読切小説
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真っ赤な相合傘
蔵独特の重く分厚い引き戸を開けると、埃っぽく淀んだ空気が体を舐める。
顔をしかめながら蔵の中に入ると、雑多に積みあがっている骨董品やら家財道具の量に圧倒される。

(あぁ、こりゃあ割に合わない仕事になりそうだ…)

一人憂鬱になっていると、背後から上品な女性が俺に声をかけた。今回の仕事の依頼人だ。

「父は何でもかんでも古いものを集めるのが趣味でねぇ。喜助さん、大変でしょうけど、よろしくお願い致します。」

「いえいえ、仕事ですから、しっかりとやらせていただきますよ!」

営業用の笑顔を浮かべてハキハキと応対する。

ジパング地方で古い家屋の清掃業を始めてかれこれ五年ほどになるだろうか。
田舎の物置蔵の清掃はよくある類の依頼であるが、ここまで物の詰め込まれた蔵を見たのは初めてかもしれない。

この蔵の持ち主は、片田舎で広大な土地を持っている豪農だ。
最近になってその筆頭だった爺さんが他界し、この蔵の整理を行うことにしたらしい。
そこで、俺の出番というわけだ。


最近では食うに困らない程度に仕事も繁盛しているが、ある程度顧客が増えれば面倒な依頼が増えるのも当然である。
これも自分の飯のためだ。気合を入れて蔵の整理に取り掛かった。
埃を被っている如何にも値の張りそうな物品を、落とさぬように丁寧に運びだす。
果ての見えない作業であったが徐々に蔵の中の物が少なくなり、ようやく蔵の床がよく見えるようになってきた。

「ん…?」

ふと目に飛び込んできたのは、薄暗い蔵の中にあってもよく映える朱色。
何が入っているのか分からない木箱の間に、押し込まれるように入れられているそれを慎重に引き出す。

(へぇ、和傘か。今時珍しいな。)

元々はジパング地方で当たり前のように使われていた和傘であるが、最近では西の方から広まってきた傘を使うのが一般的だ。
壊れやすく手入れの必要もある和傘は、いまや好事家の蒐集物となりつつある。

(こんな、綺麗なもんだったんだなァ…)

手にした朱染めの和傘は、長い間蔵に放置されていたのだろう。
やや色は落ち、埃を被っているが、とても美しい。
さぞ高価なものだったのだろうに、こんな蔵の中に放置とは金持ちの考えることはよく分からないものだ。

思わず、仕事も忘れて和傘を観察する。
朱色に美しく染まった和紙が張られ、持ち手の部分は上品な黒塗り。
骨の数も多く、しっかりとした構造だ。
大きさは、一般的な番傘よりも大きいが、野点傘ほどではない。
試しに開いてみようと思ったが、開かない。放置されたせいで、紙がくっついてしまっているらしい。

「あら、喜助さん、どうかされましたか?」

不意に背後から掛けられた上品な声に我に返った。

「うおっ!あ、いえ、すみません。綺麗な和傘だなぁと思いまして…。」

歯切れ悪く、依頼人の奥様に返答する。
なにをやっているのだ俺は。仕事も忘れて傘に見惚れるなどとは、仕事人の風上にもおけぬ行いだ。

「和傘?あら、父さんったらこんな物まで集めていたのねぇ。ふふ、全く見境のない人だから…」

少し懐かしむように奥様が呟く。
どうやら、彼女もこの和傘については何も知らなかったようだ。

「そうだ。喜助さん、よろしければその和傘お譲り致しますわ。」

「えっ?いや、こんな高価そうなものお譲り頂くわけには…」

「いいのよ。大仕事の割にはお礼も少ないと思っていたの。
 それに、その傘も使っていただける方の手に渡る方が幸せでしょう?
 だから、遠慮せずに受け取って下さいな。」
 
嬉しそうに話す奥様を前にしては、俺としても断りづらい。
事実、開くことも出来ない美しい和傘に、言いようのない魅力のようなものを俺は感じている。
本来、お客さまからこういった物を頂くのは良しとしていないのだが、今回だけはお言葉に甘えることにした。

「…そうですか。そういうことでしたら、ありがたく頂戴します。」

「ええ、大事に使ってあげて下さいね?」

______________________________________


結局、あの蔵の掃除は日が暮れるまでかかってしまった。
少々割に合わないお給金と、頂いた傘を片手に、疲れ果てた身体を鞭打って自宅へと帰っていく。


年季の入った平屋建ての我が家に帰り着くと、早速和傘を取り出して手入れを始めた。
囲炉裏に火を入れ、その熱で傘を先端から温める。
ある程度熱が伝わったら、ゆっくりと、紙が破れぬよう細心の注意を払って傘を開いていく。

何度かヒヤリとする場面もあったが、何とか無事に傘が開いてくれた。
畳んだままでは見えなかった白い模様が顔を出す。
幸い、破れも虫食いもなかった。
もしかすると紙も張り替えないといけないかと覚悟していたが、その必要はなさそうだ。

最後の仕上げに、軽く乾拭きして埃をおとして、仕事用の植物油を薄く和紙に塗ってやることにした。
刷毛にごく少量の油をつけて、薄く延ばすように朱色の和紙をなぞる。

『ん…♥ぁ…♥』

「え…?」

どこからか、若い女の艶めかしい声が聞こえた気がして、思わず周りを見回す。
当然ながら、家の中にいるのは俺一人だけだ。

「まったく…女っ気がなさすぎてついに幻聴まで聞こえてきやがったか。」

自嘲気味に独りごちる。
独り立ち以降、仕事ばかりの生活をしてきた俺には、浮いた話の一つもありはしなかった。
そろそろ所帯を持ってもおかしくない年齢に差し当たり、焦りが少しもないとは言えない。
詮無い思考にきりをつけて、目の前の和傘に集中する。
油をまとって、元来の鮮やかな色を傘が取り戻していく。

