連載小説
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終着点という名の始発駅
6畳一間のぼろぼろのアパート。ほとんど何も無い部屋の真ん中で大の字になり天井を見つめる。もう天井の染みの数を記憶しているほどだ。この光景を何度見た事か。ただ、・・ただ、ひたすら仰向けになり天井だけを見つめる。職も無く、金もほとんど無く、動く気力すら無い。今手元に残ってるのは遅れに遅れて届いた退職金のみ。その退職金も後僅かしか残っていない。それもこれも、今まで信じていた女に裏切られたせいで。あの日、・・・あの女に騙されるまで俺は何を信じて生きていたんだろう・・。そう、・・あの日・・。




あの運命の日。俺は見てしまった。妻が・・、見知らぬ男とラブホテルに入っていくのを・・。まるで本当の夫婦のような、それでいて俺には今まで一度も見せた事の無い嬉しそうな笑顔で男に付いていくのを。始めは見間違いだと思った。俺の勘違いであってくれと切に願った。だが、現実は非情だった。あの女は・・、俺の子だと言って産んでくれた息子は・・あの浮気相手の子供だとあっさりと自白した。俺は何も知らず、10年以上もの間、我が子とばかり一身に愛情を注ぎ、何不自由無く大切に育ててきたというのに。本当は俺の子じゃ無かったんだ。そして事もあろうに、あの女は浮気相手の男と結託し俺を罠に嵌めた。家を奪われ、財産を奪われ、人生を奪われ。そして・・・俺は理不尽な理由で仕事すら奪われた。きっと・・あの女の差し金だろう。転がり、時には飛び跳ねるかのように俺の人生は奈落へと一直線に突き進んだ。もう俺には失う物なんて一つも無い。もし、あるとすれば・・・それは俺の命だけだ。だが・・それすらも、もう消え失せようとしている。俺の体はあの日から病魔に蝕まれたかのように日に日に痩せ細り今では申し訳程度にある筋肉と骨と皮だ。顔も痩せこき、鏡に映るは今にも死神を呼び寄せようとしているかのような怨念と悔恨が刻まれた表情。

「・・・早く・・死期が来てくれんかな・・」

そう呟くが、生憎と人間は色々としぶといようだ。死にたいと願っても神がそれを許さない。神は全てを奪われた俺にまだ生きろというのか。これ以上の地獄をまだ味わえというのか。神など、所詮は人が創り出した空想の産物。だがもし・・・神が本当に居るというのなら・・、




あの女にも俺と同じ地獄を与えてやれ!!いや、それ以上の地獄を味わせてやれ!!



あの日の事を思いだし奥歯を噛み締める。ぎりり、と鳴った奥歯がぐらつき簡単に根元から折れた。どうやら栄養失調になりかけのようだ。そうか、俺の人生は餓死という結末を迎え入れるのか。ふ・・はははあはははっ。この恵まれた現代で餓死を選べというのか。だが、何も持っていない俺にはちょうど良い最後だな。大の字になりながらズボンのポケットに手を突っ込む。俺の人生の最後の金。・・・この手に握られている僅か4万2千円。巧い具合に死に番号だな。どうやら死神は早く死地にやってこい、と言ってるようだ。だが、死神よ。俺は俺で死に場所を選ぶ。お前の誘いは受けん。ひょろひょろに細くなった身体を無理矢理起こし、俺は宛ても無く出掛ける。どうせ死が目前に来てるのなら好きな事をやってから死んでやる。そして俺の命が尽きる時には・・・あの女と今まで騙してくれた浮気相手の男に一生どころか生まれ変わっても消えないほどの呪詛を贈ってやろう。それが俺からの賛辞だ。


