連載小説
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二人の時間〈淫〉
「ふぅ〜気持ちいいですね〜」
「あぁ、やっぱり朝風呂は悦の極みだなぁ♪」
そう言って猿梨の果汁酒をグイッと煽る女。
そうですねぇと同調の意を表しつつ同じ酒をちびっと飲む男。
ジパングのとある山。まだ薄暗い時間。天然の温泉に入る男女が二人。阿麓井 蒐(あろくい あつ)と黔 津鶴葉(くろ つずは)の夫婦である。
ここは“めおとや”の裏手にある温泉だ。ここに料理屋が建っているのはこの温泉が津鶴葉のお気に入りであったことが大きいのだ。
今日は月に一回の朝風呂の日となる。
なぜ月に一回かと言えば、山の麓にある小さな寺の坊主と尼の計6人ほどが月に一回山登りの修行をするのである。その時の飯を朝晩と食べるのが“夫婦屋”を利用するのだ。
通常の客入りに加えるといつもより忙しくなる日である。
と、言う理由でその次の日は店を閉めている。その日は二人きりを楽しむ日としているのだ。
そして、その日は朝風呂で朝日を臨むのが一番の楽しみだっだ。


「それにしても、静かだねぇ」
「そうですね。」
冬も近く、動物達も朝寒によって顔を見せないのであろうか。
あたり一面動く物は何も言ない。
「と言うことで、津鶴葉さん!」
少し離れていたところで浸かっていた蒐はバシャバシャとお湯をかき分けて津鶴葉の方へ向かう。
「ん〜?なんだい?坊や?」
この口調は津鶴葉のヤる気がある口調だ。
「よ、良かったら、また後ろから癒してくれませんか…?」
岩に掛けている津鶴葉の手に、自分の三倍以上ある手に自分の火照った手を重ねて蒐が尋ねる。
「ちゃんと言ってみな♪姉上が叶えてやるかもしれないぞ♪」
ぎゅっと手を握り、もう片方の手で蒐の頬をさする津鶴葉。何を言っても受け入れてくれる。そんな意思表示につい甘えてしまう蒐。
「僕を…幸せにして下さい!」
蒐は、まるで撫でることを催促する猫のごとく、津鶴葉の手に頬を擦り付け懇願する。
「よし、来た。ほら、おいでな♪」
津鶴葉がバッと手を広げる。蒐はそこに背を向けて寄りかかる。
蒐の後ろ頭には津鶴葉の乳房がちょうど枕代わりになり、津鶴葉は腕を蒐の顔の横から通し、後ろから抱く形になっている。
「津鶴葉さぁん。津鶴葉さぁん」
懸命に津鶴葉を呼びつつ、愛妻の腕に頬を擦り付けている。
「ご機嫌だな♪」
普段の蒐は常識を持った、至って普通の青年である。
しかし、風呂に入れば話は違う。この温泉の源泉近くには化け学者のアオオニが住んでおり、開発中の媚薬を垂れ流しているのだ。
つまり、媚薬温泉となっている。加えて、さして酒が強くない蒐は既に耐えられない所まで“酔い”が回ってきてしまっている。
「全く、愛おしい旦那だなぁ」
よしよし頭を撫でる津鶴葉。
ちなみに、津鶴葉、ウシオニは血液自体に魔力がとけ込んでおり言ってしまえば年中淫行しか考えていないため効果は薄い。
と、言うよりも日頃と大差ないと言うことである。
「こんなにガチガチじゃないか♪」
「うわぁ、いけません!津鶴葉さぁん!」
股間部を嫁にいじられ、目をとろけさせる旦那。
「いけない?そうかぁ。なら、やめるしかないなぁ」
残念そうに、しかしニヤツきながら、蒐の陰茎から手を離す。蒐は少し泣き目になりながら訴えかける。
「何で、やめちゃうんですか?」
「いやいや、蒐が止めろと…」
その瞬間、蒐が勢いよく立ち上がる。
「咥えて下さい!」
「お前…支離滅裂になってないか?」
普段なら絶対にしない言動をしているところを見ると、相当に酔っているようだ。
「ほぅ、それで、これが酒のつまみか?ん?」
津鶴葉はゆっくりと撫で回す。
「そ、そうです!だから、早く!お願いします!」
「まぁ、待て待て。慌てるな♪」
一瞬の間。津鶴葉はその一瞬で蒐の両手を蜘蛛の糸でグルグルと縛り上げた。
「!?」
「そしてぇ♪」
蒐が驚いてることには気を掛けず次の動き。
「ま、待ってくだ」
「この嫁を誘っておいて待ったは無しだぞ!な、旦那様♪」
意地の悪い笑みを浮かべる津鶴葉。
「さーてと、じゃあ触ってやろうかなぁ」
先割を人差し指でツンツンと叩き、撫でる。
「あぁ、あ。んぁ」
既に言葉を話していない蒐。
「そんな情けない声出して…これは止めるわけにはいかないな♪」
そう言って手のひらで亀頭をぐりぐり擦る。
「んぁ!気持ちいぃ」
切ない声を出す蒐。さらに責め立てる津鶴葉。
「そーいや、これを食べろって言ってたよなぁ」
ニヤァと笑う。
ぞっとする、妖艶な笑顔。
蒐も腰を震わせる。
「それじゃ、いただきまぁ、はぁむ」
「んぁぁあ!」
ジュルジュチュパ。淫猥な音が津鶴葉の口元から響く。
「んぁ、旨いじゃないか♪最高のつまみだな」
そう言いつつ酒を飲む。そして、咥える。これらを繰り返す。
蒐の陰茎に津鶴葉の口を通じて酒が染み込む。
