連載小説
[TOP][目次]
千夜のような一夜明け

















そこからは、走馬灯の如く流れ出るような悪夢であった。







「・・・・・と、言う事で、カラダを変化させる為にアナタの精を全て使っちゃったのと、もうアナタの体では精を作ることができないから、男の人から貰わなくちゃいけないのよ」
「はぅ!・・ん、やぁっ・・・・そんにゃあぁぁぁぁっ」

魔物娘へと変貌した私の体のメカニズムと変異の行程を、私の背後に回り込み後ろから抱きしめた形で事細かに説明し始めたエルミダーシェは、喋りながらも私の体を弄るのを止めてはくれなかった。
皮膚の感触を確かめるように指を滑らせ角や羽を擽るその動きに、生まれ変わったばかりの体は過剰な程敏感に一つ一つ快感を拾ってしまう。

「はぁ・・・ふぅう〜」

何とか刺激をやり過ごそうと呼吸を整え気持ちを落ち着けていると、腰回りの皮膚と骨の感触を楽しんでいた彼女の右手が、落ち着かないで左右に振られていた私の尻尾を握りこんだ。

「っあ!?ああんっ!」

きゅっきゅっ、と牛の乳搾りのような強弱をつけて尻尾の括れや先端付近の膨らんだ傘のような部分を弄ばれると、体の力が急に抜けてしまう。
そのまま背後で私を自由にしているエルミダーシェに凭れ掛かると、彼女の顎が私の左肩に乗せられ、耳たぶを舌で舐り始めた。

「ふはぁっ・・・や、くすぐったぃ・・」
「ふふ、可愛い娘♪いい事教えてあげるわぁ」

クチュクチュと耳の穴や耳朶を舌で犯しながら熱い吐息が囁かれると、握られた尻尾の付け根からジンジンとした感覚が甘く下腹部に広がってゆく。
それは今まで感じたことの無い感覚で、どこか切ない程の疼きだった。

「アナタの本当に好きな人に処女をあげられるように、おまんこでの搾精方法じゃなくって、尻尾でのやり方なんだけどぉ・・・」

と言いながらにゅるにゅるっ〜と私の掴まれている尻尾へ擦り寄るエルミダーシェの尻尾が、さながら兜合わせをするかのように尻尾の先端を擦り合わせてくる。

「はぁん、あっ、ふぁっあ・・・」

先ほどから急な変体のせいで心が追い付かないのか、嬌声しか上げられなくなった私の口からはまた荒い息と意味のない言葉の羅列が漏れ出始めた。
そんな私の頭を愛おしそうに撫でながら、私の尻尾にグルグル巻き付けた彼女の尻尾が先端同士を向い合せにすると・・・

ぐぷちゅっ・・・・・・・


「      !?  ひゃぁぁぁぁぁぁん!!!」


なんと、私の尻尾の中に彼女の尻尾がヌルヌルと侵入してきたではないか。
ごりごりと・・・まるで尿道を犯されているかのような、狭い道を切り開く彼女の尻尾に私の体は強い快感を得ていた。

「あ〜っ、あん、うあぁ、ひゃう〜〜〜〜〜っ」
「あは♪気に入ってくれたみたいね♪」

彼女の膝に膝を割開かれてМ字開脚された格好で尻尾を犯されながら思わず腰を振り出すと、それに気をよくした彼女の手が私の小さい胸を弄りだした。
柔らかい肉を下から持ち上げながらマッサージのように揉みあげる。
「大きくな〜れ♪」
彼女の長い指からむにゅっと出された乳首が指を擦り合わされ刺激を受ける。

「っあ、ああぁん・・・ふぁ、きゃふっ!」

じゅぷじゅぷ抜き差しされる尻尾と、やわやわ揉まれる胸の刺激に頭が可笑しくなりそうで心の中で恐怖心が芽生えてしまう。

しかし・・・

「だいじょ〜ぶ、お姉さんに任せて、安心して気持ちよくなってねぇ」

後ろから優しい声を掛けられると、この状況を作った張本人だというのに、全てを委ねてしまおうと思ってしまう。
色々聞きたいことも言いたいことも有るのだけれど、下腹部からせり上がってきた途方もない熱に体中を侵されて、頭の芯もぼんやりとしてしまうのだから今は仕方ないか、と見ないふりを続けてしまう。
この後の事とか、沢山考えなきゃいけないと思うけど、それもまた無理やり頭の隅に置いて、今はこの与えられる快楽に耽ってしまおうと・・・流される。

だって、気持ち良いんだもん♪


「ひゃあぁ、もうっ、もうイッちゃううぅ!!!」
「ぁあん、アタシもッ、尻尾ゴリゴリしてたらぁ〜ッ、気持ちイイ〜〜〜っ!!!」


後ろから抱きこまれる形で互いに身を反らせながら私は『女』としての初めての絶頂を迎えてしまったのだった。




















それから、お互いに散々尻尾やお尻等で擦りあったり、ちゅっちゅキャハハ♪な事をし合っていたが、一夜明けるとサーカスの一座は国の中から消えていた。
余りの手際の良さに呆れるやらこの怒りや遣る瀬無さをどうしてくれるんだよとも思ったが、エルミダーシェの置手紙を読むともうどうでも良くなった。

――― また会いましょう。

親愛なる可愛い妹へだか何だか書いてあったが、どう考えてもやり逃げじゃないかコノヤロウとため息を一つ吐くと、一応身なりを整えてから側近にこの事を知らせようと部屋を後にした。


