連載小説
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今回は俺の回想が長いです。だが私は謝らない
前回のあらすじ


町を見てこれからの生活に興奮→ミリアちゃんの家に行きお母さんに会いました→案外重要な問答を軽くする→これからしばらくお世話になります







「って事で、しばらくお世話になります。何かお手伝いできる事があったら、なんでも言ってください。」
ミリアちゃんと、お母さんに頭を軽く下げる。

頭なでてから二階の部屋に案内され、少しシャワーを借りてさっぱりし、恐らくお父さんの服だろう衣服を借りて着た俺はキッチンに行き、夕食の準備をしてた二人に改めて言う。
(それにしてもこの服、今まで着たこと無い手触りだな・・・俺の格好も変って言ってたしやっぱ繊維とかも違うんかなぁ・・・)
「――というか、準備俺も手伝います。」
迂闊、目の前に手伝える事があったのに『手伝える事があったら』なんてうっかり発言をしてしまった・・・いい加減、考えながら会話しようとするのやめよう。

言った直後、帰って来る返事にびくびくしたら
「あら、お客様に手伝わせるわけには行かないわ。」
「お兄さんはお客さんですから、座って待っててください。」
二人とも、嫌みの一つも言わずに言葉をすぐに返してくれた。
(二人とも心が広いんだな)
そう思わずにはいられなかった。見ず知らずの俺に食べ物タダでくれたり、ワケの分からないワケありな人間を泊めてくれたり・・・やっぱり、自分にすることが来るのを待つんじゃなくて、自分から積極的に行かなくちゃないけないな。
「それじゃ、この食べ終わった食器は俺が片付けます。」
真顔でいったあと、少し笑った顔を作って
「てか、片付けさせてください。お客さんって言っても、泊めさせてもらうのに何もしないとか・・・ちょっと嫌なんで・・・」
(『受けた恩は恩で返すって、俺にとって普通の事にしなくちゃ。』だもんな!)

※こっから長い回想行きだったんで、メッセージ行き。

「あら、そう・・・それじゃ、頼もうかしら。」
お母さんも笑ってくれた。



「「「頂きます。」」」

夕食のメニューは意外だった。てっきり、パンやスープ、ステーキなんて感じの、テレビ番組で見るような外国の料理が出てくるか。それとも、異世界らしくまったくしらない未知の料理が出てくるか。なんて思って、夕食の席に着いて見たメニューは、白米・野菜サラダ・みそ汁・唐揚げだった。いやほんと意外だった。想像とは変わって普通だったので、食事中の会話は自分から切り出せた。
「へぇ、俺の居たところとあまり変わらない料理なんですね。」
「ちょっと変わってたほうがよかった?」
「いえ・・・ちょっと意外だなって思って。あ、唐揚げおいしい。」
「サラダはどうですか?」
「もちろんおいしいよ。」
「よかったです・・・」
「そのサラダね、ミリアが庭で作ったお野菜なのよ。それも、自分で包丁使って切って。剣二君もてるわね。」
「お、お母さん、その言い方恥ずかしいよ・・・」
(シュワット!何を言ってんだこの人は、嬉しいけど俺も恥ずいから会話ずらそう・・・)
「そうだったら良いんですけどね・・・っつか、この野菜全部庭のなんですか、6種類くらいありますよね・・・」
「まだまだいっぱいあるんですよ、後で一緒にお庭見ません・・・?」
「おー、それじゃミリアちゃんの都合の良いときに見せてもらおうかな。」
「はい、明日学校終わったら一緒に見ましょう!」
元気な子供はやっぱいいな、見てるだけで釣られて頬があがってしまう。
「そういえば剣二君、学校はどうしてたの?」
「学校は・・・・・・」
高校二年生で留年したから17だけど
「高校二年です。」
「コウコウ?」
「えっと、小・中・高学校と、三種類あって・・・ってここまで言ってなんですけど、話長くなるんで食べ終わったらにします。あ、でも年は17歳です。」
「そう、おもしろそうな話がまた増えたわね。それにしても、17かぁ・・・ジュルリ」
ん、この人飯食ってんのに舌なめずりした?
「お、お母さん、だめだよそういうの。お兄さん困った顔してるよ・・・」
そう言ってこっち見るミリアちゃんは、とてもとても頼もしい味方に見えた。
「お兄さんは私と・・・」
いかん・・・いかん!危ない危ない危ない・・・
黙々と飯食ってるけど、ポーカーフェイスも楽じゃないんだよね・・・
「ズズズズ――ゴクン、ゲフッ、ご馳走様でした。おいしかったです。」
ミリアちゃんが変な発言したもんだから、残り少ないみそ汁を飲み干すようにして飲んでしまった。おかげ様で、嫌いなキノコよけてたのいに、噛まずに胃の中に入れてしまった・・・吐きそう。でも、芋がめっちゃ美味しかったからノーカンでいっか。