ふらふらと歩く俺を見た通行人が驚いた顔をして避けていく。きっと、俺の顔は鬼のような般若顔か死を呼び込むような陰鬱な顔をしているかのどちらかだろう。もっとも、態々鏡を見て確認する気は無い。俺は勝手気ままに歩き続ける。死神に誘われる餓死よりも、せめて最後は人らしく死にたい。誰も来ないような森の中がいいだろうか。それとも、このまま海に出て水死体になるのもいいんだろうか。自らの最後を選んでる狂気が心の中で膨らみ続ける。もういいだろう?早く死んで楽になろうぜ?このまま生きてても待ってるのは餓死だけだぞ?死んで一生消えない呪詛を奴等に贈ってやろうぜ?俺の心の中に住んでいる悪魔が微笑む。奴等を恨め、妬め、殺せ、潰せ、引き裂け。様々な狂気が俺の中で膨らんでいくのがわかる。奴等が憎い。殺したい。全てを奪って毎日地べたに這いずり回してやりたい。俺が味わった苦しみを奴等にも同じように・・。負の感情が俺を支配していく。今の俺の瞳に映るのは憎悪のみ。なぁ神様よ、本当に居るのなら俺が死んだ後に奴等も地獄に堕としてくれよな。俺が地獄の底で待ってるってな。

今日まで、ほぼ毎日飲まず喰わずだったせいか、足元がふらつく。俺はまだ・・こんな所で死にたくはない。まだだ、まだ・・俺は死に場所を決めてない。もう少しだけ俺の体よ・・耐えてくれ。後少しなんだ、後少しで何かが見えてきそうなんだ。俺の最後の土地が・・。

「目が・・霞んできたか・・。後・・少しだというのに・・」

朝から今までどこをどう歩いたんだろうか。見た事が無い山の麓まで来ていた。そうか、俺は此処を求めていたんだ。誰にも知られず自らの生涯に幕を閉じれる場所を。

「とうとう・・辿りついたのか・・。後は・・・・・・・・・ん?」

こんな山の麓にパチンコ店だと?何故、人が通りそうにないこんな麓に・・。俺はポケットに手を突っ込む。最後の金である4万2千円。どうせ今から死ぬ身だ。パッと使ってやろうじゃないか。地獄に持っていくのはこの身体一つ。金なんぞあっても役に立たない。おぼつかない足取りで店に入る。


「本日はパーラーI☆ZA☆NA☆Iに御越し下さりありがとうございます。本日、貴方様に捧げるは自由。全てに解放され、全てを得る。ありのままの全てをお楽しみくださいませ」


喉がゴクリと鳴る。目の前に居る女性が神に見える。いや、神そのものなのか。わからない。わからない。わからない。心の中で警鐘が鳴り響く。この女には近づくな。触れるな。本能がそう叫ぶ。だけど俺は近づく。もし、この女性が本当に神だったら・・。

「どうかなされましたか、御客様?」

女性の凛とした声が耳に入り脳へと送られる。透き通るような声は脳内に直接麻薬を流されたかのように溶け込み判断を鈍らせる。足が微動だにしない。

「い・・いや・・。なんでも・・・・ない・・」

まるで見えない壁があるかのように触れる事さえ出来ない。もしかしたら本当にこの女性は・・神なのかもしれない。

「それでは御客様。本日は心往くまでご堪能くださいませ」

女性が去った後、腰が抜けそうになる。あの女性は本当に人間なのか。いや、もうそんな事はどうでもいい。もうすぐ死ぬ身の俺が考える事では無い。今は最後の楽園を楽しむだけでいい。最後の金をポケットの中で握り締め、台を一つ一つ選んでいく。俺の人生で最初で最後のパチンコだ。楽しませてくれよ。なんだこれは、・・・悪魔のような娘が沢山居る台だな。俺の最後に相応しい。こいつに決めた。


  
座った台の名は・・・・・・『魔性の讃美歌』



札を持つ手が震える。とうとう腕が肩より上に上がらないようになってきたか。この歳でこんな五十肩みたいになってしまうとは。だが、それでも俺は無理をしてでも札を投入口に捻じ込む。なんとか入ってくれたか。手元にある玉貸しのボタンを押し銀玉を皿に流す。初めて打つ玉の感触は素晴らしい。これが博打なのか。今まで経験した事が無かったから新鮮な気持ちになれる。例え負けたとしても俺はこの気持ちを地獄にまで持っていけるだろう。まさか最後の楽園がパチンコ店になってしまうとは思わなかったが。しかし、これも一興か。最後に楽しんだ者勝ちだ。そして、この金が尽き次第、此の世から去ろう。それが俺の運命なのだから。

