読切小説
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星落す悪魔と眼鏡の聖職者
あたいはデビー、デビルのデビーっす。ママと姉ちゃんの思想、人間の女性を全て魔物に変えるという目的で行動してるっす。
「昼間から呑気に遊んでるっすね」
今回のターゲットは、あの教会の子供たちっす。
昨夜からの偵察で、攻略しやすい場所を調査、町中は愛し合う魔物たちで多くてビックリしたっすけど、町外れにあるこの教会は、ほとんどが子供だけだからあたいにも勝てるっす。

「のこったのこった」
「のこったのこった」
子供達の中にも魔物娘がいるっすね。男の子と押し合ってる緑色の娘はここら辺では見ない種族っすな。
でも、ただ押し合ってるだけじゃ面白くないっすね。
よし、ここは
「あたいも混ぜてほしいっす」
子供達の中に飛び込んだっす。
「誰」
「町の子かな」
意外と驚かないっすね。
他の人は、魔物が出た腰を抜かしてたのに。
その時は、堕落させてサキュバスに変えたっすけどね。
「いま相撲してるの」
「すもう?」
「うん、輪の中で押し合って相手を外に出す遊び」
「そんな物よりもっと面白い遊びがあるっすよ」
「何?それ」
「それはっすね」
「お待ちなさい」
凛とした声が聞こえてきたっす。
「マリアお姉ちゃん」
振り向くとそこに立っていたのはシスター服と髪がピンク色

何より分厚い眼鏡が特徴的な聖職者だったっす。

「沙羅、皆を中へ」
「うん、みんな中で遊ぼう」
河童の少女が子供達を連れていくっす。
二人きりになったのを見計らかったのか、聖職者が話しかけてきたっす。
「子供達に何をしようとしていたのですか?」
「一緒に遊ぼうとしたっす」
「どんな遊びを?」
「決まってるじゃないっすか?」
あたいは悪魔らしくニヤリとするっす。
「流石過激派ですわね。ですが、ここは教会、身寄りの無い子供達が住んでいます。あの子達は手を出すのは止めてもらえませんか?」
ニヤリとしたあたいに対し聖職者は顔色一つ変えないっす、そもそも分厚い眼鏡のせいでどんな顔をしているのかもわからないっす。
自分の顔にコンプレックスでも抱いているのでっすかね?綺麗な髪と抜群のスタイルをしてるのにもったいない。まあ、あたいの手にかかれば美しいサキュバスか、可愛いデビルのどちらかに生まれ変われるっすけどね。
「いやっす」
取り敢えず、断りの返事をするっす。
「どうしても?」
「ふん、姉ちゃんも一人前のデビルとして今まで男を堕落させ、女を魔物に変えてきた、それを誇りとしているっす。あたいもその誇りを胸にデビルらしく子供達を落とっす」
その前に
「まずはあんたを魔物に変えるっす!」
聖職者に襲い掛かり、

「あれ?」

動けない。
「ふーん、流石急進派ね、口より先に目の前の相手を襲おうとするなんて」
艶の籠もった声が聞こえるっす。
一瞬どこから聞こえてきたのかわからなかったっす。「何よそ見してるの?」
艶の声を向く、いや再び聖職者の方を見ると
「でもぉ、そんな積極的な行動も嫌いじゃないわよ」あの聖職者があたい以上に口元を歪ませ、
「ましてや」
ピンクの髪が白く染まっていて、
「貴女のような魔物を探していたわ」
分厚いレンズからでも判るくらい、眼鏡が怪しく光ったっす。





