連載小説
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第4話「そして、これから…」
 エスパニア祭3日目夕刻。太陽が沈み掛かっている頃、俺たちは教会にいた。
「…エスパニア城第15皇子、クロエ・エスパニア。汝はオークの娘、ルゥを妻として娶り、何時も離れないと誓うか。」
「はい、誓います。」
「そして、オークの娘、ルゥ。汝はクロエ・エスパニアの夫として、夫を支え続けると誓うか。」
「はい、誓います。」
「それでは、ここで誓いの口づけを……」

 エスパニア祭3日目朝刻。いつも通りの時間に起きた俺は、ルゥを起こさないようにそっとベットから抜け出した。…よし、ルゥはまだ寝ているな。
 実は昨日、俺たちはあまり寝ていなかったりする。もちろん毎晩のようにヤった……訳じゃ無い。昨日、父様が「明日、クロエとルゥは結婚する!!」なんて言ったもんだから、お互い意識して眠れなかったんだよね。
「よし、それじゃあ行くか。」
 そう言って俺は、エスパニア城へ向かった。
 城へ着くと、何やらパーティーの準備で騒がしかった。それを確認するや否や、俺は父様の部屋へ向かった。
「父様!!あれは一体どうゆう事ですか!!」
「ん?クロエか、どうした?」
「どうしたもこうしたも、何で『時期城主クロエ様結婚式典』なんですか!?俺は時期城主になるつもりなんて無いし、結婚式も教会で行うつもりでしたよ!?」
「そうなのか?それならそうと、早く言ってくれればよかったものを。」
「いやいや、エスパニア祭初日に言いましたよね?3日間しか此処には居ないと。」
 こんなやりとりがあった後、結局結婚式は教会で行うこととなった。だってあのまま事が進んでいたら本当に次期城主になっちゃう所だったんだもん。
 宿への帰り道、俺はいろいろな商品が並んでいる市場でカイルに出会った。
「よぉ、クロエ。結婚おめでとさん。」
「ああ、ありがとな。カイル。それでなんだがな、『人魚の血』って売ってないか?」
「んあ?『人魚の血』だって?何に使うん……ああ、そういう事か。」
 人魚の血というのは、人間の寿命を飛躍的に伸ばす秘薬だったりする。元々魔物は人間の男性と結婚する際にこの人魚の血を飲ませると言う。
「あるにはあるんだが、ちょっとばかし高いぞ?」
「ああ、分かった。それで、いくらだ?」
「今のレートだと、大体250ってとこだな?」
「…それってもしかして銀のほうか?」
「いんや、もちろん金の方だけど?」
「そんな大金あるかぁーーーー!!大体なんなんだよ、明らか可笑しいだろ!!何で250金なんだよ!!友人だろ、俺これから結婚するんだから半額にしてくれよ!!」
 確かに別の町で見たときは1金もしていなかった筈だ。カイルの話だと、ここ最近魔物と結婚する冒険者が増えてきて、人魚の血のレートが上がってきているそうだ。ちなみに今逃すとこの先もっと高くなるだろうとの事。
「ふむ、仕方ないなぁ。これ、かなり仕入れるのが大変なんだけど…いいだろう、今なら50金にまけといてやろう。」
「…何で、上から目線なんだよ。しかし高いな、今36金しか無いんだが。」
「そうか…、なら仕方ないな。」
「売ってくれるのか!!カイル!!」
「帰れ。」
「お前は鬼か!?今までのフリは何だったんだよ!!」
 俺は、カイルの露店から離れていった。…今思えばあの時はすまなかったな、カイル。
「……あの人に、人魚の血をあげなくてよかったのかニャ?」
「いいんだ、睦月。楽しみは後に取っておかないとな。」
 宿へと俺が戻ったとき、ルゥは食堂で朝食を取っていた。
「おはよう御座います、ご主人様。…じゃなくて、今まで何処行ってたんですか!!今日は私達にとって一番大切な日なんですから!!」
「ん〜、何処行ってたってな〜。まぁ、秘密だ。」
「何ですか、秘密って!!…まさか、私以外の女せ…。」
「言っとくけど、密会とかじゃ無いからな。」
 …念の為言っておくけど、本当に城に行った後に市場へ行っただけだからな?俺は何もやましい事はしていない…筈。それに、ルゥの為に人魚の血を買いに行ってたなんて恥ずかしくて言えたもんじゃない。
「まぁ、結婚式は夕方に行われるから、それまで市場でも見てくるか。」
「はい、そうですね!!…そうだ!!市場で人魚の血があったら、絶対買いましょうね、ご主人様。」
 うっ、コイツはカンが良いのかそれとも天然なのかよく分からん時があるんだよなぁ。
「…その事なんだがな、朝の市場で見て来たんだけど、高くて買えなかったんだよな。だから、他の物を見に行かないか?」
「そうですか、それは仕方がありませんね。じゃあ、他の物を買いに行きましょう!!」
 それから俺たちは、夕方になるまでいろいろ買った。…まぁ、俺の財布はスッカラカンになった訳だけど。