「・・・本当に悪魔そっくりな娘ばかりだな、だけど・・なかなか可愛らしい子ばかりだな」

そうか、これが魔物娘ってやつか。あの日からほとんど外出しなくなったから外の情報がほとんど入ってこなかったからまともに憶えてなかった。なるほど、これが噂に聞いた魔物娘ってやつなのか。まぁ、今はそんな事はどうでもいい。今を楽しめればそれだけで安心してあの世に逝ける。

「最後の晩餐ならぬ最後の博打か・・、今の俺にはぴったりだな」

まずはどんな物か見てみるか。へぇ、・・・名前通りに悪魔娘だらけだな。ん?なんか知らない魔物娘が居るな?こんな小さい子って居たのか?・・・まぁ居たんだろうな。俺が知らないだけで。

情けない事に打つ手が痺れてきた。まだ一時間も経ってないはずなのに、もう身体が悲鳴を上げているのがわかる。俺の体はもう死ぬ一歩手前って所か。ははっ、なんとも惨めな人生だったな。このままだと俺はこの店でくたばっちまうかも知れないな。だけど、それだけは避けないといけない。いくらなんでも俺の我儘でこの店に迷惑は掛けたくないし、くたばるなら誰にも知られずひっそりと消えていきたいんだ。

「・・・後少しだけ耐えてくれよ・・俺の体・・」

びりびりと痺れ始める手に力を籠めて玉を打つ。玉が無くなれば五十肩のような腕をなんとか上に振り上げ札を投入する。傍から見れば何でも無い動作だが、俺にとってはこれが今出来る最高の動き。

「・・はぁ・・はぁ・・、こ・・これを後何回繰り返せばいいんだ・・」

当る当らないどちらにせよ、金を投入する。もう持っていても意味を成さない金なんて俺には必要無い。全て、この店で使い切ってやると決めたんだ。僅かに息切れしながらも画面を見つめる。暗い闇夜をバックに数々の悪魔娘が回転している。なんとも不気味で、淫靡で、それでいて・・卑猥で。本当、ぎりぎりまで露出しているな。まあ、これが魔物娘にとっては普通なんだろうとは思うが。

疲れてくる。たかがパチンコと思ってたがこの体では苦痛に感じる。あの頃の・・まだ健全な体だったら何とも思わなかったかも知れないが。また怒りが湧いてくる。あんな事さえ無ければ俺はここまで堕ちる事なんて無かったんだ。憎い、全てが憎い。特にあの女だけは絶対に許さない。死んだ後、幽霊になってでもアイツを道連れに地獄へと引き摺りこんでやる。


<・・・・・・・>


何だ今のは・・、なんだか一瞬だけキャラクター全てが悲しい顔になったような気がしたが。気のせいか。しかし、一向に当らないな。まぁいい。所詮、死ぬまでの楽しみなんだからな。


<・・・・・・・>


まただ。確かに一瞬だけキャラクターが悲しい顔になった。まさか、俺に同情してるってのか。そんな事があってたまるか。もう玉が無くなりそうだな、・・くっ、手を上げるだけで体が悲鳴をあげる。はぁ・・はぁ、札を入れるだけでこれか。さっさと金を使い切って此の世とオサラバしないと俺の体が持たない。ポケットに手を突っ込み残りの所持金を確認する。

「・・・・?・・・なっ!?どういう事だ!俺は確かに1万円は使ってるはず!」

何故始めの所持金から千円しか減っていないんだ。どうして・・俺の手の中に四万千円残ってるんだ。そんなバカな事があってたまるか。俺の最後の金は四万二千円だったはず・・。これは一体・・。


<もうすぐよ・・>


「ん?」

今、誰かに何か言われたような気がしたが。ああ、リーチ予告とかいうやつか。これは・・確かサキュバスだったな。やっぱり外れたか。元々期待してなかったし、別にいい。それよりも・・。

「・・・何故金が減ってないんだ・・。もしかして俺はとっくの昔に死んでて、ここはあの世って事なのか?」

もし、そうなら納得出来る。本当の俺は既にボロアパートでくたばってて魂だけが此処に来てるのかもな。それならそれで満足だ。死んでもこうやって楽しむ事が出来るんだからな。・・いや、違うぞ。さきほどから感じる冷風が俺の体を冷してる。俺は生きている・・?なら、何故金が減らないんだ。もう一度だけ確認してみるか・・。