「おぉ…!」

油を一通り塗り終わり、傘を掲げてみると、その美しさに思わず息が漏れた。
朱色の傘には、弧を描くように三日月形の白い紋様が走る。
その周りには西の国で使われるらしい心臓を模した図形(確か、『はぁと』という名前だったか。)が散りばめられていた。
竹の骨組みは一切の狂いなく規則的に並び、真っ直ぐに伸びる。
まるで、血でも通っているのではないかと思うほど、生き生きとした張りを持ち手から感じた。


少し男が持つには恥ずかしい柄ではあるが、そんなことはどうでもよくなるほどの美しさ。
割に合わないと感じた今日の報酬も、この傘を頂けたなら充分すぎると考え直す。
後は、塗った油が乾くまで置いておけば、雨傘として使えるようになるだろう。
そういえば、季節はそろそろ梅雨を迎える頃だ。傘を使う機会も増えるのではないだろうか。
普段は憂鬱で仕方のない雨の日が、少しだけ待ち遠しく感じた。

______________________________________

あれから数日が立ち、梅雨に入った。
雨でも変わりなく仕事は舞い込んで来るものであり、やはり忙しいのは変わらない。
そのせいで最近は、傘が手放せない日々が続いている。
昨日は、よく依頼をしてくるお得意様の家に清掃に向かったが、そこの家主に「良い傘だねぇ」と言われて少し鼻が高かった。
この傘を持ち歩くと気分が晴れる。
たかが傘を変えた程度で、ここまで梅雨の印象が変わるとは、不思議なものだ。

今日は久しぶりの休日である。
相変わらず、外はしとしとと雨が降り続いている。
たまの休日に雨など普段ならば大いに落胆するのだが、今日はなんとなく町まで傘を片手に出歩いていた。
傘が雨を弾く音が心地良い。普段は騒がしい町の喧騒も、雨のせいか落ち着いている。

(たまには、雨の散歩も乙なもんだなァ。)

柄にもなくそんな風流な事を考えていると、側の立ち飲み屋から乱暴な声が聞こえた。

「おう、喜助じゃねぇか!めずらしいな、雨の日におめぇが出歩くなんてよぉ!」

「おう、弥彦か。」

俺を呼び止めた男は赤ら顔でやたら上機嫌だ。だいぶ出来上がっているらしい。
この男は弥彦という大工だ。
良く言えば豪快。悪く言えば粗野。そんな男だ。まぁ、気の良い奴ではある。

「まだお天道様も高いぞ。そんなに飲んでていいのか?」

「へへへ、こんな雨続きじゃお天道様も雲で俺を見れやしねぇって。」

「そーかい。女房さんに見つからねぇ事を祈るよ。」

「おいおい、酒が不味くなること言うなよ…。想像しちまったじゃねぇか…。」

全く信じがたいことに、弥彦には驚くほど美人の女房がいる。
一体どんな手を使ったのか。世の中分からないものだ。
夫を立てる良く出来た女房だと評判だが、実は弥助が尻に敷かれているのも俺はよく知っている。

「おう、喜助ぇ。おめぇ、珍しいモンもってんなぁ。」

「ん?ああ、これか。」

弥彦が見つめるのは俺の持つ和傘。

「仕事の報酬で頂いたんだよ。イイだろ?」

「あぁ、良い傘だなぁ。しかし、お前みたいなむさ苦しい男に似合う柄じゃねぇなぁっ!ガハハ!」

ほっとけ。内心毒づいたが、酔っぱらいの言葉にいちいち付き合うのも手間だ。
適当に切り上げようと思ったが、


『むぅ〜っ!』


まただ。
確かに聞こえた。
女が拗ねるような、可愛らしい声。
この傘を使うようになって以来、この声が幾度となく聞こえてくるようになった。
毎回のように周りを見渡すが、やはりそんな事を言っている女はいない。

「お?どうした?喜助。」

「いや…今、女の声が聞こえなかったか?」

「いんや、別に?まぁ、俺はもう嫁の声しか興味ねぇからなっ!聞き逃したのかもしれん!ははははっ!」

全く、油断するとすぐこれだ。
幸せそうなのはなによりだが、こいつの惚気は独り身の俺には耳が痛い。

「…へいへい、惚気は今度にしてくれ。俺はもう帰る。」

「なんだ。呑んでいかねぇのかよ?」

「まぁな、雨の日は呑むような気分にならん。」

「ちぇっ、つれねえなぁ。まぁ、もうすぐ梅雨明けだ。その後で呑もうぜ。」

「おう。じゃあな。」

「じゃあな。おめぇも早くいい嫁見つけろよ!」

「ほっとけ。」

今度はしっかりと声に出してから、家路につく。
結局あの声の正体は分からないままだった。
少々薄気味悪いが、まぁ、気にしすぎても仕方ないか。やや強引に、考えるのをやめた。
となると、次に思い出すのは、別れ際の弥彦の台詞だった。

(もうすぐ、梅雨明けかぁ…)

なんとなく空を見上げると、相変わらずどんよりとした雲が空を覆っている。
気分の沈む光景だが、何故か少しだけ、この雨空が消えるのが惜しく思えた。

ゆっくりと歩いて自宅まで帰ってきた。
徐々に雨脚も強まっているようなので、さっさと家に入る。

「ただいま。」

『お帰りなさい!』

また聞こえた。
楽しそうな少女の声。当然、俺の家の中に誰かが居たわけではない。
思わず、溜息をついてしまう。

「あぁ、女日照りもここまで来ると病気だなァ。」

きっとこの声は、あまりにも人肌が恋しくなった自分が都合よく作り出した幻聴という奴だろう。
全く、いい年をした大の男が情けないったらない。
とりあえず、傘についた水滴を軽く振り払い、紐で玄関に吊り下げる。
この傘を最近は毎日のように使ってきたが、梅雨明けとなれば今後は使う機会が減るかもしれない。

