連載小説
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後編(3)
「さぁ、神様が見て下さっています。愛を交わしましょう。」


そう言うと彼女は腰を密着させたまま、陰茎を包み込む肉を激しく蠢かせた。襞の多いぬめる柔肉で最も敏感な部分を容赦なく揉み込まれる、そんな刺激にただでさえそれまでの愛撫で高められていた青年の性器が堪えられる筈もなく、
「ぅくっ…だめですっ、シエラさ…もうっ…」
何とか絞り出した声で限界を告げようとする。
だがその言葉も、…ここにきて初めて彼女の名を呼んだことも含めて、彼女を更に悦ばせるのみだった。そしてだめ押しの追い討ちを掛けるべく先端に向かって搾り出すような動きを加える。

ひとたまりもなかった。裏筋を襞によって舐め上げられる刺激がトドメとなり彼の陰茎はたまらず精を噴き上げる。
「ひぅっ、あ…ああぁ!!」その間も膣の動きは止まる事なく、まるで尿道の中の一滴まで搾り出そうとするかのように貪欲に蠢き続けた。止まらない肉筒の動きに翻弄され青年は身体を強張らせて悶絶する。
「はあぁ♪…美味しいぃ…、これがこれから毎日味わえるなんて…♪」
彼女もまた胎内で弾ける精の味に酔いしれていた。そしてひとしきりその味わいを堪能すると、再び本格的に膣の蠕動を再開し、今度は腰をぐりぐりと押しつける動作も加えた。
「うわあ!?」
射精直後の敏感な性器に加えられる刺激に青年は思わず腰を引こうとするも、地面に阻まれ逃げる事は叶わない。その動きに気付いたシエラは両手を青年の両肩に乗せ、更に彼の身動きを封じてしまった。
「逃げちゃだめですよぉ♪さあ、この美味しいのもっと注ぎ込んで下さい♪」
満面の笑顔でそう言うと無情にも膣の動きを加速させる。それを受けて青年が悲鳴を上げるが責めの手を緩める気配はない。
「ふふっ、分かってますよ。出してすぐの先っぽ苛められると男のひとは辛いんですよねぇ?…でも、そのうちコレが癖になるんですよ?そういう風に調教〈あい〉して差し上げますから♪…あ、そうだ!」
―いいこと思い付いた―
とでも言いたげに不意に彼女が顔を上げた。
青年からすれば正直嫌な予感しかしない。
「まだ私の真の姿をお見せしておりませんでしたわ!!」
今更である。

しかしそう言うと彼女はただちに人間への変化を解き始めた。恐れる事はない、この青年は自分を魔物と見破って尚、その存在を受け入れたのだから…
先ず腰をぶるりと震わせると腰骨の上あたりから黒いふさふさとした羽根が両側に広がった。一見すると服の飾り羽根のようにも見えるが時折ピコピコと上下に動いている。次いでその羽根の付け根のすぐ下からズルりと先端が膨らんだ尻尾が生え出し、地面を打つ。同時に頭部を側面から上へ囲うように骨格がせり出し、角のようなものが完成する。

…変身が終わる。

確かにそこには異形が存在していた。しかしそれを異形たらしめている人外のパーツはそれ…彼女の外見的な美しさを一切損ねることなく、今の姿が本来の彼女であると納得させるに足る自然さをもってそこに存在している。そればかりか肉体が変化する感触が心地よかったのか、恍惚に蕩けているその表情も合わせて、より妖しい魅力を増していた。
それら人外の部分以外にも、もとからかなり豊かであったその胸は更に一回り程ボリュームを増し、黒衣のスリットから露出している素肌はよりキメ細かくスベスベとしたものとなって直接肌で触れ合っている青年の脚に吸い付き舐めるような感触を与えている。肌を合わせているだけでそこをやさしくくすぐられているような快感が青年を襲っていた。

「い…如何でしょう?」変身前よりもより魅力的となった笑顔で少しばかりはにかみながら下に向けて問い掛ける。
「綺麗…です。」
気の利いた賛辞を贈ることなど出来ない青年は、代わりに本心からの感想で答えた。

―嘘とはいえこれまでずっと人を喰らう化物として教えられてきた存在である。正直に言うと人の形など全く止めていない巨大な怪物の姿も想像した。…まあ例え正体がそういったものだったとしても、それでも尚彼は彼女を受け入れ、愛したであろうが…。人間の悪意にその命を喰われかけた青年にとってはそれを救った彼女の存在はどんな人間よりも尊いものとなっていた。