「・・・確かに四万千円・・。まるっきり減ってない・・・」

足を抓ってみた。痛い・・。俺は確かに生きてる。と、いうことはここはあの世じゃない。此処は一体・・。考えるのはよそう。今はとりあえず打つ事だけを考えよう。当れば良し、当らなくても閉店時間が来れば金は此処に全て捨てていこう。

・・・なかなか当らないもんだ。あれからどれぐらい打ったんだろう。3時間?4時間?いや、もっと打ってるかも知れない。だけど・・。

「・・・時間が進んでいない・・、こんな事って・・」

ちらりと腕時計を見る。何度見ても時計の針は止まったまま微動だにしない。もしかして、この店は昔話に出てくる神隠しと言われる場所なのか。もしそうなら好都合だ。俺をこのまま向こうの世界から隔離してくれ。


<・・・・そろそろ御迎えの時間よ>


「・・・?あぁ、リーチ予告だったな」

もう何度目かわからないリーチ予告。たぶんこれも外れるだろうな。上のラインに並んだサキュバスが悲しい瞳でこちらを見ている。なんだ。何故そんな悲しそうな顔をしているんだ。そんな風にこっちを見ないでくれ。


<私達は絶対に裏切らないわ・・>


「!?」

今の言葉は何だ・・。一体どういう意味で・・。

サキュバスが近づいてくる・・。ああ、やはり外れたか。

「な、なんだこれは!?」

外れたはずなのに・・リーチ絵柄が外れたキャラを追いかけている。あ・・ああ・・・、揃っている・・。絵柄が揃いながら流れてる。こんな事って・・。


<ふふ・・・、さぁ、ここからが本番よ>


全絵柄が揃いながら高速で回転している。これから一体どうなるんだ。


<皆、行くわよ!!>


ガシャンという音と共に始めに当たったサキュバスが画面に揃った。

-カラン♪-

なんだこれは・・、き、金貨?


<次は私よ!>


-カラン♪-

画面に揃ったダークエンジェルの金貨が弾き出される。


<私を忘れないでよね>


小さな悪魔娘の金貨も出てくる。こいつは確か・・デビルだったか。


<あたしも!あたしも!>


これは・・インプなのか・・。何故こんなに金貨が出てくるんだ。これは・・俺が持っていってもいいんだろうか・・。訳がわからないので店員を見やる。こちらに気付いたのか、親指を立てていた。そうか、これは俺への餞別って事なんだな。それなら有難く貰っていこう。

「そうだ・・、もう金は要らん。ここに置いていくか」

ポケットに残ってた四万千円を台の上に置き俺は黙って店を後にする。店を出た途端に夏の暑さが俺を襲う。

「・・俺はまだ生きてるんだな・・。さて・・逝こうか・・」

4枚の金貨をポケットに押し込み、重い足取りで山の中腹を目指す。時折、膝や腕に木の枝が当って服を摩り切っていくが足を止めない。もうすぐ見えてくるはずだ。俺の死地が。

「この辺りでいいか・・」

木々が鬱蒼と茂り外界から閉ざされたような空間を見つけた。此処ならゆっくり死ねるだろう。樹の幹に体を預け瞼を閉じる。

「手に入れた金貨には悪いが・・・、すまんな・・ダメな持ち主で・・。いつか誰かが俺を見つけたら・・そいつに大切にされてくれよ・・」

暗闇が俺を襲う。とうとうお迎えが来たようだ。これが・・死の瞬間ってやつなのか。だが怖くは無い。暗いのに・・何も見えないのに・・何故か温かい・・・。父さん・・母さん・・先に逝くバカな俺を許してくれ・・。










