた。
お店で売る事ができる素材を剥ぎ取りつつ、森の奥に進んでいく。
狼やゴブリンなど、冒険者の脅威となる存在は少なくないがしかし、それらを退けていく。
恐らく冒険者にとっては他愛もないダンジョンで、予想外な事が無ければきっと無事に帰れた事であろう。
さて、帰らぬ人…にはなっていないが、彼の心に深い傷跡を残す事となった出来事を、まとめておくことにする。


「…よし」
おおよそ昼、丁度食事休憩を済ませた。
森の中では食べられる物も多く、持ち込んだ調理器具でそれなりの物を作る事が出来る。
お皿や簡易調理器具を鞄の中へしまい、剣と鉈を準備する。
準備と警戒心を整えて、道無き道を歩んでいく…とここで、作ってきた道から広場へと繋がった。
思ったよりも速かった。元々食事をとっていた場所は少し狭く、周囲に空いたスペースが無い事を確認して妥協した場所だったから尚の事驚いた。
「…ん」
しかし真ん中にある閉じた巨大な花と、それに纏わりつく大量の蔦を見ると合点がいった。
大きさは人間を包み込めるほどに大きく、蔦は人間の腕ほどの大きさを誇る。
葉はかなり弾力があり、耐火性を備えている。
いわゆるラフレシアが魔物化したのだろうか…。
簡単に勝てる相手では無いようだった。

背後をちらりと視線をやると、道が蔦で塞がれていた。
逃げられない事は明白だった。
花がもごもごと咀嚼するような動きを始めると、蔦が蠢き始めた。
どうやらこちらを敵として認識したようだ!
「はぁっ!」
剣と鉈で迫りくる蔦を切る、叩く。切断を狙うのは難しいが、ある程度はダメージを与えられる。右手が蔦に動きを封じられかけるも、鉈で蔦を切断する。
少しずつ、相手の体力を減らせているようだった。

「ふふっ…中々やるようですね」
少しの間蔦との攻防を続けていると、花の中からくぐもった声が聞こえてくる。
中に人が囚われて…いや、違う。
再度、もごもごと咀嚼するような動きを見せる。
花が大げさに開き、その姿を現した。
「なっ…」
姿を現したのは、魔物であるアルラウネだった。
自分は何らかのきっかけでアルラウネを知っており、実際にアルラウネの蜜を使った薬も見たことがある。
しかし、巨大な花弁に包まれた美しい女性の姿を持つという事までは知らなかった。
「全力で頑張りますよ!」
花の甘い香りが辺りに充満する。
頭の意識がはっきりしなくなり、思わず剣を落としそうになる。
「ふふっ、随分と苦しそうですが私の力はこれからです」
アルラウネは何やら指示する様子を見せると、蔦がこちらに向かって勢いを増しながら襲ってくる。
しかし殺傷能力が感じられない蔦の動きのお蔭で、こちらは鈍重な動きだが最小限の動きで何とか凌ぐ事ができた。
アルラウネにとっては時間の問題ではあるようだったが、こちらは時間を稼いで何か方法を模索していた。
「まだ勝てると思っているようですね…こちらも奥の手があります」
急にアルラウネが花を閉じ、中に隠れる。
攻撃が止むかと思いきや、蔦の動きが捉えるような動きからまるで刺すかのような動きに変わる。
「ぐっ!」
横転して避ける。蔦は、地面に次々と突き刺さっていく。
動ける場所が制限されていくが、自分はうまく蔦を弾いて回避していく。
だが、アルラウネの罠に引きずり込まれている事に気が付けなかった。
花が咀嚼運動をすると、アルラウネの蜜の塊がこちらに向かって吐き出された。
「う、うあっ…!」
避けようにも、地面に突き刺さった蔦が邪魔をした。
頭からどろっとした蜂蜜色の液体が、体力を奪っていく。
香りだけでも充分に効果を発揮していたが、それが直接肌から、耳から、鼻から直接浸透していく。
粘液性が高く、体に纏わりついて取れない。体をもじっても、蜜が落ちるどころか体により深く浸透していく。
「あ…う…っ」
結果的に、その場に縛られる事になった。
そして、さらにアルラウネの花が蜜を吐き出す。
動けない自分に、さらにアルラウネの蜜が絡められていく。
体に力が入らないのに、体が熱くなる。
強力な毒のようだと頭では納得するが、だからと言って何もできない。
「もう準備万端?それじゃあこっち来てもらおうかなー」
アルラウネが蔦を使って、近くに運ばれる。
再度開花したアルラウネは、嬉しそうに自分の体を受け取る。
肌が緑色であるのと、身体に花や蔦が巻き付いていて服のような様相になっている以外は、ほぼ人間のように見られた。
肉を食べられるのか、それとも血を吸われるのか…どちらにせよ命に関しては期待できそうになかった。
「それじゃあ、花の中にご案内ーですよ」
アルラウネに抱きしめられ、そのまま花が閉じていく。
逃げようと体を動かそうとするも、きゅっと体を抱きしめられるだけで力が抜ける。
そのまま、花は元の形に戻っていった。

