読切小説
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処刑人と海の神官
 いつの時代も、処刑人は恐れられ、虐げられる存在である。死刑が確定した罪人の首を斬り落とし、罪人を裁く存在。それは合法的な殺人であると同時に、国家による殺人でもある。
 俺の名はシャルル。西欧の反魔物国家の処刑人だ。医者もやっているが、今ではすっかり処刑人が本業になってしまっている。

 この日、俺は殺人罪で死刑を宣告された罪人の刑を執行することになった。罪人は全てを諦め、死を受け入れたかのように無表情で、執行官に連れられて、処刑台にうつ伏せで寝かされ、手足を器具で固定される。
「準備ができました。」
「ご苦労。」
 執行官は処刑台から離れる。俺は死刑執行用の大剣を握り、処刑台へ歩み寄る。
「最後に、言い残したいことはありますか?」
「・・・ありません。」
「分かりました。」
 俺は大剣を振り上げる。
「法に従い、この者を処刑する。罪人に、死の安らぎを。」
 そう言い終わったあと俺は大剣を罪人の首へ振り落とした。

 この国では死刑は公開処刑による斬首で行われる。当然、多くの国民が見物に来る。いわゆる、見せしめというやつだ。周囲の反応は様々だ。悲鳴をあげる者。ただ無言で、無表情で死の瞬間を見つめる者。罪人に向けて暴言、罵声を浴びせる者など様々だ。
 だが、俺は罪人を冒涜するような者に怒りを覚える。確かに罪人は、死刑になるほどの悪事を犯したのだから、恨まれるのは当然だ。だが、今まさに自分の罪を自らの命によって償おうとしている者を冒涜するのは、人間のエゴだと思う。

 そして処刑人の自分が言うのもおかしな話だが、俺は死刑には反対だ。確かに重罪を犯した罪人にはそれ相応の罰を与えるべきだろう。
 だが、人間が、人間を裁くということは許されるのだろうか? この世に完璧な人間などいない。人間は神ではないのだから・・・。

 夜。俺は海岸で夜景を見に来ていた。死刑執行のあとには必ず訪れる場所だ。遠く離れた対岸には敵対している親魔物国の都市があり、その光が地平線のように見える。そして夜空は星が輝いている。
 そんな中、海から何かが近づいてくる気配を感じた。
「ん? なんだ?」
 岩場から女性らしき姿が現れる。だが、よく見ると下半身は魚だ。そして神官みたいな恰好をしている。
「どうしたのですか? とても険しい顔をされていますよ? 何か、悩みごとですか?」
「・・・あんたは?」
「通りすがりのシー・ビショップですっ。」
「ここ、反魔物国家だぞ? いいのか? 反魔物国家の人間が目の前に居るのに。今から、叫び声をあげるか、襲われるかもしれないんだぞ?」
「いえ。あなたはそんなことをしません。」
「どうしてそう思う?」
「海の中からあなたの顔を見ていましたが、あなたの瞳はとても綺麗です。暖かくて、優しい瞳。だから、姿を現しても大丈夫かなと。それに・・・なんだか悩んでいる様子だったので。」
「クククッ・・・ハハハッ これは驚きだ! 今まで多くの人間に恐れられ、卑しい目で見られることはあったが、あんたには俺がそんな善人に見えるのか? だとしたらあんたは相当人を見る目がないな。」
「どうしてですか?」
「俺は処刑人なんだよ。人を殺して、金をもらう。卑しい人間なのさ!」
「そうですか・・・。確かに、人を殺すのは、決して許されることではありません。でも、あなたは死刑囚を裁いているだけです。」
「殺人に変わりはないさ。どんな理由があれ、殺人が美化されるなんてことはありえない。いや、あっちゃならない。」
「フフッ やっぱり!」
「何かおかしなこと言ったか?俺。」
「あなたはとても優しい方です、そして、命の尊さも大切にされています。」
「どうだか・・・。・・・まずい。人が来る。おい。早くどこかへ行きな。」
「わかりました。ではっ」
 シー・ビショップは再び海に潜ってどこかへ泳いで言った。

 俺が善人なわけないだろ。それどころか、人を殺して金をもらう卑しい悪人さ。

 俺だって好きで処刑人になったわけじゃない。本当ならこんな仕事は辞めたい。だけど、誰かがやらなくてはならないんだ。処刑人の中には、罪人を人として見ず、心無い残酷な処刑をする者も居る。
 俺は元々医者を目指していた。一応、国家試験に合格して医師免許も取れた。だが、医大生だった当時見た公開処刑に、俺は怒りを覚えていた。
 