「お前を使うのも、これからは減っちまうかもしれないな…。」

『えっ…?』

吊り下げた傘に向かって言う。
ホントに、俺は何をやっているのか。
傘に向かって話しかけるなんて、人形遊びをする童じゃあるまいに。
しかも、例の幻聴まで聞こえていたような気がする。
これは、どうやら本格的に独り身の寂しさに毒されているらしい。

「もう寝よ…」

こんな日はさっさと寝てしまうに限る。
まだ日は高いが、まぁいいだろう。
逃げるように、薄い布団に潜り込んだ。

_______________________________________




ちゅ…ちゅる…

「ん…?」

眠りに落ちていた意識が、僅かな水音によって浮かび上がってくる。
なにやら、身体が重たい。体を包む暖かさと、むずかゆいような緩やかな快感。

『ん、れろ…ふぅ、んっ…』

最近、俺を悩ませる幻聴が、やけに近くで聞こえる。

(なんだ…?)

ようやく意識が覚醒し、自分の状況を確認する余裕が生まれる。
下に顔を向けると、明らかに布団が盛り上がっているのが分かる。時々もぞもぞと動く布団の中の塊。

中に誰かいる。


「っ!うおおぉ!?」

思わず、情けない声を上げて、布団をはねのける。
なんだ!賊か!?人から恨まれるような事をした覚えはないぞ!


「あっ!ご主人様っ!おはようございます!」


「はっ…?」

連続して続く想定外の事態に、遂に思考が停止する。


布団をめくると現れたのは、眩いほどに美しい少女。
まだあどけない印象をうける少女が、俺の体の上に乗りかかりあちこちを愛でるように口づけをしていた。
少女はこちらに気づくと、無邪気に、嬉しそうに声を掛けてきた。

「お、おはよう…。」

あまりの異常事態に、普通に挨拶を返してしまう。
人間、理解の範疇を超えた事態を前にするとやけに冷静になるものらしい。

「えへへぇ…♥ご主人様ぁ…」

少女は、照れくさそうにはにかんで、俺の胸板に頬ずりをする。
かわいい。

(って、違う。そうじゃない。)

強烈に理性を揺さぶる少女の愛らしさに思考があさっての方向を向くが、慌てて軌道修正する。

「お、お前、どこの誰だ?」

「あっ、酷いですご主人様。最近はずぅっと一緒に居て下さったのに…」

「え…?」

なんだそれは、俺にはこんな美人の知り合いなんていないぞ。

「むぅ。じゃあ、これを見たら分かりますよね、ご主人様っ!」

言うなり、上を指さす少女。
顔を上げると、俺たちを覆うようにして赤い何かが天井の手前にあるのが見えた。
もう見慣れたが相変わらず美しい朱色。ところどころに走る白い紋様が、全体の美しさを引き立てる。

「あ…!?」

自分を覆うそれが何であるかようやく気づき、玄関の方に顔だけ向ける。
そこに置いてあるはずの和傘が、やはり見当たらなかった。

「えへへ、分かりましたか?大事に使ってもらえて、椿とっても嬉しかったんですよ?」

「いや…そんな、馬鹿な…!?」

ありえない想像に思わず絶句するが、目の前の少女の発言からしてこれ以外の答えが見つからない。

「…お前、あの和傘だっていうのか?」

「はいっ!はじめまして、ご主人様!和傘の付喪神、唐傘おばけの椿です!」

なんとも楽しそうに信じがたいことを言う椿と名乗る少女。
唖然とする俺を置いて、椿は話を続ける。

「もー、ご主人様ったら椿が何度話しかけても気づいてくれないんですもん。
 仕方ないからこうやって出てきちゃいました!」
 
「あ…お前、その声…!」

椿の話を聞いて、ようやく合点がいく。
傘を譲って頂いてから、事あるたびに聞こえてきた女の声は、間違いなく目の前の少女の声だ。

「そうですよー。やぁっと気づいてくれましたね!」

ニコニコと笑う椿。
いままでは驚きで意識していなかったが、彼女との距離があまりにも近い。
椿の吐息はおろか胸の鼓動まで感じられる事実を意識しだすとどうにもいたたまれない。
少女らしい小柄な身体だが、なめらかで弾力のある椿の肌は否応なく女を感じる。
おまけに、彼女の服装はあまりにも過激だ。
肌に張り付くような薄い桃色の生地の前掛けが、かろうじて掛けられているだけ。
正直、裸でいるよりも男の劣情を煽るのではないかと思う。

こちらを見つめる瞳は大きく、吸い込まれるような錯覚を覚える。
幼い印象も受ける顔立ちだが、浮かぶ微笑みにどうしようもない色気を感じるのは何故だ。

「っ…。つ、椿、お前ちょっと離れ…」

たまらず椿を押しのけようとするが、彼女は頑なに動こうとしない。

「ぁん、どうして嫌がるんですか!今までずっと御傍にいたのにぃっ!」

「い、いいから!ちょっと離れてくれってば!」

このままでは、マズイ…!
いくらなんでも、椿の格好は性的すぎる。
女に免疫のない俺にはあまりにもこの状況は刺激が強い。
内に巻き上がる劣情が、ムクムクと鎌首をもたげて上がってくる。
より具体的に言えば、もう俺は勃起を抑えるのも限界という事だ。