俺は夢を見ているんだろうか。さっきまで持ってた金貨の絵柄そっくりのサキュバスが俺のチンコを咥えている。いや・・サキュバス一人じゃない。あの金貨に彫られていた女達が俺を囲んでいる。慈悲深い瞳を俺に向けながら何度も口付けをするダークエンジェル。さきほどからチンコを咥えたまま自慰をしているサキュバス。俺の両隣ではインプとデビルが欲に染まった瞳でサキュバスが咥えている俺のチンコを眺めていた。やはりこれは夢だ。こんな事が現実で起きるはずが無い。四人もの魔物娘に囲まれるなんてありえないのだから。サキュバスが口の中で咀嚼するように何度も俺のチンコを嬲る。舌を亀頭に絡ませ、何度も射精を促してくる。このまま射精していいんだろうか。鈴口に舌の先を押し当て早く出して欲しいと目で訴えてくる。俺は欲望のままにサキュバスの口内を犯し穢す。内頬に精液を溜め込み何度も味わった後に嚥下する姿がなんともいやらしく淫靡だ。サキュバスは満足したのか口を離すとすぐに隣に居たデビルと交代する。デビルはサキュバスの唾液で滑り卑猥な色合いになった俺のチンコに跨ると前戯をする事無く膣に無理矢理捻じ込む。この小さな体のどこに入ってるのだろう。デビルの体には不釣合いな大きさのチンコが小さな穴に全て納まっている。俺の腰の上で跳ねるようにチンコを出し入れし子宮に早く中出ししろ、と命令してくる。魔性の膣の誘惑に負けた俺は、まだ幼女とも言える体を孕ますべく何度も膣内射精し子宮を精液で叩く。チンコが脈打ち精液を流し込む度に幼い体が何度も痙攣する。まだまだ物足りないと膣内が収縮し始める。襞が蠢く。俺のチンコに魔の快楽を再度与えようと腰を揺り動かす。俺は我慢出来ず二度目の放出をしてしまう。膣に収まった精液の量に満足したのか今度はインプと交代する。インプも同じく前戯無しで俺のチンコを小さな膣で咥え込み何度も腰の上で跳ねる。俺はまな板の上に置かれた魚のようにただただ料理されるのを待つだけの悲しい餌。女の体を味わう事無く、ただ精液を出すだけのまな板の上の鯉。精液を放出するだけで何もする事が出来ず騎乗位で犯される哀れな獲物。ぼんやりと微かに考える。このまま全員に搾られ精液が出なくなった時が俺の死期だな、と。そして、腰の上に乗っているインプにも中出ししてしまう。次はダークエンジェルの番みたいだ。動けない俺の上に跨ると先の二人のように騎乗位で俺を犯す。快楽が入り混じった顔で何度も俺のチンコを膣襞で蹂躙し孕ませて欲しいと喘ぎ叫ぶ。先の二人と同じように魔性の膣に子宮に精液を叩きつけ染み込ませ欲望の白一色に染めていく。チンコが引き抜かれた際、ぽっかりと開いた秘所から一筋の精液が垂れた。それを指で何度も掬い小さな膣に押し込んでいくダークエンジェル。勿体無いとばかりに指に纏わりついた精液を一心不乱に舐める姿は艶らしく可憐だ。指に付いた精液がもう無いとわかっていても指を舐める事を辞めない。そんなダークエンジェルを抱え上げ脇にどかすサキュバス。どうやらこれで最後のようだ。舌嘗めずりしながらにじり寄ってくる。次は私の番だ、と。俺は覚悟を決め力を失い横たわっていたチンコを気力だけで勃起させる。それを見て満足したのか全てを包みこむような慈愛に満ちた瞳で俺を見つめそのまま膣に挿入するサキュバス。自らの乳房を何度も両手で揉みしだき、艶やかに淫乱に欲情に溺れた瞳で俺を見つめてくる。動けない俺に覆い被さりながら腰を揺らし舌を絡ませるキスを何度も強請ってくる。期待に応えるように舌を突き出すと嬉しそうに微笑みながら舌先をこちらの口内に入れてくる。御互いが御互いに相手の口内を蹂躙し合う。舌の腹に這わせ這わされ、歯の一本一本を味わうかのように口内を蹂躙していく。互いに気が昂った瞬間、俺は人生最後の射精ともいえるべき量をサキュバスの子宮に放出した。最後の最後に良い夢を見れた。これでもう思い残す事は何も無い。さぁ、死神よ。早く俺を地獄へと連れていけ。意識が暗闇に落ちて逝く。まどろみに近い感覚が襲ってくる。これが死の瞬間だろうか。