そこからは、当然ながら大騒動が起き、あれよあれよという間に自ら塔へ引き籠り執務一切をこの部屋で取り仕切るも、急に魔物になってしまった王に困惑と不信感を抱くのは臣下達には全くもって正当性のある事で・・・・・・












「失礼いたします」

コンコンコンッと小気味よい音を響かせて、古びたドアが私の許可なしに開く。
こんな失礼な事が出来るのは二人しか居ない。
その内の一人、部屋に入ってきたのは、東方の血を引くためこの国では珍しい漆黒の髪と目の色を持つ青年。
顔は若作りだががっしりとした長身の体躯はいかにも武官と言った風だが、コイツは虫も殺せない・・・否、殺さない。

リュミーエル・オブ・ガインズ・・・確か27歳だったか。
私の幼馴染兼、悪友にして側近だ。

そして、私の悪夢の被害者でもある。

「陛下、また寝なかったのですか?」
「・・・寝るとアレがある」
「しかし、無理はお体に触ります・・・それに、避けて通れない事ですから」
部屋に入るなり私の不摂生を叱るリュミーエルだが、呆れたような何かを面白がるような顔で手に持っていた書類の束を私の机に置くと、伺うように私へ視線を向ける。

「毎晩いついらしても良いように、自室のドアと窓のカギは開けてあるんですよ?」

「・・・・・・・・・・・・」

苦虫を噛み潰したかのような表情であろう私に、いたずらっ子がするような笑顔で小首を傾げると、リュミーエルはずいぶんと差ができてしまった身長差を埋めるように膝を屈めて私と目線を合わせる。

「陛下のご飯になれるのなら光栄です」

満面の笑みに冷や汗が出る。

悪夢・・・それは、私の理性が飢餓感に負けると起こってしまう現実問題。
男の精を求めて、彼女に植え付けられてこの淫乱な体が城内や街に彷徨い出てしまう症状。

ソレの一番目の被害者であり、何度も精を提供してくれている奴はこう言っているが、つい数日前まで同性で、互いのチンコなど幼いころから毛が生えたりする迄もそれ以降も飽きる程と迄は行かないが見ていたのに、いきなり女になったからしかも精が食料だからお前のチンコを咥えさせろと言われたって戸惑う筈なのだ。

「それより、例の件はどうなったのだ?」

こんな気まずい話題は切り替えようと、現在行っている制度切り替えの為の法案について話を持ち出す。
それに些か残念な顔をした奴がすっと屈めていた膝を伸ばして、姿勢を改めると口を開いた。

「モイス卿もフリーグマン将軍もどちらかと言うと反魔側ですからね、陛下が退かれるのには大賛成でしょう。それと、アーベンシュタイン卿は自らのご子息を王座に就かせたいそうです」
「そうだろうな、確かあいつの曾ばあさんが王家出身だとかがあいつの自慢話だったもんな」
「ええ、晩餐会や舞踏会などで耳たこですが」

んー、とひと伸びして眠気を散らした私は、机の上で書類に紛れていた青い紙の封筒を手に取る。
それは固い手触りの紙で出来ていたが、優しく私の手に収まる。
差出人を示す部分に落書きのような紋章の絵が描かれて居るのを指でなぞって、私は私の決意を口にした。

「確かに私はもうこの体だ、王位を退く事に何の異論はない。しかし、この国の国民の為に奴らの好きにはさせないさ」
「御意・・・」

しっかりとした制度の中の王政でも隙はある。
そして、人は低きに流れていく生き物だ。
資源に恵まれたドゥトーチの金庫も限りはあるし、血税を湯水のように使いたがる輩や他国へ勢力を伸ばそうとする奴等に易々と国を譲る訳には行かない。

そう国の事を憂えていると、目の前にいたリュミーエルがどこか真剣な面持ちで口を開いた。

「陛下、しかるべき者へ王位を譲った後の事は決められておられるのですか?」
「いや?・・・そうだな、私の今後など決めて無かったな」

思っても居なかった質問にそう答えると、リュミーエルが良い辛そうに目線を彷徨わせて「では・・・」とか「その・・・」と口ごもっている。
と、俄かに扉の外が騒がしくなった。
塔の階段から兵士が駆け上がってくる時の金属が擦れる音がする。

「失礼いたします!!」

ドンドンと扉が軋む音に「入れ」と短く答えると、勢いよく開いたドアから一人の兵士が入ってきて敬礼をする。

「城に侵入者が入って来ました」

息せき切って来たまだ年若い兵士の汗の甘いにおいに若干クラクラしつつ、その兵士に侵入者の人相風体を聞き出すとリュミーエルは苦笑いをして、私は満面の笑みで。

「その方を湯殿に入れて髭を剃らせなさい」
「長旅の垢も全て落とすように言いつけてくれよ」

私たちがそう言うと兵士は困惑したようだったが、一瞬の逡巡の後「はっ!!」と勢いよく返事を返して元来た階段を駆け下りていった。

「吉報である」
「ええ、まあ・・・そうですね」



私は再び窓の外に視線を送ると、もう日が高くなった山の風景が柔らかく目に映った。









12/05/18 00:37更新 / すけさん
戻る 次へ

■作者メッセージ
登場人物がなかなか口下手で困ります。
否、自分のせいだ。

TOP | 感想 | RSS | メール登録

まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.33