「な、なんでですか!理由を教えて…って、…あっ♥」

必死で堪えていた椿が、突然小さく声を上げて、嬉しそうに笑う。

「ふふ、なーんだ。そういう事でしたか。もう、ご主人様のいけずぅ♥
 そういう事なら、早く言ってくれればいいのに♥」
 
甘ったるい声音で囁く椿。
駄目だ、いよいよ自分でも愚息が硬くなっているのが分かる。
全く理解の範疇を超えた出会いではあるが、仮にも初対面の女性に勃起がばれるとは、生き恥も良いところである。
一体どんな誹りを受けるのか、半ば覚悟を決めていたが、椿の行動はまたもや俺の理解の範疇を超えていた。

椿の白く細い指が、俺の体をなぞって下へ向かう。
艶めかしい動きで動く指に、身体が堪らずびくりと動く。

「お、おい、椿。一体何をして…っ」

「いいんですよ、ご主人様。椿は喜助様の所有物ですから。ご主人様を気持ちよくするのも椿の役目です♥」

そう言い切ると、椿は躊躇なく俺の寝巻の帯を解き、股間へと手を伸ばしてきた。

「うぁっ…!」

少し冷たい椿の手が、硬くなっている陰茎を撫でると、情けない声が漏れる。

「あは、おっきぃ…♥ねぇ、ご主人様ぁ?なんでこんなに硬くなってるんですか?
 椿の体を見て、触って、やらしい事考えちゃいましたか…?」
 
「う、ぐ…椿、やめ…。」

「ふふ、嘘ばっかり。こぉんなに硬くして、やめて欲しいなんてことあり得ないですよねぇ?
 いっぱい、気持ちよくなりたいんですよね?ね?」
 
椿の手のひらが容赦なく先端をこする。強烈な刺激に腰が浮く。
何か言い返そうとするが声が出ない。

「ほぉら、もう先っぽがぬるぬるですよ?気持ちよくなりたいよぉってオチンチンが泣いてます♥
 ねぇ、ご主人様ぁ、このまま椿の手でしこしこされて気持ちよくなりますかぁ?
 それともぉ、椿のお口でじゅっぽじゅっぽされて気持ちよくなりたいですか?」
 
猫撫で声で尋ねる椿。
あまりにも淫靡な言葉に促され、つい椿の小さな口を凝視してしまう。
薄紅色の、みずみずしい唇。そこからチラリと覗く赤い舌。
あの口で、もし咥えられたら…

「あは、ご主人様?もう椿のお口から目が離せないって様子ですねぇ♥
 いいですよぉ。椿のお口を使って、たぁっぷり気持ちよくなってください♥」
 
言うが早いか椿は俺の股間に顔を近づける。
陰茎が椿の吐息でくすぐられる感覚。
椿は一瞬、ビクビクと震える陰茎を楽しそうに眺めると、小さな口をこれでもかというほど大きく広げ、亀頭をくわえこんだ。

「ん、ふぅ…じゅる、おっひい…♥」

まず感じたのは陰茎が溶けるのではないかと思うほどの熱。
熱量はそのまま快感に変わり、全身を駆け巡る。
休む暇なく、椿の舌が亀頭に絡みつく。
ぬめぬめとした感触が一番敏感な先端を撫でまわす。

「れる…じゅる、じゅぽ、ん、…じゅぞぞぞっ、じゅる…♥」

「ぐあ…、うっ、くぅ…」

ただでさえ強烈な快感に、椿の前後運動が加わり、遂に声が抑えられなくなる。
椿は上目遣いでこちらを見つめている。
小さな口から、凶暴な形をした陰茎が勢いよく出入りする光景はあまりに背徳的で、目が離せない。

「じゅぽっ♥じゅるぅ♥じゅぽっ♥じゅずずずずっ♥
 ろおれふか?ひもひいいれすか?」
 
奥深くまで咥えたまま、椿が喋ると口全体が振動し鋭い快感が加わる。
返事をしようにも、椿から与えられる刺激に耐えるのが精いっぱいで、口を利けない。

「んぁ、じゅっ、はむ、じゅっじゅぽっ!ん♥じゅるぅっ!」

より勢いの早まる容赦ない口淫に、ますます余裕を失っていく。
さすがに限界の見えてきた俺は、慌てて椿に告げる。

「うぐぅっ…!椿、もう駄目だ、出ちまう…!」

椿には言外に離れるように伝えたつもりなのだが、それを聞いた椿は事もあろうに更に深く陰茎を呑みこんだ。

「んっ…♥じゅっ、じゅる、じゅぽっ、じゅぞぞぞぞぞぞっ♥」

喉奥まで呑みこんだ陰茎を今までで一番の強さで吸い上げられる。
もはや我慢も限界。椿の予想外の吸引により、強引に絶頂へとおいやられた。
意識が白く塗りつぶされ、腰がガクガクと震える。

ドクドクと脈を打ちながら粘ついた精液を放出する。
それに合わせるように椿の喉が動くのが分かる。
断じて美味なものではないと思うのだが、椿は恍惚とした顔で全ての精液を飲み干してしまった。

「ごきゅっ…ぷはぁっ!…えへへ、ご主人様、ごちそう様でした♥」

相変わらずのはにかむような笑顔で礼を言う椿。
行為の淫靡さと、反応の無邪気さの差異に少し混乱を覚えるほどだ。
射精を終え、冷静さを取り戻してくると、凄まじい罪悪感に襲われる。
まだ年端のいかぬ少女に口淫され、それどころか口内に精を放ってしまった。
一から十まで椿の主導ではあったが、それでも強く拒否できなかったのは俺の責任だ。