 そのときの処刑人はとても残酷で、非人道的なことを平気でする人間だった。当時はまだ法律で処刑方法が定められておらず、刺殺や絞首刑、さらには火あぶりや石打ちなど、到底人間がやるような所業ではないことを、愉快に楽しみながら行う処刑人も居た。
 このときの処刑人は、罪人を怯えさせ、大衆にわざと罵倒させ、そして最後は刃がもろい切れ味の悪い短剣で罪人の首を斬り始めたのだ。罪人はもがき苦しみ、処刑人は悪魔の愉悦を浮かべていた。俺は医者として、こんな残虐な殺し方はあってはならないと怒りを覚えていた。

 それから、医学の知識を活かして少しでも苦痛を与えず、安らかに人を殺す方法を考案した。それが今の俺の殺し方だ。鋭利かつ重い大剣で、首を筋肉の筋に沿って素早く斬りおとす。
 これなら苦しみはほとんどないか、一瞬なはずだ。最も、死人に口なし。実際のところはどうかはわからないのだが・・・。ただ、今までのように、悲鳴をあげたり、もがき苦しみながら死ぬようなことはなくなった。
 俺は国立病院に勤める傍ら、自ら志願して死刑囚の処刑を申し出た。当然周囲の人間は驚いた。育ちもよく、医者という地位の高い職業に就く者が、なぜ処刑人などという卑しい仕事をするのか。

 誰かがやらなくてはならない。まして、死者を冒涜するような者に処刑人をやって欲しくない。そして何よりも、殺すなら苦痛を生まず、安らかに天国へ送ってやりたい。それが、俺が処刑人を始めた理由だ。
 気づいたら俺は国で最も有名な処刑人になってしまった。受け取る給料は高額だったが、同時に国立病院は世間体を気にして、俺を解雇した。家からも「生活の面倒は見てやるから出て行ってくれ」と言われて追い出されてしまった。

 その後、俺は処刑人を勤める傍ら、2階建ての自宅の1階で診療所を開いた。しかし、処刑人の医者など、誰もが気味悪がっており、受診に来る者はほとんどいない。
 本当は、医者として命を救う人間になりたかったんだがな・・・。

 次の日。今朝から夜の営業停止時間まで病院を開けていたが、来院する者は居なかった。
 この日も、俺は海岸へ夜景を見に行った。何故か、行かなきゃいけない。そんな気がした。このときはまだ、俺がまたあのシー・ビショップに会いたいと思っていることに、自分自身が気づいていなかった。

 何かの小説で、人は死んだら、肉体から魂が離れ、海を渡ってやがて天国へ行く。そんな話を読んだことがある。
「俺が手掛けた罪人も、この海を渡って天国へ行っているといいな。死後は安らかだといいのだが・・・」
「死後の安らぎも大切ですが、生きているときの喜びも大切ですよっ」
 昨日と同じ場所に、またシー・ビショップが現れた。
「またあなたか。何度も反魔物国の領海を泳いで、大丈夫なのか?」
「ええ。海底では見つかりませんから。それに私、こう見えても泳ぐの速いのですよ。」
「そりゃあ、シー・ビショップだからな。」
「あら、シー・ビショップをご存知ですか?」
「ああ。本で読んだことはある。でも、実際に見たのはあんたが初めてだな。」
「そうでしたか。」
「まぁ、書かれている内容は美声で男を虜にして海に誘い込んで溺れ死にさせるとか、そんな話ばっかりだったけどな・・・」
「ふふっ マーメイドはそんなことをしませんよ。むしろ、マーメイドの夫となった者は海に適応する体を持つようになって、海で幸せに暮らすんですよ。」
「ロマンチックな話だな。」
「マーメイドはロマンチストですから。」
「ロマンねぇ・・・俺には無縁だな。」
「そういえば、あなたの名前をまだ聞いていませんでした。私はシー・ビショップのルナと言います。あなたの名前を教えていただけませんか?」
「名前? シャルルだけど・・・」
「シャルル。いい名前ですね。」
「あんたもな。」
 その後、いろいろな話をした。自分がなぜ処刑人になったのか。自分が今までで一番印象に残っている罪人のこと。本来は医者だが、気づいたら処刑人が本業になってしまったことなどを話した。