それが実際は人の形を保ちながら更にそれを昇華させたと言えるような姿だった。思わず見惚れてしまったのも仕方がないというものだ。

…故に、彼は油断していたのだろう。つい失念していた。自分がいまだ犯されている最中だということを…
「では、続きを―」
「え?、――うわあああっ!!?」
「えへへ、変わるのが外側だけだと思いました?」
変身中一旦その動きを止めていた膣内が再び精液を搾り出そうと動き出す。魔性の変化を伴いながら…

くわえ込まれた陰茎の先端、亀頭を包む肉から無数の触手のような突起が出現し先端の部分をそれぞればらばらに舐め回し始めた。突然加えられた強い刺激に思わず腰を引くとその動きを予想した罠のようにその少し下側に配置された同様の器官がカリの裏側をくすぐり回す。
「ひ…、い、ぎっ!」
上下に現れた、男を責め嫐るための器官から逃れようと動きを制限された体勢で必死に自身の位置を調整しようと試みる青年の表情はもう泣き出しそうだ。その顔を見た瞬間、シエラの背中にゾクりとした悦びが走る。
「嗚呼…、そんな可愛い顔をしないでください…ホントに手加減出来なくなってしまうじゃないですかぁ♪」と言いつつこの上無い笑顔で「えい♪」っと一声、彼のものを締め付けた。僅かな逃げ場も失い、青年のモノは完全に彼女の搾精器官に閉じ込められる。そして身動きの取れなくなったそれを変身前より大幅にその数を増した襞と先程現れた柔突起の群れが一斉に蹂躙した。
これにはたまらず青年の肉棒はついに決壊し2度目の精を吐き出す。手足を硬直させビクビクと痙攣しながら自身の中に精液を注ぎ続ける彼に対してシエラは責めの手を一切緩めない。射精を少しでも長引かせようと裏筋を柔突起で舐め上げながら肉棒全体を搾るように揉み続ける。

そして…やがて精を吐く脈動が収まり始めると、再び亀頭をくすぐりながらしごくような動作に切り替えた。

連続で2度の搾精を受けた青年の息は絶え絶え、満身創痍の有り様である。
…しかし彼は気付いていない。彼の上に乗っている魔物が、まだ一度たりとも腰を振っていない事に…



「ふぅ…」
と、しばらく2度目の精の味を楽しんでいた彼女が息をつき、そして言った。


「さて、ではそろそろ本格的に交わりましょうか♪大丈夫ですよ♪結界を張りましたからもっと大きな声を出しても…」


青年の目に、ついに涙が浮かんだ…

………。

……。

…。



…「ん、はぁ♪」
ぬぽっと湿った音を立てて萎えた陰茎を引き抜く。青年から根こそぎ搾り取った精液はもう全て吸収してしまったのか、一滴も垂れてはこない…

一方搾り取られた側の青年はだいぶ前に気絶し伸びていた。

シエラは気絶した青年を抱き上げるとその顔を見てクスリと微笑み、ぎゅっと抱き締める。
「さあ、では参りましょうか。善にして真なる神の創りし悠久の楽園へ…」
そして最後に二人の姿もこの世界から消え、後には森の静寂と僅に濡れて光る草のみが残った。







――――――――――

…4人の人間が失踪したこの事件は、街では大した噂にもならず消えていった。この集合体に於いてはたった4人の人間の命などその程度の価値しかなく、昨日を保つ事に精一杯な弱き人間達は、弱肉強食という知性亡き摂理の名の下に、今日も互いを喰い合っている。
それを悪と断じる心優しき神がいることにも気付かない儘…

そして数ヶ月後、街はその罪を贖い、またその業より救われる事となる。勝者も敗者も皆平等に、より上位の存在である魔物の餌と供される事によって…

11/12/19 20:47更新 / ラッペル
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■作者メッセージ
万魔殿の時止まり設定を使えば疑似瞬間移動が出来るのでは・・と考えた人はいるはず。まぁ出来たところで地味な上にえろいことに応用しにくいので誰得感漂うんですが・・・せっかくなので使わせてみました。上手く表現できているかどうか不安ですが

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