「つ、椿、すまん。初めて顔を合わせたお前に、俺は何てことを…」

今更謝ってどうなる訳でもないのだが、それでもこのままなかったことにする訳にもいくまい。

「え?ご主人様が謝るようなことは何もありませんよ?」

けろりとした顔で言う椿。

「いや、しかしだな…。」

俺としては、なんとも割り切れない思いである。
なんと声を掛けたものか逡巡していると、目に見えて椿の表情が曇っていく。

「…や、やっぱり、気持ちよくありませんでしたか…?」

出会ってからというものずっと笑顔を絶やさなかった椿の変化に驚く。
思いつめるように俯いて話す椿に、ますますもって俺はどうしたらいいのか分からなくなった。

「え?い、いや、そんな…」


「ご主人様っ!」


俺が言い切る前に、突然大声をあげる椿。
その剣幕に、言いかけていた言葉も飲みこみ黙ってしまう。
まるでなにかに怯えるように、椿は必死に話を続ける。


「お、お願いします!練習します、椿、いっぱい練習しますっ!ご主人様が気持ちよくなれるように、いっぱいがんばります!
 いつでも、どこでも、椿の事使ってください!ご主人様のいう事なんでも聞きます!
 痛いことも、怖いことも、なんでもします!文句言いませんっ!逆らったりしません!
 だから、だからぁ…」


「お、おい、椿…?」

椿の突然の豹変に、思わず面食らう。
一体何をこんなに怯えているのか、皆目見当がつかない。
椿は今にも泣きだしそうなほどに目を潤ませ、声を震わせて叫ぶ。


「だ、だから、だから…捨てないでください!椿を使って下さい!御傍に置いて下さいっ…!
 もう、もう、一人は嫌ぁ…。暗い場所で独りぼっちなのは嫌ぁ…っ!
 お願いします、ご主人様ぁ。喜助さまぁ。捨てないでください…。椿を、捨てないでぇ…!」

 
遂に大粒の涙を零し、俺に縋り付くようにして懇願する。
必死で捨てないでと乞う椿の顔に、先ほどまでの淫靡な魅力や快活な少女としての面影はない。

「捨てないで…?椿、ちょっと、落ち着け…。」


「グスッ…ご主人様、言ってました。
 傘の姿の椿に向かって、『お前を使う事も減る』って!
 ご主人様に見捨てられたら、椿はまた一人です。もう、暗い蔵でずっと動けずにいるのは嫌…」

 
「あっ…」

思い出すのは、眠る前に傘に向かってつい口に出した言葉。
『お前を使うのも、これからは減っちまうかもしれないな。』
梅雨が明け、雨が降る機会が減るのを見越して言った台詞であったが、それを椿は曲解しているらしい。
そして、今まで忘れていたが、和傘の付喪神だという椿の自我は、一体いつごろから存在していたのか。
場合によっては、俺が思っていたよりもずっと苦しい思いを、椿はしてきているのかもしれない。


「そ、それで、なんとかしなくちゃって、思ったんです。
 傘の姿のままじゃ、いつかご主人様に捨てられちゃうって…
 それで、頑張ってこの姿になって…」

 
未だに椿の涙は止まらない。悲痛な面持ちの彼女をみていると心が痛む。


「け、けど、この姿になっても、椿に出来ることはそんなにありません…。
 だから、せめて、ご主人様に体を使って気持ちよくなってもらえれば、
 椿の体を気に入ってもらえれば、御傍において貰えるかもって…。
 それなのに…それなのに、椿は、ご主人様に満足していただけなくて…っ!
 
 ずっと、ずぅっと、暗い蔵の中にしまい込まれて、
 泣いても、叫んでも、椿に気付いてくれる人が居なかったんです。
 もう、駄目だって、諦めてました…。
 けど、ご主人様が、椿を見つけてくれました。
 もう開かなくなってた椿を優しく開いて、丁寧に手入れしてもらって。
 やっと、やっと私を使ってくれるご主人様が出来たのに、
 優しくて、大好きなご主人様が出来たのに、
 そのご主人様にも満足してもらえないなんて…っ」

 
縋り付く椿の身体が小刻みに震えているのが分かる。
唇を噛み、悔しそうに語る椿がとても小さく見えた。

「…あぁ、椿。よし、よぉく分かった。だから、もう泣くな…」

こんな時にも慰める言葉が上手く出てこない自分がもどかしい。
せめてもの意思表示として、震える椿の体を抱きしめる。
華奢な身体だ。
少しでも震えが止まるよう、力を込めてきつく包んでやる。

「あぅ、ご、ご主人様…?」

泣き腫れて赤い目で、こちらを見る椿。
口下手な俺には難しいが、少しでも伝えてやらねばならない。


「椿、お前のような良い傘を手放すような阿呆はおらん。」

「え…っ?」


「雨の日でも、お前を持って歩けば気分が晴れる。
 お前は美しいし、強い。ちょっとやそっとの雨風じゃビクともしないだろう?
 俺は、お前を二度と手放すつもりはないよ。」
 
「ほ、ほんとう…?」

「おう、本当だとも。お前が嫌と言っても連れて出るからな。覚悟しておけよ?」

なんとなく照れくさくなって、思わず茶化してしまう。できれば、椿が笑ってくれればいいのだが。

「はい、はいっ!椿、どこへでもご主人様についていきます。どんな雨からも守ります!」


やっと、椿の声に先ほどまでの快活さが戻ってきた。

「そ、それにだな?その、俺は、満足したぞ?椿の奉仕に。
 お前は、最高の傘だし…最高に、良い女だと思う、ぞ…?」

自分の発言に頭が痛くなる。
傷心の乙女を気遣う台詞がよりにもよってそれか。
そんなだから未だに独り身なのだ!ひとしきり自分を内心で罵倒する。

「あぁ…ご主人様ぁっ!!」

殴られても文句は言えない発言だったと自分でも思うが、意外な事に椿は感極まった様子で腕を回して抱き着いてくる。

「えへへ…ご主人様…椿の、椿だけのご主人様ぁ…♥」

安心した様子でこちらに身を預ける椿。
なんとか、彼女の抱えていた問題を解決できたようだ。
椿を見つけ出したあの蔵で、どれほどの期間を彼女は一人で過ごしてきたのだろう。
椿が背負ってきた孤独を思うと、哀れで仕方がない。
あの時、偶然目を奪われた和傘を、偶然依頼主の気まぐれで譲って頂いたわけだが、もしあの時傘を譲り受けていなかったらと思うとゾッとする。
もしかしたら、今も椿は、あの暗い蔵で人知れず涙を流していたかもしれない。
俺に抱き着く椿の頭を優しく撫でてやる。