「ルナは立派だな。神官は人々に幸せを届ける。俺は神をこの目で見たことはない。けど、神官や司祭は神の加護を俺たち一般の人間に届けてくれる。幸せを祈ってくれる。たとえそれが気休めであっても、人々はそれで安心する。神の加護が得られたと思って幸せに感じる。」
「シャルルも十分立派だと思います。お医者様なんて、人の命を救うお仕事じゃないですか! とても素晴らしいです!」
「処刑人の医者なんて、誰も信頼しないさ・・・」
「私は、病気やケガをしたら、是非あなたに診て欲しいです。」
「魔物には医学なんて必要ないんじゃないか?」
「必要かどうかではなく、あなたに診て欲しいのです。」
「・・・わけがわからないな・・・」
 それから、ルナも魔物国のことや海のことを話してくれた。

 魔物娘は本当は人間に危害を加えたりしないこと。海にはたくさんの魔物娘が暮らしていて、海底には海底都市があること。海の魔物娘と結婚した夫を海で暮らせるようにする神官の仕事のこと。海の神、ポセイドンのことなどを話してくれた。
 いつしか、俺は魔物娘、魔物国に興味を持ち始めていた。もっとも、反魔物国の俺の国では、そんなことがバレたら国外追放が死刑だろう。

 それから数ヶ月は幸運なことに、死刑執行は行われなかった。俺は医者の仕事に専念し、常に診療所を開けていたが、受診に来た者はほとんどいなかった。そして夜は決まって、海岸でルナと一緒に話をした。
「あのときは本当に、医者として何が正解だったのかわからなかった。家族は経済的にも限界だったし、患者も不治の病に侵されていて、気休め程度の延命治療しかできなかった。だけど、延命すればするほど、患者は苦しみが増していった。」
「それで、どうしたのですか?」
「俺は家族に提案したんだ。これ以上の延命は患者を苦しめるし、どの道いつかは死ぬ。だから、延命治療をやめて、少しでも苦しまずに息を引き取れるようにしよう。そう提案した。初めは家族は怒ったけど、最終的には患者が俺の意見に賛成してくれた。だから俺は、なるべく苦しまず、安らかに眠れるように心がけた。それが功をなして、最後は安らかな顔をして、静かに息を引き取った。だけど、それは同時に、延命できた命を、延命しなかったことでもある。」
「そうですか・・・。」
「正直、今でも俺はあのとき、どうすればよかったのか分からない。医者の仕事は病気を治すことだ。だけど、あのときの患者は手の施しようがなかった。それでも、苦しみの代償に少しでも命を伸ばすべきだったのか、それとも安楽死させるべきだったのか・・・」
「私は、シャルルさんが全力を尽くして最後まで患者と向き合った。それだけで十分によかったことだと思います。そのおかげで、患者さんは安らかに眠ることができたのですから・・・。」
「そうかな・・・。」

 さらに数ヶ月後。国は突然不穏な空気に包まれた。初めは労働者達のストライキとデモが散発的に行われるだけだったが、ついには軍と労働者が衝突する事態へと発展した。そして先週、労働者側に死者が出てしまった。さらには見せしめの逮捕や、ストライキに参加したというだけで理不尽に逮捕する事態にまで発展した。
 国民の王政、及び貴族達に対する不満は日に日に増していった。

 そんな中、俺は王様に呼び出された。
「よく来てくれた。早速本題に入るのだが、この者の処刑を頼めるか?」
「罪状は?」
「この者は労働者達のリーダー格なんだ。この者を公開処刑にすれば、見せしめになる。」
「裁判は行われたのですか? 全く話に聞いていないのですが・・・」
「裁判? そんなもの行う必要はない。国家転覆を狙った反逆罪。それで十分だろう?」
「いくら王様でも、裁判なしはいけませんよ。やはり、本当にこの者が罪人なのかどうか、ちゃんと決めてからでないと・・・」
「黙れ! おまえは貴族の家系の身でありながら、平民の方を持つというのか!?」
「いえ、自分はただ・・・」
「もうよい! シャルル! おまえは反逆罪で死刑だ!」
 俺は兵士に連れられ、牢屋に入れられた。

(何てことだ・・・。王様の依頼に反対したことを抜きにしても、裁判すら行われないとは・・・。処刑人が死刑で罪人になり、処刑されることになるとは、皮肉なものだな。だが、王様のこんな独裁がいつまでも続くわけがない。いずれ、この国も滅びる)。