私達は刑を執行する。本当は人間に対して攻撃的な感情を全く持たないはずの私達。だけど・・この哀れな男性の人生を救う為に心を鬼にする。森を抜け、闇夜に溶け込み、私達はある場所へと飛び続ける。どのくらい飛び続けたのだろうか、あの哀れな男性の残り香を付けた女の匂いを感じた。なんという酷い匂い。言葉では言い表せないほどの臭気。穢れ、爛れ、欲望、偽善、欺瞞、ありとあらゆる汚い欲望の匂いが混じっている。女の近くから男の匂いも感じ取れる。この男も臭い。私達、魔物娘でも臭いと感じる男の匂い。どうやら、この男が元凶って訳ね。私達四人は静かに屋根に舞い降りると御互いに目配せし合図を送る。これから始まる本物の魔の宴を贈ってあげる。それが貴方達には御似合いだから。先陣を切って私が飛び込む。どうやら情事の最中だったみたい。だけど、私達には関係無いわ。汚らしいセックスなんて見たくもない。まずは手始めに男を一瞬で魅了した。今の今まで汚らしい女のオマンコに突っ込んでいたチンポを引き抜きこちらに寄ってくる汚らわしい男。近寄ってくるたびに臭い匂いで鼻が曲がりそう。私は更に強く魅了する。もうこれで私しか見えない、いえ、私じゃないと射精すら出来ない体。我慢出来ない状態になったのか、私を犯そうと飛びかかってくる男。だけど、私は魔力の壁で弾き返す。見えない魔力の壁を必死に叩き割ろうとする浅ましい男。これでもう、この男は自慰すら出来ない体。私が触れない限り射精すら出来ない悲しい男。次は女の番ね。軽く口笛を鳴らす。女を囲むように姿を現す皆。四方を囲まれ怯える事しか出来ない情けない雌。どう?やられる番に回った感想は。怖いよね、辛いよね、苦しいよね。そんな情けを乞うような顔をされても困るのよ。だって・・貴女なんかにかける情けなんて・・これっぽっちも無いんですもの。ねぇ、穢れた雌豚ちゃん。今まで楽しかったよね。貴方だけを愛してると言ったその汚い下の口で間男の子を孕み、子を産んだ後も欲望のままに浮気三昧。夫の子と偽り続け、ばれたら開き直って夫を陥れる。楽しかったよね?面白かったよね?世間には夫婦と言いながら本当は赤の他人扱い。でもね、・・・それも今日で御終い。今から貴女には・・この哀れな男よりも・・もっともっと楽しい罰を与えてあげるわ♪さぁ、・・魔の宴の始まりよ。ダークエンジェルが指を鳴らす。指先から現れた黒く禍々しい炎が雌豚を包み、体へ溶け込んでいく。次にインプが指を鳴らす。女の前に鏡が現れる。そこに映った女の姿はなんとも醜い老婆の姿。そして追い討ちをかけるが如く魔力が籠もった声でデビルが囁く。貴女は醜い雌豚。そして哀れな哀れな老婆。これが貴女の本当の心。醜く汚らわしく近づくだけで酷い匂い。貴女のお相手をする男は悲惨ね。こんなしわくちゃな老婆を抱くんだから。嗚呼、汚い汚い。醜い雌豚ちゃんがみっともなく涎を垂らしながらお漏らしして笑ってるわね。さて、そろそろ終わりにしましょうか。このままだと精神崩壊しちゃうし、いくらなんでもそこまではしたくないからね。軽く手を叩き全ての魔力から解放してあげる。何が起きたのかわからない様子みたいね。だけど・・真の恐怖はこれからよ。雌豚ちゃんが鏡に気付く。さきほどの醜い老婆が嘘だと信じたいが為に鏡を覗く。だけどね、そこに映るのは、・・・貴女の醜い心の顔だけよ。・・ああ、もう汚らしい男ね。向こう行ってなさい。シッシッ!