自分の食べた食器をひとまとめにして、キッチンの流しに持って行く。
(流石に魔法が使える世界でも、食器を洗う魔法とかは無いのかな)
食器入れの隣に置いてあったスポンジと、見たことの無い洗剤を見て、心の中で呟いて苦笑する。
「何笑ってるのだ?」
横で口の中の食べ物をもぐもぐさせたままの声がする
「いや、だっt」
・・・・・・いやいやいや、この話し方と声聞いたこと無いんだけど。ミリアちゃんよりは大人びて、お母さんより少し子供っぽい感じ?
それに気づいた俺は、止まった体を横に少し向かせ、俺の知らないであろう誰かに聞く。
「・・・誰?」
「私か?私は――」
その姿を見て俺は驚き、興奮する。
(ほ、本物の鎧と剣?!うわうわ凄い、こんな身近で見たの初めてだし!ここに来るまでに、いくつか露店のは見たけど、近づきにくかったから遠くで見て通り過ぎるくらいだったからなぁ。しかも背中のマントが渋い!それにしても、材料何で作ったのかな?こっちにしか無い鉱石とかなのかな?でもやっぱ、こっちの女の人達って露出多いような・・・)
「――おい、聞いているのか?」
食べ物のもぐもぐ音が、なくなった声が聞こえた。
「あ、す、すいませんでした、全然聞いて無かったです・・・もう一回お願いします。」
「まぁ、そこまで言うならもう一度・・・」
この台詞は女の子のお約束なのかな、そこまでってほどでも無いのに。

「私はデュラハンのルシールだ。お前の話は、大体聞かせてもらったぞ。」
「ど、どうも・・・てか話って、いつの間に聞いてたんすか・・・」
見た目と話し方からして20前後・・・いや、それで判断するのって無理あるのかも・・・ここ違う世界だから、少し見方を変えないといけないな・・・まぁ、初対面だし、無難に敬語でいっか。
「てか、デュラハンってなんかかっこいい響きですね、鎧も似合ってるし。」
(シュワット、またやっちゃった、まだ質問に答えてもらって無いのに、一方的にこっちからの意見を素直にそう伝える。答えようとしたところは見えなかったけど、もしかしたら考えてる途中だったかもしれないし・・・機嫌損ねないかな。)
なんてのは要らぬ心配だった訳で
「フッ」
っと静かに笑い、ルシールさんは「そうだろうそうだろう」と言って満足げに首を縦に振った。
「ちょっとルシール、首取れちゃうわよ。」
今度は、聞き覚えのあるお母さんの声がした。
「・・・首が取れる・・・んですか?しかもまたって・・・」
「おぉ、そうだった、しかし心配は要らん。取れたって何の問題も無い。それに、取ろうと思わかなければ、そう簡単には取れん。」
「そう簡単にはって・・・じゃあ頭引っ張ったら取れるんですか?」
「いや、私が・・・なんて言うべきか、首を『取ろう』と思わなければ、重力に逆らっても取れん。逆に、『取ろう』と思えば重力に逆らったり、力を入れれば簡単に取れる。」
「へぇ、自分の意志で取れるか取れないかできるんですか、便利のようなそうで無いような・・・」
首なんて取ってそれでも生きてられるのか、やっぱり異世界は凄いな!んでも、デュラハンってゲームで聞いた事あるんだよなぁ・・・某RPGでは、甲冑を着た騎士だけど、女の人じゃなかったし、何より種族じゃなくて名前ばっかりだったし、でも格好いい事には代わりなかったけどなぁ・・・

「・・・お兄さん、食器置けません・・・」
「あ、ごめんごめん。」
若干悲しそうな声が聞こえた。
いつの間にか、後ろに来てた食器を持ったミリアちゃんに気づかないで、思わずデュラハンさんと少し話し込んでしまった。まぁ、初対面だから失礼の無いようにするために当たり前っちゃ当たり前の行為だと思うけども。
「ん、後片付けは俺がするから座ってて良かったのに。」
「自分の食べた食器くらいは、片付けないといけない。ってお父さんとお母さんが言ってました。」
「そっか・・・やっぱ偉いな。」
君はちゃんとした事をした。その事をしっかりと伝える為に、目線をあわせる為に、膝を折って中腰になって食器を受け取る。
「え、偉いですか・・・」
嬉しそうに呟いた。それを聞いて、
「うん。自分のやることが当たり前って思っても、周りから見たら偉いって思えるような事を本当に当たり前って思ってやってるから、だからミリアちゃんは偉い・・・って難しい話になっちゃったかな。」
そういって俺は背筋を伸ばして立ち上がり、ルシールさんに向かって
「それじゃ、俺食器片付けてるんで・・・そういや、この子のお母さんの知り合い・・・みたいなもんなんですか?さっき普通に話してたっぽいですし。」
「まぁ、そうだ。ほい食器。」
そういって、ルシールさんは食べ終わった食器をこっちに渡して来た。
「お前が後片付けをやるんだろう?」
「今の流れで聞くんすか・・・やるんですよ。それじゃ、最初の恩返しはじめっかな。」