 その後、王様は俺が徹底的にもがき苦しんで死ぬような処刑を処刑人に命じた。そうして考え出されたのは、溺死だった。手足を縛られ、崖から海へ投げ出されるのだ。

 俺は手足を縛られ、硬い布で巻かれ、海に投げ込まれようとしていた。
「悪く思うなよ? これは、俺たちが望んだことじゃなくて、王様の命令だから・・・」
「おまえは変わり者だったけど、いいやつだったよ。ごめんな。俺たちも逆らえば、死刑になってしまうから・・・」

 俺は海に投げ込まれた。
(俺は死を受け入れていた。今まで多くの死刑囚を処刑して来た。俺の両手は汚れ切っている。神様が居るとしたら、これは報いなのだろう)

 そういえば、前の王妃を処刑したこともあったな。前の王国は革命により滅ぼされた。その際、前国王と前王妃の処刑を任された。
 王妃はとても美しい人だった。一時は国民の誰もから愛された。しかし、国が貧しくなり、食糧難が起きた。そのときの振る舞いが、国民の感情をまるで理解しておらず、怒りを買った。
 だが、それも仕方のないことだった。前王妃は箱入り娘で、貴族の暮らししか知らず、平民の暮らしなどまるで知らない、いわば世間知らずのお嬢様だった。
 
 処刑の日、俺は王妃の姿を見て驚いた。自慢の美しい金髪が、真っ白になっていた。俺は少しでも不安を和らげようとして安心するように言葉をかけたが、焼け石に水だったと思う。

 海深く底。本来なら光の届かない暗闇のはずだが、何故か光に満ちている。
「気がつきましたか!?」
「俺は・・・死んだはずじゃあ・・・海に投げ込まれて・・・そのまま意識を失って・・・」
「ええ。あなたが崖から落とされるのを見ていました! 偶然、通りかかったんです! もしも通っていなかったら・・・ああ、よかった! ポセイドン様!感謝致します!」
「ルナが助けてくれたのか・・・ありがとう」
「いえ、まだやるべきことがあります」
「え?」
「ここは海底です。普通の人間であれば息ができないばかりか、水圧で死んでしまいます。ですが、今は私の魔法で大丈夫ですが・・・いずれは魔法の効果も切れてしまいます。しかし、一つだけ助かる方法があります。それは、儀式を行ってあなたを海の住人となってもらうことです。そうすれば、海の中でも息ができますし、自由に泳ぎ回ることもできます。ただ・・・」
「ただ?」
「その場合、こ、ここで・・・私とシャルルさんと・・・セックスをしなければならないのです。」
「え、ええ!?」
 あまりに突然のことに、頭が追い付かない。
「も、もちろん、強制はしません! セックスは愛する者同士が行うものです! もし、あなたに他に好きな人が居るなら、あるいは私では不満があると言うなら、なんとか他のマーメイド達の力を借りて、あなたを地上へ戻してあげます!」
「い、いや・・・俺には他に好きな人は居ないし、ルナのことも嫌いじゃないよ?」
「そ、それじゃあ・・・!」
「だけど・・・ルナはどうなんだ? 俺の命を助けるためだけに、俺とセックスする必要はない。俺は、ここで死んでも悔いはないから。」
「わ、わ、私は・・・シャルルさんが好きです!」
「え、ええ!?」
 突然の告白に頭が真っ白になりそうだ。
「そ、その・・・初めて海岸に居たあなたを・・・海から見たときから・・・。あなたの・・・その・・・綺麗で、優しくて、暖かい瞳に惹かれてしまいました!」
「だ、だけど・・・やっぱり、俺はルナと結ばれる資格なんてない。俺は人並みの幸せなんて得てはいけないんだ。俺は処刑人。多くの人間をこの手にかけてきた。俺のこの手は穢れている。すっかり、真っ黒になっちゃってる。だけど、君はとても綺麗な手をしている。いや、手だけじゃない。顔も、瞳も、体も、何もかも。純粋で、一切の濁りのない綺麗な存在だ。そんな神官が、俺みたいな処刑人なんかと一緒になるなんて・・・」

 シャルルは本心を言っただけだが、どうやらそれがルナへの最大のプロポーズになってしまっていることに気づいていないらしい。ルナは顔を真っ赤にしている。
「あの、シャルルさん? あなたが私のことを好きだという気持ちは、本当なんですよね?」
「もちろんさ! 仮に、俺にこんな妻が居たらなんて思うと・・・。でも、それは許されないことなんだ。俺は穢れ切った人間だから。」
「あ、あなたが穢れているというなら・・・わわわ、私が! 浄化します!」
「え? うわ!」
 そう言うと、ルナは俺を押し倒した。