さて、後始末も終わりましたし、これで心置きなく向こうに帰れますね。さ、皆行きましょうか♪







ま、眩しい。俺はまだ生きているのか。此処は一体どこだ?ベッド?俺は確か樹の幹にもたれかかってたはず。一体誰の部屋なんだ。・・何か匂う。空腹を刺激する良い匂いが漂ってきてる。もしかして俺は誰かに助けられて・・。なんてことだ・・、死に損ねてしまった。このまま生き恥を晒しながらまた惨めな生活が始まるのか。俺はこれから一体どうすればいいんだ。これからの事を悩んでいると突然ドアが開いた。驚きのあまり、ベッドから飛び出してしまう。


「あぁ〜〜〜〜〜ん♪ダーリン起きてる〜♥」
「ちょ!全員で入ったら狭いでしょ!」
「パンデモニウムに遊びに行こ〜♪」
「あんた達ウルサイわよ!アタシが先だって言ってるでしょ!」
「ぁ、オチンチン丸出し〜♪」
「えっ!ホント!?いゃん♪オチンチンぴくぴくしてる〜♥」


な、なんで夢に見た子が此処に。と、いうか・・なんで四人一気にドアを抜けようとするかな。狭いだろうに、って・・チンチン?え?うわっ!なんで俺裸なんだ!?

「ダーリン♪これから一生ここで暮らそうね♪」

「ま、待ってくれ!此処は一体どこなんだ!それにあんた達は!・・・あんた達は・・・夢に・・、いや・・金貨に彫られていた・・・?あれ?自分で言ってておかしくなってきたぞ・・・?」

「そんな事どうでもいいじゃな〜い。ね、あんな世界捨てて・・こっちで気楽に性活しましょ♪」

「さんせーい♪」

どうなってんだ、これ。ツッコミどころが多すぎて頭がついていかない。・・ちょっと待て。あんな世界捨てて・・?まさか!?急いで部屋の窓を一気に開け放つとそこにあったのは・・。

「・・・こ・・此処って・・もしかして・・・」

まるで中世の世界をそのまんま持ち込んだような景色が目の前にあった。まさかと思うが此処は・・。

「貴方が今考えてる通りよ。此処は私達が住む世界・・魔界よ。あのままだと貴方が救われないから・・。だからいっその事こっちに・・って。もしかして・・迷惑だったの・・?」

暫し考える。本当ならとっくに死んでる身だ。今更住む世界が変わった所で何も怖くは無い。それに此処でなら・・もう一度人生をやり直せそうな気がする・・。

「いや・・、本当にありがとう・・皆」

四人に頭を下げようとしたが、いつのまにかダークエンジェルの子がチンコを咥えていた。なんという目にも止まらぬ早業。

「んふぅぅん〜〜〜、ひぇふにおれいひゃんていらひゃいよ〜」

「ちょっとー!何抜け駆けしてんのよ!」

「まずは朝ご飯でしょ!ダーリンはお腹が空いてるんだから!・・ね、口移しで食べさせてあげよっか♥」

は、・・ははは・・。一体全体何がどうなってるのやら・・。ただ、わかっているのは・・、俺はこの子達に惚れられて捕まってしまったって事か。ま、別にそれでもいい。あのまま向こうに居た所で何も出来なかったしな。ただ、心残りは・・向こうに残してしまった両親。もう高齢だし、そろそろ介護が必要になってくる歳だ。それだけが唯一悔やまれる。

「・・・どうしたの?そんなに悲しい顔をしないでちょうだい・・」

「ぁ、・・いや・・、向こうに残してしまった両親の事がな・・」

「それなら大丈夫よ♪近い内にお迎えに行っちゃうから♪」

・・・。もう何も言うまい。ここまで至れり尽くせりされては全て任せるしか。しかし、これから大所帯だな。って、いつまでこの子はチンコしゃぶってんの!?少しだけ真面目に考えさせてくれないか!?

「んふ〜っ♪んっ・・・んっ・・、ぷはっ♥」

やっと離れてくれた。さて、まずはこちらの世界の事を学ぼう。それから仕事探しだ。こんな俺を救ってくれた皆に恩返しをしないと。それと、・・・さようなら、俺の世界。初めまして、知らぬ世界よ。




14/08/03 23:05更新 / ぷいぷい
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■作者メッセージ
群青さん。からのリクエスト。全てを奪われ失い、信頼する者にも裏切られてしまった男の話を書かせて頂きました。ちょっと暗めのお話です。

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