「人と魔物娘が愛し合う町っすか?」
聖職者もとい魔物娘?に連れられ、教会を離れ町中を歩いてるっす。
逃げようにもまるで縄に縛られているかのように思い通り動けず仕方なく聖職者の話を聞きながら着いていってるっす。
「ここには様々な愛がある。純粋な愛から妖艶な愛まで、時には……まあ、それはいいとして」
「純粋な愛っすか〜別に本能のまま、やっちゃえばいいじゃないっすか、純粋なんてくだらない」
「くだらない?」
「あたいたちデビルはそうやってきたっす、姉ちゃんも」
「知ってるわよ」
「貴女の姉、デールがレスカティエ侵攻に参加していたことを」
「え」
「まあ、知り合いからの話だけどね」
その聖職者が姉ちゃんの話をする。前準備や侵攻当日、さらにその後旦那との生活や今も急進派として活動していることも。
彼女の話を聞くと姉ちゃんがあたいに誇らしげに自慢していたことを思い出っす。
まるで思い出の台詞がそのまま再現されるかのように……。
「着いたわ」
聖職者ーーマリアが言ったっす
「ここは」
「指圧の店ピタージュ」
「しあつ?」
「指や手のひらで相手の体の疲れを解すの、ここはそれを専門としてる施設」
「エロありを期待したのに微エロっすね」
「表向きはね」
あたいたちは中へ入る。
「気持ちいい〜」
「ああん、もっと」
「気持ちいい気持ちいい」
「イクーー!!」
「出ちゃうよぉ、我慢出来ないよぉ」
「ああ、体が熱く」
聞くだけでもこっちが興奮するほどの矯声が木霊するっす。
「従業員の殆どが貴女と同じデビルだから安心して」
マリアはあたいにそう言いながら階段を上るっす。
まるであたいがここの仲間入りするかのように。
「マリアです。例の娘を連れてきました」
「どうぞ」
あたいはマリアと一緒に部屋に入るっす。
そこにいたのは、スーツを着たデビルと男
「私の名はビーシャ、ここの経営者だ。こんな格好をしているが君と同じデビルだ。此方は私の秘書兼夫だ」
「ほら貴女も」
「はっ、はい、デビルのデビーっす」
「話はマリアに聞いてる。早速で悪いがここの指圧師として働いてもらいたい」
「へ?」
「研修は不要、君のようなデビルなら即戦力だ」
「え、えっと」
「デビルはどうしょうもないくらいだらけきった男の顔が好きで、そのためならどんなご奉仕でもするのでしょう?貴女ほど適任はいないわ」
「確かにそうっすけど、そもそも何でそんな回りくどいやり方でやるんすか?確かにエロありなのは判るっすけど、体を解すなんてくだらないことよりも」
「かつてここには勇者がいた」
突然、あたいの意見に口を挟むように、マリアは淡々と語りだした。
スターシャンの昔話を。


\\\

ここはかつて反魔物領だったこと。
そこに住む勇者がとても強かったこと。
その勇者が難攻不落の迷宮に挑み最奥部に住むエキドナを傷つけず説得したこと。
しかし、そのせいで教団から反感を買い町を追い出され、エキドナとともに魔王城へ移り住んだこと。
その後、かつて町に住んでいた一人の少女の涙と願いに応え妻となったエキドナや仲間達と共に、町の兵士たちと戦い勝利したこと
その後、勇者とエキドナはその町を収めて親魔物領になり物語は終わる。

\\\


「エキドナと堕ちた勇者様か」
「ええ、そんな父と母は私達姉妹の誇りと意志を受け継いでいます」
驚いたっすビーシャさんはその英雄の血を引き継いだ子供、それじゃマリアさんも
「ちなみに私はどこにでもいる聖職者で、英雄の仲間ポジションよ」
なんだ、それでも凄いっすけどね。
「ここは様々な愛があります貴女もそのお手伝いを」
「いや〜そう言われてもあたいには無理っすよ〜だって」
「触手の森に入らずんば小児を得ず」
マリアさんがまたあたいの台詞に割り込むんできたっす。
「どんな危険なことでもチャレンジしなければ成果は得られないという意味よ。貴女も無理と言わず手伝ったら?」
「それでもあたいには不可能っすよ」
「大丈夫、貴女は誰かの想いに応える事で不可能を可能にする力がある。何故なら貴女はデールの妹だから」
……
「宗教国家レスカティエ。一部の魔物からは無傷以前に侵略不可能と言われ続け誰も諦めかけていた……しかし一人のリリムがそれを覆した。姿を見たことなくとも名前と活躍は姉から聞いてるはず……そう……デルエラ様よ」
「デルエラ様は偉大っす。姉ちゃんの次に」
「確かに……デルエラ様は偉大な方。でも彼女一人の力では決して成しえなかったこと。それは貴女の姉や仲間たちのおかげ。確かに姉のような立派なことではない。でも貴女なら」
「嫌っす。だって」