粘膜に直接摂取により酔いは一段と回ることになる。
「津鶴葉しゃん、なんか目が回りますよぉ」
所々呂律が回っていない。
「もう、我慢できませぇん。出させて下さい!」
ここで追い打ちを掛ける津鶴葉。
「んじゃあ、一回出しとくか?」
拳を上下に動かす素振りをする。
「あぁ!出したい!出させて下さい!津鶴葉!」
呼び捨てになっている。相当必死なのであろう。
「そうか、出したいのか?」
上目遣いで蒐を見上げ問いかける津鶴葉。
「はいぃ、お願いしますぅ」
少し考える動きをして満面の笑みで津鶴葉は告げる。
「まだまだだなぁ♪」
亀頭を擦ると同時に陰茎をしごき出す。
「うわぁ、駄目駄目駄目!出る!出ちゃいます!」
ぐっと上り詰める射精感。
そして
「出るっ!」
ビクンビクン。蒐の体が思い切り震える。
しかし、その瞬間津鶴葉は陰嚢の上を軽めに押さえる。
「だ、出せないぃ」
「まだ、おねだりを聞いてないしなぁ♪」
尚も片方の手でしごき続ける。
「待って!待って!僕のおかしくなるぅ」
「ほぉら、早く行わないとだぞぉ」
チュッ。そう言って蒐の唇を塞ぐ津鶴葉。
蒐をとことん責めている。
「んぁ、むちゅ、れる…ふぁ」
「ん〜、可愛いなぁ♪」
もう何がどうなっているか、完全に意識が飛びかけている蒐には分からない。それを無視して、また津鶴葉は接吻を始める。
二人の唾液が混ざる音が静かな森に響く。
「ぷはぁ、つ、津鶴葉さぁん」
泣いていた。
「ど、どうして、そんなに、意地悪するんですかぁ?」
「あーあ、泣かせちまった」
少し罰が悪いように頭をかく。流石に少し反省をしたのか、慰めに入る。
「蒐。私は、私はさ。愛する旦那に私の一番淫らなところでイって欲しかったんだよ。分かるだろ?」
蒐を抱き寄せ、背中をさすりながら言い聞かせる。ついでに手を縛っていた蜘蛛の糸をとく。
「…イきたいです。」
「どこで?」
妖艶な笑みの津鶴葉。蒐は堰切ったように早口で言う。
「津鶴葉さんの中です!お願いします!」
ぎゅっと津鶴葉に抱きつく。
「承知しましたよ♪」
ズルッ。不意打ちの挿入。
「んぁぁぁあ!!」
「うわっ、ガチガチじゃないか。」
津鶴葉の膣にピッタリハマり、グニグニと動く。
そんな感覚が蒐に腰を動かさせる。
「津鶴葉さぁん。津鶴葉さぁん」
「んぁ、はぁ、くぅ、良いぞ、気持ちいいぞ、蒐。愛してくれ♪あたしを愛してくれ♪」
お湯の中で立ったまま、対面で抱き合っている二人。
蒐は愛妻ににキツく抱きつき必死に腰を振っている。
津鶴葉も愛する旦那が何も考えず、自分を愛している姿を見て幸せを感じている。
「はぁはぁ、出ま、うっ、出ます!津鶴葉さぁん!中で?良いですか?中、で?」
息も切れ切れに問いかける。
「あたしが中以外許すと思うかい?んぅ、今のとこ、良いな♪ほら、出しちまいな♪奥の奥にな♪」
津鶴葉も蒐をグッと抱き寄せる。
「出る!」
ビュク、ビュルビュル、ドクドク。
「あぁ、熱いなぁ!頑張ったな♪」
蒐の頭をよしよし撫で、グッと抱きしめる強さを強める。
「はぁ、津鶴葉さん。す、すみません。また、我が儘を言いました。」
シュンと落ち感でいる蒐。
なぁにが我が儘だ!と笑う津鶴葉。
「良いんだよ。蒐があたしを愛し、あたしが蒐を愛する。ほかに何かいるか?ん?これで良いじゃねぇか♪」
そう言って口づける。 
「んちゅ、んはぁ。愛してます。津鶴葉、愛してます!」
「あたしもだよ♪おっ、朝日だ。」
周りを完全に失念していた二人に朝の日差しが降り注ぐ。
「あったかいです。」
「それはあたしがか?それとも朝日か?」
「もちろん…」
顔を赤らめて、しかし津鶴葉の目を見ながら蒐は言う。
「津鶴葉さんです。」
また甘えるように抱きしめる。
津鶴葉も羞恥に頬を赤らめる。そして、それを誤魔化すかの如く言う。
「さ〜てと!それなら…」
また妖艶な笑みを浮かべ、蒐の股間に手を伸ばす。
「まっ、待って下さい!んぷっ!」
また口を塞がれる。
チュパレロレロンチュ。
「チュパ。ふふっ、待ったは無し、言ったろ♪」
まだ、1日は始まったばかり。
幸せをかみしめる二人であった。
16/10/16 01:10更新 / J DER
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■作者メッセージ
風邪気味の中、書きました。
何故?と聞かれたら答えはこうです。

「辛いときの現実逃避が作品になってます!」


さして面白くは無かったかもしれません。
それでもここまで読んで下さった皆様ありがとうございます。
正直本当に僕の願望でしかありません。
少しウシオニとしては優しい感じになってしまったかもしれませんがご了承下さい。


それでは最後に皆様の余暇のお供に成れるとこを願いましてー。

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