「うっ! 気持ちいい! 気持ちいよ! ルナ!」
「私もです! シャルルさん!」
 彼女の膣は俺のペニスを受け入れた。初めは少しきつかったが、すぐに馴染んで俺のペニスを咥えるかのようにヒダの一つ一つが吸い付いてくる。
「知ってますか!? 魔物娘の間では! 処女を愛する人に捧げたとき! 一人前の魔物娘になれると言われています!」
「そうなのか!」
「一部の・・・! 地域だけですけど! でも、私もそう思います! 人間と魔物娘は! 皆誰しもが愛する人と結ばれるために! あん! ポセイドン様からこの世へ命を授かるのです!」
「俺も! そうなのかな!?」
「そうです! ですから! ああ! 自分には幸せになる権利がないなんて思っちゃダメです! あん! それでも人並みの幸せが許されないというなら・・! 人並み以上の幸せを! ああ! あなたに与えます!」
「こうしているだけで! 俺には勿体ないぐらい幸せだよ! それより、大丈夫!? 痛くない!?」
「初めは! ああ! ちょっと痛かったですけど! すぐに気持ちよくなりました! 私の初めてが・・・あなたでよかった!」
 ルナ膣から初めは破弧による出血が確認できた。しかし、今では愛液によってすっかり流されてしまい、彼女の中は俺のペニスを受け入れるがままだ。

「ルナ! 結婚しよう! 俺! 海の住人になって! 人生をやり直すよ! 今度こそ! 立派な医者になってみせるから!」
「・・・嬉しい! 私も! あなたの素敵な妻になります! 夫婦として! 一緒に幸せになりましょう!」
 そう言って、ルナは本を取り出し、結婚の儀式の呪文を唱えた。

 ルナの性技はとても凄かった。そして、性の知識も、性欲も、まさに魔物娘と呼ぶに相応しかった。
 俺は何度も彼女の膣に精子を解き放った。
「凄いよ! ルナ!」
「もっと! もっとシャルルさんの愛を! 私の中へ注いでください!」

 無限に射精できるような快感が、永遠とも呼べる瞬間が、三日三晩続いた。海はセックスにより増強されたルナの魔力によって、海一面が光に包まれていた。その光は、対岸の魔物国領の領海から海岸まで届いていた。

 その後、シャルルとルナは魔物国の教会で盛大な結婚式を挙げた。まぁ、実際には式を挙げる前に結婚していることになっていたのだが、あのときはセックスの快楽で頭が真っ白になっていて、結婚したという実感に乏しかった。
 だから今こうして、改めて結婚式を行うことになった。白いケープをまとったルナはとても綺麗だった。式を挙げて、結婚したという実感を強く持つことができた。
 式の最後に、過去との決別の証として、処刑用の大剣を燃やして処分した。これでもう、あの剣が血塗られることはない。そして私の手が穢れることもないだろう。

 今はシー・ビショップのルナ、そして医者のシャルルは世界の海を旅しながら、ポセイドン信仰を広め、人間と魔物娘の共存を広め、ときに慈善治療を行い、ときに人間と海の魔物娘の結婚式の儀式を行っている。
 そして夜はもちろん、愛するルナと交わっている。普段は清楚なルナだが、夜のときだけは別だ。夜のルナはとても情熱的だ。勿論、そんなルナも俺は大好きだ。最も、俺も夜は情熱的だと言われてしまったが・・・。勿論、情熱的な俺のことも、ルナは大好きだ。

 その後、俺がかつて住んでいた王国は革命により共和制に移行した。だが、それでも内戦は続いている。
 世界でも、親魔物国と反魔物国の争いは起こっている。だけど、人と魔物娘との共存は、確実に広まっている。
 俺とルナは、いずれ生まれる新たな命、二人の愛の結晶のため、そして全ての人と魔物娘の夫婦のためにも、平和を願いながら、今日も旅を続けている。
18/01/14 16:27更新 / 風間愁

■作者メッセージ
掲示板に「自分は幸せになる権利なんてない」と考えている人が「魔物娘に救われる」話が好きだという書き込みを見かけたので、書いてみました。
人に幸せをもたらす魔物娘は恐らく全てでしょうが、今回はシー・ビショップを選んでみました。シー・ビショップは自分が最も好きな魔物娘のうちの一つです。こんな妻が居たらいいですね。
主人公のシャルルも、実在の人物がモデルです。

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