(本当に、助けてやれてよかった。)


やるべきことをやり終え、椿から感じる体温に安心する。
できれば長く続いてほしい心地のいい時間だったが、残念ながらそれが長続きすることはなかった。


椿の様子がおかしい。
顔が紅潮し、足をすり合わせるようにもじもじとしている。
こころなしか抱き着いている彼女の体温が上がっているような気もする。
先ほどまで快活で寂しがりな少女の雰囲気をまとっていた椿が、今は甘くまとわりつくような雰囲気をひしひしと感じさせる。

「…ねぇ、ご主人様…?」

「う、うん?」

甘く囁く椿の声に色気が混じる。
先ほどまでは、娘を抱くかのような気持ちで触れていた椿の体が、急に女を感じさせるものに変わってしまい、声が上ずる。

「椿は、証が欲しいです…。」

「証…?」

上目遣いでこちらを見つめる椿の目には、情欲と期待の炎が渦巻いている気がした。

「はい…、椿が、ご主人様のモノだという証です。
 椿が、ご主人様を守り、愛し、気持ちよくするご主人様専用のモノだっていう証…♥」
 
思わず生唾を飲み込む。
椿全体から発せられる尋常でない色香で頭の奥が麻痺してくるような感覚。

「椿は、もう、ご主人様の傍を離れられません。
 だから、離れる必要も、そんな心配も無用だって、椿の奥の方に深く深ぁく刻んで欲しいんです…。」
 
言いながら、椿は股をゆっくりと俺の脚にこすりつける。
椿の言う、「奥の方」が一体何を示すのか、否応なく意識してしまう。

「ご主人様ぁ。あなたの椿のお願い、聞いていただけませんか?
 
 ご主人様の手で、椿を、完全に支配してぇっ…♥」
 
ぷつり。
頭の奥で、何かが切れる。

「こ、の、エロ傘め…っ!」

辛抱堪らず、俺は椿を押し倒した。
布団よりも柔らかい感触の何かに椿がもたれかかる。
見ると、それは帯状の形をしていて、上を覆う傘から垂れ下がってきている。
粘液にまみれた赤い肉厚の帯。まるで舌のようだ。
普段なら、恐怖を感じてもおかしくない光景だが、生憎今の俺の意識は椿でいっぱいだった。

「ぁんっ!」

短く甲高く声を上げる椿の体に手を這わせる。
柔らかく、絹のような肌にますます興奮が高まる。
女性経験のない俺の拙い愛撫でも、椿は体を揺らして快楽を得てくれている。
遮二無二、彼女の控えめの乳房の先端を口に含むと、椿の身体がビクリと痙攣した。

「あぁ、ご主人様ぁっ!もっとぉ、椿のおっぱい使ってぇ♥」

身体をよじらせながら、更に激しい愛撫を求める椿。
言われるまでもない。
強く吸い付き、舌で小粒の乳首をコリコリと転がす。

「んっ♥ふぁあっ、あんっ♥えへへ、ご主人様、赤ちゃんみたいで可愛いです…♥」

熱っぽく椿が呟く。
なにやら余裕のある態度に、征服欲とでもいうべき昏い感情が沸き立つ。
この余裕を消して、俺のなすがままに椿を啼かせたい。
椿を俺の手で快楽に塗りつぶし、もっと蕩けた顔をさせたい。
椿が、もう俺の事以外考えられなくなるまで、ドロドロに堕としてしまいたい。
椿を、俺だけの女に…

浅ましい情欲に抗う事もせず、口に含んだ乳首を甘噛みする。
自分の女だという印を刻むように、歯を立てた。

「きゃんっ♥んあっ!ち、くびぃっ、もっと強く噛んでえっ!椿に、ご主人様の跡つけてぇっ!」

多少痛みを感じてもおかしくない強さで噛むが、それすらも椿には強烈な快感に変換されているようだ。
椿の体の痙攣は徐々に激しくなり、腰がかくかくともどかしげに動いている。
椿の要求に応えるべく更に歯を食い込ませると、椿が甲高く啼いた。

「んひぃっ!あぁっ…!椿のおっぱい、ご主人様のモノにされてますぅ…♥」

椿の反応に、自分の獣じみた欲望が抑えきれなくなってくる。
息が荒くなっているのが自分でも分かる。
椿の乳房から口を離し、指で乳首を転がしながら彼女の体のあちこちに口づけをする。
首筋、鎖骨、肩、へその周り、順番にじっくりと吸い付き、赤い印を彼女の体に刻んでいった。
唇越しに感じる椿の体温と柔らかさが心地いい。
一点の染みもなく、陶器のようになめらかだった椿の体に自分の付けた模様が浮かぶのを見ると、更に興奮が高まっていく。

「ご主人様ぁ、お口にも、ちゅぅしてください…♥」

だっこをねだる子供のように、手を伸ばして口づけを請う椿。
誘われるままに、彼女の唇を塞ぎ、そのまま舌を椿の口内に捻じ込んでいく。
口の中の形を確かめるように、舌を動かすと、椿の唾液が甘く舌の上を踊る。
すると、彼女の舌が誘うように俺の舌をつついてきた。

