連載小説
[TOP][目次]
お節介
敷井さんとちょっとした揉め事があってから数日後にやっと俺は家に帰ってこれた。
会社では、この忙しさに耐えきれず上司や同期が次々に辞めていき、残っている者が何とか仕事を回してる状態だ。パワハラもひどいし、残っている者も最早時間の問題かもしれない。

早く荷造りしてここを去ろう・・・せめて迷惑かけない所で・・・

玄関で靴を脱ぎリビングに入ろうとドアを開けたその時、真っ暗だった為誰だか分からないが人影が見えた。その人影が誰か確認する間もなく敏速に俺に接近し、顔に何か柔らかいものを押し付けてきた。
すると突然何故だか分からないが睡魔が襲ってきた。俺はその謎に心地良い睡魔に抗うことが出来ずに眠ってしまった。









数日前

過波さんが私の部屋から出て行った後、どうしたら彼を救えたのか必死になって考えました。好きな人一人も満足に救えないのがとても残念で残念でたまりませんでした。どんな言葉を掛けたら良かったのか、どう接すれば良かったのか、そんな事が頭の中をぐるぐるします。
・・・・でも諦めようとは微塵も思いません。むしろ助けたいという思いが胸の中でふつふつと込み上げてきます。
なんたって私の旦那様になる人ですからね。

どんな手を使ってでも救ってあげますからね。







早速私は旦那様を救う手立てを考えます。まず彼が働いている場所を特定する所からですが、これは簡単に見つかりました。実は彼が出ていく前、咄嗟に母から教えてもらった追跡魔法を掛けましたので簡単に特定する事が出来ました。これほど母に感謝したのは初めてです。
次に旦那様が務めている会社の評判。これもインターネット、SNSを使えばすぐに分かりました。思った通りの評判で思わず我を忘れて殴り込みに行きそうになりました。
次は、旦那様がどういう風に働いてるかが気になるので彼の会社に盗聴器を仕掛けたいのですがどうすればいいでしょうか・・・私が直接行ってもいいのですが、私の容姿だとかなり目立つので難しいですね。



何とか仕掛けることが出来ました!
旦那様の持ち場を何とか調べて、私の友人や伝手に協力をして貰い、やっとの思いで仕掛けることが出来ました。本当は私一人でやりたかったのですが、仕事場に潜入するとなるとちょっと無理がありました。ですが得るものが大きいので良しとします。ついでに友人達も、好みの人が見つかったらしいので良かったです。

次に、彼の部屋を調べてみます。
ピッキングと魔法どちらも出来るので、いとも簡単に侵入することが出来ました。
部屋の中は如何にも{独身男性が住んでいる部屋}と分かるように脱ぎっぱなしの服や片付いていない机やらで散らかってました。でもそんなところがまた可愛いんですけどね。

しかしここで旦那様が住んでるのかと思うと、とてもドキドキします。匂いも旦那様の匂いで部屋が満たされており、つい厭らしい気持ちになっちゃいましたが、今は我慢して、色々物色します。
やはり最初に気になるのは本棚。一人暮らしのはずなのでそういう本も隠さずに置いてあると思い、探してみると・・・・ありました!
でもこの本は今後の参考にして私が処分しておきます。意外な性癖を持っていたので今後の楽しみにしておきます。
次にPC。電源を付けてみるとロックはされておらず簡単にSNS、検索履歴などが見ることができました。
SNSの方は後で私のも追加しておいて、会話の履歴、タイムラインを覗いて友人の交友関係、普段どんな事をやっているのかetc...など探せば探すほど有益な情報が出てきます。

そうこうしているうちに時間はあっと言う間に経って、午前0時。私の魔法で旦那様は今現在どこにいるか分かるので、今日は帰ってくる気配はありませんでした。早く戻ってきてください。
せっかくなので旦那様のお布団を借していただいて明日に備えて寝ようと思いましたが、洗濯籠の中にまだ洗濯していないであろう下着が見つかったのを思い出して、それを使って旦那様のお布団に包まりながら自慰に更けることにしました。