――――。
アルラウネの花の中。
肉を食われるか、血を吸われるかと身構えていた自分の予想は大きく外れる事となった。
「気持ち良いです?ふふ、どんどん気持ちよくなってくださいね。」
花の中は広く、アルラウネの動きに合わせて躍動している。
彼女は自分の首筋を舌で舐めており、蜜を熱心に塗り込んでいる。
それは首に限った話ではなく、口から、背中からお腹から、もしくは彼の心まで熱心に手や体を使って塗り込んでいる。
服は、気が付いた時には全て脱がされていた。
「ようやく体の力を抜いてくれましたね。ほら、体を預けて…」
花のベッドに横たえられ、アルラウネは自分に跨る。
お互いの大事な部分が擦り付けられるように。
「何が目的…」
何とか声を出して、目の前の美しい魔物に問う。
しかしその質問は蜜と共に溶けてしまった。
「ほら、とても大きくなったでしょう?あなたに蜜をたっぷりかけたのも、この為ですよ」
自分の大きくなった部分を掴み、そのまま膣で飲み込まれていく。
締め付けは自分の手程じゃないが、蜜が循環液として滑らかに奥まで突き進んでいく。
奥までたどり着くと、アルラウネは腰を震わせながら気持ちよさそうな顔を浮かべる。
「ああ、もう、貴方に会えてとてもうれしい、ほら、ほらほらもっと、ほら」
奥までギュっと押し込まれる。そして気が済んだら上下に動きだす。
上下に動いて、気分で押し込みながら前後ろに動く。
何故アルラウネがこのような振る舞いをしているのか全く解らないが、脳裏を焼くような快楽は耐えがたいものだった。
「う、ご、もうでそう」
「出そう?出そう?ほら、ほら!」
出そうと小さくつぶやくと、目ざとく大きく反応して大きく動き出す。
花も大きく躍動し、まるで花が咀嚼しているかのような動作をしている。
「あ、う、あ」
極め付けに大きく膣を押し付けられ、そのまま出してしまった。
アルラウネが丁度抱きしめてくれており、豊潤な肉体と香りの中、脳に刻まれた射精となった。

――――。

何回行為を求められたのか解らない。
しかし全てが終わった後は、花の近くに吐き出されていた。
蜜とお互いの粘液にまみれて、何かあったのであろう身体と服だった。
近くの服を拾い上げ、装備を回収するにはしたが、花は静かに閉じていたままだった。
話しかけても反応せず夢か何かだとは思うようにしたが、それでもあの経験は、自分をこの森へ向かわせるには充分だった。


さて、こういう話があったとさ。
今では魔物は魔物娘化されて、時代は変わったのだと思わされるよ。
魔物の被害を読んでいたつもりが…官能小説を読まされていたというのはもう珍しくない事なんだろうね。
一人で冒険するときは、気をつけて。
君が男性女性関わらず、魔物は君を虜にしようと努力するだろうから…。
君がそれを望むのなら止めないけどね。
15/08/16 19:04更新 / 家庭科室

■作者メッセージ
初、R-18表現が入った小説です。
誰かの心が癒せたら、嬉しいです。

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