「ちゅっ…、れろぉ、んぅっ♥」

水音の合間合間に混ざる椿の喘ぎ声にたまらなくなり、やや強引に舌を絡める。

「んっ!?はむっ…じゅる、んぁ♥あはぁっ…♥」

お互いの舌が複雑に絡み合う。
熱い舌が溶け合い、一つの熱の塊になったかのような錯覚。
椿は俺の頭をかき抱くようにして、愛おしげに腕を回してきた。
もっと深く、もっと激しく。
そんな椿のねだる声が聞こえてきたような気がして、更に激しく舌を動かす。

「んふぅっ、じゅるる、ちゅぅ、んっ、はぁっ…れろ…」

呼吸も忘れて、椿の口の中を犯し続ける。
自分の味を、舌の感触を覚えこませるように彼女の口内を執拗に責めた。
徐々に椿の体から力が抜けていくのが分かる。
さすがに酸素が足りなくなってきた。
名残惜しいが舌を解き唇を離すと、蕩けきった顔でこちらを見つめる椿と目があった。

「あぁ…んぅ、ご主人様ぁ…」

やや虚ろな目、唇の端から垂れる涎を拭こうともしない。
茫然自失といった体の椿だが、その目に浮かぶのは燃えるような情欲と期待。
身体は完全に力を失って、傘から伸びる舌に預けられている。
脱力して大きく開かれた脚がひくひくと揺れる。

もう、言葉を交わす必要もない。
椿が俺に何を求めているのか、その目をみればすぐに分かる。
汗で体に張り付く椿の前掛けをめくると、今までかろうじてかくれていた彼女の秘所が露わになった。
もう、汗なのか愛液なのか判断がつかないほどしとどに濡れそぼっている。
誘うように、入り口がぱくぱくと開閉しているのが見えた。

「っ…♥」

一瞬、椿の体がこわばるが、すぐに力が抜ける。
快楽に期待するように、彼女の体が震える。
すでに、経験がないほど怒張している自分の分身を入り口にあてがう。

「椿…」

特に何を言うわけでもなく、彼女の名前を呼ぶ。
我ながら余裕のない声音がなんとも頼りない。
しかし、椿はそれを聞いて薄く微笑むと、更に大きく脚を開いた。

「はい…♥お願いします。椿を使ってぇ…ご主人様…♥」

椿のすがるような言葉に後押しされるように、腰を前に動かす。
剛直が、椿の入り口を押し開けて、埋もれていく。

「うぁっ!くぅ…♥あんっ…!」

「ぐうっ…!」

熱い。
下半身が溶かされるような熱。
最初は少し抵抗を感じたものの、後は飲み込まれるように椿の奥へ奥へと進んでいく。
挿れているだけで絞りとられるような快感。
必死で耐えながら、ようやく最奥へとたどり着いた。

「あぁ…、ご主人様のが、入ってるぅ…♥
 ん…、ご主人様ぁ、椿のナカ、気持ちいいですか?椿、ご主人様を気持ちよく出来ていますか…?」

恍惚としながらも、心配そうに尋ねてくる椿。
自分も余裕はないだろうに、それでも俺の事を気にかけてくる椿の健気さが嬉しい。
目の前の彼女に対する愛おしさは膨らむばかりだ。

「ぐぅ…、おう、椿。めちゃくちゃに気持ちいいぞ…。もう、今にも出そうだ。
 やっぱり、お前は最高の女だ…」

声を震わせながら、なんとか答える。

「っ…!嬉しいっ…!」

椿は満面の笑みを浮かべて喜ぶ。喜びのあまりか、それとも挿入の痛みからか、目じりには涙が浮かんでいた。
その表情の少女的な愛らしさと、淫らな現状の差異が強烈な背徳感となって、背中をゾクゾクと駆け抜ける。

「ご主人様ぁ、いつでも、何回でも、椿のナカに出してぇ…っ!
 んあっ♥椿を、ご主人様で一杯にしてくださいぃ…♥」
 
ねだるように声を上げると、椿の腰がゆるゆると前後に動く。
その動きに釣られるように自分も前後に腰を揺らす。

「んっ!ふあぁ!うぁ♥っくぅ♥あん、ご主人様ぁっ!」

奥を付くたびに、鈴のような声が椿から漏れ、それを聞くたびに内に燃える情欲が高まる。
もっと啼かせたい。もっと乱したい。もっと気持ちよくしてやりたい。
抜こうとすると追いすがるように絡みつく彼女の膣は、一突きごとに確実に快楽をもたらす。

「あぁっ♥もっと、もっと奥にぃ、乱暴に使ってぇ…♥」

「っ…!うぐ…、分かった…!」

女にここまで言わせておいて、なにも出来ないでは男が廃るというものだ。
下腹の辺りにグッと力を込めて、徐々に動きを早く激しくしていく。
強烈な快感に、思わず暴発してしまいそうだったが、意地で耐える。

「んぁああっ♥いっ!いいっ!んはぁっ♥お゛ぁあっ♥ご主人様ぁっ!」

いやらしい水音と椿の喘ぎが重なって、目が眩むほどの興奮が耳から伝わる。
髪を振り乱して快楽を享受する椿が、淫靡でありながらこの上なく美しい。
快感は際限なく高まり、絶頂を予感させるが、構わずに腰をふりたくる。

「あんっ♥ご主人様っ♥んぅ、くぁっ!あはぁ♥」

「うっ…!あぁ…!」

そろそろ限界だ。腰骨のあたりに、耐えがたい熱が集まってくるのが分かる。
すると、突然、椿が下敷きにしていた大きな舌がずるずると動きだす。
腰のあたりに舌が回りこみ、俺と椿を束にまとめるように巻き込んだ。
必然、更に彼女と強く密着することになり、奥深くまで肉棒が入り込む感覚にゾクリと震えた。