朝になりました。
今日も旦那様は帰ってくる気配はありませんので、今日は先日仕掛けた盗聴器を一日を通して聞きこうと思います。

あ、そうそうバイトはしばらくの間お休みさせて頂いてます。一刻も早く旦那様をお助けするためにバイトなんかやってられません。

ということなのでこの部屋をお片付けをしながら旦那様の仕事の様子をチェックします。







事態は思ったより深刻な状況でした。
今の旦那様の状況は、あまりの忙しさに人は辞めていき、更に上司までもが辞めてしまいました。そこで代わりに新しく来た上司がなんと体育会系。更に更にあろうことか私の大事な旦那様にパワハラ行為をしたのです。許せません。しかもそのパワハラは旦那様に集中するかのように続けます。
腸が煮えくり返るような気持ちです。上司をどうやって復讐しようか考えてると、旦那様のふとした独り言が耳に入る。

もう、やめてやる

と聞こえました。
すると私は嫌な予感が過ります。これは会社を辞めるという意味ではないのではと私は思いました。考えすぎと思うかもしれませんが、今の一言は完全に違う意味だと私は確信します。
もしかして旦那様は命を捨てるつもりかもしれない。しかし確証が持てないので、何とも言えません。もし危ない行動に出ようものなら死んでも旦那様を助けよう。
私はなるべく旦那様の近くにいるために外に出るため準備しようとした時

一旦帰って荷造りなきゃな

という独り言が聞こえました。その言葉に私はホッとする。
良かった!旦那様は確実に一旦家に帰ってくる!
私は旦那様がいつ帰ってきてもいいように早速支度をする。
しかし私は思いました。当然、旦那様にパワハラした上司はとてつもなく憎いのですが、旦那様も私という者がありながら相談さえもしようとしませんでした。そのことが少し許せなかったので、ちょっとしたお仕置きを受けてもらうことにしました。
早速私は急いで旦那様をお迎えする準備とお仕置きをする準備をすることにしました。








準備を終え、いつでも旦那様を迎えられるようにしました。幸いにも旦那様は今日帰ってくるので入念に作戦を確認します。
作戦はいたって簡単です。まず旦那様が部屋に入ってきます。そしたら隙をついてこの手に取っているワーシープのクッション(小さめ)を顔に押し当てます。するとワーシープの魔力で疲れ切っている旦那様はたちまち寝てしまいます。
本当は他の女の体毛なんかに頼りたくなかったのですが、旦那様の安全を鑑みるとこの方法しかなかったのでとても心苦しいです。仕方ないので使った後は捨てることにして二度と使わない日を願うことにしました。
そして私の部屋に連れて行き、旦那様がまた逃げないよう拘束をした後、お仕置きを実行します。

あぁ、楽しみです。とうとう旦那様が私と結ばれる日が来たのかと思うとぞくぞくします。
可愛そうな旦那様。早く来てくださいね。
私が今助けてあげますから。







現在

旦那様は四肢が無い状態で私のベッドで寝ております。四肢が無い状態と言っても実際に切断した訳でもなく腕や足の付け根に嵌めてある金具の能力でそういう風に見えるだけです。四肢は別の次元にちゃんとあるそうです。仕組みなどは一切分かりませんが、これなら手錠で拘束するよりこちらの方が安全ですのでこちらを使用させて頂きました。取り外しも簡単でロックを解除して外す仕組みなので更に安全に使用できます。普段は拷問とかに使われるので一般販売などはしてないのですが、伝手から何とか譲って頂くことが出来ました。

あぁ、手足が無くて小っちゃくなった旦那様もとっても可愛らしいです。今の状態なら私がお食事の世話から下の世話までしないといけませんよね?私が居ないと生きていけませんよね?あぁなんて愛らしいのでしょうか。この状態で甘えられたりでもされたら私悶え死んじゃいますね。
この安らかな寝顔も写真を撮っておかなくちゃいけませんね。
今この状態で目を覚ましたらどんな表情をするのでしょうか。泣くのか怒るのかそれとも怯えた表情するのか、どんな表情も見てみたいです。きっとどんな表情も可愛いに決まってますね!
早く目を覚まさないかな?じゃないとこのままでも・・・襲っちゃいますからね?
19/07/25 23:07更新 / kamina
戻る 次へ

■作者メッセージ
失踪する人の気持ちがよく分かる
次で完結します

TOP | 感想 | RSS | メール登録

まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.33