11/06/12 06:48更新 / のりゆき
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■作者メッセージ

中3の終わり頃から、多分某特撮のおかげで根付いた、後悔しない方法の一つの思い。

――回想入りました――         (ちょっとシリアル入り)

小2の頃に、北海道から栃木の祖父母の家に、小4の頃に長野に一軒家を買ってと、二回転校してから俺はこう思った。

『友達と別れるの寂しいけど、でも、友達で居たい。』

その時はそう思うだけで終わりだった。調べ方だって分からないし、大人に聞きたくてもその時はすっごい顔見知りだし、親に聞いたらきっと(転校の所為だって思っちゃうんじゃないの)って思っちゃいそうで怖かった。
親は長野に引っ越してから、急に仲が悪くなったと日に日に思うようになった。夜の9時過ぎくらいに寝ようとすると、いっつも下から聞こえる怒った声と、少し涙が入ってる声。そんな声は聞きたくなかったけど、聞こえてしまう。『喧嘩しないで、離婚しないで。』って、恥ずかしいから姉妹に見られないように、お父さんに泣きながら抱きついた事がある。お父さんの顔はとても悲しそうな顔だった。(今はその気持ちが理解できる年だから、思い出したら俺も悲しくなってくる)
だから、親に聞けなかった。
北海道の小学校は楽しかった、栃木も、長野もとっても。でも、あっという間
に時が過ぎて、長野の小学校で卒業式が終わった。

それでそのまま、近所の中学校に行く。
よく見るゼミの描写では、歩いて手提げ鞄持って、幼なじみや友達と・・・なんて感じなんだが、転校の所為か人一倍人見知りで俺から話しかけることなんて全然無くて、しかも自転車通学だったから、誰かと話しながら学校に行き、誰かと話しながら学校から帰る。
なんて事はまったく無かった、無かったわけじゃないけど、帰る途中に友達が声かけてくれたり、部活が終わって自転車置き場に行くまでに友達と遭遇したら「今日の授業めんどくさかったなー」なんて話かけながら、そのまま自然に話しながら帰ったりと、授業が全部終わって教室から・・・部活が終わってから「一緒に帰ろうか!」とか「今日一緒に遊ぼうぜ!」なんて言われる事が滅多に無い。
つまり、自分から知らない誰かにアプローチをかけた事が、数えるくらいしか無い。
そんな事には小学校の終わりから知っていた、でも未だにどうすれば直るかなんて知らなかった。

転機が訪れた、中3の1月になってから新しくなった某特撮の番組が、俺の世界観を変えた。その上、元々変えられるもんだったって知った。

そこから、一から某特撮を見直した。
それを見て知った事がいっぱいある。友達との接し方、知らない人との話し方、後悔をしない方法、信じられる強さ、自分を保ち続ける等々。
そして、憧れ、生き方を少し真似るけど、今までの自分を変えない。
でも、後悔しない方法を知るのが遅かった。気づいたら、もう卒業だった。自分がしてきた短い人生を見直して、すぐに後悔してしまった。
(正直、中学校では嫌な奴が多かったから早く卒業したい。)なんて思ってしまう自分が居た。接し方を変えれば、きっと良い友達になれたはずなのに。




だから、もうこれ以上後悔はしたくない。できる限り、他人に迷惑はかけないで、相手の気持ちをしっかり汲み取って。その上で、自分を信じ、憧れの目標に近づきたくて、そうして来た15から17までの二年間。

―― 回想終わり ――
そして、新しい舞台でも俺の気持ちを変えずに、これからも―――








お局の○の動画で使うネタ好きです、元ネタ知ってもっとおもしろくなりました。

あと、俺の嫌いな食べ物は、キノコ類・海草類全般です。小学校の給食でくって、ナメタケのぬめりの所為で喉に引っかかって飲み込めなくて吐いてキノコ類が嫌い。ワカメのぬめりで同じく吐いて海草類嫌い。ぬめり取った奴を食べようと精進してるけど無理ゲー。吐き気が凄い。

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