「甘い!」

「何さっきから無理だとか嫌だとかくだらないとか!海神の顔も三度まで!あんたは私を四回怒らせた!」
マリアさんが急にキレて驚いたっす。でもまだキレは続いて
「この仕事は地道ながらもビーシャの意志を!いや両親の意志を継いでいるわ!」
「いやーあたいはそんなんじゃほら子供達に紛れて遊ぶ」
「19歳の子供が!何を言ってるの?」
「え、何故」
「知り合い!」
「略してる」
「また口答え!姉とは大違いね!」
「!?」
「貴女の姉を始めデビル達は!彼女の言葉に心動かされ口答えせず彼女の意志に賛同した!」
「……」
「血を流すことなく!人々を堕落させた姉は貴女の誇りのはず!それに引き換え?今の貴女はどうだ!誇らしいこともせずただ無意味に堕落させてるだけ!さっきの教会でもそう!子供を襲うなんて弱いものイジメと同じじゃない!」
「う」
「今の貴女は誇りも何も無い、ましてやデビルでもない!ただのインプ属だ!」
う、うわあああん。
「そこまで、言わなくても、姉ちゃんと大違いとか、ただのインプとか、う、うう」

包容

「え?」
「大丈夫ですよ」
マリアさんがあたいに
「さっきは言い過ぎました。まさかそこまで追い込むとは知らずに」
「でも、あたいは姉ちゃんとは違うし」
「でしたら、貴女なりに堕落させなさい」
「あたいなりに?」
「この町には海神官にいてね、真面目だけど淫乱なことで頭が一杯なの」
昨日、港で海神官がいたことを思い出っす
「きっと貴女と同じ悩みや思想を持った人がいると思います」
「あたいと、おなじ?」
「だからここでこの町で探しましょう」

貴女だけの愛の形を

「はい、お姉さま」
突如ベルがなる。
「はい、女性客一人、わかりました」
「早速貴女の出番ね」
「あ、でもまだあたいは」
「動かないで」
お姉さまは自分の髪の毛一本抜いてあたいのおでこに当てる
「わかった?今のが店のルールと指圧法」
「はあ、早速いってきまっすお姉さま」
「いってらっしゃい」





「あーあの隊長、欠員が出たからって配達を押しつけて」
「デビーちゃん入りまっす」
「え、魔物娘!?」
「フリーなので」
「しまった、あのまだ私まだ人間のまま」
「うーん、ダーメっす」
ぎゃああああん♪





「隊長に告白〜」
「もう、サキュバスに、早っ」
「次、未婚一名」
「お姉さま、次は旦那さんゲットしまっす」
「う、うん頑張って」





「はい、仲介料と例のアレ」
「ありがとう、教会の運営に使うわ。さて、エミちゃんに結婚式の連絡しないと」
お礼を受け取った私はピタージュを後にする。
さて、これで愛しの旦那様と
「どこにでもいる聖職者ねえ」
あ、噂をすれば
「話、聞いてたの?」
「地獄耳だからね。それより上手く言い包めて良かったじゃないか、ありがとう沙羅たちを守ってくれて」
「あら、私はデビルの仲介をしただけよ。そ・れ・よ・り♪」
例のアレを旦那様に見せる
「それはスモモの?うーん流石に二度目はちょ」
私は旦那様の言葉をさえぎるようにキスをする。
「ひょうがないなあ」
旦那様は顔を赤くしながら喋る。キスだけで興奮するなんて、そんな純粋な旦那様もステキ

だから、今夜はひ・と・り・じ・め
13/11/08 21:09更新 / ドリルモール

■作者メッセージ
キャラクター紹介
【名前】デビー
【性別】女
【年齢】19
【種族】デビル
【魔宝石】薄群青/小さめの羽模様
【口調・口癖】〜っす
【能力・特技】指圧
【概要】
自慢の姉を持つデビル
放浪中、遊びに乗じて教会の子供達を堕落させようとするがマリアに止められ、指圧店ピタージュで指圧師として住み込みで働くことに。
同じデビル仲間から姉デールと比較され、姉とは大違いとか、ただのインプとからかわれたが、マリアの言葉に心をひらき以後彼女をお姉さまとして慕うようになる。


【補足事項】
一番尊敬するのはデール姉で、マリアお姉さまはあくまでも二番目


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