「ご主人様ぁ、このまま、一番奥にくださいっ!椿を、完璧に、あなたのモノに…♥」

膣をキュッと締め付け、泣きそうな顔で求めてくる椿。
もはや、躊躇はない。
彼女の最奥に、たっぷりと精を吐き出す事しか考えられなくなる。
椿は、それが俺のモノである証なのだと言っていた。
ならば、迷う必要はない。
椿が、もう二度と、孤独に泣くことのないようにしてやりたい。
もう二度と、捨てられる恐怖に苛まれることのないようにしてやりたい。

「おう…っ!もう一人にはしてやらねぇぞ、覚悟しろ椿…!」

「はいっ!ご主人様っ♥椿は、んっ♥ずっと、ずぅっとご主人様の御傍に居ますっ!」

快楽に翻弄されながらも、力強く椿は答えてくれた。
彼女が言い切るのと同時に、最奥に勢いよく精を放った。

「ぐぅ…!!椿っ!」

「あ♥ご主人様っ、ご主人様っ♥イっ、ひぁっ!ぁぁぁああああぁぁぁあっ♥♥♥」

思考も、視界も白く染まる。
椿の絶叫が、やけに遠く聞こえてくる。
絶対に離さぬように椿を抱きしめつつ、長く長く射精を行う。
腰に巻き付く舌が、ギュッと締まり、身体に椿が埋まりこむのではないかと思うほど、強く体を押し付けあう。

「うぁ…♥まだ、出てるぅ…、あっ♥また、イ、くっ…!」

押し付けられた椿の体が、電流でも流されているように時折ビクビクと激しく痙攣している。
その度に膣に締め付けられて、一滴も残らず搾り取られるような感覚。
今日二度目の射精だというのに、一体どこに溜め込んでいたのか不思議な量の射精だった。

「ぐ、あぁ、ふぅ…」

「んぅ…♥あぁ…♥」

性も根も尽き果てるとはまさにこの事か。
お互いに息を切らしながら、ピクリとも動けない。
すでに舌による拘束は緩んでいるが、この密着した状態が二人のあるべき距離のように思えて、離れる気にはならなかった。

「ご主人様ぁ…大好きぃ…♥椿は、ずっと、ご主人様の傍に…」

うわ言のように椿が呟く。

「あぁ…、明日からも、よろしくな。椿……。」

今にも、眠りに落ちそうな意識をなんとか保ち、言葉を発する。

「はいっ…!」

嬉しそうに答える椿の声が聞こえた気がしたが、間もなく意識は深い眠りに落ちていった。


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翌日。
目を覚ますと、椿は俺の腕を枕にするようにして眠っていた。
昨日の事は夢だったのではと、起きた時は一瞬不安になったが、幸せそうに寝息をたてる椿を見て胸を撫で下ろした。
時計を確認すると、普段起きる時間通りに起きていたようだ。
昨日、あれだけ体力を使ったというのに、習慣という奴はなかなか抜けないものだ。

今日は仕事が入っている。
椿を揺り起し、仕事の支度をする。
寝ぼけ眼だった椿も、ようやく覚醒したようで、甲斐甲斐しく支度の世話をしてくれた。

いざ、後は家を出て仕事先に向かうだけになった時、椿は複雑そうな表情で外を見ていた。
今日は珍しく太陽が顔を出している。風の流れも穏やかで雨の降る気配はない。
本来ならば、傘を持ち歩くような空模様ではなかった。

「…椿、ほら、早く行くぞ。」

「…え?ですけど、今日は雨が…」

「言ったろう。お前を一人にはせん。晴れの日に傘を持ち歩いては駄目な道理もないだろう?」

「…えへへ、やっぱりご主人様は優しいですっ!」

そう言って、太陽のように笑うと、椿は本来の傘の姿に戻る。
自由に形態を変えられるらしい。実に便利な身体である。



『それにしても、ご主人様は本当に仕事人間ですねぇ。今日くらいは椿とずっと二人きりで一緒に居てくれてもいいのにー。』

少し拗ねるような椿の声が聞こえる。
今は傘の形をしているが、この状態でも話は問題なく出来るようだ。
別に、人の姿になって一緒に歩いてくれてもいいのだが、傘の姿の自分を使ってもらうことを椿も望んでいるのだろう。
今は、日傘代わりに彼女を差して歩いている。

「仕事ってのは信用が第一なんだよ。それに…」

『え?』

「…これからは、二人分の生活を支えていかなければならんだろう。
 惚れた女を食わせる甲斐性もない男にはなりたくない。」
 
『…!えへ、えへへへぇ♥もう、ご主人様ったらぁ…』

こころなしか、元から赤い傘に、更に赤みがかかったような気がする。


人影は一人しか見えないだろうが、俺たちはこの傘の下、寄り添いながら歩いている。
俺たちにしか分からないこの赤い相合傘が、なにやらとても自慢げに思えてきて、
普段よりずいぶんゆっくりと仕事場に向かうのだった。


15/07/11 08:12更新 / 毛屋

■作者メッセージ
読んでいただきありがとうございました。
いかがだったでしょうか。

今回、書きだした当初のテーマは
『さっぱりあっさりただし糖度は100%』
だったのですが、書いているうちにえっちいシーンの容量が増える増える。
『日常はそこそこに、全力で唐傘ちゃんをエロエロする』
というテーマに変遷していったという経緯があります。
仕方ないよね。見れば見るほど唐傘ちゃんが性的な格好をしていたのでリビドーがとまらなかったの。

非常に色濃く毛屋の趣味性癖がでてしまったので、皆様のお口に合うか心配ですが、お楽しみいただけたら何よりです。
いつも通り、皆さんの感想・助言・お叱りその他なんでもお待ちしております。

※ついったーはじめました。
製作状況等も時々呟いてますので興味ある方はお気軽にどうぞ
@keyamonpic
「毛屋」で検索検索ゥ!

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