 エスパニア祭3日目夕刻。太陽が沈み掛かっている頃、俺たちは教会にいた。
「…エスパニア城第15皇子、クロエ・エスパニア。汝はオークの娘、ルゥを妻として娶り、何時も離れないと誓うか。」
「はい、誓います。」
「そして、オークの娘、ルゥ。汝はクロエ・エスパニアの夫として、夫を支え続けると誓うか。」
「はい、誓います。」
「それでは、ここで誓いの口づけを。」
「「はい」」
 そして、2人は、深く、そしてとても甘い口付けを交わした。最後にこう言いながら。
「絶対に幸せになろうな、ルゥ。」
「はい、ご主人様。」
 
 結婚式が終わったその夜、町では盛大に俺たちを祝ってくれた。それは、大地に1つの新たな命が芽生えるのと同じぐらいだった。
 エスパニアの砦を抜けるとき、俺は馬車の隅に置き手紙と一緒にビンが置いてあるのを見つけた。置き手紙を読んでみるとこう書いてあった。
『クロエ、結婚おめでとう。…こんな堅苦しいのは無しにするか。
いやぁ、まさかお前が結婚するなんてなぁ。俺は吃驚したぜ。
昔はあんなに女々しかったのになぁ、時間が経つのは早いもんだ。
あ、そうそう。このビンな、実は人魚の血が入っているぜ。…朝は
あんな事言ってゴメンな。お前を吃驚させてやろうと思って、あえて
高い値段って事にしたんだ。でも、これは俺たちからのお前達への
贈り物だ。いつまでも、末永く幸せに暮らせよ!!
                  クロエ嬢の友人のカイルより』
「ったく、アイツも人がワリィな。」
「?どうしたんですか、ご主人様?」
「何でも無いよ、ルゥ。それよりもほら、人魚の血が手に入ったぞ。これで俺たち何時までも一緒だな。それと、これからは、その、なんだ、『あなた』って呼んでも良いんだぞ。」
「はい、ご主人様!!」
 …こんな恥ずかしい事言わせといて、コイツ。と思ったけど、そんな事はどうでも良くなった。だってさ、ルゥの顔見ていると凄く幸せな気分になれんだもん。こんな妻を持った俺は凄く幸せ者だな、ハッハッハ!!
「処で、ご主人様。次は何処の町へ行くんですか?」
「そうだな、前々からジパングに行きたいと思っていたし、魔界ってのもありかなとも思っているよ。」
「そうですか。でも私はどんな所に行こうが、ご主人様とずっと一緒ですからね!!」
 そう言ってルゥは俺の腕に抱きついてきた。こんな日がずっと永遠のように続くなんて楽しみだなと、思った。
12/04/22 22:41更新 / @kiya
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■作者メッセージ
 と言う訳で、「新婚生活…?」第4話、如何でしたか?
楽しかったのなら@kiyaは嬉しいですし、そうでなくとも嬉しいです!!
何せ、読者である皆様が一瞬でも『興味』と言う物を持ってくれたからで御座います!!ここまで続いたのも、読者である皆様が見て行ってくれたおかげです!!
 しかし、ここ最近悩みが出来てしまいました…。皆様ご存じだとおもいますが、ルゥの服装が毎回変わっています。その為に毎回悩むのですが、何にも思いつきません…。
 そこで、皆様の『ルゥはこんな服が合うんじゃね?』的な希望をとっていきたいと思います。どしどしコメに書いてくださいね!!
 …はい!!それじゃあ、次回予告いきます!!
次回は何とジパング…?いやいやそれとも魔界へ…?
そして、クロエが将来について語る!!クロエは一体何を望むのか!?
次回、「新婚生活…?」第5話お楽しみに!!

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